【実施例】
【0083】
(実施例1):
直径10.2cmの円形のシリコンウェーハ(
図1Aの基板110)を、Wafer World,Inc.,West Palm Beach,Floridaから入手した。このシリコンウェーハを、濃硫酸と30重量%の含水過酸化水素との容量で3:1の混合物中に、約10分間浸漬することによって洗浄した。このウェーハを、次いで脱イオン水で、次にイソプロパノールですすぎ、その後に、空気流の下で乾燥させた。このウェーハを次いで、酪酸で酸性(pH 4〜5)にした190プルーフのエタノールに3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレートを溶かした2重量パーセントの溶液中に浸した。このウェーハを次いで無水エタノールですすぎ、次いで130℃のオーブン内で10分間加熱した。
【0084】
約120,000の数平均分子量を有するポリ(メチルメタクリレート)と、SR9008と、SR368とを、30:35:35の重量比で化合させ、結果としてモノマー混合物を得たが、このモノマー混合物を十分な量の1,2−ジクロロエタン中に溶解させて、このモノマー混合物の54重量パーセントの溶液を得た。この溶液に、次いで、固体の全重量を基準として0.5重量パーセントのローダミンBヘキサフルオロアンチモン酸塩及び1.0重量パーセントのSR1012となるコーティング溶液を与えるのに十分な、THF中の光増感剤ローダミンBヘキサフルオロアンチモン酸塩及びTHF中のSR1012の一定量の濃縮溶液を加えた。このコーティング溶液を1マイクロメートルのシリンジフィルターで濾過し、シリコン溶液上にスピンコーティングした。コーティングしたウェーハを60℃の強制空気オーブン中に18時間置いて、実質的に溶媒のない(以下、「乾燥した」)コーティング(
図1Aの第1の材料の層115)を有するコーティングされたシリコンウェーハを得た。このコーティングは、約300μmの厚さを有するものであった。
【0085】
乾燥したコーティングの二光子重合を、ダイオード励起チタンサファイアレーザー(Spectra−Physics,Mountain View,CAから入手)を使用して、以下の方式で実施した。このダイオード励起チタンサファイアレーザーは、800nmの波長、80fsの公称パルス幅、80MHzのパルス繰返し周波数、及び約1Wの平均電力で動作するものであった。コーティングされたウェーハを、コンピュータ制御式の三軸ステージ(Aerotech,Inc.,Pittburgh,PAから入手)上に置いた。このレーザービームをNDフィルターで減衰させ、x軸、y軸、及びz軸制御用の望遠鏡を有するガルボスキャナー(Nutfield Technology,Inc.,Windham,NHから入手可能)を使用して、乾燥したコーティングに集束させた。作動距離を0.400mm、焦点距離を4.0mmとしたNikon製CFI Plan Achromat 50X oil objective N.A.0.90を、乾燥したコーティングの表面上に直接、取り付けた。平均電力を、対物レンズの出力部で、波長校正したフォトダイオード(Ophir Optronics,Ltd.,Wilmington,MAから入手した)を使用して測定し、平均電力が約8mWであることが判明した。
【0086】
露光走査の完了後、露光した乾燥コーティングをMicroChem SU−8現像液中で現像し、すすぎ、乾燥させ、結果として、第1の微細構造化パターン121(
図1b)を得た。
【0087】
パターンの表面上に銀(Ag)の薄層(約100オングストローム)をスパッタリングすることによって、第1の微細構造化パターンの表面を導電性にした。次いで、金属化した前表面を、約2mm厚となるまでInco S−Rounds(ニッケル)で電気メッキした。次いで、電気メッキしたニッケルスラグを、第1のパターンから分離し、研削し、機械加工し、結果として、第2の微細構造化パターン141(
図1F)を有する第1の金型140を得た。
【0088】
次いで、一軸プラスチック射出成形システムの中に置いた射出成形用金型の中に、第1の金型を置いて、熱可塑性ポリカーボネート(LEXAN HPS1R)を金型キャビティの中に射出し、結果として、第3の微細構造化パターン161(
図1H)を有する第2の金型160を得た。
【0089】
