(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記メダル誘導通路の前記溝部のうち、当該溝部の入口の近傍における当該溝部の湾曲外側面と、前記メダルセレクタの前記メダル流路のうち、前記溝部の湾曲外側面に対応する面が、ほぼ同一面上にある
ことを特徴とする請求項1記載の遊技機。
前記メダル誘導通路の前記溝部のうち、当該溝部の入口の近傍における当該溝部の湾曲内側面が、前記メダルセレクタの前記メダル流路のうち、前記溝部の湾曲内側面に対応する面よりも、所定の間隔だけ前記溝部の湾曲内側方向に寄った位置にあり、当該溝部の湾曲内側面と当該溝部の湾曲内側面に対応する面との間に、段差を有する
ことを特徴とする請求項1又は2記載の遊技機。
【背景技術】
【0002】
一般に、メダルを遊技媒体とする遊技機には、スロットマシンがある。
例えば、スロットマシンは、遊技者が遊技媒体となる遊技用のメダルをメダル投入口から投入してスタートレバーを押下することにより、外周面に所定の絵柄や数字,文字等の図柄を表示した複数のリール(通常3個のリール)が回転を開始し、定速回転後、任意のタイミングで停止ボタンが押下されることでリールが停止し、停止表示されたリール上の図柄の組合せに応じて所定数のメダルがメダル払出口より払い出される遊技機である。
【0003】
このようなスロットマシンには、メダル投入口から投入されたメダルを検出するメダルセレクタが設けられている。メダルセレクタには、メダル投入口から投入されたメダルが通るメダル流路が形成されており、このメダル流路の終端部には、メダルを外部へ排出するためのメダル排出口が設けられている。
また、スロットマシンには、メダルセレクタのメダル排出口から排出されたメダルを起立状態でメダル貯留用のホッパーへ誘導するためのメダル誘導通路(メダル移送部)が設けられている(例えば、特許文献1)。
【0004】
メダル誘導通路は、メダルセレクタの終端部に接続されており、メダルセレクタのメダル排出口から排出されたメダルが、メダル誘導通路の入口部分であるメダル進入口から進入するように接続されている。
また、メダル誘導通路は、メダルを起立状態で転動させるために溝状に形成した溝部を有し、さらに、メダル誘導通路の一部又は全部にホッパーへ向かって湾曲した形状に形成した曲線誘導部を有している。
したがって、遊技者からメダル投入口にメダルが投入されると、該メダルは、メダルセレクタのメダル流路を通って、メダル排出口から排出されるとともにメダル誘導通路のメダル進入口から進入し、メダル誘導通路の曲線誘導部を通ってホッパーに誘導されることになる。
【0005】
なお、メダル誘導通路を湾曲した形状とするのは、通常、スロットマシンにおいては、メダル投入口とメダルセレクタが遊技者の右手から近い位置、すなわち、スロットマシンの前扉の右側近傍に配置されるのに対して、ホッパーが、スロットマシンの筐体内部の中央付近に配置されるため、これらの配置関係から、メダル投入口から投入されたメダルをホッパーへ誘導するためには、メダルの転送方向をホッパーが位置する方向へ変更する必要があるからである。
また、メダル誘導通路を湾曲した形状に設けることによって、メダル払出口から針金等の不正具の挿入を困難にして、不正に利益が得られることを防ぐことができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る遊技機の好ましい実施形態について、各図を参照して説明する。
遊技機には、スロットマシン,パチンコ機,パロット等様々な種類があるが、本実施形態では、本発明をスロットマシンに適用した場合について説明する。
【0014】
まず、本実施形態に係るスロットマシンについて、各図を参照して説明する。
[スロットマシン本体]
