【文献】
KES−SE 摩擦感テスター[online],日本,カトーテック株式会社,2015年 4月 2日,URL,http://www.keskato.co.jp/products/imgs/kes_se/kes_se.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
原料としてゴムラテックスおよびケイフッ化ナトリウムが用いられてなる発泡体であって、前記発泡体を構成する気泡の平均半径が10〜120μmであり、嵩密度が0.10〜0.20g/cm3であり、50%圧縮時の応力が0.1〜1N/cm2であり、動摩擦係数が1.371〜1.8であることを特徴とするゴムラテックス弾性発泡体。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のゴムラテックス弾性発泡体は、原料としてゴムラテックスおよびケイフッ化ナトリウムが用いられており、前記発泡体を構成する気泡の平均半径が10〜200μmであり、嵩密度が0.10〜0.20g/cm
3であり、50%圧縮応力が0.1〜1N/cm
2であることを特徴とする。本発明のゴムラテックス弾性発泡体は、このように原料としてゴムラテックスおよびケイフッ化ナトリウムが用いられ、特定の気泡径、特定の嵩密度および特定の50%圧縮時の応力を有するので、豊かな風合いを有し、肌に対する密着性、粉体の付着性および粉体の付着の均一性に優れている。
【0012】
本発明のゴムラテックス弾性発泡体の原料として、ゴムラテックスおよびケイフッ化ナトリウムが用いられる。
【0013】
ゴムラテックスとしては、例えば、合成ゴムラテックスおよび天然ゴムラテックスが挙げられる。これらのゴムラテックスは、それぞれ単独で用いてもよく、併用してもよい。
【0014】
合成ゴムラテックスは、乳化重合法によって合成されたゴムラテックスである。合成ゴムラテックスに用いられるゴム成分としては、例えば、イソプレンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴムなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのゴム成分は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0015】
天然ゴムラテックスとしては、例えば、生ラテックス、精製ラテックス、ハイアンモニアラテックスなど挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの天然ゴムラテックスは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0016】
ゴムラテックスにおけるゴム成分(固形分)の含有率は、特に限定されないが、いわゆる「す」が発生することを抑制し、均一な組成を有するゴムラテックス弾性発泡体を効率よく製造する観点から、好ましくは50〜80質量%、より好ましくは60〜75質量%、さらに好ましくは65〜70質量%である。
【0017】
ゴムラテックスには、ゴム成分を架橋させることにより、ゴムラテックス弾性発泡体に豊かな弾性を付与する観点から、加硫剤を添加することが好ましい。
【0018】
加硫剤としては、例えば、硫黄、硫黄含有化合物などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。前記加硫剤は、それぞれ単独で用いてもよく、併用してもよい。
【0019】
ゴム成分(固形分)100質量部あたりの加硫剤の量は、ゴム成分を架橋させることにより、ゴムラテックス弾性発泡体の弾性を向上させる観点から、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.3質量部以上であり、ゴムラテックス弾性発泡体の風合いおよび肌に対する密着性を向上させる観点から、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下、さらに好ましくは3質量部以下である。
【0020】
また、ゴムラテックスには、必要により、加硫促進剤、加硫促進助剤、老化防止剤、充填剤、界面活性剤、酸化防止剤、抗菌剤、熱安定剤、増粘剤、発泡剤、可塑剤、防黴剤、着色剤などの添加剤を本発明の目的を阻害しない範囲内で添加してもよい。これらの添加剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0021】
