特許第6372915号(P6372915)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6372915
(24)【登録日】2018年7月27日
(45)【発行日】2018年8月15日
(54)【発明の名称】脂肪診断装置および脂肪診断用付属装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/14 20060101AFI20180806BHJP
【FI】
   A61B8/14
【請求項の数】6
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2014-135343(P2014-135343)
(22)【出願日】2014年6月30日
(65)【公開番号】特開2016-13176(P2016-13176A)
(43)【公開日】2016年1月28日
【審査請求日】2017年6月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】505127721
【氏名又は名称】公立大学法人大阪府立大学
(73)【特許権者】
【識別番号】506122327
【氏名又は名称】公立大学法人大阪市立大学
(74)【代理人】
【識別番号】100114030
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿島 義雄
(72)【発明者】
【氏名】堀中 博道
(72)【発明者】
【氏名】森川 浩安
【審査官】 冨永 昌彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−070704(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/067304(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 − 8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多チャンネルの主プローブを用いて測定部位からエコー信号を取得し、当該エコー信号により形成された超音波画像で画像診断を行う超音波診断装置に付設され、加温前後の測定部位のエコー信号から超音波速度変化を算出して脂肪診断を行う脂肪診断装置であって、
前記脂肪診断装置は、加温用の超音波照射が可能な副プローブと、
加温用の超音波源で発生させた超音波を、前記副プローブを介して測定部位に照射することにより加温制御を行うとともに、前記副プローブを介してパルス信号を送波し加温前後のエコー信号を測定する制御を行う脂肪測定制御部と、
前記加温前後のエコー信号から超音波速度変化を含む脂肪情報を算出する脂肪情報算出部と、
前記主プローブと前記副プローブとが同時に装着され、各プローブから照射される超音波を測定部位に出射する共通の出射口が設けられ、かつ、いずれか一方の超音波を選択的に送受させるプローブホルダとを備え、
各プローブの振動子と接するように流動性の超音波伝播媒体を充填した共通のスタンドオフが形成されるととともに、当該スタンドオフ内にはいずれか一方のプローブから出射される超音波を出射口に導くように切り替える切替機構が取り付けられることを特徴とする脂肪診断装置。
【請求項2】
前記副プローブは、1チャンネルの振動子からなる請求項1に記載の脂肪診断装置。
【請求項3】
前記脂肪情報算出部は、超音波速度変化または脂肪情報を数値または文字データで出力する請求項1または請求項2のいずれかに記載の脂肪診断装置。
【請求項4】
前記脂肪測定制御部は、0.5MHz〜3MHzの加温用の超音波を送波する請求項1〜請求項3のいずれかに記載の脂肪診断装置。
【請求項5】
前記脂肪診断装置は、表示装置を有し計算処理が可能な外部コンピュータ装置が接続され、
前記脂肪情報算出部は前記外部コンピュータ装置に設けられる請求項1〜請求項のいずれかに記載の脂肪診断装置。
【請求項6】
多チャンネルの主プローブを用いて測定部位からエコー信号を取得し、当該エコー信号により形成された超音波画像で画像診断を行う超音波診断装置に付設され、加温前後の測定部位のエコー信号から超音波速度変化を算出して脂肪診断を行うための脂肪診断用付属装置であって、
前記脂肪診断用付属装置は、加温用の超音波照射が可能な副プローブと、
加温用の超音波源で発生させた超音波を、前記副プローブを介して測定部位に照射することにより加温制御を行う加温制御部と、
前記主プローブおよび前記超音波診断装置を用いて測定された加温前後のエコー信号を当該超音波診断装置から取得して伝送する制御を行うエコー信号伝送制御部と、
前記伝送された加温前後のエコー信号から超音波速度変化を含む脂肪情報を算出する脂肪情報算出部と、
前記主プローブと前記副プローブとが同時に装着され、各プローブから照射される超音波を測定部位に出射する共通の出射口が設けられ、かつ、いずれか一方の超音波を選択的に送受させるプローブホルダとを備え、
各プローブの振動子と接するように流動性の超音波伝播媒体を充填した共通のスタンドオフが形成されるととともに、当該スタンドオフ内にはいずれか一方のプローブから出射される超音波を出射口に導くように切り替える切替機構が取り付けられることを特徴とする脂肪診断用付属装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体の測定部位に対する加温前後での超音波速度変化を測定することにより、脂肪診断を行う脂肪診断装置および脂肪診断用付属装置に関する。さらに詳細には、画像診断が可能な市販の超音波診断装置に付設することにより、後付け機能あるいはオプション機能として、超音波速度変化による脂肪診断を可能にする脂肪診断装置および脂肪診断用付属装置に関する。本発明は例えば、脂肪肝の診断や、頸動脈等の血管内プラークの性質(繊維性か脂質性)の脂肪診断等で利用される。
【背景技術】
【0002】
加温前後の超音波速度変化を利用した新しい画像診断手法として、生活習慣病の危険因子の1つである内臓脂肪を診断するために、関心領域に対して光照射による加温を行い、加温前後の超音波速度変化を計測して、超音波速度が温度変化に対し負の変化をする部位を脂肪組織として検出し、脂肪分布を診断する脂肪組織の検出方法および検出装置が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載された脂肪診断装置(脂肪組織検出装置)について説明する。この装置はBモード断層画像や超音波速度変化画像を取得するために必要な制御部を搭載した装置本体と、被検体の体表に直接当接させて超音波照射や加温を行うプローブとを備えている。プローブは、被検体の測定領域に対し超音波照射を行うリニアアレイ探触子と、リニアアレイ探触子の隣にあって、被検体の測定領域に対し加温するための近赤外光照射を行う赤外線レーザ光源とを、それぞれ同じ測定領域に向けて行えるように横に並べて配置した専用のプローブを用いている。
【0004】
リニアアレイ探触子は、直線状に配列された圧電素子からなる多数の振動子を有しており、各振動子は、制御部からの駆動信号によりパルス波が励振されて超音波信号を送波し、この超音波信号に対する被検体内からの超音波エコー信号を受波する。そして制御信号により送受波を行う振動子を順に切り替えて走査するようにしてある。また、赤外線レーザ光源はリニアアレイ探触子の横から700nm〜1000nmの近赤外光が照射されるようにしてある。