本実施形態のスロットマシン1は、複数のリールを回転させることによって遊技媒体であるメダルを獲得できる一般的な回胴式遊技機として構成されており、スロットマシン1の正面に設けられたメダル投入口2に投入されたメダルMが、メダル投入口2の直下に設けられたメダルセレクタ10のメダル流路11を通って、メダル誘導通路20を進行し、メダル貯留用のホッパー7aへ誘導されて貯留される構成となっている。
以下、本実施形態に係るスロットマシン1の各部の構成について、
図1〜
図3を参照して詳述する。
【0015】
図1〜
図3に示すように、本実施形態のスロットマシン1は、内部がマイクロコンピュータ等で構成された主制御部9a、主制御部9aからの指令によりスピーカ8,LED等のランプ類を制御する副制御部9b及び必要な機械や装置等を収納する正面側が開口した筐体1bと、筐体1bの正面側を開閉可能に覆う前扉1aとで構成されている。
【0016】
前扉1aは、スロットマシン1の筐体1bにヒンジ等を介して開閉可能に取り付けられる扉体で、この前扉1aには、遊技操作に係る複数の操作手段が設けられている。
操作手段としては、メダルMが投入されるメダル投入口2と、装置内部にクレジットとして貯留されたメダルMをゲームに投じるベットボタン2aと、各リール41a,41b,41cの回転を始動させるスタートレバー3と、回転している各リール41a,41b,41cを停止させる3つの停止ボタン5a,5b,5cなどが設けられている。
さらに、前扉1aには、各リール41a,41b,41cに表示された図柄を視認可能とする表示窓6が、各操作手段の上側に設けられている。
【0017】
メダル投入口2の寸法は、メダル投入口2に投入可能なメダルMの直径及び厚みを規制するように形成されている。
具体的には、メダル投入口2は、長辺と短辺を有する開口部を備えている。この開口部の長辺の長さは、メダルMの直径に応じた長さで形成されており、直径25mm型のメダルMを使用可能なスロットマシン1の場合には25mm程度、直径30mm型のメダルMを使用可能なスロットマシン1の場合には30mm程度の長さで形成されている。
ここで、本実施形態における直径25mm型のメダルMとは、メダルMを平面視した際に、メダルMの直径が25mm程度(例えば、24mm〜26mm程度)のものを示す。
また、直径30mm型のメダルMも同様に、メダルMの直径が30mm程度(例えば、29mm〜31mm程度)のものを示す。
また、開口部の短辺の長さは、メダルMの厚みに応じた1.6mm〜2.1mm程度の長さで形成されている。
これにより、この寸法よりも大きな直径又は厚みのメダルMは、メダル投入口2に投入することができないようになっている。
【0018】
筐体1bの中央には、リール41a,41b,41cと、各リール41a,41b,41cを回転させる図示しないモータ及び回転位置を検出するセンサ等を備えるドラムユニット4が設けられる。
また、筐体1bの下部には、メダルMの貯留・払出しを行うメダル払出装置7が設けられる。メダル払出装置7には、メダルMを貯留するホッパー7aが設けられ、メダル投入口2より投入されたメダルMが、メダルセレクタ10により適正のメダルであると検出された場合には、メダル誘導通路20を通って、ホッパー7aに誘導されるようになっている。
【0019】
主制御部9aは、メインCPU、メインROM、メインRAMなどが一体化された制御用チップの搭載された主基板、これを収容する基板ケース等から構成され、上記の各操作手段からの信号やメダルセレクタ10からの信号に基づき、ドラムユニット4、メダル払出装置7などの各装置を制御することで、以下のようなスロットマシン遊技を進行させる。
【0020】
