特許第6372981号(P6372981)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6372981
(24)【登録日】2018年7月27日
(45)【発行日】2018年8月15日
(54)【発明の名称】モータ駆動装置
(51)【国際特許分類】
   H02P 6/12 20060101AFI20180806BHJP
【FI】
   H02P6/12
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-173581(P2013-173581)
(22)【出願日】2013年8月23日
(65)【公開番号】特開2015-42120(P2015-42120A)
(43)【公開日】2015年3月2日
【審査請求日】2016年7月19日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000228730
【氏名又は名称】日本電産サーボ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】日本電産株式会社
(72)【発明者】
【氏名】チャルレス シムソン ハラソン シリトンガ
(72)【発明者】
【氏名】岡部 俊宏
(72)【発明者】
【氏名】相馬 明子
(72)【発明者】
【氏名】谷嶋 誠
(72)【発明者】
【氏名】鷹 広昭
【審査官】 ▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−514134(JP,A)
【文献】 特開平10−225168(JP,A)
【文献】 特開2009−207218(JP,A)
【文献】 特開昭61−235713(JP,A)
【文献】 特開平03−011990(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 6/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータの回転速度を可変するモータ駆動装置において、
電源電圧に基づいて生成された基準電圧と、前記モータの回転速度を電圧値により指示する速度指令電圧と、を入力し、前記基準電圧を分圧して生成された複数の比例電圧と、前記速度指令電圧と、を比較することによってアナログディジタル変換を行うアナログディジタル変換回路と、
前記アナログディジタル変換回路の出力信号に基づいて、前記速度指令電圧に応じてパルス幅が変化する速度指令を生成するマイクロコンピュータと、
入出力間を絶縁して、入出力間で前記速度指令を伝達する信号絶縁部と、
前記信号絶縁部から出力される前記速度指令により駆動信号を生成して前記モータの回転速度を可変する駆動回路とを備え
前記アナログディジタル変換回路は、異なる減衰率により減衰された前記速度指令電圧を複数系統により出力し、
前記マイクロコンピュータは、前記速度指令電圧に応じて前記複数系統の1つを選択して前記速度指令を生成する、モータ駆動装置。
【請求項2】
前記マイクロコンピュータは、
前記速度指令電圧の増大及び減少に対して、階段状にパルス幅が変化するように前記速度指令を生成する請求項1に記載のモータ駆動回路。
【請求項3】
前記マイクロコンピュータは、
前記速度指令電圧の増大及び減少に対して、ヒステリシス特性により前記速度指令のパルス幅を変化させる請求項2に記載のモータ駆動装置。
【請求項4】
前記マイクロコンピュータは、
前記速度指令電圧の変化に対して、パルス幅を徐々に変化させて前記速度指令を生成する
請求項1、請求項2、請求項3の何れかに記載のモータ駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍ショーケース、冷蔵庫において冷気を強制循環させるファンモータ等のモータ駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、冷凍ショーケース、冷蔵庫等において冷気を強制循環させるファンモータでは、一定の回転速度を維持したり、庫内状況に応じて回転速度を切り換えたり、さらには事前に設定されたプロファィルに従って回転速度を変化させることが望まれており、このような回転速度の制御をモータ駆動装置により実行している。この種のファンモータに関しては、例えば特許文献1〜3等に記載のように、種々の工夫が提案されている。
【0003】
またこの種のモータ駆動装置の駆動対象は、省電力、制御の容易性等の観点より、ブラシレスモータが多用されており、この場合、モータ駆動装置は、整流回路、ブラシレスモータに駆動電流を供給する駆動回路等の一部構成がモータケース内に収納されて構成される。
【0004】
また近年、コンビニエンスストアやスーパーマーケットでは、複数台のショーケースを集中管理したり、ショーケースを個々に管理することが求められている。このため各ショーケースに設けられたファンモータの回転速度を個々に制御できることが望まれており、このためモータ駆動装置では、外部から回転速度を制御可能なインターフェースが設けられている。
【0005】
