(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6373003
(24)【登録日】2018年7月27日
(45)【発行日】2018年8月15日
(54)【発明の名称】人体通信システムおよび人体通信カードホルダ
(51)【国際特許分類】
H04B 13/00 20060101AFI20180806BHJP
【FI】
H04B13/00
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-271305(P2013-271305)
(22)【出願日】2013年12月27日
(65)【公開番号】特開2015-126482(P2015-126482A)
(43)【公開日】2015年7月6日
【審査請求日】2016年12月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004651
【氏名又は名称】日本信号株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094020
【弁理士】
【氏名又は名称】田宮 寛祉
(72)【発明者】
【氏名】河村 英樹
【審査官】
鴨川 学
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2010/134135(WO,A1)
【文献】
特開2009−123144(JP,A)
【文献】
特開2009−295042(JP,A)
【文献】
特開2010−178071(JP,A)
【文献】
特開2010−062824(JP,A)
【文献】
特開2012−256221(JP,A)
【文献】
特開2013−012123(JP,A)
【文献】
特開2013−055875(JP,A)
【文献】
特開2013−118706(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 5/00− 5/06
G06K 17/00
H04B 1/00
H04B 1/30
H04B 1/59
H04B 1/72
H04B 11/00−13/02
H03J 9/00− 9/06
H04Q 9/00− 9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御装置と人体通信固定器と人体通信移動器と非接触ICカードとから構成される人体通信システムであり、前記人体通信移動器は、前記人体通信固定器を介して前記制御装置から前記非接触ICカードに対する認証指令を受けたとき、前記人体通信移動器は、前記認証指令に含まれる認証指令暗号鍵を用いて認証プロセスを実行する手段を備えることを特徴とする人体通信システム。
【請求項2】
前記人体通信移動器で認証プロセスが実行される間、前記人体通信移動器から前記非接触ICカードに対してキャリアの発射が継続されることを特徴とする請求項1記載の人体通信システム。
【請求項3】
前記人体通信移動器は、前記非接触ICカードの保護領域の読取りを行うときに前記認証指令を受け、前記読取りが終了した後、前記認証指令暗号鍵を削除し、読取り結果を前記人体通信固定器に送信することを特徴とする請求項1または2記載の人体通信システム。
【請求項4】
前記人体通信移動器は、前記非接触ICカードを収容する構造を有した人体通信カードホルダであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の人体通信システム。
【請求項5】
人体通信部と非接触ICカード通信部と制御部と非接触ICカード収容部を備え、人体通信固定器側の人体通信部を経由して前記非接触ICカード収容部に収容された非接触ICカードの保護領域を読み取る認証指令を受けたとき、前記制御部は、前記認証指令に含まれる認証指令暗号鍵を用いて前記保護領域を認証して読み取るプロセスを実行することを特徴とする人体通信カードホルダ。
【請求項6】
前記非接触ICカードの前記保護領域を認証するときには、前記制御部は、前記人体通信固定器側の前記人体通信部から与えられた前記認証指令暗号鍵を受け取り、前記非接触ICカード通信部を介してキャリアを発射させながら前記認証指令暗号鍵を用いて認証の処理を行うことを特徴とする請求項5記載の人体通信カードホルダ。
【請求項7】
