特許第6372952号(P6372952)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6372952Pt基合金で構成されるプローブピン用材料、プローブピンの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6372952
(24)【登録日】2018年7月27日
(45)【発行日】2018年8月15日
(54)【発明の名称】Pt基合金で構成されるプローブピン用材料、プローブピンの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 1/067 20060101AFI20180806BHJP
【FI】
   G01R1/067 M
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-222756(P2013-222756)
(22)【出願日】2013年10月25日
(65)【公開番号】特開2015-83955(P2015-83955A)
(43)【公開日】2015年4月30日
【審査請求日】2016年7月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000198709
【氏名又は名称】石福金属興業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166039
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 款
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 浩一
【審査官】 小川 浩史
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭57−145951(JP,A)
【文献】 特開2009−35750(JP,A)
【文献】 特開昭59−143032(JP,A)
【文献】 米国特許第5982187(US,A)
【文献】 特開2011−180034(JP,A)
【文献】 特開昭61−76632(JP,A)
【文献】 特開2005−233967(JP,A)
【文献】 特開2011−158329(JP,A)
【文献】 特許第4176133(JP,B1)
【文献】 特許第4878401(JP,B1)
【文献】 特開昭61−76634(JP,A)
【文献】 特許第6074244(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 1/06−1/073
C22C 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
CrおよびRhを含有し、Cr含有量が5mass%、Rhの含有量が0.2〜5mass%で、残部がPtおよび不可避不純物からなるPt基合金で構成されるプローブピン用材料。
【請求項2】
Cr、RhおよびIrを含有し、Cr含有量が5mass%、Rh含有量が5mass%、Ir含有量が1mass%で、残部がPtおよび不可避不純物からなるPt基合金で構成されるプローブピン用材料。
【請求項3】
Cr、NiおよびRhを含有し、Cr含有量が5mass%、Ni含有量が3mass%、Rh含有量が2mass%で、残部がPtおよび不可避不純物からなるPt基合金で構成されるプローブピン用材料。
【請求項4】
請求項1, 2, 3の何れかに記載されたプローブピン用材料を250〜700℃の温度範囲で熱処理することにより、ビッカース硬さが300以上となる材料からなるプローブピン。
【請求項5】
請求項1, 2, 3の何れかに記載されたプローブピン用材料を、所定の形状に加工した後、250〜700℃の温度範囲で熱処理して、ビッカース硬さが300以上のプローブピンとする、ことを特徴とするプローブピンの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェハ上の集積回路や液晶表示装置等の電気的特性を検査するためのプローブカードに組み込まれたプローブピン(以下、「プローブピン」と略称する)に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェハ上に形成された集積回路や液晶表示装置等の電気的特性の検査には、複数のプローブピンが組み込まれたプローブカードが用いられている。この検査は、プローブカードに組み込まれたプローブピンを、集積回路や液晶表示装置等の電極や端子、導電部にプローブピンを接触させることにより行われている。