図7は、この外部から回転速度を制御可能なインターフェースを有するモータ駆動装置を駆動対象と共に示すブロック図である。このモータ駆動装置1の駆動対象は、3相のブラシレスモータによるファンモータ2である。このモータ駆動装置1では、AC100V又はAC200Vの商用電源を電源回路3に入力し、ここで動作用の直流電源を生成して各部に供給する。
【0006】
モータ駆動装置1は、入力装置6からパルス幅変調信号による速度指令S3をコントローラ8に入力し、またファンモータ2に設けられたホール素子10A、10B、10Cの出力信号をドライバ11で取得する。ここで入力装置6は、ファンモータ2の回転速度を制御するインターフェース装置である。ドライバ11は、コントローラ8による駆動信号に基づいて、ホール素子10A〜10Cの出力信号により把握される現在の回転速度が、速度指令S3により指示される回転速度となるように、ファンモータ2の駆動に供する3相の駆動信号を生成する。パワーモジュール(PM)12は、このドライバ11から出力される駆動信号に基づいて、ファンモータ2の各相U、V、Wを電源回路3から出力される直流電源に接続し、ファンモータ2を駆動する。これによりモータ駆動装置1では、速度指令に応じた回転速度でファンモータ2を回転駆動する。なおモータ駆動装置1は、このようにして駆動するファンモータ2の駆動電流をドライバ11で検出し、この駆動電流が一定の基準値を超えないように、ホール素子10A〜10Cの出力信号に応じてパワーモジュール12による駆動のタイミングを制御する。なおこの図7に示す構成において、一点鎖線により区分けされたホール素子10A、10B、10C、ドライバ11、パワーモジュール12、電源回路3の一部は、ファンモータ2のモータケースに収納されて保持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−260965号公報
【特許文献2】特開平04−208087号公報
【特許文献3】特許第3965791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところでこのように外部より回転速度を制御可能なインターフェースを設ける場合、ファンモータに求められる安全基準と同一の安全基準を、当該インターフェースに係る入力装置6が満足することが必要になる。
【0009】
具体的に、ファンモータの駆動系にあっては、商用電源に接続されることにより、商用電源を使用する場合のUL等の安全基準を満足することが必要になる。何ら工夫を講じない場合、速度の制御に係る入力装置6にあっても、この安全基準を満たすことが必要になり、感電、雷サージ、ノイズ等に対しても大がかりな対策が必要となる。これにより構成が煩雑になる問題があった。
【0010】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、従来に比して速度制御のインターフェースに係る構成を簡略化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、速度指令を出力する構成を電気的に本体装置より絶縁するようにして、マイクロコンピュータにより直流電圧に応じたパルス幅変調信号による速度指令を生成するとの着想により、本発明を完成するに至った。
【0012】
(1) モータの回転速度を可変するモータ駆動装置において、電源電圧に基づいて生成された基準電圧と、前記モータの回転速度を電圧値により指示する速度指令電圧と、を入力し、前記基準電圧を分圧して生成された複数の比例電圧と、前記速度指令電圧と、を比較することによってアナログディジタル変換を行うアナログディジタル変換回路と、
前記アナログディジタル変換回路の出力信号に基づいて、前記速度指令電圧に応じてパルス幅が変化する速度指令を生成するマイクロコンピュータと、入出力間を絶縁して、入出力間で前記速度指令を伝達する信号絶縁部と、前記信号絶縁部から出力される前記速度指令により駆動信号を生成して前記モータの回転速度を可変する駆動回路とを備え、前記アナログディジタル変換回路は、異なる減衰率により減衰された前記速度指令電圧を複数系統により出力し、前記マイクロコンピュータは、前記速度指令電圧に応じて前記複数系統の1つを選択して前記速度指令を生成する。
【0013】
(1)によれば、速度の指示を入力するアナログディジタル変換回路、マイクロコンピュータについては、商用電源に係る安全基準を満足することなく、より基準の緩やかな安全基準を満足するだけで構成することができ、これにより従来に比して一段と構成を簡略化することができる。またマイクロコンピュータによりパルス幅が変化する速度指令を生成することにより、種々の特性により速度指令を生成することができる。
【0014】
(2) (1)において、
前記マイクロコンピュータは、
前記速度指令電圧の増大及び減少に対して、階段状にパルス幅が変化するように前記速度指令を生成する。
【0015】
(2)によれば、段階的に回転速度が変化する特性によりモータの回転速度を制御することができる。
【0016】
(3) (2)において、
前記マイクロコンピュータは、
