特許第6372871号(P6372871)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6372871
(24)【登録日】2018年7月27日
(45)【発行日】2018年8月15日
(54)【発明の名称】基板収納容器
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/673 20060101AFI20180806BHJP
【FI】
   H01L21/68 T
【請求項の数】3
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-511488(P2017-511488)
(86)(22)【出願日】2016年2月22日
(86)【国際出願番号】JP2016054974
(87)【国際公開番号】WO2016163166
(87)【国際公開日】20161013
【審査請求日】2018年3月9日
(31)【優先権主張番号】特願2015-80588(P2015-80588)
(32)【優先日】2015年4月10日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000190116
【氏名又は名称】信越ポリマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002697
【氏名又は名称】めぶき国際特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100110973
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 洋
(72)【発明者】
【氏名】加藤 勝彦
(72)【発明者】
【氏名】三村 博
(72)【発明者】
【氏名】波賀野 賢
【審査官】 中田 剛史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−305239(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/107254(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/673
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を収納する少なくとも一方を開口した容器本体と、その容器本体の開口部を開閉自在に着脱可能な蓋体と、を備える基板収納容器であって、
前記容器本体の内部には、前記基板の後方部位を保持する第一保持溝付きの第一保持部を備え、
前記蓋体の内側には、前記基板の前方部位を保持する第二保持溝付きの第二保持部を備え、
前記第一保持部における少なくとも前記第一保持溝および前記第二保持部における少なくとも前記第二保持溝を、ポリカーボネート樹脂とポリブチレンテレフタレート樹脂とを主とするアロイ樹脂から構成し、
少なくとも前記第一保持溝を構成する前記アロイ樹脂は、その樹脂成分の質量に対して25質量%以上40質量%以下のポリブチレンテレフタレート樹脂を含む基板収納容器。
【請求項2】
前記容器本体は、その開口部からみて前記基板の左右両側の内面に、それぞれ、前記基板を一定間隔で支持する棚を有する支持部を備え、
前記第一保持部は、前記支持部における前記開口部からみて奥側に備えられ、
前記第一保持部は、その内側に、前記基板の前記奥側の端部を前記棚の上面から持ち上げて支持可能な傾斜面を備え、
前記容器本体の前記開口部に前記蓋体を取り付けた際に、前記容器本体内の前記基板は、前記第一保持溝と前記第二保持溝との間で挟持され、前記棚から持ち上がって保持される、請求項1に記載の基板収納容器。
【請求項3】
前記支持部は、前記容器本体と別体であり、前記容器本体から着脱自在に取り付けられている、請求項に記載の基板収納容器。
【発明の詳細な説明】
【クロスリファレンス】
【0001】
本出願は、2015年4月10日に日本国において出願された特願2015−080588に基づき優先権を主張し、当該出願に記載された内容は、本明細書に援用する。また、本願において引用した特許、特許出願及び文献に記載された内容は、本明細書に援用する。
【技術分野】
【0002】
本発明は、半導体ウェーハ、フォトマスクガラス、アルミニウムディスクなどの基板を収納する基板収納容器に関する。
【背景技術】
【0003】
近年、半導体ウェーハ基板、フォトマスクガラス、アルミニウムディスク等に代表される基板の大口径化に伴い、フロントオープンボックスタイプの基板収納容器が製造および販売されている。当該基板収納容器は、複数枚の基板を整列収納するフロントオープン型の容器本体と、当該容器本体の開口正面を開閉自在に着脱可能な蓋体とから主に構成されている。基板収納容器内に収納された基板は、容器内に形成された保持部にて一枚ずつ支持されている。一般的に、容器本体および蓋体は、剛性および外から容器内部の視認性に共に優れ、洗浄度の高いポリカーボネート樹脂あるいはポリプロピレン樹脂から形成されている。
