(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6372822
(24)【登録日】2018年7月27日
(45)【発行日】2018年8月15日
(54)【発明の名称】放電管の製造方法及び放電管
(51)【国際特許分類】
H01T 21/00 20060101AFI20180806BHJP
H01T 4/12 20060101ALI20180806BHJP
【FI】
H01T21/00
H01T4/12 F
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-223046(P2014-223046)
(22)【出願日】2014年10月31日
(65)【公開番号】特開2016-91709(P2016-91709A)
(43)【公開日】2016年5月23日
【審査請求日】2017年9月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000122690
【氏名又は名称】岡谷電機産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096002
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 弘之
(74)【代理人】
【識別番号】100091650
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 規之
(72)【発明者】
【氏名】櫛田 成
(72)【発明者】
【氏名】田中 俊行
【審査官】
関 信之
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭51−002948(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/001493(WO,A1)
【文献】
特開2001−085466(JP,A)
【文献】
実開平03−022389(JP,U)
【文献】
実開昭54−041983(JP,U)
【文献】
特開平09−227852(JP,A)
【文献】
実開昭58−000395(JP,U)
【文献】
特開平11−168171(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01T 21/00
H01T 4/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端が開口したセラミックより成るケース部材の両端面に、放電電極部を有する一対の蓋部材の接合部を接合して気密外囲器を形成すると共に、該気密外囲器内に放電ガスを封入し、また、気密外囲器内に配置される上記蓋部材の放電電極部間に放電間隙を形成して成る放電管の製造方法であって、
ケース部材の端面に、ガラス転移点温度が250℃以上で熱分解温度が300℃以上のエポキシ系接着剤、又は、ガラス転移点温度が400℃以上で熱分解温度が500℃以上のポリイミド系接着剤を塗布する工程と、
真空雰囲気中において、上記接着剤を予備乾燥し、接着剤中の溶剤成分から発生する不純ガスを放出させる工程と、
ケース部材内の真空排気を行った後、放電ガスをケース部材内に導入する工程と、
上記接着剤を加熱して流動化させて、蓋部材の接合部とケース部材の端面とを該接着剤で接合した後、接着剤を冷却硬化させる工程
を有することを特徴とする放電管の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の製造方法により製造される放電管であって、
蓋部材の接合部と、ケース部材の端面とが、ガラス転移点温度が250℃以上で熱分解温度が300℃以上のエポキシ系接着剤、又は、ガラス転移点温度が400℃以上で熱分解温度が500℃以上のポリイミド系接着剤を介して接合されることを特徴とする放電管。
【請求項3】
蓋部材の接合部と、ケース部材の端面及び外壁面とが、ガラス転移点温度が250℃以上で熱分解温度が300℃以上のエポキシ系接着剤、又は、ガラス転移点温度が400℃以上で熱分解温度が500℃以上のポリイミド系接着剤を介して接合されることを特徴とする請求項2に記載の放電管。
【請求項4】
