【実施例1】
【0020】
実施例1のミツバチ用巣箱1は、
図1に示す様に、巣箱本体10と、直管型歩行用通路30と、T字型歩行用通路70とを備える。巣箱本体10は、段ボール製で、前後の壁面のそれぞれにミツバチの出入りする巣門11a,11bと、通気口12a,12bとを備え、ホック固定式の上蓋13を備えている。
【0021】
巣箱本体10の前後の壁面は二重構造となっていて、巣門11a,11bは、後側の段ボールを貫通する小さめの角穴14a,14bと、前側の段ボールを貫通する大きめの角穴15a,15bとから構成される。また、通気口12a,12bは、後側の段ボールに形成された貫通窓16a,16bにメッシュ17a,17bを張った構造となっていて、前側の段ボールに形成した横開きの扉18a,18bで開閉される構造となっている。
【0022】
各巣門11a,11bには背面側において上下方向にスライドするスライド式開閉扉19a,19bによって開閉される構造となっている。このスライド式開閉扉19a,19bは、通気口12a,12bの扉18a,18bを開いた状態で手で操作することができる様に取り付けられている。
【0023】
各巣門11a,11bを構成する大きめの角穴15a,15bの上部には、外側へ開くことのできるフラップ20a,20bが備えられている。フラップ20a,20bは、角穴15a,15bの上縁よりも幅広に形成されている。
【0024】
直管型歩行用通路30は、
図2に示す様に、通路本体40と枠部材50とから構成される。通路本体40は、硬質プラスチック製の板材から、
図2(C)の展開図に示す様に切り出した部品を、点線の箇所で山折りし、接合することにより、角ダクト状に組み立てられている。通路本体40は、組み立てた状態において、先端側の下面が他の面よりも迫り出して出入りするミツバチが一旦留まることのできる踊り場41を備えると共に、元側の上面及び下面には展開図及び分解斜視図において二点鎖線で示す箇所を谷折りすることによって折り返すことのできる爪部42,43を備えている。
【0025】
枠部材50も、硬質プラスチック製の板材から切り出されている。
図2(A),(B)に示す様に、中心にミツバチが通行することのできる大きさの通行穴51が貫通され、その上下に所定距離あけてスリット52,53が形成されている。スリット52,53の間隔は通路本体40の高さに対応し、スリット52,53の幅は通路本体40の幅に対応している。一方、通行穴51は、通路本体40の内壁面よりも十分に小さく、穴縁が通路本体40の内壁面より内側に位置する寸法となっている。なお、枠部材50の外縁は、通路本体40の外壁面の幅及び高さよりもよりも十分に大きな幅及び高さを有している。なお、外側の段ボールに形成されたフラップ20a,20bは、枠部材50の幅よりも大きめになっている。
【0026】
スリット52,53に挿通させた爪部43,44を、外側へと折り返すことで、
図2(E),(F)に示す様に、枠部材50と通路本体40とが一体化される。このとき、通路本体40の元側端部は枠部材50に対して当接した状態となる。この結果、直管型歩行用通路30は、ミツバチが噛み千切り難い素材で作成された枠部材50が通路本体40の元側の縁の周囲を塞ぐ様に取り付けられたものとなる。
【0027】
上述の様にして組み立てられた直管型歩行用通路30には、
図3に示す様に、通路本体40の上面に差し込み口45が形成され、その真下にダボ受け46が形成され、差し込み口45から、通路の途中を遮る外形を有する仕切部材110を抜き差し可能となっている。
【0028】
仕切部材110は、
図3に示す様に、ミツバチが通行可能な窓開口111が備えられると共に、窓開口111を塞ぎ、ミツバチが通行しようとするときにだけ開き得る様にヒンジを有する蓋部材112が取り付けられたものとなっていて、下縁中央にダボ113を備えている。
【0029】
ミツバチ用巣箱4を設置した当初においては、
図3(D)に示す様に、仕切部材110を装着しない。これにより、ミツバチはハウス内へと自由に行き来することができ、受粉活動を実行する。受粉活動が十分に行われた後は、
図3(E)に示す様に、差し込み口45から仕切部材110を差し込み、ダボ受け46にダボ113を嵌り込ませる。この後は、
図3(F),(G)に示す様に、ミツバチの帰還だけが許容された状態となる。
【0030】
ミツバチが十分に帰還したか否かは、仕切部材110の手前に落ちている花粉の量で判断することができる。そして、十分に帰還したと判断できたら、ミツバチの活動時間帯であっても、巣箱4を移動させることができる。