具体的には、スロットマシン遊技は、メダル投入口2から投入されるメダルMの数(例えば、3枚)又は内部的に記憶したクレジットメダルからベットボタン2aの操作によって信号形式で投入されるメダルMの数(例えば、3枚)に応じて遊技開始可能な状態となり、この状態でスタートレバー3が操作されると、各リール41a〜41cが回転を開始するとともに、各リール41a〜41cに対応する停止ボタン5a〜5cが押下操作されると、スタートレバー3の操作タイミングで行なわれる抽選処理の抽選結果に応じた図柄の組み合わせで停止するように各リール41a〜41cが停止制御され、停止した図柄の組み合わせに基づいて入賞の有無が判定され、判定結果に応じてメダル払出装置7によりメダルMを貯留するホッパー7aを介してメダル払出口7bからメダルMが払い出されるようになっている。
【0021】
このような内容で遊技が実行されるスロットマシン1においては、遊技者からメダル投入口2に投入されたメダルMは、メダルセレクタ10のメダル流路11を通って、メダル排出口11aから排出されるとともにメダル誘導通路20の入口部分であるメダル進入口23からメダル誘導通路20に進入し、メダル誘導通路20内を進行するようになっている。
ところが、メダル誘導通路20内を進行するメダルMの経路によっては、曲線誘導部22(
図6参照)でメダル詰まりが発生することがある。
そこで、本実施形態では、メダル誘導通路20をメダルセレクタ10に対して所定の間隔だけ、メダル誘導通路20の曲線誘導部22が湾曲する方向(湾曲内側方向)に寄った位置にずらして接続することで、メダル進入口23から進入するメダルMの進行方向を湾曲内側方向に変化させ、その後、メダル誘導通路20内を進行するメダルMが、特定の経路(ジグザグに進行する経路)を通るように導くことで、曲線誘導部22におけるメダル詰まりを防止している。
【0022】
[メダルセレクタ]
メダルセレクタ10は、
図4に示すように、前扉1aの裏面に固定されるベース部材13と、ベース部材13に回動可能に軸着するカバー部材14とを備えている。また、ベース部材13の外周には、外枠12を有している。
ベース部材13には、メダルMがメダルセレクタ10内を流下するときのメダルMの表面に対向するメダルガイド面13aが形成されている(
図7参照)。
カバー部材14には、メダルガイド面13aに対向する面であるメダル摺動面14aが形成されている。
そして、メダルガイド面13aとメダル摺動面14aによってメダル流路11が形成されている。メダル流路11は、メダル一枚分程度の流路幅を有しており、メダル投入口2から投入されたメダルMを流下させながらスロットマシン1内部へ誘導する。
また、メダル流路11は、メダル流路11を通るメダルMの上端部分が下端部分よりも湾曲内側方向に突出するように鉛直方向に対して所定の角度で傾斜している。つまり、メダル流路11内にあるメダルMは、カバー部材14側に傾斜した状態で、メダル摺動面14aに沿って流下するようになっている。
このように、メダル流路11が、湾曲内側方向に傾斜しているので、メダル排出口11aも同様に、湾曲内側方向に傾斜した形状で設けられている(
図5参照)。
【0023】
また、メダルセレクタ10には、メダルセレクタ10の規格(直径25mm型又は直径30mm型)に応じた寸法よりも小さい直径又は薄い厚み(例えば、1.6mmよりも薄い厚み)のメダルMをメダル流路11から離脱させてメダル払出口7bに誘導するとともに、スタートレバー3の操作によって出力されるスタート信号に基づき、メダルセレクタ10の裏側に設けられたソレノイドがオフすることで、メダル流路11からメダルMを排除し、当該メダルMをメダル払出口7bに誘導するブロッカーと、ブロッカーより下流側に設けられ、遊技に投入されるメダルMを検出する投入検出手段と、が設けられている。
メダルセレクタ10では、メダルセレクタ10の規格に応じた適正のメダルMは、投入検出手段にて通過が検出された後、メダル流路11のメダル排出口11aから排出されて、メダル誘導通路20へ進入する。一方、不適正のメダルMは投入検出手段にて通過が検出される前に、メダル流路11の傾斜によって自重で落下して、メダル流路11から排出され、メダル払出口7bに誘導されるようになっている。
【0024】
[メダル誘導通路]
