特許第6372986号(P6372986)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6372986
(24)【登録日】2018年7月27日
(45)【発行日】2018年8月15日
(54)【発明の名称】シートベルト装着状態表示装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 22/48 20060101AFI20180806BHJP
   B60K 35/00 20060101ALI20180806BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20180806BHJP
【FI】
   B60R22/48 105
   B60K35/00 Z
   B60R16/02 640Z
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-200255(P2013-200255)
(22)【出願日】2013年9月26日
(65)【公開番号】特開2015-66983(P2015-66983A)
(43)【公開日】2015年4月13日
【審査請求日】2016年8月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100105474
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 弘徳
(74)【代理人】
【識別番号】100177910
【弁理士】
【氏名又は名称】木津 正晴
(72)【発明者】
【氏名】小林 涼
【審査官】 森本 康正
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−090962(JP,A)
【文献】 特開2002−260119(JP,A)
【文献】 特開2009−255676(JP,A)
【文献】 特開2009−184470(JP,A)
【文献】 特開2009−057007(JP,A)
【文献】 特開2004−314648(JP,A)
【文献】 特開2011−105157(JP,A)
【文献】 米国特許第06362734(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 22/00−22/48
B60K 35/00−37/00
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
座席に乗員が着座していることの有無を検知する着座検知部と、
前記座席に設けられたシートベルトが装着されていることの有無を検知する装着検知部と、
各種の情報を表示する表示部と、
前記表示部に表示される内容を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記着座検知部が着座を検知していない第1の状態と、前記着座検知部が着座を検知し、かつ前記装着検知部が前記シートベルトの装着を検知していない第2の状態と、前記着座検知部が着座を検知し、かつ前記装着検知部が前記シートベルトの装着を検知した第3の状態とにそれぞれ対応する異なる表示態様で、前記シートベルトの状態を表す情報を前記表示部に表示させ、
前記制御部は、
前記シートベルトの状態を表す情報として、乗員がシートベルトをしている状態を模した画像であるシートベルト状態画像を表示させ、前記第2の状態には、前記第1及び第3の状態と比べて、大きなサイズで、前記シートベルト状態画像を表示させる、
ことを特徴とするシートベルト装着状態表示装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記シートベルトの状態を表す情報として、前記表示部に車両を模した車両画像を表示させ、前記車両画像の前記座席の位置に対応する箇所に、前記第1の状態、前記第2の状態及び前記第3の状態にそれぞれ対応する、前記シートベルト状態画像を表示させる、
ことを特徴とする請求項に記載のシートベルト装着状態表示装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記第1の状態には、灰色、茶色、又は紫色で前記シートベルト状態画像を表示させ、
前記第2の状態には、赤色、黄色、又はピンク色で前記シートベルト状態画像を表示させ
前記第3の状態には、黒色で前記シートベルト状態画像を表示させる
ことを特徴とする請求項に記載のシートベルト装着状態表示装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記シートベルト状態画像を、乗員を模した画像に、シートベルトを模した画像が重なるように、表示させるとともに、前記第2の状態と前記第3の状態とで前記シートベルトを模した画像の色を変える、
