特許第6372868号(P6372868)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6372868報酬分配方法、報酬分配システム及び端末
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6372868
(24)【登録日】2018年7月27日
(45)【発行日】2018年8月15日
(54)【発明の名称】報酬分配方法、報酬分配システム及び端末
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/02 20120101AFI20180806BHJP
【FI】
   G06Q30/02 438
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-108407(P2016-108407)
(22)【出願日】2016年5月31日
(65)【公開番号】特開2017-215728(P2017-215728A)
(43)【公開日】2017年12月7日
【審査請求日】2016年7月6日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】516160544
【氏名又は名称】Idein株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(72)【発明者】
【氏名】山田 康之
(72)【発明者】
【氏名】中村 晃一
(72)【発明者】
【氏名】植村 圭一朗
【審査官】 衣川 裕史
(56)【参考文献】
【文献】 再公表特許第2008/126191(JP,A1)
【文献】 特開2005−222114(JP,A)
【文献】 特表2007−522547(JP,A)
【文献】 特開2013−073269(JP,A)
【文献】 米国特許第08918349(US,B2)
【文献】 Bitcoinがページにコードを貼るだけでゲットできる「Tidbit」,GIGAZINE,2013年11月12日,[平成29年12月22日検索],URL,http://web.archive.org/web/20150323114559/https://gigazine.net/news/20131112-tidbit-parasite-bitcoin-miner/
【文献】 Embeddable Javascript Bitcoin miner for your website,米国,Bitcointalk,2011年 5月20日,[平成29年12月22日検索],URL,http://web.archive.org/web/20111016053114/https://bitcointalk.org/index.php?topic=9042.0
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバが、コンテンツの提供者が使用する提供者端末から、所定の計算の実行に応じて報酬を分配するサービスの利用登録を受け付けると、前記所定の計算を端末に実行させるためのスクリプトを生成するスクリプト生成ステップと、
前記提供者端末が、前記コンテンツと、前記スクリプトとを含むページを生成するページ生成ステップと、
前記端末が、前記ページを取得するコンテンツ取得ステップと、
前記端末が前記ページに含まれる前記スクリプトに基づいて、前記コンテンツの提供者を識別する識別情報を含む、計算対象となる計算データの取得要求を前記サーバに送信する要求ステップと、
前記サーバが、前記取得要求を受信すると、当該取得要求に含まれる前記識別情報に前記提供者が予め関連付けた計算データの種別を特定し、当該種別の計算データを前記端末に送信する計算依頼ステップと、
前記端末が、前記サーバから前記計算データを取得するデータ取得ステップと、
前記端末が取得した前記計算データに基づいて前記所定の計算を実行する計算実行ステップと、
前記端末が、前記所定の計算の計算結果を示す計算結果データを前記サーバに送信する結果送信ステップと、
前記サーバが、前記計算結果データに対応する報酬を前記コンテンツの提供者に分配する分配ステップと、
を備える報酬分配方法。
【請求項2】
前記データ取得ステップにおいて、前記端末は、前記端末の処理能力に対応する前記計算データを取得する、
請求項に記載の報酬分配方法。