前記速度指令電圧の増大及び減少に対して、ヒステリシス特性により前記速度指令のパルス幅を変化させる。
【0017】
(3)によれば、速度指令電圧の微小増減に対して、回転速度の過度な変化を防止することができ、その結果、安定にモータを駆動することができる。
【0018】
(4) (1)、(2)、又は(3)において、前記アナログディジタル変換回路は、
異なる減衰率により減衰された前記速度指令電圧を複数系統により出力し、
前記マイクロコンピュータは、
前記速度指令電圧に応じて前記複数系統の1つを選択して速度指令を生成する。
【0019】
(4)によれば、速度指令電圧の低い側では、一段と高い分解能によりアナログディジタル変換処理した系統により速度指令を生成することができ、これにより一段と高い精度により速度指令電圧を検出して速度指令を生成することができ、モータの駆動を一段と精度良く実行することができる。
【0020】
(5) (1)、(2)、(3)、又は(4)において、
前記マイクロコンピュータは、
前記速度指令電圧の変化に対して、パルス幅を徐々に変化させて前記速度指令を生成する。
【0021】
(5)によれば、急激に速度指令電圧が変化した場合であっても、徐々にモータの回転速度を可変することができ、これにより安定にモータを駆動することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、従来に比して速度制御のインターフェースに係る構成を簡略化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の第1実施形態に係るモータ駆動装置を示すブロック図である。
図2図1のモータ駆動装置における入力装置を示す接続図である。
図3図2の入力装置による制御特性の説明に供する図である。
図4】ヒステリシス特性による制御の説明に供する図である。
図5】回転速度を徐々に変化させる制御の説明に供する図である。
図6図5の制御に供するフローチャートである。
図7】従来のモータ駆動装置を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0025】
〔第1実施形態〕
図1は、図7との対比により本発明の第1実施形態に係るモータ駆動装置を示す図である。このモータ駆動装置21は、コントローラ8の前段に信号絶縁部22が設けられる。また速度指令S3に係る入力装置23は、クラスIIの電源である例えば乾電池により動作し、さらに信号絶縁部22に係る構成が設けられる。ここで信号絶縁部22は、入力装置23と本体装置との間で充分な絶縁を確保した上で、入力装置23から本体装置に速度指令S3を伝達する構成であり、例えばフォトカップラにより構成される。この信号絶縁部22、入力装置23及び関連する構成が異なる点を除いて、この実施形態のモータ駆動装置21は、図7について上述したモータ駆動装置1と同一に構成される。この信号絶縁部22に係る構成により、このモータ駆動装置21においては、モータの回転速度を指示するインターフェースに関して、速度の指示入力に係る入力装置23については、商用電源に係る安全基準を満足することなく、より基準の緩やかな安全基準を満足するだけで構成することができ、これにより従来に比して一段と構成を簡略化することができる。
【0026】
図2は、この入力装置23を関連する構成と共に示すブロック図である。入力装置23は、電源VCC1(24V)をダイオードD1、ノイズ除去用コンデンサC1を介してDC/DCコンバータ(DC/DC)31に入力し、ここで論理回路の動作用電源(例えば5V)を生成する。また入力装置23は、例えば可変抵抗によりこの電源VCC1から生成された直流電圧であり、ファンモータ2の回転速度を指示する直流電圧である速度指令電圧V2を入力し、抵抗R1、R2による第1の減衰回路である第1の分圧回路32、抵抗R3、R4によるによる第2の減衰回路である第2の分圧回路33にこの速度指令電圧V2を入力する。
【0027】
ここでこの実施形態において、速度指令電圧V2は、電源VCC1に対応する0〜24Vの直流電圧により入力され、第1の分圧回路32は、この0〜24Vの直流電圧により入力される速度指令電圧V2を分圧により減衰させて、論理回路の動作用電源(5V)以下の0V〜5Vの電圧により出力する。これに対して第2の分圧回路33は、この第1の分圧回路32の出力電圧の範囲0V〜5Vに対して、約2倍の電圧の範囲0V〜10Vに、0〜24Vの直流電圧により入力される速度指令電圧V2を減衰させて出力する。以下、第1及び第2の分圧回路32、33による出力電圧をそれぞれ高圧側速度指令電圧V2H、低圧側速度指令電圧V2Lと呼ぶ。
【0028】
入力装置23は、ノイズ除去用コンデンサC3により高圧側速度指令電圧V2Hを接地し、さらにダイオードD2、D3により正側及び負側を+5V、0Vにクランプしてコントローラ35に入力する。またノイズ除去用コンデンサC4により低圧側速度指令電圧V2Lを接地し、ダイオードD4、D5により正側及び負側を+5V、0Vにクランプしてコントローラ35に入力する。これにより入力装置23は、低圧側速度指令電圧V2Lについては、速度指令電圧V2の電圧の低い範囲のみ0V〜5Vの電圧によりコントローラ35に入力し、電圧の低い側で十分な分解能を確保して速度指令電圧V2を検出できるように構成される。
