(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6372964
(24)【登録日】2018年7月27日
(45)【発行日】2018年8月15日
(54)【発明の名称】車両の走行レーン監視方法および制御器
(51)【国際特許分類】
B60W 30/12 20060101AFI20180806BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20180806BHJP
【FI】
B60W30/12
G08G1/16 C
【請求項の数】9
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-516760(P2017-516760)
(86)(22)【出願日】2015年7月31日
(65)【公表番号】特表2017-531587(P2017-531587A)
(43)【公表日】2017年10月26日
(86)【国際出願番号】EP2015067642
(87)【国際公開番号】WO2016050386
(87)【国際公開日】20160407
【審査請求日】2017年3月27日
(31)【優先権主張番号】102014219689.2
(32)【優先日】2014年9月29日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501125231
【氏名又は名称】ローベルト ボッシュ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(72)【発明者】
【氏名】フ,チォンシュェン
【審査官】
田村 佳孝
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−38487(JP,A)
【文献】
特開2007−122569(JP,A)
【文献】
特開2010−52716(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W10/00 − 10/30
B60W30/00 − 50/16
B60R21/00 − 21/13
B60R21/34 − 21/38
B62D 6/00 − 6/10
B60T 7/12 − 8/1769
B60T 8/32 − 8/96
G08G 1/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の走行レーン監視方法において、
− 走行レーン特性量(ΔyactLE,ΔyactRI,θLE,θRI,κRI,κLE,κdotLE,κdotRI)を検出するステップ(101)と、
− 現在の位置(201)で前記車両の現在の走行状況を表す走行状況量(κact,vego,yawrate,κdotact)を検出するステップ(102)と、
− 前記走行レーン特性量(ΔyactLE,ΔyactRI,θLE,θRI,κRI,κLE,κdotLE,κdotRI)と前記走行状況量(κact,vego,yawrate,κdotact)とから前記車両の将来の位置(202)における接近量(DLCpred,DLCpredRI,DLCpredLE)を予測するステップ(103)とを含み、
前記ステップ(103)において2つの接近量(DLCpredRI,DLCpredLE)を特定し、その際第1の接近量(DLCpredRI)を第1の車道境界部(203b)に割り当て、第2の接近量(DLCpredLE)を第2の車道境界部(203a)に割り当て、前記第1の接近量(DLCpredRI)は、前記車両の将来の位置(202)の右車道境界部(203b)と右前輪(209)との間隔であり、前記第2の接近量(DLCpredLE)は、前記車両の将来の位置(202)の左車道境界部(203a)と左前輪(208)との間隔であり、
前記第1および第2の接近量(DLCpredRI,DLCpredLE)のうちより小さなほうの接近量(DLCpred)を前記閾値と比較するステップ(107a,b)と、
前記接近量と前記閾値との比較に依存して情報量を出力するステップ(105)と
を含んでいる方法。
【請求項2】
前記接近量(DLCpred,DLCpredRI,DLCpredLE)を予測し、その際該接近量(DLCpred,DLCpredRI,DLCpredLE)を特定するため、パラメータとして予測長さ(dpred)または予測時間(tpred)を援用する
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
予測長さ(dpred)と予測時間(tpred)とが、特に車軸間隔(lwheelbase)を考慮して、前記車両の固有速度(vego)を介して互いに結び付けられている
ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記予測長さ(dpred)または前記予測時間(tpred)が、前記車両のドライバーによって、可変に調整可能である
ことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記接近量(DLCpred,DLCpredRI,DLCpredLE)の検出を、
− 車道境界部(203a,b)の複数の座標系のうちの少なくとも1つの座標系に対する、現在の位置における車両(201)の座標系(206)の現在の間隔(ΔyactLE,ΔyactRI)に依存して、且つ
− 前記車道境界部(203a,b)の複数の座標系のうちの少なくとも1つの座標系に対する、現在の位置における車両(201)の座標系(206)の現在の角度(θLE,θRI)に依存して、且つ
− 前記車道境界部(203a,b)の曲率(κRI,κLE)に依存して、且つ
− 前記車道境界部(203a,b)の曲率変化(κdotRI,κdotLE)に依存して、走行レーン特性量として行う
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記接近量(DLCpred,DLCpredRI,DLCpredLE)の検出を、
− 車両軌跡(205)の現在の曲率(κact)に依存して、且つ
− 前記車両軌跡(205)の現在の曲率変化(κdotact)に依存して、走行状況量(κact,vego,yawrate,κdotact)として行い、その際前記現在の曲率(κact)が前記車両の現在の速度(vego)および現在のヨーレート(yawrate)に依存している
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1および第2の接近量(DLCpredRI,DLCpredLE)を出力量としてレーンキープシステムに提供し、該レーンキープシステムに対し入力量として用いる
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記走行レーン特性量(ΔyactLE,ΔyactRI,θLE,θRI,κRI,κLE,κdotLE,κdotRI)をセンサを用いて検知し、該センサが検知範囲を有し、前記予測長さ(dpred)を前記センサの前記検知範囲の拡がりに依存して減少させる
ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項9】
請求項1から8の何れか一項に記載の方法を実施するための制御器において、
− 走行レーン特性量(ΔyactLE,ΔyactRI,θLE,θRI,κRI,κLE,κdotLE,κdotRI)を検出するための第1の従属ユニット(301)と、
− 現在の位置(201)における前記車両の現在の走行状況を表す走行状況量(κact,vego,yawrate,κdotact)を検出するための第2の従属ユニット(302)と、
− 前記走行レーン特性量(ΔyactLE,ΔyactRI,θLE,θRI,κRI,κLE,κdotLE,κdotRI)と前記走行状況量(κact,vego,yawrate,κdotact)とから前記車両の将来の位置(202)における接近量(DLCpred,DLCpredRI,DLCpredLE)を予測するための第3の従属ユニット(401)とを備え、
− 前記第3の従属ユニット(401)で2つの接近量を予測し(DLCpred,DLCpredRI,DLCpredLE)、
− 中間ユニット(402)で、前記第1および第2の接近量(DLCpredRI,DLCpredLE)のうちより小さなほうの接近量(DLCpred)を特定し、
− この小さなほうの接近量(DLCpred)を前記閾値と比較させ、
− 出力ユニット(403)で、前記接近量と前記閾値との比較に依存して情報量を出力させ、
前記第1の接近量(DLCpredRI)は、前記車両の将来の位置(202)の右車道境界部(203b)と右前輪(209)との間隔であり、前記第2の接近量(DLCpredLE)は、前記車両の将来の位置(202)の左車道境界部(203a)と左前輪(208)との間隔である
制御器。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
特許文献1は、自動車の運転者に、車道から離れて危険が迫っていること、または、走行レーンから離脱していることを警告するための走行アシスト装置を開示している。この装置は少なくとも1つの撮像センサと、該撮像センサと結合され、該撮像センサによって検知される範囲で車道エッジ標識および/または走行レーン標識および/または車道エッジを認知する評価装置と、該評価装置と結合されている警告装置とを含んでいる。
【0002】
このようなシステムでは、ビデオカメラを用いて、レーン標識またはレーン境界部に基づき、たとえば縁石エッジに基づいて、走行レーンの離脱を処理する。ドライバーは、無意識にレーンを離脱すると、警告を受ける。
【0003】