【0005】
次に、この装置で超音波速度変化を測定し脂肪測定を行う動作について説明する。予め、Bモード画像等による画像診断で、被検体における測定領域を特定する。そして特定した測定領域に対し、赤外線レーザ光源から近赤外光を照射して加温し、所定の加温時間経過後に、リニアアレイ探触子を駆動し、パルス状の超音波信号を順次走査するようにして送波するとともに、被検体からの受信信号である超音波エコー信号を順次受波する。そして、光照射状態で取得した超音波エコー信号(受信信号)の波形を、光照射後超音波エコー信号として記憶する。
光照射後超音波エコー信号の受信波形の記憶が終わると光照射を停止する。この照射停止から所定時間経過し、被検体の温度が十分に低下したところで、再びリニアアレイ探触子を駆動し、超音波信号を送波するとともに、被検体から超音波エコー信号を受波する。そして、光照射停止状態で取得した超音波エコー信号(受信信号)の波形を非照射時超音波エコー信号として記憶する。なお、記憶された超音波エコー信号はその振幅を輝度表示することでBモード断層画像として表示される。
続いて、光照射後と非照射時の超音波エコー信号に基づいて、以下に示す関係から超音波速度変化を求める。
【0006】
図12はある部分区間の非照射時(加温前)超音波エコー信号と光照射後(加温後)超音波エコー信号とを示す模式図である。非照射時の超音波速度をV、光照射後の超音波速度をV’とする。また、非照射時にある境界間を超音波信号が伝播するときに生じるパルス間隔をτとし、同じ境界間(距離一定)を光照射後に超音波信号が伝播するときに生じるパルス間隔をτ−Δτとする。すなわち、温度変化によりΔτだけパルス間隔が短くなるようにシフトしたとする。
このとき、
V・τ = V’・(τ−Δτ) ・・・(1)
の関係が成立し、したがって、2つのエコー信号におけるパルス間隔の時間変化から超音波速度変化データが次式(2)で算出できる。
V’/V = τ/(τ−Δτ) ・・・(2)
したがって、測定した2つのエコー信号から関心領域におけるパルス間隔(τ)、波形シフト量(Δτ)を算出し、式(2)に基づいて各部位での超音波速度の変化(超音波速度変化比(V’/V))を算出する。
【0007】
続いて、算出された各部位の超音波速度変化比(V’/V)に基づいて、この値が1より小さい部位(加温に対する超音波速度変化が負の領域)を脂肪領域と判定する。
すなわち、水中および脂肪中を伝播する超音波速度は37℃のとき水中音速が1524m/秒、脂肪中音速が1412m/秒であるが、温度変化に対する超音波速度変化を比較すると、以下の通りである。
水: +2 m/秒・℃
脂肪: −4 m/秒・℃
よって、水分が多く含まれる筋肉や内臓(肝臓等)は温度が上がると超音波速度が増加するのに対し、脂肪部分では超音波速度が減少することになり、超音波速度変化の極性が反転する。
そこで、測定領域を温度変化させたときに超音波速度変化が負となる領域を特定すれば脂肪領域の検出を行うことができる。
【0008】
そして、多チャンネルであるアレイ型探触子を走査して取得した多数本の超音波エコー信号による超音波速度変化の解析結果から、超音波速度変化の二次元分布を画像化して表示装置に表示することにより、脂肪領域が他の部位と明確に分けて画像表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2010−005271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1に記載された脂肪診断装置では、測定領域に対して光で加温を行い、加温前後の超音波エコー信号による超音波速度変化を求めることで脂肪領域を画像化するようにしている。
【0011】
しかしながら光加温で生体の脂肪診断を行う場合、加温できる体表からの深さには限界がある。すなわち、赤外線レーザ光(近赤外光)は生体内での強い光吸収の影響により体表から3cm〜4cm程度しか十分に加温することができない。一方、脂肪診断が求められている測定部位の1つに肝臓(脂肪肝)がある。肝臓は体表から5cm〜10cm程度の生体深部に位置するため、安定した光加温を行うことは困難であり精度の高い測定ができない。
【0012】
そこで、生体深部まで加温できるようにするには別の加温手段が必要になる。その場合、超音波エネルギーを加温源とすることが考えられる。すなわち、超音波は1MHz〜3MHzの周波数帯域(低周波超音波領域と言う)を選択することによって、体表から5cm〜10cmの深い位置まで到達させることができ、肝臓の位置であっても加温することができる。
したがって、市販の画像診断用超音波診断装置および画像診断用の多チャンネルのアレイ型プローブをそのまま用いて、低周波超音波領域の超音波を照射することで肝臓を加温することが考えられる。
【0013】
しかしながら汎用の画像診断用超音波診断装置で使用されている診断用の超音波パルス信号は微弱な出力の信号でよいが、加温用の超音波は安全上問題のない範囲で比較的大きな出力パワーで照射する必要がある。しかも生体を加温状態で維持するには加温に必要な出力パワーで照射し続ける必要がある。
【0014】
それゆえ、画像診断用と加温用とでは使用する超音波の出力パワーが大きく異なることから、市販の画像診断用超音波診断装置および画像診断用のプローブを、そのまま加温用(および脂肪診断用)に兼用しようとしても問題が生じることになる。
【0015】
すなわち、仮に、画像診断から加温、脂肪診断までを、市販の超音波診断装置を用いて行えるようにするには、加温用の超音波源を超音波診断装置内に増設するだけでなく、プローブについても多チャンネルのアレイ型プローブのままで出力パワーの大きい加温用の超音波を測定部位に照射できるようにし、しかも耐久性のあるプローブ構造に改造した画像診断用および加温用の一体化プローブを作る等の大幅な改造が必要となる。
しかしながら多チャンネルのアレイ型プローブは、多数(例えば128個)の圧電素子(振動子)をプローブの所定幅の照射面にライン状に配列させた構造であるあるため、寸法的制限から1つ1つの圧電素子の厚さは薄くせざるを得ず、大出力での使用でも十分な耐久性を備えた多チャンネルのプローブを形成することは困難である。
【0016】
また、コスト等の実用的側面からの問題もある。生体深部まで超音波を到達させるには低周波超音波領域(1MHz〜3MHz)を用いる必要があることを説明した。しかし、鮮明画像を得るには、できるだけ分解能が高い超音波を採用する方が好ましく、超音波の周波数をできるだけ高くする必要がある。市販の画像診断用の超音波では3MHz〜10MHz程度(高周波超音波領域と言う)の超音波パルス波を測定領域に照射するようにして鮮明画像を得るようにしている装置もある。
それゆえ、生体深部の脂肪診断と、鮮明画像による画像診断とを行えるようにするには、低周波超音波領域から高周波超音波領域まで(例えば1MHz〜10MHz)の広帯域で、しかもこれまでより大きな出力パワーで使用可能な高性能プローブを用いた超音波診断装置にしなければならず、プローブの製造が困難なだけではなく、製造コストが高価にならざるを得なかった。
【0017】