蓋部材の接合部と、ケース部材の端面及び内壁面とが、ガラス転移点温度が250℃以上で熱分解温度が300℃以上のエポキシ系接着剤、又は、ガラス転移点温度が400℃以上で熱分解温度が500℃以上のポリイミド系接着剤を介して接合されることを特徴とする請求項2に記載の放電管。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は放電管の製造方法、及びその製造方法により製造される放電管に係り、特に、プロジェクターや自動車のメタルハライドランプ等の高圧放電ランプやガス調理器等の着火プラグに、点灯用又は着火用の定電圧を供給するためのスイッチングスパークギャップとして、或いは、サージ電圧を吸収するためのガスアレスタ(避雷管)として好適に使用できる放電管の製造方法、及びその製造方法により製造される放電管に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の放電管として、本出願人は、先に特開2007−5129号(特許文献1)等を提案した。
この放電管60は、
図6及び
図7に示すように、両端が開口した絶縁性のセラミックよりなる円筒状のケース部材62の両端開口部を、放電電極を兼ねた一対の蓋部材64,64で気密に封止することによって気密外囲器66を形成し、該気密外囲器66内に、所定の放電ガスを封入してなる。
【0003】
上記蓋部材64は、気密外囲器66の中心に向けて大きく突き出た放電電極部68と、ケース部材62の端面に接する接合部70を備えており、両蓋部材64,64の放電電極部68,68間には、所定の放電間隙72が形成されている。
また、上記ケース部材62の内壁面74には、その両端が、放電電極を兼ねた上記蓋部材64,64と微小放電間隙76を隔てて配置されたトリガ放電膜78が複数形成されている。
【0004】
上記放電電極部68の表面には、臭化セシウム(CsBr)、チタン(Ti)及びモリブデン酸カリウム(K
2MoO
4)の混合物が含有された被膜80が形成されている。
【0005】
図6に示す通り、上記ケース部材62の両端面と、蓋部材64の接合部70とは、メタライズ層82及び銀ろう84を介して接合されており、その接合方法は以下の要領で行われている。
Mo−Mn(モリブデン−マンガン)メタライズ法を用い、セラミックよりなるケース部材62の両端面に、Mo−Mnペーストを塗布し、水素ガス雰囲気の炉中で、約1300〜1500℃で熱処理することにより、ケース部材62の両端面に金属層を形成し、その上にNiめっき等を施して成るメタライズ層82を形成する。
次に、真空雰囲気中で、銀ろう84を用いたろう付けを行うことにより、ケース部材62の両端面と、蓋部材64の接合部70とを気密封止するのである。
【0006】
上記構成を備えた放電管60にあっては、放電電極を兼ねた上記一対の蓋部材64,64間に、当該放電管60の放電開始電圧以上の電圧が印加されると、トリガ放電膜78の両端と蓋部材64,64間の微小放電間隙76に電界が集中し、これにより微小放電間隙76に電子が放出されてトリガ放電としての沿面コロナ放電が発生する。次いで、この沿面コロナ放電は、電子のプライミング効果によってグロー放電へと移行する。そして、このグロー放電が放電電極部68,68間の放電間隙72へと転移し、主放電としてのアーク放電に移行するのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−5129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記Mo−Mnメタライズ法を用いた従来の製造方法では、メタライズの熱処理温度が約1300〜1500℃と非常に高温であり、高温製造設備費用等が嵩みコスト高を招くと共に、高温環境下で正確にメタライズ層82を形成することは技術的にも困難であった。
また、銀ろう84を用いたろう付け法も、ろう材である銀が高価なため、コスト高につながっていた。
【0009】
尚、上記放電管60は、図示しない回路基板等に実装されて使用されるが、実装時に半田付けが行われるため、半田の熱ストレスによって品質低下を生じないことが求められ、そのための品質検査として半田耐熱性試験が行われている。
この半田耐熱性試験は、放電管60を350℃で5秒間(350℃−5s)加熱した後、外観検査及び電気的特性検査を行い、品質に問題ないことが要求されるものである。
【0010】
この発明は、従来の上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、比較的低温環境下において、セラミックよりなるケース部材と、放電電極部を有する蓋部材とを低コストで簡単に接合することができる放電管の製造方法、及び、その製造方法により製造される放電管であって、十分なる半田耐熱性を備えた放電管を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る請求項1に記載の放電管の製造方法は、
