(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6372948
(24)【登録日】2018年7月27日
(45)【発行日】2018年8月15日
(54)【発明の名称】試料の自動配向
(51)【国際特許分類】
G01N 23/04 20180101AFI20180806BHJP
H01J 37/21 20060101ALI20180806BHJP
【FI】
G01N23/04
H01J37/21 B
【請求項の数】14
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-228871(P2013-228871)
(22)【出願日】2013年11月4日
(65)【公開番号】特開2014-98695(P2014-98695A)
(43)【公開日】2014年5月29日
【審査請求日】2016年10月27日
(31)【優先権主張番号】13/677,940
(32)【優先日】2012年11月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501419107
【氏名又は名称】エフ・イ−・アイ・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【弁理士】
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン・アルジャヴァック
【審査官】
佐藤 仁美
(56)【参考文献】
【文献】
特開平11−304735(JP,A)
【文献】
特開2007−051902(JP,A)
【文献】
特開2007−018934(JP,A)
【文献】
特開2008−159286(JP,A)
【文献】
特開2005−043286(JP,A)
【文献】
特開2002−270126(JP,A)
【文献】
特表昭61−502486(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0264309(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 23/00−23/227、
H01J 27/26、37/00−37/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷電粒子ビーム・システム内の試料を位置合わせする方法であって、
荷電粒子ビームを有する真空室内に試料を装填するステップと、
前記試料を荷電粒子ビームの下に置くステップと、
前記試料の表面の少なくとも2つの異なるスポットに前記荷電粒子ビームを導くステップと、
前記少なくとも2つの異なるスポットに焦点を合わせるステップと、
前記試料に対して実質的にユーセントリックな定点からそれぞれのスポットまでの距離を決定するステップと、
前記荷電粒子ビームに対して前記試料が位置合わせされるように、それぞれのスポットからの距離を使用して前記試料を配向するステップと
を含む方法。
【請求項2】
2つの異なるスポットを使用して、試料の配向に使用する線を生成する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記試料の配向が、前記線上の前記スポットを定点から等距離にすることによって実行される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記試料の前記配向が、XY平面内のステージを移動させることによって実行される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
3つの異なるスポットを使用して、試料の配向に使用する2次元平面を生成する、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記焦点を合わせるステップが、自動焦点合わせルーチンを使用して実行される、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記焦点を合わせるステップが、手動焦点合わせルーチンを使用して実行される、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
荷電粒子ビーム・システム内の試料を位置合わせする方法であって、
荷電粒子ビームを有する真空室内の試料ステージ上に試料を装填するステップと、
前記荷電粒子ビームとZ軸上で整列するように前記試料を較正するステップと、
配向のための前記試料のある領域を選択するステップと、
配向のための前記試料の前記領域の第1のスポットに向けて前記荷電粒子ビームを導くステップと、
第1の焦点合わせルーチンを実行して第1のX、Y、Z点を定めるステップと、
前記荷電粒子ビームをXY平面内で移動させるステップと、
第2の焦点合わせルーチンを実行して第2のX、Y、Z点を定めるステップと、
前記第1のX、Y、Z点および前記第2のX、Y、Z点を使用して、前記試料の向きを決定するステップと、