ことを特徴とする請求項に記載のシートベルト装着状態表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートベルトの状態を表示するシートベルト装着状態表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用メータには、座席毎のシートベルトの装着の有無を知らせるウォーニング表示を行うものがある。
【0003】
この種の先行技術として、特許文献1には、座席毎のシートベルトの装着の有無を知らせるウォーニング表示を行うことが示されている。
【0004】
また、特許文献2には、後席毎に着座を検出し、また、後席毎に後席シートベルトの着用を検出し、着座が検出された後席の後席シートベルトが着用されたことが検出されない場合、車室内の天井に搭載されたユニットに警告表示を行うことが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−255676号公報
【特許文献2】特開2011−105157号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2のシートベルト装着状態表示装置では、つぎのような課題があった。ある座席に着座が検出されておらず、且つシートベルトの着用が検出されない場合には警告表示が行われず、また、ある座席に着座が検出され、且つシートベルトの着用が検出された場合には警告表示が行われない。このため、警告表示が行われていない座席には、乗員が着座していないのか、乗員が着座してシートベルトが着用されているのか、運転手はその警告表示からだけでは判別することができない。このため、乗員の着座の有無を確認するにあたっては、運転者がその座席を見ないと分からなかった。
【0007】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、運転者が運転席から乗員着座の有無とシートベルト装着の有無を一目で視認可能であるシートベルト装着状態表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した目的を達成するために、本発明に係るシートベルト装着状態表示装置は、下記(1)〜()を特徴としている。
(1) 座席に乗員が着座していることの有無を検知する着座検知部と、
前記座席に設けられたシートベルトが装着されていることの有無を検知する装着検知部と、
各種の情報を表示する表示部と、
前記表示部に表示される内容を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記着座検知部が着座を検知していない第1の状態と、前記着座検知部が着座を検知し、かつ前記装着検知部が前記シートベルトの装着を検知していない第2の状態と、前記着座検知部が着座を検知し、かつ前記装着検知部が前記シートベルトの装着を検知した第3の状態とにそれぞれ対応する異なる表示態様で、前記シートベルトの状態を表す情報を前記表示部に表示させ、
前記制御部は、
前記シートベルトの状態を表す情報として、乗員がシートベルトをしている状態を模した画像であるシートベルト状態画像を表示させ、前記第2の状態には、前記第1及び第3の状態と比べて、大きなサイズで、前記シートベルト状態画像を表示させる、
こと。
) 上記(1)の構成のシートベルト装着状態表示装置であって、
前記制御部は、
前記シートベルトの状態を表す情報として、前記表示部に車両を模した車両画像を表示させ、前記車両画像の前記座席の位置に対応する箇所に、前記第1の状態、前記第2の状態及び前記第3の状態にそれぞれ対応する、前記シートベルト状態画像を表示させる、
こと。
) 上記()の構成のシートベルトシートベルト装着状態表示装置であって、
前記制御部は、 前記第1の状態には、灰色、茶色、又は紫色で前記シートベルト状態画像を表示させ、
前記第2の状態には、赤色、黄色、又はピンク色で前記シートベルト状態画像を表示させ
前記第3の状態には、黒色で前記シートベルト状態画像を表示させる
こと。
) 上記()の構成のシートベルトシートベルト装着状態表示装置であって、
前記制御部は、
前記シートベルト状態画像を、乗員を模した画像に、シートベルトを模した画像が重なるように、表示させるとともに、前記第2の状態と前記第3の状態とで前記シートベルトを模した画像の色を変える、
こと。
【0009】
上記(1)から()の構成のシートベルト装着状態表示装置によれば、着座かつシートベルト未装着の座席がある場合、シートベルトの装着状態を表す情報を、他の場合と異なる表示態様で表示部に表示する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、着座かつシートベルト未装着の座席がある場合、シートベルトの状態を表す情報を、他の場合と異なる表示態様で表示部に表示する。このため、運転者が運転席から乗員着座の有無とシートベルト装着の有無を一目で視認可能である。従って、運転者は、姿勢を変えることなく、安全確認を行える。
【0011】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、実施の形態におけるグラフィックメータ100のハードウェアの構成を示す図である。