両端が開口したセラミックより成るケース部材の両端面に、放電電極部を有する一対の蓋部材の接合部を接合して気密外囲器を形成すると共に、該気密外囲器内に放電ガスを封入し、また、気密外囲器内に配置される上記蓋部材の放電電極部間に放電間隙を形成して成る放電管の製造方法であって、
ケース部材の端面に、ガラス転移点温度が250℃以上で熱分解温度が300℃以上のエポキシ系接着剤、又は、ガラス転移点温度が400℃以上で熱分解温度が500℃以上のポリイミド系接着剤を塗布する工程と、
真空雰囲気中において、上記接着剤を予備乾燥し、接着剤中の溶剤成分から発生する不純ガスを放出させる工程と、
ケース部材内の真空排気を行った後、放電ガスをケース部材内に導入する工程と、
上記接着剤を加熱して流動化させて、蓋部材の接合部とケース部材の端面とを該接着剤で接合した後、接着剤を冷却硬化させる工程
を有することを特徴とする。
【0012】
本発明に係る請求項2に記載の放電管は、
請求項1に記載の製造方法により製造される放電管であって、
蓋部材の接合部と、ケース部材の端面とが、ガラス転移点温度が250℃以上で熱分解温度が300℃以上のエポキシ系接着剤、又は、ガラス転移点温度が400℃以上で熱分解温度が500℃以上のポリイミド系接着剤を介して接合されることを特徴とする。
【0013】
本発明に係る請求項3に記載の放電管は、請求項2に記載の放電管において、
蓋部材の接合部と、ケース部材の端面及び外壁面とが、ガラス転移点温度が250℃以上で熱分解温度が300℃以上のエポキシ系接着剤、又は、ガラス転移点温度が400℃以上で熱分解温度が500℃以上のポリイミド系接着剤を介して接合されることを特徴とする。
【0014】
本発明に係る請求項3に記載の放電管は、請求項2に記載の放電管において、
蓋部材の接合部と、ケース部材の端面及び内壁面とが、ガラス転移点温度が250℃以上で熱分解温度が300℃以上のエポキシ系接着剤、又は、ガラス転移点温度が400℃以上で熱分解温度が500℃以上のポリイミド系接着剤を介して接合されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る放電管の製造方法にあっては、セラミックより成るケース部材と、放電電極部を有する蓋部材とを、ガラス転移点温度が250℃以上で熱分解温度が300℃以上のエポキシ系接着剤、又は、ガラス転移点温度が400℃以上で熱分解温度が500℃以上のポリイミド系接着剤を介して接合するよう構成したので、Mo−Mnメタライズ法を用いた従来方法のような高温製造設備等が不要であり、比較的低温環境下で、セラミックよりなるケース部材と蓋部材とを低コストで簡単に接合することができる。
【0016】
また、本発明に係る放電管は、蓋部材の接合部とケース部材の端面とを、ガラス転移点温度が250℃以上で熱分解温度が300℃以上のエポキシ系接着剤、又は、ガラス転移点温度が400℃以上で熱分解温度が500℃以上のポリイミド系接着剤を介して接合したので、350℃−5sの半田耐熱性試験をクリアすることができ、十分なる半田耐熱性を備えた放電管を実現できる。
【0017】
請求項2又は3に記載の放電管の如く、蓋部材の接合部を、ケース部材の端面のみならず外壁面や内壁面とも接着剤を介して接合した場合には、蓋部材とケース部材との接着面積が増大し、接着強度及び気密性が向上する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係る第1の放電管10は、
図1及び
図2に示すように、両端が開口した絶縁材としてのセラミックよりなる隅丸四角筒状のケース部材12の両端開口部を、放電電極を兼ねた一対の蓋部材14,14で気密に封止することによって気密外囲器16を形成してなる。
【0019】
上記蓋部材14は、気密外囲器16の中心に向けて大きく突き出た円柱状の放電電極部18と、ケース部材12の端面12aに接合する接合部20を備えており、両蓋部材14,14の放電電極部18,18間には、所定の放電間隙22が形成されている。
放電電極部18と接合部20を備えた上記蓋部材14は、無酸素銅や、無酸素銅にジルコニウム(Zr)を含有させたジルコニウム銅等の導電材で構成されている。
【0020】
また、上記ケース部材12の内壁面12bには、その両端が、放電電極を兼ねた上記蓋部材14,14と微小放電間隙26を隔てて配置された線状のトリガ放電膜28が複数形成されている。
図1及び
図2においては、トリガ放電膜28を、ケース部材12の内壁面12bの周方向に、90度間隔で4本形成した場合を例示したが、トリガ放電膜28の形成数は適宜選定されるものである。
上記トリガ放電膜28は、カーボン系材料等の導電性材料で構成されている。このトリガ放電膜28は、例えば、カーボン系材料より成る芯材を擦り付けることにより形成することができる。