警告は2つの量に基づいて起動させることができる。すなわちDLC(distance to line crossing)またはTLC(time to line crossing)である。レーン境界部に対する車両の間隔を表わす量DLCを介して起動させる場合の問題は、車両が境界部に対しどの程度の速さでドリフトするかに応じてドライバーへの警告が異なり得ることである。車両システム全体の中での潜在時間が数百マイクロ秒であると、警告(例えば音信号またはステアリングホイールの振動)が遅くなり、または、ドライバーに遅れて到達する。車両が高速でドリフトして離脱すると、車両がすでに車道境界部を越えて初めて警告が発生することがありうる。
【0004】
車道境界部を越えるまでの時間を援用するようにした第2の評価法TLC(time to line crossing)の場合には、横方向速度に依存して警告時点を整合させる。この演算の場合、部分的には走行レーンの曲率を考慮しない。これにより、カーブ内側への警告が遅すぎる場合があり、カーブ外側に対しては起動が早すぎる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国特許出願公開第102004057296明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、車道境界部への車両の接近を簡単に確実に演算することを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による車両の走行レーン監視方法では、第1のステップで少なくとも1つの走行レーン特性量を検出する。更なるステップでは、現在の位置での車両の現在の走行状況を表す少なくとも1つの走行状況量を検出する。さらに、車両の後続位置で、少なくとも1つの走行レーン特性量と少なくとも1つの走行状況量とから少なくとも1つの接近量を検出する。
【0008】
本発明による方法により、レーン境界部に対する将来の車両位置を予測することが可能である。すなわち、換言すれば、車道特性を考慮して、現在の車両状況に基づき車両運動の予想が行われる。この予想を介して接近量を、すなわち車両の後続位置における車道境界部に対する間隔を予想/予測することができる。
【0009】
この予測には、後続時点での車道境界部への接近がどのような状況を呈し得るかを、すでに現在の走行状況に基づいて認知できるという利点がある。これにより、この接近がたとえば危険な接近であれば、即時的リアクションが可能になる。危険とは、たとえば、後続位置にある車両が車道境界部を明らかに越えて、たとえば対向車線に到達するような場合といえる。本発明による予測機構なしでのドライバーへの警告/情報は、介入が遅くなることがある。予測機構は警告および/または介入時点を最適にさせ、これによって車両利用時の安全性を向上させる。
【0010】
本発明による方法を実施するための本発明による制御器は、少なくとも1つの走行レーン特性量を検出するための第1の従属ユニットと、現在の位置における車両の現在の走行状況を表す少なくとも1つの走行状況量を検出するための第2の従属ユニットと、前記少なくとも1つの走行レーン特性量と前記少なくとも1つの走行状況量とから車両の後続位置における少なくとも1つの接近量を検出するための第3の従属ユニットとを含んでいる。
【0011】
有利な構成では、さらに、検出した少なくとも1つの接近量を閾値と比較し、接近量と閾値との比較に依存して情報量を出力する。この比較に基づき、車道境界部に対する車両の接近程度を表す量である接近量が危険な値を占めているかどうかを検出することができ、場合によっては処置を講じる。
【0012】
本方法の構成では、接近量の検出を予測して行う。少なくとも1つの接近量を予測して特定するため、パラメータとして予測長さまたは予測時間を援用する。
【0013】
このように、ある程度の予測時間にしたがって車両が走行レーン境界部に対しどこにあるかの評価を行う。適当に選定した予測時間または適正に調整した予測長さを用いて、走行レーン境界部に対する車両の接近が危険になる場合に適時に処置を行うことができる。ダイレクトに接近したときにはじめて処置を講ずると、車両システム全体の中での潜在時間が長いために遅すぎることがある。車両が予測時間後に車線近くに到達する場合には、警告を発することができる。同様に、いわゆるLane Departure Preventionという機能を介して、ステアリングトルクの変化という形で警告を行うことができる。
【0014】
予測長さと予測時間とは車両の固有速度を介して互いに結び付けられているので、時間をあらかじめ設定して、または、長さをあらかじめ設定しても、走行レーン監視方法をあらかじめ設定することができて有利である。その際、車両の車軸間隔を考慮することができる。
【0015】
本発明による有利な構成では、予測長さまたは予測時間は、特に車両のドライバーによって、可変に調整可能である。これにより、ドライバーの個人的な運転挙動およびドライバーの習性に適合させるために、ドライバーによるシステムの調整が可能になる。たとえばドライバーがスポーティーな運転スタイルを持っているために早めに警告を受けたくない場合には、予測長さをより短く調整することができ、これによって警告の導入が遅めになる。