このようなプローブピンは、高導電性はもちろん、安定した検査結果を得るため、耐食性、耐酸化性が求められ、且つ検査対象物に繰り返し接触させるため、十分な強度が必要となる。強度が必要なのは、何万回と検査体にプローブピンを接触することによる摩耗を低減させる必要があるためである。
一方、半導体集積回路等の電極や端子等の間隔がますます狭くなっているため、プローブピンのピッチを狭くすることが要求され、プローブピンは、十分な硬さを有し、良好な加工性が求められている。最近は、複雑形状に対応するため、加工しやすい硬さの段階で、所定形状のプローブピンに加工した後、析出処理により硬さを上げる方法が取られており、そのためプローブピンには、良好な加工性と高い析出硬化能が求められている。また析出硬化後の硬さは、硬いほど望ましい。
さらに接触させる箇所の材質は、AlやCu、ハンダ等あり、特にハンダの場合、ハンダがプローブピンに溶着し接触不良を起こす場合がある。このためハンダが溶着しにくいプローブピンが求められている。
従来用いられるプローブピンには、例えば特許文献1や特許文献2に示すようにリン青銅やタングステンが使用されている。
【0003】
これらのプローブピンは、耐酸化性に劣り、使用の際、表面に酸化膜が生成され、繰り返し検査を続けていくうちに酸化物が検査対象物に付着し、導通不良が発生するといった問題がある。
このようなプローブピンの酸化膜形成による不良を防ぐために、特許文献3、特許文献4、特許文献5のようにパラジウム合金、白金合金を使用する場合がある。
【0004】
このなかでパラジウム合金を使用しているプローブピンは、加工硬化で硬さを向上させる場合と、析出硬化により硬さを向上させる場合、あるいはその両方により硬さを向上させる。また、白金合金は、固溶硬化および加工硬化により硬さを向上させる。
パラジウム合金で要求される硬さを得るためには、強加工を施し、且つ時効処理を行う必要があるが、所定の硬さを得るため強加工を行うと90°に曲げるだけで破折するため、良好な加工性を得るためには加工率を下げ、硬さを犠牲にする必要がある。
一方、白金合金は合金にもよるが、析出硬化しない組成が多いため、固溶硬化と加工硬化で硬さを上げるが、こちらも、所定の硬さを得るため強加工を行うと90°に曲げるだけで破折するため、良好な加工性を得るためには加工率を下げ、硬さを犠牲にする必要がある。
またハンダの溶着防止には、例えば、カーボンと導電性元素を含有させる。また、他の手法として、高硬度で化学的に安定な白金族をプローブ先端に形成させる、または複数の白金族系の層を形成させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10-38922号公報
【特許文献2】特開平10-221366号公報
【特許文献3】特開平11-94872号公報
【特許文献4】特開2000-137042号公報
【特許文献5】特開2005-233967号公報
【特許文献6】特開2002-318247号公報
【特許文献7】特開2002-131334号公報
【特許文献8】特開2011-214965号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、プローブピン表面に溶着防止層を形成させる方法の場合、被覆層の摩耗や剥離といった問題があり、交換や再被覆が必要となることから、ハンダと反応し難い材料で作製されたプローブピンが要求されている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭意検討した結果、Ptに所定量のCrを含有させた合金を、加工率にして40%以上加工し、ビッカース硬さ(以下、HVとする)を200以上とした材料にすることにより、加工時は90°の折り曲げにも耐えられる加工性を有しつつ、250〜700℃で加熱、析出処理を行うことによりHV300以上の硬さとなる、ハンダと反応し難いプローブピンが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
またPtに所定量のCrとNiを両方添加することにより、Cr単独添加よりも析出時の硬化能が大きくなることを見出した。
【0009】
またPtに所定量のCrとRh、Irの少なくとも1種を含有させることにより、析出能および加工性を損なわずより硬くすることを見出した。
【0010】
さらに、所定量のPtとCr、およびNiとRh、Irの少なくとも1種を含有させることにより、析出時の硬化能を大きくし、加工性を損なわず硬さを向上させることを見出した。
【0011】
すなわち、前述した課題は、下記(1)〜(9)に記載のプローブピン用材料、プローブピン、プローブカードにより解決される。
【0012】