【0021】
上記放電電極部18の表面には、電子放出特性が良好な物質を含有した被膜30が形成されている。
電子放出特性が良好な物質を含有した上記被膜30は、例えば、臭化セシウム(CsBr)が含有された被膜30で形成することができる。この被膜30は、臭化セシウムの粉末を、珪酸ナトリウム溶液と純水よりなるバインダーに添加したものを、放電電極部18表面に塗布することによって形成することができる。
この場合、臭化セシウムが0.01〜70重量%、バインダーが99.99〜30重量%の配合割合で混合される。
また、バインダー中の珪酸ナトリウム溶液と純水との配合割合は、珪酸ナトリウム溶液が0.01〜70重量%、純水が99.99〜30重量%の配合割合で混合される。
【0022】
上記気密外囲器16内には、所定の放電ガスが封入されている。この放電ガスとしては、例えば、ネオン(Ne)とアルゴン(Ar)の混合ガス中に、水素(H
2)を混合して構成した放電ガスが該当する。
【0023】
上記ケース部材12の端面12aと、上記蓋部材14の接合部20とは、接着剤32を介して接合されている。
上記接着剤32は、エポキシ系接着剤又はポリイミド系接着剤で構成されており、エポキシ系接着剤の場合にはガラス転移点温度が250℃以上で熱分解温度が300℃以上のエポキシ系接着剤を選定し、ポリイミド系接着剤の場合にはガラス転移点温度が400℃以上で熱分解温度が500℃以上のポリイミド系接着剤を選定する。
【0024】
このように、接着剤32として、ガラス転移点温度が250℃以上で熱分解温度が300℃以上のエポキシ系接着剤、又は、ガラス転移点温度が400℃以上で熱分解温度が500℃以上のポリイミド系接着剤を選定することにより、第1の放電管10を350℃で5秒間(350℃−5s)加熱する半田耐熱性試験においても、ケース部材12の端面12aと蓋部材14の接合部20との接合が毀損することがなく、十分なる半田耐熱性を得ることができる。
【0025】
接着剤32を介したケース部材12の端面12aと蓋部材14の接合部20との接合は以下の方法で行われる。
先ず、スクリーン印刷や、ディスペンサー等の適宜な手段を用いて、ケース部材12の端面12aに、ガラス転移点温度が250℃以上で熱分解温度が300℃以上のエポキシ系接着剤、又は、ガラス転移点温度が400℃以上で熱分解温度が500℃以上のポリイミド系接着剤を塗布する。
【0026】
次に、真空雰囲気中において、所定温度で上記接着剤32を加熱して予備乾燥し、接着剤32中の余分な溶剤成分を揮発させることにより、溶剤成分から発生する不純ガスを放出させる。例えば上記接着剤32がエポキシ系接着剤の場合には、100〜200℃程度で加熱し、ポリイミド系接着剤の場合には200〜300℃程度で加熱する。斯かる加熱により、接着剤32が化学反応して硬化する。
次に、ケース部材12内の真空排気を行った後、放電ガスをケース部材12内に導入する。上記真空排気過程で溶剤成分から発生した不純ガスは排気されるので、気密外囲器16内の放電ガス組成に悪影響を与えることが防止される。
【0027】
次に、上記接着剤32をガラス転移点温度以上で加熱することにより流動化させた状態で、蓋部材14の接合部20とケース部材12の端面12aとを上記接着剤32で接合し、その後、接着剤32を冷却して硬化させることにより、ケース部材12が気密に封止されて気密外囲器16が形成されるのである。
【0028】
上記した本発明方法にあっては、セラミックより成るケース部材12と、放電電極部18を有する蓋部材14とを、ガラス転移点温度が250℃以上で熱分解温度が300℃以上のエポキシ系接着剤、又は、ガラス転移点温度が400℃以上で熱分解温度が500℃以上のポリイミド系接着剤を介して接合するよう構成したので、Mo−Mnメタライズ法を用いた従来方法のような高温製造設備等が不要であり、比較的低温環境下で、セラミックよりなるケース部材12と蓋部材14とを低コストで簡単に接合することができる。
【0029】
本発明の上記第1の放電管10にあっては、放電電極部18を有する上記一対の蓋部材14,14間に、当該放電管10の放電開始電圧以上の電圧が印加されると、トリガ放電膜28の両端と蓋部材14,14間の微小放電間隙26に電界が集中し、これにより微小放電間隙26に電子が放出されてトリガ放電としての沿面コロナ放電が発生する。
次いで、この沿面コロナ放電は、電子のプライミング効果によってグロー放電へと移行する。
そして、このグロー放電が放電電極部18,18間の放電間隙22へと転移し、主放電としてのアーク放電に移行するのである。
【0030】