加硫促進剤としては、例えば、N−エチル−N−フェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、2−メルカプトベンゾチアゾール亜鉛塩、テトラメチルチウラムジスルフィドなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの加硫促進剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。加硫促進剤は、商業的に容易に入手することができるものであり、その例として、川口化学工業(株)製、商品名:アクセルMZなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
【0022】
加硫促進助剤としては、例えば、酸化亜鉛、ステアリン酸などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの加硫促進助剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0023】
老化防止剤としては、例えば、フェノール系老化防止剤、アミン系老化防止剤などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの老化防止剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0024】
充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム粉末、酸化チタン粉末、カオリン、クレーなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの充填剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0025】
界面活性剤は、他の添加剤をゴムラテックスに均一に分散させることなどを目的として用いることができる。界面活性剤としては、例えば、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
【0026】
本発明のゴムラテックス弾性発泡体は、例えば、ゴムラテックスおよび必要により添加剤を含有する原液に空気を注入し、得られた気−液混合液にケイフッ化ナトリウムを添加し、得られた混合液を硬化させることにより、製造することができる。
【0027】
本発明のゴムラテックス弾性発泡体を製造する際には、例えば、
図1に示されるゴムラテックス弾性発泡体の製造装置を用いることができる。
図1は、ゴムラテックス弾性発泡体の製造装置の一実施態様を示す概略断面図である。
【0028】
図1に示されるゴムラテックス弾性発泡体の製造装置1は、製造装置本体2を有する。製造装置本体2の大きさは、任意であるが、気−液混合液中で微細な気泡を効率よく均一に分散させる観点から、内径が150〜400mm程度、長さが400〜1200mm程度であることが好ましい。
【0029】
製造装置本体2には、あらかじめゴムラテックスおよび必要により添加剤を含有する原液に空気を注入することによって調製された気−液混合液(図示せず)を製造装置本体2内に導入するための混合液導入口2aおよび当該気−液混合液を製造装置本体2から排出するための混合液排出口2bを有する。
【0030】
製造装置本体2には、製造装置本体2内に導入された気−液混合液にせん断応力を加えて当該気−液混合液を混合するための混合装置3a,3b,3cが配設されている。当該混合装置3a,3b,3cにより、気−液混合液中で微細な気泡を均一に分散させることができる。
【0031】
混合装置3a,3b,3cとしては、例えば、ホモディスパー、ホモミキサー、ホモジナイザー、オークスミキサー、マイクロフルイダイザー、撹拌子を有するディスパーミキサー、回転羽を有するインペラー式混合装置などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
【0032】
混合装置3a,3b,3cの各間隔は、任意であるが、気−液混合液中で微細な気泡を効率よく均一に分散させる観点から、それぞれ150〜300mm程度であることが好ましい。
【0033】
前記気−液混合液は、ゴムラテックスおよび必要により添加剤を含有する原液に空気を注入することによって調製される。原液と空気との混合比率は、通常、原液100mLあたり空気300〜1000mLとなるように調整することが好ましい。原液と空気との混合は、例えば、ミキサー、ニーダーなどの混合装置を用いて行なうことができるが、本発明は、当該混合装置の例示のみに限定されるものではない。
【0034】