【0004】
ところで、基板は、基板収納容器に振動や衝撃が加えられることに起因し、当該容器内で自転する場合がある。基板が当該容器内で自転すると、基板と上記保持部の溝との摩擦によって、磨耗粉が発生する可能性があり、基板の汚染リスクが増大する。このようなリスクを低減するため、公知の基板収納容器に備える保持部を、容器本体および蓋体よりも摩擦抵抗が小さく、摺動性の良好な材料で構成している。かかる材料としては、摺動材を添加した高耐摩耗性ポリカーボネート樹脂、あるいはポリブチレンテレフタレート樹脂が用いられている(例えば、特許文献1を参照)。さらには、ポリカーボネート樹脂製の保持部の表面にポリブチレンテレフタレート樹脂を被覆することも提案されている(例えば、特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−068839号公報
【特許文献2】特開2006−324327号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の基板収納容器において、容器本体の開口部を蓋体にて閉じた際には、容器本体の内部の基板は保持部の溝を滑り上がる。一方、容器本体の開口部から蓋体を外すと、基板は保持部の溝を滑り下がる。すなわち、蓋体の開閉により、基板は、保持部の溝内にて上下動する。保持部そのものあるいは保持部の表面をポリブチレンテレフタレート樹脂製とすると、基板が保持部の溝内にてよりなめらかに上下動可能である。
【0007】
しかし、基板を入れた基板収納容器の輸送時の振動などに起因して、基板の端面及びその近傍に、保持部との擦れ痕が残る現象がみられ、この擦れ痕が半導体チップの生産時あるいはフォトマスクの生産時等において歩留まりの低下につながるのが懸念されるようになってきた。このため、保持部の溝内における基板のなめらかな上下動を維持しつつ、かつ基板端面近傍の擦れ痕の低減を実現するための改善が必要になってきた。
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑みなされたもので、基板収納容器内の保持部の溝内における基板のなめらかな上下動を維持しつつ、かつ基板端面近傍における保持部との擦れ痕の低減を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明の一実施の形態に係る基板収納容器は、基板を収納する少なくとも一方を開口した容器本体と、その容器本体の開口部を開閉自在に着脱可能な蓋体と、を備える基板収納容器であって、容器本体の内部には、基板の後方部位を保持する第一保持溝付きの第一保持部を備え、蓋体の内側には、基板の前方部位を保持する第二保持溝付きの第二保持部を備え、第一保持部における少なくとも第一保持溝を、ポリカーボネート樹脂とポリブチレンテレフタレート樹脂とを主とするアロイ樹脂から構成する。
【0010】
本発明の別の実施の形態に係る基板収納容器は、さらに、アロイ樹脂において、その樹脂成分の質量に対して20質量%より大きく80質量%未満のポリブチレンテレフタレート樹脂を含むものでも良い。
【0011】
本発明の別の実施の形態に係る基板収納容器は、さらに、アロイ樹脂において、その樹脂成分の質量に対して25質量%以上40質量%以下のポリブチレンテレフタレート樹脂を含むものでも良い。
【0012】
本発明の別の実施の形態に係る基板収納容器は、さらに、第二保持部における少なくとも第二保持溝をアロイ樹脂から構成しても良い。
【0013】
本発明の別の実施の形態に係る基板収納容器は、また、容器本体には、その開口部からみて基板の左右両側の内面に、それぞれ、基板を一定間隔で支持する棚を有する支持部を備え、第一保持部を、支持部における開口部からみて奥側に備え、第一保持部の内側に、基板の奥側の端部を棚の上面から持ち上げて支持可能な傾斜面を備え、容器本体の開口部に蓋体を取り付けた際に、容器本体内の基板が第一保持溝と第二保持溝との間で挟持され、棚から持ち上がって保持されるような構造を有するものでも良い。
【0014】
本発明の別の実施の形態に係る基板収納容器は、さらに、支持部を、容器本体と別体とし、容器本体から着脱自在に取り付けても良い。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、基板収納容器内の保持部の溝内における基板のなめらかな上下動を維持しつつ、かつ基板端面近傍における保持部との擦れ痕の低減を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明の実施形態に係る基板収納容器の展開斜視図を示す。
図2図2は、図1の基板収納容器を組み立てた状態の主要斜視図を示す。
図3図3は、図2の基板収納容器を垂直方向(A−A線断面)にて切断した断面図を示す。
図4図4は、図2の基板収納容器を水平方向(B−B線断面)にて切断した断面図を示す。
図5図5は、図1の蓋体の裏面斜視図を示す。