【0016】
有利には、少なくとも1つの接近量の検出を、車道境界部の複数の座標系のうちの少なくとも1つの座標系に対する、現在の位置における車両の座標系の現在の間隔に依存して行う。さらに、車道境界部の複数の座標系のうちの少なくとも1つの座標系に対する、現在の位置における車両の座標系の少なくとも1つの現在の角度を考慮する。さらに、少なくとも1つの車道境界部の曲率と、少なくとも1つの車道境界部の曲率変化とを援用する。
【0017】
更なる構成では、少なくとも1つの接近量の検出を、
−車両軌跡の現在の曲率に依存して、且つ
−車両軌跡の現在の曲率変化に依存して、
走行状況量として行うことができ、その際現在の曲率は車両の現在の速度および現在のヨーレートに依存している。接近量を予測して特定する場合に、走行状況量を介して、現在の状態における車両の固有運動が考慮される。
【0018】
更なる構成では、少なくとも2つの接近量を特定し、その際第1の接近量は第1の車道境界部に割り当てられ、第2の接近量は第2の車道境界部に割り当てられている。したがって、1つの接近量のみを検出するのに比べて、安全性を向上させた機能が可能である。というのは、2つの走行レーン境界部を予測して観測し、よって車道境界部への車両の接近を車両の両側で考慮するからである。
【0019】
第1および第2の接近量のうちより小さなほうの接近量を検出し、この小さなほうの接近量を閾値と比較させることができる。したがって、両車道境界部の危険側に対してのみシステムの情報量を出力させる。
【0020】
有利には、第1および第2の接近量を出力量としてレーンキープシステム(LKS; Lane Keeping System)に提供し、該レーンキープシステムに対し入力量として用いる。
【0021】
有利な構成では、少なくとも1つの走行レーン特性量を、少なくとも1つのセンサを用いて検知する。このセンサは、ある程度の拡がりを持った検知範囲を有している。予測長さは、センサの検知範囲の拡がりに依存して変化させ、特に減少させることができる。センサの検知範囲または長さが変化すると、走行レーン境界部が常に同じ信頼性で測定され、検出されるわけではない。この変化した条件に対応し得るようにするため、予測長さを対応的に適合させることができる。
【0022】
本発明による制御器の構成では、第3の従属ユニットを用いて少なくとも1つの接近量を閾値と比較し、出力ユニットを用いて、接近量と閾値との比較に依存して情報量を出力させる。これにより、接近量が危険な範囲にあるかどうかの評価にしたがって、この状態を表示する情報量の出力が可能になる。更なる複数のシステムで(同じシステムでもよい)、この情報量に基づいて更なる処置を導入できる。一方では、ステアリング介入および/またはブレーキ介入を行うことができる。これとは択一的に、または、これに加えて、ドライバー情報を導入でき、たとえばステアリング、特にステアリングホイールの合目的な振動の形態、光信号および/または音信号の形態でも導入できる。これに依存してドライバーの疲労に関する情報も発生させてよい。
【0023】
更なる構成では、第3の従属ユニットで2つの接近量を検出する。さらに、中間ユニットで、第1および第2の接近量のうちより小さなほうの接近量を検出する。次に、この小さなほうの接近量を閾値と比較させる。出力ユニットで、同様に接近量と閾値との比較に依存して情報量を出力させる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図2】1つの車道上に車両を図示することで走行状況を特徴化するための量を説明する図である。
【
図3】本発明による方法を実施するための制御器を第1の構成で示す図である。
【
図4】本発明による方法を実施するための制御器を第2の構成で示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図2には、現在位置にある車両201ならびに後続位置にある車両202が図示されている。後続位置にある車両202は、車両201のその後の時点に相当している。現在位置にある車両201を用いて後続位置における車両202の予想量を説明する。
【0026】
車両201は軌道205に沿って移動する。車両201,202はそれぞれ固有の座標系206,207を有している。自車201の軌道205は、どの時点でも、現在この地点に存在する曲率κactと、この地点で現在存在している曲率の変化κdotactとによって記述される。曲率の変化κdotactは軌道205に沿った曲率変化である。
【0027】