前記試料ステージの向きを、前記荷電粒子ビームに対して前記試料が位置合わせされるように変化させるステップと
を含む方法。
【請求項9】
前記第1の焦点合わせルーチンおよび前記第2の焦点合わせルーチンが、自動焦点合わせレンズを使用して実行される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の焦点合わせルーチンおよび前記第2の焦点合わせルーチンが、手動焦点合わせ手順を使用して実行される、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
第3の焦点合わせルーチンを実行して第3のX、Y、Z点を定めるステップと、
前記第1のX、Y、Z点、前記第2のX、Y、Z点および前記第3のX、Y、Z点を使用して、前記試料の2次元の向きを決定するステップと
をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記試料の前記2次元の向きを使用して、前記試料を前記荷電粒子ビームに対して実質的に垂直に位置合わせする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1、第2および第3の焦点合わせルーチンが、自動焦点合わせレンズを使用する、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1、第2および第3の焦点合わせルーチンが、手動焦点合わせルーチンを使用する、請求項11または12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透過型電子顕微鏡および走査透過型電子顕微鏡用の試料の調製および分析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路の製造などの半導体製造には、通常、フォトリソグラフィの使用を伴う。回路をその表面に形成しようとする半導体基板、通常はシリコン・ウェーハを、放射で露光すると溶解性が変化する材料、例えばフォトレジストで覆う。放射源と半導体基板との間に配置されたマスク、レチクルなどのリソグラフィ・ツールが、基板のどのエリアを放射で露光するのかを制御する影を投影する。露光後、露光したエリアまたは露光しなかったエリアからフォトレジストを除去して、後続のエッチング・プロセスまたは拡散プロセスの間、ウェーハの部分を保護するパターン形成されたフォトレジスト層をウェーハの表面に残す。
【0003】
このフォトリソグラフィ・プロセスにより、それぞれのウェーハの表面に、しばしば「チップ」と呼ばれる多数の集積回路素子または電気機械素子を形成することが可能になる。次いで、そのウェーハを切断して、単一の集積回路素子または単一の電気機械素子をそれぞれが含む個々のダイを得る。最後に、これらのダイを追加の処理にかけ、パッケージングして、個々の集積回路チップまたは電気機械素子にする。
【0004】
露光および集束は変化するため、この製造プロセス中に、リソグラフィ・プロセスによって現像されるパターンを絶えず監視または測定して、パターンの寸法が許容範囲内にあるかどうかを判定する必要がある。パターン・サイズが小さくなるにつれて、特に、そのリソグラフィ・プロセスが使用可能な分解能の限界に最小特徴部分のサイズが近づくにつれて、しばしばプロセス制御と呼ばれるこのような監視の重要性は相当に増す。素子密度を絶えず高くしていくためには、特徴部分のサイズを絶えず小さくしていく必要がある。特徴部分のサイズには、相互接続ラインの幅および間隔、コンタクト・ホールの間隔および直径、ならびにさまざまな特徴部分のコーナおよびエッジなどの表面形状が含まれる。ウェーハ上の特徴部分は3次元構造物であり、特徴部分の特徴を完全に記述するためには、ラインまたはトレンチの上面における幅などの表面寸法だけでなく、特徴部分の完全な3次元プロファイルを記述しなければならない。製造プロセスを微調整するため、および所望の素子ジオメトリが得られることを保証するために、プロセス・エンジニアは、このような表面特徴部分の限界寸法(CD)を正確に測定することができなければならない。
【0005】
CDの測定は通常、走査電子顕微鏡(SEM)などの機器を使用して実施される。走査電子顕微鏡(SEM)では、一次電子ビームを微小なスポットに集束させ、観察しようとする表面をそのスポットで走査する。表面に一次ビームが衝突すると、その表面から二次電子が放出される。その二次電子を検出し、画像を形成する。このとき、画像のそれぞれの点の輝度は、その表面の対応するスポットにビームが衝突したときに検出された二次電子の数によって決定される。しかしながら、特徴部分が小さくなり続けると、ある時点で、測定する特徴部分が小さすぎて、通常のSEMが提供する分解能によっては分解できなくなる。
【0006】
