特許第6372974号(P6372974)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6372974
(24)【登録日】2018年7月27日
(45)【発行日】2018年8月15日
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/52 20060101AFI20180806BHJP
   H01R 4/38 20060101ALI20180806BHJP
【FI】
   H01R13/52 301E
   H01R13/52 301A
   H01R4/38 B
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-94466(P2013-94466)
(22)【出願日】2013年4月26日
(65)【公開番号】特開2014-216257(P2014-216257A)
(43)【公開日】2014年11月17日
【審査請求日】2016年3月17日
【審判番号】不服2017-7307(P2017-7307/J1)
【審判請求日】2017年5月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡本 健一
(72)【発明者】
【氏名】長澤 聡之
【合議体】
【審判長】 中村 達之
【審判官】 小関 峰夫
【審判官】 尾崎 和寛
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−92779(JP,A)
【文献】 特開2011−187224(JP,A)
【文献】 特開2012−69347(JP,A)
【文献】 実開昭64−19271(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 4/34
H01R 13/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子貫通穴を有するハウジングと、
前記端子貫通穴に連通して形成され、平面である前記ハウジングのハウジング外面に開口し、環状シール部材が内方に装着されるシール装着穴と、
前記端子貫通穴に挿入されるとともに前記環状シール部材を貫通し、前記シール装着穴を経て前記ハウジング外面から突出される突出先端に締結穴を有する端子と、
一側面の全域に広がる平面であるホルダ外面を前記ハウジング外面に対面接触させることで前記ハウジングに取り付けられるシールホルダであって、前記ホルダ外面から突出するとともに前記シール装着穴に嵌合されて前記環状シール部材を押し込んで位置決めする押圧嵌合突起と、前記押圧嵌合突起の内方に挿入された前記端子を導出する端子導出穴とを有するシールホルダと、
前記端子導出穴の導出端側を導出方向に対して直交方向に開放させるように前記シールホルダに形成された係合凹部と、
前記端子導出穴から前記係合凹部に前記締結穴が導出された前記端子に相手端子を締結固定するため前記係合凹部に配置された締結具と、
を備え、
前記ハウジングが、複数の前記端子貫通穴、及び、複数の前記シール装着穴を一体に有し、
前記シールホルダが、複数の前記押圧嵌合突起、複数の前記端子導出穴、及び、複数の前記係合凹部を一体に有し、
複数の前記端子貫通穴に前記端子がそれぞれ挿入され、複数の前記シール装着穴に前記環状シール部材がそれぞれ装着され、複数の前記係合凹部に前記締結具がそれぞれ配置されており、
前記ホルダ外面を前記ハウジング外面に対面接触させて、複数の前記押圧嵌合突起が複数の前記シール装着穴に一括して嵌合されることで、複数の前記端子が複数の前記端子導出穴から一括して導出されると共に、前記シールホルダが前記ハウジングに取り付けられていることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記締結具が、前記係合凹部の底面に凹設された締結具嵌合部に嵌着されることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記押圧嵌合突起が、前記端子の全周にわたって前記環状シール部材を押し込む環状に形成されていることを特徴とする請求項1又2に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハウジングの内部への水、油、等といった液体の浸入を防止する構造を備えたコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば電気自動車においてモーターとインバータの間を電気的に接続するコネクタ(ターミナルブロック)が知られている。
