(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の認証手段で前記利用者について認証ができなかったときには、前記ドア開閉制御手段により、前記ドアを閉状態にロックして、前記利用者による自車の利用を不可能にする
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の自動車。
前記第1の認証手段は、顔画像などの生体情報、氏名、住所、生年月日、ID、パスワード、電話番号又はメールアドレスのいずれか、あるいは複数個の組み合わせの一致/不一致の判定を行うことで認証の可否の判断をする
ことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の自動車。
前記第2の認証手段は、顔画像などの生体情報、氏名、住所、生年月日、ID、パスワード、電話番号又はメールアドレスのいずれか、あるいは複数個の組み合わせを用いて認証の可否の判断をする
ことを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかに記載の自動車。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[第1の実施形態]
第1の実施形態は、自動車が、いわゆる自家用自動車であり、かつ、自動運転車の構成とされた場合の例である。そして、この第1の実施形態では、この発明の自動車の実施形態である自動運転車1について、
図1に示すような利用形態を可能にするものである。
【0014】
先ず、この利用形態を説明すると共に、実施形態の自動運転車1の動作を説明する。
図1の例では、利用者2Aが自動運転車1を利用(例えば運転)して自宅4に戻って、自動運転車1から降車して、自宅4に入る。そして、利用者2Aは、降車の際に自動運転車1に自宅4から若干離れた駐車場5に移動するように指示する。
【0015】
自動運転車1は、この実施形態では、無人運転による自律走行により移動する機能を備えている。自動運転車1は、降車した利用者2Aの指示に従って、無人運転による自律走行により、駐車場5に移動する。
【0016】
また、自動運転車1は、この実施形態では、携帯電話網及びインターネットを含む通信ネットワーク3を通じた通信を行う機能を備えている。そして、自動運転車1は、この通信ネットワーク3の携帯電話網を通じた呼び出しがあると、その呼び出しをしてきた呼出者2Bについて認証を行い、その認証ができたときには、その呼出者2Bにより指示された場所に移動する。
【0017】
なお、この実施形態においては、自動運転車1に対して呼び出しを行う携帯電話端末には、自動運転車1の呼出用のアプリケーションプログラムを、携帯電話端末の使用者が予めインストールするようにする。そして、使用者が、携帯電話端末の呼出用のアプリケーションプログラムを用いて、自動運転車1の呼び出し操作をすると、自動的に自動運転車1の無線通信部に宛てた電話発信を行い、その際に、自動運転車1を呼び出して待ち受ける場所の位置情報として、この実施形態では、携帯電話端末の現在位置の情報を付加した呼出要求を自動運転車1に送る。自動運転車1は、呼出者の認証ができたときには、この位置情報により示された場所に向けて移動する。
【0018】
この場合に、自動運転車1が行う呼出者についての認証としては、この実施形態では、記憶部に記憶した認証用情報を用いて呼出者についての認証を行う第1の呼出者認証と、予め設定された認証許可者に呼出者の呼出許可確認を行わせ、その結果を自動運転車1が受信して認証とする第2の呼出者認証とを行う。
【0019】
第1の呼出者認証のために記憶部に記憶する呼出者の認証用情報(認証参照用情報)の例としては、呼出者の顔画像などの生体情報、氏名、住所、生年月日、ID、パスワード、電話番号又はメールアドレスなどを、単独で、あるいは複数個を組み合わせて用いることができる。呼出者は、携帯電話端末から携帯電話網を通じて、この認証用情報を自動運転車1に送る。呼出者の顔画像は、携帯電話端末が備えるカメラで撮影したものを利用することができ、呼出者のその他の生体情報は、予め携帯電話端末のメモリに記憶したものを利用することができる。また、その他の情報は、呼出者が入力したものを利用することができる。また、顔画像を含めた生体情報やその他の情報は、クラウド上に記憶したものを、通信ネットワーク3を介して利用することもできる。
【0020】
以下に説明する例では、この第1の呼出者認証のために記憶部に記憶する呼出者の認証用情報の例としては、降車時に、降車者が、自動運転車1に登録して記憶した、自分の携帯電話端末の電話番号とする。
【0021】
また、第2の呼出者認証のための認証許可者としては、自動運転車1の所有者又は自動運転車1から最後に降車した者とすることができる。そのため、自動運転車1には、自動運転車1の所有者又は自動運転車1から最後に降車した者(直近の降車者)の電話番号が記憶される。
【0022】
この実施形態では、第2の呼出者認証のための認証許可者は、最後に降車し、携帯電話端末の電話番号を登録した者としている。そして、第2の呼出者認証においては、自動運転車1は、呼出者に認証用情報の提供を要請し、その要請に応じて呼出者が提供した認証用情報を認証許可者に送る。認証許可者は、その呼出者の認証用情報に基づいて当該呼出者による自動運転車1の呼出を許可してよいかどうか判断し、許可してよければ、呼出許可確認結果を自動運転車1に送る。
【0023】
ここで、呼出者が提供する認証用情報の例としては、第1の呼出者認証において記憶する認証用情報と同様であり、呼出者の顔画像などの生体情報、氏名、住所、生年月日、ID、パスワード、電話番号又はメールアドレスなどを、単独で、あるいは複数個を組み合わせて用いることができる。以下に説明する例では、呼出者の氏名と顔画像を用いるものとする。
【0024】
自動運転車1は、認証許可者から呼出許可確認結果を受けたかどうかにより、第2の呼出者認証ができたか否かを判定し、第2の呼出者認証ができたときには、呼出者の要請に応じて、指定された待ち受け場所(待ち合わせ場所)に自律走行により移動する。
【0025】
そして、この実施形態の自動運転車1は、待ち受け場所において、新たに利用を開始しようとする利用者については、その乗車時に、利用者についての認証を行い、その認証ができた利用者のみが自動運転車1の利用、すなわち、自動運転車1を走行させることを可能とするようにする。なお、待ち受け場所は、
図1の例のように、一旦移動した後、呼出者による呼出に応じて移動してきた場合のみではなく、前回の降車時に移動せずにその位置に停車又は駐車していた場合を含むものである。
【0026】
この場合に、乗車時の利用者についての認証としては、この実施形態では、記憶部に記憶された認証用情報を用いて利用者についての認証を行う第1の利用者認証と、予め設定された認証許可者に利用者の利用許可確認を行わせ、その結果を自動運転車1が受信して認証とする第2の利用者認証とを行う。
【0027】
第1の利用者認証のために記憶部に記憶する利用者の認証用情報(認証参照用情報)の例としては、利用者の顔画像、指紋、声、静脈、虹彩などの利用者の生体情報が用いられる。以下に説明する例では、第1の利用者認証のために記憶部には、直近の降車者の顔画像が撮影されて記憶される。すなわち、
図1の例においては、自動運転車1は、利用者の降車時に、その顔画像を撮影して、その顔画像を認証用情報として、第1の利用者認証のために記憶部に記憶するようにする。
【0028】
また、第2の利用者認証のための認証許可者は、第2の呼出者認証の認証許可者と同様であり、自動運転車1の所有者又は自動運転車1から最後に降車した者とすることができる。
【0029】
この実施形態では、第2の利用者認証のための認証許可者は、最後に降車し、携帯電話端末の電話番号を登録した者としている。そして、第2の利用者認証においては、自動運転車1は、利用者に認証用情報の提供を要請し、その要請に応じて利用者が提供した認証用情報を認証許可者に送る。認証許可者は、その利用者の認証用情報に基づいて当該利用者による自動運転車1の利用を許可してよいかどうか判断し、許可してよければ、利用許可確認結果を自動運転車1に送る。
【0030】
ここで、利用者が提供する認証用情報の例としては、第1の呼出者認証において記憶する認証用情報と同様であり、利用者の顔画像などの生体情報、氏名、住所、生年月日、ID、パスワード、電話番号又はメールアドレスなどを、単独で、あるいは複数個を組み合わせて用いることができる。以下に説明する例では、利用者の氏名と生年月日を用いるものとする。
【0031】
自動運転車1は、認証許可者から利用許可確認結果を受けたかどうかにより、第2の利用者認証ができたか否かを判定し、第2の利用者認証ができたときには、利用者による自車の利用を許可する。つまり、利用者は、自動運転車1を走行させることができる。
【0032】
例えば、
図1の例において、降車した利用者2Aが、自宅4において、自分の携帯電話端末で自動運転車1に呼出の電話をかけると、この実施形態では、第1の呼出者認証において、降車時に記憶した携帯電話端末の電話番号と一致するので、自動運転車1は、第1の呼出者認証ができたと判断して、呼び出しに応じて、駐車場5から利用者2Aの自宅4に向かう。