【請求項3】
前記端末が前記スクリプトに基づいて、前記計算データの取得要求を前記サーバに送信する要求ステップと、
前記サーバが、前記取得要求を受信すると、前記端末に前記処理能力を特定するための処理を実行させることにより前記処理能力を特定し、当該処理能力に対応する前記計算データを前記端末に送信する計算依頼ステップとを更に備える、
請求項に記載の報酬分配方法。
【請求項4】
前記データ取得ステップにおいて、前記端末は、前記端末の利用者が前記端末における前記所定の計算の実行を許可したことに応じて、前記計算データを取得する、
請求項からのいずれか1項に記載の報酬分配方法。
【請求項5】
前記分配ステップにおいて、前記サーバは、前記報酬を前記コンテンツの提供者及び前記端末の利用者に分配する、
請求項1からのいずれか1項に記載の報酬分配方法。
【請求項6】
前記分配ステップにおいて、前記サーバは、前記端末から受信した前記計算結果データの量が所定量を超えたことに応じて、前記報酬を前記コンテンツの提供者及び前記端末の利用者に分配する、
請求項に記載の報酬分配方法。
【請求項7】
コンテンツを閲覧するユーザが使用する端末と、前記コンテンツの提供者が使用する提供者端末と、サーバとを備える報酬分配システムであって、
前記サーバは、
前記提供者端末から、所定の計算の実行に応じて報酬を分配するサービスの利用登録を受け付けると、前記所定の計算を端末に実行させるためのスクリプトを生成する登録部と、
計算対象となる計算データの取得要求を受信すると、当該取得要求に含まれる前記コンテンツの提供者を識別する識別情報に前記提供者が予め関連付けた計算データの種別を特定し、当該種別の計算データを前記端末に送信するデータ送受信部と、を有し、
前記提供者端末は、前記コンテンツと、前記スクリプトとを含むページを生成する生成部を有し、
前記端末は、
コンテンツと、前記ページを取得する取得部と、
前記ページに含まれる前記スクリプトに基づいて、前記識別情報を含む、前記計算データの取得要求を前記サーバに送信し、前記サーバから前記計算データを取得し、取得した前記計算データに基づいて前記所定の計算を実行し、前記所定の計算の計算結果を示す計算結果データを前記サーバに送信する実行部とを有し、
前記サーバは、前記計算結果データに対応する報酬を前記コンテンツの提供者に分配する分配部を更に有する、
報酬分配システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、報酬分配方法、報酬分配システム及び端末に関する。
【背景技術】
【0002】
コンテンツを提供するページに広告を掲載しておき、コンテンツの閲覧者が当該広告を閲覧したことに応じて、コンテンツの提供者に報酬を支払うアフェリエイト広告が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−32269号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、コンテンツを提供するページに広告を掲載する場合、コンテンツの提供者には一定の報酬を得ることができるという利点があるものの、コンテンツと関係のない広告が表示されたり、コンテンツの提供者が好まない広告が表示されたりして、コンテンツのユーザ体験に悪影響を与えてしまうという問題があった。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、コンテンツのユーザ体験を悪化させることなくコンテンツの提供者が報酬を得ることができる報酬分配方法、報酬分配システム及び端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係る報酬分配方法は、端末が、コンテンツと、所定の計算を前記端末に実行させるためのスクリプトとを取得するコンテンツ取得ステップと、前記端末が前記スクリプトに基づいて、前記所定の計算を実行する計算実行ステップと、前記端末が、前記所定の計算の計算結果を示す計算結果データをサーバに送信する結果送信ステップと、前記サーバが、前記計算結果データに対応する報酬を前記コンテンツの提供者に分配する分配ステップと、を備える。
【0007】
前記報酬分配方法は、前記端末が前記スクリプトに基づいて、計算対象となる計算データを取得するデータ取得ステップとを更に備え、前記計算実行ステップにおいて、前記端末は、取得した前記計算データに基づいて前記所定の計算を実行してもよい。