図6図6は、図1の基板収納容器内に基板を収納した際に、ティースとリテーナにて基板が保持される状況を上方から見た平面図(6A)、ティースを矢印Cの方向から見た正面図(6B)およびリテーナから延出する弾性片の先端部を矢印Dの方向から見た正面図(6C)を、それぞれ示す。
図7図7は、本発明の第二実施形態に係る基板収納容器の図3と同視の断面図を示す。
図8図8は、図7の基板収納容器の図4と同視の断面図を示す。
【符号の説明】
【0017】
1,30 基板収納容器
2,31 容器本体
3 蓋体
4 リテーナ
5 開口部
11,32 支持部
12,33 ティース(第一保持部)
12a,33a 第一保持溝
20,34 後方支持部
25 先端部(第二保持部)
25a 第二保持溝
W 基板
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明の基板収納容器の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施形態は本発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている諸要素およびその組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0019】
<第一実施形態>
図1は、本発明の第一実施形態に係る基板収納容器の展開斜視図を示す。図2は、図1の基板収納容器を組み立てた状態の主要斜視図を示す。図3は、図2の基板収納容器を垂直方向(A−A線断面)にて切断した断面図を示す。図4は、図2の基板収納容器を水平方向(B−B線断面)にて切断した断面図を示す。図5は、図1の蓋体の裏面斜視図を示す。
【0020】
本発明の第一実施形態に係る基板収納容器1は、基板Wを収納する少なくとも一方を開口した容器本体2と、その容器本体2の開口部5を開閉自在に着脱可能な蓋体3と、を備える。容器本体2および蓋体3は、この実施形態では、ポリカーボネート樹脂により構成されている。ただし、容器本体2および蓋体3は、ポリカーボネート樹脂以外の樹脂、例えば、ポリプロピレン樹脂により構成されていても良い。開口部5は、左側壁、右側壁、上面壁、下面壁からそれぞれ拡開するように突出形成されていて、その内周縁に蓋体3を収納可能な形態を有する。開口部5は、その内周縁において対向する上下縁に、蓋体3を係止するための複数の係止凹部6を各一対備える。容器本体2は、その外壁に、基板収納容器1を搬送するためのロボティックフランジ7、マニュアルハンドル8、サイドレール9といった搬送部品を備える。また、容器本体2は、その底面に、ボトムプレート10を備える。ボトムプレート10は、基板収納容器1の位置決めおよびセンシングなどに利用される。
【0021】
容器本体2は、その開口部5からみて基板Wの左右両側の内面に、それぞれ、各基板Wを一定間隔で支持する棚を複数有する支持部11を備える。棚状に形成されたそれぞれの支持部11は、開口部5側に、基板Wの開口方向への移動を規制するための段差11aを有する。また、容器本体2の内部に形成された支持部11は、開口部5と反対方向となる奥側に、基板Wの奥側への移動を規制するための第一保持部としてのティース12を備える。ティース12は、基板Wの後方部位を保持する第一保持溝12aを有する。第一保持溝12aは、好ましくは、縦断面略V字若しくはU字状に2つの傾斜面から形成される。支持部11上に支持された基板Wは、第一保持溝12aの下側傾斜面により、その位置が規制される。
【0022】
蓋体3は、容器本体2と向き合う面(裏面)に、基板Wを保持するリテーナ4を備える。リテーナ4は、開口部5側に位置する基板Wの周縁に接触可能な構成部である。図5に示すように、蓋体3は、その側壁または裏面に、シール形成用のガスケット13を備える。また、蓋体3は、その内部に、一対の施錠機構14を備える。施錠機構14は、蓋体3に軸止されて、外部から回転操作可能な回転体14aと、これに連動して上下方向の直線運動を行うラッチバー14bと、ラッチバー14bの先端の係止爪14cとを備える。係止爪14cが蓋体3の側壁にある貫通穴15から突出して容器本体2の係止凹部6に係止されることにより、蓋体3を容器本体2に固定することができる。
【0023】
リテーナ4は、略矩形の枠体部23と、枠体部23から内側に突出する複数対の弾性片24を備える。各弾性片24は、その端部又は中間部に、基板Wを保持する第二保持部としての先端部25を有する。先端部25は、弾性片24から基板Wに相対向する方向に突出形成されている。第二保持溝25aは、先端部25の容器本体2の内部側の面に形成されている。第二保持溝25aは、好ましくは、縦断面略V字若しくはU字状に2つの傾斜面から形成される。
【0024】