図2図2は、運転席側のインストルメントパネル150に設置されたグラフィックメータ100の近傍を示す図である。
図3図3は、グラフィックメータ100の液晶表示器111に表示されるグラフィック表示画面111aを示す図である。
図4図4は、車両画像58内のシート位置に対応する箇所に表示されるシートベルト状態画像60を示す図である。
図5図5(A)から図5(C)は、シートベルト装着状態とシートベルト状態画像60の表示態様との関係を示す図である。
図6図6は、グラフィックメータ100の動作手順を示すフローチャートである。
図7図7(A)及び図7(B)は、変形例のシートベルト状態画像60Aを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施の形態におけるシートベルト装着状態表示装置について図面を用いて説明する。本実施形態のシートベルト装着状態表示装置は、車室内の運転席側のインストルメントパネルに設置されたグラフィックメータに適用される。
【0014】
図1は実施の形態におけるグラフィックメータ100のハードウェアの構成を示す図である。図1に示すように、グラフィックメータ100は、マイクロコンピュータ(CPU:Central Processing Unit)101、読み出し専用メモリ(EEPROM:Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)102、インタフェース103、インタフェース104、CPU電源部105、グラフィックコントローラ106、フレームメモリ107、Xドライバ108、Yドライバ109、LCD(Liquid Crystal Display)電源部110、及び液晶表示器(TFT−LCD:Thin Film Transistor Liquid Crystal Display)111を備えている。
【0015】
マイクロコンピュータ(CPU)101は、予め用意されたプログラムを実行し、グラフィックメータ100の機能を実現するために必要な様々な処理を行う。例えば、後述するフローチャートに示した処理をマイクロコンピュータ101(制御部)が行う。
【0016】
読み出し専用メモリ(EEPROM)102は、マイクロコンピュータ101が実行するプログラムの内容や、予め用意されたメータ初期画像等の画像データや固定データなどを保持している。
【0017】
インタフェース103は、車両側のイグニッションスイッチの状態を表す信号(IGN+)をマイクロコンピュータ101に入力する。
【0018】
インタフェース104は、マイクロコンピュータ101と車両側の各種制御装置(ECU:Electric Control Unit)との間で、CAN(Controller Area Network)規格による通信を行うために利用される。具体的には、現在の車両の走行速度、エンジン回転速度、燃料量、冷却水温等の現在の様々な車両状態を表すデータが、ほぼリアルタイムのデータとして車両側からインタフェース104を介してマイクロコンピュータ101に入力される。
【0019】
例えば、インタフェース104は、車両が所定量移動する毎に当該車両側に搭載された速度センサから出力される車速パルス信号を受け付け、現在の車両の走行速度の値を表す走行速度情報としてマイクロコンピュータ101に出力する。
【0020】
また、インタフェース104は、エンジンの回転数を検出するエンジン回転数(NE)センサから出力されるパルス信号を受け付け、エンジン回転数情報としてマイクロコンピュータ101に出力する。また、インタフェース104は、燃料センサによって検出された燃料量の情報を受け付け、マイクロコンピュータ101に出力する。また、インタフェース104は、ラジエータ内の冷却水の温度を検出する水温センサからの信号を受け付け、冷却水温情報としてマイクロコンピュータ101に出力する。
【0021】
また、インタフェース104は、搭乗者がシートに着座していることを検知する着座センサ81(着座検知部)からの信号、及び搭乗者がシートベルトを装着していることを検知するバックルスイッチ84(装着検知部)からの信号を受け付け、マイクロコンピュータ101に出力する。バックルスイッチ84は、車両の運転席、助手席、後部座席右、後部座席中央、後部座席左、の全座席のシートベルトのバックルにそれぞれ内蔵されている。これらバックルスイッチ84は、シートベルトのベルト先端部に取り付けられたタングプレートがバックルに挿入されることでオンとなり、タングプレートがバックルから離脱することでオフになる。
【0022】
CPU電源部105は、車両側のプラス側電源ライン(+B)から供給される直流電力を入力してマイクロコンピュータ101の動作に必要な直流電圧(Vcc)を生成する。また、必要に応じてリセット信号を生成したり、マイクロコンピュータ101から出力されるスリープ信号に従って電力供給を抑制するための動作も行う。
【0023】