前記データ取得ステップにおいて、前記端末は、前記端末の処理能力に対応する前記計算データを取得してもよい。
【0008】
前記報酬分配方法は、前記端末が前記スクリプトに基づいて、前記計算データの取得要求を前記サーバに送信する要求ステップと、前記サーバが、前記取得要求を受信すると、前記端末に前記処理能力を特定するための処理を実行させることにより前記処理能力を特定し、当該処理能力に対応する前記計算データを前記端末に送信する計算依頼ステップとを更に備えてもよい。
【0009】
前記報酬分配方法は、前記端末が前記スクリプトに基づいて、前記コンテンツの提供者を識別する識別情報を含む、前記計算データの取得要求を前記サーバに送信する要求ステップと、前記サーバが、前記取得要求を受信すると、当該取得要求に含まれる前記識別情報に前記提供者が予め関連付けた計算データの種別を特定し、当該種別の計算データを前記端末に送信する計算依頼ステップとを更に備えてもよい。
前記データ取得ステップにおいて、前記端末は、前記端末の利用者が前記端末における前記所定の計算の実行を許可したことに応じて、前記計算データを取得してもよい。
【0010】
前記分配ステップにおいて、前記サーバは、前記報酬を前記コンテンツの提供者及び前記端末の利用者に分配してもよい。
前記分配ステップにおいて、前記サーバは、前記端末から受信した前記計算結果データの量が所定量を超えたことに応じて、前記報酬を前記コンテンツの提供者及び前記端末の利用者に分配してもよい。
【0011】
本発明の第2の態様に係る報酬分配システムは、端末と、サーバとを備える報酬分配システムであって、前記端末は、コンテンツと、所定の計算を前記端末に実行させるためのスクリプトとを取得する取得部と、前記スクリプトに基づいて、前記所定の計算を実行し、前記所定の計算の計算結果を示す計算結果データを前記サーバに送信する実行部とを有し、前記サーバは、前記計算結果データに対応する報酬を前記コンテンツの提供者に分配する分配部を有する。
【0012】
本発明の第3の態様に係る端末は、コンテンツと、計算結果に応じて前記コンテンツの提供者に報酬が付与される所定の計算を実行させるためのスクリプトとを取得する取得部と、前記スクリプトに基づいて、前記所定の計算を実行し、前記所定の計算の計算結果を示す計算結果データを、前記コンテンツの提供者に報酬を付与するサーバに送信する実行部と、を備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、コンテンツのユーザ体験を悪化させることなくコンテンツの提供者が報酬を得ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】報酬分配システムの概要を示す図である。
図2】管理サーバ、コンテンツサーバ、及び閲覧者端末の構成を示す図である。
図3】コンテンツサーバがコンテンツページを登録するまでの処理の流れを示すシーケンス図である。
図4】閲覧者端末がコンテンツページの取得要求を行ってから、管理サーバが所定の計算に係る報酬を分配するまでの処理の流れを示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[報酬分配システムSの概要]
図1は、本実施形態に係る報酬分配システムSの概要を示す図である。報酬分配システムSは、管理サーバ1と、依頼者端末2と、提供者端末3と、コンテンツサーバ4と、閲覧者端末5とを備えている。報酬分配システムSは、閲覧者端末5がコンテンツサーバ4からコンテンツを含むコンテンツページを取得してコンテンツを閲覧する場合にバッググラウンドで所定の計算を実行し、管理サーバ1が、閲覧者端末5における計算量に応じて当該コンテンツの提供者に報酬を分配するサービスを提供するシステムである。ここで、コンテンツページは、例えばブラウザプログラムが読み込み可能なウェブページである。また、図1では、依頼者端末2が1台のみ示されているが、依頼者端末2は、複数の依頼者に対応して複数存在するものとする。
【0016】
図1に示すように、報酬分配システムSにおいて、管理サーバ1は、依頼者端末2から所定の計算の依頼を受け付ける。所定の計算は、例えば、各種科学技術計算や、ビットコイン(登録商標)のマイニングに係る計算である。
【0017】