【0033】
そして、自動運転車1が自宅4に到着したら、利用者2Aは、自動運転車1に乗車する。自動運転車1は、乗車してきた利用者2Aの顔画像を撮影して取得する。そして、自動運転車1は、降車時に記憶された利用者2Aの顔画像と、撮影して取得したその利用者2Aの顔画像とを比較する。すると、この場合には、両顔画像は一致していることから、第1の利用者認証により、認証ができたと判断して、利用者2Aによる当該自動運転車1の利用を許可する。
【0034】
一方、
図1の例において、降車した利用者2Aではない他の利用者2B(例えば利用者2Aの家族)が、自宅4において、自分の携帯電話端末で自動運転車1に呼出の電話をかけると、この実施形態では、第1の呼出者認証においては、降車時に記憶した携帯電話端末の電話番号と不一致となる。この時には、自動運転車1は、認証許可者である降車した利用者2Aに電話をかける。そして、呼出者である利用者2Bから、認証用情報として、この例では、当該呼出者2Bの氏名と顔画像からなる認証用情報を取得して、それを認証許可者である利用者2Aに送る。認証許可者である利用者2Aは、送られてきた認証用情報を精査して、自動運転車1の呼び出しを許可してよいか否か判別し、許可してよければ、呼出許可確認通知、不許可であれば、呼出不許可通知、を自動運転車1に送る。
【0035】
ここで、呼出許可確認通知が認証許可者である利用者2Aの携帯電話端末から送られるものとすると、自動運転車1は、認証許可者からの呼出許可確認通知により第2の呼出者認証ができたと判断し、呼出者の呼び出しに応じて、利用者2Bの指定する待ち受け場所、
図1の例では、利用者2Bは利用者2Aの家族であるので、利用者2Aの自宅4に向かう。
【0036】
そして、自動運転車1が自宅4に到着したら、利用者2Bは、自動運転車1に乗車する。すると、自動運転車1は、降車時に記憶された利用者2Aの顔画像と、乗車してきた利用者2Bの撮影された顔画像とを比較して、不一致であることから、第1の利用者認証により、認証はできなかったと判断する。すると、この時には、自動運転車1は、認証許可者である降車した利用者2Aに電話をかける。そして、自動運転車1は、利用者2Bから、所定の認証用情報、この例では、利用者2Bの氏名と顔画像からなる認証用情報を取得して、それを認証許可者である利用者2Aに送る。認証許可者である利用者2Aは、送られてきた認証用情報を精査して、自動運転車1の利用を許可してよいか否か判別し、許可してよければ利用許可確認通知、不許可であれば利用不許可通知を、自動運転車1に送る。この例では、利用許可確認通知が自動運転車1に送られるものとする。
【0037】
自動運転車1は、認証許可者からの呼出許可確認通知により第2の利用者認証ができたと判断し、利用者2Bによる当該自動運転車1の利用を許可する。
【0038】
[自動運転車1のハードウエア構成例]
以上の処理を実現する自動運転車1のハードウエア構成例について、以下に説明する。
【0039】
図2は、第1の実施形態の自動運転車1の電子制御回路部10のハードウエア構成例を示すブロック図である。なお、この実施形態の自動運転車1は、電気自動車の場合の例である。ただし、バッテリーは、
図2では図示を省略した。
【0040】
また、この実施形態の自動運転車1は、自動運転モードと、手動運転モードとを備えている。手動運転モードは、自動運転車ではない通常の自動車と同様に、運転者のアクセルペダル操作やブレーキペダル操作、シフトレバー操作及びステアリング操作(ハンドル操作)に応じた走行ができるモードである。また、自動運転モードは、運転者がアクセルペダル操作やブレーキペダル操作、シフトレバー操作及びステアリング操作をしなくても、自動運転車1自身が自動的(自律的)に障害物を回避しながら進路変更をする走行モードである。
【0041】
自動運転車1の運転者は、例えば後述するタッチパネル112を通じた所定の操作により、手動運転モードで走行中の自動運転車1を自動運転モードに切り替えることができると共に、自動運転モードで走行中に、運転者がアクセルペダル操作やブレーキペダル操作、シフトレバー操作又はステアリング操作をすると、自動的に手動運転モードに戻るように構成されている。
【0042】
図2に示すように、電子制御回路部10は、コンピュータを搭載して構成されている制御部101に対して、システムバス100を通じて、無線通信部102、モータ駆動制御部103、ステアリング駆動制御部104、手動/自動運転モード切替制御部105、レーダー106、カメラ群107、センサ群108、周囲移動体把握部109、現在位置検出部110、表示部111、タッチパネル112、カーナビゲーション(以下、カーナビと略称する)機能部113、利用者認証部114、利用者認証用情報記憶部115、呼出者認証部116、呼出者認証用情報記憶部117、利用者及び呼出者許可認証部118、認証許可者接続情報記憶部119、音声出力部120、のそれぞれが接続されている。
【0043】
モータ駆動制御部103には、モータ駆動部121が接続されている。ステアリング駆動制御部104には、ステアリング駆動部122が接続されている。手動/自動運転モード切替制御部105には、手動運転操作検知部123が接続されている。また、カーナビ機能部113には、カーナビ用データベース124が接続されている。さらに、音声出力部120には、スピーカ125が接続されている。
【0044】
無線通信部102は、この実施形態では、携帯電話網を通じて電話通信や電子メール通信などの通信を行う機能を備える。制御部101は、この無線通信部102を通じて、呼出者からの呼出要求を受けたときの処理を行う機能と、許可認証者との通信路の生成を行って、第2の呼出者認証や、第2の利用者認証を行うための処理機能を、ソフトウエア処理機能として備えている。
【0045】
モータ駆動制御部103は、制御部101の制御の下に、この実施形態の電気自動車で構成される自動運転車1のモータ駆動部121への駆動信号の供給を制御して、自動運転車1の走行開始、走行速度制御(ブレーキ制御及びアクセル制御を含む)、走行停止などを制御するようにする。
【0046】
ステアリング駆動制御部104は、制御部101の制御の下に、この実施形態の自動運転車1のステアリング駆動部122への駆動制御信号の供給を制御して、自動運転車1の進路変更の制御をするようにする。
【0047】
手動/自動運転モード切替制御部105は、タッチパネル112を通じた選択操作入力に応じて、自動運転車1の運転モードを、手動運転モードと、自動運転モードとのいずれかに切り替える制御を行う。手動運転操作検知部123は、運転者によるアクセルペダル操作やブレーキペダル操作、シフトレバー操作さらにはステアリング操作の操作情報を受けて、その手動運転操作情報を手動/自動運転モード切替制御部105に供給する。
【0048】
手動/自動運転モード切替制御部105は、自動運転車1が手動運転モードのときには、この手動運転操作検知部123からの手動運転操作情報を、モータ駆動制御部103、ステアリング駆動制御部104に供給して、モータ駆動部121、ステアリング駆動部122を、運転者のペダル操作やシフトレバー操作、ステアリング操作(ハンドル操作)に応じて制御する。
【0049】
また、手動/自動運転モード切替制御部105は、自動運転車1が自動運転モードのときには、後述するようにして、レーダー106、カメラ群107、センサ群108、周囲移動体把握部109の出力に基づいて制御部101で生成される自動運転操作情報を、モータ駆動制御部103、ステアリング駆動制御部104に供給して、モータ駆動部121、ステアリング駆動部122を、自動運転操作情報により駆動制御する。なお、自動運転モードにおいては、カーナビ機能部113において、運転者などにより設定された行先(目的地)に対する現在位置からの経路が探索され、その探索された経路に沿って走行するように制御される。
【0050】
レーダー106は、自動運転車1の車両の周囲に存在する人や物との距離を測るためのもので、レーザー・レーダーやミリ波レーダーなどからなる。レーザー・レーダーは、例えば天井やバンパー付近に埋め込まれ、ミリ波レーダーは、例えば車両の前部及び後部に設けられている。レーザー・レーダーとミリ波レーダーの両方を備えてもよいし、一方のみであってもよい。また、マイクロ波レーダーなど、その他のレーダーを用いてもよい。さらに、レーダーと同様の目的でソナー(図示せず)を用いることができる。
【0051】
カメラ群107は、自動運転車1の車内を撮影する1〜複数個のカメラと、自動運転車1の前方、側方、後方など、車外の周囲を撮影する1〜複数個のカメラとを含む。車内を撮影するカメラは、例えば運転席と助手席の間に設置されたバックミラー(後写鏡、ルームミラー)やフロントウインドウの上部などに取り付けられ、運転席に座った人物(運転者)の所作を撮影するカメラの他、助手席や、後部座席に座った乗車者(同乗者)の所作を撮影するためのカメラを含む。また、自動運転車1の周囲を撮影するカメラは、例えばバックミラーの左側方及び右側方に取り付けられ、自動運転車1の左前方及び右前方を主として撮影する2台のカメラ(ステレオカメラ)や、自動運転車1の例えばドアミラー又はフェンダーミラーに取り付けられて左右の側方を撮影するカメラ、自動運転車1の後方を撮影するカメラなどを含む。