液晶表示器111は、液晶デバイスにより構成された多数の微小表示セルをX方向およびY方向に並べて配置されたカラーの2次元表示画面を有している。多数の微小表示セルの表示状態をセル毎に個別に制御することにより、2次元表示画面上に図形、文字、画像等の各種の情報をグラフィック表示することができる。
【0024】
液晶表示器111(表示部)は、2次元画面表示によってグラフィックメータ(単に、メータともいう)100のグラフィック表示画面(表示面)111aを表示する。
【0025】
図2は運転席側のインストルメントパネル150に設置されたグラフィックメータ100の近傍を示す図である。グラフィックメータ100は、運転席と対向するインストルメントパネル150に設置される。運転者は、ハンドル160を把持した状態で、インストルメントパネル150に設置されたグラフィックメータ100を見ることができる。
【0026】
図3はグラフィックメータ100の液晶表示器111に表示されるグラフィック表示画面111aを示す図である。グラフィック表示画面111aは、表示される領域がそれぞれ異なる、第1の表示領域(図中、左側の領域)31と第2の表示領域(図中、中央の領域)32と第3の表示領域(図中、右側の領域)33に大別される。
【0027】
第1の表示領域31には、現在の車両の走行速度を表示する速度計41が表示される。速度計41は、速度スケール45と指針46と距離計44と装飾リング43を有し、指針46が速度スケール45上の目盛り位置を指し示すことで、現在の車両の走行速度を表す。
【0028】
第2の表示領域32は、各種の画像が表示される領域である。第2の表示領域32の上方には、左ウインカ65、右ウインカ66、及びこれらの間に位置する、オーバーヒート等の警告を行うウォーニング画像52が表示される。また、第2の表示領域32の中央には、車両画像58、及び車両画像58内のシートベルト状態画像60が表示される。
【0029】
図4は車両画像58内のシート位置に対応する箇所に表示されるシートベルト状態画像60を示す図である。シートベルト状態画像60には、運転席のシートベルト状態画像60a、助手席のシートベルト状態画像60b、後席左側のシートベルト状態画像60c、後席中央のシートベルト状態画像60d、及び後席右側のシートベルト状態画像60eが表示されている。運転席と助手席のシートベルト状態画像は、後席のシートベルト状態画像と比べ、僅かに大きなサイズで表示される。特に、これらのシートベルト状態画像を区別する必要が無い場合、シートベルト状態画像60と称する。
【0030】
図5(A)から図5(C)はシートベルト装着状態とシートベルト状態画像60の表示態様との関係を示す図である。シートベルト状態画像60は、乗員(搭乗者)がシートベルトをしている状態を模した画像で表現される。シートベルトと搭乗者とが重なる部分については、表示を反転させることで、シートベルト状態画像60はモノクロで表示される。
【0031】
本実施形態では、シートベルト状態画像の表示態様は、つぎの3パターンである。搭乗者がシートに着座した状態でシートベルトが装着されている場合(第3の状態)、図5(C)に示すように、シートベルト状態画像60は、黒色で濃い表示態様(黒表示)73で表示される(図5(C)では黒表示)。搭乗者がシートに着座していない場合(第1の状態)、図5(B)に示すように、シートベルト状態画像60は、図5(C)と比べて、印象度合いの低い、灰色で薄い表示態様(グレー表示)72で表示される(図5(B)では網点表示)。搭乗者がシートに着座しているが、シートベルトが未装着である場合(第2の状態)、図5(A)に示すように、シートベルト状態画像60は、図5(B)、(C)と比べて、印象度合いの高い、赤色の表示態様(赤表示)71で表示される(図5(A)では斜線で表示)。なお、印象度合いを表現する色は、これらに限られないことは勿論である。例えば、印象度合いの高い色として、黄色やピンク色等を用いてもよく、また、印象度合いの低い色として、茶色や紫色等を用いてもよい。
【0032】
また、車両画像58の真下には、燃料計42が表示される。燃料計42は、左端を空(Empty)とし、右端を満タン(Full)とする水平に沿ったバーグラフで表示されており、バーの濃度を濃くして表示することで、現在の燃料残量を表す。
【0033】
第3の表示領域33には、現在のエンジン回転速度を指示する回転計51が表示される。回転計51は、回転速度スケール55と指針56と装飾リング54を有し、指針56が回転速度スケール55上の目盛り位置を指し示すことで、現在のエンジンの回転速度を表示する。また、回転計51の一部である装飾リング54内には、シフトインジケータ75が表示される。
【0034】
液晶表示器111の表示画面のY方向の走査位置は、Yドライバ109の出力により順次に切り替わる。Yドライバ109は、グラフィックコントローラ106から出力される垂直同期信号に同期して、Y方向の走査位置を順次に切り替える。
【0035】