前記気−液混合液は、気−液混合液を混合液導入口2aから製造装置本体2内に導入される。製造装置本体2内に導入された気−液混合液は、矢印A方向に送液され、混合装置3a,3b,3cによってせん断応力が加えられる。このように気−液混合液にせん断応力が加えられることにより、気−液混合液中で微細な気泡を均一に分散させることができる。
【0035】
製造装置本体2内に導入される気−液混合液の液温は、特に限定されないが、通常、25〜35℃程度であることが好ましい。
【0036】
図1に示される製造装置本体2には、混合装置3a,3b,3cが配設されている。製造装置本体2に配設される混合装置の数は、特に限定されず、本発明の目的が阻害されない範囲内で適宜調整することが好ましい。したがって、製造装置本体2に配設される混合装置の数は、例えば、2個であってもよく、4個以上であってもよい。しかし、微細な気泡が均一に分散された気−液混合液を効率よく製造する観点から、製造装置本体2に配設される混合装置の数は、好ましくは2〜4個であり、より好ましくは3個である。
【0037】
製造装置本体2内に導入される気−液混合液の体積流量は、製造装置本体2の内径などによって異なるので一概には決定することができないが、例えば、内径が150〜400mm程度の製造装置本体2を用いる場合、0.5〜10L/min程度であることが好ましい。また、製造装置本体2内に導入される気−液混合液の液温は、常温であってもよく、加温されていてもよい。
【0038】
本発明においては、気−液混合液にケイフッ化ナトリウムを添加するという操作が採られている。前記操作は、例えば、
図1に示されるように、製造装置本体2に配設されている混合装置3bにケイフッ化ナトリウムの導入ノズル4を配設し、当該導入ノズル4からケイフッ化ナトリウム(図示せず)を導入することによって行なうことができる。ケイフッ化ナトリウムは、25℃の水に対する溶解度が0.76g/100mLであることから、例えば、水中に添加することによって得られる水分散体の状態で用いることが好ましい。
【0039】
導入ノズル4の内径は、特に限定されないが、例えば、ケイフッ化ナトリウムの水分散体を効率よく混合装置3bに導入する観点から、0.5〜5mm程度であることが好ましい。
【0040】
導入ノズル4から導入されるケイフッ化ナトリウムの量は、微細な気泡が均一に分散された気−液混合液を効率よく製造する観点から、気−液混合液100質量部あたり、好ましくは0.5〜10質量部、より好ましくは1〜5質量部である。
【0041】
導入ノズル4から導入されたケイフッ化ナトリウムは、製造装置本体2内に導入され、気−液混合液と混合される。ケイフッ化ナトリウムを気−液混合液と混合する際の気−液混合液の液温は、前記と同様に、通常、25〜35℃程度であることが好ましい。
【0042】
ケイフッ化ナトリウムを気−液混合液中で均一に分散させる観点から、製造装置本体2に混合装置3cを配設し、当該混合装置3cでケイフッ化ナトリウムと気−液混合液との混合液を混合することが好ましい。
【0043】
以上のようにして気−液混合液とケイフッ化ナトリウムとを混合することによって得られた混合液は、製造装置本体2の混合液排出口2bから排出される。
【0044】
製造装置本体2の混合液排出口2bから排出された混合液には、当該混合液に含まれている気泡が流動し、気泡同士が結合することによって気泡径が大きい気泡が生じないようにするために、当該混合液を加熱し、酸性にすることにより、凝固体を形成させることが好ましい。当該混合液を加熱するための加熱手段としては、例えば、マイクロ波を当該混合液に照射する手段などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
【0045】
マイクロ波を当該混合液に照射することによって当該混合液からなる凝固体を形成させるとき、例えば、当該混合液を型内に注入した後に、マイクロ波を照射することができる。この場合、混合液を型内に注入したときからマイクロ波を照射するまでの時間は、微細な気泡同士が結合して気泡が大きくなることを抑制する観点から、好ましくは70秒間以内である。
【0046】
前記マイクロ波の周波数は、特に限定されないが、通常、2400〜2500MHz程度であることが好ましい。マイクロ波の照射時間は、マイクロ波の出力などによって異なるので一概には決定することができないことから、通常、混合液が充分に凝固するのに要する時間であることが好ましい。
【0047】