透過型電子顕微鏡(TEM)では、観察者は数ナノメートル程度の極めて小さな特徴部分を見ることができる。材料の表面だけを画像化するSEMとは対照的に、TEMは、試料の内部構造をも分析することができる。TEMでは、幅の広いビームが試料に衝突し、試料を透過した電子を集束させて試料の画像を形成する。一次ビーム中の電子の多くが試料を透過し、反対側から出てくることを可能にするため、試料は十分に薄くなければならない。試料の厚さは、通常、100nm未満であり、試料は薄片(lamellae)とも呼ばれる。
【0007】
走査透過型電子顕微鏡(STEM)では、一次電子ビームを微小なスポットに集束させ、そのスポットは試料表面にわたって走査される。加工物を透過した電子を、試料の向こう側に置かれた電子検出器によって集める。画像のそれぞれの点の明度は、その表面の対応する点に一次ビームが衝突したときに集められた電子の数に対応する。
【0008】
透過型電子顕微鏡(TEMまたはSTEM)で観察するためには試料が非常に薄くなければならないため、試料の調製は、繊細で時間のかかる作業である。本明細書で使用する用語「TEM」はTEMまたはSTEMを指し、TEM用の試料を調製すると言うときには、STEMで観察するための試料を調製することも含まれると理解すべきである。本明細書で使用する用語「S/TEM」もTEMとSTEMの両方を指す。
【0009】
TEM試料を調製するいくつかの技法が知られている。これらの技法には例えば、劈開、化学研磨、機械研磨、もしくはブロード・ビーム低エネルギー・イオン・ミリング(broad beam low energy ion milling)、または以上のうちの1つまたは複数の組合せが含まれる。これらの技法の不利点は、これらの技法が、特定の部位だけを処理する(site−specific)のではなく、しばしば、出発材料を次第に小さな材料片に切断していく必要があり、それによって原試料の多くの部分を破壊することである。
【0010】
計測上、STEM分析およびTEM分析を適正に実施するためにはしばしば、結晶の正確な位置合わせが必要となる。同様に、非結晶材料に対しては材料スタックの位置合わせが必要となる。結晶構造の位置合わせまたは非結晶材料に対する材料スタックの位置合わせをするための伝統的なルーチンは、試料を位置決めしまたは傾けるときに複数の焦点合わせルーチンが必要な非常に時間のかかり得るルーチンを伴う。
【0011】
入来TEMビームまたはSTEMビーム、すなわち荷電粒子ビームに対してTEM試料の位置合わせをする反復可能な方法が求められている。試料の結晶配向に依存しない堅牢で単純な試料の位置合わせ方法は、分析プロセスのスループットを増大させうる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、本発明の目的は、TEM分析またはSTEM分析において試料を配向する改良された方法を提供することにある。本発明の好ましい実施形態は、関心領域を選択し、関心領域上の2点を選定し、その2点間の想像線を生成し、その想像線を、入射荷電粒子ビームに対して垂直になるように較正する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の好ましいいくつかの実施形態は、TEM分析またはSTEM分析において試料を配向する方法を提供する。この方法は、関心領域から選定した3点を使用して想像平面を生成し、この想像平面を使用して試料を較正することができる。
【0014】
以上では、以下の本発明の詳細な説明をより十分に理解できるように、本発明の特徴および技術上の利点をかなり広く概説した。以下では、本発明の追加の特徴および利点を説明する。開示される着想および特定の実施形態を、本発明の同じ目的を達成するために他の構造を変更しまたは設計するベースとして容易に利用することができることを当業者は理解すべきである。さらに、このような等価の構造は、添付の特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨および範囲を逸脱しないことを当業者は理解すべきである。
【0015】
次に、本発明および本発明の利点をより完全に理解するため、添付図面に関して解釈される以下の説明を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】2点の選択を含む、本発明の好ましい一実施形態による標準の位置合わせ手順を示す流れ図である。
【
図2】試料ステージを変化させることによって試料を荷電粒子ビームに対して適正に位置合わせすることが可能な本発明の好ましい一実施形態による方法を示す略図である。
【
図3】位置合わせをする前の本発明の好ましい実施形態による真空室を示す図である。
【
図4】位置合わせをした後の本発明の好ましい実施形態による真空室を示す図である。
【
図5】3点の選択を含む、本発明の好ましい一実施形態による標準の位置合わせ手順を示す流れ図である。
【
図6】試料の適正な位置合わせを実施することができるような平面を形成する本発明の好ましい一実施形態による3点の三角測量(triangulation)を示す図である。
【