コンテンツの提供者が、提供者端末3を介して管理サーバ1にアクセスし、サービスの利用登録を行うと、管理サーバ1は、所定の計算を実行するためのスクリプトを生成する。ここで、スクリプトは、例えばJavaScript(登録商標)や、Web Assemblyで記述されたプログラムである。コンテンツの提供者は、生成されたスクリプトを含むコンテンツページをコンテンツサーバ4に登録する。閲覧者端末5は、コンテンツの閲覧者の操作に応じて、コンテンツサーバ4からコンテンツページを取得し、表示部に表示させる。閲覧者端末5は、コンテンツページに含まれているスクリプトを実行すると、計算対象となる計算データを管理サーバ1から取得する。閲覧者端末5は、取得した計算データに基づいて所定の計算を実行し、計算結果データを管理サーバ1に送信する。
【0018】
管理サーバ1は、閲覧者端末5から受信した計算結果データを依頼者端末2に送信し、依頼者から報酬を示す報酬情報を受信する。管理サーバ1は、計算結果データに対応する報酬を、コンテンツの提供者に分配する。
【0019】
このように、本実施形態に係る報酬分配システムSでは、アフェリエイト広告のように、ページ上に広告を表示させないので、コンテンツの提供者は、コンテンツを含むページのユーザ体験を悪化させることなく報酬を得ることができる。
【0020】
続いて、報酬分配システムSの構成について説明する。図2は、本実施形態に係る管理サーバ1、コンテンツサーバ4、及び閲覧者端末5の構成を示す図である。なお、以下の説明では、所定の計算の依頼者(依頼者端末2のユーザ)を単に依頼者、コンテンツの提供者(提供者端末3のユーザ)を単に提供者、コンテンツの閲覧者(閲覧者端末5のユーザ)を単に閲覧者という。また、図2に示す例では、依頼者端末2、提供者端末3、コンテンツサーバ4、及び閲覧者端末5は、1台のみ示されているが、いずれも複数台存在するものとする。
【0021】
[管理サーバ1の構成]
管理サーバ1は、記憶部11と、登録部12と、データ送受信部13と、報酬取得部14と、分配部15とを備える。
記憶部11は、例えば、ROM、RAM及びハードディスク等の記憶媒体である。記憶部11は、管理サーバ1の制御部(不図示)が実行するプログラムを記憶する。記憶部11は、例えば、管理サーバ1の制御部を、登録部12、データ送受信部13、報酬取得部14、及び分配部15として機能させるための管理プログラムを記憶する。
登録部12、データ送受信部13、報酬取得部14、及び分配部15の機能の詳細については後述する。
【0022】
[コンテンツサーバ4の構成]
コンテンツサーバ4は、記憶部41と、登録部42と、提供部43とを備える。
記憶部41は、例えば、ROM、RAM及びハードディスク等の記憶媒体である。記憶部41は、コンテンツサーバ4の制御部(不図示)が実行するプログラムを記憶する。記憶部41は、例えば、コンテンツサーバ4の制御部を、登録部42及び提供部43として機能させるための管理プログラムを記憶する。
登録部42、及び提供部43の機能の詳細については後述する。
【0023】
[閲覧者端末5の構成]
閲覧者端末5は、例えば、パーソナルコンピュータやスマートフォンやタブレットであり、入力部51と、表示部52と、記憶部53と、制御部54とを備える。
入力部51は、閲覧者端末5がパーソナルコンピュータである場合には、マウスやキーボード等であり、閲覧者端末5がタブレットやスマートフォンである場合には、タッチパネルやボタンである。入力部51は、閲覧者から操作入力を受け付ける。
表示部52は、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等である。表示部52は、例えば、制御部54の制御に応じて、コンテンツサーバ4から取得したコンテンツページを表示する。
【0024】
記憶部53は、例えば、ROM、RAM及びハードディスク等の記憶媒体である。記憶部53は、制御部54が実行するプログラムを記憶する。記憶部53は、制御部54を取得部541及び実行部542として機能させるためのウェブブラウザプログラム(以下、ウェブブラウザという。)を記憶する。なお、本実施形態では、ウェブブラウザが、制御部54を取得部541及び実行部542として機能させるものとするが、これに限らず、スマートフォンやタブレット等にインストールされるアプリケーションプログラムが、制御部54を取得部541及び実行部542として機能させてもよい。