【0031】
T字型歩行用通路70は、
図4に示す様に、通路本体80と枠部材90とから構成される。通路本体80は、硬質プラスチック製の板材から、
図4(C)の展開図に示す様に切り出した部品を、点線の箇所で山折りし、接合することにより、平面視T字型の角ダクト状に組み立てられている。通路本体80は、
図4(D)〜(E)に示す様に、組み立てた状態において、先端を塞ぐ先端壁81を備え、先端壁81に沿って横方向にミツバチを出入りさせる様に横方向に伸びる交差通路83の両端側に出入り口84,85を備えた全体としてT字型に構成される。
【0032】
枠部材90は、硬質プラスチック製の板材から切り出されている。
図4(A),(D)に示す様に、中心にミツバチが通行することのできる大きさの通行穴91が貫通され、その上下に所定距離あけてスリット92,93が形成されている。スリット92,93の間隔は通路本体80の高さに対応し、スリット92,93の幅は通路本体80の幅に対応している。一方、通行穴81は、通路本体80の内壁面よりも十分に小さく、穴縁が通路本体80の内壁面より内側に位置する寸法となっている。なお、枠部材90の外縁は、通路本体80の外壁面の幅及び高さよりもよりも十分に大きな幅及び高さを有している。なお、外側の段ボールに形成されたフラップ20a,20bは、枠部材90の幅よりも大きめになっている。
【0033】
スリット92,93に挿通させた爪部86,87を、外側へと折り返すことで、
図4(E),(F)に示す様に、枠部材90と通路本体80とが一体化される。このとき、通路本体80の元側端部は枠部材90に対して当接した状態となる。この結果、歩行用通路70は、ミツバチが噛み千切り難い素材で作成された枠部材90が通路本体80の元側の縁の周囲を塞ぐ様に取り付けられたものとなる。
【0034】
ミツバチ用巣箱2の後面壁の巣門11bに取り付けたT字型歩行用通路70は、先端が閉じている上に、出入り口84,85は交差通路83の両端側に備えられているから、この出入り口84(85)を介して流入する気流は反対側の出入り口85(84)から出ていき、巣箱内部へと侵入しない。従って、外気の流入を防ぎ、巣箱内の温度低下を防止することができる。
【0035】
上述の様に外気の流入を防ぐT字型歩行用通路70は、
図5に示す様に、通路本体80の上面に二つの差し込み口88a,88bが形成され、それぞれの真下にダボ受け89a,89bが形成され、元側の差し込み口88bには、巣箱を移動しようとするときに仕切部材110を装着する。先端側の差し込み口88aには、ミツバチは通行可能であるがスズメバチは通行不可能な大きさの窓開口121とダボ122を有する仕切部材120を常時装着しておく。これにより、自然界へとミツバチを放ち、その場合の外気の流入による巣箱内温度の低下を防止しつつ、スズメバチの侵入を防止することができる。
【実施例2】
【0036】
実施例2のミツバチ用巣箱3は、
図6に示す様に、巣箱本体10は実施例1と同じもので、前面壁及び後面壁に実施例2と同じT字型歩行用通路70を取り付け、前面壁側のT字型歩行用通路70の出入り口83,84がハウス内に位置する様に設置して用いる。
【0037】
ハウス内に設置したT字型歩行用通路70は、実施例2で説明した様に、気流が巣箱内に入り込み難い構造となっているから、ハウス内の薬剤等の臭気が巣箱内に流入し難い点で、実施例1よりも優れた効果を発揮する。
【0038】
なお、図示を省略したが、ハウス内に挿入するT字型歩行用通路には、仕切部材110を挿入する差し込み口と仕切部材110を保持するダボ受けとを備えさせ、日中でも巣箱を移動できる様にしておく。
【0039】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明はこれら実施例に限らず、その要旨を逸脱しない範囲内での種々なる変形実施が可能であることはいうまでもない。
【0040】
例えば、巣箱内に封入する受粉用の蜂は、ミツバチに限らず、マルハナバチとしてもよい。また、各歩行用通路は、別体ではなく、一体成形品としても構わない。さらに、各歩行用通路は、巣門を1箇所だけ備える巣箱に用いてもよい
。差し込み口は横方向から仕切部材を抜き差しできる様に開口してもよい。仕切部材110の蓋部材は、薄肉部を有するプラスチック板、ゴムシートなど、先端側から帰ってくる蜂が押したときに開く構造や素材となっていればよい。