【0052】
センサ群108は、ドアの開閉や窓の開閉を検知する開閉検知センサ、シートベルト着用を検出するためのセンサ、運転席や助手席などの座席に乗車者が着座したことを検知する着座センサなどの他、車外の近傍の人物を検知する人感センサ(赤外線センサ)や自動運転のための補助となる情報を取得するための各種センサからなる。自動運転のための補助となる情報を取得するための各種センサとしては、例えば車両やタイヤの振動を検出するための振動センサ、タイヤの回転数を検出する回転数センサ、方位を検出するための地磁気センサ、加速度を検出するための加速度センサ、角度や角速度を検出するためのジャイロセンサ(ジャイロスコープ)、などが含まれる。また、この実施形態では、センサ群108には、右ウインカーや左ウインカー(方向指示器)やハザードランプ(非常点滅灯)の点灯を検知するセンサも含まれている。
【0053】
周囲移動体把握部109は、レーダー106やセンサ群108、また、カメラ群107の撮像画像を用いて、自車の周囲の移動体(人物を含む)を把握するようにする。周囲移動体把握部109は、例えばベイズ理論に基づいた処理を行うことで、周囲の障害物や移動体を把握するようにする。
【0054】
現在位置検出部110は、GPS衛星からの電波を受信して、自車の現在位置を検出する。現在位置検出部110は、GPS衛星からの電波により検出された位置の精度は悪いので、GPS衛星からの電波の受信で検出された現在位置の情報のみではなく、センサ群108に含まれる1〜複数個のセンサ及びレーダー106、カメラ群107の撮像画像(ナビ機能を併用)などをも用いると共に、例えばベイズ理論に基づいた処理を行うことで、より精度の高い現在位置を検出確認するようにしている。
【0055】
自動運転車1は、自動運転モードにおいては、現在位置検出部110や周囲移動体把握部109において、レーダー106、カメラ群107、センサ群108、GPS衛星からの電波の受信で取得した位置情報などの各種情報、つまり、人間の目や耳から得る情報に対応する情報をベイズ理論により処理し、これに基づき、制御部101は、自車の進路変更や障害物の回避など知的な情報処理(人工知能)及び制御(人工知能)を行って、自動運転操作情報を生成する。
【0056】
表示部111は、例えばLCD(Liquid Crystal Display;液晶ディスプレイ)からなる。タッチパネル112は、LCDからなる表示部111の表示画面の上に、指によるタッチ入力が可能なタッチセンサが重畳されて配設されたものである。表示部111の表示画面には、制御部101の制御に基づき、ソフトウエアボタン(キーボードの文字入力用ボタンを含む)を含む表示画像が表示される。そして、タッチパネル112は、表示画面に表示されているソフトウエアボタン上の指によるタッチを検出すると、そのタッチを制御部101に伝達する。これを受けた制御部101は、ソフトウエアボタンに対応する制御処理を実行するように構成されている。
【0057】
カーナビ機能部113に接続されているカーナビ用データベース124には、国内の地図及び経路案内データが、予め格納されている。カーナビ機能部113は、カーナビ用データベース124に記憶されている地図や、経路案内データに基づいて、自動運転車1が指定された目的地まで移動するのを補助するように案内するための機能部である。この実施形態では、カーナビ機能部113は、手動運転モードと、自動運転モードとで、若干異なる処理をするように構成されている。
【0058】
すなわち、手動運転モードにおいては、カーナビ機能部113は、表示部111の表示画面上において、目的地までの経路(ルート)を明示的に表示する地図上に、現在位置検出部110で検出確認されている自車位置を重畳表示した画像を表示すると共に、自車の移動に伴い、地図上の自車位置(現在位置)を移動させ、かつ、ルート上の交差点や分岐点など、経路案内が必要な箇所で音声案内をするようにする。これは、通常のカーナビ機能と同様である。
【0059】
一方、自動運転モードにおいては、カーナビ機能部113は、自車の現在位置が目的地までのルート上から離れているときには、その離間方向及び距離の情報を制御部101に通知すると共に、自車の現在位置が目的地までのルート上に在るときには、自車の移動に伴い、ルート上の交差点や分岐点などの手前で、ルートに沿った進路方向の変更指示情報を制御部101に通知するようにする。制御部101は、このカーナビ機能部113からの通知された情報と、現在位置検出部110の現在位置確認結果及び周囲移動体把握部109の把握結果とに基づいて、自車がルート上を指示された通りの進路をとって移動するように、モータ駆動制御部103を通じてモータ駆動部121を制御すると共に、ステアリング駆動制御部104を通じてステアリング駆動部122を制御するための自動運転操作情報を生成する。したがって、自動運転モードにおけるカーナビ機能部113及び制御部101による目的地までの経路案内により、乗車者が無人の状態においても、自動運転車1は、目的地まで移動することができる。
【0060】
利用者認証部114は、利用者認証用情報記憶部115に記憶された利用者の認証用情報(認証参照用情報)と、新たな利用者から取得した認証用情報とを用いて、上述した第1の利用者認証を行う。この実施形態では、前述したように、直近の降車者の顔画像と、新たな利用者の顔画像との一致/不一致により第1の利用者認証を行うので、この利用者認証部114は、画像認識手段の構成とされている。
【0061】
利用者認証用情報記憶部115には、この実施形態では、カメラ群107の内の所定のカメラで撮影された降車者の顔画像が記憶される。この実施形態では、この利用者認証用情報記憶部115には、カメラで撮影された直近の降車者の顔画像が、記憶されていた以前の降車者の顔画像に重ね書きされて更新記憶される。なお、重ね書きをせず、順次記憶し、降車者の顔画像の履歴を残すようにしてもよい。
【0062】
なお、利用者の音声により第1の利用者認証を行う場合には、自動運転車1には、降車者の音声を収音するマイクロフォン(図示せず)が設けられると共に、利用者認証用情報記憶部115には、降車者の音声が記憶され、利用者認証部114は、話者音声認識機能を備えるものとして構成されて、記憶されていた音声と、マイクロフォン(図示せず)により収音された新たな利用者の音声との一致/不一致を判定することで、第1の利用者認証が行われる。
【0063】
また、利用者の指紋により第1の利用者認証を行う場合には、自動運転車1には、指紋読み取り装置が設けられると共に、利用者認証用情報記憶部115には、降車者の指紋が記憶され、利用者認証部114は、指紋認識機能を備えるものとして構成されて、記憶されていた指紋と、指紋読み取り装置により取得された新たな利用者の指紋との一致/不一致を判定することで、第1の利用者認証が行われる。静脈、虹彩、その他の生体情報を用いる場合も、同様の構成の変更により可能となる。
【0064】
呼出者認証部116は、呼出者認証用情報記憶部117に記憶された呼出者の認証用情報(認証参照用情報)と、無線通信部102で呼出を受けた時に取得した呼出者から取得した認証用情報とを用いて、上述した第1の呼出者認証を行う。この実施形態では、前述したように、直近の降車者の携帯電話端末の電話番号と、呼出者の携帯電話端末の電話番号との一致/不一致により第1の呼出者認証を行うので、この呼出者認証部116は、無線通信部102への呼出者からの着信があった時に、その電話番号を取得して、呼出者認証用情報記憶部117に記憶された電話番号との一致/不一致を判定して、第1の呼出者認証を行う構成とされている。
【0065】
呼出者認証用情報記憶部117には、この実施形態では、タッチパネル112を通じて入力された直近の降車者の携帯電話端末の電話番号が記憶される。この呼出者認証用情報記憶部117に記憶される電話番号も、以前に記憶されていた電話番号に重ね書きされることで、直近の降車者のみの電話番号とされる。なお、重ね書きをせず、順次記憶し、降車者の電話番号の履歴を残すようにしてもよい。
【0066】
なお、呼出者認証部116と呼出者認証用情報記憶部117の構成に関しても、利用者認証部114及び利用者認証用情報記憶部115の構成と同様に、認証用情報として使用する情報の違いに応じて構成が変更されるものである。
【0067】
利用者及び呼出者許可認証部118は、上述した第2の利用者認証の機能と、第2の呼出者認証機能とを実行する。すなわち、利用者及び呼出者許可認証部118は、利用者又は呼出者から認証用情報を取得する機能と、認証許可者と通信路を生成し、利用者又は呼出者から取得した認証用情報を、生成した通信路を通じて認証許可者に送り、当該認証許可者からの許可、不許可に関する情報を取得する機能とを備える。
【0068】
認証許可者接続情報記憶部119には、認証許可者接続情報として、この実施形態では、前述したように、降車者の携帯電話端末の電話番号が記憶される。
【0069】