【0025】
制御部54は、例えばCPUやGPUである。制御部54は、記憶部53に記憶されている各種プログラムや、通信ネットワークを介して外部機器から取得したプログラムを実行することにより、閲覧者端末5に係る機能を制御する。制御部54は、取得部541と、実行部542とを備える。これらの機能の詳細については後述する。
【0026】
[報酬の分配に係るシーケンス]
続いて、所定の計算の実行に対する報酬の分配に係る処理の流れを説明しながら、管理サーバ1、コンテンツサーバ4、及び閲覧者端末5の各制御部が備える機能について説明する。まず、コンテンツサーバ4がコンテンツページを登録するまでの処理の流れについて説明する。
【0027】
図3は、本実施形態に係るコンテンツサーバ4がコンテンツページを登録するまでの処理の流れを示すシーケンス図である。
まず、依頼者端末2は、依頼者の操作に応じて、依頼情報を管理サーバ1に送信する。依頼情報には、例えば、実行を依頼する計算内容を示す計算データと、当該計算に対する報酬の額を示す報酬情報とが含まれている。
管理サーバ1の登録部12は、依頼者端末2から依頼情報を受信すると、当該依頼情報と、依頼を受けた依頼時刻とを関連付けて記憶部11に記憶させることにより、依頼者情報を登録する(S1)。
【0028】
なお、報酬分配システムSが、報酬額が高い順に計算データを選択する場合、登録部12が、依頼者端末2に、他の依頼者の報酬情報を提示したり、オークション形式で、複数の依頼者から所定量の計算量当たりの報酬額の入札を受け付けたりしてもよい。このようにすることで、依頼者は、優先的に計算を実行させたい場合に報酬額を高くするので、報酬分配システムSは、報酬額を高めることができる。
【0029】
続いて、提供者端末3は、提供者の操作に応じて、報酬分配システムSが提供するサービスを提供者が利用するためのサービス利用申請情報を送信する。サービス利用申請情報には、例えば、提供者の氏名を示す情報や、提供者が指定したユーザID等の各種情報が含まれている。
【0030】
管理サーバ1の登録部12は、提供者端末3からサービス利用申請情報を受信すると、当該申請情報に含まれている各種情報を記憶部11に記憶させる(S2)。
続いて、管理サーバ1の登録部12は、所定の計算を閲覧者端末5に実行させるためスクリプトを生成し(S3)、当該スクリプトを提供者端末3に送信する。ここで、スクリプトには、提供者を識別するための識別情報が含まれているものとする。また、識別情報は、例えば、ユーザIDを暗号化することにより生成された識別情報等である。
【0031】
提供者端末3は、提供者の操作に応じて、コンテンツを含むページに、管理サーバ1から受信したスクリプトを埋め込むことにより、コンテンツページを生成する(S4)。提供者端末3は、提供者の操作に応じて、コンテンツページをコンテンツサーバ4に送信する。
コンテンツサーバ4の登録部42は、提供者端末3からコンテンツページを受信すると、当該コンテンツページを記憶部41に記憶させることにより、コンテンツページを登録する(S5)。
【0032】
続いて、閲覧者端末5がコンテンツページの取得要求を行ってから、管理サーバ1が所定の計算に係る報酬を分配するまでの処理の流れについて説明する。図4は、本実施形態に係る閲覧者端末5がコンテンツページの取得要求を行ってから、管理サーバ1が所定の計算に係る報酬を分配するまでの処理の流れを示すシーケンス図である。
【0033】
まず、閲覧者端末5の取得部541は、入力部51を介して閲覧者からコンテンツページのアドレス情報の入力を受け付けると、当該アドレス情報に基づいてコンテンツサーバ4にアクセスする。そして、取得部541は、コンテンツサーバ4から、コンテンツと、所定の計算を閲覧者端末5に実行させるためのスクリプトとを含むコンテンツページを取得する。
【0034】
続いて、実行部542は、取得したコンテンツページを表示部52に表示させる(S11)。実行部542は、コンテンツページに含まれるスクリプトに基づいて、所定の計算を実行する。具体的には、実行部542は、コンテンツページに含まれているスクリプトを実行することにより、管理サーバ1に、計算対象となる計算データの取得要求を送信する(S12)。
【0035】