次に、本実施形態のメダル誘導通路20について説明する。
メダル誘導通路20は、メダルセレクタ10のメダル流路11を流下してきたメダルMをホッパー7aに誘導するためのメダル搬送用のガイド部材である。
このメダル誘導通路20には、
図4に示すように、メダル誘導通路20を通過するメダルMを物理的に検知するメダル検知装置30が設けられている。
メダル検知装置30は、メダル誘導通路20を流下するメダルMの上部に接触すると変位する接触片31と、接触片31の変位に連動して変位する検知片32と、この検知片32の変位を検出して、所定の検知信号を出力する変位検知センサ33とで構成されている。
このような構成により、メダル誘導通路20にてメダルMが流下すると、流下するメダル一枚ごとの上部が接触片31に接触して、当該接触片31が変位し、この接触片31の変位に連動して検知片32が変位すると、この検知片32の変位を変位検知センサ33が検出し、検出したことを示す検知信号が主制御部9aへ出力される。
なお、図示しないが、メダル誘導通路20には、該メダル誘導通路20の上面及び側面を覆う誘導通路用カバーを有している。
【0025】
主制御部9aは、メダルセレクタ10の投入検出手段(例えば、フォトセンサ)から検出信号を入力するとともに、メダル誘導通路20のメダル検知装置30からも検知信号を入力する。投入検出手段からの検出信号を入力した後、所定時間内に、メダル検知装置30からの検知信号を入力したときには、メダルMが正常に投入されたものと判定し、一方、その所定時間内に検知信号を入力しなかったときには、異常が発生したものと判定するようになっている。
この判定を実行することにより、例えば、不正行為によりメダルセレクタ10の投入検出手段を誤動作させてメダルMが投入された状態が偽装されたとしても、メダル誘導通路20に設けられたメダル検知装置30ではメダルMが検知されないことから、主制御部9aは、異常が発生したものと判定することができる。
【0026】
次に、
図6を参照して、メダル誘導通路20のガイド部材としての機能を説明する。
図6は、メダル誘導通路の構成を示しており、(a)はメダル誘導通路を斜め上の手前方向から見た斜視図であり、(b)は(a)のA−A断面図であり、(c)は(a)のB−B断面図である。
図6に示すように、メダル誘導通路20は、メダル進入口23を起点としてメダルMの流下方向に沿って直線状に延伸した直線誘導部21と、直線誘導部21の終端を起点としてホッパー7aに向かう方向へ湾曲しながら延伸した曲線誘導部22と、曲線誘導部22の終端を起点としてホッパー7a内へメダルMを送り込むガイド部25等により構成されている。
【0027】
直線誘導部21には、メダルMを起立させた状態で転動させるための溝状の直線溝部21aが形成されている。また、曲線誘導部22においても、メダルMを起立させた状態で転動させるための溝状の曲線溝部22aが形成されている。
直線溝部21aは、直線誘導部21を上から見た状態で直線状に形成されており、
図6(b)に示すように、断面U字状に形成されている。また、直線溝部21aの一方の側部に位置する第一側壁部21bと、他方の側部に位置する第二側壁部21cと、深さ方向下方に位置する底部21dとにより形成されている。
直線溝部21aは、第一側壁部21bの表面である第一壁面211bと、第二側壁部21cの表面である第二壁面211cを有する。
【0028】
曲線溝部22aは、曲線誘導部22を上から見た状態で湾曲した形状に形成されており、
図6(c)に示すように、断面U字状に形成されている。また、曲線溝部22aの湾曲内側の側部に位置する内側壁部22bと、湾曲外側の側部に位置する外側壁部22cと、深さ方向下方に位置する底部22dとにより形成されている。
