(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6372894
(24)【登録日】2018年7月27日
(45)【発行日】2018年8月15日
(54)【発明の名称】USBメモリ
(51)【国際特許分類】
G06F 13/14 20060101AFI20180806BHJP
G06F 3/00 20060101ALI20180806BHJP
G06K 19/07 20060101ALI20180806BHJP
G06F 9/445 20180101ALI20180806BHJP
【FI】
G06F13/14 310F
G06F3/00 A
G06K19/07 190
G06K19/07 200
G06F9/445 130
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-59354(P2016-59354)
(22)【出願日】2016年3月24日
(65)【公開番号】特開2017-174148(P2017-174148A)
(43)【公開日】2017年9月28日
【審査請求日】2017年7月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106563
【弁理士】
【氏名又は名称】中井 潤
(72)【発明者】
【氏名】澤浦 芳典
(72)【発明者】
【氏名】須田 渉
(72)【発明者】
【氏名】大内 俊治
【審査官】
田名網 忠雄
(56)【参考文献】
【文献】
登録実用新案第3202415(JP,U)
【文献】
特開昭62−107360(JP,A)
【文献】
特開2010−026730(JP,A)
【文献】
特開2009−093369(JP,A)
【文献】
特開2000−099220(JP,A)
【文献】
特表2010−510640(JP,A)
【文献】
特表2013−532351(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/00
G06F 8/00−8/38
G06F 8/60−8/77
G06F 9/44−9/445
G06F 9/451
G06F 13/10−13/14
G06K 19/00−19/18
H01R 24/00
H01R 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表向き及び裏向きのいずれの向きでも挿入可能なUSB接続部と、
互いに異なるアプリケーション又はオペレーティングシステムが各々格納される2つの不揮発メモリと、
前記USB接続部の挿入方向を判定する表裏判定部と、
該表裏判定部の判定結果に基づいて前記2つの不揮発メモリのいずれか一方を選択するメモリ切替部とを備え、
該USBメモリが情報機器のUSBポートに接続された際に、前記メモリ切替部によって選択された不揮発メモリに格納される前記アプリケーション又はオペレーティングシステムが該USBメモリ上で該USBメモリによって自動で起動することを特徴とするUSBメモリ。
【請求項2】
表向き及び裏向きのいずれの向きでも挿入可能なUSB接続部と、
互いに異なるアプリケーション又はオペレーティングシステムが各々格納される2つの領域を有する不揮発メモリと、
前記USB接続部の挿入方向を判定する表裏判定部と、
該表裏判定部の判定結果に基づいて前記不揮発メモリのいずれか一方の領域を選択するメモリ切替部とを備え、
該USBメモリが情報機器のUSBポートに接続された際に、前記メモリ切替部によって選択された領域に格納される前記アプリケーション又はオペレーティングシステムが該USBメモリ上で該USBメモリによって自動で起動することを特徴とするUSBメモリ。
【請求項3】
前記表裏判定部は、前記USB接続部の表向き側又は裏向き側の電源電極を監視し、
該USBメモリが前記情報機器に接続された際に、前記電源電極に所定値より高い電圧が掛かった場合に前記USB接続部の挿入方向が表向き又は裏向きのいずれか一方であると判定し、前記電源電極に所定値より低い電圧が掛かった場合に前記USB接続部の挿入方向が表向き又は裏向きのいずれか他方であると判定することを特徴とする請求項1又は2に記載のUSBメモリ。
【請求項4】
前記USB接続部は、USBA雄側コネクタ又はUSBマイクロB雄側コネクタであることを特徴とする請求項1、2又は3に記載のUSBメモリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パソコン等のUSBポートを有する機器に接続して用いられるUSBメモリに関する。
【背景技術】
【0002】
インターネットへ接続されていない情報機器のソフトウェアのアップデートを行う場合等のために、USBメモリ内のフラッシュメモリ(不揮発メモリ)に、アプリケーションと、このアプリケーションを自動的に起動するautorun.inf等の自動起動ファイルを予め格納することで、USBメモリを情報機器のUSBポートに接続したときに、USBメモリ内のアプリケーションを自動で起動させる技術が知られている。
【0003】
この技術では、USBメモリの情報機器への接続をトリガとしてアプリケーションを起動させるため、予め定められた1つのアプリケーションを自動起動させることができるが、他のアプリケーションを自動起動させたい場合にはファイルを書き換えるか、アプリケーション毎にUSBメモリを用意する必要があった。