(1)半導体ウェハ上の集積回路や液晶表示装置等の電気的特性を検査するためのプローブピンに使用するPt基合金であって、Crが3.0〜6.5mass%で残部がPtおよび不可避不純物からなる合金を、40%以上の圧延率[圧延率(%)=((圧延前の板厚−圧延後の板厚)/圧延前の板厚)×100とする]または断面減少率[断面減少率(%)=((伸線前の断面積−伸線後の断面積)/伸線前の断面積)×100とする]で、圧延または/および伸線加工することによりビッカース硬さが200以上となる材料からなるプローブピンまたはプローブピン用材料。
【0013】
(2)上記(1)に記載された材料を250〜700℃の温度範囲で熱処理することにより、ビッカース硬さが300以上となる材料からなるプローブピン。
【0014】
(3)半導体ウェハ上の集積回路や液晶表示装置等の電気的特性を検査するためのプローブピンに使用するPt基合金で、CrおよびNiを含有し、Cr含有量が2.8〜6.5mass%、Ni含有量が0.05〜7.5mass%で、残部がPtおよび不可避不純物からなる合金を、40%以上の圧延率[圧延率(%)=((圧延前の板厚−圧延後の板厚)/圧延前の板厚)×100とする]または断面減少率[断面減少率(%)=((伸線前の断面積−伸線後の断面積)/伸線前の断面積)×100とする]で、圧延または/および伸線加工することによりビッカース硬さが200以上となる材料からなるプローブピンまたはプローブピン用材料。
【0015】
(4)上記(3)に記載された材料を250〜700℃の温度範囲で熱処理することにより、ビッカース硬さが300以上となる材料からなるプローブピン。
【0016】
(5)半導体ウェハ上の集積回路や液晶表示装置等の電気的特性を検査するためのプローブピンに使用するPt基合金であって、CrおよびRh、Irの少なくとも1種含有し、Cr含有量が2.8〜6.5mass%、Rh、Irの少なくとも1種の合計の含有量が0.05〜10.0mass%で、残部がPtおよび不可避不純物からなる合金を、40%以上の圧延率[圧延率(%)=((圧延前の板厚−圧延後の板厚)/圧延前の板厚)×100とする]または断面減少率[断面減少率(%)=((伸線前の断面積−伸線後の断面積)/伸線前の断面積)×100とする]で、圧延または/および伸線加工することによりビッカース硬さが200以上となる材料からなるプローブピンまたはプローブピン用材料。
【0017】
(6)上記(5)に記載された材料を250〜700℃の温度範囲で熱処理することにより、ビッカース硬さが300以上となる材料からなるプローブピン。
【0018】
(7)半導体ウェハ上の集積回路や液晶表示装置等の電気的特性を検査するためのプローブピンに使用するPt基合金であって、CrおよびNi、さらにRh、Irの少なくとも1種含有し、Cr含有量が2.8〜6.5mass%、Ni含有量が0.05〜7.5mass%、Rh、Irの少なくとも1種の含有量が0.05〜10.0mass%で、残部がPtおよび不可避不純物からなる合金を、40%以上の圧延率[圧延率(%)=((圧延前の板厚−圧延後の板厚)/圧延前の板厚)×100とする]または断面減少率[断面減少率(%)=((伸線前の断面積−伸線後の断面積)/伸線前の断面積)×100とする]で、圧延または/および伸線加工することによりビッカース硬さが200以上となる材料からなるプローブピンまたはプローブピン用材料。
【0019】
(8)上記(7)に記載された材料を250〜700℃の温度範囲で熱処理することにより、ビッカース硬さが300以上となる材料からなるプローブピン。
【0020】
(9)上記(1)〜(8)のいずれかに記載のプローブピンが組み込まれたプローブカード。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、析出処理前の加工性が良好で、且つ析出処理により十分な硬度を有し、さらに主要元素がPtであることから、耐酸化性にも優れるため検査対象物を汚染することなく、さらにハンダと反応し難い、長期間安定して使用可能なプローブピンを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1参考例1-3の基板にハンダを載せ加熱した後の断面写真
図2比較例2-1の基板にハンダを載せ加熱した後の断面写真
図3】比較例2-2の基板にハンダを載せ加熱した後の断面写真
【発明を実施するための形態】
【0023】
プローブピンは、プローブカードに組み込むため所定の形状に加工する必要があることから、最低でも加熱、析出処理前は90°の折り曲げに耐える必要がある。そのため、加工率は40%以上とし、HVは200以上とする。加工率が40%未満の場合、加工性は良好だが、その後の加熱、析出処理を行っても十分な析出硬化が得られず、HVで300未満になる場合があるため、加工率を40%以上にする必要がある。なお、加工率は50%以上にすることが好ましく、60%以上にすることがより好ましい。