次に、前記で得られた凝固体を加熱することによって加硫させることができる。凝固体を加熱する際には、成形型を用いることができる。凝固体を所定の内面形状を有する成形型内に充填した後、加熱することにより、所定形状を有するゴムラテックス弾性発泡体を得ることができる。凝固体を加熱する方法としては、例えば、ヒータを用いて凝固体を加熱する方法、マイクロ波を照射することによって凝固体を加熱する方法などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
【0048】
前記凝固体の加熱温度は、豊かな風合いを有し、肌に対する密着性、粉体の付着性および粉体の付着の均一性に優れた弾性発泡体を効率よく製造する観点から、80〜150℃程度であることが好ましく、100〜130℃程度であることがより好ましい。また、前記凝固体の加熱時間は、加熱温度などによって異なるので一概には決定することができないが、通常、15〜60分間程度である。
【0049】
以上の操作を行なうことにより、気泡の平均半径が10〜200μmであり、嵩密度が0.10〜0.20g/cm
3であり、50%圧縮時の応力が0.1〜1N/cm
2であるゴムラテックス弾性発泡体を製造することができる。
【0050】
前記で得られたゴムラテックス弾性発泡体は、必要により、所定の大きさおよび形状となるように裁断してもよく、他のゴムラテックス弾性発泡体または基材に貼り付けてもよく、研磨を施してもよい。
【0051】
本発明のゴムラテックス弾性発泡体は、前記したように、気泡の平均半径が10〜200μmであり、嵩密度が0.10〜0.20g/cm
3であり、50%圧縮時の応力が0.1〜1N/cm
2であるので、豊かな風合いを有し、肌に対する密着性、粉体の付着性および粉体の付着の均一性に優れている。
【0052】
本発明において、ゴムラテックス弾性発泡体が有する気泡の平均半径は、ゴムラテックス弾性発泡体を裁断し、その断面に存在する気泡10個を無作為抽出し、レーザマイクロスコープ〔キーエンス(株)製、品番:VK−8700〕を用いて各気泡の断面の内周縁上の3点を通る仮想真円の半径を測定することによって各気泡の平均半径を測定し、測定された気泡10個の半径の平均値である。ゴムラテックス弾性発泡体が有する気泡の平均半径は、粉体の付着性を向上させる観点から、10μm以上、好ましくは20μm以上、より好ましくは40μm以上であり、風合いを向上させ、肌に対する密着性および粉体の付着の均一性を向上させる観点から、200μm以下、好ましくは180μm以下、より好ましくは150μm以下、さらに好ましくは120μm以下、さらに一層好ましくは100μm以下である。
【0053】
本発明において、ゴムラテックス弾性発泡体の嵩密度は、ゴムラテックス弾性発泡体を3個用意し、各ゴムラテックス弾性発泡体の体積を当該発泡体の質量で除することによって求められた嵩密度の平均値である。本発明のゴムラテックス弾性発泡体の嵩密度は、粉体の付着性を向上させる観点から、0.10g/cm
3以上、好ましくは0.11g/cm
3以上、より好ましくは0.12g/cm
3以上、さらに好ましくは0.125g/cm
3以上であり、風合いを向上させ、肌に対する密着性および粉体の付着の均一性を向上させる観点から、0.20g/cm
3以下、好ましくは0.18g/cm
3以下、より好ましくは0.16g/cm
3以下である。
【0054】
本発明において、ゴムラテックス弾性発泡体の50%圧縮時の応力は、平板状のゴムラテックス弾性発泡体を3個用意し、各ゴムラテックス弾性発泡体を2枚の平板間に挟み、当該ゴムラテックス弾性発泡体の厚さが無荷重時の50%になるときの単位面積あたりの荷重を測定することによって求められた応力の平均値である。本発明のゴムラテックス弾性発泡体の50%圧縮時の応力は、風合いを向上させ、肌に対する密着性および粉体の付着の均一性を向上させる観点から、0.1N/cm
2以上、好ましくは0.2N/cm
2以上、より好ましくは0.3N/cm
2以上であり、粉体の付着性を向上させる観点から、1N/cm
2以下、好ましくは0.9N/cm
2以下、より好ましくは0.8N/cm
2以下、さらに好ましくは0.7N/cm
2以下、さらに一層好ましくは0.6N/cm
2以下である。
【0055】
本発明においては、豊かな風合いを有し、肌に対する密着性、粉体の付着性および粉体の付着の均一性に優れたゴムラテックス弾性発泡体を得る観点から、ゴムラテックス弾性発泡体の動摩擦係数は、0.5〜1.8であることが好ましい。ゴムラテックス弾性発泡体の動摩擦係数は、ゴムラテックス弾性発泡体を3個用意し、静・動摩擦係数測定機〔(株)トリニティーラボ製、品番:TL201Ts〕を用い、速度10mm/s、荷重50g、移動距離20mm、環境温度25℃の条件下で当該平板に荷重を加えて各ゴムラテックス弾性発泡体の動摩擦係数を測定し、測定された動摩擦係数の平均値である。ゴムラテックス弾性発泡体の動摩擦係数は、風合いを向上させ、肌に対する密着性および粉体の付着の均一性を向上させる観点から、好ましくは0.5以上、より好ましくは0.7以上、より一層好ましくは0.8以上、さらに好ましくは0.9以上、さらに一層好ましくは1以上であり、肌に対する滑らかさおよびしっとり感を付与する観点から、好ましくは1.8以下、より好ましくは1.75以下、さらに好ましくは1.7以下である。