車両が移動する走行レーンは、境界部203a,bによって境界づけられる。右境界部と左境界部とはそれぞれ曲率κRIおよびκLEを有する。さらに、境界部203a,bを、そのそれぞれの曲率変化κdotRIおよびκdotLEを用いて記述することができる。境界部とは、車道標識、車道境界部、または車道の拡がりを示す他のコースであってよい。視覚的境界部でも、構造的境界部であってもよい。
【0028】
それぞれの車両座標系206,207を用いて、および、それぞれ車道境界部230a,bの右座標系および左座標系204a,204bを用いて、それぞれの車両座標系206と車道境界部の座標系204a,bとの間の角度を記述する角度θをその都度確定することができる。
【0029】
したがって、左側車道境界部203aの座標系204aと車両座標系206との間の角度θLEを特定することができる。
【0030】
同様に、右側車道境界部203bの座標系204bと車両座標系206との間の角度θRIを特定することができる。
【0031】
現在位置にある車両201は、車道203a,bに対するその位置に関し2つの間隔によって確定することができ、すなわち現在位置にある車両201の座標系206の原点を起点として、車道境界部203a,bまでのそれぞれ右側間隔および左側間隔ΔyactLEおよびΔyactRIによって確定することができる。
【0032】
レーン境界部203a,bはセンサを用いて、たとえばビデオカメラを用いて検知することができる。車道境界部のそれぞれの曲率の近似は、いわゆるクロソイドモデルを用いて行うことができる。
【0033】
その際、車道曲率に対しては、
κ1=κ0+κdot・s
が得られる。ここでκ0は現在の曲率、κ1は間隔sにおける曲率に対応している。なお間隔sは、座標系204aまたは204bのx方向における間隔である。
【0034】
車両の固有運動は、車両の現在のヨーレートを用いて検出する。ヨーレート(またはYaw Rateとも記す)とは、車両の高さ方向軸線のまわりでの車両の回転角速度を表している。車両の固有運動とは、現在車両が車両軌道に沿ってどこへ移動しているかとも理解される。
【0035】
Yaw Rate信号は、たとえばESPシステムのようなダイナミックスタビリティコントロールによって提供することができる。これとは択一的に、Yaw Rate信号を、ビデオカメラを用いて検出したオプティカルフローからも得ることができる。固有に設けたセンサを用いた特定も同様に可能である。
【0036】
車両のヨーレートyawrateおよび自己速度vegoを用いて、車両軌道205の現在存在する曲率を特定することができる。
【0038】
以下で使用することができる他の車両固有量は、前車軸と後車軸との間の車軸間隔を表す長さlwheelbaseと、車両の車輪208,209の前車輪間隔に対応する長さlcarwidthとである。車輪208,209は、
図2では後続位置202の場合にだけ参照符号を付してある。
【0039】
現在位置にある車両201の上述の量と、車道境界部に対する車両の上述した量とから、演算により車両202の後続位置をあらかじめ特定することができる。この予測検出は量DLC、いわゆる“Distance to lane crossing”を生じさせる。
図2は量DLCを2回示しており、1つはDLCpredLEであり、1つはDLCpredRIである。
【0040】
DLCpredLEとは、後続位置にある車両202の左側車道境界部203aに対する左前輪208の間隔である。DLCpredRIとは、後続位置にある車両202の右車道境界部203bに対する右前輪209の間隔である。
【0041】
量DLCは、それぞれの前輪208,209が境界部203a,203bへ接近する量を表している。DLCは間隔量または接近量とも呼ぶことができる。接近量DLCの特定は、以下のようにクロソイド式を用いて行うことができ、ここでは左前輪の接近量を例として示す。
【0043】
すなわち接近量DLCpredLEは、車道境界部ΔyactLEに対する車両の現在の間隔と、車両境界部と車両との間の角度θLEと、予測長さdpredと、車道境界部203aと軌道205との曲率差(κLE−κact)と、曲率変化の差(κdotLE−κdotact)と、車輪間隔lcarwidthとから得られる。
【0044】
接近量は、より正確には、以下の総計から得られる。
−車道境界部に対する車両の現在の間隔ΔyactLE
−角度θLEと予測長さdpredとの積のタンジェント
−曲率差(κLE−κact)と予測長さdpredの2乗との積の半分
−曲率変化(κdotLE−κdotact)と予測長さdpredの3乗との積の6分の1
−車両長さlcarwidthの半分
【0045】
予測長さdpredは、以下のように、車両の自己速度vegoと予測時間tpredとの積に、車両の車軸間隔lwheelbaseを加えたものから得られる。
dpred=vego・tpred+lwheelbase
【0046】