そして、曲線溝部22aは、直線溝部21aと連続した細長い一本の溝部として形成されており、これら直線溝部21a及び曲線溝部22aの中を、メダルMが転動しながらホッパー7aに向かって進行するようになっている。また、曲線溝部22aの内側壁部22bは、直線溝部21aの第一側壁部21bに連続しており、曲線溝部22aの外側壁部22cは、直線溝部21aの第二側壁部21cに連続している。
【0029】
なお、直線溝部21aと曲線溝部22aは、メダルMを全体的に覆い隠すような深さの溝状に形成されているのではなく、これら直線溝部21aと曲線溝部22aの上面が開口し、かつ、そのメダルMの上部が直線溝部21a及び曲線溝部22aの深さ方向上端よりも上方に露出する程度の深さで形成されている。これにより、メダル誘導通路20の上部に設置されたメダル検知装置30の接触片31が、メダル誘導通路20を通過するメダルMの上部に接触可能となることから、メダル検知装置30は、そのメダルMを検知可能となっている。
【0030】
直線誘導部21は、
図6(b)に示すように、該直線誘導部21をメダル進入口23側から見たときに、湾曲内側方向に鉛直方向に対して所定の角度で傾斜した状態となるように形成されている。これは、メダルセレクタ10のメダル流路11が、湾曲内側方向に傾斜していることに合わせたものであり、メダルセレクタ10のメダル排出口11aから排出されたメダルMが、直線誘導部21の直線溝部21aにスムーズに進入できるようにしたものである。
また、曲線誘導部22においても、
図6(c)に示すように、湾曲内側方向に鉛直方向に対して所定の角度で傾斜した状態となっている。
【0031】
[メダル誘導通路とメダルセレクタの接続構造]
次に、
図7及び
図8を参照して、メダル誘導通路20とメダルセレクタ10の接続部分の構造について説明する。
図7は、メダル誘導通路とメダルセレクタの接続部分を上から見た図であって、(a)は
図5のC−C断面図であり、(b)は(a)のA部を拡大した要部拡大図である。
図8は、メダル誘導通路とメダルセレクタの接続構造を説明するための概略断面図である。なお、
図8は、メダル誘導通路20とメダルセレクタ10の接続構造が理解しやすいように構成を簡略化してある。
【0032】
各図に示すように、メダル誘導通路20とメダルセレクタ10は、メダル誘導通路20のメダル進入口23と、メダルセレクタ10のメダル排出口11aを合わせるようにして接続される。
このとき、メダル進入口23が形成された取付部材24の取付面24aを、メダル排出口11aが形成された外枠12の面に対して面接触するように取り付け、取付部材24と外枠12を、ネジ止めすることで、メダル誘導通路20がメダルセレクタ10に固定される。これにより、メダル誘導通路20とメダルセレクタ10の接続部分が、隙間なく接続することができる。
【0033】
さらに具体的に、メダル誘導通路20とメダルセレクタ10の接続構造について説明する。
図8に示すように、メダル流路11のうちメダル排出口11aの近傍におけるメダル流路11の幅D1の中心を第一中心とし、直線溝部21aのうちメダル進入口23の近傍における直線溝部21aの幅D2の中心を第二中心としたとき、第二中心が、第一中心よりも、間隔Sだけ直線溝部21aの第一壁面211b側に寄った位置にずれるように、メダル誘導通路20がメダルセレクタ10に接続されている。
このように、メダル誘導通路20がメダルセレクタ10に接続されることによって、メダル進入口23の近傍の第一壁面211bと、メダル排出口11aの近傍のメダル摺動面14aとの間に、段差Lが形成される。
そして、この段差Lが形成されることによって、メダルセレクタ10のメダル排出口11aからメダル誘導通路20のメダル進入口23に進入したメダルMを、メダル誘導通路20内においてジグザグに進行する経路に導くことができる。
【0034】
また、直線溝部21aにおける幅方向の幅D2は、メダル流路11における幅方向の幅D1よりも、広く形成されている。
