特許第6372798号(P6372798)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6372798
(24)【登録日】2018年7月27日
(45)【発行日】2018年8月15日
(54)【発明の名称】受粉用の蜂の巣箱及び蜂の歩行用通路
(51)【国際特許分類】
   A01K 47/06 20060101AFI20180806BHJP
   A01K 47/02 20060101ALI20180806BHJP
   A01K 47/00 20060101ALI20180806BHJP
【FI】
   A01K47/06
   A01K47/02
   A01K47/00
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-157598(P2014-157598)
(22)【出願日】2014年8月1日
(65)【公開番号】特開2016-34236(P2016-34236A)
(43)【公開日】2016年3月17日
【審査請求日】2017年5月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】594137557
【氏名又は名称】丸東東海商事株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104514
【弁理士】
【氏名又は名称】森 泰比古
(72)【発明者】
【氏名】金子 幸義
【審査官】 坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−143428(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 47/00 − 47/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受粉用の蜂が内部を歩いて通行し得るダクト状の歩行用通路の元側を巣箱本体に形成された巣門の周囲を覆う様に取り付けると共に、以下の構成をも備えていることを特徴とする受粉用の蜂の巣箱。
(1)前記巣門をスライド式開閉扉によって開閉可能に構成すると共に、前記歩行用通路は、仕切部材を抜き差し可能な差し込み口と、当該差し込み口から差し込まれた仕切部材を保持する保持部と、を通路本体の途中の位置に備え、前記仕切部材として、通路本体の途中を遮る外形を有する仕切部材を前記差し込み口に対して抜き差し可能に備えていること。
【請求項2】
さらに、以下の構成をも備えていることを特徴とする請求項1に記載の受粉用の蜂の巣箱
(2A)前記仕切部材として、ミツバチやマルハナバチは通行可能であるがスズメバチは通行不可能な大きさの窓開口を有する仕切部材を備えていること。
【請求項3】
さらに、以下の構成をも備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の受粉用の蜂の巣箱。
2B)前記仕切部材として、外から内へは開くが内から外へは開かない構造の蓋部材で塞がれた窓開口を備える仕切部材を備えていること。
【請求項4】
さらに、以下の構成をも備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の受粉用の蜂の巣箱。
(2C)前記仕切部材として、受粉用の蜂が通行する際に体に付着している花粉が掻き落とされる構造の通行孔を備える仕切部材を備えていること。
【請求項5】
さらに、以下の構成をも備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の受粉用の蜂の巣箱。
(4)前記歩行用通路の元側には、通路本体の元側端部の外壁面を全周にわたって取り囲む様に外側に伸びる枠部材が備えられていること
5)前記巣箱本体には、少なくとも前記巣門の開口される部分の壁面に、前記枠部材を挟み込んで保持することができる二重構造とした通路取付構造が備えられていること。
【請求項6】
さらに、以下の構成をも備えていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の受粉用の蜂の巣箱。
(3)前記歩行用通路が、通路本体の先端を塞ぐ先端壁と、当該先端壁に沿って通路本体を横切る方向へと貫通する通風路を形成する側方出入り口を備えた先端閉鎖側方出入構造とされていること。
【請求項7】
蜂の巣箱において、スライド式開閉扉によって開閉可能に構成された巣門の周囲を覆う様に取り付けることで内部を蜂が歩いて通行できるダクト状に構成されると共に、以下の構成を備えていることを特徴とする蜂の歩行用通路。