前記非接触ICカードの前記保護領域に対する前記プロセスが終了したとき、前記制御部は、前記キャリアの発射を停止し、受け取った前記認証指令暗号鍵を消去し、前記人体通信固定器側の前記人体通信部に対して読取り結果を送ることを特徴とする請求項6記載の人体通信カードホルダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体通信システムおよび人体通信カードホルダに関し、特に、入退場管理等に利用され、利用者が非接触ICカードを携帯するだけで入退場を行える人体通信システムおよび人体通信カードホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人体通信(電界通信)の機能と非接触ICカード通信(電磁誘導方式または電波方式による通信)の機能を有した人体通信ユニットが知られている(例えば特許文献1)。この特許文献1の
図2に示されるように、この人体通信ユニットは、その内部に、ICカードリーダライタと人体通信送信機と制御装置と電源を備えている。人体通信ユニットにおいて、ICカードリーダは近くに存する非接触ICカードとの間でキャリア(電磁誘導方式の磁束等)に基づく通信(非接触ICカード通信)を行い、人体通信送信機は近くに存する外部の人体通信受信機との間で人体通信を行う。利用者によって携帯される人体通信ユニットの人体通信送信機は人体通信の「移動器」としての機能を有し、他方、外部に設置された人体通信受信機は人体通信の「固定器」としての機能を有している。また特許文献1の
図4によれば、カードホルダの構造を有する人体通信ユニットの実施形態が示されている。
図4に示されたカードホルダは、非接触式ICカードを収容できる構造部を有し、さらに人体通信ユニットの前述した基本的構成を基板構造で内蔵している。人体通信ユニットを内蔵するカードホルダ(「人体通信カードホルダ」と記す)は、利用者によって携帯される。人体通信送信機と人体通信受信機との間の人体通信は、人体を通して行われる。
【0003】
上記の人体通信カードホルダによれば、移動器である人体通信送信機と固定器である人体通信受信機が人体を介して人体通信を行い、併せて、収容された非接触ICカードとの間で非接触ICカード通信を行うことが可能である。特に、最終的には、非接触ICカードとの間での無線通信、および移動器と固定器の間の人体通信を通して、必要なデータの送受を行うことができ、利用者が非接触ICカードを携帯するだけで入出場等を行うことを可能とするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−53520号公報(
図2、
図4等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、人体通信の機能と非接触ICカード通信の機能を有した人体通信カードホルダでは、人体通信および非接触ICカード通信を経由して、固定器から、人体通信カードホルダ内に収容された非接触ICカードの記憶領域にあるデータを読み書きすることが望まれている。非接触ICカードの記憶領域の内、公開領域にあるデータ(カードのID)の読取りについては、
図7に示すように、読取りシーケンスは既に実現されている。すなわち、外部の制御装置101から指令S101を受けた固定器102は、移動器103との間で人体通信105を行って、当該指令S101を移動器103に与える。移動器103は、非接触ICカード104との間で電磁誘導による通信を行う。この電磁誘導による通信では、通信を行う期間中、移動器103から非接触ICカード104に対してキャリア106が出力される。厳密には移動器103内においてICカードリーダから非接触ICカード104にキャリア106を発射する。移動器103は、固定器102から与えられた指令S101を非接触ICカード104に与えてID107を読み取る。移動器103は、読み取ったID107を人体通信105を介して固定器102に送り、さらに固定器102は制御装置101に対して応答S102を行って、受け取ったID107を制御装置101に送る。
【0006】
しかしながら、非接触ICカード104の記憶領域の保護領域(秘密領域)にあるデータは、固定器102から直接的には読み取ることができない。その理由は、次の通りである。
【0007】