一方、画像診断用プローブとは別の位置からの超音波照射で加温することも考えられる。具体的には、既述の特許文献1に記載された脂肪診断装置における赤外線レーザ光源に代えて、超音波による加温源を画像診断用プローブに並べて配置することも考えられる。しかし、その場合には画像診断用プローブから照射される超音波の進行方向と、加温用の超音波が進む進行方向とは平行にはならないので、画像診断で求めた測定部位と加温位置とを正確に一致させることが難しく位置ずれが生じやすい。
【0018】
また、安全面からの問題も生じることになる。すなわち肝臓は肋骨の内側に位置するが、肋骨等の骨組織は超音波を強く吸収する性質があるため、超音波で加温する際には骨組織(肋骨)に照射されないようにしながら肝臓に照射する必要がある。画像診断用プローブの照射面とは別の位置に超音波加温のための照射面を配置すると、必然的に体表付近で超音波が照射される面積が広がることになり肋骨にも照射されやすくなるので、この方法は安全面からは採用することが困難である。
【0019】
以上のことから、本発明は、第一に、市販の画像診断用超音波診断装置に対し、大きな改造を行うことなく後付け機能あるいはオプション機能として付設することにより、市販の画像診断用超音波診断装置および画像診断用アレイ型プローブを用いた画像診断がこれまでと同様に行うことができ、その上で、生体の加温および超音波速度変化測定による脂肪診断を可能にする脂肪診断装置、脂肪診断用付属装置を提供することを目的とする。
また、第二に、画像診断用の超音波の進行方向と加温用の超音波の進行方向とを平行にして同軸方向に照射するようにして、画像診断で定めた測定位置に対して、正確に同じ測定位置での脂肪診断を行うことができる脂肪診断装置、脂肪診断用付属装置を提供することを目的とする。
また、第三に、生体深部に位置する肝臓(脂肪肝)の脂肪診断を安全に行える脂肪診断装置、脂肪診断用付属装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の課題に関連して、診断対象の1つとなる脂肪肝の特徴を検討した。脂肪肝では、脂肪は脂肪滴として個々の細胞内に存在し、そのような細胞が一様に分布しているのが一般的である。そのため、脂肪肝の脂肪診断では、1チャンネル(1つの測定ポイント)の加温前後のエコー信号(細胞レベルより十分広いエリアのエコー信号)を測定すれば、複数の細胞からの脂肪に関する情報(超音波速度変化を含む)を得ることができ、少数のチャンネル数で脂肪肝の測定ができることを見いだした(1チャンネルで可)。したがって、予め設定された基準値との比較で脂肪肝であるか否かの判定を行うような脂肪診断には、二次元画像表示までは必ずしも必要ではないことを見いだした。
一方、限局性脂肪肝や多発限局性脂肪肝の診断、頸動脈等の血管内プラークの性質(繊維性か脂質性)の診断等では、脂肪の分布状態をも診断する必要があり、多チャンネルのアレイ型プローブを用いて二次元的な脂肪分布の画像表示を行って診断することにより詳細かつ有益な情報が得られる。
本発明は、このような知見をベースにしてなされたものであり、脂肪分布の画像表示を行わずに脂肪診断を行う脂肪診断装置、および、脂肪分布の画像表示を行って脂肪診断を行う脂肪診断用付属装置を発明したものである。
【0021】
すなわち、上記課題を解決するためになされた本発明の脂肪診断装置は、多チャンネルの主プローブを用いて測定部位からエコー信号を取得し、当該エコー信号により形成された超音波画像で画像診断を行う超音波診断装置に付設され、加温前後の測定部位のエコー信号から超音波速度変化を算出して脂肪診断を行う脂肪診断装置であって、前記脂肪診断装置は、加温用の超音波照射が可能な副プローブと、加温用の超音波源で発生させた超音波を、前記副プローブを介して測定部位に照射することにより加温制御を行うとともに、前記副プローブを介してパルス信号を送波し加温前後のエコー信号を測定する制御を行う脂肪測定制御部と、前記加温前後のエコー信号から超音波速度変化を含む脂肪情報を算出する脂肪情報算出部と、前記主プローブと前記副プローブとが同時に装着され、各プローブから照射される超音波を測定部位に出射する共通の出射口が設けられ、かつ、いずれか一方の超音波を選択的に送受させるプローブホルダとを備え、各プローブの振動子と接するように流動性の超音波伝播媒体を充填した共通のスタンドオフが形成されるととともに、当該スタンドオフ内にはいずれか一方のプローブから出射される超音波を出射口に導くように切り替える切替機構が取り付けられるようにしている。
【0022】
本発明によれば、主プローブと副プローブとはプローブホルダに2つ同時に装着され、プローブホルダを介して位置決めした体表上の位置から共通する軸線方向に超音波が照射されるようにしてある。すなわち、プローブホルダには共通の出射口が設けられており、プローブホルダ内で2つのプローブの超音波の進行方向が調整されることにより、主プローブおよび副プローブから照射される超音波軸線が一致するようにしてある。
【0023】
また、副プローブには加温用の(大きな出力の)超音波照射が可能なプローブが用いられる。すなわち、画像診断に用いる主プローブである多チャンネルのプローブは、圧電素子が薄く、出力パワーを必要とする加温用としては耐久性等に問題があるので、これとは別に、堅牢な圧電素子で形成された大きい出力パワーで使用できるプローブを用いる。このような加温用のプローブは、例えば少数チャンネルのプローブにすれば簡単に形成できる。なお加温用のプローブとしては、測定部位を加温できさえすればチャンネル数には制限がないので、少数チャンネルにしても何の問題もない。例えばチャンネル数を1つとしてもよいし、2〜5チャンネル程度にしてもよい。
【0024】
そして、本発明では、脂肪分布の画像表示を行わずに脂肪肝の測定を行う。すなわち、超音波診断装置と主プローブ(多チャンネルプローブ)とにより画像診断を行い、表示された超音波画像(Bモード画像)から加温および脂肪診断を行う測定位置を決定する。続いて、決定した測定位置への加温を、副プローブを介して行う。さらに加温前後のエコー信号測定を、副プローブを介して行う。副プローブで測定したエコー信号では脂肪分布の画像を形成することはできないが、脂肪肝の脂肪は脂肪滴として個々の細胞内に存在し、脂肪滴を含んだ細胞が一様に分布しているのが一般的であるので、このような副プローブの1つのチャンネルによる1つの測定ポイントから測定された加温前後のエコー信号があれば、それから超音波速度変化を測定することができ、脂肪肝の脂肪診断を行うことができる。
【発明の効果】
【0025】
上記発明の脂肪診断装置によれば、画像診断に用いる超音波診断装置および主プローブについては既存設備を改造する必要がなく、副プローブを含む脂肪診断装置を後付けで付設するだけで脂肪診断機能を追加することができるようになる。
また、主プローブと副プローブとは、プローブホルダに装着して使用するようにし、プローブホルダにより2つのプローブから照射される超音波の軸線方向(超音波の進行方向)が一致するようにしてあるので、主プローブによる画像診断で定めた測定位置に対して、正確に同じ測定位置での副プローブによる加温および脂肪診断を行うことができる。
【0026】
