(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記無機酸化物微粒子が、酸化チタン、酸化ジルコニウム、及びチタン酸バリウムの少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
基板と第一電極と発光層と第二電極と請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂組成物からなる樹脂層とを備える発光素子であって、前記基板と前記第一電極と前記発光層と前記第二電極とがこの順に積層されてなり、前記樹脂層は、
(a)前記第一電極の、前記発光層が形成された側とは反対側、および、
(b)前記第二電極の、前記発光層が形成された側とは反対側、
の少なくとも一方に形成された発光素子。
【発明を実施するための形態】
【0017】
≪樹脂組成物≫
本発明に係る樹脂組成物は、芳香族ポリエーテル系重合体(以下「重合体(I)」ともいう。)と、含フッ素シランカップリング剤、シアノ基含有リン酸エステル化合物、およびシアノ基含有ホスホン酸エステル化合物から選ばれる1種以上の化合物で表面修飾した無機酸化物微粒子(以下「粒子(I)」という。)を含む。
【0018】
このような樹脂組成物によれば、光学特性に優れ、特に高屈折率の樹脂層を形成することができる。
前記屈折率は、重合体や粒子(I)と組成比や粒子(I)の分散状態にもよるが、重合体(I)単独で樹脂層を形成した場合よりも大きくなり、1.70以上が好ましく、1.75以上がより好ましく、更に1.83以上が好ましい。屈折率が前記範囲にある樹脂組成物を用いることで、光の取り出し効率の高い発光素子等を得ることができる。 屈折率はプリズムカプラ モデル2010(Metricon社製)を用いて測定することができる。
【0019】
従来では、屈折率を高くしようとすれば、透過率が低下し、透過率を高くまたは樹脂が有する透過率を維持しようとすれば、高屈折率の樹脂層を得ることができなかったが、本発明の樹脂組成物を用いることで、屈折率が高いにもかかわらず、高い全光線透過率を有する樹脂層を形成することができる。本発明の樹脂組成物を使用すれば、80%以上の全光線透過率が達成できる。
【0020】
全光線透過率は、ヘイズガード2((株)東洋精機製作所製)を用いて測定することができる。
本発明の樹脂組成物は、[A]重合体(I)、および[B]粒子(I)を含めば特に制限されないが、本発明の効果を損なわない範囲で、[C]分散剤、[D]溶媒、および[E]その他の成分を含んでもよい。
【0021】
以下、各成分について説明する。
[A]芳香族ポリエーテル系重合体(重合体(I))
前記重合体(I)のTgは200〜350℃であり、好ましくは220〜330℃、より好ましくは250〜300℃である。
【0022】
前記Tgは、Rigaku社製8230型DSC測定装置を用いて測定することができる。
本発明の樹脂組成物がこのような重合体(I)を含むことで、耐熱性、力学的強度および電気的特性等にバランスよく優れる樹脂層を得ることができる。
【0023】
本発明で使用される重合体(I)を本願明細書で記載の方法で測定した、屈折率は、1.62〜1.68の範囲にある。
本発明の樹脂組成物は、1種類の重合体(I)を含んでもよく、2種以上の重合体(I)を含んでもよい。
【0024】
前記重合体(I)としては、芳香族ポリエーテル系の重合体であれば特に制限されず、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルアミド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂などであってもよいが、主鎖にエーテル結合を形成する反応により得られる重合体であることが好ましく、下記式(3)で表される構造単位(以下「構造単位(3)」ともいう。)および下記式(4)で表される構造単位(以下「構造単位(4)」ともいう。)からなる群より選ばれる少なくとも一つの構造単位(i)を有する重合体(以下「重合体(II)」ともいう。)であることがより好ましい。重合体が構造単位(i)を有することで、Tgが前記範囲にあるポリエーテル系重合体となる。本発明の樹脂組成物がこのような重合体(II)を含むことで、耐熱性、耐久性、電気的特性および透明性に優れ、高い屈折率を有する樹脂層を容易に形成することができる。さらに、重合体(II)を含む樹脂組成物を用いることで、光の取り出し効率に優れる発光素子等を得ることができる。
【0025】
また、重合体(II)は、ポリエーテルスルホン樹脂やポリエーテルイミド樹脂等と比べ、可視域での光の吸収が少なく、可視光や熱による樹脂の劣化が起こりにくい。このため、重合体(II)を含む樹脂層は、特に耐久性に優れ、熱による着色が小さいため好ましい。
【0026】
【化4】
前記式(3)中、R
2〜R
5は、それぞれ独立に炭素数1〜12の1価の有機基を示す。a〜dは、それぞれ独立に0〜4の整数を示し、好ましくは0または1である。
【0027】
炭素数1〜12の1価の有機基としては、炭素数1〜12の1価の炭化水素基、ならびに酸素原子および窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子を含む炭素数1〜12の1価の有機基等を挙げることができる。
【0028】
炭素数1〜12の1価の炭化水素基としては、炭素数1〜12の直鎖または分岐鎖の炭化水素基、炭素数3〜12の脂環式炭化水素基および炭素数6〜12の芳香族炭化水素基等が挙げられる。
【0029】
前記炭素数1〜12の直鎖または分岐鎖の炭化水素基としては、炭素数1〜8の直鎖または分岐鎖の炭化水素基が好ましく、炭素数1〜5の直鎖または分岐鎖の炭化水素基がより好ましい。
【0030】
前記直鎖または分岐鎖の炭化水素基の好適な具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基およびn−ヘプチル基が挙げられる。
【0031】
前記炭素数3〜12の脂環式炭化水素基としては、炭素数3〜8の脂環式炭化水素基が好ましく、炭素数3または4の脂環式炭化水素基がより好ましい。
炭素数3〜12の脂環式炭化水素基の好適な具体例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基およびシクロへキシル基等のシクロアルキル基;シクロブテニル基、シクロペンテニル基およびシクロヘキセニル基等のシクロアルケニル基が挙げられる。当該脂環式炭化水素基の結合部位は、脂環上のいずれの炭素でもよい。
【0032】
前記炭素数6〜12の芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ビフェニル基およびナフチル基等が挙げられる。当該芳香族炭化水素基の結合部位は、芳香族環上のいずれの炭素でもよい。
【0033】
酸素原子を含む炭素数1〜12の有機基としては、水素原子、炭素原子および酸素原子からなる有機基が挙げられ、中でも、エーテル結合、カルボニル基またはエステル結合と炭化水素基とからなる総炭素数1〜12の有機基等を好ましく挙げることができる。
【0034】