予測時間tpredは変化させることができる。システム全体で支配的な潜在時間に応じて、或いは、顧客の要請に依存しても、予測時間tpredを調整することができる。予測時間tpredに対する値は、たとえば700msである。この量を用いて、車両の使用時にも、早めの保守を行いたいか、または、遅めの保守を行いたいかを調整することができる。車軸間隔lwheelbaseの考慮は、とりわけ比較的長い車両において重要である。近似的には、小さな角度に対しては、角度のタンジェント関数の代わりに角度自体を使用することができる。
【0047】
予測長さdpredは、示した演算とは関係なく変化させることもできる。車道境界部を検知するためのセンサが検知を行わないか、或いは、完全には検知できないような状況が存在する場合がある。このような状況は、たとえば他の車両がセンサの検知範囲を覆うか、検知を阻害する場合、或いは、視界が悪い場合でも発生し得る。このような状況で、予測長さを短縮させることができる。したがって、予測誤差が大きすぎないよう阻止され、望ましくないシステムリアクションを防止できる。予測長さは、センサの検知範囲の拡がりに依存して変化させる。
【0048】
予測長さの整合は、少なくとも自己速度vegoと予測時間tpredとを介して算出した以前の予測長さと検知長さdsensとの比較から最小値を形成することによって行うことができる。検知長さdsensは使用するセンサの検知幅に対応しており、換言すれば、センサによって検知可能な長さである。特定は次のように経過する。dpred=min(vego・tpred,dsens)。この特定の場合、量lwheelbaseを同様に考慮してよい。続いて、予測長さdpredを再び初期値に戻すことができる。
【0049】
このようにして検出した量DLCpredLEは、対応する車輪が対応する車道境界部の内側にあれば正であり、対応する車道境界部の外側にあるケースに対しては負である。
【0050】
図示した、左前輪の接近量DLCpredLEの検出態様は、右前輪に対しても相応に行うことができる。対応的に、DLCpredRIに対しては
【0053】
このようにして検出した量DLCpredRIも、対応する車輪が対応する車道境界部の内側にあれば正であり、対応する車道境界部の外側にあるケースに対しては負である。
【0054】
図1は、本発明による方法の経過を示している。
【0055】
第1のステップ101で、車道境界部203aおよび/または203bを用いて車道を分析する。分析したそれぞれの車道境界部203aおよび/または203bに対し、分析に基づいて、
−車両201の座標系206に対する車道境界部の座標系204aおよび/またはbの現在の間隔:ΔyactLE、および/またはΔyactRI,
−車道境界部の座標系204aおよび/またはbと車両201の座標系206との間の現在の角度:θLEおよび/またはθRI,
−曲率:κRIおよび/またはκLE,
−曲率変化:κdotLEおよび/またはκdotRI
が得られる。
【0056】
上記の量ΔyactLE,ΔyactRI,θLE,θRI,κRI,κLE,κdotLE,κdotRIは、車両の走行レーンに割り当てられているすべての量であり、走行レーン特性量と呼ぶこともできる。
【0057】
必ずしも両方の車道境界部を分析する必要はない。片側の分析(左側車道境界部203aのみに関する分析、または、右側車道境界部203bのみに関する分析)が考えられ得る。両方の車道境界部203aと203bを調べることも可能である。
【0058】
更なるステップ102で、車両の現在の走行状況を検出する。これは、
−現在の自己速度vegoと現在のヨーレートyawrateとから、現在の曲率κactを特定すること、
−現在の曲率変化κdotactを特定すること、
によって行う。
【0059】
これらの量は車両201の現在の走行状況に対してのものであり、走行状況量κact,vego,yawrate,κdotactと呼ぶことができる。
【0060】
ステップ103では、走行レーン特性量と走行状況量とから、すでに上で示したように接近量DLCpredが検出される。この検出は接近量DLCpredRIまたはDLCpredLEに対してのみ行うことができるが、2つの接近量DLCpredRIおよびDLCpredRIに対して一緒に行うこともできる。
【0061】
1つの接近量のみを検出する場合には、ステップ104でこの接近量を値DLCpredに等しくなるように設定する。検出した接近量を、DLCpredとして設定することなく、そのままさらに使用することもできる。
【0062】
DLCpredRIおよび/またはDLCpredRIを検出するために付加的に重要な量dpred,tpred,lwheelbaseをファイルし、方法の中で演算のために援用する。
【0063】
接近量DLCpredをステップ104で閾値と比較する。閾値を下回っていれば、方法をさらにステップ105へ進める。
【0064】