また、副プローブは画像形成用には使用しないので、少数チャンネル(例えば1チャンネル)の圧電素子(振動子)による堅牢な副プローブを安価に形成することができる。すなわち圧電素子の数を少なくすることで、(多チャンネルのプローブとは異なり)寸法的制限をほとんど受けることなくプローブを形成することができるようになり、また、圧電素子の周囲に放熱部材を設ける等の大出力に対する対策も簡単に行えるようになる。したがって少数チャンネルの副プローブにすることによって、出力パワーの大きな加温用の超音波照射が可能で、かつ、耐久性の高いプローブにすることができるようになる。これにより、画像診断と加温とを1つの多チャンネルプローブで行えるようにした高性能の一体化プローブにする必要がなくなり、装置コストを抑えることができる。
【0027】
そして、脂肪肝の測定では、画像診断の超音波照射と、加温用の超音波照射とを、共通の照射口を介して行うことができるので、体表付近で超音波が照射される面積を、従来の画像診断と同程度にすることができ、肋骨等を避けて安全に超音波加温を行うことができる。
【0028】
また、プローブホルダは、主プローブと副プローブとが同時に装着され、各プローブの振動子と接するように流動性の超音波伝播媒体(具体的には水、油液等)を充填した共通のスタンドオフが形成されるととともに、当該スタンドオフ内にはいずれか一方のプローブから出射される超音波を出射口に導くように切り替える切替機構が取り付けられるようにしてもよい。なお、切替機構は具体的には可動ミラーや可動シャッタ等を用いることができる。
これにより、切替機構による簡単な切替操作だけで使用するプローブを交換することができるようになり、しかも、各プローブから照射される超音波を、プローブホルダ内でほとんど減衰させることなく効率的に共通の照射口から照射することができる。
【0029】
上記発明において副プローブは1チャンネルの振動子で構成してもよい。
これによれば脂肪診断のための超音波速度変化の測定の際に、パルス超音波信号を1つの振動子から送受するだけで走査する必要がなくなるので、副プローブや脂肪測定制御部の構造が大幅に簡素化できる。また、主プローブのように多チャンネルの振動子を走査していないので、1チャンネルの時間あたりの測定回数を増やして高速で繰り返し測定することができる。
【0030】
また、上記発明において、脂肪情報算出部は、超音波速度変化または脂肪情報を数値または文字データで出力するようにしてもよい。これにより、画像表示を行わないため、1つの測定ポイントにおけるエコー信号による脂肪測定結果を、超音波速度変化または脂肪の有無の判定結果または脂肪割合として数値化、文字化して表現することができ、数値化により予め設定された脂肪肝の基準値との比較が容易になる。
【0031】
また、上記発明において、脂肪測定制御部は、加温用の超音波源から0.5MHz〜3MHzの超音波を送波するようにしてもよい。これにより、生体深部の肝臓まで有効に加温することができる。
【0032】
上記発明において、脂肪診断装置は、表示装置を有し計算処理が可能な外部コンピュータ装置が接続され、前記脂肪情報算出部は前記外部コンピュータ装置に設けられるようにしてもよい。
これにより外部コンピュータ装置で超音波速度変化の計算が行われ、表示画面を利用して超音波速度変化等の脂肪診断の結果を表示することができる。
【0033】
また、別の観点からなされた本発明の脂肪診断用付属装置は、
多チャンネルの主プローブを用いて測定部位からエコー信号を取得し、当該エコー信号により形成された超音波画像で画像診断を行う超音波診断装置に付設され、加温前後の測定部位のエコー信号から超音波速度変化を算出して脂肪診断を行うための脂肪診断用付属装置であって、前記脂肪診断用付属装置は、加温用の超音波照射が可能な副プローブと、加温用の超音波源で発生させた超音波を、前記副プローブを介して測定部位に照射することにより加温制御を行う加温制御部と、前記主プローブおよび前記超音波診断装置を用いて測定された加温前後のエコー信号を当該超音波診断装置から取得して伝送する制御を行うエコー信号伝送制御部と、前記伝送された加温前後のエコー信号から超音波速度変化を含む脂肪情報を算出する脂肪情報算出部と、前記主プローブと前記副プローブとが同時に装着され、各プローブから照射される超音波を測定部位に出射する共通の出射口が設けられ、かつ、いずれか一方の超音波を選択的に送受させるプローブホルダとを備え、各プローブの振動子と接するように流動性の超音波伝播媒体を充填した共通のスタンドオフが形成されるととともに、当該スタンドオフ内にはいずれか一方のプローブから出射される超音波を出射口に導くように切り替える切替機構が取り付けられるようにしている。
【0034】
本発明によれば、先に説明した脂肪診断装置と同様に、主プローブと副プローブとはプローブホルダに装着され、このプローブホルダを介して位置決めした体表上の位置から、共通する出射口から、同じ方向に超音波が照射されるようにしてある。すなわち、プローブホルダには共通の出射口が設けられており、主プローブおよび副プローブから照射される超音波軸線が一致するようにしてある。なお、2つのプローブは、既述の脂肪診断装置と同様に、プローブホルダに2つ同時に装着させて使用する。1つずつ交換するように装着して使用することも可能であるが、後者の場合、主プローブと副プローブとを2回交換することが必要になるので、本発明では2つのプローブを同時に装着させておくようにしている。
【0035】
また副プローブには、先に説明した脂肪診断装置と同様、加温用の超音波照射が可能なプローブを用いる。具体的には、少数チャンネル(例えば1チャンネル)にすることによって堅牢な圧電素子で形成し、大きい出力パワーで使用できるようにした副プローブを用いることができる。
【0036】
そして、本発明では、脂肪分布の画像表示を行うことにより、脂肪肝の測定、あるいは、頸動脈等の血管内プラークの性質の測定を行う。具体的には、超音波診断装置と主プローブ(多チャンネルのプローブ)とにより画像診断を行い、表示された超音波画像(Bモード画像)から加温および脂肪診断を行う測定位置を決定する。続いて、副プローブを介して決定した測定位置への加温を行う。そして、加温前後のエコー信号測定を、再び主プローブを介して行う。主プローブで脂肪診断のためのエコー信号を測定することで、加温前と加温後との超音波画像の形成に必要な本数のエコー信号を取得することができるので、これらから超音波速度変化分布画像、さらには超音波速度変化が負の領域を抽出した脂肪分布画像を形成することができ、画像による脂肪診断を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本発明の一実施形態である脂肪診断装置が付設された脂肪診断システム全体の構成を示す外観図。
図2図1における脂肪診断装置の構成を示すブロック図。
図3】加温用の1チャンネルの副プローブを示す外観図。
図4図1のプローブホルダを側面視した断面図。
図5】本発明の第一、第二実施形態の脂肪診断システムによる測定動作手順を示すフローチャート。
図6】本発明の他の実施形態の脂肪診断装置が付設された脂肪診断システム全体の構成を示す外観図(参考例)
図7図6における脂肪診断装置の構成を示すブロック図(参考例)
図8図6のプローブホルダを正面視した外観図であり、(a)は主プローブ装着状態、(b)は副プローブ装着状態を示す(参考例)
図9】本発明のさらに他の実施形態の脂肪診断用付属装置が付設された脂肪診断システム全体の構成を示す外観図。