エーテル結合を有する総炭素数1〜12の有機基としては、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数2〜12のアルケニルオキシ基、炭素数2〜12のアルキニルオキシ基、炭素数6〜12のアリールオキシ基および炭素数1〜12のアルコキシアルキル基などを挙げることができる。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、フェノキシ基、プロペニルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基およびメトキシメチル基等が挙げられる。
【0035】
また、カルボニル基を有する総炭素数1〜12の有機基としては、炭素数2〜12のアシル基等を挙げることができる。具体的には、アセチル基、プロピオニル基、イソプロピオニル基およびベンゾイル基等が挙げられる。
【0036】
エステル結合を有する総炭素数1〜12の有機基としては、炭素数2〜12のアシルオキシ基等が挙げられる。具体的には、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、イソプロピオニルオキシ基およびベンゾイルオキシ基等が挙げられる。
【0037】
窒素原子を含む炭素数1〜12の有機基としては、水素原子、炭素原子および窒素原子からなる有機基が挙げられ、具体的には、シアノ基、イミダゾール基、トリアゾール基、ベンズイミダゾール基およびベンズトリアゾール基等が挙げられる。
【0038】
酸素原子および窒素原子を含む炭素数1〜12の有機基としては、水素原子、炭素原子、酸素原子および窒素原子からなる有機基が挙げられ、具体的には、オキサゾール基、オキサジアゾール基、ベンズオキサゾール基およびベンズオキサジアゾール基等が挙げられる。
【0039】
前記式(1)におけるR
2〜R
5としては、炭素数1〜12の1価の炭化水素基が好ましく、炭素数6〜12の芳香族炭化水素基がより好ましく、フェニル基がさらに好ましい。
【0040】
【化5】
前記式(4)中、R
2〜R
5およびa〜dは、それぞれ独立に前記式(3)中のR
2〜R
5およびa〜dと同義であり、Zは、単結合、−SO
2−または>C=Oを示し、R
6およびR
7は、それぞれ独立にハロゲン原子、炭素数1〜12の1価の有機基またはニトロ基を示し、tは、0または1を示す。但し、tが0の時、R
6はシアノ基ではない。fおよびgは、それぞれ独立に0〜4の整数を示し、好ましくは0である。
【0041】
炭素数1〜12の1価の有機基としては、前記式(3)における炭素数1〜12の1価の有機基と同様の有機基等を挙げることができる。
前記重合体(II)は、前記構造単位(3)と前記構造単位(4)とのモル比(但し、両者(構造単位(3)+構造単位(4))の合計は100である。)が、光学特性、耐熱性および力学的特性等に優れる重合体となるなどの点から構造単位(3):構造単位(4)=50:50〜100:0であることが好ましく、構造単位(3):構造単位(4)=70:30〜100:0であることがより好ましく、構造単位(3):構造単位(4)=80:20〜100:0であることがさらに好ましい。
【0042】
ここで、力学的特性とは、重合体の引張強度、破断伸びおよび引張弾性率等の性質のことをいう。
また、前記重合体(II)は、さらに、下記式(4)で表される構造単位および下記式(5)で表される構造単位からなる群より選ばれる少なくとも一つの構造単位(ii)を有してもよい。前記重合体(II)がこのような構造単位(ii)を有すると、該重合体(II)を有する樹脂組成物を用いて得られる樹脂層の力学的特性が向上するため好ましい。
【0043】
【化6】
前記式(5)中、R
8およびR
9は、それぞれ独立に炭素数1〜12の1価の有機基を示し、Jは、単結合、−O−、−S−、−SO
2−、>C=O、−CONH−、−COO−または炭素数1〜12の2価の有機基を示し、uは、0または1を示す。hおよびiは、それぞれ独立に0〜4の整数を示し、好ましくは0である。
【0044】
炭素数1〜12の1価の有機基としては、前記式(3)における炭素数1〜12の1価の有機基と同様の有機基等を挙げることができる。
炭素数1〜12の2価の有機基としては、炭素数1〜12の2価の炭化水素基、炭素数1〜12の2価のハロゲン化炭化水素基、酸素原子および窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子を含む炭素数1〜12の2価の有機基、ならびに酸素原子および窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子を含む炭素数1〜12の2価のハロゲン化有機基等を挙げることができる。
【0045】
炭素数1〜12の2価の炭化水素基としては、炭素数1〜12の直鎖または分岐鎖の2価の炭化水素基、炭素数3〜12の2価の脂環式炭化水素基および炭素数6〜12の2価の芳香族炭化水素基等が挙げられる。
【0046】
炭素数1〜12の直鎖または分岐鎖の2価の炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、イソプロピリデン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基およびヘプタメチレン基等が挙げられる。
【0047】
炭素数3〜12の2価の脂環式炭化水素基としては、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基およびシクロへキシレン基等のシクロアルキレン基;シクロブテニレン基、シクロペンテニレン基およびシクロヘキセニレン基等のシクロアルケニレン基などが挙げられる。
【0048】
炭素数6〜12の2価の芳香族炭化水素基としては、フェニレン基、ナフチレン基およびビフェニレン基等が挙げられる。
炭素数1〜12の2価のハロゲン化炭化水素基としては、炭素数1〜12の直鎖または分岐鎖の2価のハロゲン化炭化水素基、炭素数3〜12の2価のハロゲン化脂環式炭化水素基および炭素数6〜12の2価のハロゲン化芳香族炭化水素基等が挙げられる。
【0049】
炭素数1〜12の直鎖または分岐鎖の2価のハロゲン化炭化水素基としては、ジフロオロメチレン基、ジクロロメチレン基、テトラフルオロエチレン基、テトラクロロエチレン基、ヘキサフルオロトリメチレン基、ヘキサクロロトリメチレン基、ヘキサフルオロイソプロピリデン基およびヘキサクロロイソプロピリデン基等が挙げられる。
【0050】
炭素数3〜12の2価のハロゲン化脂環式炭化水素基としては、前記炭素数3〜12の2価の脂環式炭化水素基において例示した基の少なくとも一部の水素原子がフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子で置換された基等が挙げられる。
【0051】
炭素数6〜12の2価のハロゲン化芳香族炭化水素基としては、前記炭素数6〜12の2価の芳香族炭化水素基において例示した基の少なくとも一部の水素原子がフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子で置換された基等が挙げられる。
【0052】
酸素原子および窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子を含む炭素数1〜12の有機基としては、水素原子および炭素原子と、酸素原子および/または窒素原子とからなる有機基が挙げられ、エーテル結合、カルボニル基、エステル結合またはアミド結合と炭化水素基とを有する総炭素数1〜12の2価の有機基等が挙げられる。
【0053】