そして、この実施形態の自動運転車1においては、利用者認証部114、利用者認証用情報記憶部115、呼出者認証部116、呼出者認証用情報記憶部117、利用者及び呼出者許可認証部118及び認証許可者接続情報記憶部119を用いた上述した認証モードをオンにするか、オフにするかの設定が、タッチパネル112を通じて行えるように構成されている。ただし、当該認証モードのオン、オフ設定は、例えば予め自動運転車1の所有者等により設定されたIDとパスワードにより認証が取れたときにのみ、可能とされている。そして、オン、オフの設定は、第1の呼出者認証、第2の呼出者認証、第1の利用者認証、第2の利用者認証、のそれぞれについて可能とすることもできるが、以下に説明する実施形態では、認証モードのオン、オフは、第1の呼出者認証、第2の呼出者認証、第1の利用者認証、第2の利用者認証、の全てについてのオン、オフの設定とされている。
【0070】
音声出力部120は、図示は省略するが、外部に放音する音声メッセージデータを記憶するメモリを内蔵すると共に、そのメモリから読み出された音声メッセージデータを、アナログ音声信号に変換する音声合成器やD−A変換器を内蔵している。そして、音声出力部120は、制御部101の制御により選択された音声メッセージを、スピーカ125に供給して、音声として外部に放音するようにする。なお、記憶する音声メッセージとしては、後述するように、例えば「認証モードをオンにしますか?」などの問い合わせメッセージや、「認証しました。」、「認証できませんでした。」などの通知メッセージなどが用意されている。
【0071】
以上のように、自動運転車1の電子制御回路部10は構成されるが、
図2に示した各処理ブロックのうち、モータ駆動制御部103、ステアリング駆動制御部104、手動/自動運転モード切替制御部105、周囲移動体把握部109、現在位置検出部110、カーナビ機能部113、利用者認証部114、呼出者認証部116、利用者及び呼出者許可認証部118、音声出力部120、の各処理機能は、制御部101がプログラムを実行することで行うソフトウエア処理として実現することができる。
【0072】
[第1の実施形態の自動運転車1での処理動作の例]
次に、第1の実施形態の自動運転車1において、上述した認証モードに関係する処理動作について、以下に説明する。以下の説明においては、制御部101が、
図2に示した各ブロックのうち、モータ駆動制御部103、ステアリング駆動制御部104、手動/自動運転モード切替制御部105、周囲移動体把握部109、現在位置検出部110、カーナビ機能部113、利用者認証部114、呼出者認証部116、利用者及び呼出者許可認証部118、音声出力部120、の各処理機能をソフトウエア処理として実現した場合として説明する。
【0073】
<降車時処理>
図3は、自動運転車1から利用者が降車する際に、制御部101が実行する処理の流れの例を説明するためのフローチャートを示す図である。
【0074】
制御部101は、利用者(例えば運転者。以下、利用者が運転者の場合として説明する)により、電源系がオフとされて、自車のモータ駆動部121の駆動が停止させられたか否か判別する(ステップS101)。このステップS101で、モータ駆動部121の駆動は停止させられてはいないと判別したときには、制御部101は、走行時の必要な制御を継続し(ステップS102)、その後、ステップS101に戻る。
【0075】
ステップS101で、モータ駆動部121の駆動は停止させられたと判別したときには、一般的には、運転者は降車すると予想されることから、制御部101は、認証モードがオンとなっているか否か判別する(ステップS103)。
【0076】
このステップS103で、認証モードがオンとなっていると判別したときには、制御部101は、カメラ群107の内の運転者を撮影するカメラで運転者の顔画像を撮影し(ステップS106)、その撮影した運転者の顔画像情報を、利用者認証用情報記憶部115に記憶する(ステップS107)。
【0077】
次に、制御部101は、運転者に呼出者認証用情報の入力を促すメッセージを、スピーカ125を通じて放音すると共に、表示部111の表示画面に表示して、呼出者認証用情報を要求する(ステップS108)。この例では、例えば「呼び出し用の電話番号を入力して下さい。」とのメッセージを、スピーカ125を通じて放音すると共に、表示部111の表示画面に表示する。
【0078】
次に、制御部101は、呼出者認証用情報を受け付けたか否か判別して呼出者認証用情報を受け付けるのを待ち(ステップS109)、受け付けたら、呼出者認証用情報を呼出者認証用情報記憶部117に記憶する(ステップS110)。そして、この降車時処理ルーチンを終了する。
【0079】
また、ステップS103で、認証モードがオンとなってはいないと判別したときには、制御部101は、運転者に認証モードをオンにするかを問い合わせるメッセージを、スピーカ125を通じて放音すると共に、表示部111の表示画面に、認証モードをオンに設定変更するためのアイコンボタンなどの表示を行う(ステップS104)。
【0080】
このステップS104の次には、制御部101は、運転者により認証モードがオンとされたか否か判別し(ステップS105)、認証モードがオンにされなかったと判別(例えば認証モードがオンにされずに、運転者が降車)したときには、この降車時処理ルーチンを終了する。そして、ステップS105で、認証モードがオンにされたと判別したときには、処理をステップS106に進め、このステップS106以降の処理を繰り返す。
【0081】
<呼出対応処理>
次に、
図4及びその続きである
図5は、自動運転車1に呼び出しの着信があった場合における制御部101の処理動作の流れの例を説明するためのフローチャートを示す図である。この実施形態では、前述したように、自動運転車1を呼び出すための呼出要求は、予め、専用のアプリケーションプログラムをインストールしている携帯電話端末から、当該アプリケーションプログラムを起動させて行うようにする。この場合に、携帯電話端末からの自動運転車1宛ての送信信号には、呼出要求であることと、待ち受け場所として、携帯電話端末で測位された現在位置の情報が含まれる。
【0082】
制御部101は、無線通信部102からの着信通知を監視して、着信を検出したか否か判別し(ステップS111)、着信を検出してはいないと判別したときには、必要なその他の処理を行い(ステップS112)、その後、処理をステップS111に戻す。
【0083】
ステップS111で、着信を検出したと判別したときには、自動応答し(ステップS113)、制御部101は、当該着信は、呼出要求であるか否か判別し(ステップS114)、呼出要求でないと判別したときには、処理を、その着信についての対応処理ルーチンに進める(ステップS115)。
【0084】
ステップS114で、着信は、呼出要求であると判別したときには、制御部101は、第1の呼出者認証をする。すなわち、制御部101は、この例では、呼出者認証用情報記憶部117に記憶された降車者の携帯電話端末の電話番号と、着信した相手の電話番号とを比較参照し(ステップS116)、一致しているかどうかを判別して(ステップS117)、第1の呼出者認証を行う。
【0085】
そして、ステップS117で、電話番号の一致が確認できて、第1の呼出者認証ができたときには、制御部101は、呼出者から送られてきている待ち受け場所の位置情報を抽出して取得する(
図5のステップS131)。次に、制御部101は、カーナビ機能部113の機能により、カーナビ用データベース124のデータを用いて、待ち受け場所までの経路を探索し、当該待ち受け場所までの移動にかかる所要時間を予測計算する(ステップS132)。次に、制御部101は、予測計算した所要時間を、無線通信部102を通じて呼出者に送信する(ステップS133)。次に、制御部101は、呼出者との通信を切断すると共に、待ち受け場所までの移動制御ルーチンを起動して、この処理ルーチンを終了する(ステップS134)。
【0086】
また、ステップS117で、電話番号が不一致と判定されて、第1の呼出者認証ができなかったときには、制御部101は、次のようにして、第2の呼出者認証を行う。すなわち、制御部101は、許可認証用情報の取得要求を相手先(呼出者)に送り、相手先(呼出者)からその許可認証用情報を取得するようにする(ステップS118)。この例では、許可認証用情報は、相手先(呼出者)の顔画像と氏名であり、相手先(呼出者)の携帯電話端末は、前述した専用アプリケーションプログラムに従って、携帯電話端末のカメラで呼出者の顔画像を撮影し、その撮影した顔画像と、予め記憶されている呼出者の氏名を自動運転車1に送ってくるので、自動運転車1は、それを受信することになる。
【0087】
ステップS118の次には、無線通信部102における携帯電話端末用の別回線で、認証許可者接続情報記憶部119に記憶されている接続用情報を用いて、認証許可者との間で通信路を生成する。そして、その生成した通信路を通じて、ステップS118で取得した呼出者の許可認証用情報を認証許可者に送信して、当該認証許可者に認証を要請する(ステップS119)。
【0088】
このステップS119による認証許可者に対する認証要請に対しては、前述したように、認証許可者からは、呼出許可確認結果又は呼出不許可結果のいずれかが送られてくる。そこで、制御部101は、認証許可者から呼出許可確認結果を受けたかどうかにより第2の呼出者認証ができたか否か判別する(ステップS120)。このステップS120で、認証許可者から呼出許可確認結果を受け、第2の呼出者認証ができたと判別したときには、制御部101は、処理を