(6)通路本体の途中を遮る外形を有する仕切部材を抜き差し可能な差し込み口と、当該差し込み口から差し込まれた仕切部材を保持する保持部と、を通路本体の途中の位置に備えていること。
【請求項8】
蜂の巣箱の巣門の周囲を覆う様に取り付けることで内部を蜂が歩いて通行できるダクト状に構成されると共に、以下の構成を備えていることを特徴とする蜂の歩行用通路。
(7)前記歩行用通路が、通路本体の先端を塞ぐ先端壁と、当該先端壁よりも元側において側方へと受粉用の蜂を出入りさせる出入り口を備えた先端閉鎖側方出入構造とされていること。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受粉用の蜂の巣箱及び蜂の歩行用通路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ミツバチを用いた受粉のために、巣箱から伸ばした歩行用通路の先端をハウス内に挿入する様にした巣箱が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−143428号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
受粉用の巣箱は、ハウス内に飛び立った蜂が帰巣した状態でないと移動させることができない。このため、蜂が活動をやめる夜間になってからでないと移動できないという不便さがあった。
【0005】
また、ハウス内ではファン等による通気や空気の撹拌がなされており、歩行用通路を介して巣箱内へとハウス内の気流が侵入し、薬剤等の臭いでミツバチの活動が抑制される可能性もある。
【0006】
さらには、歩行用通路の元側の取付部分を蜂が噛み千切って逃げ出す問題もある。
【0007】
そこで、本発明は、蜂の活動時間帯であってもハウス内に蜂を置き去りにすることなく移動可能な巣箱を提供することを目的とする。また、歩行用通路から気流が侵入し難く、蜂が逃げ出し難い巣箱を提供することをさらなる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するためになされた本発明の受粉用の蜂の巣箱は、受粉用の蜂が内部を歩いて通行し得るダクト状の歩行用通路の元側を巣箱本体に形成された巣門の周囲を覆う様に取り付けると共に、以下の構成をも備えていることを特徴とする。
(1)前記巣門をスライド式開閉扉によって開閉可能に構成すると共に、前記歩行用通路は、仕切部材を抜き差し可能な差し込み口と、当該差し込み口から差し込まれた仕切部材を保持する保持部と、を通路本体の途中の位置に備え、前記仕切部材として、通路本体の途中を遮る外形を有する仕切部材を前記差し込み口に対して抜き差し可能に備えていること。
【0009】
本発明の受粉用の蜂の巣箱によれば、巣箱を移動させたいときには、「(2)外から内へは開くが内から外へは開かない構造の蓋部材で塞がれた窓開口を備える仕切部材」を、差し込み口から差し込み、保持部で保持させる。これにより、一旦帰巣した蜂は再び外出することができなくなり、蜂の活動時間帯である日中でも、ハウス内の蜂を置き去りにすることなく巣箱を移動させることができる。また、ハウス内に薬剤等を散布する場合も、同じく、一夜あけるのを待たないで巣箱を移動させ、薬剤等の散布作業を実施することができる。
【0010】
なお、「仕切部材」として、上述の様なものの他、「受粉用の蜂が通行する際に体に付着している花粉が掻き落とされる構造の通行孔を備える仕切部材」を装着すれば、受粉作業が順調に実行されているか否かの確認をすることもできる。
【0011】
本発明の受粉用の蜂の巣箱は、さらに、以下の構成をも備えるとよい。
(3)前記歩行用通路が、通路本体の先端を塞ぐ先端壁と、当該先端壁に沿って通路本体を横切る方向へと貫通する通風路を形成する側方出入り口を備えた先端閉鎖側方出入構造とされていること。
【0012】
構成(3)をも備えた本発明の受粉用の蜂の巣箱によれば、通路本体の先端は塞がれているものの、蜂は、側方出入り口から出入りすることができる。そして、この側方出入り口により、先端壁に沿って通路本体を横切る方向へと貫通する通風路が形成されているから、ハウス内のファン等による気流は、この通風路を通って通路本体を横切る方向に流れるだけで、巣箱へと流れ込み難い。この結果、ハウス内の臭気等が巣箱内へ侵入し難い。
【0013】
本発明の受粉用の蜂の巣箱は、さらに、以下の構成をも備えるとよい。
(4)前記歩行用通路の元側には、蜂が噛み千切り難い素材で作成され、通路本体の元側端部の外壁面を全周にわたって取り囲む様に外側に伸びる枠部材が備えられていること。