図10図9における脂肪診断用付属装置の構成を示すブロック図。
図11図9の脂肪診断システムによる測定動作手順を示すフローチャート。
図12】非照射時(加温前)と光照射後(加温後)のエコー信号を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0038】
(実施形態1)
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。ここでは脂肪肝の診断を行うものとして説明する。図1は本発明の一実施形態である脂肪診断装置10が、市販の超音波診断装置1に後付けで付設された脂肪診断システムAを示す外観図である。この脂肪診断システムAは、画像診断用の超音波診断装置1と、画像診断用の主プローブ2と、制御ボックス(専用ボード)3と、加温用および脂肪診断用に用いる副プローブ4と、使用するプローブを切り替えるための切替ミラー5aを有するプローブホルダ5と、外部コンピュータ装置6とにより構成される。
【0039】
そして本実施形態においては、制御ボックス3と、脂肪診断用の副プローブ4と、プローブホルダ5と、外部コンピュータ装置6とによって脂肪診断装置10が構成される。
【0040】
超音波診断装置1(市販品)の主プローブ2には、画像診断に用いられる多チャンネル(例えば128個の振動子)のアレイ型プローブ(市販品)が使用され、主プローブ2からパルス波超音波信号を走査しながら送受することによりBモード画像等の超音波画像が超音波診断装置1の表示画面に表示される。超音波診断装置1と画像診断用の主プローブ2とは既存の市販製品がそのまま用いられ、専ら超音波画像による測定部位の探索、決定、確認に用いられる。
【0041】
図2は脂肪診断システムAにおける脂肪診断装置10の構成部分を示すブロック図である。制御ボックス3には、加温用超音波(例えば正弦波)を発生する高周波電源21、脂肪診断用のパルス波を送波するとともに生体からのエコー信号を受波するパルサ・レシーバ回路22、副プローブ4を高周波電源21側に接続するか、パルサ・レシーバ回路22側に接続するかを切り替えるスイッチ23、受波したエコー信号をデジタル信号化するA/D変換器24、エコー信号を記憶するメモリ25、加温用超音波や脂肪診断用のパルス波の駆動、切替ミラー5aやスイッチ23の切替等の操作を行うコントローラ26が備えられている。
【0042】
そして制御ボックス3は、副プローブ4を介して、高周波電源21からの加温用超音波を送波することにより、測定部位を加温する制御と、パルサ・レシーバ回路22によりパルス波を送波しエコー信号を受波して、加温前エコー信号と加温後エコー信号とを測定する制御とを行う脂肪測定制御部11として機能するようにしてある。
ここで「加温前エコー信号」と「加温後エコー信号」の測定順について説明する。超音波速度変化による脂肪測定では、測定部位を加温することで温度変化を生じさせ、温度変化前と温度変化後との2つの異なる温度下でのエコー信号、すなわち低温側の「加温前エコー信号」と、高温側の「加温後エコー信号」とを測定する。測定順序についてはいずれを先に測定しても測定は可能である。しかし実際の測定では、先に加温し、所定温度昇温された状態で加温を停止し、加温停止直後に「加温後エコー信号」を測定し、その後、所定時間(例えば10秒〜20秒)経過して降温させた後に「加温前エコー信号」を測定するようにしている。
これは以下の理由による。生体の一部を加温すると、加温された部位は平温状態に戻そうとする生理作用で血流が増加するようになり、強い冷却作用が働く。したがって先に加温を行い、血流が増加した状態でエコー信号を測定すると、加温停止直後に「加温後エコー信号」を測定した後は、増加した血流による強い冷却作用によって短時間のうちに急激に降温され、その結果、急峻な温度変化で平温状態に戻ったときの「加温前エコー信号」を測定することができるようになる。
【0043】
そして、測定された「加温前エコー信号」および「加温後エコー信号」は、A/D変換器24でデジタル化されて外部コンピュータ装置6に出力されるとともに、メモリ25に記憶され、必要なときに出力できるようにしてある。
【0044】
副プローブ4は、図3に示すように、1チャンネルの振動子4aからなる円筒状のプローブが用いられる。この振動子4aには加温用の超音波を照射することができる大出力用の圧電素子が用いられ、また、振動子4aの周囲には放熱部材が設けてあり、副プローブ4は主プローブ2に比べるとタフな構造に作られるとともに放熱も十分に行われるようにしてある。
【0045】
そして副プローブ4、はスイッチ23の切替操作により加温用超音波が送波されるとともに、1ライン分の脂肪診断用のパルス波超音波信号の送受が行われる。
振動子4aで受波した1ライン分のエコー信号は、上記の脂肪測定制御部11(制御ボックス3)に送られ、デジタル化されて外部コンピュータ装置6、メモリ25に送られる。この1ライン分のエコー信号には1つの測定ポイントにおける深さ方向の各部位からの信号が含まれている。
【0046】
図4はプローブホルダ5を側方から見た構造を示す断面図である。プローブホルダ5は四方が側壁5bで囲まれた方形体からなり、上面は水平断面が方形の画像診断用の主プローブ2が挿入される開口5cにしてある。下面は超音波を出射するための開口(出射口)5dとしてあり、超音波が通過可能なシリコンゴム等のシート5fを窓材として開口5dを塞ぐようにしてある。このシート5fはケース内に水等の流動性の超音波伝播体Lをスタンドオフとして充填するために設けられている。また側壁5bの一面には開口5eが形成してあり、ここに円筒状の副プローブ4が取り付けてある。そして主プローブ2の振動子2aおよび副プローブ4の振動子4aはケース内に充填された超音波伝播体Lに接するようにしてある。
【0047】
さらに、プローブホルダ5内では、流動性の超音波伝播体L(スタンドオフ)内に、超音波を反射する可動の切替ミラー5aが設けてある。この切替ミラー5aは、主プローブ2からの超音波と副プローブ4からの超音波とのいずれか一方だけが共通の開口5dから出射されるように、コントローラ26からの操作信号によって切り替わるようにしてある。
すなわち、主プローブ2からの超音波(画像診断用)を照射するときには、切替ミラー5aは副プローブ4の前方に移動することで振動子2aからの超音波が開口5dに直進できるようにし、一方、副プローブ4からの超音波(加温用または脂肪診断用)を照射するときは、振動子2aおよび振動子4aに対して斜め45度の位置に移動することで、振動子4aからの超音波が切替ミラー5aで反射して共通の開口5dから出射されるようにしてある。副プローブ4から照射される超音波の軸線方向は、主プローブ2から照射される超音波の軸線方向のうちの1つ(中央の振動子から照射される超音波の軸線方向)に一致させてあり、主プローブ2による画像診断のときに副プローブ4の照射位置が把握できるようになっている。
なお、振動子2aに面する側である切替ミラー5aの裏面、および、プローブホルダ5内の超音波が反射する内壁部分に、ゴム材などの超音波吸収材を貼り付けて超音波を遮断できるようにしておけば、副プローブ4側の超音波の照射中であっても主プローブ2側の電源を切る必要がなくなる。
【0048】