図5のステップS131に進めて、前述したステップS131以降の処理を行う。
【0089】
ステップS120で、認証許可者からは呼出許可確認結果を受けずに、呼出不許可結果を受けて、第2の呼出者認証ができなかったと判別したときには、制御部101は、認証ができなかったことにより、呼出を拒否する旨の音声メッセージを、例えば音声合成により生成して、無線通信部102を通じて呼出者に送って通知し、その後、呼出者との通信路を切断する(ステップS121)。これにより、制御部101は、この呼出対応処理ルーチンを終了する。
【0090】
<呼出移動制御>
次に、ステップS134で起動された呼出移動制御ルーチンの例を、
図6を参照しながら説明する。
【0091】
制御部101は、まず、ステップS131で取得して待ち受け場所の位置情報により示される場所を目的地とすると共に、出発地を現在位置として、カーナビ機能部113の機能により経路探索を実行し、その結果得られた探索結果の移動経路(ルート)に沿ったナビゲーション(案内)を開始する(ステップS141)。
【0092】
そして、制御部101は、移動中の現在位置を確認しながら、目的地に到着したか否か判別し(ステップS142)、目的地に到着していないと判別したときには、予測した待ち受け場所までの移動にかかる所要時間に対して、例えば10分以上の大幅な遅れが生じているか否か判別し(ステップS143)、大幅な遅れが生じていなければ、処理をステップS142に戻し、このステップS142以降の処理を繰り返す。ステップS143で、大幅な遅れを生じていると判別したときには、所要時間を再計算すると共に、呼出者との間に通信を再生成して、その計算結果を呼出者に通知する(ステップS144)。そして、制御部101は、処理をステップS142に戻し、このステップS142以降の処理を繰り返す。
【0093】
ステップS142で、目的地(待ち受け場所)に到着したと判別したときには、制御部101は、当該待ち受け場所に停車して、呼出乗車制御ルーチンを起動する(ステップS145)。そして、制御部101は、この呼出移動制御ルーチンを終了する。
【0094】
<呼出乗車制御>
次に、ステップS145で起動される呼出乗車制御ルーチンの例を、
図7及びその続きである
図8を参照しながら説明する。以下の例においては、利用者は自動運転車1の運転席に乗車して運転をする運転者の場合として説明する。
【0095】
制御部101は、利用者の乗車を検知するのを監視して、利用者の乗車を検知するのを待つ(ステップS151)。このステップS151で、利用者の乗車を検知したときには、制御部101は、乗車した利用者(運転者)の顔画像をカメラ群107のうちの運転者を撮影するカメラで撮影する(ステップS152)。
【0096】
次に、制御部101は、第1の利用者認証を行う。すなわち、この例においては、利用者認証用情報記憶部115に記憶されている降車者の顔画像と、運転席に乗り込んだ利用者の顔画像とを比較参照し(ステップS153)、両顔画像が一致しているか否か判別する(ステップS154)。
【0097】
ステップS154で顔画像が一致したと判別されて、第1の利用者認証ができたと判別したときには、制御部101は、当該運転席の利用者による利用(運転)を許可する状態にする(ステップS159)。そして、制御部101は、この呼出乗車制御ルーチンを終了する。
【0098】
ステップS154で、顔画像が不一致であって、第1の利用者認証ができなかったと判別したときには、制御部101は、次のようにして、第2の利用者認証を行う。すなわち、制御部101は、スピーカ125を通じて音声により、また、表示部111の表示画面にメッセージを表示して、許可認証用情報の取得要求を利用者に要請し、当該要請を受けた利用者からの許可認証用情報を取得するようにする(ステップS155)。この例では、許可認証用情報は、利用者の顔画像と氏名である。利用者の顔画像は、ステップS152で既に取得しているので、制御部101は、利用者に氏名の入力を要請し、この要請に対する利用者の氏名の入力を受け付ける。
【0099】
ステップS155の次には、制御部101は、無線通信部102を通じて、認証許可者接続情報記憶部119に記憶されている接続用情報を用いて、認証許可者との間で通信路を生成する(ステップS156)。そして、その生成した通信路を通じて、ステップS155で取得した利用者の許可認証用情報を認証許可者に送信して、当該認証許可者に確認認証を要請する(ステップS157)。
【0100】
このステップS157による認証許可者に対する認証要請に対しては、前述したように、認証許可者からは、利用許可確認結果又は利用不許可結果のいずれかが送られてくる。そこで、制御部101は、この例では、認証許可者から利用許可確認結果を受けたかどうかにより第2の利用者認証ができたか否か判別する(ステップS158)。このステップS158で、認証許可者から利用許可確認結果を受け、第2の利用者認証ができたと判別したときには、制御部101は、処理をステップS159に進めて、当該運転席の利用者による利用(運転)を許可する状態にする。
【0101】
ステップS158で、認証許可者からは利用許可確認結果を受けずに、利用不許可結果を受けて、第2の利用者認証ができなかったと判別したときには、制御部101は、認証ができなかったことにより、自車を走行不可状態にロックして、当該運転席の利用者による利用(運転)ができない不許可状態にする(
図8のステップS161)。
【0102】
そして、制御部101は、乗車した利用者に対して、認証ができなかった旨と、降車を促す音声メッセージを、例えば音声合成により生成して、スピーカ125を通じて放音して利用者に通知する(ステップS162)。
【0103】
次に、制御部101は、認証許可者にその後の事後処理指示を要請し、その事後処理指示を受信したら、認証許可者との間の通信路を切断する(ステップS163)。この事後処理指示としては、例えば「駐車場に戻れ」あるいは「自宅に戻れ」などの指示となる。
【0104】
次に、制御部101は、乗車した利用者の降車が確認できたか否か判別し(ステップS164)、このステップS164で、利用者の降車が確認できていないと判別したときには、制御部101は、当該ステップS164の処理を継続する。このステップS164で、利用者の降車が確認できたと判別したときには、ステップS163で受け付けた事後処理指示に応じた移動制御などの処理を行う(ステップS165)。以上で、制御部101は、この呼出対応処理ルーチンを終了する。
【0105】
[第1の実施形態の効果]
以上説明した第1の実施形態の自動運転車1においては、自動運転車1に記憶された利用者の認証用情報と、新たな利用者の認証用情報とを用いた第1の利用者認証ができなかった時にも、予め定められた認証許可者による利用者の確認認証に基づく第2の利用者認証を行うことで、利用者の自動運転車1の利用が可能になる。これにより、直近の降車者と異なる利用者による自動運転車の利用が可能になる。そして、第1の利用者認証ができたときには、その利用者については、第2の利用者認証を行うことなく、自動運転車1の利用を許可することができる。
【0106】
また、上述の第1の実施形態によれば、利用者は、自動運転車1を呼び出して利用することができる。その場合にも、上述の実施形態においては、第1の呼出者認証を行うと共に、第2の呼出者認証を行い、第1の呼出者認証ができたときには、その呼出者による呼出に応じるようにすると共に、第1の呼出者認証ができなかったときには、予め定められた認証許可者による呼出者の確認認証に基づく第2の呼出者認証を行うことで、呼出者の自動運転車1の呼出が可能になる。したがって、自動運転車1に予め登録していない呼出者であっても、自動運転車1の呼出が許可されるようになり、非常に便利である。
【0107】
[第1の実施形態の変形例]
なお、以上の例では、利用者認証用情報記憶部115には、降車した利用者の認証用情報のみを記憶するようにしたが、予め、利用することが想定できる利用者の全てを記憶させておいてもよい。その場合には、第1の利用者認証においては、降車した利用者のみではなく、その事前登録した利用者が利用する際に、第1の利用者認証で認証ができたときに、自動運転車1の利用をすることができるようになり、便利である。
【0108】
呼出者認証用情報記憶部117についても同様であり、降車した利用者の認証用情報のみではなく、予め、利用することが想定できる利用者の全てを記憶させておいてもよい。その場合には、第1の呼出者認証においては、降車した利用者のみではなく、その事前登録した呼出者の全てが呼出をした際に、第1の呼出者認証ができたときには呼出ができることになり、便利である。
【0109】
なお、以上の例では、第1の利用者認証ができなかったときには、制御部101は、第2の利用者認証を行うようにしているが、直近の降車者の設定等により、第2の利用者認証を行わず(ロックし)、自動運転車1を利用不可とできるようにしてもよい。直近の降車者が、降車後、再度必ず自動運転車1を利用する場合には、他の利用者に利用させることはないので、問い合わせる必要がないからである。スーパーやコンビニなどの店舗に、買い物をするために立ち寄る場合などはこれにあたる。