図7】本発明の好ましい実施形態による試料ステージを示す図であり、さまざまな軸で試料ステージを傾けることが可能な方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態は、試料の別個の位置に焦点を合わせて荷電粒子ビームに対する試料の向きを決定する方法を使用することによりTEM試料の位置合わせをする改良された方法を対象とする。向きを決定した後、試料ステージをXYZ軸において変化させて、試料を荷電粒子ビームに対して垂直に適正に位置合わせすることができる。このような方法は、高スループット性能を有する簡単でしっかりとした試料の位置合わせを可能にする。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態による方法の流れ図を示す。この方法は、試料の別個の2つの点に焦点を合わせ、焦点合わせシステムを使用して定点からの距離を決定するシステムの能力を利用することにより、2次元での試料の配向を可能にする。この定点は一般に、対物レンズ上のユーセントリック(eucentric)な点である。この焦点合わせは、伝統的な自動焦点合わせ法または手動焦点合わせ法を使用して実行される。伝統的な自動焦点合わせ法は、ユーザが、定点からの距離を識別するのを可能にする。能動的な自動焦点合わせルーチンは、超音波または赤外光を発射し、その超音波または赤外光の反射の遅延を計算して、定点からの距離を決定することができる。受動的な自動焦点合わせルーチンは、試料からの光の反射をいくつかの対に分割し、それらの対の位相変化を比較する。手動焦点合わせルーチンでも、定点から試料上の別個の点までの距離を決定することができる。ウィザード型(Wizard Style)のルーチンを含むFEIのTEMLinkのWindows(登録商標)ベースのグラフィカル・ユーザ・インタフェース・ガイドの使用は、ある試料部位からの距離をユーザが適正に決定することを可能にする特定のステップの実施を通してユーザを手引きする。このシステムは、薄片の向きの決定を可能にすることができる。
【0019】
試料の2次元位置合わせは、試料の一方の側がもう一方の側よりも高く、その結果、荷電粒子ビームに対して試料が位置合わせされていないときに使用される。
図2に示すように、左側の試料201は、荷電粒子ビーム202に対して適正に位置合わせされていない。試料201の第1の側203は第2の側204よりも荷電粒子ビーム202に近い。焦点合わせルーチンによって、荷電粒子ビーム202に対してユーセントリックな定点206から第1の側203までの距離を決定することができる。別の焦点合わせルーチンによって、定点206から第2の側204までの距離を決定することができる。第1の側203までの距離と第2の側204までの距離の差を計算することにより、あるアルゴリズムを使用して、第1の側203の点と第2の側204の点との間に線を引き、その線を、荷電粒子ビームに対して直角な線と比較して、その線の向きを決定することができる。その線の向きを決定した後、第1の側203と第2の側204が定点206から等距離になるようにするには試料ステージをY軸回転207においてどれくらい回転させればよいのかを、自動制御システムまたは手動制御システムによって決定することができる。計算目的には、焦点の合ったプローブの点など他の多くの点を定点と考えることができることに留意すべきである。第1の側203と第2の側204が定点206から等距離に置かれたとき、試料は、1次元において、荷電粒子ビーム202に対して適正に配向されたとみなされる。
【0020】
図1の最初のステップ102は、荷電粒子ビームを含む真空室内にユーザが試料を装填するステップである。システムはTEMまたはSTEMとすることができる。次のステップ104で、荷電粒子ビームと一致したZ軸上に試料を動かす。ユーセントリックな1つの自動ルーチンでは、1つの画像を撮影し、続いて基準画像を撮影することができる。試料ステージを傾け、第2の基準画像を撮影する。既知の傾斜とともにXY空間内での移動は、ステージを移動させてZ軸に対して補正するためのベクトルを生成することができる。
【0021】
ユーセントリックな別の自動ルーチンは、試料を連続的に傾けている間の特徴部分の移動を最小にすることによる。手動ルーチンでは、焦点合わせが、ユーセントリックな高さにおいて最適化されるようにセットされ、これは、くっきりとした像を結ぶまでステージを連続的に移動させることを含む。像が移動を停止したときに、試料はユーセントリックな高さにあるとみなされる。
【0022】
本発明の実施形態によれば、位置合わせのために試料201のある領域を選定し、ステップ106で、その領域の第1のスポットを決定する。焦点合わせルーチンによって、その第1のスポットのX、Y点位置を決定する。ステップ108で、選定した領域上の第2のスポットのX、Y点位置を、荷電粒子ビーム202を第2のスポットの位置まで移動させ、焦点合わせルーチンを実行することにより決定する。ステップ110で、コントローラ(図示せず)を使用して、これらの2点間に引いた線の向きを決定する。ステップ112で、あるアルゴリズムを使用して、これらの2点間の線の向きを、荷電粒子ビーム202に対して垂直な想像線と比較する。この計算に従って試料を配向するために、ステップ114で、試料ステージをY軸で傾ける。試料が荷電粒子ビームに対して適正に位置合わせされた場合(ステップ116)、この位置合わせルーチンは終了であり、ステップ118で、試料を後続の画像化または分析にかけることができる。試料が適正に位置合わせされていない場合には、ステップ106に戻ることによってこの手順をもう一度実行することができる。