非接触ICカード104の保護領域にアクセスするためには、非接触ICカード104との間で認証を行う必要がある。この認証の処理は、固定器102と非接触ICカード104との間で行われる。そして、当該認証の処理およびそれに続く読み書き処理の期間中、ICカードリーダライタから非接触ICカード104に対して常にキャリアを発射し、非接触ICカード104に対して電力を供給し続ける必要がある。キャリアが出ている間は、これがノイズになり、固定器102と移動器103の間での人体通信105と非接触ICカード通信の干渉が起き、その結果として、人体通信が成立しなくなる。この動作状態を
図8に示す。
図8において、
図7で説明した要素と同一の要素には同一の符号を付している。
図8において、固定器102と非接触ICカード104との間において認証1と認証2を行うとき、固定器102と移動器103の間において認証1と認証2に関連する人体通信105を行うとき、同時に、移動器103と非接触ICカード104の間においても認証1と認証2に関連する処理を行う必要があるため、キャリア108が継続して発射されるという状態が生じる。
【0008】
認証1と認証2の処理に関して、認証1と認証2の間でキャリア108が出射され続けなければならない理由は、以下の通りである。FeliCa(登録商標)等の非接触ICカード104は電源を内蔵しないので、外部から与えられるキャリア108から電力を得なければならない。認証1の処理モードと認証2の処理モードとの間では、先ず、認証1の処理モード(モード1)が実行され、その後、認証2の処理モード(モード2)に遷移し、認証2の処理モード(モード2)が実行される。その後、さらに認証2の処理モード(モード2)から認証1の処理モード(モード1)に遷移する。以上の処理の流れは、中断されることなく、連続して行われることが必要である。ここで、キャリア108の供給が中断されると、非接触ICカード104は、電源を内蔵しないため、モード0に遷移する。このため、認証1と認証2が実行されるためには、その間、継続してキャリア108の出射しなければならない。
【0009】
以上により、実際の通信の流れとして、移動器103は、固定器102から認証1の通信を受けると、当該認証1を実行するため、キャリア108の出射を開始する。キャリア108の出射は、認証2の終了までを想定した時間で行われるように設定され、図示されるごとく継続される。そのため、移動器103と非接触ICカード104の通信で、移動器103が非接触ICカード104から認証1に係る情報を取得したとしても、当該情報を移動器103から固定器102へ人体通信105によって送ることができない。キャリア108が人体通信105に対して干渉するからである。従って、図中「×」の印で示すように、この通信は行えない。この結果、それ以降の認証2の通信は、×印で示すように、実際には生じない。こうして、キャリア108が出ている間は、これがノイズになり、固定器102と移動器103の間の人体通信105とキャリア108(非接触ICカード通信)の干渉が起き、人体通信105が成立しない。
【0010】
上記のように非接触ICカード通信のキャリアが出ている間は干渉によって人体通信を行うことができないので、現在提案されている人体通信カードホルダ(移動器)の構成によれば、固定器と非接触ICカードの間で認証を行うことができない。よって、固定器から非接触ICカードの保護領域にあるデータを直接的には読み取ることができない。
【0011】
本発明の目的は、上記の課題に鑑み、人体通信(電界通信)の機能と非接触ICカード通信(電磁誘導方式等の通信(13.56MHz等))の機能を有した人体通信カードホルダを利用する構成において、非接触ICカードの保護領域にアクセスする目的で非接触ICカードの認証を受けるときのキャリア発射に起因して生じる人体通信不能状態(干渉状態)を回避し、非接触ICカードの保護領域にあるデータを固定器から人体通信を経由して読み書きできるようにした人体通信システムおよび人体通信カードホルダを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る人体通信システムおよび人体通信カードホルダは、上記の目的を達成するため、次のように構成される。
【0013】
第1の人体通信システム(請求項1に対応)は、制御装置と人体通信固定器と人体通信移動器と非接触ICカードとから構成される人体通信システムであり、人体通信移動器は、人体通信固定器を介して制御装置から非接触ICカードに対する認証指令(読み書き指令等)を受けたとき、人体通信移動器は