外部コンピュータ装置6は、CPU、メモリ、入力装置(キーボード等)、表示装置(液晶パネル)を備えた汎用のパーソナルコンピュータ装置(例えばノート型パソコン)が用いられ、制御ボックス3(脂肪測定制御部11)から出力されてくる加温前後のエコー信号のうち、肝臓からのエコー信号にあたる部分区間に、既述の(2)式による計算を行い、超音波速度変化(ここでは超音波速度比)を算出する演算処理が行われる。
すなわち、図12で説明した従来例と同様の原理・方法で、加温後に受波したエコー信号と、加温前に受波したエコー信号とに基づいて、加温前後のエコー信号の波形シフト量(Δτ)の計算を行い、また、測定領域内の組織の境界間のパルス間隔(τ)を算出する処理を行う。そして式(2)に基づいて、各部分区間の超音波速度比(V’/V)を算出する処理を行う。
【0049】
また、超音波速度比の値に基づいて脂肪判定(脂肪肝の有無判定)を行ったり、予め記憶させてある基準データとの比較から脂肪割合を算出したりして、これらを脂肪情報として算出する処理が行われる。そして超音波速度比の値や脂肪情報(脂肪判定、脂肪割合)を表示装置に表示する。
このとき表示される出力データは、超音波速度変化比や脂肪判定結果、脂肪割合の算出結果であり、これらは数値(文字)として表示される。
このようにして、外部コンピュータ装置6は、加温前後のエコー信号の測定結果に基づいて、超音波速度変化を含む脂肪情報を算出する脂肪情報算出部12として機能するようにしてある。
【0050】
なお、外部コンピュータ装置6(脂肪情報算出部12)で算出されるデータは、1チャンネルのデータであるためBモード画像の画像表示はできないが、超音波速度変化比や脂肪判定結果、脂肪割合の数値(文字)表示の他に、受波した1ラインのエコー信号の波形を画面表示することはできる。さらに、Mモードのように1ラインのエコー信号を時系列的に表示することもできる。
【0051】
次に、上記の脂肪診断システムA(脂肪診断装置10を含む)による測定手順について図5のフローチャートに基づいて説明する。
まず、超音波診断装置1による画像診断により、脂肪測定位置を探索して決定する(S101)。すなわち、切替ミラー5aを主プローブ2側がオンになるようにセットし、超音波診断装置1を操作して3MHz程度のパルス波によるBモード画像を撮像し、これを画面表示して画像診断を行い、脂肪測定に適した測定位置を探索する。このとき必要に応じてさらにパルス波の周波数を高めることで分解能を上げた鮮明画像を得るようにして探索してもよい。
【0052】
次に、決定された測定位置に対し、制御ボックス3(脂肪測定制御部11)による加温制御を行う(S102)。すなわち、制御ボックス3のコントローラ26を操作して、切替ミラー5aを副プローブ4側がオンになるように切り替え、スイッチ23は高周波電源21側にセットし、高周波電源21をオンにして副プローブ4を介して加温用超音波を照射する。照射する超音波は0.5MHz〜3MHzであれば肝臓の位置を効率よく加温できるが、好ましくは0.7MHz〜1MHz程度にして照射する。そして加温領域が0.5℃〜2℃程度上昇して安定するまで加温を維持する。例えば加温時間が30秒くらいで安定するようになる。
【0053】
次に、加温を停止し、加温停止直後の昇温状態でのエコー信号の測定を行う(S103)。すなわち、コントローラ26を操作して、切替ミラー5aはそのままで、スイッチ23をパルサ・レシーバ回路側22に切り替えて、副プローブ4を介してパルス波を送波するとともにエコー信号を待ち受けて受波する。受波されたエコー信号は「加温後エコー信号」としてメモリ25に記憶するとともに、外部コンピュータ装置6(脂肪情報算出部12)に送られる。
【0054】
次に、「加温後エコー信号」の測定終了後、平温に戻るまでに要する時間として予め設定してある所定時間をさらに経過した後(例えば10秒〜20秒程度経過後)に、加温前の平温まで降温したときのエコー信号の測定を行う(S104)。すなわち、切替ミラー5a、スイッチ23はそのままで、副プローブ4を介して再度パルス波を送波するとともにエコー信号を待ち受けて受波する。受波されたエコー信号は加温前の平温状態と同じ信号に戻っているので「加温前エコー信号」としてメモリ25に記憶するとともに、外部コンピュータ装置6に送られる。
【0055】
次に、外部コンピュータ装置6(脂肪情報算出部12)により、超音波速度変化および脂肪情報の算出を行う(S105)。すなわち、制御ボックス3から「加温後エコー信号」と「加温前エコー信号」が送られてくると、既述の(2)式に基づいて超音波速度比(V’/V)を算出する。さらにこの結果に基づいて脂肪判定(脂肪肝の有無判定)を行ったり、予め求めた基準データとの比較から脂肪割合を算出し、算出結果の超音波速度変化比や脂肪情報を数値あるいは文字として外部コンピュータ装置6の画面に表示する。
以上の測定手順により、超音波速度変化による脂肪診断を行うことができる。
【0056】
なお、上記の脂肪診断システムAでは、外部コンピュータ装置6(汎用コンピュータ装置)を用いたが、これと同様のCPU、メモリ、入力装置、表示装置のハード構成を制御ボックス3に組み込んで、(2)式による計算処理機能および計算結果の数値(文字)表示機能を制御ボックス3で実現できるようにすることで、外部コンピュータ装置6に代替させてもよい。その場合は、脂肪情報算出部12は制御ボックス3によって構成されることになる。
【0057】
(実施形態2(参考例)
図6は本発明の他の一実施形態である脂肪診断装置10aを用いた脂肪診断システムBの外観図であり、図7は脂肪診断装置10aの構成部分を示す図である。なお図1図2と同じ構成部分については同符号を付すことにより説明の一部を省略する。
この実施形態では、図1図2におけるプローブホルダ5に代えて、主プローブ2と副プローブ4とのいずれか1つを装着するプローブホルダ15が使用される。すなわちプローブホルダ15には主プローブ2を挿入するための孔の中央部分に、副プローブ4を挿入するための孔が重なり合うようにして形成された複合形状の孔15aが形成してあり、いずれか1つのプローブを交互に挿入できるようにしてある。孔15aの具体的形状は装着される主プローブ2や副プローブ4の外形に合わせて加工してある。本実施形態では方形孔と円形孔とが重なり合った形状にしてある。
また、制御ボックス3aは、基本的には図2で説明した制御ボックス3と同じ機能を備えているが、プローブホルダ15には図1に示した切替ミラー5aが設けられていないので、制御ボックス3のコントローラ26から切替ミラー5aの切替操作を行う部分が省略されているが、それ以外は図2の制御ボックス3と同じである。
【0058】
図8はプローブホルダ15を正面から見た外観図であり、図8(a)は主プローブ2を孔15aに挿入した状態、図8(b)は副プローブ4を孔15aに挿入した状態を示している。
プローブホルダ15の孔15aは、副プローブ4から照射される超音波の軸線方向を主プローブ2から照射される超音波の軸線のうちの1つ(主プローブ2の中央の振動子の超音波軸線)に一致させてあり、主プローブ2による画像診断のときに副プローブ4の照射位置が把握できるようになっている。
【0059】