【0014】
(4)の構成をも備えた本発明の受粉用の蜂の巣箱によれば、元側端部を蜂が噛み千切って孔をあけて逃げ出すことを防止できる。この場合、特に、「(5)前記巣箱本体には、少なくとも前記巣門の開口される部分の壁面に、前記枠部材を挟み込んで保持することができる二重構造とした通路取付構造が備えられていること。」という構成をも採用すれば、歩行用通路は挟み込みによって保持されるので、両面テープなどを用いなくてもよく、取付状態自体が安定し、ハウスの外に設置した巣箱本体に人がつまづいたりしても取付部分に隙間があいてしまって蜂が逃げ出すといった問題をも防止することができる。
【0015】
また、本発明の蜂の歩行用通路は、蜂の巣箱の巣門の周囲を覆う様に取り付けることで内部を蜂が歩いて通行できるダクト状に構成されると共に、以下の(6)〜(8)のいずれかの構成を備えていることを特徴とする。
(6)通路本体の途中を遮る外形を有する仕切部材を抜き差し可能な差し込み口と、当該差し込み口から差し込まれた仕切部材を保持する保持部と、を備えていること。
(7)前記歩行用通路が、通路本体の先端を塞ぐ先端壁と、当該先端壁よりも元側において側方へと受粉用の蜂を出入りさせる出入り口を備えた先端閉鎖側方出入構造とされていること。
(8)前記歩行用通路の元側には、蜂が噛み千切り難い素材で作成され、通路本体の外壁
【0016】
(6)の構成を備えた蜂の歩行用通路によれば、「受粉用の蜂の活動時間帯であっても置き去りにすることなく移動可能な巣箱」を提供することができる。(7)の構成を備えた蜂の歩行用通路によれば、「気流が内部に侵入しにくい歩行用通路を備えた巣箱」を提供することができる。(8)の構成を備えた蜂の歩行用通路によれば、「蜂が逃走し難い巣箱」を提供することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、蜂の活動時間帯であってもハウス内に蜂を置き去りにすることなく移動可能な巣箱を提供することができる。また、歩行用通路から気流が侵入し難く、蜂が逃げ出し難い巣箱を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施例1のミツバチ用巣箱を示し、(A)は前面側から見た斜視図、(B)は後面側から見た斜視図、(C)は前面側から見た斜視図である。
図2】実施例1における直管型歩行用通路を示し、(A)は枠部材の正面図、(B)は枠部材の断面図、(C)は通路本体の展開図、(D)は分解斜視図、(D)は先端側から見た斜視図、(E)は元側から見た斜視図である。
図3】実施例1のミツバチ用巣箱を示し、(A)は前面側から見た斜視図、(B)は通路先端側から見た仕切部材の斜視図、(C)は通路元側から見た仕切部材の斜視図、(D)〜(G)は要部の断面図である。
図4】実施例1におけるT字型歩行用通路を示し、(A)は枠部材の正面図、(B)は枠部材の断面図、(C)は通路本体の展開図、(D)は分解斜視図、(D)は先端側から見た斜視図、(E)は元側から見た斜視図である。
図5】実施例1のミツバチ用巣箱を示し、(A)は後面側から見た斜視図、(B)は通路先端側から見た仕切部材の斜視図、(C)は通路元側から見た仕切部材の斜視図、(D)は要部の断面図である。
図6】実施例2のミツバチ用巣箱を示し、(A)は分解斜視図、(B)は前面側から見た斜視図、(C)は後面側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明を実施するための形態を実施例に基づいて説明する。
【実施例1】
【0020】
実施例1のミツバチ用巣箱1は、図1に示す様に、巣箱本体10と、直管型歩行用通路30と、T字型歩行用通路70とを備える。巣箱本体10は、段ボール製で、前後の壁面のそれぞれにミツバチの出入りする巣門11a,11bと、通気口12a,12bとを備え、ホック固定式の上蓋13を備えている。
【0021】
巣箱本体10の前後の壁面は二重構造となっていて、巣門11a,11bは、後側の段ボールを貫通する小さめの角穴14a,14bと、前側の段ボールを貫通する大きめの角穴15a,15bとから構成される。また、通気口12a,12bは、後側の段ボールに形成された貫通窓16a,16bにメッシュ17a,17bを張った構造となっていて、前側の段ボールに形成した横開きの扉18a,18bで開閉される構造となっている。
【0022】
各巣門11a,11bには背面側において上下方向にスライドするスライド式開閉扉19a,19bによって開閉される構造となっている。このスライド式開閉扉19a,19bは、通気口12a,12bの扉18a,18bを開いた状態で手で操作することができる様に取り付けられている。