【0023】
図3は、荷電粒子ビーム202を有する荷電粒子ビーム・カラム302を含む真空室301を示す。荷電粒子ビーム202は、既にZ軸上に動かされた後の試料201に導かれている。試料201は、位置合わせのための領域303を有する。位置合わせのための表面領域303を選択した後、ユーザは、焦点合わせルーチンのためにその領域内のさまざまな点を選択する。試料201の位置合わせは、位置合わせのための表面領域303の向きによって決定される。通常はレンズ305上のユーセントリックな点306である定点を使用して、焦点合わせルーチンにかけるそれぞれの点の距離を決定する。位置合わせのための表面領域303を荷電粒子ビーム202に対して配向することができるように、XYステージ304はY軸で回転することができる。位置合わせのための表面領域303を
図1の位置合わせ手順にかけると、位置合わせのための表面領域303は、
図4に示すように、荷電粒子ビーム202に対して直角に位置合わせされる。
図4は、XYステージ304を回転させて試料を適正に配向した後の位置合わせシステムを示す。
【0024】
上記の実施形態は、一方の側がもう一方の側よりも高いときに試料の適正な向きを決定するのにユーザに十分に役立つが、2次元以上で試料が適正に配向されていないことがしばしばある。例えば、試料ステージ上の試料が、2次元以上で荷電粒子ビームに対して適正に配向されていない関心領域を有することがある。関心領域が、XおよびY方向において位置合わせされていないことがある。そのような状況において、本発明の他の好ましい実施形態は、関心領域上の3つの点を使用して、それらの3点が共有する平面を計算することにより試料の向きを決定する自動焦点合わせルーチンを実行する。
【0025】
図5は、荷電粒子ビームに対して試料を位置合わせするための3つの点を有する好ましい実施形態の流れ図を示す。試料の2点位置合わせと同様に、この3点位置合わせは、荷電粒子ビームを含む真空室内にユーザが試料を装填するステップ502から始まる。次のステップ504で、荷電粒子ビームと一致したZ軸上に試料を動かす。次に、位置合わせのための関心領域303を選定する。ステップ506で、焦点合わせルーチンのための第1のスポットの位置を決定する。焦点合わせルーチンによって、その点のX、YおよびZ方向の正確な位置を決定する。ステップ508および510で、第2のスポットおよび第3のスポットのX、YおよびZ方向の位置を決定する。これらのそれぞれの位置へ荷電粒子ビームを移動させてから、焦点合わせルーチンを実行する。ステップ512で、コントローラ(図示せず)を使用して、これらの3点を使用した平面を計算し、ステップ514で、3点を使用した平面の向きを荷電粒子ビームの軸と比較する。
【0026】
図6は、点802、803および804を有する入来試料801の3次元図を示す。入来試料801は、荷電粒子ビーム805に対して位置合わせされていない。点802、803および804は全て、荷電粒子ビームのユーセントリックな定点から異なる距離にあることがある。このユーセントリック定点は、ほとんどの場合、荷電粒子ビームのレンズ上のユーセントリック点である。3点802、803および804を使用して決定した平面を、荷電粒子ビームに対して垂直な平面と比較する。平面を定める従来のアルゴリズムは存在する。ユーザは、三角測量のコーナを選択することによって、それらの点の図式(graphical)三角測量を助けることができる。位置合わせ後の試料では、3つの全ての点802、803および804が、荷電粒子ビーム805に対して垂直な平面を形成する。
【0027】
図7は、試料ステージ701を示す。試料ステージ701は、試料上の関心領域を荷電粒子ビームに対して垂直に位置合わせすることができるようなXY平面移動(XY plane shifting)を可能にするα傾斜回転軸702およびβ傾斜回転軸703を有する。配向前の試料の像平面ならびにα傾斜回転軸702およびβ傾斜回転軸703に対する必要な較正が実行される。
図5のステップ516は、関心領域の向きに従って試料ステージをα傾斜回転軸およびβ傾斜回転軸で変化させる次のステップを示す。試料が荷電粒子ビームに対して適正に位置合わせされた場合(ステップ518)、この位置合わせルーチンは終了であり、ステップ520で、試料を後続の画像化または分析にかけることができる。3点802、803および804の焦点合わせルーチンによって決定された想像平面の平行移動は、入射荷電粒子ビームに対して関心領域を垂直にする試料の正確な位置合わせを可能にする。試料が適正に位置合わせされていない場合には、ステップ506に戻ることによってこの手順をもう一度実行することができる。