【0110】
上述の第1の実施形態では、呼出者認証用情報記憶部117に記憶される電話番号は、携帯電話端末の電話番号としたが、携帯電話端末の電話番号に限らず、固定電話の電話番号やIP電話の電話番号であってもよいことは言うまでもない。また、電話番号の代わりに、メールアドレスを用いることもできる。メールアドレスは、携帯電話端末のみならず、PCやタブレットでも利用できる。
【0111】
上述の第1の実施形態では、呼出要求には、待ち受け場所の情報として、現在位置の情報を送るようにしたが、待ち受け場所として現在位置以外の場所を指定するようにしてもよい。その場合の待ち受け場所の情報としては、住所を指定してもよいし、「××線の○○駅の北口の売店の前」、「銀座△△百貨店の正面入口」というような指定であってもよい。その場合には、自動運転車1は、カーナビ用データベース124の地図情報において待ち受け場所を探索して、その待ち受け場所を検知するようにするが、もしも検知することができない場合には、自動運転車1は、無線通信部102を通じてインターネットの地図サーバなどにアクセスして、探索し、その結果を取得することで検知することができる。その場合には、その待ち合わせ場所までの経路探索も地図サーバと連携して行うと共に、ナビゲーションも、当該地図サーバのサービスを利用して行うことが可能である。
【0112】
また、上述の第1の実施形態における自動運転車1は、自動運転モードと手動運転モードを備えていたが、自動運転モードのみの構成でもよい。この場合、手動運転モードは有さず、このため、手動/自動運転モード切替制御部105と、手動運転操作検知部123は不要となる。その代わりに、自動運転のための制御処理を行う自動運転制御部(図示せず)が設けられる。
【0113】
なお、第1の利用者認証及び第2の利用者認証に関する発明部分については、自動車は、自動運転車に限らず、運転者による運転を必須とし、自動運転モードを有しない従前の自動車にも適用することができる。また、上述の自動運転車は運転者がいなくても走行可能であるので、利用者は、運転者に限られるものではなく、助手席や後部座席に着席する乗車者であってもよい。
【0114】
上述の第1の実施形態では、利用者認証用情報記憶部115、呼出者認証用情報記憶部117、認証許可者接続情報記憶部119、カーナビ用データベース124は、自車内に設置されていたが、それらの記憶部の一部又は全部を、自車内ではなく、クラウド上に設置し、通信ネットワーク3を介して、利用することもできる。さらに、利用者認証部114、呼出者認証部116、利用者及び呼出者許可認証部118等の認証部の一部又は全部を、自車内ではなく、通信ネットワーク3を介して、クラウド上で処理することもできる。
【0115】
[第2の実施形態]
第2の実施形態は、自動車が、タクシー会社が管理するタクシーである場合であって、かつ、自動運転車の構成とされた場合のこの発明による配車管理システムの実施形態である。この発明の配車管理システムの実施形態である、この第2の実施形態では、自動運転車1Aについて、
図9に示すような利用形態を可能にするものである。なお、以下に説明する第2の実施形態において、第1の実施形態と同一部分には、同一参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0116】
この第2の実施形態においては、タクシーを構成する自動運転車1Aと、タクシーの利用を予定している利用予定者であるタクシー利用者2Cと、タクシー会社のタクシー配車管理サーバ7とが、携帯電話網及びインターネットを含む通信ネットワーク3を通じて接続される通信システムを構成する。
【0117】
タクシー利用者2Cは、予めタクシー会社6のタクシー配車管理サーバ7に対して、通信ネットワーク3を通じてアクセスして、会員登録するようにする。そして、利用者2Cは、この会員登録の際に、自分の顔画像や、音声、指紋、静脈、虹彩などの生体情報を、タクシーの利用者としての利用者認証用情報として予め登録する。この利用者認証用情報は、自動運転車1Aにおいて実行される利用者を認証するための第1の利用者認証に用いられる。この例では、この利用者認証用情報としては、登録された利用者の顔画像とされる。
【0118】
タクシー利用者2Cは、また、自分の氏名、住所、生年月日、ID、パスワード、携帯電話端末の電話番号やメールアドレス、さらには、クレジットカード情報、金融機関の口座情報などの決済情報も登録するようにする。さらに、会員になった利用者2Cの携帯電話端末には、第1の実施形態と同様に、タクシー配車管理サーバ7にアクセスして、タクシーの配車の要求を、自分の現在位置を伴って送るようにするアプリケーションプログラムが、タクシー会社から提供されてインストールされる。
【0119】
この実施形態では、利用者2Cは、自分の携帯電話端末の前記タクシーの配車の要求を行うアプリケーションプログラムを起動して、タクシー配車管理サーバ7に、タクシーの配車を要求する操作をする。
【0120】
タクシー配車管理サーバ7では、そのタクシーの配車の要求を受け付ける。そして、タクシー配車管理サーバ7は、タクシーの配車の要求に含まれる利用者2Cの現在位置の情報を取得して、その位置を待ち受け場所として認識する。
【0121】
そして、タクシー配車管理サーバ7は、タクシー利用者2Cの携帯電話端末に、確認のための認証用情報が何であるかを示す情報を送る。この確認のための認証用情報が何であるかを示す情報は、この第2の実施形態において第2の利用者認証に用いられる。
【0122】
そして、タクシー配車管理サーバ7は、利用者2Cの待ち受け場所に向かうタクシーを、管理しているタクシーの中から選択して配車する。そして、タクシー配車管理サーバ7は、配車するタクシーには、待ち受け場所の位置情報と、会員である利用者2Cの登録されている情報の内、顔画像の情報を、第1の利用者認証の認証用情報(第1の認証参照用情報)として、通信ネットワーク3を通じて送って記憶させ、利用者2Cの待ち受け場所に赴くように指示する。
【0123】
この指示を受けた自動運転車1Aは、指定された待ち受け場所に赴き、利用者について後述するように、第1の利用者認証を、記憶した認証用情報(第1の認証参照用情報)、この例では利用者の顔画像の情報を用いて行う。
【0124】
この第1の利用者認証ができたときには、自動運転車1Aは、配車要求時に定められた第2の利用者認証の認証用情報の取得要請を、乗車した利用者に対して行う。そして、自動運転車1Aは、その取得した認証用情報を、タクシー配車管理サーバ7に送って、利用者確認認証の依頼をする。
【0125】
すると、タクシー配車管理サーバ7では、自動運転車1Aから送られてきた認証用情報と、呼出要求してきた会員である利用者の登録情報から取得した配車要求時に定められた第2の利用者認証のための認証用情報(第2の認証参照用情報)との両者を比較することで利用者の確認認証を行う。そして、その確認認証ができたときには、利用許可確認結果を自動運転車1Aに送り、確認認証ができなかったときには、利用不可結果を自動運転車1Aに送る。
【0126】
自動運転車1Aは、タクシー配車管理サーバ7から利用許可確認結果を受信したときには、第2の利用者認証ができたと判断して、顧客のタクシー利用を許可し、タクシー配車管理サーバ7から利用不許可結果を受信したときには、第2の利用者認証ができなかったと判断して、顧客の利用を拒否する。
【0127】
以上のように、この第2の実施形態では、第1の利用者認証ができると共に、第2の利用者認証ができたときに、顧客のタクシー利用を許可するように制御する。つまり、第1の利用者認証ができても、即座に顧客のタクシー利用を許可するのではなく、第2の利用者認証ができたときに初めて顧客のタクシー利用を許可するようにするものである。
【0128】
なお、この第2の実施形態では、第1の実施形態における呼出者の認証処理は存在せず、利用者認証のみを行う。
【0129】
[自動運転車1Aのハードウエア構成例]
図10は、この発明の自動車の第2の実施形態としての自動運転車(自動運転タクシー)1Aの電子制御回路部10Aのハードウエア構成例を示すブロック図である。
図10において、
図2に示した第1の実施形態の自動運転車1の電子制御回路部10と同一部分には同一符号を付して、その説明は省略する。
【0130】
図10に示すように、この実施形態の自動運転車1Aの電子制御回路部10Aは、第1の実施形態の自動運転車1の利用者認証部114、利用者認証用情報記憶部115、呼出者認証部116、呼出者認証用情報記憶部117、利用者及び呼出者許可認証部118、認証許可者接続情報記憶部119は設けられず、その代わりに、顧客認証部131、顧客認証用情報記憶部132、乗車許可認証部133、認証許可者接続情報記憶部134が設けられる。
【0131】
また、この第2の実施形態における自動運転車1Aは、手動運転モードは有さず、このため、手動/自動運転モード切替制御部105と、手動運転操作検知部123は設けられず、その代わりに、第1の実施形態で説明した自動運転のための制御処理を行う自動運転制御部105Aが設けられる。その他は、第1の実施形態の自動運転車1と同様の構成とされる。