図7(a)〜(c)に示すターミナルブロック501は、端子であるバスバー503が、モーターとインバータのそれぞれの接触子(図示せず)に、ナットボルト(締結具)にて接続され通電される。バスバー503は、ハウジング505を貫通して保持される。ハウジング505には、モーター側フランジ部507と、インバータ側フランジ部509とが平行に形成されている。モーター側フランジ部507とインバータ側フランジ部509は、モーター側のパネルに形成されるモーター側装着孔と、インバータ側のパネルに形成されるインバータ側装着孔とにそれぞれ取り付けられる。モーター側フランジ部507とインバータ側フランジ部509には、モーター側パッキン511と、インバータ側パッキン513とがそれぞれ装着される。ハウジング505のOリング装着穴515にはOリング517が装着され、環状シール部材であるOリング517はバスバー503とOリング装着穴515の間を液密シールする。これにより、機器内部への水浸入や機器からのオイル漏れが防止される。
【0003】
ところが、上記構成のターミナルブロック501は、Oリング517をバスバー503に装着した後、図8に示すような傾き、変形が発生した場合、Oリング517のつぶし代が確保できず水浸入やオイル漏れが懸念される。
【0004】
そこで、良好な液体浸入防止効果を維持することが可能なコネクタが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
図9に示すように、このコネクタ521は、端子挿入孔523を有するハウジング525と、端子挿入孔523に挿入された端子527(上記バスバー503と同等部材)と、端子527の全周を囲うように装着されて端子挿入孔523と端子527との隙間を塞ぐOリング517と、端子527に相手端子を締結固定するナット529と、ナット529によってOリング側へ押圧されてOリング517を端子挿入孔523と端子527との隙間へ向かって押し付けるOリングホルダ531と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−243636号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記コネクタ521は、極数分(図示例では6極分)のOリングホルダ531の挿入、極数分のナット529の挿入が必要であるため、組立作業が煩雑となる。また、ナット529は、外れることのないよう圧入構造にしなければならず、Oリングホルダ531の装着方向に沿って締結位置まで精度良く圧入される必要がある。ナット529の圧入精度が悪いと、ナット529と端子527の締結穴533が一致せず、端子接続の作業性を低下させる。また、端子527の先端部側は、周囲にOリングホルダ531が外装されるため、ハウジング525に直接保持させることができず、端子527の位置精度や保持力を十分に確保し難いという問題があった。
【0007】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、その目的は、高いシール性を確保することができるとともに、端子と締結具を高精度に位置決め、保持できるコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る上記目的は、下記構成により達成される。
(1) 端子貫通穴を有するハウジングと、前記端子貫通穴に連通して形成され、平面である前記ハウジングのハウジング外面に開口し、環状シール部材が内方に装着されるシール装着穴と、前記端子貫通穴に挿入されるとともに前記環状シール部材を貫通し、前記シール装着穴を経て前記ハウジング外面から突出される突出先端に締結穴を有する端子と、一側面の全域に広がる平面であるホルダ外面を前記ハウジング外面に対面接触させることで前記ハウジングに取り付けられるシールホルダであって、前記ホルダ外面から突出するとともに前記シール装着穴に嵌合されて前記環状シール部材を押し込んで位置決めする押圧嵌合突起と、前記押圧嵌合突起の内方に挿入された前記端子を導出する端子導出穴とを有するシールホルダと、前記端子導出穴の導出端側を導出方向に対して直交方向に開放させるように前記シールホルダに形成された係合凹部と、前記端子導出穴から前記係合凹部に前記締結穴が導出された前記端子に相手端子を締結固定するため前記係合凹部に配置された締結具と、を備え、前記ハウジングが、複数の前記端子貫通穴、及び、複数の前記シール装着穴を一体に有し、前記シールホルダが、複数の前記押圧嵌合突起、複数の前記端子導出穴、及び、複数の前記係合凹部を一体に有し、複数の前記端子貫通穴に前記端子がそれぞれ挿入され、複数の前記シール装着穴に前記環状シール部材がそれぞれ装着され、複数の前記係合凹部に前記締結具がそれぞれ配置されており、前記ホルダ外面を前記ハウジング外面に対面接触させて、複数の前記押圧嵌合突起が複数の前記シール装着穴に一括して嵌合されることで、複数の前記端子が複数の前記端子導出穴から一括して導出されると共に、前記シールホルダが前記ハウジングに取り付けられていることを特徴とするコネクタ。
【0009】
上記(1)の構成のコネクタによれば、ハウジング外面に開口するシール装着穴からは、締結穴を有する端子の突出端が突出される。端子は、シール装着穴内で環状シール部材を貫通する。環状シール部材は、端子とシール装着穴の隙間を液密にシールする。