酸素原子および窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子を含む炭素数1〜12の2価のハロゲン化有機基としては、具体的には、酸素原子および窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子を含む炭素数1〜12の2価の有機基において例示した基の少なくとも一部の水素原子がフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子で置換された基等が挙げられる。
【0054】
前記式(5)におけるJとしては、単結合、−O−、−SO
2−、>C=Oまたは炭素数1〜12の2価の有機基が好ましく、炭素数1〜12の2価の炭化水素基、炭素数1〜12の2価のハロゲン化炭化水素基または炭素数3〜12の2価の脂環式炭化水素基がより好ましい。
【0055】
【化7】
前記式(6)中、R
6、R
7、Z、t、fおよびgは、それぞれ独立に前記式(4)中のR
6、R
7、Z、t、fおよびgと同義であり、R
8、R
9、J、u、hおよびiは、それぞれ独立に前記式(5)中のR
8、R
9、J、u、hおよびiと同義である。なお、tが0の時、R
6はシアノ基ではない。
【0056】
前記重合体(II)は、前記構造単位(i)と前記構造単位(ii)とのモル比(但し、両者((i)+(ii))の合計は100である。)が、光学特性、耐熱性および力学的特性等に優れる重合体となるなどの点から(i):(ii)=50:50〜100:0であることが好ましく、(i):(ii)=70:30〜100:0であることがより好ましく、(i):(ii)=80:20〜100:0であることがさらに好ましい。
【0057】
ここで、力学的特性とは、重合体の引張強度、破断伸びおよび引張弾性率等の性質のことをいう。
前記重合体(II)は、光学特性、耐熱性および力学的特性等に優れる重合体となるなどの点から前記構造単位(i)および前記構造単位(ii)を全構造単位中70モル%以上含むことが好ましく、全構造単位中95モル%以上含むことがより好ましい。
【0058】
前記重合体(II)は、例えば、下記式(7)で表される化合物(以下「化合物(7)」ともいう。)および下記式(9)で表される化合物(以下「化合物(8)」ともいう。)からなる群より選ばれる少なくとも一つの化合物を含む成分(以下「(A)成分」ともいう。)と、下記式(8)で表される化合物を含む成分(以下「(B)成分」ともいう。)とを、反応させることにより得ることができる。
【0059】
【化8】
前記式(7)中、Qは独立してハロゲン原子を示し、フッ素原子が好ましい。
【0060】
【化9】
前記式(9)中、R
6、R
7、Z、t、fおよびgは、それぞれ独立に前記式(4)中のR
6、R
7、Z、t、fおよびgと同義であり、Qは、独立に前記式(7)中のQと同義である。但し、tが0の時、R6はシアノ基ではない。
【0061】
【化10】
前記式(8)中、R
aは、それぞれ独立に水素原子、メチル基、エチル基、アセチル基、メタンスルホニル基またはトリフルオロメチルスルホニル基を示し、この中でも水素原子が好ましい。なお、式(8)中、R
2〜R
5およびa〜dは、それぞれ独立に前記式(3)中のR
2〜R
5およびa〜dと同義である。
【0062】
前記化合物(7)としては、具体的には、2,6−ジフルオロベンゾニトリル(DFBN)、2,5−ジフルオロベンゾニトリル、2,4−ジフルオロベンゾニトリル、2,6−ジクロロベンゾニトリル、2,5−ジクロロベンゾニトリル、2,4−ジクロロベンゾニトリルおよびこれらの反応性誘導体等を挙げることができる。特に、反応性および経済性等の観点から、2,6−ジフルオロベンゾニトリルおよび2,6−ジクロロベンゾニトリルが好適に用いられる。これらの化合物は2種以上を組み合わせて用いることも可能である。
【0063】
前記式(8)で表される化合物(以下「化合物(8)」ともいう。)としては、具体的には、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(BPFL)、9,9−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3,5−ジフェニル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−シクロヘキシルフェニル)フルオレンおよびこれらの反応性誘導体等が挙げられる。上述の化合物の中でも、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンおよび9,9−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレンが好適に用いられる。これらの化合物は2種以上を組み合わせて用いることも可能である。
【0064】
前記化合物(9)としては、具体的には、4,4'−ジフルオロベンゾフェノン、4,4'−ジフルオロジフェニルスルホン(DFDS)、2,4'−ジフルオロベンゾフェノン、2,4'−ジフルオロジフェニルスルホン、2,2'−ジフルオロベンゾフェノン、2,2'−ジフルオロジフェニルスルホン、3,3'−ジニトロ−4,4'−ジフルオロベンゾフェノン、3,3'−ジニトロ−4,4'−ジフルオロジフェニルスルホン、4,4'−ジクロロベンゾフェノン、4,4'−ジクロロジフェニルスルホン、2,4'−ジクロロベンゾフェノン、2,4'−ジクロロジフェニルスルホン、2,2'−ジクロロベンゾフェノン、2,2'−ジクロロジフェニルスルホン、3,3'−ジニトロ−4,4'−ジクロロベンゾフェノンおよび3,3'−ジニトロ−4,4'−ジクロロジフェニルスルホン等を挙げることができる。これらの中でも、4,4'−ジフルオロベンゾフェノン、4,4'−ジフルオロジフェニルスルホンが好ましい。これらの化合物は2種以上を組み合わせて用いることも可能である。
【0065】
化合物(7)および化合物(9)からなる群より選ばれる少なくとも一つの化合物は、(A)成分100モル%中に、80モル%〜100モル%含まれていることが好ましく、90モル%〜100モル%含まれていることがより好ましい。
【0066】
また、(B)成分は、必要に応じて下記式(10)で表される化合物(以下「化合物(10)」ともいう。)を含んでいてもよい。化合物(8)は、(B)成分100モル%中に、50モル%〜100モル%含まれていることが好ましく、80モル%〜100モル%含まれていることがより好ましく、90モル%〜100モル%含まれていることがさらに好ましい。
【0067】
【化11】
前記式(10)中、R
8、R
9、J、h、iおよびuは、それぞれ独立に前記式(5)中のR
8、R
9、J、h、iおよびuと同義であり、R
aは、それぞれ独立に前記式(8)中のR
aと同義である。
【0068】
前記化合物(10)としては、ヒドロキノン、レゾルシノール、2−フェニルヒドロキノン、4,4'−ビフェノール、3,3'−ビフェノール、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4'−ジヒドロキシベンゾフェノン、3,3'−ジヒドロキシベンゾフェノン、1,1'−ビ−2−ナフトール、1,1'−ビ−4−ナフトール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパンおよびこれらの反応性誘導体等が挙げられる。上述の化合物の中でも、レゾルシノール、4,4'−ビフェノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパンが好ましく、反応性および力学的特性の観点から、4,4'−ビフェノールが好適に用いられる。これらの化合物は2種以上を組み合わせて用いることも可能である。