ここで、スクリプトに基づいて、実行部542が、閲覧者端末5において所定の計算の実行を許可するか否かの選択を閲覧者から受け付けるようにしてもよい。そして、実行部542は、閲覧者端末5における所定の計算の実行が許可されたことに応じて、管理サーバ1に取得要求を送信してもよい。このようにすることで、所定の計算が実行されることをユーザに認識させることができる。
【0036】
また、実行部542は、所定の計算の実行が許可されなかった場合に、コンテンツの少なくとも一部が表示部52に表示されないように制限するようにしてもよい。このようにすることで、閲覧者端末5において所定の計算の実行が許可される確率を高めることができる。
【0037】
管理サーバ1のデータ送受信部13は、計算データの取得要求を閲覧者端末5から受信すると、記憶部11に記憶されている計算データを選択し(S13)、選択した計算データを当該閲覧者端末5に送信する。
【0038】
例えば、データ送受信部13は、記憶部11に記憶されている計算データと報酬情報とを含む依頼情報と、当該依頼情報に対応する依頼時刻に基づいて、依頼時刻が最も古い依頼情報に対応する計算データを選択する。なお、データ送受信部13は、依頼情報に含まれる報酬情報に基づいて、計算量に対して最も報酬額が高い計算データを優先的に選択してもよい。
【0039】
また、データ送受信部13は、閲覧者端末5の処理能力を特定し、当該処理能力に対応する計算データを選択して、閲覧者端末5に送信するようにしてもよい。例えば、データ送受信部13は、閲覧者端末5の処理能力を特定するための処理を閲覧者端末5に実行させ、当該処理に掛かる時間に基づいて、閲覧者端末5の処理能力を特定してもよい。そして、データ送受信部13は、処理能力が低い場合には計算量が少ない計算データを選択し、処理能力が高い場合には計算量が多い計算データを選択してもよい。また、データ送受信部13は、処理能力が低い場合には、処理能力が高い場合に比べて少量の計算データを選択してもよい。
【0040】
また、データ送受信部13は、コンテンツページに含まれるコンテンツの種類に基づいて、計算データを選択するようにしてもよい。例えば、所定の計算を実行させるためのスクリプトに、当該スクリプトが埋め込まれるコンテンツページに含まれているコンテンツの種類を特定するためのコードを含めてもよい。また、閲覧者端末5が、計算データの取得要求にコンテンツの種別を示す種別情報を含めて、管理サーバ1に送信するようにしてもよい。そして、データ送受信部13は、計算データの取得要求に含まれる種別情報に基づいてコンテンツの種類を特定し、当該コンテンツの種類に基づいて計算データを選択するようにしてもよい。
【0041】
また、管理サーバ1の登録部12が、提供者から計算データの種別の選択を受け付けておき、提供者を識別する識別情報と、計算データの種別とを関連付けて記憶部11に記憶させるようにしてもよい。そして、閲覧者端末5の取得部541が、提供者を識別する識別情報を含む計算データの取得要求を管理サーバ1に送信し、管理サーバ1のデータ送受信部13が、計算データの取得要求に含まれる提供者の識別情報に関連付けられて記憶部11に記憶されている計算データの種別を特定してもよい。そして、データ送受信部13が、特定した計算データの種別に基づいて計算データを選択してもよい。
【0042】
閲覧者端末5の実行部542は、管理サーバ1から計算データを受信すると、当該計算データに基づいて所定の計算を実行する(S14)。実行部542は、所定の計算を実行すると、所定の計算の計算結果を示す計算結果データと、スクリプトに含まれている、コンテンツページに含まれるコンテンツの提供者を識別するための識別情報とを管理サーバ1に送信する。
【0043】
なお、実行部542は、コンテンツページが表示部52に表示されている場合において、計算結果データを管理サーバ1に送信した後に、再び計算データの取得要求を管理サーバ1に送信して計算データを取得し、当該計算データに基づいて所定の計算を実行するようにしてもよい。このようにすることで、コンテンツの閲覧時間が長ければ長いほど、閲覧者端末5に多くの計算を実行させることができる。
【0044】
続いて、管理サーバ1の報酬取得部14は、受信した計算結果データを依頼者端末2に送信し、依頼者端末2から、当該計算結果データに対応する報酬を取得する。
管理サーバ1の分配部15は、報酬を取得すると、当該報酬に対応する計算結果データとともに閲覧者端末5から受信したコンテンツの提供者の識別情報を特定する。そして、分配部15は、報酬取得部14が取得した報酬を当該提供者に分配する報酬分配処理を実行する(S15)。例えば、分配部15は、報酬が通貨である場合には、報酬取得部14が取得した報酬を、提供者に対応する口座に入金する。