Xドライバ108は、グラフィックコントローラ106から出力される水平同期信号に同期して液晶表示器111の表示画面のX方向の走査位置を順次に切り替える。また、Xドライバ108はグラフィックコントローラ106から出力されるRGB各色の画像データを走査位置の表示セルに与えて画面中の表示内容を制御する。
【0036】
液晶表示器111の表示画面のY方向の走査位置は、Yドライバ109の出力により順次に切り替わる。Yドライバ109は、グラフィックコントローラ106から出力される垂直同期信号に同期して、Y方向の走査位置を順次に切り替える。
【0037】
Xドライバ108は、グラフィックコントローラ106から出力される水平同期信号に同期して、液晶表示器111の表示画面のX方向の走査位置を順次に切り替える。また、Xドライバ108は、グラフィックコントローラ106から出力されるRGB各色の画像データを走査位置の表示セルに与えて画面中の表示内容を制御する。
【0038】
グラフィックコントローラ106は、マイクロコンピュータ101から入力される様々な命令に従って、描画プログラムを実行し、様々なグラフィック要素を液晶表示器111の画面上に表示する。実際には、画素毎の表示内容を保持するフレームメモリ107に対して、マイクロコンピュータ101又はグラフィックコントローラ106が表示データを書き込み、グラフィックの描画を行う。
【0039】
また、グラフィックコントローラ106は、液晶表示器111の画面を2次元走査するための垂直同期信号及び水平同期信号を生成し、これらの同期信号に同期したタイミングでフレームメモリ107上の該当するアドレスに格納されている表示データを液晶表示器111に与える。
【0040】
LCD電源部110は、車両側のプラス側電源ライン(+B)から供給される直流電力を入力して、液晶表示器111の表示に必要とされる所定の直流電力を生成し、液晶表示器111等に供給する。
【0041】
上記構成を有するグラフィックメータ100の動作を示す。図6はグラフィックメータ100の動作手順を示すフローチャートである。この動作プログラムは、EEPROM102に格納されており、マイクロコンピュータ101によって実行される。ここでは、シートベルト状態画像の表示動作について説明する。
【0042】
マイクロコンピュータ101は、CAN規格に則った通信を行い、着座センサ81によって検知される着座信号、及びバックルスイッチ84によって検知されるシートベルト装着の有無を表す信号を取り込む(ステップS1)。
【0043】
マイクロコンピュータ101は、取り込んだ着座信号をもとに、未着座シートがあるか否かを判別する(ステップS2)。未着座シートが無い場合、マイクロコンピュータ101は、ステップS4の処理に進む。一方、未着座シートがある場合、マイクロコンピュータ101は、車両画像58内の未着座シート位置のシートベルト状態画像60をグレー表示72(第1の状態)で表示する(ステップS3)。
【0044】
マイクロコンピュータ101は、未着座シート以外(着座シート)で未装着シートがあるか否かを判別する(ステップS4)。未装着シートがある場合、車両画像58内の未装着シート位置のシートベルト状態画像60を赤表示71(第2の状態)で表示する(ステップS5)。一方、車両画像58内の他のシート位置、つまり着座かつ装着シート位置のシートベルト状態画像60を黒表示73(第3の状態)で表示する(ステップS6)。この後、マイクロコンピュータ101はステップS1の処理に戻る。
【0045】
本実施形態のグラフィックメータ100によれば、着座シートで未装着シートがある場合、運転席と対向する位置にあるインストルメントパネル150に設置されたグラフィックメータ100に、シートベルト状態画像60を赤表示71で表示するので、運転者が運転席から乗員着座の有無とシートベルト装着の有無を一目で視認可能である。従って、運転者は、姿勢を変えることなく、安全確認を行える。
【0046】
また、車両画像のシート(座席)の位置に対応する箇所に、シートベルト状態画像を表示するので、運転者は車両画像に対応づけられた、車室内の位置にあるシートベルトの状態を容易に把握することができる。
【0047】
また、着座なしの場合、印象度合いの低い色で、また、着座ありでシートベルト未装着の場合、印象度合いの高い色で、シートベルト状態画像を表示させるので、視認効果を高めることができる。
【0048】
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限られるものではなく、本実施形態の構成が持つ機能を達成できる構成であればどのようなものであっても適用可能である。
【0049】
例えば、上記実施形態では、シートベルト状態画像は、搭乗者がシートベルトをしている状態を模した画像でモノクロ表示(単一表示)されたが、表示態様はこれに限られない。図7(A)及び図7(B)は変形例のシートベルト状態画像60Aを示す図である。変形例では、シートベルト状態画像を、2パターンの表示態様に分ける、つまり、シートベルトの色を変えることで、着座かつ未装着であるシートベルト状態画像と、着座かつ装着であるシートベルト状態画像とを視認可能にする。