【0069】
(A)成分と(B)成分の使用割合は、(A)成分と(B)成分との合計を100モル%とした場合に、(A)成分が好ましくは45モル%以上55モル%以下、より好ましくは50モル%以上52モル%以下、さらに好ましくは50モル%を超えて52モル%以下であり、(B)成分が好ましくは45モル%以上55モル%以下、より好ましくは48モル%以上50モル%以下であり、さらに好ましくは48モル%以上50モル%未満である。
【0070】
また、反応温度は、好ましくは60〜250℃、より好ましくは80〜200℃の範囲である。反応時間は、好ましくは15分〜100時間、より好ましくは1時間〜24時間の範囲である。
【0071】
前記重合体(I)は、TOSOH製HLC−8220型GPC装置(カラム:TSKgelα―M、展開溶剤:テトラヒドロフラン(以下「THF」ともいう。))で測定した、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が、好ましくは5,000〜500,000、より好ましくは15,000〜400,000、さらに好ましくは30,000〜300,000である。
【0072】
前記重合体(I)は、熱重量分析法(TGA)で測定した熱分解温度が、好ましくは450℃以上、より好ましくは475℃以上、さらに好ましくは490℃以上である。
本発明の樹脂組成物としては、前記の方法(I')で得られた重合体(II)と有機溶媒との混合物をそのまま使用してもよい。
【0073】
[B]粒子(I)
無機酸化物微粒子
本発明の樹脂組成物に用いられる無機酸化物微粒子としては、酸化チタン、酸化ジルコニウム、チタン酸バリウム、イットリア添加酸化ジルコニウム、ジルコン酸鉛、チタン酸ストロンチウム、チタン酸スズ、酸化スズ、酸化ビスマス、酸化ニオブ、酸化タンタル、タンタル酸カリウム、酸化タングステン、酸化セリウム、酸化ランタン、酸化ガリウム、二酸化ケイ素/二酸化ジルコニウム/二酸化スズ/酸化カリウム含有酸化チタン等が挙げられる。無機酸化物微粒子は、1種単独で用いてもよく、種類が異なる2種以上を用いてもよく、平均粒子径等の異なる2種以上を用いてもよい。これらのうち、屈折率の高い酸化チタン、酸化ジルコニウム、チタン酸バリウムを用いることが好ましい。酸化チタンはルチル型とアナターゼ型の2種類の結晶構造を有するが、アナターゼ型は光触媒活性が高いため、ルチル型を使用することが好ましい。上記無機酸化物微粒子として、屈折率が高く、光触媒活性が低いチタン酸バリウムを使用することが最も好ましい。
【0074】
前記無機酸化物微粒子は、平均粒子径が、好ましくは1nm以上100nm未満、より好ましくは3〜70nm、特に好ましくは5〜50nmである。平均粒子径が1nm未満であると、粒子が不安定となり二次凝集が起こり、樹脂組成物塗膜の白濁の可能性がある。一方、平均粒子径が100nm以上になると、樹脂組成物塗膜が不均一となり、塗膜の透明性が損なわれ、透過率が大幅に低下する可能性がある。平均粒子径が前記範囲内であると、透明性に優れた樹脂層を得ることができる。なお、平均粒子径は動的光散乱法を測定原理とする粒子分布測定装置で測定することができる。
【0075】
なお、本発明では、無機酸化物微粒子の平均粒子径は、微粒子分散液(重合体(I)を含む場合もある)中で評価した平均粒子径であり、分散粒径ということもある。
本発明の樹脂組成物に配合される無機酸化物微粒子は、粉体状であってもよいし、溶媒分散ゾルであってもよい。溶媒分散ゾルに含まれる溶媒としては、例えば、2−ブタノール、メタノール、エタノール、2−メトキシエタノール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、N−メチル−2−ピロリドン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチアセトアミドが挙げられる。これら溶媒の中で、2-メトキシエタノール、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミドが特に好ましい。
【0076】
無機酸化物微粒子の配合量は、重合体(I)、粒子(I)からなる樹脂組成物100重量%に対し、好ましくは30〜99質量%、より好ましくは40〜95質量%、さらに好ましくは45〜90質量%である。無機酸化物微粒子の配合量が前記範囲にあると、特に高い屈折率で透明性に優れた樹脂層を得ることができ、光の取り出し効率に優れる発光素子等を得ることができる。 なお、無機酸化物微粒子が溶媒分散ゾルである場合、無機酸化物微粒子の配合量は、溶媒を含まない質量を意味する。
【0077】
表面修飾剤
本発明の樹脂組成物に使用される無機酸化物微粒子は、その表面が含フッ素シランカップリング剤、シアノ基含有リン酸エステル化合物、およびシアノ基含有ホスホン酸エステル化合物から選ばれる1種以上の化合物で表面修飾されたものを使用する。このような表面修飾剤で無機酸化物微粒子を表面修飾すると、前記重合体を含む樹脂組成物中への分散性を高くすることが可能であり、高屈折率、高光線透過率、低いHazeおよび低消衰係数などの光学特性に優れる樹脂層を得ることが可能となる。
【0078】
含フッ素シランカップリング剤としては、下記一般式(1)で示されるシランカップリング剤が用いられる。
【0079】
【化12】
式(1)中、nは1〜10の整数、mは1〜5の整数を示す。
【0080】
Xはハロゲン原子、炭素数1〜5のアルコキシ基またはハロゲン原子から選ばれた基を示し、Xが複数の場合、それぞれの基は同種であっても異種であっても良い。pは1〜3の整数を示す。
【0081】
一般式(1)で示されるシランカップリング剤の具体例としては、
CF
3CH
2Si(OCH
3)
3、CF
3(CH
2)
2Si(OCH
3)
3、
CF
3(CH
2)
3Si(OCH
3)
3、CF
3(CH
2)
4Si(OCH
3)
3、
CF
3(CH
2)
5Si(OCH
3)
3、
CF
3(CH
2)
2SiCl
3、CF
3(CH
2)
3SiCl
3
CF
3CH
2Si(OCH
2CH
3)
3、CF
3(CH
2)
2Si(OCH
2CH
3)
3、
CF
3(CH
2)
3Si(OCH
2CH
3)
3、CF
3CH
2Si(CH
3)(OCH
3)
2
CF
3(CH
2)
2Si(CH
3)(OCH
3)
2、
CF
3(CH
2)
3Si(CH
3)(OCH
3)
2、
CF
3CH
2Si(CH
3)(OCH
2CH
3)
2
CF
3(CH
2)
2Si(CH
3)(OCH
2CH
3)
2、
CF
3(CH
2)
3Si(CH
3)(OCH
2CH
3)
2、
C
2F
5CH
2Si(OCH
3)
3、C
3F
7CH
2Si(OCH
3)
3、
C
4F
9CH
2Si(OCH
3)
3、C
2F
5(CH
2)
2Si(OCH
3)
3、
C
3F
7(CH
2)
2Si(OCH
3)
3、C
4F
9(CH
2)
2Si(OCH
3)
3、
C
2F
5(CH
2)
3Si(OCH
3)
3、
C
3F
7(CH
2)
3Si(OCH
3)
3、C
4F
9(CH
2)
3Si(OCH
3)
3、
C
5F
11(CH
2)
3Si(OCH
3)
3、C
6F
13(CH
2)
3Si(OCH
3)
3、
C
7F
15(CH
2)
3Si(OCH
3)
3、C
8F
17(CH
2)
3Si(OCH