【0028】
このルーチンは、結晶配向から独立させることができ、その結果、伝統的な方法よりもはるかに迅速に試料の配向を達成することができる。公知の伝統的なCD−STEM自動ルーチンは完了に180〜360秒かかるのに対して、本発明は、45秒未満で完遂することができるルーチンを利用する。したがって、このルーチンに、結晶構造を考慮する補足的な位置合わせステップを組み込むこともできる。
【0029】
本発明のいくつかの実施形態によれば、荷電粒子ビーム・システム内の試料を位置合わせする方法は、荷電粒子ビームを有する真空室内に試料を装填するステップと、試料を荷電粒子ビームの下に置くステップと、試料の表面の少なくとも2つの異なるスポットに荷電粒子ビームを導くステップと、前記少なくとも2つの異なるスポットに焦点を合わせるステップと、試料に対して実質的にユーセントリックな定点からそれぞれのスポットまでの距離を決定するステップと、集束イオン・ビームに対して試料が位置合わせされるように、それぞれのスポットからの距離を使用して試料を配向するステップとを含む。
【0030】
いくつかの実施形態では、2つの異なるスポットを使用して、試料の配向に使用する線を生成する。いくつかの実施形態では、試料の配向が、線上のスポットを定点から等距離にすることによって実行される。いくつかの実施形態では、異なるスポットを使用して、試料の配向に使用する2次元平面を生成する。
【0031】
いくつかの実施形態では、試料の配向が、XY平面内のステージを移動させることによって実行される。いくつかの実施形態では、焦点を合わせるステップが、自動焦点合わせルーチンを使用して実行される。いくつかの実施形態では、焦点を合わせるステップが、手動焦点合わせルーチンを使用して実行される。
【0032】
本発明のいくつかの実施形態によれば、荷電粒子ビーム・システム内の試料を位置合わせする方法は、荷電粒子ビームを有する真空室内の試料ステージ上に試料を装填するステップと、荷電粒子ビームとZ軸上で整列するように試料を較正するステップと、配向のための試料のある領域を選択するステップと、配向のための試料の前記領域の第1のスポットに向けて荷電粒子ビームを導くステップと、第1の焦点合わせルーチンを実行して第1のX、Y、Z点を定めるステップと、荷電粒子ビームをXY平面内で移動させるステップと、第2の焦点合わせルーチンを実行して第2のX、Y、Z点を定めるステップと、第1のX、Y、Z点および第2のX、Y、Z点を使用して、試料の向きを決定するステップと、試料ステージの向きを、荷電粒子ビームに対して試料が位置合わせされるように変化させるステップとを含む。
【0033】
いくつかの実施形態では、第1の焦点合わせルーチンおよび第2の焦点合わせルーチンが、自動焦点合わせレンズを使用して実行される。いくつかの実施形態では、第1の焦点合わせルーチンおよび第2の焦点合わせルーチンが、手動焦点合わせ手順を使用して実行される。
【0034】
いくつかの実施形態では、この方法が、第3の焦点合わせルーチンを実行して第3のX、Y、Z点を定めるステップと、第1のX、Y、Z点、第2のX、Y、Z点および第3のX、Y、Z点を使用して、試料の2次元の向きを決定するステップとをさらに含む。いくつかの実施形態では、試料の2次元の向きを使用して、試料を荷電粒子ビームに対して実質的に垂直に位置合わせする。いくつかの実施形態では、第1、第2および第3の焦点合わせルーチンが、自動焦点合わせレンズを使用する。いくつかの実施形態では、第1、第2および第3の焦点合わせルーチンが、手動焦点合わせルーチンを使用する。
【0035】
本発明および本発明の利点を詳細に説明したが、添付の特許請求の範囲によって定義された本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、本明細書に、さまざまな変更、置換および改変を加えることができることを理解すべきである。さらに、本出願の範囲が、本明細書に記載されたプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法およびステップの特定の実施形態に限定されることは意図されていない。当業者なら本発明の開示から容易に理解するように、本明細書に記載された対応する実施形態と実質的に同じ機能を実行し、または実質的に同じ結果を達成する既存のまたは今後開発されるプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法またはステップを、本発明に従って利用することができる。したがって、添付の特許請求の範囲は、その範囲内に、このようなプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法またはステップを含むことが意図されている。
【符号の説明】
【0036】
201 試料
301 真空室
302 荷電粒子ビーム・カラム
303 位置合わせのための領域
304 XYステージ