【0132】
顧客認証用情報記憶部132には、タクシー会社のタクシー配車管理サーバ7から送られてくるタクシーの呼出要求(配車要求)をした利用者の認証用情報(第1の利用者認証の認証用情報(認証参照用情報))が、顧客(乗客)認証用情報(認証参照用情報)として記憶される。この例では、タクシー配車管理サーバ7からは、タクシーの呼出要求をした会員の利用者の顔画像が自動運転車1Aに送られてくるので、その顔画像の情報が顧客認証用情報記憶部132に記憶される。
【0133】
顧客認証部131は、第1の利用者認証を行う。すなわち、この例では、当該自動運転車1Aに利用者が乗り込んだ時に、その利用者の顔画像を撮影して当該利用者の認証用情報を取得する。そして、顧客認証部131は、取得した顔画像と、顧客認証用情報記憶部132に記憶されている認証用情報としての顔画像とを比較参照して、その一致/不一致を判定することで、第1の利用者認証を行う。
【0134】
乗車許可認証部133は、顧客から第2の認証用情報を取得する機能と、認証許可者、この例ではタクシー配車管理サーバ7との間に通信路を生成し、顧客から取得した認証用情報を、生成した通信路を通じて認証許可者に送り、当該認証許可者からの許可、不許可に関する情報を取得する機能とを備える。
【0135】
認証許可者接続情報記憶部134には、認証許可者接続情報として、この実施形態では、タクシー配車管理サーバ7と通信路を生成するための電話番号やメールアドレス、URL(Uniform Resource Locator)が記憶される。
【0136】
以上のように、自動運転車1Aの電子制御回路部10Aは構成されるが、
図10に示した各ブロックのうち、モータ駆動制御部103、ステアリング駆動制御部104、自動運転制御部105A、周囲移動体把握部109、現在位置検出部110、カーナビ機能部113、音声出力部120、顧客認証部131、乗車許可認証部133の各処理機能は、制御部101が、ソフトウエア処理として実現することができる。
【0137】
[タクシー配車管理サーバ7のハードウエア構成例]
図11は、タクシー配車管理サーバ7のハードウエア構成例を示すブロック図である。
【0138】
図11に示すように、タクシー配車管理サーバ7は、コンピュータからなる制御部701に対して、システムバス700を通じて顧客用無線通信部702、会員顧客情報記憶部703、乗車顧客確認認証部704、タクシー用無線通信部705、タクシー位置情報管理部706、顧客位置検出部707、地図データ記憶部708、表示部709、オペレータ用ユーザインターフェース710、が接続されて構成されている。
【0139】
顧客用無線通信部702は、顧客からのタクシー呼出要求を受けるための専用の無線通信部であり、この例では、携帯電話網を通じて送られてくる顧客のタクシー呼出要求を受ける。
【0140】
会員顧客情報記憶部703は、前述したように、会員の顔画像や、音声、指紋、静脈、虹彩などの生体情報、氏名、住所、生年月日、ID、パスワード、携帯電話端末の電話番号やメールアドレス、クレジットカード情報、金融機関の口座情報などの決済情報を記憶している。
【0141】
乗車顧客確認認証部704は、会員の顧客の携帯電話端末からのタクシー呼出要求を受けたときには、会員顧客情報記憶部703に登録されている電話番号及びID、パスワードに基づいて、会員の顧客であるか否か判断し、会員の顧客であれば、そのタクシー呼出要求を受け付ける処理を行う。
【0142】
また、乗車顧客確認認証部704は、顧客会員の携帯電話端末に対して第2の利用者認証のための認証用情報を伝達する機能を備える。この場合、この例では、乗車顧客確認認証部704は、タクシー呼出要求を受け付けた会員の登録情報のうち、第1の利用者認証のために用いられる情報(この例では顔画像情報)以外の一つ又は複数の情報を任意に選択して、第2の利用者認証のための認証用情報を定め、それを顧客会員の携帯電話端末に対して第2の利用者認証のための認証用情報を伝達する。
【0143】
さらに、乗車顧客確認認証部704は、第2の利用者認証のための認証用情報と共に、その確認認証依頼が自動運転車1Aから送られてきたときには、当該送られてきた認証用情報と、タクシー呼出要求の際に定めた認証用情報との一致/不一致により、許可認証できるか否か判別し、許可認証できたときには、利用許可確認結果を自動運転車1Aに返し、また、許可認証ができなかったときには、利用不許可結果を自動運転車1Aに返す。
【0144】
タクシー用無線通信部705は、タクシーである自動運転車1Aのそれぞれと通信路を生成して、種々の情報のやり取りをするためのものである。
【0145】
タクシー位置情報管理部706は、自動運転車1Aから送られて来る現在位置情報を常時監視して、タクシーである自動運転車1Aのそれぞれの位置を管理する。そして、この実施形態では、タクシー位置情報管理部706は、表示部709の表示画面に表示される地図上に、各タクシーである自動運転車1Aの現在位置を表示するようにする。
【0146】
顧客位置検出部707は、会員の顧客の携帯電話端末からのタクシー呼出要求を受けたときに、当該タクシー呼出要求に含まれる会員顧客の現在位置情報を抽出して、顧客位置を検出する。そして、その検出した顧客位置を、表示部709の表示画面に表示する。
【0147】
地図データ記憶部708は、地図データを記憶されており、その地図データによる地図画像を、表示部709の表示画面に表示する。
【0148】
オペレータ用ユーザインターフェース710は、顧客会員との電話通信や、表示部709の表示画面を通じて入力作業をオペレータが行うインターフェースである。オペレータは、表示画面の地図上に表示されている顧客位置とタクシー位置とから、配車するタクシーを定め、定められた自動運転車1Aに、顧客位置及び顧客の認証用情報を伝達するように指示する。制御部701は、その指示に従って、タクシー用無線通信部705を通じて、自動運転車1Aへの顧客位置及び顧客の認証用情報を伝達するようにする。
【0149】
なお、
図11において、乗車顧客確認認証部704、タクシー位置情報管理部706、顧客位置検出部707の各部の機能は、制御部701がプログラムを実行することにより行うソフトウエア処理として構成することもできる。
【0150】
[タクシー配車管理サーバ7における顧客からのタクシー呼出要求の受付処理]
図12は、タクシー配車管理サーバ7における顧客からのタクシー呼出要求の受付処理の流れの例を説明するためのフローチャートを示す図である。なお、この
図12の各ステップの処理は、制御部701が、乗車顧客確認認証部704、タクシー位置情報管理部706、顧客位置検出部707の各部の機能をソフトウエア機能手段として行う場合として説明する。
【0151】
タクシー配車管理サーバ7の制御部701は、顧客会員からのタクシー呼出要求を受け付けたか否か判別する(ステップS201)。この場合に、ステップS201では、前述したように、会員の顧客の携帯電話端末からのタクシー呼出要求を受けたときには、そのタクシー呼出要求に含まれる電話番号及びID、パスワードと、会員顧客情報記憶部703に登録されている電話番号及びID、パスワードとの一致/不一致を判定することで、会員の顧客であるか否か判断し、会員の顧客であれば、そのタクシー呼出要求を受け付ける。
【0152】
このステップS201で、顧客会員からのタクシー呼出要求を受け付けてはいないと判別したときには、制御部701は、当該ステップS201の処理を継続する。
【0153】
ステップS201で、顧客会員からのタクシー呼出要求を受け付けたと判別したときには、制御部701は、当該タクシー呼出要求に含まれる位置情報を抽出して、顧客のタクシー待ち受け場所を表示部709の表示画面に表示して、オペレータに確認させるようにする(ステップS202)。
【0154】
次に、制御部701は、オペレータからの配車するタクシーの指示情報を受けて、配車するタクシーを決定し(ステップS203)、その決定したタクシーである自動運転車1Aに、受け付けた顧客の第1の利用者認証の認証用情報、この例では、顔画像の情報を送ると共に、当該顧客の待ち受け場所の位置情報を送って、待ち受け場所を指示する(ステップS204)。
【0155】
そして、制御部701は、第2の利用者認証のための認証用情報を定め、タクシー呼出要求をしてきた顧客の携帯電話端末に、その定めた第2の利用者認証のための認証用情報を伝達する(ステップS205)。以上で、タクシー呼出要求の受付処理は完了となる。
【0156】
[自動運転車1Aにおける顧客受付処理]
図13は、自動運転車1Aにおける顧客受付処理の流れの例を説明するためのフローチャートである。すなわち、自動運転車1Aの制御部101は、タクシー配車管理サーバ7からの情報の受信を待ち(ステップS211)、タクシー配車管理サーバ7からの情報の受信があったと判別したときには、受信した顧客の認証用情報を、顧客認証用情報記憶部132に記憶すると共に、待ち受け場所の位置情報をカーナビ機能部113の目的地の記憶部に記憶する(ステップS212)。以上で、自動運転車1Aにおける顧客受付処理は終了である。