、認証指令に含まれる認証指令暗号鍵を用いて認証プロセスを実行する手段(保護領域アクセス部26)を備えることを特徴とする。
【0014】
上記の人体通信システムでは、人体通信固定器から与えられる認証指令
に含まれる認証指令暗号鍵に基づき、人体通信移動器と非接触ICカードとの間において、保護領域アクセス部によって人体通信移動器が単独で認証プロセスを実行させるようにしたため、人体通信固定器と非接触ICカードとの間で認証プロセスを実行させる必要がなくなり、従来の問題を解消し、結果的に人体通信固定器から非接触ICカードの保護領域にアクセスすることができ、非接触ICカードの保護領域にあるデータを人体通信固定器から人体通信を経由して読み書きを行うことが可能となる。
【0015】
第2の人体通信システム(請求項2に対応)は、上記の構成において、好ましくは、人体通信移動器で認証プロセスが実行される間、人体通信移動器から非接触ICカードに対してキャリアの発射が継続されることを特徴とする。
【0016】
第3の人体通信システム(請求項3に対応)は、上記の構成において、好ましくは、人体通信移動器は、非接触ICカードの保護領域の読取りを行うときに認証指令を受け、読取りが終了した後、認証指令
暗号鍵を削除し、読取り結果を人体通信固定器に送信することを特徴とする。
【0017】
第4の人体通信システム(請求項4に対応)は、上記の構成において、好ましくは、人体通信移動器は、非接触ICカードを収容する構造を有した人体通信カードホルダであることを特徴とする。
【0018】
第1の人体通信カードホルダ(請求項5に対応)は、人体通信部と非接触ICカード通信部と制御部と非接触ICカード収容部を備え、人体通信固定器側の人体通信部を経由して非接触ICカード収容部に収容された非接触ICカードの保護領域を読み取る
認証指令を受けたとき、制御部は、
認証指令に含まれる認証指令暗号鍵を用いて保護領域を認証して読み取るプロセスを実行することを特徴とする。この人体通信カードホルダによれば、人体通信と非接触ICカード通信を行える構成を有し、人体通信固定器が、非接触ICカード収容部に収容された非接触ICカードの保護領域を読み取ろうとするとき、内部に設けた制御部が
認証指令に含まれる認証指令暗号鍵を用いて当該保護領域を認証して読み取るように構成されたため、人体通信と非接触ICカード通信の干渉を避けて、確実に非接触ICカードの保護領域を読み取ることが可能となる。
【0019】
第2の人体通信カードホルダ(請求項6に対応)は、上記の構成において、好ましくは、非接触ICカードの保護領域を認証するときには、制御部は、人体通信固定器側の人体通信部から与えられた認証指令暗号鍵を受け取り、非接触ICカード通信部を介してキャリアを発射させながら認証指令暗号鍵を用いて認証の処理を行うことを特徴とする。
【0020】
第3の人体通信システム(請求項7に対応)は、上記の構成において、好ましくは、非接触ICカードの保護領域に対するプロセスが終了したとき、制御部は、キャリアの発射を停止し、受け取った認証指令暗号鍵を消去し、人体通信固定器側の人体通信部に対して読取り結果を送ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、次の効果を奏する。
本発明に係る人体通信システムによれば、制御装置と人体通信固定器と人体通信移動器と非接触ICカードとから構成される人体通信システムであって、人体通信移動器は、人体通信固定器を介して制御装置から非接触ICカードに対する認証指令を受けたとき、人体通信移動器は
認証指令に含まれる認証指令暗号鍵を用いて単独で認証プロセスを実行するため、キャリア発射に起因して生じる人体通信不能状態をなくし、非接触ICカードの保護領域にあるデータを人体通信固定器から人体通信を経由して読み書きできる。
本発明に係る人体通信カードホルダによれば、人体通信と非接触ICカード通信を行える構成を有し、人体通信固定器が、非接触ICカード収容部に収容された非接触ICカードの保護領域を読み取ろうとするとき、内部に設けた制御部が