3)
3、
CF
3(CH
2)
3SiCl(CH
3)
2、CF
3(CH
2)
3SiCl
2(OCH
3)等が挙げられる。上記シランカップリング剤は1種単独で使用しても良いが、2種以上を用いても良い。これらの化合物の中で、CF
3(CH
2)
5Si(OCH
3)
3が好適に使用される。
【0082】
上記カップリング剤(1)の使用量は無機酸化物微粒子に対して、好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.1〜3質量%、さらに好ましくは0.5〜1質量%である。
【0083】
シアノ基含有リン酸エステル化合物としては、下記一般式(2)で表される化合物が用いられる。
【0084】
【化13】
式(2)中、R
1は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基を示す。Yは-(CH
2)q−、-(CH
2)q−O−から選ばれる基であり、qは0〜10の整数を示す。rは1〜5の整数を示す。
一般式(2)で示される化合物の具体例としては、以下等が挙げられる。
【0085】
【化14】
上記シアノ基含有リン酸エステル化合物は単独で用いることもできるが、2種以上を用いることもできる。
【0086】
シアノ基含有ホスホン酸エステル化合物としては、下記一般式(3)で表される化合物が用いられる。
【0087】
【化15】
式(3)中、R
1はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜10のアルキル基を示す。qは0〜10の整数、rは1〜5の整数を示す。
一般式(3)で示される化合物の具体例としては、以下等が挙げられる。
【0088】
【化16】
上記シアノ基含有ホスホン酸エステル化合物は単独で用いることもできるが、2種以上を用いることもできる。
【0089】
また、上記シアノ基含有リン酸エステル化合物、シアノ基含有ホスホン酸エステル化合物はどちらか単独で用いることもできるし、両者を同時に用いることもできる。
これらの化合物の中で、
【0091】
上記シアノ基含有リン酸エステル化合物、シアノ基含有ホスホン酸エステル化合物の使用量は、無機酸化物微粒子に対して、好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.1〜3質量%、さらに好ましくは0.5〜1質量%である。
【0092】
表面修飾方法としては、公知の方法を採用でき、たとえば、前記無機酸化物微粒子分散液に表面修飾剤を添加し、必要に応じて加熱下に、混合して表面に反応させたのち、固液分離すればよい。
【0093】
[C]分散剤
通常、無機酸化物微粒子を重合体中に分散させるために、アニオン系分散剤、カチオン系分散剤、ノニオン系分散剤などが使用される。
【0094】
従来、無機酸化物微粒子を重合体中に均一分散させるためには、大量の分散剤の添加が必要であるため、得られる樹脂組成物の屈折率が低下する問題点がある。更に、これら分散剤は、高温での熱安定性が低いため、樹脂組成物の高温での着色が大きい問題点があり、発光素子に使用する上で光取出し効率の低下を招くなど問題となることが多い。
【0095】
これに対し、本発明では、含フッ素シランカップリング剤、リン酸エステル化合物、ホスホン酸エステル化合物を無機酸化物微粒子の表面修飾剤として用いることにより、分散剤を少量の使用ないし無使用で無機酸化物微粒子を重合体中に均一分散させることが可能となり高屈折率の樹脂組成物を得ることができる。また、これら含フッ素シランカップリング剤、リン酸エステル化合物、ホスホン酸エステル化合物は高温での熱安定性に優れるため、高温での着色が抑制された樹脂組成物を得ることが可能となり、高い光取出し効率の光取出し高屈折率層を得ることができる。
【0096】
分散剤の使用量は、屈折率や透明性を考慮して、適宜選択されるが、重合体(I)および無機酸化物(I)の合計を100質量%とするときに、5質量%以下であればよいがこの限りでない。
【0097】
[D]溶媒
本発明の樹脂組成物は、必要に応じて溶媒を含んでもよい。
溶媒は、1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
【0098】
このような溶媒としては、前記重合体(I)を均一に溶解、分散させることのできる溶媒であることが好ましく、前記重合体(II)の合成の際に使用する有機溶媒として挙げた溶媒と同様の溶媒であってもよい(第1溶媒という)。
【0099】
好ましい溶媒(第1溶媒)としては、例えば、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンおよびγ−ブチロラクトンが挙げられ、塗工性、経済性の観点から、好ましくは、塩化メチレン、シクロヘキサノン、N,N−ジメチルアセトアミドおよびN−メチル−2−ピロリドンが挙げられる。
【0100】
また、塗工時の乾燥性や均一性、表面平滑性などの向上を狙い、例えば、エーテル系有機溶媒、エステル系有機溶媒、ケトン系有機溶媒、炭化水素系有機溶媒、アルコール系有機溶媒から選ばれる1種、あるいは2種以上の第2溶媒を適宜組み合わせて使用することが好ましい。この場合、大気圧下(1,013hPa)での沸点が200℃以下、さらには50〜150℃の範囲内にある低沸点有機溶媒が好適である。
【0101】
本発明の樹脂組成物が溶媒を含む場合、該溶媒が低沸点有機溶媒であることで、容易に高屈折率の樹脂層を形成することができ、また、200℃以下の低温で樹脂層を形成できるため、樹脂層が形成される基材等が制限されないため好ましい。
【0102】
これらの低沸点有機溶媒の好ましい例としては、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル類;エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテートなどのエチレングリコールアルキルエーテルアセテート類;乳酸エチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチルなどのエステル類;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテルなどのジエチレングリコール類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、メチルアミルケトンなどのケトン類が挙げられる。これらは、1種または2種以上を組み合わせて用いることも可能である。
【0103】
前記溶媒は、重合体(I)の分子量にもよるが、重合体(I)を均一に溶解させることのできる範囲で用いられることが好ましく、具体的には、本発明の樹脂組成物中の重合体(I)の濃度が、通常、1〜40質量%、好ましくは5〜25質量%となるような量で使用することが望ましい。本発明の樹脂組成物中の重合体(I)の濃度が前記範囲にあると、厚膜化可能で、ピンホールが生じにくく、表面平滑性に優れる樹脂層を形成することができる。
【0104】
[E]その他の成分
本発明の樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、前記[A]〜[D]以外のその他の成分を含んでもよい。
【0105】
前記その他の成分としては、アセチルアセトン等の分散助剤、金属酸化物粒子や有機粒子等の粒子、シリコーン系界面活性剤等の界面活性剤、ヒンダードフェノール系化合物等の老化防止剤、硬化性化合物、紫外線吸収剤などが挙げられる。