【0024】
また本発明のプローブピンの材料は、Crが3.0〜6.5mass%、残部をPtおよび不可避不純物からなる合金からなるものである。またより好ましい組成は、Crが3.0〜6.0mass%、残部がPtからなることができる。
【0025】
また本発明のプローブピンの材料は、Crが2.8〜6.5mass%、Niが0.05〜7.5mass%、残部をPtおよび不可避不純物からなる合金からなるものである。またより好ましい組成は、Crが3.0〜6.0mass%、Niが1〜7mass%、残部がPtからなることができる。
【0026】
また本発明のプローブピンの材料は、Crが2.8〜6.5mass%、Rh、Irの少なくとも1種が0.05〜10.0mass%、残部をPtおよび不可避不純物からなる合金からなるものである。またより好ましい組成は、Crが3.0〜6.0mass%、Rh、Irの少なくとも1種が1〜10mass%、残部がPtからなることができる。
【0027】
また本発明のプローブピンの材料は、Crが2.8〜6.5mass%、Niが0.05〜7.5mass%、Rh、Irの少なくとも1種が0.05〜10.0mass%、残部をPtおよび不可避不純物からなる合金からなるものである。またより好ましい組成は、Crが3.0〜6.0mass%、Niが1〜7mass%、Rh、Irの少なくとも1種が1〜10mass%、残部がPtからなることができる。
【0028】
またPtが、80mass%以上にすることにより大気中での酸化が抑えることができ、検査対象物への酸化物の付着が起こりにくくなる。
【0029】
本発明のプローブピンの材料は、250〜700℃の範囲で熱処理し、析出硬化によりより硬くすることができる。熱処理温度は、250℃未満では、十分な硬さの上昇がみられず、700℃を超えると熱処理により軟化することから、上記の温度範囲とする。熱処理を行うことにより、HV300以上まで硬さが上昇する。
【0030】
また熱処理による析出硬化後の硬さは、HV300以上、さらに好ましくはHV400以上が好ましい。HVが300未満の場合、プローブピンとしての強度が十分ではなく、検査回数が低下するためである。
【実施例】
【0031】
本発明に従うプローブピンに使用する合金は、それ自体既知の方法に従い、例えばPtにCrを上記の量で添加、原料配合物を調整し、それを高周波溶解炉など適当な金属溶解炉で溶解することにより製造することができる。溶解時の炉雰囲気としては、不活性ガスまたは真空を使用することができる。また溶融状態の上記の合金を適当な型に鋳造し、インゴットを作製する。必要に応じて、インゴットを鍛造やスェージング加工を施し、溝ロールにより角形または多角形の棒材または線材に加工する。さらにダイスを用い伸線加工することにより、プローブピン用材料を作製することができる。また圧延により板形状を作製し、そこから切削加工等を用いて、所定形状のプローブピンとするプローブピン用材料を作製することができる。
【0032】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。
【0033】
Ptに、Cr、Ni、Rh、Irを所定量に配合し、1試料につき30gになるよう所定量配合、アーク溶解炉にて溶解、鋳造によりインゴットを作製した。表1に作製した組成を示す。
【0034】
【表1】
【0035】
加工性を見極めるため、作製したインゴットは、1000℃×30min熱処理し、加工性調査用サンプルとした。
【0036】
調査方法は、1回目は圧延率[=((圧延前の厚さ−圧延後の厚さ)/圧延前の厚さ)×100]が15〜30%になるよう圧延、1000℃×30min熱処理を行い、2回目以降は30〜80%内の圧延率で実施、中間に熱処理を行い、最終板厚が約0.5mmとなるよう圧延加工を行い、加工工程中でのインゴットの状態を調査した。
【0037】
結果を表2に示す。
【0038】
【表2】
【0039】
参考例、実施例、比較例1-1、比較例1-7は、特に問題なく圧延できた。
比較例1-2〜1-6は、初期圧延の数パスで中心部まで割れが入ったことから加工性が悪いことが分かる。その後の特性調査用サンプルの作製が困難なため以後の調査を中止した。
比較例の結果から、Crが7mass%以上含有している、Crと10%以上Niが含有している、Crと10%を超えるRh、Irが含有すると冷間での塑性加工が困難になることが分る。
【0040】
(硬さ試験)
表2の組成のサンプルの各加工率に対する硬さを測定、その後250〜700℃の範囲で30min熱処理し、再度硬さを測定した。測定結果を表3に示す。表3の時効処理後の硬さは、250〜700℃の温度範囲で熱処理を行った際、最も硬かった値である。