そして主プローブ2の振動子2aおよび副プローブ4の振動子4aは、いずれもプローブホルダ15に挿入した状態で体表に接するようにプローブホルダ15の下面からわずかに突き出るようにしてある。脂肪診断を行う際には、プローブホルダ15を体表上に当接するが、操作の負担を軽減するために、図6の多関節アーム15bを用いて測定部位の体表上に固定保持するようにして使用される。なお、多関節アーム15bを使用せずに、片手でプローブホルダ15を保持し、他方の手でプローブの交換や操作を行うようにしても測定可能であることは言うまでもない。
【0060】
次に、上記の脂肪診断システムB(脂肪診断装置10aを含む)による測定手順について説明する。この場合も図5のフローチャートに基づいて測定が行われる。
まず、超音波診断装置1による画像診断により、脂肪測定位置を探索して決定する(S101)。すなわち、主プローブ2をプローブホルダ15にセットし、超音波診断装置1を操作して3MHz程度のパルス波によるBモード画像を撮像し、これを画面表示して画像診断を行い、脂肪測定に適した測定位置を探索する。このとき必要に応じてさらにパルス波の周波数を高めることで分解能を上げた鮮明画像を得るようにして探索してもよい。
【0061】
次に、決定された測定位置に対し、制御ボックス3a(脂肪測定制御部11)による加温制御を行う(S102)。すなわち、プローブホルダ15から主プローブ2を抜いて副プローブ4を挿入する。そして、コントローラ26により、スイッチ23は高周波電源21側にセットし、高周波電源21をオンにして副プローブ4を介して加温用超音波を照射する。照射する超音波は0.5MHz〜3MHzであれば肝臓の位置を効率よく加温できるが、好ましくは0.7MHz〜1MHz程度にして照射する。そして加温領域が0.5℃〜2℃程度上昇して安定するまで加温を維持する。例えば加温時間が30秒くらいで安定するようになる。
【0062】
次に、加温を停止し、加温停止直後の昇温状態でのエコー信号の測定を行う(S103)。すなわち、副プローブ4をそのまま用いて、コントローラ26を操作してスイッチ23をパルサ・レシーバ回路側22に切り替えて、副プローブ4を介してパルス波を送波するとともにエコー信号を待ち受けて受波する。受波されたエコー信号は「加温後エコー信号」としてメモリ25に記憶するとともに、外部コンピュータ装置6(脂肪情報算出部12)に送られる。
【0063】
次に、「加温後エコー信号」の測定終了後、平温に戻るまでに要する時間として予め設定してある所定時間をさらに経過した後(例えば10秒〜20秒程度経過後)に、加温前の平温まで降温したときのエコー信号の測定を行う(S104)。すなわち、スイッチ23はそのままで、副プローブ4を介して再度パルス波を送波するとともにエコー信号を待ち受けて受波する。受波されたエコー信号は加温前の平温状態と同じ信号に戻っているので、「加温前エコー信号」としてメモリ25に記憶するとともに、外部コンピュータ装置6に送られる。
【0064】
次に、外部コンピュータ装置6(脂肪情報算出部12)により、超音波速度変化および脂肪情報の算出を行う(S105)。すなわち、制御ボックス3aから「加温後エコー信号」と「加温前エコー信号」が送られてくると、既述の(2)式に基づいて超音波速度比(V’/V)を算出する。さらにこの結果に基づいて脂肪判定(脂肪肝の有無判定)を行ったり、予め求めた基準データとの比較から脂肪割合を算出し、算出結果の超音波速度変化比や脂肪情報を数値あるいは文字として外部コンピュータ装置6の画面に表示する。
以上の測定手順により、超音波速度変化による脂肪診断を行うことができる。
【0065】
(実施形態3)
図9は本発明のさらに他の一実施形態である脂肪診断システムCを示す外観図である。また、図10は脂肪診断システムCにおける脂肪診断用付属装置30に対応する部分の構成を示すブロック図である。なお、図1図2と同じ構成部分については同符号を付すことにより説明の一部を省略する。
【0066】
脂肪診断システムCは、超音波診断装置1と、主プローブ2と、制御ボックス(専用ボード)31と、副プローブ4と、プローブを切り替えるための切替ミラー5aを有するプローブホルダ5と、外部コンピュータ装置6と、超音波診断装置1と制御ボックス31との間でエコー信号の信号伝送を行う伝送線32とを備えている。これらのうち、制御ボックス31と、副プローブ4と、プローブホルダ5と、外部コンピュータ装置6と、伝送線32とによって脂肪診断用付属装置30が構成される。
この脂肪診断用付属装置30では、超音波診断装置1に対して後付けした構成部分だけを用いて脂肪診断を行うのではなく、既存の超音波診断装置1および主プローブ2を用いて測定したエコー信号を利用して脂肪診断を行う。そのため、後付けした構成部分のみで脂肪診断を行うことができる実施形態1、実施形態2の「脂肪診断装置」とは異なるので「脂肪診断用付属装置」としている。
【0067】
本実施形態で使用される超音波診断装置1には、主プローブ2を介して取得した生のエコー信号(RF信号)を、外部に取り出すことができる外部出力端子を備えたものが用いられる。なお市販の超音波診断装置の一部にはそのような外部出力端子を備えていないものがあるので、その場合は外部出力端子増設用の増設カードを取り付ける等の簡単な作業で外部出力端子を増設しておく。
また、本実施形態での主プローブ2と副プローブ4は、実施形態1、2で説明したものと同じであるが、副プローブ4は専ら加温用に使用され、主プローブ2が画像診断用と、脂肪診断のためのエコー信号の送受用として使用される。
【0068】
制御ボックス31は、加温用超音波を発生する高周波電源21、伝送線32を介して超音波診断装置1の外部出力端子から送られてくるエコー信号を受波するレシーバ回路33、受波したエコー信号をデジタル信号化するA/D変換器34、外部コンピュータ装置6へエコー信号を送り出す伝送速度の調整処理を行うバッファメモリ35、さらには、加温用超音波の駆動、切替ミラー5aの切替操作、レシーバ回路33によるエコー信号の受波、バッファメモリ35によるエコー信号の伝送制御を行うコントローラ36を備えている。
【0069】
したがって制御ボックス31は、副プローブ4を介して高周波電源21からの超音波を送波することにより測定部位を加温する制御を行う加温制御部41として機能するとともに、超音波診断装置1で取得する画像形成可能な多数本のエコー信号を外部コンピュータ装置6に伝送する制御を行うエコー信号伝送制御部42として機能するようにしてある。
【0070】
外部コンピュータ装置6は、制御ボックス31(エコー信号伝送制御部42)から出力されてくる加温前後のエコー信号のうち、肝臓からのエコー信号にあたる部分区間に、既述の(2)式による計算を行い、超音波速度変化(ここでは超音波速度比)を算出する演算処理が行われる。
すなわち、図12で説明した従来例と同様の原理・方法で、加温後に受波したエコー信号と、加温前に受波したエコー信号とに基づいて、加温前後のエコー信号の波形シフト量(Δτ)の計算を行い、また、測定領域内の組織の境界間のパルス間隔(τ)を算出する処理を行う。そして式(2)に基づいて、各部分区間の超音波速度比(V’/V)を算出する処理を行う。
このようにして、外部コンピュータ装置6は、加温前後のエコー信号の測定結果に基づいて、超音波速度変化を含む脂肪情報を算出する脂肪情報算出部43として機能するようにしてある。
【0071】