このようにメダルが通る箇所の幅の広さが異なることから、メダル進入口23の近傍における直線溝部21aの第二壁面211cを、この第二壁面211cに対応する面であるメダル排出口11aの近傍のメダルガイド面13aと、ほぼ同一面上となるように、メダル誘導通路20がメダルセレクタ10に接続されている。
これによって、上述したように、メダル進入口23の近傍における直線溝部21aの第二中心を、メダル排出口11aの近傍におけるメダル流路11の第一中心よりも間隔Sだけ直線溝部21aの第一壁面211b側に寄った位置にすることができる。
また、直線溝部21aの第二壁面211cとメダル流路11のメダルガイド面13aがほぼ同一面上であることから、例えば、メダルMが、メダル排出口11aから排出される際に、メダル流路11のメダルガイド面13aに寄った状態で排出されるような場合には、第二壁面211cとメダルガイド面13aとの接続部分において、メダルが通る側に突出部分が生じないため、メダルMの進行の妨げになることがない。
【0035】
このように、本実施形態においては、メダル誘導通路20とメダルセレクタ10を上記のような接続構造とすることによって、メダルセレクタ10のメダル排出口11aから排出されて、メダル誘導通路20のメダル進入口23に進入したメダルMを、メダル誘導通路20内においてジグザグに進行する経路に導くことができる。
次に、メダルMがメダル誘導通路20内を進行する経路(ジグザグ経路)について説明する。
【0036】
[メダルがメダル誘導通路内を進行する経路]
図9〜
図13は、メダル誘導通路20内をメダルMが通る経路のうち、それぞれの位置におけるメダルMの状態を示してある。
図14は、曲線誘導部22内におけるメダル詰まりの発生状況を示している。
まず、遊技者によりメダル投入口2から投入されて、メダルセレクタ10のメダル流路11を通るメダルMは、メダル流路11が湾曲内側方向に傾斜していることから、メダルMの傾斜方向側の表面(傾斜側表面)がメダル流路11のメダル摺動面14aに沿った状態で流下する。そのため、メダル排出口11aから排出される該メダルMは、メダル摺動面14aに沿った位置から排出される。
そして、直線溝部21aの第一壁面211bがメダル摺動面14aよりも湾曲内側方向に寄った位置にあり、かつ、直線溝部21aの第二壁面211cとメダル流路11のメダルガイド面13aが、ほぼ同一面上であることにより、メダル摺動面14aに沿ってメダル排出口11aから排出されてメダル進入口23に進入するメダルMは、
図9に示すように、直線溝部21aの第一側壁部21bに沿ってメダル進入口23に進入せずに、第二側壁部21c側に寄った位置から進入する(位置A)。
【0037】
図10に示すように、メダルMがさらに直線溝部21aを進入し、当該メダルMのうち前半分が直線溝部21aに進入すると、当該メダルMの重心がメダル排出口11aを通過する。
このとき、メダルMは、メダル流路11のメダル摺動面14a及び直線溝部21aの第一壁面211b側へ傾斜しており、かつ、第一壁面211bは、メダル摺動面14aに対して段差Lだけ湾曲内側方向にずれており、さらに、メダルMの前半分の傾斜側表面と第一壁面211bとの間が離間していることから、メダルMの先端部分が直線溝部21aの第一壁面211bに近づくように向きを変える。
そして、メダルMが、直線溝部21aの第一壁面211bに近づくように進行すると、
図11に示すように、メダルMの傾斜側表面の先端部分が、直線溝部21aの第一壁面211bに衝突する(位置B)。
【0038】
この衝突によって、メダルMの先端部分が、直線溝部21aの第二壁面211c方向に跳ね返り、跳ね返った該メダルMは第二壁面211c方向に進行方向を変える。
なお、位置BにおいてメダルMが直線溝部21aの第一壁面211bに衝突し、第二壁面211c側に跳ね返るのに十分な長さ(間隔)からなる段差L(
図8参照)を設けることが好ましい。
そして、メダルMが、直線溝部21aの第二壁面211c方向に進行すると、