【0029】
さらに入力装置23は、抵抗R5、R6による分圧回路36による分圧により、電源VCC1を減衰させて論理回路の動作用電源(5V)の電源を生成する。入力装置23は、ノイズ除去用コンデンサC5により分圧回路36の出力電圧V3を接地し、ダイオードD6、D7により正側及び負側を+5V、0Vにクランプしてコントローラ35に入力する。
【0030】
コントローラ35は、高圧側速度指令電圧V2H、低圧側速度指令電圧V2L、分圧回路36の出力電圧V3により、速度指令電圧V2に応じてパルス幅の変化するパルス幅変調信号(速度指令である)S3を生成し、このパルス幅変調信号S3により信号絶縁部22であるフォトカップラを駆動する。すなわち信号絶縁部22は、フォトダイオードのアノードを抵抗R8を介して電源に接続し、さらにこのフォトダイオードのカソードにコントローラ35から出力されるパルス幅変調信号S3が供給され、さらにこのフォトダイオードのカソードが抵抗R7により電源にプルアップされる。これによりコントローラ35は、パルス幅変調信号S3によりフォトカップラを駆動する。
【0031】
信号絶縁部22は、このフォトカップラの出射光を受光するフォトトランジスタの出力信号S2がコントローラ8に入力され、これにより駆動装置21は、速度指令電圧V2に応じてファンモータ2の回転速度を可変する。
【0032】
〔コントローラ35の詳細〕
コントローラ35は、アナログディジタル変換回路37H、37Lにそれぞれ高圧側速度指令電圧V2H、低圧側速度指令電圧V2Lを入力してアナログディジタル変換処理する。ここでアナログディジタル変換回路37H、37Lは、ラダー抵抗により基準電圧を分圧して生成した複数の比較電圧と、それぞれ高圧側速度指令電圧V2H、低圧側速度指令電圧V2Lとを比較して比較結果を処理することにより、高圧側速度指令電圧V2H、低圧側速度指令電圧V2Lをアナログディジタル変換処理しており、このラダー抵抗に供給する基準電圧に分圧回路36の出力電圧V3が適用される。これにより駆動装置21は、例えば電源電圧VCC1の変化により速度指令電圧V2が変動する場合にあっても、この速度指令電圧V2の変化に連動して変化する基準電圧により高圧側速度指令電圧V2H、低圧側速度指令電圧V2Lをアナログディジタル変換処理し、例えば電池の劣化等により電源電圧VCC1が低下した場合でも、正しくファンモータ2を駆動できるように構成される。
【0033】
コントローラ35においては、アナログディジタル変換回路37H、37Lの出力信号をマイクロコンピュータ(マイコン)38に入力する。これにより異なる減衰率により減衰された速度指令電圧V2が複数系統によりマイコン38に入力される。マイコン38は、速度指令電圧V2に応じてこの複数系統の1つを選択して速度指令電圧V2を計測する。すなわちマイコン38は、アナログディジタル変換回路37H又は37Lの出力信号を所定の判定基準値により判定することにより、速度指令電圧V2が低い場合には、アナログディジタル変換回路37Lから出力される低圧側速度指令電圧V2Lのアナログディジタル変換処理結果を処理してパルス幅変調信号を生成する。これに対して速度指令電圧V2が高い場合には、アナログディジタル変換回路37Hから出力される高圧側速度指令電圧V2Hのアナログディジタル変換処理結果を処理してパルス幅変調信号を生成する。これにより駆動装置21では、ビット数の少ないアナログディジタル変換回路37H、37Lを使用して、電圧が低い場合に十分な分解能を確保して速度指令電圧V2のアナログディジタル変換結果を取得すると共に、大きなダイナミックレンジにより速度指定電圧V2をアナログディジタル変換処理できるように構成され、その結果、簡易な構成により高い精度でファンモータ2を速度制御できるように構成される。
【0034】
このように2系統のアナログディジタル変換処理結果を選択的に処理してパルス幅変調信号を生成するようにして、マイコン38は、図3に示すように、速度指令電圧V2の増大及び減少に対して、階段状にパルス幅が変化するように速度指令を生成し、これにより符号L1により示すように、階段状に回転速度が変化するようにファンモータ2を制御する。すなわちマイコン38は、アナログディジタル変換処理結果を判定基準値により判定し、その判定結果によりファンモータ2の制御に係る目標回転速度を切り替え、これにより段階的にファンモータ2の回転速度を可変制御する。これにより駆動装置21は、連続的な回転速度の可変に起因する回転速度の脈動等を有効に回避して、安定にファンモータ2を駆動する。
【0035】
またこのようにファンモータ2の回転速度を段階的に可変するようにして、この段階的な可変に供する判定基準値を、その時点の速度指令電圧V2に応じて切り替えることにより、図4に示すように、速度指令電圧V2の上昇時(符号L3)と、低下時(符号L2)とで回転速度の切り替えに係る速度指令電圧V2を切り替え、これによりヒステリシス特性により速度指令のパルス幅を変化させる。これにより駆動装置21は、回転速度の過度な変化を防止して安定にファンモータ2を駆動する。