なお、本実施形態では、外部コンピュータ装置6(脂肪情報算出部43)に伝送されるデータは、多チャンネルである主プローブ2にて取得した多数本のエコー信号データであるため、画像形成可能なデータである。したがって加温前後に伝送されるこれらのエコー信号データにより、超音波速度変化画像、さらには脂肪分布画像の画像表示を行うことができる。
よって、本実施形態では、超音波速度比の値や脂肪情報(脂肪判定、脂肪割合)を表示装置に数値表現することもできるが、脂肪分布の画像表示を行うことにより、脂肪分布画像による脂肪診断が可能になる。
【0072】
次に、上記の脂肪診断システムC(脂肪診断用付属装置31を含む)による測定手順について図11のフローチャートに基づいて説明する。
まず、超音波診断装置1による画像診断により、脂肪測定位置を探索して決定する(S201)。すなわち、切替ミラー5aを主プローブ2側がオンになるようにセットし、超音波診断装置1を操作して3MHz程度のパルス波によるBモード画像を撮像し、これを画面表示して画像診断を行い、脂肪測定に適した測定位置を探索する。このとき必要に応じてさらにパルス波の周波数を高めることで分解能を上げた鮮明画像を得るようにして探索してもよい。
【0073】
次に、決定された測定位置に対し、制御ボックス31(加温制御部41)による加温制御を行う(S202)。すなわち、制御ボックス31のコントローラ36を操作して切替ミラー5aを副プローブ4側がオンになるように切り替え、高周波電源21をオンにし、副プローブ4を介して加温用超音波を照射する。照射する超音波は0.5MHz〜3MHzであれば肝臓の位置を効率よく加温できるが、好ましくは0.7MHz〜1MHz程度にして照射する。そして加温領域が0.5℃〜2℃程度上昇して安定するまで加温を維持する。例えば加温時間が30秒くらいで安定するようになる。
【0074】
次に、加温を停止し、加温停止直後の昇温状態でのエコー信号の測定を行う(S203)。すなわち、コントローラ36を操作して、切替ミラー5aを主プローブ2側がオンになるように切り替える。そして多チャンネルの主プローブ2の各振動子を走査しながらパルス波の送受を行い、超音波診断装置1を介して画像形成に必要な本数のエコー信号を取得する。同時に、伝送線32から伝送されてくるエコー信号を制御ボックス31(エコー信号伝送制御部42)のレシーバ回路33により受波し、A/D変換器34によりA/D変換して、外部コンピュータ装置6(脂肪情報算出部43)に「加温後エコー信号」として伝送する。このときバッファメモリ35によって伝送速度が調整されながら伝送される。
【0075】
次に、「加温後エコー信号」の測定終了後、平温に戻るまでに要する時間として予め設定してある所定時間をさらに経過した後(例えば10秒〜20秒程度経過後)に、加温前の平温まで降温したときのエコー信号の測定を行う(S204)。すなわち、切替ミラー5aはそのままで、主プローブ2を介して再度パルス波の送受を行い、超音波診断装置1を介して画像形成に必要な本数のエコー信号を取得する。同時に、伝送線32から伝送されてくるエコー信号を制御ボックス31(エコー信号伝送制御部42)のレシーバ回路33により受波し、A/D変換器34によりA/D変換して、外部コンピュータ装置6(脂肪情報算出部43)に「加温前エコー信号」として伝送する。このときもバッファメモリ35によって伝送速度が調整されつつ伝送される。
【0076】
次に、外部コンピュータ装置6(脂肪情報算出部43)により、超音波速度変化および脂肪情報の算出を行い、超音波速度変化画像および脂肪分布画像の形成を行う(S205)。すなわち、制御ボックス31(エコー信号伝送制御部42)から「加温後エコー信号」と「加温前エコー信号」が送られてくると、既述の(2)式に基づいて超音波速度比(V’/V)を算出する。これを画像形成に要する本数のエコー信号の全てに対して行うことにより、超音波速度変化画像が形成される。さらに超音波速度変化画像の負の領域を抽出することにより、脂肪分布画像が形成される。これらの画像は外部コンピュータ装置6の画面に表示される。
【0077】
なお、外部コンピュータ装置6に伝送された画像形成可能な本数のエコー信号の一部に基づいて、実施形態1、2と同様の方法で、脂肪判定(脂肪肝の有無判定)を行ったり、予め求めた基準データとの比較から脂肪割合を算出して、脂肪画像表示とともに数値あるいは文字として画面に表示するようにしてもよい。
【0078】
その際、超音波診断装置1と外部コンピュータ装置6との間で、直接通信する信号線を別に設けるとともに、外部コンピュータ装置6に伝送したエコー信号(「加温後エコー信号」あるいは「加温前エコー信号」)と同じエコー信号を超音波診断装置1側にも蓄積しておき、超音波診断装置1側で対応するBモード画像を表示するようにすれば、超音波診断装置1側の画面上で設定した関心領域(ROI)の情報を外部コンピュータ装置6側に伝送することができるので、これに応じて外部コンピュータ装置6側の対応する関心領域での脂肪情報を算出することができるようになる。
以上の測定手順により、超音波速度変化画像や脂肪分布画像等による脂肪診断を行うことができる。
【0079】
(変形実施形態)
本発明は上記実施形態に限られず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、様々に変形実施することができる。
例えば、上記各実施形態では先に加温後エコー信号を測定し、後から加温前エコー信号を測定したが、測定順序を逆にしても測定は可能である。
【0080】
また、上記各実施形態では1チャンネルの振動子からなる円筒状の副プローブ4を用いたが、少数チャンネル数(例えば2〜5チャンネル)の振動子を用いてもよい。
その場合、副プローブ4を介して脂肪診断を行う実施形態1、2では、少数チャンネルの測定ポイントで並行して個別に測定を行い、平均処理を行うようにしてもよい。
【0081】
また、実施形態3では、制御ボックス31を1つにしてあるが、加温制御用とエコー信号伝送制御用との2つの制御ボックスに分けてもよい。その場合、コントローラ36は各制御ボックスに設けられることになる。また、実施形態3では画像による脂肪診断ができるので、生体深部に対する測定だけでなく、体表近く、例えば頸動脈等の血管内プラークの性質(繊維性か脂質性)の診断に使用すれば有益な情報が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明は超音波診断装置に付設して脂肪診断を行う脂肪診断装置、脂肪診断用付属装置として利用することができる。
【符号の説明】
【0083】
1 超音波診断装置
2 主プローブ(多チャンネルプローブ)
2a 振動子
3、3a 制御ボックス
4 副プローブ(1チャンネルプローブ)
4a 振動子
5 プローブホルダ
5a 切替ミラー
5b 側壁
5c 開口
5d 開口(出射口)
5e 開口
5f シート
6 外部コンピュータ装置
10、10a 脂肪診断装置
11 脂肪測定制御部
12 脂肪情報算出部
21 高周波電源(超音波源)
22 パルサ・レシーバ回路
23 スイッチ
24 A/D変換器
25 メモリ
26 コントローラ
31 制御ボックス
32 伝送線
33 レシーブ回路
34 A/D変換器
35 バッファメモリ
36 コントローラ
41 加温制御部
42 エコー信号伝送制御部
43 脂肪情報算出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図12