図12に示すように、メダルMの傾斜方向とは反対方向側の表面(反傾斜側表面)の先端部分が、曲線溝部22aの外側面221cに接触する(位置C)。
【0039】
ここで、直線誘導部21のメダル進行方向の長さ(以下、直線区間の長さという)は、メダルMの直径の半分以上の長さを有している。
このように、直線誘導部21の直線区間の長さを、メダルMの直径の半分以上とすることによって、メダルセレクタ10からメダル誘導通路20に進入したメダルMが、メダル誘導通路20内を進行する際に、該メダルMの先端部分が位置Aから位置Bに達するのに十分な長さを有している。
さらに、この直線区間の長さは、直線溝部21aの第一壁面211b側に寄って姿勢を崩したメダルMを、この直線区間で第二壁面211c側に姿勢を変えて、曲線誘導部22(位置C)へ導くのに十分な長さを有している。
【0040】
位置CにメダルMの先端部分が達すると、メダルMは曲線誘導部22に差し掛かり、曲線溝部22a内を湾曲する方向に旋回しながら進行する。したがって、メダルMは、曲線溝部22a内を進行する際に受ける遠心力の作用によって、
図13に示すように、曲線溝部22aの外側面221c側に沿って、曲線溝部22a内を進行する(位置D)。
【0041】
このように、メダルセレクタ10のメダル排出口11aから排出され、メダル誘導通路20のメダル進入口23に進入したメダルMの先端部分が、位置A→位置B→位置C→位置Dのように移動するため、該メダルMは、メダル誘導通路20内をジグザグに進行する経路を通ることになる。
そして、メダルMが、メダル誘導通路20内において特定の経路(ジグザグ経路)を通ることによって、メダル誘導通路20の曲線誘導部22においてメダル詰まりの発生を防止することができる。
次に、メダルMがジグザグ経路を通ることによって、曲線誘導部22においてメダル詰まりの発生を防止することができる理由を説明する。
【0042】
例えば、
図7及び
図8に示すようなメダル誘導通路20とメダルセレクタ10との接続構造(位置)が考慮されていない場合には、メダルMは、次のような経路を通る場合があり、この場合には曲線誘導部22においてメダル詰まりが生じることがある。
具体的には、メダル排出口11aの近傍のメダル摺動面14aと、メダル進入口23の近傍の第一壁面211bが、ほぼ同一面上となるようにメダル誘導通路20とメダルセレクタ10が接続されている場合には、メダル投入口2から投入されたメダルMは、メダル流路11のメダル摺動面14aに沿ってメダル排出口11aから排出されて、直線溝部21aの第一側壁部21bに沿った状態でメダル進入口23に進入する。
そして、第一側壁部21bに沿った状態でメダル進入口23に進入したメダルMは、メダルMの傾斜側表面の先端部分が、直線溝部21aの第一壁面211bに衝突することなく、そのまま、直線誘導部21を直進して、曲線誘導部22に差し掛かるような経路を通る。
【0043】
すなわち、曲線誘導部22にメダルMが差し掛かった際に、該メダルMの先端部分が、曲線溝部22aの内側面221b側に位置するので、メダルMが連続して複数枚投入された場合に、先行メダルの後端部分において、メダル一枚分の厚み程度、あるいはそれ以上の隙間が生じているときには、
図14(b)に示すように、該メダルの先端部分が、この隙間に入り込んで、メダル詰まりが発生する場合がある。
【0044】
これに対し、上記のように、
図7及び
図8に示すようなメダル誘導通路20とメダルセレクタ10との接続構造を有する場合には、メダルMは、メダル誘導通路20内において特定の経路(ジグザグ経路)を通る。
すなわち、メダルMが曲線誘導部22に差し掛かった際に、該メダルMの先端部分が、曲線溝部22aの外側面221c側に位置するので(位置C)、メダルMが連続して複数枚投入された場合に、
図14(a)に示すように、該メダルの先端部分が隙間に入り込むことがない。