端子の突出端が突出したハウジング外面には、シールホルダが取り付けられる。シールホルダは、ハウジング外面に開口するシール装着穴に嵌合する押圧嵌合突起を有しており、シール装着穴にシールホルダの押圧嵌合突起が挿入されると、押圧嵌合突起の内方に挿入された端子は、端子導出穴から係合凹部に締結穴が導出される。係合凹部には、端子に相手端子を締結固定するための締結具が配置されており、端子は締結具によって相手端子と締結固定される。
ここで、ハウジングのシール装着穴から突出する端子は、ハウジングにシールホルダが取り付けられると、シール装着穴に同時に挿入される押圧嵌合突起の端子導出穴に挿入されることで、ハウジングとの位置ズレ、端子個々のガタツキが矯正される。これにより、端子の位置精度や保持力を十分に確保することが可能となる。
同時に、押圧嵌合突起の先端がシール装着穴の奧へ環状シール部材を押圧することで、環状シール部材の傾きが抑制され、環状シール部材がシール装着穴の正規位置に収められる。これにより、シール装着穴と端子との隙間の高いシール性が確保され、水浸入やオイル漏れが防止される。
また、ハウジングが複数の端子貫通穴を有し、シールホルダが複数の押圧嵌合突起及び端子導出穴を有するので、ハウジングにシールホルダが取り付けられると、それぞれの端子は、ハウジングとの位置ズレ、端子個々のガタツキが矯正されると共に、複数の端子相互間の位置ズレが矯正される。
【0010】
(2) 上記(1)の構成のコネクタであって、前記締結具が、前記係合凹部の底面に凹設された締結具嵌合部に嵌着定されることを特徴とするコネクタ。
【0011】
上記(2)の構成のコネクタによれば、係合凹部の底面に凹設された締結具嵌合部に嵌着された締結具は、ハウジングにシールホルダが取付けられると、端子導出穴から係合凹部に導出された端子の突出端に上方を覆われる。そこで、シールホルダと端子で挟持された締結具は、シールホルダの係合凹部にガタツキなく配置されると共に、シールホルダからの脱落が防止される。その結果、端子の締結穴の中心と締結具の軸心が高精度に一致し、締結固定作業が容易となる。
【0012】
(3) 上記(1)又は(2)の構成のコネクタであって、前記押圧嵌合突起が、前記端子の全周にわたって前記環状シール部材を押し込む環状に形成されていることを特徴とする請求項1又2に記載のコネクタ。
【0013】
上記(3)の構成のコネクタによれば、シールホルダの環状に形成された押圧嵌合突起によって、端子の全周にわたって環状シール部材がバランスよく押圧される。そこで、環状シール部材によるシール装着穴と端子との隙間における更に良好なシール状態を確保することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るコネクタによれば、高いシール性を確保することができるとともに、端子と締結具を高精度に位置決め保持できる。
【0015】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係るコネクタの斜視図である。
図2図1に示したコネクタをモーター側から見た正面図である。
図3図2のB−B断面図である。
図4図1に示したシールホルダの斜視図である。
図5】(a)はシールホルダ装着前のコネクタの分解斜視図、(b)はシールホルダ装着後のコネクタの平面図である。
図6】(a)は図3に示したコネクタの押圧嵌合突起近傍の拡大断面図、(b)は(a)の要部拡大図である。
図7】(a)は従来のコネクタの斜視図、(b)は(a)のコネクタをモーター側から見た正面図、(c)は(b)のA−A断面図である。
図8】(a)は図7(c)に示したコネクタのOリング近傍の拡大断面図、(b)はOリングの捩れ状況を表す斜視図である。
図9】(a)はOリングホルダを備えた従来のコネクタの斜視図、(b)は(a)に示したコネクタの一部分を切り欠いて表した要部拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る実施形態を図面を参照して説明する。
図1に示すように、本発明の一実施形態に係るコネクタ11は、モーター側パネル(図示略)、インバータ側パネル(図示略)に装着される。
コネクタ11は、絶縁性を有する合成樹脂等から成形されたハウジング13(ターミナルブロックとも称す)を有している。ハウジング13のモーター側パネルへの装着側には、モーター側接続部15が設けられている。ハウジング13のインバータ側パネルへの装着側には、インバータ側接続部17が設けられている。
【0018】
また、ハウジング13には、モーター側フランジ部19と、インバータ側フランジ部21が平行に形成される。モーター側フランジ部19と、インバータ側フランジ部21は、モーター側パネルに形成されるモーター側装着孔(図示略)、インバータ側パネルに形成されるインバータ側装着孔(図示略)に取り付けられる。