【0023】
各巣門11a,11bを構成する大きめの角穴15a,15bの上部には、外側へ開くことのできるフラップ20a,20bが備えられている。フラップ20a,20bは、角穴15a,15bの上縁よりも幅広に形成されている。
【0024】
直管型歩行用通路30は、図2に示す様に、通路本体40と枠部材50とから構成される。通路本体40は、硬質プラスチック製の板材から、図2(C)の展開図に示す様に切り出した部品を、点線の箇所で山折りし、接合することにより、角ダクト状に組み立てられている。通路本体40は、組み立てた状態において、先端側の下面が他の面よりも迫り出して出入りするミツバチが一旦留まることのできる踊り場41を備えると共に、元側の上面及び下面には展開図及び分解斜視図において二点鎖線で示す箇所を谷折りすることによって折り返すことのできる爪部42,43を備えている。
【0025】
枠部材50も、硬質プラスチック製の板材から切り出されている。図2(A),(B)に示す様に、中心にミツバチが通行することのできる大きさの通行穴51が貫通され、その上下に所定距離あけてスリット52,53が形成されている。スリット52,53の間隔は通路本体40の高さに対応し、スリット52,53の幅は通路本体40の幅に対応している。一方、通行穴51は、通路本体40の内壁面よりも十分に小さく、穴縁が通路本体40の内壁面より内側に位置する寸法となっている。なお、枠部材50の外縁は、通路本体40の外壁面の幅及び高さよりもよりも十分に大きな幅及び高さを有している。なお、外側の段ボールに形成されたフラップ20a,20bは、枠部材50の幅よりも大きめになっている。
【0026】
スリット52,53に挿通させた爪部43,44を、外側へと折り返すことで、図2(E),(F)に示す様に、枠部材50と通路本体40とが一体化される。このとき、通路本体40の元側端部は枠部材50に対して当接した状態となる。この結果、直管型歩行用通路30は、ミツバチが噛み千切り難い素材で作成された枠部材50が通路本体40の元側の縁の周囲を塞ぐ様に取り付けられたものとなる。
【0027】
上述の様にして組み立てられた直管型歩行用通路30には、図3に示す様に、通路本体40の上面に差し込み口45が形成され、その真下にダボ受け46が形成され、差し込み口45から、通路の途中を遮る外形を有する仕切部材110を抜き差し可能となっている。
【0028】
仕切部材110は、図3に示す様に、ミツバチが通行可能な窓開口111が備えられると共に、窓開口111を塞ぎ、ミツバチが通行しようとするときにだけ開き得る様にヒンジを有する蓋部材112が取り付けられたものとなっていて、下縁中央にダボ113を備えている。
【0029】
ミツバチ用巣箱4を設置した当初においては、図3(D)に示す様に、仕切部材110を装着しない。これにより、ミツバチはハウス内へと自由に行き来することができ、受粉活動を実行する。受粉活動が十分に行われた後は、図3(E)に示す様に、差し込み口45から仕切部材110を差し込み、ダボ受け46にダボ113を嵌り込ませる。この後は、図3(F),(G)に示す様に、ミツバチの帰還だけが許容された状態となる。
【0030】
ミツバチが十分に帰還したか否かは、仕切部材110の手前に落ちている花粉の量で判断することができる。そして、十分に帰還したと判断できたら、ミツバチの活動時間帯であっても、巣箱4を移動させることができる。
【0031】
T字型歩行用通路70は、図4に示す様に、通路本体80と枠部材90とから構成される。通路本体80は、硬質プラスチック製の板材から、図4(C)の展開図に示す様に切り出した部品を、点線の箇所で山折りし、接合することにより、平面視T字型の角ダクト状に組み立てられている。通路本体80は、図4(D)〜(E)に示す様に、組み立てた状態において、先端を塞ぐ先端壁81を備え、先端壁81に沿って横方向にミツバチを出入りさせる様に横方向に伸びる交差通路83の両端側に出入り口84,85を備えた全体としてT字型に構成される。
【0032】
枠部材90は、硬質プラスチック製の板材から切り出されている。図4(A),(D)に示す様に、中心にミツバチが通行することのできる大きさの通行穴91が貫通され、その上下に所定距離あけてスリット92,93が形成されている。スリット92,93の間隔は通路本体80の高さに対応し、スリット92,93の幅は通路本体80の幅に対応している。一方、通行穴81は、通路本体80の内壁面よりも十分に小さく、穴縁が通路本体80の内壁面より内側に位置する寸法となっている。なお、枠部材90の外縁は、通路本体80の外壁面の幅及び高さよりもよりも十分に大きな幅及び高さを有している。なお、外側の段ボールに形成されたフラップ20a,20bは、枠部材90の幅よりも大きめになっている。