蓋体3を容器本体2に取り付けた際、基板Wは、第二保持溝25aと第一保持溝12aとの間で保持される。第一保持溝12aは、第二保持溝25aと略水平に配置されている。支持部11の基板支持領域には、基板Wと支持部11との接触面積を低減するための突起を形成するのが好ましい。容器本体2は、その開口部5から最も奥にある背面部に、後方支持部20を備える。後方支持部20は、上下に複数段の棚を有しているが、通常は基板Wとは非接触な状態とすることができる。この場合、後方支持部20の各棚は、支持部11の各棚とは、異なる高さに形成されていることになる。こうした後方支持部20は、基板収納容器1の輸送中に大きな衝撃が加わったときなどに、基板Wの位置を規制するものである。容器本体2の内部に基板Wを入れたときには、基板Wは、支持部11、第一保持溝12aの下側傾斜面にて支持される。蓋体3を容器本体2に固定すると、基板Wの開口側先端は、第二保持溝25aの下側傾斜面と接触して、徐々に奥側へと押される。この結果、基板Wと第一保持溝12aとの接触部は、第一保持溝12a内の下側傾斜面を上方移動する。基板Wは、第二保持溝25aの最深部と、第一保持溝12aの最深部との間で、支持部11および後方支持部20から持ち上げられた状態にて保持される。容器本体2に蓋体3を取り付けて固定した際、第一保持溝12aの上側傾斜面は、その最深部から上方への基板Wの移動を規制する。
【0025】
上述のように、この実施形態に係る基板収納容器1は、容器本体2の内部には、基板Wの後方部位を保持する第一保持溝12a付きのティース12を備え、蓋体3の内側には、基板Wの前方部位を保持する第二保持溝25a付きの先端部25を備える。支持部11は、容器本体2の開口部5からみて基板Wの左右両側の内面に、それぞれ、基板Wを一定間隔で支持する棚を有する。ティース12は、支持部11における開口部5からみて奥側に備えられ、その内側に、基板Wの奥側の端部を棚の上面から持ち上げて支持可能な傾斜面を備える。容器本体2の開口部5に蓋体3を取り付けた際に、容器本体2内の基板Wは、第一保持溝12aと第二保持溝25aとの間で挟持され、支持部11の棚から持ち上がって保持される。支持部11は、容器本体2と一体化されていても良く、あるいは容器本体2と別体であり、容器本体2から着脱自在に取り付けられていても良い。
【0026】
ティース12における少なくとも第一保持溝12aは、ポリカーボネート樹脂とポリブチレンテレフタレート樹脂とを主とするアロイ樹脂から構成される。ここで、「ポリカーボネート樹脂とポリブチレンテレフタレート樹脂とを主とするアロイ樹脂」とは、ポリカーボネート樹脂とポリブチレンテレフタレート樹脂とのみから成るアロイ樹脂の他、ポリカーボネート樹脂とポリブチレンテレフタレート樹脂とそれら以外の樹脂成分を含むアロイ樹脂をも含むように広義に解釈される。ただし、それら以外の樹脂成分の質量は、ポリカーボネート樹脂あるいはポリブチレンテレフタレート樹脂の各質量に対して少ない。それら以外の樹脂成分として好適な樹脂を例示すると、ポリエチレンテレフタレート樹脂を挙げることができる。
【0027】
ティース12における少なくとも第一保持溝12aを、ポリカーボネート樹脂とポリブチレンテレフタレート樹脂とを主とするアロイ樹脂とするため、ティース12全体を上記アロイ樹脂のみで構成することもでき、あるいはティース12における第一保持溝12aの部分だけを当該アロイ樹脂としてその部分以外をポリカーボネート樹脂あるいはポリブチレンテレフタレート樹脂といった当該アロイ樹脂以外の樹脂としても良い。例えば、ポリカーボネート樹脂製のティース12を用意し、その第一保持溝12aの表面にポリカーボネート樹脂とポリブチレンテレフタレート樹脂とを主とするアロイ樹脂をコーティングしても良い。また、ポリカーボネート樹脂製のティース12の第一保持溝12aの部位に、上記アロイ樹脂から成る略U字あるいは略V字状の薄厚湾曲部材を接着しても良い。
【0028】
また、先端部25は、必ずしも、ポリカーボネート樹脂とポリブチレンテレフタレート樹脂とを主とするアロイ樹脂で構成しなくても良く、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂といった、上記アロイ樹脂以外の樹脂から構成することができる。一方、リテーナ4全体あるいは第二保持溝25aのみを、上記アロイ樹脂で構成しても良い。また、先端部25、あるいは先端部25と弾性片24を上記アロイ樹脂で構成しても良い。その場合、ティース12の少なくとも第一保持溝12aを構成する上記アロイ樹脂と、先端部25の少なくとも第二保持溝25aを構成する上記アロイ樹脂とを、同一成分のアロイ樹脂とし、あるいは異なる成分のアロイ樹脂とすることもできる。この実施形態では、ティース12全体とリテーナ4全体を、互いに同一成分とするか否かを問わず、ともに、ポリカーボネート樹脂とポリブチレンテレフタレート樹脂とを主とするアロイ樹脂で構成するのが好ましい。
【0029】