認証指令に含まれる認証指令暗号鍵を用いて当該保護領域を認証して読み取るように構成されたため、キャリア発射に起因して生じる人体通信不能状態をなくし、確実に非接触ICカードの保護領域を読み取ることできる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明に係る人体通信システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】人体通信移動器(人体通信カードホルダ)の内部構成を示すブロック図である。
【
図3】カードホルダとしての人体通信移動器の外観を示す斜視図である。
【
図4】非接触ICカードの保護領域の認証のみを行う認証プロセスを示すシーケンス図である。
【
図5】非接触ICカードの保護領域に対してアクセス(ID取得、認証、読み取り)を行うプロセスを示すシーケンス図である。
【
図6】非接触ICカードの保護領域に対してアクセスを行う他の例(暗号鍵交換、ID取得、認証、読み取り)のプロセスを示すシーケンス図である。
【
図7】従来の非接触ICカードの公開領域へのアクセスを行うプロセスを示すシーケンス図である。
【
図8】非接触ICカードの保護領域へのアクセスの問題を説明するためのシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明の好適な実施形態(実施例)を添付図面に基づいて説明する。
【0024】
図1を参照して本発明に係る人体通信システムの実施形態を説明する。人体通信システム10は、移動器の側の人体通信移動器11と、固定器の側の人体通信固定器12および制御装置13とから構成されている。人体通信移動器11は、人体通信の移動ユニットであり、後述するようにカードホルダの形態を有しているため、
図1中の人体通信移動器11のブロックの中に、カードホルダを主眼としての名称を、「人体通信カードホルダ」として括弧書きで併せて記している。この実施形態の説明において、「人体通信移動器」と「人体通信カードホルダ」とは同一物である。カードホルダ形式の人体通信移動器11の中には後述するように非接触ICカード収容部を有し、通常の使用状態では当該非接触ICカード収容部に非接触ICカードが収容されている。従って、
図1の人体通信移動器11の中には破線で非接触ICカード14が示されている。人体通信移動器11の内部には、非接触ICカード収容部に収容された非接触ICカード14との間で、非接触ICカード通信(電磁誘導方式の通信(13.56MHz等)または電波通信)を行う機能部を設けている。また制御装置13は、人体通信システム10の通信内容および処理を管理するシステム管理装置としての機能を有している。そこで、
図1では、制御装置13のブロックの中に、併せて括弧書きで「システム管理装置」と記載されている。人体通信固定器12と制御装置13は接続されており、人体通信固定器12は、制御装置13から各種指令を適宜に受け、または、取得した情報を適宜に制御装置13に送る。さらに人体通信移動器11と人体通信固定器12との間では電界に基づいて人体通信15が行われるように構成されている。
【0025】
図2を参照して、人体通信システム10の各要素の詳細な構成を説明する。
【0026】
制御装置(システム管理装置)13との間で指令または情報を送受する人体通信固定器12は、内部に人体通信部21を内蔵している。この人体通信部21は、人体通信移動器(人体通信カードホルダ)11との間で人体通信15を行う機能要素である。
【0027】
人体通信移動器11の詳細説明では、カードホルダの形態および内部構造の説明に主眼が置かれる。
【0028】
人体通信移動器11は、人体通信部22と制御部23と非接触ICカード通信部24と非接触ICカード収容部25を内蔵している。人体通信部22は、人体通信固定器12との間で人体通信15を行う機能要素である。制御部23は、人体通信移動器11内の各種の処理動作を制御する制御手段である。制御部23はメモリを有し、当該メモリには各種処理動作を実行するプログラムが保存されている。また処理動作の一例として、非接触ICカード収容部25の中に収容された非接触ICカード14との通信を介して、当該非接触ICカード14の保護領域に対してアクセスする機能を有した保護領域アクセス部26を有している。非接触ICカード通信部24は、非接触ICカード14に電力を供給し、非接触ICカード14との間で通信(非接触ICカード通信)を行う手段である。非接触ICカード通信部24はICカードリーダライタである。なお、図示されていないが、人体通信移動器11の中にはバッテリが内蔵されている。このバッテリから、人体通信部22、制御部23、および非接触ICカード通信部24の各々に動作に必要な電力が供給される。非接触ICカード収容部25には、