【0004】
また、不特定多数が利用するPC(パソコン)のOS(オペレーティングシステム)を切り替える場合等のために、USBメモリ内にOSを格納しておき、パソコンのUSBポートにUSBメモリを接続してOSを自動で起動させる技術も知られている。この場合にも、USBメモリのPCへの接続をトリガとしてOSを起動させるため、OS毎にUSBメモリを用意する必要があった。
【0005】
そこで、1つのUSBメモリで様々なアプリケーション等を起動させるため、特許文献1には、USBメモリをUSBポートに接続した後に捻ることで、起動させるアプリケーションを選択することが開示される。
【0006】
また、特許文献2には、USBメモリをUSBポートに接続した後に所定の方向に傾けることでスイッチを押下し、起動させるアプリケーションを選択することが開示される。
【0007】
さらに、特許文献3には、アクセサリと、アクセサリに接続され、表向き及び裏向きのいずれの向きでも挿入可能なUSB接続部を有するUSBケーブルと、USB接続部が挿入され、USB接続部の挿入方向(表裏)を検出する手段とを有するデバイスとが開示され、さらに、USB接続部を介してアクセサリがデバイスに接続されたときに、アクセサリに格納される設定情報に基づいてデバイスの設定情報を更新することが開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−160263号公報
【特許文献2】特開2008−310711号公報
【特許文献3】特表2015−503184号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記特許文献1及び2に記載の技術では、1つのUSBメモリにおいて様々なアプリケーション等を自動で起動させることができるが、USBメモリが接続されるUSBポートを改造したり、USBポートが設けられる機器にアプリケーション等を予め格納しておく必要があるため、このような準備が予めなされた専用の機器に対してUSBメモリを接続する場合にしか利用できなかった。また、USBメモリが接続される設備のコストが増加するという問題もあった。
【0010】
さらに、上記特許文献3に記載の技術においても、設定情報をOSに置き換えれば、USB接続部の挿入方向に応じて、自動起動させるOSを切り替えることができるものの、USB接続部の挿入方向を検出する手段を備えた専用の機器に対してUSBメモリを接続する場合にしか利用できなかった。また、USBメモリが接続される設備のコストが増加するという問題もあった。
【0011】
そこで、本発明は、USBポートを有する汎用の情報機器に接続した際に自動起動するアプリケーション等を切り替えることができると共に、情報機器の設備コストを低く抑えることができるUSBメモリを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のUSBメモリは、表向き及び裏向きのいずれの向きでも挿入可能なUSB接続部と、互いに異なるアプリケーション又はオペレーティングシステムが各々格納される2つの不揮発メモリと、前記USB接続部の挿入方向を判定する表裏判定部と、該表裏判定部の判定結果に基づいて前記2つの不揮発メモリのいずれか一方を選択するメモリ切替部とを備え、該USBメモリが情報機器のUSBポートに接続された際に、前記メモリ切替部によって選択された不揮発メモリに格納される前記アプリケーション又はオペレーティングシステムが
該USBメモリ上で該USBメモリによって自動で起動することを特徴とする。
【0013】
また、本発明のUSBメモリは、表向き及び裏向きのいずれの向きでも挿入可能なUSB接続部と、互いに異なるアプリケーション又はオペレーティングシステムが各々格納される2つの領域を有する不揮発メモリと、前記USB接続部の挿入方向を判定する表裏判定部と、該表裏判定部の判定結果に基づいて前記不揮発メモリのいずれか一方の領域を選択するメモリ切替部とを備え、該USBメモリがUSBポート情報機器に接続された際に、前記メモリ切替部によって選択された領域に格納される前記アプリケーション又はオペレーティングシステムが
該USBメモリ上で該USBメモリによって自動で起動することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明によれば、汎用の情報機器に接続した際に自動起動するアプリケーション等を切り替えることができると共に、情報機器の設備コストを低く抑えることができるUSBメモリを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明に係るUSBメモリの一実施の形態を示すブロック図である。
【
図3】
図1のUSBメモリの接続動作を説明するためのフローチャートである。
【
図4】本発明に係るUSBメモリの他の実施形態を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明に係るUSBメモリの一実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0017】