【0033】
スリット92,93に挿通させた爪部86,87を、外側へと折り返すことで、図4(E),(F)に示す様に、枠部材90と通路本体80とが一体化される。このとき、通路本体80の元側端部は枠部材90に対して当接した状態となる。この結果、歩行用通路70は、ミツバチが噛み千切り難い素材で作成された枠部材90が通路本体80の元側の縁の周囲を塞ぐ様に取り付けられたものとなる。
【0034】
ミツバチ用巣箱2の後面壁の巣門11bに取り付けたT字型歩行用通路70は、先端が閉じている上に、出入り口84,85は交差通路83の両端側に備えられているから、この出入り口84(85)を介して流入する気流は反対側の出入り口85(84)から出ていき、巣箱内部へと侵入しない。従って、外気の流入を防ぎ、巣箱内の温度低下を防止することができる。
【0035】
上述の様に外気の流入を防ぐT字型歩行用通路70は、図5に示す様に、通路本体80の上面に二つの差し込み口88a,88bが形成され、それぞれの真下にダボ受け89a,89bが形成され、元側の差し込み口88bには、巣箱を移動しようとするときに仕切部材110を装着する。先端側の差し込み口88aには、ミツバチは通行可能であるがスズメバチは通行不可能な大きさの窓開口121とダボ122を有する仕切部材120を常時装着しておく。これにより、自然界へとミツバチを放ち、その場合の外気の流入による巣箱内温度の低下を防止しつつ、スズメバチの侵入を防止することができる。
【実施例2】
【0036】
実施例2のミツバチ用巣箱3は、図6に示す様に、巣箱本体10は実施例1と同じもので、前面壁及び後面壁に実施例2と同じT字型歩行用通路70を取り付け、前面壁側のT字型歩行用通路70の出入り口83,84がハウス内に位置する様に設置して用いる。
【0037】
ハウス内に設置したT字型歩行用通路70は、実施例2で説明した様に、気流が巣箱内に入り込み難い構造となっているから、ハウス内の薬剤等の臭気が巣箱内に流入し難い点で、実施例1よりも優れた効果を発揮する。
【0038】
なお、図示を省略したが、ハウス内に挿入するT字型歩行用通路には、仕切部材110を挿入する差し込み口と仕切部材110を保持するダボ受けとを備えさせ、日中でも巣箱を移動できる様にしておく。
【0039】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明はこれら実施例に限らず、その要旨を逸脱しない範囲内での種々なる変形実施が可能であることはいうまでもない。
【0040】
例えば、巣箱内に封入する受粉用の蜂は、ミツバチに限らず、マルハナバチとしてもよい。また、各歩行用通路は、別体ではなく、一体成形品としても構わない。さらに、各歩行用通路は、巣門を1箇所だけ備える巣箱に用いてもよい。差し込み口は横方向から仕切部材を抜き差しできる様に開口してもよい。仕切部材110の蓋部材は、薄肉部を有するプラスチック板、ゴムシートなど、先端側から帰ってくる蜂が押したときに開く構造や素材となっていればよい。
【産業上の利用可能性】
【0041】
蜂による農作物の受粉に利用することができる。
【符号の説明】
【0042】
1,3・・・ミツバチ用巣箱、10・・・巣箱本体、11a,11b・・・巣門、12a,12b・・・通気口、13・・・上蓋、14a,14b・・・小さめの角穴、15a,15b・・・大きめの角穴、16a,16b・・・貫通窓、17a,17b・・・メッシュ、18a,18b・・・横開きの扉、19a,19b・・・スライド式開閉扉、20a,20b・・・フラップ、30・・・直管型歩行用通路、40・・・通路本体、41・・・踊り場、42,43・・・爪部、45・・・差し込み口、46・・・ダボ受け、50・・・枠部材、51・・・通行穴、52,53・・・スリット、70・・・T字型歩行用通路、80・・・通路本体、81・・・先端壁、83・・・交差通路、84,85・・・出入り口、86,87・・・爪部、88a,88b・・・差し込み口、89a,89b・・・ダボ受け、90・・・枠部材、91・・・通行穴、92,93・・・スリット、110・・・仕切部材、111・・・窓開口、112・・・蓋部材、113・・・ダボ、120・・・仕切部材、121・・・窓開口、122・・・ダボ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6