図2中で不図示のスリット状の挿入口が設けられており、その挿入口から非接触ICカード14は挿入され、非接触ICカード収容部25の内部に収容される。
【0029】
カードホルダの形態を有した人体通信移動器11の外観を
図3に示す。人体通信移動器11は、スリット状の挿入口31aを備えた筐体31を有している。筐体31はカードホルダの形態を有している。筐体31の挿入口31aに対しては、非接触ICカード14が差し込まれつつある状態を示している。最終的には、非接触ICカード14は挿入口31a内に挿入され、筐体31の非接触ICカード収容部25内に収容される。こうして人体通信移動器11は人体通信カードホルダとして機能する。人体通信移動器11は、人体通信カードホルダとして、利用者の衣服のポケット等に備えられる。
【0030】
次の上記構成を有する人体通信システム10において、人体通信固定器12から、非接触ICカード14の保護領域(秘密領域)へのアクセスの内容(シーケンス)について説明する。
本実施形態の人体通信システム10の構成によれば、非接触ICカード14の保護領域へのアクセスは、人体通信固定器12から非接触ICカード14に対して直接的に行われるのではなく、人体通信移動器11の制御部23の保護領域アクセス部26の機能によって、間接的に行われる。実際上、非接触ICカード14の保護領域へのアクセスは、人体通信移動器11によって行われることに特徴がある。
【0031】
図4を参照して、非接触ICカード14の保護領域での認証のみのシーケンスを説明する。人体通信固定器12は、制御装置13からアクセスの指令41を受けると、人体通信15を介して人体通信移動器11に対して同指令41を送る。人体通信移動器11は指令41を受けると、キャリア51を出射してID取得の指令42を非接触ICカード14に送り、非接触ICカード14からID43を読み出す。このID43の読出しが終了した時点で、キャリア51の出射は停止される。その後、人体通信移動器11は、人体通信15を介して、人体通信固定器12に対してID43を返送する。その後、人体通信固定器12は、人体通信15を介して、人体通信移動器11に対して、認証鍵を含む認証指令44を送る。人体通信移動器11は、認証指令44を受けると、キャリア52を出射し、認証鍵を使用して非接触ICカード14に対して「認証1」と「認証2」の各送受プロセスを実行する。「認証1」と「認証2」のプロセスが終了するまで、人体通信移動器11からのキャリア52の出射は継続される。「認証2」のプロセスが終了すると、人体通信移動器11はキャリア52の出射を停止し、さらに入手した認証鍵を消去する(ステップ45)。その後、人体通信移動器11は、人体通信15を介して、認証に係る情報(アクセス結果)を人体固定器12に送り(送信46)、さらに人体通信固定器12は、受け取ったアクセス結果を制御装置13に送信する(応答47)。
【0032】
次に、
図5を参照して、非接触ICカード14の保護領域での認証および読み取りのシーケンスを説明する。
図5において、
図4で説明した内容と同一の要素には同一の符号を付している。
人体通信固定器12は、制御装置13からアクセスの指令41を受けると、人体通信15を介して人体通信移動器11に対して同指令41を送る。人体通信移動器11は指令41を受けると、キャリア51を出射してID取得の指令42を非接触ICカード14に送り、非接触ICカード14からID43を読み出す。このID43の読出しが終了した時点で、キャリア51の出射は停止される。その後、人体通信移動器11は、人体通信15を介して、人体通信固定器12に対してID43を返送する。その後、人体通信固定器12は、人体通信15を介して、人体通信移動器11に対して、認証鍵を含む読み取り指令61を送る。人体通信移動器11は、読み取り指令61を受けると、キャリア52を出射し、認証鍵を使用して非接触ICカード14に対して「認証1」と「認証2」の各送受プロセスを実行する。さらにその後、人体通信移動器11は、非接触ICカード14に対して「読み取り」のアクセスプロセスを実行する。「認証1」、「認証2」、および「読み取り」のすべてのプロセスが終了するまで、人体通信移動器11からのキャリア52の出射は継続される。「読み取り」のアクセスが終了すると、人体通信移動器11はキャリア52の出射を停止し、さらに入手した認証鍵を消去する(ステップ45)。その後、人体通信移動器11は、人体通信15を介して、読み取り内容(アクセス結果)を人体通信固定器12に送り(送信46)、さらに人体通信固定器12は、受け取ったアクセス結果を制御装置13に送信する(応答47)。