【0157】
[自動運転車1Aでの顧客乗車制御処理動作の例]
図14及びその続きである
図15は、自動運転車1Aにおける顧客乗車制御処理動作の流れの例を説明するためのフローチャートである。
【0158】
制御部101は、利用者の乗車を検知するのを監視して、利用者の乗車を検知するのを待つ(ステップS221)。このステップS221で、利用者の乗車を検知したときには、制御部101は、乗車した利用者(運転者)の顔画像をカメラ群107のうちの助手席や後部座席の乗車者を撮影するカメラで撮影する(ステップS222)。
【0159】
次に、制御部101は、第1の利用者認証を行う。すなわち、この例においては、顧客認証用情報記憶部132に記憶されているタクシー呼出要求してきた顧客会員の顔画像と、乗車者の顔画像とを比較参照し(ステップS223)、両顔画像が一致しているか否か判別する(ステップS224)。
【0160】
ステップS224で顔画像が一致したと判別されて、第1の利用者認証ができたと判別したときには、制御部101は、次のようにして、第2の利用者認証を行う。すなわち、制御部101は、スピーカ125を通じて音声により、また、表示部111の表示画面にメッセージを表示して、タクシー呼出要求の受け付けの際に定められた認証用情報の取得要求を乗車者に要請し、当該要請を受けた乗車者からの認証用情報を取得するようにする(ステップS225)。この場合に、例えば認証用情報が、利用者の氏名、ID及びパスワードであるとした場合、利用者は、この要請に対して利用者の氏名、ID及びパスワードを入力するので、制御部101は、その入力を受け付ける。
【0161】
ステップS225の次には、制御部101は、無線通信部102を通じて、認証許可者接続情報記憶部134に記憶されている接続用情報を用いて、認証許可者であるタクシー配車管理サーバ7との間で通信路を生成する。そして、その生成した通信路を通じて、ステップS225で取得した利用者の許可認証用情報をタクシー配車管理サーバ7に送信して、当該タクシー配車管理サーバ7における確認認証を要請する(ステップS226)。
【0162】
このステップS226によるタクシー配車管理サーバ7に対する認証要請に対しては、前述したように、タクシー配車管理サーバ7からは、利用許可確認結果又は利用不許可結果のいずれかが送られてくる。そこで、制御部101は、タクシー配車管理サーバ7から利用許可確認結果を受けたかどうかにより第2の利用者認証ができたか否か判別する(ステップS227)。このステップS227で、タクシー配車管理サーバ7から利用許可確認結果を受け、第2の利用者認証ができたと判別したときには、制御部101は、当該乗車席のタクシー利用(乗車)を許可する。
【0163】
ステップS224で、第1の利用者認証ができなかったと判別したとき、また、ステップS227で、タクシー配車管理サーバ7からは利用許可確認結果を受けずに、利用不許可結果を受けて、第2の利用者認証ができなかったと判別したときには、制御部101は、自車を走行不可状態にロックして、乗車者によるタクシー利用ができない不許可状態にする(
図15のステップS231)。
【0164】
そして、制御部101は、乗車者に対して、認証ができなかった旨と、降車を促す音声メッセージを、例えば音声合成により生成して、スピーカ125を通じて放音して乗車者に通知する(ステップS232)。
【0165】
次に、制御部101は、タクシー配車管理サーバ7にその後の事後処理指示を要請し、その事後処理指示を受信したら、タクシー配車管理サーバ7との間の通信路を切断する(ステップS233)。この事後処理指示としては、例えば「駐車場に戻れ」あるいは「別のタクシー利用者の受付」などの指示となる。
【0166】
次に、制御部101は、乗車者の降車が確認できたか否か判別し(ステップS234)、利用者の降車が確認できたと判別したときには、ステップS233で受け付けた事後処理指示に応じた移動制御などの処理を行う(ステップS235)。以上で、制御部101は、この呼出対応処理ルーチンを終了する。
【0167】
[第2の実施形態の効果]
上述した第2の実施形態によれば、自動運転車の無人運転によるタクシーサービスを実現することができる。そして、上述の第2の実施形態においては、顧客について登録した認証用情報による第1の利用者認証と、タクシー配車管理サーバ7における顧客との間で予め定めた認証用情報による第2の利用者認証とにより、顧客についての認証を行うようにしたので、認証が厳格になり、顧客の認証が確実にできると共に、不正な利用を厳正に防止することが可能になるという効果がある。
【0168】
[第2の実施形態の変形例]
上述の第2の実施形態の説明においては、第1の利用者認証(顧客認証)のための利用者認証用情報として、利用者の顔画像を用いて、利用者の確認のための第2の利用者認証として、利用者の氏名、ID及びパスワードとしたが、逆に、第1の利用者認証(顧客認証)のための利用者認証用情報として、利用者の氏名、ID及びパスワードを用い、第2の利用者認証として、利用者の顔画像を用いるようにしてもよい。要は、この第2の実施形態では、会員として登録された情報の内の一部の情報を、第1の利用者認証用情報として、タクシーである自動運転車1Aに伝達し、会員として登録された情報の内の他の情報を、第2の利用者認証用情報として用いるようにすればよい。
【0169】
また、第1の利用者認証用情報及び第2の利用者認証用情報は、上述の第2の実施形態では、予め、タクシー利用者2Cがタクシー会社のタクシー呼出サービスの会員となって、登録しておいた情報としたが、登録しておいた情報に限られるものではない。例えば、タクシー利用者が、タクシー配車管理サーバ7に電話をかけてタクシーの呼出要求をしたときに、タクシー配車管理サーバ7との間での通信において、第1の利用者認証用情報及び第2の利用者認証用とを定めて、タクシー利用者の携帯電話端末から、タクシー配車管理サーバ7に送るようにしてもよい。この場合のタクシー利用者は、会員であるタクシー利用者2Cと同様に、タクシーの利用を予定している利用予定者ではあるが、タクシー会社のタクシー呼出サービスの会員となる必要はない。なお、決済方法については、この発明のタクシーに乗車する利用者認証とは直接に関係がないので、この実施形態では、その説明は省略する。
【0170】
また、上述の説明では、無人運転タクシーを想定したが、タクシードライバーが運転するようにする自動運転車の場合にも、この発明は適用可能である。その場合には、タクシー配車管理サーバ7での利用許可確認結果を、タクシー配車管理サーバ7のオペレータがタクシードライバーに通知するようにすることもできる。なお、この場合は、タクシードライバーが決済をすることができ、現金決済も可能である。
【0171】
なお、タクシー配車管理サーバ7での利用許可確認は、タクシー配車管理サーバ7のオペレータが行うようにしてもよい。その場合には、利用許可確認のための認証用情報が、例えば利用者の顔画像の場合に、登録された顔画像が正面からの顔画像のみであって、自動運転車1Aから送られてきた顔画像が斜め横から撮影した顔画像であっても、オペレータによる視認による比較認証ができるので、利用者確認が良好にできる。このため、タクシー配車管理サーバ7に登録する顔画像は正面など、一方向からの顔画像で良くなる。また、逆に、複数の角度からの顔画像を登録し、認証精度を高め、利用者確認を厳しくすることもできる。
【0172】
第1の利用者認証の認証用情報(認証参照用情報)は、利用者の顔画像、声、指紋、静脈、虹彩などの生体情報としたが、これに限らず、第2の利用者認証の認証用情報(認証参照用情報)と同様の情報、例えば、氏名、住所、生年月日、ID、パスワード、携帯電話端末の電話番号やメールアドレスなどであってもよい。
【0173】
[その他の実施形態又は変形例]
なお、第1及び第2の実施形態において、第1の利用者認証は、利用者が自動運転車に乗り込んだ後に行うようにしたが、この発明の自動車が、利用者が自動運転車に乗り込む前に、利用者の顔画像を撮影したり、利用者の声を収音したり、指紋の取込を行ったりして、第1の利用者認証を行うようにすることもできる。その場合には、この発明の自動車は、第1の利用者認証を行ったら、ロックしていたドアを開けて、利用者の当該自動運転車への乗り込みを許可(これも利用の許可の一種である)するように制御することができる。すなわち、この発明の自動車は、ドアの開閉制御を、利用者認証結果に応じて行うようにしてもよい。
【0174】
そして、第2の実施形態の場合には、第1の利用者認証及び第2の利用者認証の認証結果に応じて利用者の乗車を許可してもよいし、第1の利用者認証だけで利用者の乗車を許可し、当該乗車を許可されて乗車した利用者について、第2の利用者認証を行って、その第2の利用者認証ができたときに、タクシーとしての自動運転車1Aの利用を許可するように制御することができる。
【0175】
また、上述の実施形態の自動車は、電気自動車の場合として説明したが、ガソリン車、ハイブリッド車、燃料電池車、その他の駆動方式の自動車であってもよい。
【0176】
なお、以上の説明は4輪の自動車について説明したが、この発明の自動車は、自動二輪車、自動三輪車その他を含むものである。