【0041】
時効硬化能を調べるため、時効処理前後の硬さの差ΔHV[=時効処理後の硬さ−時効処理前の硬さ]も算出した。試験結果を表3に示す。
【0042】
【表3】
【0043】
表3の結果から、参考例および実施例は全て時効処理後の硬さがHV300以上となっているが、比較例1-1は、析出硬化が起こらず逆に軟化している。
また参考例1-1と参考例1-6、参考例1-3と実施例1-10のように0.2%NiやRhを添加すると、ΔHVが僅かではあるが上昇し、0.2%程度添加しても効果があることが確認できた。
一方、比較例1-7のように0.02%Rh添加では、参考例1-3の添加無と硬さおよびΔHVはほとんど変わらず、第3元素の微量添加では硬さへの寄与はほとんどない。
【0044】
(比抵抗調査)
各試料の圧延材と250〜700℃の範囲で最も硬くなった温度で30min時効処理した時効処理材の比抵抗を測定した。室温で各試料の抵抗を測定し、式1に従い比抵抗を算出した。
【0045】
式1:比抵抗=(抵抗×断面積)/測定長
【0046】
比抵抗測定結果を表4に示す
【0047】
【表4】
【0048】
参考例および実施例は、加工時と比較して時効処理材の比抵抗は低下しており、CrまたはCr+特定元素を添加させると時効処理により硬さを上昇しつつ、比抵抗を低下させる効果があることが分かる。
【0049】
(加工率調査)
表1に示す作製した試料の参考例および実施例の内、参考例1-3、1-7を抜粋し、伸線加工を行った。
試料の組成を表5に示す。
【0050】
【表5】
【0051】
作製方法は、アーク溶解により約φ11mmの棒材のインゴットを作製し、下記に示す加工履歴のように各試料の伸線加工を行った。
【0052】
インゴットからの加工履歴
参考例1-3
熱処理(1100℃×1hr水冷)→□2.5mmまで溝ロール加工→φ1.5mmまでダイス伸線→
熱処理(1100℃×1hr水冷)→φ1.0mmまでダイス伸線
参考例1-7
熱処理(1100℃×1hr水冷)→□7.6mmまで溝ロール加工→熱処理(1100℃×1hr水冷)→
□3.3mmまで溝ロール加工→熱処理(1100℃×1hr水冷)→□2.5mmまで溝ロール加工→
φ1.5mmまでダイス伸線→熱処理(1100℃×1hr水冷)→φ1.0mmまでダイス伸線
【0053】
上記のような加工履歴から中間で調査用サンプルを採取し、加工率に対する硬さおよび各加工率での時効処理による硬さを調査した。表6に参考例1-3、表7に参考例1-7の結果を示す。
【0054】
【表6】
【0055】
表6に示すように、ΔHVはほとんど変わらない。
【0056】
【表7】
【0057】
表7に示すように、Cr+Ni材は、加工率に対するΔHVはほとんど変わらない。
【0058】
表6および表7の結果から、Cr添加材は、ΔHVに対する加工率の影響が小さいことが分かる。ただし、時効処理後の硬さは、加工時の硬さに依存することから一定の加工を施す必要がある。
【0059】
(ハンダとの反応性調査)
プローブピンにハンダが溶着するのは、ハンダに接触するプローブピン先端の形状や表面粗さに起因した機械的な溶着、プローブピンとハンダが反応することによる溶着、あるいは複合的な要因が考えられている。
機械的な溶着は、プローブピンの形状、表面粗さ等で変わるため、プローブピンに使用する合金とハンダとの反応を調査した。
試験方法を下記に示す。
【0060】
使用するハンダ: フラックス入り無鉛ハンダ
組成:Sn-3.0Ag-0.5Sn[融点:221℃]
試 験 基 板: t0.5mm×□20mm板
試験基板組成 : 表8に示す。[プローブピンの酸化防止にAuやPtが被覆されることが
あるため比較例として試験を行った]
【0061】
【表8】
【0062】
試験方法: 試験基板にハンダを100〜300mg載せ、基板毎加熱。
試験終了後、ハンダごと基板を切断し、樹脂に埋め込み鏡面研磨し、
ハンダと基板およびハンダと基板の界面を観察した。
加熱条件: 230℃×5min
加熱雰囲気: 大気
【0063】
参考例1-3、比較例2-1、比較例2-2の各断面写真を図1図3に示す。
【0064】
拡散層を確認するため、EPMAによる線分析及びSEM等によるハンダと基板の界面の観察を行った。結果を表9に示す。
【0065】
【表9】
【0066】
表9で分かるようにPt合金やPtはハンダとの反応はなく、反応による溶着は起こりにくい。ただし、Ptは硬さが足らないため、単独ではプローブピン用材料に適していない。一方、Auは、ハンダ部全体にAuが検出され、反応による溶着が非常に起こりやすい。
図1
図2
図3