【0036】
またさらにマイコン38は、このような段階的な制御において、図5(A)及び(B)により示すように、速度指令電圧V2の急激な変化を緩和するように、徐々に回転速度を可変し、これにより急激な回転速度の可変による回転速度におけるオーバーシュート、脈動等を有効に回避する。すなわち図6は、この回転速度の制御に係るマイコン38の処理手順を示すフローチャートである。マイコン38は、速度指令電圧V2の立ち上がりよる加速の指示を監視し、加速の指示が検出されない場合、速度指令電圧V2に対応する回転速度によりファンモータ2を駆動する(ステップSP1−SP2−SP3)。
【0037】
これに対して加速の指示が検出されると、その時点におけるファンモータ2の回転速度と、加速の指示に係る速度指令電圧V2による回転速度との差分の回転速度を計算し、この差分の回転速度を事前に設定された遷移時間により割り算し、指示された回転速度までの単位時間当たりの回転速度増加値(時間当たり速度指令増加パラメータ)を計算する。マイコン38は、回転速度の制御目標が、速度指令電圧V2による回転速度になるまで、計算した回転速度の増加値を現在の回転速度に繰り返し加算して制御目標を更新しながら、この制御目標によりファンモータ2を回転駆動する(ステップSP3〜SP6)。なおここで遷移時間は2分程度である。なおこの実施形態では、減速時においては、負荷の抵抗により徐々に減速するように構成される。
【0038】
以上の構成によれば、速度指令を出力する構成を電気的に本体装置より絶縁するようにして、マイクロコンピュータにより直流電圧に応じたパルス幅変調信号による速度指令を生成することにより、速度の指示を入力する構成については、商用電源に係る安全基準を満足することなく、より基準の緩やかな安全基準を満足するだけで構成することができ、これにより従来に比して一段と構成を簡略化することができる。またマイクロコンピュータによりパルス幅が変化する速度指令を生成することにより、種々の特性により速度指令を生成することができる。
【0039】
またこのとき、速度指令電圧の増大及び減少に対して、階段状にパルス幅が変化するように速度指令を生成することにより、段階的に回転速度が変化する特性によりモータの回転速度を制御することができる。
【0040】
また速度指令電圧の増大及び減少に対して、ヒステリシス特性により速度指令のパルス幅を変化させることにより、速度指令電圧の微小増減に対して、回転速度の過度な変化を防止して安定にモータを駆動することができる。
【0041】
またさらに異なる減衰率により減衰された速度指令電圧を複数系統により入力して処理することにより、速度指令電圧の低い側では、一段と高い分解能によりアナログディジタル変換処理した系統により速度指令を生成することができ、また充分に大きなダイナミックレンジを確保することができ、モータの駆動を一段と精度良く実行することができる。
【0042】
以上、本発明の実施に好適な具体的な構成を詳述したが、本発明は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述の実施形態の構成を種々に変更することができる。
【0043】
すなわち上述の実施形態では、フォトカップラにより信号絶縁部を構成する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば絶縁トランス等により信号絶縁部を構成するようにしてもよい。
【0044】
また上述の実施形態では、異なる減衰率により減衰された前記速度指令電圧を2系統により入力して処理する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、必要に応じて3系統以上により入力して処理するようにしても良く、実用上十分な特性を確保できる場合には、1系統により入力して処理するようにしてもよい。
【0045】
また上述の実施形態では、パルス幅変調信号により速度指令を伝達する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば周波数変調信号等により速度指令を伝達する場合等、種々の信号により速度指令を伝達する場合に広く適用することができる。
【0046】
また上述の実施形態では、3相のブラシレスモータによるファンモータを駆動する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、各種のモータを駆動する場合に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0047】
1、21 モータ駆動装置
2 ファンモータ
3 電源回路
6、23 入力装置
8、35 コントローラ
10A、10B、10C ホール素子
11 ドライバ
12 パワーモジュール
22 信号絶縁部
31 DC/DCコンバータ
32、33、36 分圧回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7