【0056】
本発明のゴムラテックス弾性発泡体は、前記したように、豊かな風合いを有し、肌に対する密着性、粉体の付着性および粉体の付着の均一性に優れている。したがって、本発明のゴムラテックス弾性発泡体は、例えば、パフなどの化粧用塗布基材をはじめ、ワイパーなどの洗浄用具、クッション材、濾過用シートなどの用途に使用することが期待されるものである。
【実施例】
【0057】
次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。
なお、実施例3は、参考例として扱われるものである。
【0058】
調製例1
ゴムラテックス〔日本ゼオン(株)製、商品名:Nipol LX 531Bの水系エマルション(固形分含量:65%)〕100質量部、加硫剤として硫黄〔細井化学(株)製〕1.3質量部、加硫促進助剤〔ユニロイヤル(株)製、商品名:トリメンベース〕0.6質量部、加硫促進剤〔川口化学工業(株)製、商品名:アクセルMZ〕1.3質量部、酸化防止剤〔川口化学工業(株)製、商品名:アンテージBHT〕1.0質量部および抗菌剤〔(株)タイキ製、商品名:コスモパールAB−5〕0.4質量部を混合することにより、原液を調製した。
【0059】
実施例1
調製例1で得られた原液100mLあたりの空気の量が600mL(発泡倍率:6倍)となるように原液に空気を注入することにより、気−液混合液を得た。
図1に示されるゴムラテックス弾性発泡体の製造装置1を用い、前記で得られた気−液混合液を当該製造装置1に送液することにより、混合液を調製した。
【0060】
より具体的には、内径が150mm、長さが1200mmであり、混合装置3a,3bおよび3cが300mmの等間隔で配設された製造装置本体2を有するゴムラテックス弾性発泡体の製造装置を用いた。
【0061】
約25℃の気−液混合液を製造装置本体2内に送液し、製造装置本体2に配設された混合装置3a,3b,3cによってせん断応力を加えた。なお、製造装置本体2内に導入される気−液混合液の体積流量を3L/minに調整した。
【0062】
次に、気−液混合液100質量部あたりのケイフッ化ナトリウムの量が1.5質量部となるように調整しながら、製造装置本体2に配設されている導入ノズル4にケイフッ化ナトリウムの水分散体を導入した。
【0063】
以上のようにして気−液混合液とケイフッ化ナトリウムとを混合することによって得られた混合液を製造装置本体2の混合液排出口2bから排出した。
【0064】
次に、前記で得られた混合液をシート成形用成形型(縦:400mm、横:400mm、深さ:25mm)内に注入し、マイクロ波(周波数:2450MHz)を15秒間照射することによって混合液を凝固させ、100℃で45分間乾燥させることにより、シートを成形した。
【0065】
成形されたシートを成形型から取り出し、8mmの厚さにスライスすることにより、試料を得た。得られた試料を平面形状が直径60mmの円形となるように打ち抜いた後、110℃の温度で30分間加熱することによって加硫し、ゴムラテックス弾性発泡体を得た。
【0066】
前記で得られたゴムラテックス弾性発泡体の気泡の平均半径は44.4μmであり、嵩密度は0.14g/cm
3であり、50%圧縮時の応力が0.60N/cm
2であり、動摩擦係数が1.371であった。
【0067】
次に、前記で得られたゴムラテックス弾性発泡体のスライスした面(断面)を高分解能マイクロCT〔東芝ITコントロールシステム(株)製、商品名:TOSCANER−32300μFD〕で撮影した。前記ゴムラテックス弾性発泡体の断面におけるX線CT写真を
図2に示す。
【0068】
図2に示された結果から、前記ゴムラテックス弾性発泡体は、黒色で示される気泡が微細構造を有することがわかる。
【0069】
実施例2
実施例1において、原液100mLあたりの空気の量を650mL(発泡倍率6.5倍)に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてゴムラテックス弾性発泡体を得た。
【0070】
前記で得られたゴムラテックス弾性発泡体の気泡の平均半径は66.3μmであり、嵩密度は0.137g/cm