【0019】
モーター側フランジ部19には、モーター側接続部15の周囲を囲むように、モーター側シール溝23が形成され、このモーター側シール溝23(図3参照)には、環状のモーター側パッキン25が嵌め込まれている。インバータ側フランジ部21の外周には、インバータ側シール溝27が形成され、このインバータ側シール溝27には、環状のインバータ側パッキン29が嵌め込まれている。
【0020】
本実施形態のコネクタ11は、モーター側パネルへの装着時、ハウジング13のモーター側接続部15が、モーター側装着孔へ挿し込まれ、モーター側フランジ部19がモーター側装着孔の縁部におけるパネル表面に当接させられる。この状態で、モーター側フランジ部19の固定ボルト挿通孔31へ取付ネジ(図示略)を挿入し、モーター側パネルに形成されたネジ孔(図示略)へ螺合させる。
【0021】
これにより、コネクタ11は、モーター側パネルに固定されて取り付けられる。このようにモーター側パネルへコネクタ11を固定すると、モーター側パッキン25がモーター側パネルに密着し、モーター側パネルとコネクタ11との間がシールされる。
【0022】
次に、ハウジング13のモーター側接続部15について説明する。なお、本発明の主要構成部はモーター側接続部15に適用されているので、インバータ側接続部17の詳細な説明は省略する。
本実施形態のモーター側接続部15は、端子貫通穴33(図3参照)と、Oリング(環状シール部材)43と、Oリング装着穴(シール装着穴)35と、端子37と、Oリングホルダ(シールホルダ)39と、係合凹部53と、四角ナット(締結具)57と、を備える。
【0023】
モーター側接続部15におけるハウジング13には、複数(本実施形態では3つの)の端子貫通穴33が形成されている。ハウジング13における端子貫通穴33よりも手間側には、端子貫通穴33よりも大きな断面積の穴を形成することにより、端子貫通穴33と連通するOリング装着穴35が設けられている。Oリング装着穴35には、Oリング43が挿入される。
【0024】
端子37は、銅などの導電性金属材料から形成される。端子37は、それぞれの端子貫通穴33に挿入されるとともに、Oリング43の中央開口を貫通する。Oリング43を貫通した端子37は、Oリング装着穴35を経てハウジング外面45(図3参照)から突出される突出先端に、締結穴47を有する。
【0025】
Oリングホルダ39は、Oリング装着穴35に嵌合されてそれぞれのOリング43を押し込んで位置決めする複数の環状嵌合突起(押圧嵌合突起)49(図4参照)と、環状嵌合突起49の内方に挿入された端子37を導出する端子導出穴51と、とを有する。環状嵌合突起49は、端子37の全周にわたってOリング43を押し込む環状に形成されている。ハウジング13におけるOリング装着穴35よりも手前側には、切欠き部を形成することにより、上方側が開放された係合凹部53が設けられている。即ち、係合凹部53は、端子導出穴51の導出端側を導出方向に対して直交方向に開放させるようにOリングホルダ39に形成されている。係合凹部53の底面には、更にナット嵌合部(締結具嵌合部)41が凹設されており、このナット嵌合部41の下方には、ボルト逃げ穴55が形成されている。この係合凹部53には、端子37の締結穴47が配置される。
【0026】
端子貫通穴33からOリング装着穴35に通された端子37には、その先端側から環状のOリング43が装着されている。端子貫通穴33と端子37の間は、圧入やインサート成形等により密着状態となるが、毛管現象を阻止できる水密状態とはなっていない。Oリング43は、ゴム等の弾性材料から形成されており、端子37の全周を囲うように端子37に装着される。これにより、端子37とOリング装着穴35の隙間が、Oリング43によって封止されて水密にシールされる。
【0027】
本実施形態のOリングホルダ39は、合成樹脂により一体成形される。Oリングホルダ39の環状嵌合突起49は、軸線直交方向の断面形状がOリング装着穴35の断面形状と一致している。これにより、ハウジング13にOリングホルダ39が取付けられると、環状嵌合突起49は、Oリング装着穴35にガタツキの無い状態で嵌められる(嵌合される)。また、端子37は、長手方向に直交する方向の断面形状が端子導出穴51の断面形状と一致している。これにより、端子37は、端子導出穴51にガタツキの無い状態で嵌挿される。
Oリングホルダ39は、この環状嵌合突起49の端子導出穴51に端子37を挿通させた状態で、環状嵌合突起49がOリング側へ押し込まれる。図6に示すように、Oリング装着穴35に嵌め込まれたOリング43には、環状嵌合突起49の先端が突き当てられる。Oリング43を押し込むOリングホルダ39は、ホルダ外面40がハウジング外面45に当接することで装着完了となる。環状嵌合突起49は、このOリングホルダ39の装着完了位置で、Oリング43を押し込み方向の正規位置に位置決めする。
【0028】