【0106】
<樹脂組成物の製造方法>
本発明の樹脂組成物は、前記重合体(I)と表面修飾された無機酸化物微粒子(I)と、溶媒などの必要に応じて配合される他の任意成分を混合することによって調製することができる。
【0107】
特に高屈折率、高光線透過率、低いHazeおよび低消衰係数などの光学特性に優れる樹脂層を得るためには、無機酸化物微粒子の分散性を向上させることが好ましいと考えられる。このような分散性が向上した樹脂組成物を得る等の点から、本発明の樹脂組成物の製造方法としては、シランカップリング剤、リン酸(ホスホン酸)エステルで表面修飾した無機酸化物微粒子の均一分散溶液と重合体(I)を溶媒に溶解させた溶液とを、均一に撹拌する方法が好ましい。
【0108】
≪コーティング用組成物≫
本発明のコーティング用組成物は、前記樹脂組成物そのものを使用することもできるし、前記樹脂組成物と沸点(大気圧下(1,013hPa))が200℃以下の上記第2溶剤とを混合することもできる。
【0109】
前記コーティング用組成物に用いられる樹脂組成物および溶剤は、それぞれ、1種単独でもよく、2種以上でもよい。
前記沸点が200℃以下の溶剤としては、沸点が50〜150℃の溶剤であることが好ましく、非水溶性であることがより好ましい。
【0110】
このような溶剤としては、前記低沸点有機溶媒と同様の溶媒等が挙げられる。
コーティング用の樹脂組成物の粘度は、重合体(I)の分子量や濃度にもよるが、好ましくは50〜100,000mPa・s、より好ましくは500〜50,000mPa・s、さらに好ましくは1000〜20,000mPa・sである。ハンドリング性を考慮して、この範囲に粘度を調整するように、有機溶媒と混合したりすればよい。樹脂組成物の粘度が前記範囲にあると、該コーティング組成物を用いて樹脂層を形成する際の該組成物の滞留性に優れ、厚みの調整が容易であるため、樹脂層の成形が容易である。
【0111】
≪樹脂層≫
本発明の樹脂層としては、特に制限されないが、前記樹脂組成物を用いて形成されることが好ましく、前記コーティング用組成物から形成されることが好ましい。
【0112】
本発明の樹脂層は、重合体(I)、好ましくは重合体(II)を含むため、屈折率が高い傾向にある。このため、高い光の取り出し効率を有する樹脂層が得られる。
さらに、前記重合体(I)とともに、分散性の高い特定の表面修飾無機酸化物微粒子を含んでいるので、透明でかつ高い屈折率を有し、優れた耐熱性を有する樹脂層を形成できる。このため、このような樹脂層は、発光素子の材料として好適に用いることができる。
【0113】
本発明の樹脂層は、具体的には、前記コーティング用組成物を基板や該樹脂層が用いられる部材(例:光学素子を構成する層)等に塗布して塗膜を形成し、次いで必要に応じて該塗膜から溶剤を除去する方法で製造することができる。
【0114】
前記基板としては、特に制限されないが、機械的強度、熱的安定性、透明性、表面平滑性、取扱容易性および防水性に優れるガラス基板または透明プラスチック基板が望ましい。
【0115】
前記コーティング用組成物を塗布して塗膜を形成する方法としては、ロールコート法、グラビアコート法、スピンコート法、スリットコート法およびドクターブレードを用いる方法等が挙げられる。
【0116】
また、塗膜から前記溶剤を除去する方法としては、特に制限されないが、例えば、塗膜を加熱する方法が挙げられる。塗膜を加熱することにより、該塗膜中の溶剤を蒸発させて除去することができる。前記加熱の条件は、溶剤が蒸発すればよく、熱変形や熱による各種材料の変性等が発生しないよう適宜決めればよいが、例えば加熱温度は30℃〜200℃であることが好ましい。
【0117】
前記加熱時間としては、10分〜5時間であることが好ましい。なお、加熱は二段階以上で行ってもよい。具体的には、30〜150℃の温度で1分〜2時間乾燥後、100℃〜200℃でさらに10分〜2時間加熱するなどである。また、必要に応じて、窒素雰囲気下もしくは減圧下にて加熱を行ってもよい。好ましくは、60〜100℃で20分〜1時間乾燥後、200〜260℃で20分〜1時間、さらに好ましくは、80℃で30分乾燥後、250℃で30分加熱することが好ましい。
【0118】
本発明では、前記樹脂組成物を使用しているので、低温、短時間の熱処理で樹脂層が形成可能でとなる。このため発光素子作製時の熱負荷が少なく済むために、着色や変形などを少なくできる。
【0119】
前記樹脂層の厚みは、所望の用途に応じて適宜選択されるが、好ましくは20nm〜100μm、より好ましくは80nm〜50μmで、さらに好ましくは、100nm〜10μmある。
【0120】
前記樹脂層は、波長632.8nmにおける屈折率が、好ましくは1.70以上、より好ましくは1.75以上、さらに好ましくは1.83以上である。屈折率が前記範囲にある樹脂層を用いることで、光の取り出し効率の高い発光素子等を得ることができる。
【0121】
屈折率はプリズムカプラ モデル2010(Metricon社製)を用いて測定することができる。
前記樹脂層は、厚さ約2μmにおけるJIS K7361に基づいて測定された全光線透過率が、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、特に好ましくは87%以上である。屈折率が前記範囲にある樹脂層は、光透過性に優れ、該樹脂層を用いることで、より光の取り出し効率の高い発光素子等を得ることができる。
【0122】
全光線透過率は、ヘイズガード2((株)東洋精機製作所製)を用いて測定することができる。
また、前記樹脂層は、Rigaku社製8230型DSC測定装置(昇温速度20℃/分)によるTgが、好ましくは230〜350℃、より好ましくは240〜330℃、さらに好ましくは250〜300℃である。前記樹脂層が、このようなTgを有すると、該層上に電極等を形成する際の加熱や熱処理を高温で行うことができるため、このようにして得られる電極は低抵抗で高透過率となり、光の取り出し効率および耐久性等に優れる発光素子等を容易に製造することができる。
【0123】
前記樹脂層は、厚さ約2μmにおけるJIS K7136に基づいて測定されたHazeが、好ましくは30%以下、より好ましくは25%以下、さらに好ましくは10%以下である。Hazeが前記範囲にある樹脂層は、光透過性に優れ、該樹脂層を用いることで、より光の取り出し効率の高い発光素子等を得ることができる。
Hazeは、ヘイズガード2((株)東洋精機製作所製)を用いて測定することができる。
【0124】
前記樹脂層は、大気中200℃で30分加熱した後の消衰係数(k値)が、好ましくは3×10
-4以下、より好ましくは2×10
-4以下である。k値が前記範囲にある樹脂層は、光透過性および耐久性に優れ、該樹脂層を用いることで、より光の取り出し効率の高い発光素子等を得ることができる。
【0125】
k値は、具体的には、下記実施例に記載の方法で測定することができる。
前記樹脂層は、引張強度が、50〜200MPaであることが好ましく、80〜150MPaであることがより好ましい。引張強度は、引張試験機5543(INSTRON社製)を用いて測定することができる。
【0126】
前記樹脂層は、破断伸びが、5〜100%であることが好ましく、15〜100%であることがより好ましい。破断伸びは、引張試験機5543(INSTRON社製)を用いて測定することができる。
【0127】
前記樹脂層は、引張弾性率が、2.5〜4.0GPaであることが好ましく、2.7〜3.7GPaであることがより好ましい。引張弾性率は、引張試験機5543(INSTRON社製)を用いて測定することができる。