ステップ103で2つの接近量DLCpredRIとDLCpredRIを検出した場合には、ステップ107aで、これら2つの接近量を比較することによって最小値特定DLCpred=MIN(DLCpredLE,DLCpredRI)を行う。したがって、値DLCpredは2つの接近量DLCpredRIとDLCpredRIのうちより小さいほうに対応している。接近量DLCpredはステップ107bで閾値と比較する。接近量が閾値を下回っている場合には、方法をステップ105へ進める。
【0065】
接近量に対する閾値を下回っていなければ、ステップ106で方法を再び新たにステップ101へ進める。ステップ101への戻りは、ステップ104で1つの接近量のみが使用される実施形態でも、2つの接近量が使用される実施形態でも、ステップ107aと107bで行なう。
【0066】
接近量DLCpredが閾値を下回っていれば、ステップ105で情報信号が提供される。この情報信号に基づいて事後処置を介入させることができる。事後処置は、最終的でなくても、たとえばドライバーへの警告、ブレーキ介入、ステアリング介入、速度適合、長さコントロールへの介入、またはダイナミックスタビリティへの介入であってよい。
【0067】
ステップ104または107bで使用した閾値は、変数として構成されていてよい。閾値を用いて、システム内で、情報信号の出力をどの程度早く行うべきかを調整することができる。換言すれば、閾値を用いて、どの接近量DLCpredまで走行状況をまだ安全と見なすことができるか、および、どの接近量DLCpredからアクション(警告および/または事後処置)が必要になるかを確定することができる。このような閾値は、特に、車道境界部への完全な接近に対応して、0に設定してもよい。
【0068】
図2には示していないが、すでに説明したように、車道境界部を検知するための少なくとも1つのセンサの検知範囲に対する予測長さの整合を常に考慮してよい。検知範囲に対する予測長さdpredの整合は、以下に説明する制御器を用いても実施できる。
【0069】
図3は、この方法を実施するための制御器を示している。
【0070】
制御器の第1の従属ユニット301で、走行レーン特性量ΔyactLE,ΔyactRI,θLE,θRI,κRI,κLE,κdotLE,κdotRIを検出する。
【0071】
制御器の第2の従属ユニット302で、走行状況量κact,vego,yawrate,κdotactを検出する。第1および第2の従属ユニット301と302はこれらの量を第3の従属ユニット303へ送り、第3の従属ユニットで接近量DLCpredを検出する。接近量DLCpredRIおよび/またはDLCpredRIの検出に補助的に重要な量dpred,tpred,lwheelbaseをファイルし、本方法で援用して演算を行う。
【0072】
接近量DLCpredを、すでに挙げた閾値と比較する。この比較に依存して、閾値を下回っていれば、出力ユニット304で情報量を発生させる。制御器のこの実施形態は、片側の1つの車道境界部だけを対象としてただ1つの接近量を検出するようにした経路104にしたがって方法を実施するために用いられる。
【0073】
上述した、本方法の経路107の最小値検出は、この制御器内に含まれている必要はない。それ故、制御器の第1の従属ユニット301で車道境界部の片側の量のみを検出して、車道境界部のこの片側に対する接近量のみを第3の従属ユニット303で特定しても十分になり得る。
【0074】
図4は、経路107にしたがって本方法を実施し、すなわち車道境界部203aと203bの両側を考慮しても本方法を実施することができる制御器を示している。
【0075】
ステップ301と302は
図3の制御器の場合と同一であるが、ただし車道境界部の両側の量を評価しなければならない点だけが異なっている。
【0076】
第3の従属ユニット401で2つの接近量を検出する。中間ユニット402で、接近量の最小値検出と、閾値との比較とを行う。閾値を下回った場合には、出力ユニット403で情報量を生成させる。
【0077】
図3または
図4の制御器には両方とも、更なる量、たとえば調整すべき予測時間、調整すべき予測長さ、または使用すべき閾値を入力することができ、或いは、供給することができてそれぞれ適当なユニットで処理することができる。
【0078】
さらに、これら制御器はインターフェースを介して、前記情報量以外の更なる量を他のシステム、制御器または従属ユニットに提供することもでき、たとえばすでに述べたようなアクティブレーンキープコントロールのための接近量を提供できる。
【0079】
本発明は、本方法の各ステップを実施するために設けられているコンピュータプログラム、このコンピュータプログラムが記憶されている電子記憶媒体をも含むものである。この電子記憶媒体は前述の制御器のうちの1つに含まれている。
【符号の説明】
【0080】
DLCpred,DLCpredRI,DLCpredLE 接近量
κact,vact,yawrate,κdotact 走行状況量
ΔyactLE,ΔyactRI,θLE,θRI,κRI,κLE,κdotLE,κdotRI 走行レーン特性量