また、係合凹部53のナット嵌合部41には、Oリングホルダ39の上方から四角ナット57が嵌装されている。本実施形態では、四角ナット57が矩形のナット嵌合部41に圧入固定されている。なお、四角ナット57がナット嵌合部41に圧入固定されることは必須要件ではない。四角ナット57は、ナット嵌合部41に嵌着され、端子導出穴51から係合凹部53に導出された端子37の締結穴47と同軸になるように配置される。
【0029】
次に、上記構成を有するコネクタ11の作用を説明する。
本実施形態のコネクタ11では、図5(a)に示すように、ハウジング外面45に開口するそれぞれのOリング装着穴35からは、締結穴47を有する端子37の突出端が突出される。この状態において、端子37は、図6に示すように、Oリング装着穴35内でOリング43の中央開口を貫通している。Oリング43は、端子37とOリング装着穴35の隙間を液密にシールする。
【0030】
端子37の突出端が突出したハウジング外面45には、Oリングホルダ39が取り付けられる。Oリングホルダ39は、ハウジング外面45に開口するOリング装着穴35に環状嵌合突起49を嵌入してハウジング13に取り付けられる。従って、Oリングホルダ39は、複数の環状嵌合突起49が複数のOリング装着穴35に一括して嵌合され、多極の場合であってもハウジング13に対して一度の取り付けで済む。Oリング装着穴35にOリングホルダ39の環状嵌合突起49が挿入されると、環状嵌合突起49の内方に挿入された端子37は、端子導出穴51から係合凹部53に締結穴47が導出される。係合凹部53には、端子37に相手端子(図示せず)を締結固定するため四角ナット57が配置されており、端子37は、相手端子を貫通したボルトが締結穴47を貫通し、四角ナット57に締結されることで、相手端子と共締めされて締結固定される。
【0031】
ここで、Oリング装着穴35から突出する複数の端子37は、ハウジング13にOリングホルダ39が取り付けられると、複数のOリング装着穴35に同時に挿入される環状嵌合突起49の端子導出穴51に挿入されることで、ハウジング13との位置ズレ、端子相互間の位置ズレ、端子個々のガタツキが矯正される。これにより、端子37の位置精度や保持力を十分に確保することが可能となる。
【0032】
同時に、図6(b)に示すように、環状嵌合突起49の先端がOリング装着穴35の奧へOリング43を押圧することで、Oリング43の傾きが抑制され、Oリング43がOリング装着穴35の正規位置に収められる。これにより、Oリング装着穴35と端子37との隙間の高いシール性が確保され、水浸入やオイル漏れが防止される。
【0033】
そして、係合凹部53の端子37には、機器側の相手端子が接続される。この相手端子には、ボルト挿通孔が形成されている。相手端子を端子37に接続するには、相手端子のボルト挿通孔を端子37の締結穴47に重ねる。この状態で、ボルト挿通孔及び締結穴47へボルトを挿し込み、四角ナット57へねじ込んで締結する。四角ナット57の下部から突出するボルトの先端部は、ハウジング13と干渉することなく、ナット嵌合部41の下方に形成された逃げ穴55に入り込む。
これにより、四角ナット57とボルトの締結力によって端子37に相手端子が強固に接続され、確実な接続信頼性が得られる。
【0034】
また、本実施形態のコネクタ11では、係合凹部53の底面に凹設されたナット嵌合部41に嵌着された四角ナット57は、ハウジング13にOリングホルダ39が取付けられると、端子導出穴51から係合凹部53に導出された端子37の突出端に上方を覆われる。そこで、Oリングホルダ39と端子37で挟持された四角ナット57は、Oリングホルダ39の係合凹部53にガタツキなく配置されると共に、Oリングホルダ39からの脱落が防止される。その結果、端子37の締結穴47の中心と四角ナット57の軸心が高精度に一致し、締結固定作業が容易となる。
【0035】
従って、本実施形態に係るコネクタ11によれば、高いシール性を確保することができるとともに、端子37と四角ナット57を高精度に位置決め保持できる。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
例えば、上記実施形態においては、環状シール部材としてOリング43を用いたが、XリングやDリング等の種々の環状シール部材を用いることができることは勿論である。
また、締結具として用いた四角ナット57もこれに限定するものではなく、六角ナット等の種々の締結具を用いることができる。
【符号の説明】
【0036】
11…コネクタ
13…ハウジング
33…端子貫通穴
35…Oリング装着穴(シール装着穴)
37…端子
39…Oリングホルダ(シールホルダ)
41…ナット嵌合部(締結具嵌合部)
43…Oリング(環状シール部材)
45…ハウジング外面
47…締結穴
49…環状嵌合突起(押圧嵌合突起)
53…係合凹部
51…端子導出穴
57…四角ナット(締結具)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9