図1は、本発明に係るUSBメモリの一実施の形態を示し、このUSBメモリ1は、USBポートを有する汎用のPC10に接続して利用されるものであって、USB接続部2と、2つの不揮発メモリ3、4と、USB接続部2の挿入方向を判定する表裏判定部5と、表裏判定部5の判定結果に基づいて2つの不揮発メモリ3、4のいずれか一方を選択するメモリ切替部6とで構成される。
【0018】
USB接続部2は、
図2に示すように、USBポートのUSBA雌側コネクタと接続するためのUSBA雄側コネクタであって、表向き及び裏向きのいずれの向きで挿入されても認識できるように、電源及びデータ線の電極が上下対称で配置されている。ここで、USBメモリ1の表向き側の電源電極にのみ符号を付すこととする(2a:電源電極)。この電源電極2aは、汎用ポート2bを介して表裏判定部5に接続されている。
【0019】
図1に示した不揮発メモリ3、4には、互いに異なるOSが各々格納され、このOSは不揮発メモリ3、4の通電時に自動で起動する。
【0020】
表裏判定部5は、USB接続部2の挿入方向を判定し、判定結果をメモリ切替部6に送信するために設けられる。この挿入方向は、
図2に示すように、USB接続部2の電源電極2aを監視し、USBメモリ1の接続時において電源電極2aから汎用ポート2bを介して表裏判定部5に掛かる電圧の高低に基づいて判定することができる。
【0021】
次に、上記構成を有するUSBメモリ1の接続時の動作について、
図1及び
図3を参照しながら説明する。
【0022】
USBメモリ1をPC10のUSBポートに接続すると(ステップS1)、ステップS2において、表裏判定部5によって上述のようにしてUSB接続部2の挿入方向が判定され、USB接続部2の挿入方向が表向きであると判定されると(ステップS2;Yes)、メモリ切替部6がこの判定結果に基づいて不揮発メモリ3を選択し(ステップS3)、不揮発メモリ3が通電されて格納されるOSが自動で起動する(ステップS4)。
【0023】
一方、ステップS2において、表裏判定部5によってUSB接続部2の挿入方向が裏向きであると判定されると(ステップS2;No)、メモリ切替部6がこの判定結果に基づいて不揮発メモリ4を選択し(ステップS5)、不揮発メモリ4が通電されて格納されるOSが自動で起動する(ステップS6)。
【0024】
以上のように、本実施の形態によれば、USB接続部2の挿入方向によって自動起動させるOSを選択するための構成要素をUSBメモリ1内にすべて実装したため、PCのUSBポートを改造したり、PCに予めOSを格納しなくて済み、汎用のPC10にそのまま接続することができる。
【0025】
次に、本発明に係るUSBメモリの他の実施形態について、
図4を参照しながら説明する。このUSBメモリ11は、USB接続部2と、1つの不揮発メモリ12と、表裏判定部5と、不揮発メモリ12内にソフトウェアとして実装されるメモリ切替部12aとで構成される。
図1と同一の参照番号を付したものは、
図1と同一の構成を有するため説明を省略する。
【0026】
不揮発メモリ12に実装されるメモリ切替部12aは、不揮発メモリ12内にパーテーション12bを介して2つの領域12c、12dを形成する。
【0027】
この領域12c、12dの内部に互いに異なるOSを各々格納し、USBメモリ11がPC10に接続された際に、メモリ切替部12aが表裏判定部5の判定結果に基づいて2つの領域12c、12dのいずれか一方を選択することで、上述の2つの不揮発メモリ3、4を設けたUSBメモリ1と同様に自動起動するOSを切り替えることができる。
【0028】
さらに、本実施の形態では不揮発メモリが1つで済むため、不揮発メモリを2つ設けた上記実施の形態に比べて製造コストを低減することができる。
【0029】
尚、上記実施の形態においては、USBメモリ1、11をPC10のUSBBポートに接続し、USBメモリ1、11に格納されるOSを自動で起動させる場合について説明したが、本発明は、USBポートを有する他の情報機器に、アプリケーションとこのアプリケーションを自動的に起動させるautorun.inf等の自動起動ファイルを格納したUSBメモリを接続する場合にも利用することができる。
【0030】
また、USB接続部2がUSBA雄側コネクタである場合について説明したが、USB接続部2を表向き及び裏向きのいずれの向きでも挿入可能に構成することができればこれに限定されず、例えば、USB接続部2をUSBマイクロB雄側コネクタとし、USBメモリ1、11をスマートフォン等に接続してもよい。
【0031】
さらに、USBメモリ1、11の表向き側の電源電極2aを表裏判定部5の監視対象とした場合について説明したが、逆に、USBメモリ1、11の裏向き側の電源電極を監視対象とし、この電源電極から表裏判定部5に掛かる電圧が所定値より高い場合にUSBメモリ1、11が裏向きで接続されていると判定してもよい。
【0032】
また、USB接続部2の挿入方向とその回数を、USBメモリ1、11を利用するためのパスワードに見立て、このパスワード通りにUSB接続部2が挿入されない限りUSBメモリ1、11を利用することができないように構成することで、USBメモリ1、11のセキュリティを向上させることもできる。
【符号の説明】
【0033】
1 USBメモリ
2 USB接続部
2a 電源電極
2b 汎用ポート
3、4 不揮発メモリ
5 表裏判定部
6 メモリ切替部
10 PC
11 USBメモリ
12 不揮発メモリ
12a メモリ切替部
12b パーテーション
12c、12d 領域