上記アロイ樹脂は、その質量に対して20質量%より大きく80質量%未満のポリブチレンテレフタレート樹脂を含むのがより好ましい。例えば、ポリカーボネート樹脂75質量%+ポリブチレンテレフタレート樹脂25質量%、ポリカーボネート樹脂70質量%+ポリブチレンテレフタレート樹脂30質量%、ポリカーボネート樹脂60質量%+ポリブチレンテレフタレート樹脂40質量%、ポリカーボネート樹脂30質量%+ポリブチレンテレフタレート樹脂70質量%、あるいはポリカーボネート樹脂25質量%+ポリブチレンテレフタレート樹脂75質量%のような両種樹脂で100質量%のアロイ樹脂を、好適に用いることができる。また、上記アロイ樹脂は、その質量に対して25質量%以上40質量%以下のポリブチレンテレフタレート樹脂を含むのがより好ましい。例えば、ポリカーボネート樹脂75質量%+ポリブチレンテレフタレート樹脂25質量%、ポリカーボネート樹脂70質量%+ポリブチレンテレフタレート樹脂30質量%、あるいはポリカーボネート樹脂60質量%+ポリブチレンテレフタレート樹脂40質量%のような両種樹脂で100質量%のアロイ樹脂を、より好適に用いることができる。
【0030】
上記以外に、ポリカーボネート樹脂20質量%+ポリブチレンテレフタレート樹脂80質量%、あるいはポリカーボネート樹脂80質量%+ポリブチレンテレフタレート樹脂20質量%のような両種樹脂で100質量%のアロイ樹脂を用いることもできる。
【0031】
後方支持部20は、容器本体2の内部背面部に一体化されていても良く、あるいは当該内部背面部から着脱自在に備えられていても良い。後方支持部20は、基板Wと接触する部位でもあることから、ティース12の少なくとも第一保持溝12aと同様、ポリカーボネート樹脂とポリブチレンテレフタレート樹脂とを主とするアロイ樹脂で構成しても良い。ポリカーボネート樹脂とポリブチレンテレフタレート樹脂との好ましい質量比率は、ティース12あるいは先端部25を上記アロイ樹脂で構成した場合と同様である。
【0032】
図6は、図1の基板収納容器内に基板を収納した際に、ティースとリテーナにて基板が保持される状況を上方から見た平面図(6A)、ティースを矢印Cの方向から見た正面図(6B)およびリテーナから延出する弾性片の先端部を矢印Dの方向から見た正面図(6C)を、それぞれ示す。
【0033】
基板Wは、蓋体3を閉めた状態の基板収納容器1の内部にて、2つのティース12の各第一保持溝12aと、リテーナ4に備える各先端部25の第二保持溝25aとで挟持された状態にある。図6(6B)および図6(6C)に示すように、この実施形態において、第一保持溝12aおよび第二保持溝25aは、それぞれ矢印C(各第一保持溝12aの正面に向かう方向)および矢印D(各第二保持溝25aの正面に向かう方向)から見て、最深部は略水平に形成されている。しかし、最深部は、略水平ではなく、水平から傾斜して形成されていても良い。
【0034】
<第二実施形態>
次に、本発明の第二実施形態に係る基板収納容器について説明する。第二実施形態において、第一実施形態と共通する部材の一部若しくは全部については、同じ符号を付し、かつその説明を省略する。
【0035】
図7は、本発明の第二実施形態に係る基板収納容器の図3と同視の断面図を示す。図8は、図7の基板収納容器の図4と同視の断面図を示す。
【0036】
第二実施形態に係る基板収納容器30は、第一実施形態に係る基板収納容器1と、基板Wの後部を保持する位置が異なる。以下、基板収納容器30における第一実施形態と異なる部分について主に説明する。
【0037】
容器本体31は、その開口部5からみて基板Wの奥方向の内面に、それぞれ、各基板Wを一定間隔で支持する後方支持部34を備える。後方支持部34は棚状に形成されている。上下方向に互いに隣接する棚の間には、第一保持部(ティース)33が形成されている。また、容器本体31は、その両側壁内面であって開口部5とティース33との略中間領域に、基板Wを載置可能な支持部32を棚状に備える。このため、ティース33は、基板Wの支持部32からさらに奥方向に形成されている。また、ティース33は、容器本体31の開口部5を蓋3にて閉じた際に、蓋3の内面に形成されるリテーナ4とティース33によって基板Wを保持し、基板Wを支持部32の板上から離す高さに形成されるのが好ましい。このため、リテーナ4とティース33は、略水平位置にあって、かつ好ましくは支持部32よりも高い位置に形成される。
【0038】
ティース33は、基板Wの後方部位を保持する第一保持溝33aを有する。第一保持溝33aは、好ましくは、縦断面略V字若しくはU字状に2つの傾斜面から形成される。支持部32上に支持された基板Wは、第一保持溝33aの下側傾斜面により、その位置が規制される。蓋体3を容器本体31に取り付けたときに、収納された基板Wは、支持部32で支持された状態から、ティース33と第二保持部としての先端部25とに挟持され、これによって支持部32から持ち上がって保持される。すなわち、基板Wは、先端部25の第二保持溝25aとティース33の第一保持溝33aとの間で保持される。この状態から蓋体3を取り外すと、基板Wは、第一保持溝33aを滑り落ちて、支持部32上で再び支持される。
【0039】