3であり、50%圧縮時の応力が0.56N/cm
2であり、動摩擦係数が1.673であった。
【0071】
次に、前記で得られたゴムラテックス弾性発泡体のスライスした面(断面)を高分解能マイクロCT〔東芝ITコントロールシステム(株)製、商品名:TOSCANER−32300μFD〕で撮影した。前記ゴムラテックス弾性発泡体の断面におけるX線CT写真を
図3に示す。
【0072】
図3に示された結果から、前記ゴムラテックス弾性発泡体は、実施例1で得られたゴムラテックス弾性発泡体と同様に、黒色で示される気泡が微細構造を有することがわかる。
【0073】
実施例3
実施例1において、原液100mLあたりの空気の量を700mL(発泡倍率7倍)に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてゴムラテックス弾性発泡体を得た。
【0074】
前記で得られたゴムラテックス弾性発泡体の気泡の平均半径は132.8μmであり、嵩密度は0.134g/cm
3であり、50%圧縮時の応力が0.78N/cm
2であり、動摩擦係数が1.800であった。
【0075】
次に、前記で得られたゴムラテックス弾性発泡体のスライスした面(断面)を高分解能マイクロCT〔東芝ITコントロールシステム(株)製、商品名:TOSCANER−32300μFD〕で撮影した。前記ゴムラテックス弾性発泡体の断面におけるX線CT写真を
図4に示す。
【0076】
図4に示された結果から、前記ゴムラテックス弾性発泡体は、実施例1で得られたゴムラテックス弾性発泡体と対比して、黒色で示される気泡がやや大きい微細構造を有することがわかる。
【0077】
参考例
調製例1で得られた原液100質量部あたりのケイフッ化ナトリウムの量が1.5質量部となるようにケイフッ化ナトリウムを原液に添加し、原液100mLあたりの空気の量が600mL(発泡倍率6倍)となるように原液に空気を注入し、得られた混合液をオークスミキサーで撹拌した後、実施例1と同様にして、当該混合液をシート成形用成形型(縦:400mm、横:400mm、深さ:25mm)内に注入し、マイクロ波(周波数:2450MHz)を15秒間照射することによって混合液を凝固させ、100℃で45分間乾燥させた。
【0078】
成形されたシートを成形型から取り出し、8mmの厚さにスライスすることにより、試料を得た。得られた試料を平面形状が直径60mmの円形となるように打ち抜いた後、110℃の温度で30分間加熱することによって加硫し、ゴムラテックス弾性発泡体を得た。
【0079】
前記で得られたゴムラテックス弾性発泡体の気泡の平均半径は179.1μmであり、嵩密度は0.130g/cm
3であり、50%圧縮時の応力が1.00N/cm
2であり、動摩擦係数が1.845であった。
【0080】
次に、前記で得られたゴムラテックス弾性発泡体のスライスした面(断面)を高分解能マイクロCT〔東芝ITコントロールシステム(株)製、商品名:TOSCANER−32300μFD〕で撮影した。前記ゴムラテックス弾性発泡体の断面におけるX線CT写真を
図5に示す。
【0081】
図5に示された結果から、前記ゴムラテックス弾性発泡体は、黒色で示される気泡が大きく成長しており、実施例1と比べてかなり大きい径を有することがわかる。
【0082】
次に、各実施例および参考例で得られたゴムラテックス弾性発泡体の外周縁を研磨することにより、パフを得た。得られたパフの物性として、風合い、肌に対する密着性、粉体の付着性および粉体の付着の均一性を以下の方法に基づいて調べた。その結果を表1に示す。
【0083】
(1)風合い
専門のパネラー10名に各実施例および参考例で得られたパフを手指で触ることによって風合いを調べてもらい、以下の評価基準に基づいて評価した。
〔評価基準〕
◎:パネラー10名中9〜10名が参考例で得られたパフと対比して実施例で得られたパフのほうが風合いに優れていると評価
○:パネラー10名中7〜8名が参考例で得られたパフと対比して実施例で得られたパフのほうが風合いに優れていると評価
△:パネラー10名中5〜6名が参考例で得られたパフと対比して実施例で得られたパフのほうが風合いに優れていると評価
×:パネラー10名中4名以下が参考例で得られたパフと対比して実施例で得られたパフのほうが風合いに優れていると評価
【0084】
(2)肌に対する密着性
専門のパネラー10名に各実施例および参考例で得られたパフを手の甲に擦ることによって肌に対する密着性を調べてもらい、以下の評価基準に基づいて評価した。
〔評価基準〕
◎:パネラー10名中9〜10名が参考例で得られたパフと対比して実施例で得られたパフのほうが肌に対する密着性に優れていると評価