本発明に係る第1の放電管10は、蓋部材14の接合部20とケース部材12の端面12aとを、ガラス転移点温度が250℃以上で熱分解温度が300℃以上のエポキシ系接着剤、又は、ガラス転移点温度が400℃以上で熱分解温度が500℃以上のポリイミド系接着剤を介して接合したので、350℃−5sの半田耐熱性試験をクリアすることができ、十分なる半田耐熱性を備えた放電管を実現できる。
【0031】
図3は、本発明に係る第2の放電管36を示すものであり、該第2の放電管36は、放電電極部18の表面に複数の穴部38を形成し、各穴部38内面に、電子放出特性が良好な物質を含有した上記被膜30を形成した点に特徴を有するものであり、その他の構成は上記第1の放電管10と同一である。
【0032】
而して、第2の放電管36の如く、放電電極部18の表面に、複数の穴部38を形成すると共に、各穴部38内面に、上記被膜30を形成した場合には、被膜30と放電電極部18との密着力が向上し、放電時の衝撃による被膜30のスパッタを抑制できる効果を奏する。
【0033】
図4は、本発明に係る第3の放電管40を示すものであり、該第3の放電管40は、蓋部材42の形状に特徴を有するものである。
すなわち、第3の放電管40の蓋部材42は、気密外囲器16の中心に向けて大きく突き出た円柱状の放電電極部44と、ケース部材12の端面12aのみならず「外壁面12c」にも接合する接合部46を備え、また、上記放電電極部44の表面に、上記被膜30が被着される穴部48が形成されている。
【0034】
図4に示すように、上記蓋部材42の接合部46は、ガラス転移点温度が250℃以上で熱分解温度が300℃以上のエポキシ系接着剤32、又は、ガラス転移点温度が400℃以上で熱分解温度が500℃以上のポリイミド系接着剤32を介して、ケース部材12の端面12a及び外壁面12cと接合されている。
【0035】
而して、上記第3の放電管40にあっては、蓋部材42の接合部46が、ケース部材12の端面12aのみならず外壁面12cとも接着剤32を介して接合されているので、上記第1の放電管10及び第2の放電管36に比べ、蓋部材42とケース部材12との接着面積が増大し、接着強度及び気密性が向上する。
【0036】
図5は、本発明に係る第4の放電管50を示すものであり、該第4の放電管50は、第3の放電管40と同様に、蓋部材52の形状に特徴を有するものである。
すなわち、第4の放電管50の蓋部材52は、気密外囲器16の中心に向けて大きく突き出た円柱状の放電電極部54と、ケース部材12の端面12aのみならず「内壁面12b」にも接合する接合部56を備え、また、上記放電電極部54の表面に、上記被膜30が被着される穴部58が形成されている。
【0037】
図5に示すように、上記蓋部材52の接合部56は、ガラス転移点温度が250℃以上で熱分解温度が300℃以上のエポキシ系接着剤32、又は、ガラス転移点温度が400℃以上で熱分解温度が500℃以上のポリイミド系接着剤32を介して、ケース部材12の端面12a及び内壁面12bと接合されている。
【0038】
而して、上記第第4の放電管50にあっては、蓋部材52の接合部56が、ケース部材12の端面12aのみならず内壁面12bとも接着剤32を介して接合されているので、上記第1の放電管10及び第2の放電管36に比べ、蓋部材52とケース部材12との接着面積が増大し、接着強度及び気密性が向上する。
【0039】
尚、図示は省略するが、蓋部材の接合部を、ケース部材12の端面12a、内壁面12b及び外壁面12cの全てと接着剤32を介して接合されるよう構成しても良く、この場合も蓋部材とケース部材12との接着面積が増大し、接着強度及び気密性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】本発明に係る第1の放電管を示す概略断面図である。
【
図3】本発明に係る第2の放電管を示す概略断面図である。
【
図4】本発明に係る第3の放電管を示す概略断面図である。
【
図5】本発明に係る第4の放電管を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0041】
10 第1の放電管
12 ケース部材
12a ケース部材の端面
12b ケース部材の内壁面
12c ケース部材の外壁面
14 蓋部材
16 気密外囲器
18 放電電極部
20 接合部
22 放電間隙
26 微小放電間隙
28 トリガ放電膜
29 穴部
30 被膜
32 接着剤
36 第2の放電管
38 穴部
40 第3の放電管
42 蓋部材
44 放電電極部
46 接合部
48 穴部
50 第4の放電管
52 蓋部材
54 放電電極部
56 接合部
58 穴部