【0045】
ここで、分配部15は、報酬取得部14が取得した報酬の少なくとも一部をサービス利用料として、提供者から徴収するようにしてもよい。また、分配部15は、報酬取得部14が取得した報酬の額が予め定められた所定額を超えた場合に、当該報酬を提供者に分配してもよい。また、分配部15は、報酬を提供者に分配したことを示す通知情報を当該提供者が使用する提供者端末3に送信してもよい。
【0046】
また、分配部15は、報酬取得部14が取得した報酬をコンテンツの提供者と、当該コンテンツの閲覧者に分配してもよい。例えば、分配部15は、閲覧者端末5から受信した計算結果データの量が所定量を超えたことに応じて、当該計算結果データに対応する報酬を、コンテンツの提供者と、当該コンテンツの閲覧者とに分配してもよい。このようにすることで、報酬分配システムSは、コンテンツの閲覧者に積極的にコンテンツを視聴させることができる。
【0047】
[本実施形態における効果]
以上説明した通り、本実施形態に係る報酬分配システムSは、閲覧者端末5が、コンテンツと、所定の計算を閲覧者端末5に実行させるためのスクリプトとを取得し、当該スクリプトに基づいて所定の計算を実行し、当該所定の計算の計算結果を示す計算結果データを管理サーバ1に送信する。そして、管理サーバ1が、計算結果データに対応する報酬をコンテンツの提供者に分配する。
【0048】
このようにすることで、報酬分配システムSは、アフェリエイト広告のように、コンテンツとともに広告を表示させることなくコンテンツの提供者に報酬を与えることができる。したがって、コンテンツの提供者は、コンテンツのユーザ体験を悪化させることなく報酬を得ることができる。また、報酬分配システムSは、アフェリエイト広告のように閲覧者の個人情報を収集する必要がないので、閲覧者のプライバシーの侵害等が発生しない。よって、閲覧者は、コンテンツとともにアフェリエイト広告が表示される場合に比べて、コンテンツを安心して閲覧することができる。
【0049】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0050】
例えば、上述の実施形態では、管理サーバ1は、依頼者から依頼情報を受信するものとしたが、これに限らない。例えば、管理サーバ1の管理者が、報酬が付与される計算に対応する計算データと、当該報酬を示す報酬情報とを含む情報を依頼情報として管理サーバ1に記憶させるようにしてもよい。
【0051】
また、上述の実施形態では、コンテンツとスクリプトとを含むコンテンツページを閲覧者端末5に表示させ、当該スクリプトに基づいて所定の計算を実行させたが、これに限らない。例えば、閲覧者端末5が、各種コンテンツに係るアプリケーションが実行されたことに応じて、コンテンツとスクリプトとを取得し、当該スクリプトに基づいて所定の計算を実行してもよい。
【0052】
また、上述の実施形態では、管理サーバ1は、計算データを記憶部11に記憶させておき、閲覧者端末5から計算データの取得要求を受信したことに応じて、記憶部11に記憶されている計算データを閲覧者端末5に送信したが、これに限らない。例えば、管理サーバ1は、計算データの格納先を示すアドレス情報を記憶部11に記憶させておき、閲覧者端末5から計算データの取得要求を受信したことに応じて、当該アドレス情報に基づいて計算データを取得し、当該計算データを閲覧者端末5に送信してもよい。また、管理サーバ1は、閲覧者端末5から計算データの取得要求を受信したことに応じて、計算データの格納先を示すアドレス情報を閲覧者端末5に送信し、閲覧者端末5に計算データを取得させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0053】
1・・・管理サーバ、11・・・記憶部、12・・・登録部、13・・・データ送受信部、14・・・報酬取得部、15・・・分配部、2・・・依頼者端末、3・・・提供者端末、4・・・コンテンツサーバ、41・・・記憶部、42・・・登録部、43・・・提供部、5・・・閲覧者端末、51・・・入力部、52・・・表示部、53・・・記憶部、54・・・制御部、541・・・取得部、542・・・実行部


図1
図2
図3
図4