【0050】
図7(A)に示す着座かつ装着であるシートベルト状態画像60Aは、搭乗者を模した画像77の上に、シートベルトを模した緑色(図中、縦模様)の画像78aを重ねるように、描画される。図7(B)に示す着座かつ未装着であるシートベルト状態画像60Aは、搭乗者を模した画像77の上に、シートベルトを模した赤色(図中、横模様)の画像78bを重ねるように、描画される。このような表示態様を採用することで、シートベルト部分を強調させることができる。
【0051】
また、着座かつ未装着であるシートベルト状態画像を赤表示するとともに、その他のシートベルト状態画像より大きなサイズで表示してもよい。これにより、一層視認が容易となる。
【0052】
また、着座かつ未装着であるシートベルト状態画像を表示する場合、その他の表示態様でもよい。例えば、単に「×」のマークを重ねるように表示してもよい。また、シートベルトが非装着であることが分かるように、例えば搭乗者の画像と重なる部分を非表示とし、搭乗者だけの画像を表示してもよい。
【0053】
また、着座かつ装着であるシートベルト状態画像を青色で表示してもよい。
【0054】
また、上記実施形態では、車両画像の内部に配置されるシート位置にシートベルト状態画像を表示したが、シート位置は、車両画像を用いることなく、テキストで表示されてもよい。
【0055】
また、上記実施形態では、シートベルト状態画像を、グラフィックメータ内に表示したが、アナログメータ内のLCD(表示部)に表示してもよいし、印刷されたデザイン画面をLED等のバックライト光源で透光して表示してもよい。
【0056】
本発明は、シートベルトの状態を表示する際、運転者が運転席から乗員着座の有無とシートベルト装着の有無を視認可能であり、有用である。
【0057】
ここで、上述した本発明に係るシートベルト装着状態表示装置の実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]〜[4]に簡潔に纏めて列記する。
[1] 座席に乗員が着座していることの有無を検知する着座検知部(着座センサ81)と、
前記座席に設けられたシートベルトが装着されていることの有無を検知する装着検知部(バックルSW84)と、
各種の情報を表示する表示部(液晶表示器111)と、
前記表示部に表示される内容を制御する制御部(マイクロコンピュータ101)と、
を備え、
前記制御部は、
前記着座検知部が着座を検知していない第1の状態と、前記着座検知部が着座を検知し、かつ前記装着検知部が前記シートベルトの装着を検知していない第2の状態と、前記着座検知部が着座を検知し、かつ前記装着検知部が前記シートベルトの装着を検知した第3の状態とにそれぞれ対応する異なる表示態様で、前記シートベルトの状態を表す情報を前記表示部に表示させる、
ことを特徴とするシートベルト装着状態表示装置。
[2] 前記制御部は、
前記シートベルトの状態を表す情報として、前記表示部に車両を模した車両画像(58)を表示させ、前記車両画像の前記座席の位置に対応する箇所に、前記第1の状態、前記第2の状態及び前記第3の状態にそれぞれ対応する、シートベルト状態画像(60)を表示させる、
ことを特徴とする[1]に記載のシートベルト装着状態表示装置。
[3] 前記制御部は、
前記第1の状態には、前記第3の状態と比べて、印象度合いの低い色で前記シートベルト状態画像を表示させ、
前記第2の状態には、前記第1及び第3の状態と比べて、印象度合いの高い色で前記シートベルト状態画像を表示させる、
ことを特徴とする[2]に記載のシートベルト装着状態表示装置。
[4] 前記制御部は、
前記シートベルト状態画像を、乗員を模した画像に、シートベルトを模した画像が重なるように、表示させるとともに、前記第2の状態と前記第3の状態とで前記シートベルトを模した画像の色を変える、
ことを特徴とする[2]に記載のシートベルト装着状態表示装置。
【符号の説明】
【0058】
31 第1の表示領域
32 第2の表示領域
33 第3の表示領域
41 速度計
42 燃料計
43、54 装飾リング
44 距離計
45 速度スケール
46、56 指針
51 回転計
55 回転速度スケール
52 ウォーニング画像
58 車両画像
60、60a〜60e、60A シートベルト状態画像
65 左ウインカ
66 右ウインカ
71、72、73 表示態様
75 シフトインジケータ
77、78a、78b 画像
100 グラフィックメータ
101 マイクロコンピュータ
102 読み出し専用メモリ
103、104 インタフェース
105 CPU電源部
106 グラフィックコントローラ
107 フレームメモリ
108 Xドライバ
109 Yドライバ
110 LCD電源部
111 液晶表示器
111a グラフィック表示画面
150 インストルメントパネル
160 ハンドル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7