【0128】
前記樹脂層は、SeikoInstruments社製SSC−5200型TMA測定装置を用いて測定した線膨張係数が、好ましくは80ppm/K以下、より好ましくは75ppm/K以下である。
【0129】
前記樹脂層は、湿度膨張係数が、15ppm/%RH以下であることが好ましく、12ppm/%RH以下であることがより好ましい。湿度膨張係数は、MA(SIIナノテクノロジー社製、TMA−SS6100)湿度制御オプションを用いて測定することができる。前記樹脂層の膨張係数が前記範囲にあると、寸法安定性(環境信頼性)が高いことを示すため、該樹脂層は発光素子等に好適に用いることができる。
【0130】
前記樹脂層は、比誘電率が2.0〜4.0であることが好ましく、2.3〜3.5であることがより好ましく、2.5〜3.2であることがさらに好ましい。比誘電率は、HP(株)製の4284A型LCRメーターを用いて測定することができる。比誘電率が前記範囲にあると、前記樹脂層を発光素子に使用した際、安定した発光状態を示す傾向が高い。
【0131】
前記樹脂層は、厚みが30μmである場合に、YI値(イエローインデックス)が、3.0以下であることが好ましく、2.5以下であることがより好ましく、2.0以下であることがさらに好ましい。YI値は、スガ試験機(株)製SM−T型色彩測定器を用いて測定することができる。
【0132】
前記樹脂層は、厚みが30μmである場合に、熱風乾燥機にて大気中230℃で1時間の加熱を行った後のYI値が3.0以下であることが好ましく、2.5以下であることがより好ましく、2.0以下であることがさらに好ましい。
【0133】
≪発光素子≫
本発明の発光素子は、第1電極と発光層と第2電極と前記樹脂層とを備え、前記第1電極と前記発光層と前記第2電極とがこの順に積層されてなる。前記樹脂層は、(a)前記第1電極の、前記発光層が形成された側とは反対側、および、(b)前記第2電極の、前記発光層が形成された側とは反対側、の少なくとも一方に形成されている。
このような発光素子は、前記樹脂層を含むため、光の取り出し効率が高く、耐久性に優れる。
【0134】
[第一電極]
前記第1電極は、第1電極形成用物質を用い、蒸着法またはスパッタリング法などにより製造できる。透過型電極を形成する場合には、第1電極形成用物質として、透明であって導電性に優れる酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化スズ(SnO
2)、酸化亜鉛(ZnO)などを用いることができる。
【0135】
また、反射型電極を形成する場合には、第1電極形成用物質として、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、アルミニウム−リチウム(Al−Li)、カルシウム(Ca)、マグネシウム−インジウム(Mg−In)、マグネシウム−銀(Mg−Ag)などを用いることができる。第1電極の厚さは、所望の目的に応じて適宜選択すればよい。
【0136】
[発光層]
前記発光層は、電界が印加されることにより発光現象を示す物質により成膜されたものであることが好ましい。このような物質としては、付活硫化亜鉛ZnS:X(但し、Xは、Mn、Tb、Cu,Sm等の付活元素である。)、CaS:Eu、SrS:Ce、SrGa
2S
4:Ce、CaGa
2S
4:Ce、CaS:Pb、BaAl
2S
4:Eu等の無機エレクトロルミネッセンス(EL)物質、8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体、芳香族アミン類、アントラセン単結晶等の低分子色素系の有機EL物質、ポリ(p−フェニレンビニレン)、ポリ[2−メトキシ−5−(2−エチルヘキシルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン]、ポリ(3−アルキルチオフェン)、ポリビニルカルバゾールなどの共役高分子系の有機EL物質等、従来より使用されているEL物質を用いることができる。
【0137】
これらの中でも前記樹脂層は重合体(I)を含むため、発光層は有機EL物質を用いて形成される層であることが好ましい。このように、発光層が有機EL物質を用いて形成される層である場合、有機EL素子が得られる。発光層の厚さは、通常10〜1000nm、好ましくは30〜500nm、さらに好ましくは50〜200nmである。発光層は、蒸着やスパッタリング等の真空成膜プロセス、あるいはクロロホルム等を溶媒とする塗布プロセスにより形成することができる。
【0138】
[第2電極]
前記第2電極は、第2電極形成用物質を用いて、蒸着法またはスパッタリング法などにより製造できる。第2電極形成用物質としては、リチウム(Li)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、アルミニウム−リチウム(Al−Li)、カルシウム(Ca)、マグネシウム−インジウム(Mg−In)、マグネシウム−銀(Mg−Ag)などが挙げられる。
【0139】
これらの物質から薄膜を形成することによって、透過型電極を得ることができる。また、ITO、IZOを含んでなる透過型電極であってもよい。第2電極の厚さは、所望の目的に応じて適宜選択すればよい。
【0140】
前記第2電極は、電子注入電極であるカソードであることが好ましい。
前記第2電極は透過型電極であることが好ましく、この場合、発光層で生じた光は、第2電極および前記樹脂層を通過して、発光素子の外部に取り出されることが好ましい。
【0141】
この発光素子は、前記樹脂層を備えているので、発光層で生じた光が第2電極を通過して空気中に進入する時に、光の屈折によって、発光素子の外部に取り出される効率を高めることができ、第2電極の屈折率、樹脂層の屈折率、空気の屈折率(約1.0)がこの順で小さくなる発光素子が好ましい。また、第2電極と樹脂層との屈折率の差、樹脂層と空気との屈折率の差が小さいことが好ましい。第2電極、樹脂層および空気の屈折率がこのような関係にあると、発光層で生じた光が発光素子の外部に取り出される工程で、第2電極と樹脂層との界面および樹脂層と空気との界面で全反射しにくくなるため、光の取り出し効率が高くなると考えられる。
【0142】
なお、前記発光素子には、必要によって多様な層がさらに設けられていてもよい。
また、発光素子の密封のための公知の密封層がさらに設けられてもよく、多様な変形例が可能である。
【実施例】
【0143】
以下、本発明を実施例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
(1)構造分析
下記合成例で得られた重合体の構造分析は、IR(ATR法、FT−IR,6700(NICOLET社製))およびNMR(ADVANCE500型,BRUKAR社製)により行った。
【0144】
(2)重量平均分子量(Mw)
下記合成例で得られた重合体の重量平均分子量(Mw)は、TOSOH製HLC−8220型GPC装置(カラム:TSKgelα―M、展開溶剤:THF)を用いて測定した。
【0145】
(3)ガラス転移温度(Tg)
下記合成例で得られた重合体、または下記実施例および比較例で得られた評価用樹脂層のガラス転移温度は、Rigaku社製8230型DSC測定装置を用いて、昇温速度20℃/minとして測定した。
【0146】
(4)光学特性