ティース33における少なくとも第一保持溝33aは、ポリカーボネート樹脂とポリブチレンテレフタレート樹脂とを主とするアロイ樹脂から構成される。ティース33における少なくとも第一保持溝33aを、ポリカーボネート樹脂とポリブチレンテレフタレート樹脂とを主とするアロイ樹脂とするため、ティース33全体を上記アロイ樹脂のみで構成することもでき、あるいはティース33における第一保持溝33aの部分だけを当該アロイ樹脂としてその部分以外をポリカーボネート樹脂あるいはポリブチレンテレフタレート樹脂といった当該アロイ樹脂以外の樹脂としても良い。例えば、ポリカーボネート樹脂製のティース33を用意し、その第一保持溝33aの表面にポリカーボネート樹脂とポリブチレンテレフタレート樹脂とを主とするアロイ樹脂をコーティングしても良い。また、ポリカーボネート樹脂製のティース33の第一保持溝33aの部位に、上記アロイ樹脂から成る略U字あるいは略V字状の薄厚湾曲部材を接着しても良い。この実施形態では、ティース33全体とリテーナ4全体を、互いに同一成分とするか否かを問わず、ともに、ポリカーボネート樹脂とポリブチレンテレフタレート樹脂とを主とするアロイ樹脂で構成している。
【0040】
上記アロイ樹脂は、その質量に対して20質量%より大きく80質量%未満のポリブチレンテレフタレート樹脂を含むのがより好ましい。例えば、ポリカーボネート樹脂75質量%+ポリブチレンテレフタレート樹脂25質量%、ポリカーボネート樹脂70質量%+ポリブチレンテレフタレート樹脂30質量%、ポリカーボネート樹脂60質量%+ポリブチレンテレフタレート樹脂40質量%、ポリカーボネート樹脂30質量%+ポリブチレンテレフタレート樹脂70質量%、あるいはポリカーボネート樹脂25質量%+ポリブチレンテレフタレート樹脂75質量%のような両種樹脂で100質量%のアロイ樹脂を、好適に用いることができる。また、上記アロイ樹脂は、その質量に対して25質量%以上40質量%以下のポリブチレンテレフタレート樹脂を含むのがより好ましい。例えば、ポリカーボネート樹脂75質量%+ポリブチレンテレフタレート樹脂25質量%、ポリカーボネート樹脂70質量%+ポリブチレンテレフタレート樹脂30質量%、あるいはポリカーボネート樹脂60質量%+ポリブチレンテレフタレート樹脂40質量%のような両種樹脂で100質量%のアロイ樹脂を、より好適に用いることができる。上記以外に、ポリカーボネート樹脂20質量%+ポリブチレンテレフタレート樹脂80質量%、あるいはポリカーボネート樹脂80質量%+ポリブチレンテレフタレート樹脂20質量%のような両種樹脂で100質量%のアロイ樹脂を用いることもできる。
【0041】
後方支持部34は、容器本体31の内部背面部に一体化されていても良く、あるいは当該内部背面部から着脱自在に備えられていても良い。後方支持部34は、基板Wと接触する部位でもあることから、ティース33の少なくとも第一保持溝33aと同様、ポリカーボネート樹脂とポリブチレンテレフタレート樹脂とを主とするアロイ樹脂で構成しても良い。ポリカーボネート樹脂とポリブチレンテレフタレート樹脂との好ましい質量比率は、ティース33あるいは先端部25を上記アロイ樹脂で構成した場合と同様である。
【0042】
<その他の実施形態>
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上述の各実施形態に限定されず、以下のように種々変形して実施することができる。
【0043】
容器本体2,31は、一方を開口した形態を有するが、2つの方向を開口した形態を有していても良い。第一保持部としてのティース12,33および第二保持部としての先端部25は、好ましくは、その質量に対して20質量%より大きく80質量%未満のポリブチレンテレフタレート樹脂を含む、ポリカーボネート樹脂とポリブチレンテレフタレート樹脂とを主とするアロイ樹脂から成る。しかし、ティース12,33および先端部25の少なくともいずれか一方を、その質量に対して20質量%以下若しくは80質量%以上のポリブチレンテレフタレート樹脂を含む、ポリカーボネート樹脂とポリブチレンテレフタレート樹脂とを主とするアロイ樹脂から構成しても良い。
【0044】
同様に、ティース12,33および先端部25は、好ましくは、その質量に対して25質量%以上40質量%以下のポリブチレンテレフタレート樹脂を含む、ポリカーボネート樹脂とポリブチレンテレフタレート樹脂とを主とするアロイ樹脂から成る。しかし、ティース12,33および先端部25の少なくともいずれか一方を、その質量に対して25質量%未満若しくは40質量%を超えるポリブチレンテレフタレート樹脂を含む、ポリカーボネート樹脂とポリブチレンテレフタレート樹脂とを主とするアロイ樹脂から構成しても良い。
【0045】