このように、メダルセレクタ10からメダル誘導通路20へ進入したメダルMがメダル誘導通路20内においてジグザグに進行する経路を通るため、曲線誘導部22において、メダル同士が進行方向前後で重なり合うように挟まる、メダル詰まりの発生を防止することができる。
【0045】
以上説明したように、本実施形態のスロットマシン1によれば、メダル誘導通路20のメダル進入口23の近傍における幅方向の中心が、メダル流路11のメダル排出口11aの近傍における幅方向の中心よりも、湾曲内側方向に寄った位置にずれるようにメダル誘導通路20がメダルセレクタ10に接続されるため、メダルセレクタ10からメダル誘導通路20に進入したメダルMが、メダル誘導通路20内を進行方向にジグザグに進行する経路を通ることができ、メダル誘導通路20(曲線誘導部22)におけるメダル詰まりを防止することができる。
このように、メダル詰まりの発生を防ぐことによって、遊技者が遊技を中断させることなく、スムーズに遊技を行うことができる。
また、メダル誘導通路20は、単独の部品で構成されており、かつ、複数のメダルMの直径(直径25mm型、直径30mm型)及びメダルMの厚さ(1.6〜2.05mm)に共通して使用することができるため、スロットマシン1の種類やメダルセレクタ10の種類に限定されずに適用することができ、優れた汎用性を有し、コストを削減することができる。例えば、メダル詰まりが発生する既存のスロットマシン1に対して改善パーツとして使用することができる。
例えば、上述した特許文献1に記載のメダル誘導通路を備えるスロットマシンにおいては、次のような問題があった。
例えば、メダル投入口にメダルが連続して複数枚投入された場合、メダル誘導通路内でメダル同士が進行方向前後で重なり合うように挟まり、メダル詰まりが発生するという問題があった。
具体的には、メダル投入口に投入された複数枚のメダルのうち先行するメダル(以下、先行メダル)が、メダル誘導通路の曲線誘導部に差し掛かった際に、湾曲方向に沿って向きを変えると、該メダルの後端部分が、曲線誘導部における湾曲側の内壁面(湾曲内側壁面)から離れる方向へ振れて、該メダルの後端部分と湾曲内側壁面との間に、メダル一枚分の厚み程度、あるいはそれより広い隙間ができてしまう。そうすると、この隙間に後方から続いて転動してくるメダル(以下、後続メダル)の先端部分が入り込んでしまい、先行メダルと後続メダルが進行方向前後で重なり合って詰まってしまう場合がある(図14(b)参照)。
そして、このようにメダル詰まりが発生すると、メダルが詰まっている部分に後方から続いて転動してくるメダルが次々と詰まってしまい、遊技場の店員に強制的に取り除いてもらうまで、遊技者は、遊技を中断しなければならなかった。
これに対して、本発明は、メダルセレクタからメダル誘導通路へ進入したメダルが、メダル誘導通路内を進行する際に特定の経路を通ることができ、メダル誘導通路(曲線誘導部)におけるメダル詰まりを防止することができる。
【0046】
以上、本発明の遊技機の好ましい実施形態について説明したが、本発明に係る遊技機は上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、上述した実施形態では、メダル誘導通路20のメダル進入口23の近傍における幅方向の中心が、メダルセレクタ10のメダル排出口11aの近傍における幅方向の中心よりも間隔Sだけ湾曲内側方向に寄った位置に、メダル誘導通路20をメダルセレクタ10に接続することによって、段差Lが形成されるように説明したが、これに限らず、例えば、直線溝部21aの第一壁面211bと、メダル流路11のメダル摺動面14aが、同一面上とならないようにメダル誘導通路20とメダルセレクタ10を接続することで、直接、段差Lを形成してもよい。この場合は、メダル進入口23の近傍における第一壁面211bが、メダル排出口11aの近傍におけるメダル摺動面14aよりも、所定の間隔分だけ、湾曲内側方向に寄った位置に、メダル誘導通路20を接続することで、段差Lを形成する。