○:パネラー10名中7〜8名が参考例で得られたパフと対比して実施例で得られたパフのほうが肌に対する密着性に優れていると評価
△:パネラー10名中5〜6名が参考例で得られたパフと対比して実施例で得られたパフのほうが肌に対する密着性に優れていると評価
×:パネラー10名中4名以下が参考例で得られたパフと対比して実施例で得られたパフのほうが肌に対する密着性に優れていると評価
【0085】
(3)粉体の付着性
粉体としてパウダーファンデーションを用い、専門のパネラー10名に各実施例および参考例で得られたパフをパウダーファンデーションに軽く擦ることによってファンデーションをパフに付着させたときのファンデーションの付着性を調べてもらい、以下の評価基準に基づいて評価した。
〔評価基準〕
◎:パネラー10名中9〜10名が参考例で得られたパフと対比して実施例で得られたパフのほうがファンデーションの付着性に優れていると評価
○:パネラー10名中7〜8名が参考例で得られたパフと対比して実施例で得られたパフのほうがファンデーションの付着性に優れていると評価
△:パネラー10名中5〜6名が参考例で得られたパフと対比して実施例で得られたパフのほうがファンデーションの付着性に優れていると評価
×:パネラー10名中4名以下が参考例で得られたパフと対比して実施例で得られたパフのほうがファンデーションの付着性に優れていると評価
【0086】
(4)粉体の付着の均一性
粉体としてパウダーファンデーションを用い、専門のパネラー10名に各実施例および参考例で得られたパフをパウダーファンデーションに軽く擦ることによってファンデーションをパフに付着させた後、パフを手の甲に擦ったときにファンデーションの付着にムラがないかどうかを調べてもらい、以下の評価基準に基づいて評価した。
〔評価基準〕
◎:パネラー10名中9〜10名が参考例で得られたパフと対比して実施例で得られたパフのほうがファンデーションの付着にムラがないと評価
○:パネラー10名中7〜8名が参考例で得られたパフと対比して実施例で得られたパフのほうがファンデーションの付着にムラがないと評価
△:パネラー10名中5〜6名が参考例で得られたパフと対比して実施例で得られたパフのほうがファンデーションの付着にムラがないと評価
×:パネラー10名中4名以下が参考例で得られたパフと対比して実施例で得られたパフのほうがファンデーションの付着にムラがないと評価
【0087】
(5)滑らかさ
専門のパネラー10名に各実施例および参考例で得られたパフを手の甲に擦ることによって肌に対するパフの滑らかさを調べてもらい、以下の評価基準に基づいて評価した。
〔評価基準〕
◎:パネラー10名中9〜10名が参考例で得られたパフと対比して実施例で得られたパフのほうが肌に対するパフの滑らかさに優れていると評価
○:パネラー10名中7〜8名が参考例で得られたパフと対比して実施例で得られたパフのほうが肌に対するパフの滑らかさに優れていると評価
△:パネラー10名中5〜6名が参考例で得られたパフと対比して実施例で得られたパフのほうが肌に対するパフの滑らかさに優れていると評価
×:パネラー10名中4名以下が参考例で得られたパフと対比して実施例で得られたパフのほうが肌に対するパフの滑らかさに優れていると評価
【0088】
(6)しっとり感
専門のパネラー10名に各実施例および参考例で得られたパフを手の甲に擦ることによって肌に対するパフのしっとり感を調べてもらい、以下の評価基準に基づいて評価した。
〔評価基準〕
◎:パネラー10名中9〜10名が参考例で得られたパフと対比して実施例で得られたパフのほうが肌に対するパフのしっとり感に優れていると評価
○:パネラー10名中7〜8名が参考例で得られたパフと対比して実施例で得られたパフのほうが肌に対するパフのしっとり感に優れていると評価
△:パネラー10名中5〜6名が参考例で得られたパフと対比して実施例で得られたパフのほうが肌に対するパフのしっとり感に優れていると評価
×:パネラー10名中4名以下が参考例で得られたパフと対比して実施例で得られたパフのほうが肌に対するパフのしっとり感に優れていると評価
【0089】
【表1】
【0090】
表1に示された結果から、各実施例で得られたゴムラテックス弾性発泡体は、いずれも、参考例で得られた従来のゴムラテックス弾性発泡体と対比して、風合い、肌に対する密着性、粉体の付着性および粉体の付着の均一性に総合的に優れていることがわかる。なかでも実施例1および2、特に実施例1で得られたゴムラテックス弾性発泡体は、特定の動摩擦係数を有することから、さらにゴムラテックス弾性発泡体の滑らかさおよびしっとり感に優れていることがわかる。