また、支持部11,32および後方支持部20,34は、上記各実施形態では、ポリカーボネート樹脂からなるが、ティース12,33と同様、ポリカーボネート樹脂とポリブチレンテレフタレート樹脂とを主とするアロイ樹脂から構成しても良い。したがって、ティース12,33の第一保持溝12a,33aを少なくともポリカーボネート樹脂とポリブチレンテレフタレート樹脂とを主とするアロイ樹脂から構成すれば、ティース12,33全体、第一保持溝12a,33aとリテーナ4全体、第二保持溝25aとティース12,33全体、さらには、これらの内の任意の1つに、支持部11,32および後方支持部20,34の内の少なくとも1つとの組み合わせなど、基板Wと接触し得る構成部(部分的であるか全体であるかを問わず)を上記アロイ樹脂にて構成することができる。
【0046】
基板Wは、蓋体3を閉めた容器本体2,31の内部にて、第一保持溝12a,33aと第二保持溝25aとの間で挟持され、支持部11,32の各棚から持ち上がって保持されるが、必ずしも支持部11,32の各棚から持ち上がって保持されなくても良い。さらには、同状況の基板Wは、後方支持部20,34から必ずしも持ち上がって保持されなくても良い。例えば、基板Wは、支持部11,32の各棚および後方支持部20,34の各棚の内の少なくとも1つに接触していても良い。
【0047】
上記各実施形態では、例示的なリテーナ4の構造を示しているが、枠体部23から伸びる弾性片24が、片持ち梁構造に限らず、弾性片24の中央部で連結されたり、左右の枠体部23から延びる弾性片24が中央部に設けられる中央枠体にそれぞれ連結されたりする両持ち梁構造を有するものでも良い。また、第二保持溝25aも、各段の弾性片24に2個ずつ形成される場合に限定されず、各段の弾性片24に1個のみあるいは合計3個以上形成されていても良い。同様に、第一実施形態において、左右のティース12にそれぞれ1個の第一保持溝12aを備えている場合に限定されず、例えば、支持部11と後方支持部20のそれぞれに第一保持溝12aを備えるようにしても良い。また、第二実施形態において、支持部32と後方支持部34のそれぞれに第一保持溝33aを備えるようにしても良い。
【0048】
また、上記各実施形態の各構成部位は、互いに組み合わせられる範囲において、互いに組み合わせても良い。例えば、ティース12,33全体を上記アロイ樹脂で構成し、リテーナ4全体をポリブチレンテレフタレート樹脂で構成しても良い。
【実施例】
【0049】
次に、本発明の実施例を、比較例と比較して説明する。なお、下記実施例は、本発明を限定するものではない。
【0050】
1.実験方法
(実施例1)
容器本体と蓋体とをポリカーボネート樹脂から形成し、支持部および第一保持部(ティース)を、ポリカーボネート樹脂とポリブチレンテレフタレート樹脂のアロイ樹脂から形成した。当該アロイ樹脂は、ポリカーボネート樹脂75質量%とポリブチレンテレフタレート樹脂25質量%とを配合した。第二保持部としての先端部を含むリテーナは、ポリブチレンテレフタレート樹脂のみから構成した。こうして、上記構成要素を持ち、図1図6に示す形状の基板収納容器を用意した。この基板収納容器に25枚の半導体ウェーハを装填し、振動試験前に、蓋体を容器本体の開口部から外したときに、半導体ウェーハがティースからスムーズに滑り下がるか否かを調べた。その後、容器本体の開口部を蓋体にて閉じ、所定の梱包を施した。梱包後、振動試験を行い、半導体ウェーハへの樹脂接触痕の有無とその程度の確認を実施した。なお、接触痕は、振動試験前後に、開口側と奥側の半導体ウェーハの端部にてその有無と程度とを確認した。
【0051】
振動試験は、具体的には、次の条件で行った。
・振動周波数:5Hz〜50Hz〜5Hz〜50Hz(1往復半)
・加速度:±0.75G
・加振時間:片道7min×3回
・固定方法:バンド止め
【0052】
接触痕の確認は、具体的には、次の方法にて行った。
半導体ウェーハのエッジ検査装置において、振動試験前後の半導体ウェーハの開口側と奥側のそれぞれの端面を、水平方向、斜め上方向、斜め下方向からそれぞれ観察した。その結果、いずれの方向から観察しても、接触痕が見られない場合には、最も良い評価「◎」を付けた。また、多少の接触痕が存在するが、ほとんど問題が無いレベルの場合には、「◎」の次に良い評価「○」を付けた。さらに、少なくともいずれか1つの方向からの観察によって、明確な接触痕が観察された場合には、不合格の評価「×」を付けた。
【0053】
振動試験前後で半導体ウェーハが回転していない場合には「なし」との評価を付け、回転している場合には「あり」の評価を付けた。
【0054】
また、振動試験前に、容器本体に収納された半導体ウェーハが第一保持部の第一保持溝からスムーズに滑り下がった場合には「◎」と評価し、スムーズに滑り下がらなかった場合には「×」と評価した。
【0055】
(実施例2)
実施例1のティースに用いたアロイ樹脂を、ポリカーボネート樹脂70質量%とポリブチレンテレフタレート樹脂30質量%の配合に変えた以外、実施例1と同一の材料、構造を採用し、実施例1と同一の評価を行った。
【0056】
(実施例3)
実施例1のティースに用いたアロイ樹脂を、ポリカーボネート樹脂60質量%とポリブチレンテレフタレート樹脂40質量%の配合に変えた以外、実施例1と同一の材料、構造を採用し、実施例1と同一の評価を行った。