下記実施例および比較例で得られた評価用樹脂層について、全光線透過率を、それぞれJIS K7361およびJIS K7136に準拠して測定した。具体的には、全光線透過率は(株)東洋精機製作所 ヘイズガード2を用いて測定した。
【0147】
また、波長450nmにおける消衰係数(=k値)は、下記実施例および比較例で得られた評価用樹脂層をホットプレートにて大気中200℃で30分間の加熱した後、(株)日立ハイテクノロジー製の分光光度計U−4100を用いて該評価用樹脂層の透過率および反射率を測定し、さらに該評価用樹脂層の厚みを大塚電子(株)製の反射分光膜厚計FE−3000を用いて測定し、ベールの法則より算出した。
【0148】
実施例および比較例で得られた評価用樹脂層の屈折率は、プリズムカプラ モデル2010(Metricon社製)を用いて測定した。なお、屈折率は、波長632.8nmを用いて測定した。
【0149】
[合成例1]
<重合体の合成>
3Lの4つ口フラスコに(A)成分:2,6−ジフルオロベンゾニトリル35.12g(0.253mol)、(B)成分:9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン87.60g(0.250mol)、炭酸カリウム41.46g(0.300mol)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)443gおよびトルエン111gを添加した。続いて、4つ口フラスコに温度計、撹拌機、窒素導入管付き三方コック、Dean−Stark管および冷却管を取り付けた。
【0150】
次いで、フラスコ内を窒素置換した後、得られた溶液を140℃で3時間反応させ、生成する水をDean−Stark管から随時取り除いた。水の生成が認められなくなったところで、徐々に温度を160℃まで上昇させ、そのままの温度で6時間反応させた。室温(25℃)まで冷却後、生成した塩をろ紙で除去し、ろ液をメタノールに投じて再沈殿させ、ろ別によりろ物(残渣)を単離した。得られたろ物を60℃で一晩真空乾燥し、白色粉末(重合体)を得た(収量95.67g、収率95%)。
【0151】
得られた重合体の構造分析およびMwの測定を行った。結果は、赤外吸収スペクトルの特性吸収は、3035cm
-1(C−H伸縮)、2229cm
-1(CN)、1574cm
-1、1499cm
-1(芳香環骨格吸収)、1240cm
-1(−O−)にあり、Mwは130,000であった。得られた重合体は下記構造単位(A)を有していた。また、得られた重合体のガラス転移温度は280℃であった。
【0152】
【化18】
【0153】
[調製例1]
<チタン酸バリウムナノ粒子分散液(1)の調製>
撹拌装置付の反応容器に2−メトキシエタノール55.83gを入れ、窒素雰囲気下で金属バリウム1.318gオルトチタン酸テトラエチル2.305gを加え、撹拌しながら完全に溶解させ、金属アルコキシド溶液を調製した。続いてこの溶液を2時間加熱還流し、脱イオン水32.40gと2−メトキシエタノール26.62gの混合溶液を加えて70℃に保った恒温槽内で5時間撹拌させ、チタン酸バリウムナノ粒子分散液を調製した。30分超音波照射した後、(4−シアノベンジル)ホスホン酸ジエチル0.462gと3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン0.390gを添加し、70℃で1時間反応させた。室温まで冷却後、遠心分離により固形分を分取し、4mLのN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を加え、チタン酸バリウムナノ粒子のNMP分散液を得た。
【0154】
実施例1
合成例1で得られた重合体を重合体濃度が4.7質量%となるようDMAcに溶解させた(合成例1で得られた重合体を重合体濃度が24質量%となるようにDMAcに溶解させた)溶液(以下「樹脂溶液(1)」ともいう。)0.175gに対して、前記チタン酸バリウムナノ粒子分散液(1) 1.331gを加え、自転・公転ミキサー(あわとり錬太郎)を用いて5分間撹拌して、混合溶液を調製した。得られた混合溶液のチタン酸バリウム粒子の分散粒径を、測定した波長632nmの透過率からレイリー散乱式を用いて算出した値は21nmであった。得られた混合溶液を、孔径5μmのフィルターでろ過後、ガラス基板上にスピンコートした。この塗布基板を強制攪拌式の乾燥機を用いて、80℃で30分間加熱した後、250℃で30分間加熱した後に、乾燥機から取出し、大気中で室温まで冷却することにより約1.7μm厚の膜を得た。得られた塗布層の屈折率は1.87.全光線透過率は87%、消衰係数は2×10
-4であった。
【0155】
実施例2
チタン酸バリウムナノ粒子分散液(1)1.331gを樹脂溶液(1) 0.279gに添加した以外は、実施例1と同様に混合溶液の調製、塗布基板の作製を行った。得られた混合溶液のチタン酸バリウム粒子の分散粒径は21nmであった。得られた塗布層の膜厚2.2μm、屈折率は
1.81、全光線透過率は87%、消衰係数は2×10
-4であった。
【0156】
実施例3
チタン酸バリウムナノ粒子分散液(1)2.130gを樹脂溶液(1)0.842gに添加した以外は、実施例1と同様に混合溶液の調製、塗布基板の作製を行った。得られた混合溶液のチタン酸バリウム粒子の分散粒径は21nmであった。得られた塗布層の膜厚2.0μm、屈折率は
1.80、全光線透過率は87%、消衰係数は2×10
-4であった。
【0157】
実施例4
チタン酸バリウムナノ粒子分散液(1)1.684gを樹脂溶液(1)2.130gに添加した以外は、実施例1と同様に混合溶液の調製、塗布基板の作製を行った。得られた混合溶液のチタン酸バリウム粒子の分散粒径は21nmであった。得られた塗布層の膜厚2.2μm、屈折率は
1.75、全光線透過率は
90%、消衰係数は2×10
-4であった。
【0158】
実施例5
チタン酸バリウムナノ粒子分散液(1)3.087gを樹脂溶液(1)3.124gに添加した以外は、実施例1と同様に混合溶液の調製、塗布基板の作製を行った。得られた混合溶液のチタン酸バリウム粒子の分散粒径は21nmであった。得られた塗布層の膜厚1.5μm、屈折率は
1.73、全光線透過率は
88%、消衰係数は2×10
-4であった。
【0159】
[調製例2]
<チタン酸バリウムナノ粒子分散液(2)の調製>
PFA容器にチタン酸バリウム(シグマアルドリッチ社製、一次粒子径100nm未満)100質量部に対して、松本油脂製薬(株)製マーボンAC−F3(ポリオキシエチレンセカンダリーアルキルエーテル)11質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテル192質量部を加え、さらに粒径0.1mmのジルコニアビーズ(ニッカトー社製)900質量部を加えて、ペイントコンディショナー(RED DEVIL社製)を用いて、1時間振とうして、チタン酸バリウムのナノ粒子をプロピレングリコールモノメチルエーテルに分散させた後、ジルコニアビーズを除去することでチタン酸バリウムナノ粒子分散液(2)を得た。
【0160】
比較例1
チタン酸バリウムナノ粒子分散液(2)を用いた以外は実施例1と同様にして、コート液組成物を調製したこと以外は、実施例1と同様に混合溶液の調製、塗布基板の作製を行った。得られた混合溶液のチタン酸バリウム粒子の分散粒径は800nmであった。得られた塗布層の膜厚2.0μm、屈折率は1.72、全光線透過率は70%、消衰係数は5×10
-2と乾燥後の着色が認められた。
【0161】
【表1】