【0033】
次に、
図6を参照して、非接触ICカード14の保護領域での認証および読み取りの他のシーケンスを説明する。
図6において、
図5で説明した内容と同一の要素には同一の符号を付している。このシーケンスの特徴は、前述した
図5のアクセスにおいて、人体通信固定器12から人体通信移動器11に対して認証鍵を送る際に当該認証鍵が盗聴されるおそれがあるため、「暗号鍵交換」の認証シーケンス62を追加し、人体通信固定器12と人体通信移動器11と間の人体通信15の安全性を高める。その他のシーケンスの内容は、
図5で説明した内容と同じである。
先ず、人体通信固定器12は、制御装置13からアクセスの指令71を受ける。このアクセス指令71は、上記のアクセス指令41の内容にさらに暗号鍵を含んでいる。人体通信固定器12は、人体通信15を介して、人体通信移動器11との間で、前述した「暗号鍵交換」の認証シーケンス62を実行する。ここで、正しく暗号鍵交換が行われない場合には、この段階でシーケンスは終了する。正しく暗号鍵交換が行われた場合には、人体通信固定器12は、次の段階として、人体通信15を介して人体通信移動器11に対してアクセス指令63を送る。人体通信移動器11は指令63を受けると、キャリア51を出射してID取得の指令42を非接触ICカード14に送り、非接触ICカード14からID43を読み出す。このID43の読出しが終了した時点で、キャリア51の出射は停止される。その後、人体通信移動器11は、人体通信15を介して、人体通信固定器12に対してID43を返送する。その後、人体通信固定器12は、人体通信15を介して、人体通信移動器11に対して、認証鍵を含む読み取り指令61を送る。人体通信移動器11は、読み取り指令61を受けると、キャリア52を出射し、認証鍵を使用して非接触ICカード14に対して「認証1」と「認証2」の各送受プロセスを実行する。さらにその後、人体通信移動器11は、非接触ICカード14に対して「読み取り」のアクセスプロセスを実行する。「認証1」、「認証2」、および「読み取り」のすべてのプロセスが終了するまで、人体通信移動器11からのキャリア52の出射は継続される。「読み取り」のアクセスが終了すると、人体通信移動器11はキャリア52の出射を停止し、さらに入手した認証鍵を消去する(ステップ45)。その後、人体通信移動器11は、人体通信15を介して、読み取り内容(アクセス結果)を人体通信固定器12に送る(送信46)。人体通信固定器12はアクセス結果を受け取ると、暗号鍵消去を行う(ステップ64)。その後、人体通信固定器12は、受け取ったアクセス結果を制御装置13に送信する(応答47)。
【0034】
以上の実施形態で説明された構成、形状、大きさおよび配置関係については本発明が理解・実施できる程度に概略的に示したものにすぎない。従って本発明は、説明された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示される技術的思想の範囲を逸脱しない限り様々な形態に変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明に係る人体通信システムおよび人体通信カードホルダは、人体通信と非接触ICカード通信の2つの通信を行う人体通信移動器で当該2つの通信の間の相互干渉を回避できるように構成し、人体通信固定器から非接触ICカードの保護領域へのアクセスすることを行うことが可能となり、入退場管理等に利用される。
【符号の説明】
【0036】
10 人体通信システム
11 人体通信移動器(人体通信カードホルダ)
12 人体通信固定器
13 制御装置(システム管理装置)
14 非接触ICカード
15 人体通信
21 人体通信部
22 人体通信部
23 制御部
24 非接触ICカード通信部
25 非接触ICカード収容部
26 保護領域アクセス部
31 筐体
31a 挿入口
51,52 キャリア