【0057】
(実施例4)
実施例1のティースに用いたアロイ樹脂を、ポリカーボネート樹脂30質量%とポリブチレンテレフタレート樹脂70質量%の配合に変えた以外、実施例1と同一の材料、構造を採用し、実施例1と同一の評価を行った。
【0058】
(実施例5)
実施例1のティースに用いたアロイ樹脂を、ポリカーボネート樹脂25質量%とポリブチレンテレフタレート樹脂75質量%の配合に変え、さらに、リテーナに用いた材料を上記ティースと同様のアロイ樹脂(ポリカーボネート樹脂25質量%とポリブチレンテレフタレート樹脂75質量%を配合したアロイ樹脂)に変えた以外、実施例1と同一の材料、構造を採用し、実施例1と同一の評価を行った。
【0059】
(実施例6)
実施例1のティースに用いたアロイ樹脂を、ポリカーボネート樹脂30質量%とポリブチレンテレフタレート樹脂70質量%の配合に変え、さらに、リテーナに用いた材料を上記ティースと同様のアロイ樹脂(ポリカーボネート樹脂30質量%とポリブチレンテレフタレート樹脂70質量%を配合したアロイ樹脂)に変えた以外、実施例1と同一の材料、構造を採用し、実施例1と同一の評価を行った。
【0060】
(実施例7)
図7および図8の基板収納容器を製造するため、支持部を備えた容器本体と蓋体とをポリカーボネート樹脂から形成し、後方支持部および第一保持部(ティース)を、支持部から離れた位置に、ポリカーボネート樹脂とポリブチレンテレフタレート樹脂のアロイ樹脂から形成した。当該アロイ樹脂は、ポリカーボネート樹脂75質量%とポリブチレンテレフタレート樹脂25質量%とを配合した樹脂とした。また、第一保持部を、その位置が支持部の位置よりも高くなるように設けた。蓋体を容器本体に取り付けたときに、収納された半導体ウェーハは、支持部で支持された状態から、第一保持部と第二保持部としての先端部とに挟持され、これによって支持部から持ち上がって保持されるようにした。また、蓋体を取り外すと、半導体ウェーハWは、第一保持溝33aを滑り落ちて、支持部32上で再び支持されるようにした。先端部を含むリテーナは、ポリカーボネート樹脂25質量%とポリブチレンテレフタレート樹脂75質量%とを配合したアロイ樹脂から形成した。かかる構成の基板収納容器(第二実施形態に係る基板収納容器30に相当)に25枚の半導体ウェーハを装填し、振動試験前に、蓋体を容器本体の開口部から外したときに、半導体ウェーハがティースからスムーズに滑り下がるか否かを調べた。その後、容器本体の開口部を蓋体にて閉じ、所定の梱包を施した。梱包後、振動試験を行い、半導体ウェーハへの樹脂接触痕の有無とその程度の確認を実施した。なお、接触痕は、振動試験前後に、開口側と奥側の半導体ウェーハの端部にてその有無と程度とを確認した。
【0061】
(比較例1)
実施例1のティースに用いたアロイ樹脂を、ポリブチレンテレフタレート樹脂のみに変えた以外、実施例1と同一の材料、構造を採用し、実施例1と同一の評価を行った。
【0062】
2.実験結果
表1に、各実施例および比較例の条件および評価結果を比較して示す。表中、第一保持部および第二保持部の欄内の表示は、各樹脂成分の種類と質量%を意味する。例えば、PC75/PBT25は、ポリカーボネート75質量%とポリブチレンテレフタレート25質量%とを含むアロイ樹脂を、PBT100はポリブチレンテレフタレート樹脂100質量%を、それぞれ意味する。第一保持部および第二保持部の欄の他の表示も同様に解釈される。
【0063】
【表1】
【0064】
表1から、振動試験後の半導体ウェーハの回転および蓋体を外した後の半導体ウェーハの滑り下がり性については、各実施例および比較例との間で差異が認められなかった。しかし、接触痕の評価については、実施例1〜3、実施例7、実施例4、実施例5〜6の四者間で差異は認められるものの、いずれも合格レベルであった。特に、ティースを形成するアロイ樹脂を実施例1〜3および実施例7の配合とすると、実施例4〜6の配合と比べて、接触痕の少ないより高い評価となった。これに対して、比較例1は、半導体ウェーハの奥側の端面に明確な接触痕を有しており、不合格となった。この結果から、ティースをポリブチレンテレフタレート樹脂のみで形成すると、その部分で樹脂との接触痕が付いてしまうことがわかる。
【0065】
一方、リテーナをポリブチレンテレフタレート樹脂のみで形成した実施例1〜4、実施例7および比較例1では、半導体ウェーハの開口部側の端面に多少の接触痕が付き、リテーナをアロイ樹脂から形成した実施例5,6に比べて低い評価であった。しかし、リテーナをアロイ樹脂で形成しなくても、ティースをアロイ樹脂としないことに比べて、大きな支障はなく、評価は合格レベルであることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、半導体ウェーハやフォトマスクガラス、アルミニウムディスク等の基板を収納する基板収納容器に用いることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8