次いで、第2の金型の前表面を、約100オングストロームの銀でその表面をスパッタリングすることによって金属化した。次いで、金属化した第2の金型をInco S−Rounds(ニッケル)で電気メッキして、第3の微細構造化パターン全体を被覆し、結果としてニッケル層170(
図1J)を得た。
【0090】
ニッケル層と第2の金型との組合せ構造を脱イオン水ですすいだ後、ニッケル層の前表面172(
図1J)を平面状に研削して、第3の微細構造化パターンの頂部171からニッケル材料を除去した。
【0091】
研削が完了した(全ての微細構造の頂部が露出した)後、電気メッキしたニッケル層をポリカーボネート製金型160から分離し、結果として、円形の六方充填配置で配列した37個の貫通穴を有する、直径約8mm、厚さ160umのニッケル製円盤を得た。隣接する穴の間隔は約200μmであった。穴のそれぞれは、レーストラックの直線部分に沿ってフィレットで修正されたレーストラックの形状をなす穴入口を有していた。このレーストラックは、約80μmの長径と、約50μmの短径を有していた。穴のそれぞれは、約50μmの長径と約35μmの短径を有する小さなレースのトラックの形状をなす穴出口を有していた。穴出口の側から見ると、穴の横断面の長径は、穴出口から穴入口にかけて、穴出口の下方に50μm下るごとに約30度、時計回りに回転していた。
【0092】
本明細書で使用するところの「垂直」、「水平」、「上方」、「下方」、「左」、「右」、「上側」及び「下側」、「時計回り」及び「反時計回り」などの用語、並びに他の同様の用語は、図に示される相対的な位置を示す。広くは、物理的実施形態は異なる配向を有することができ、その場合、用語は、装置の実際の配向に修正された相対位置を意味することを意図している。例えば、
図1Bの画像が、図の向きと比較して逆である場合でも、表面126は依然として、「上部」主表面であると見なされる。
【0093】
多光子の説明
定義
本特許出願で使用されるとき、
「硬化」とは、重合をもたらすこと、及び/又は架橋をもたらすことを意味する。
「電子励起状態」とは、分子の電子基底状態よりもエネルギーが高い分子の電子状態を意味し、この状態は電磁放射線の吸収によって達し、10
−13秒よりも長い存続期間を有する。
「露光システム」とは、光学システムに光源を追加したものを意味する。
「マスター」とは、複製ツールの製造に用いることができる、最初に製造された物品を意味する。
「多光子吸収」とは、2つ以上の光子が同時に吸収されることによって、同じエネルギーの単一の光子の吸収によってはエネルギー的にアクセス不能である反応性の電子的な励起状態に達することを意味する。
「開口数」とは、レンズの焦点距離に対するレンズの直径の比率(つまり、1/fナンバー)を意味する。
「光学システム」とは、光を制御するためのシステムを意味し、このシステムは、レンズなどの屈折光学素子、ミラーなどの反射光学素子、及び回折格子などの回折光学素子から選択された少なくとも1つの素子を含む。光学素子はまた、拡散体、光導体、及び光学分野で既知の他の素子を含むものとする。
(光開始剤系の成分の)「光化学的に有効な量」とは、選択された露光条件下において、(例えば、密度、粘度、色、pH、屈折率、又は他の物理的若しくは化学的特性から明らかなように)反応種が少なくとも部分的に反応できるようにするのに十分な分量を意味する。
「光増感剤」とは、光開始剤の活性化に必要とされるエネルギーよりも低い光エネルギーを吸収し、光開始剤と相互作用することによって光開始剤を活性化するのに必要なエネルギーを低下させて光開始化学種を生成する、分子のことを意味する。
「同時」とは、10
−14秒以下の時間内に起こる2つの事象を意味する。
「十分な光」とは、多光子吸収を行うのに十分な強度と適切な波長を有する光を意味する。
【0094】
多光子反応
分子二光子吸収は、1931年にGoppert−Mayerによって予測された。1960年のパルスルビーレーザーの発明で、二光子吸収の実験的観察が現実のものとなった。引き続いて、二光子励起が、生物学及び光学的データ蓄積、並びに他の分野に適用された。
【0095】
二光子誘起光過程と単一光子誘起光過程との間には、2つの基本的な違いがある。単一光子吸収が入射放射線の強度によって一次的に増減するのに対し、二光子吸収は二次的に増減する。より高次の吸収は、入射強度の相関した、より大きな累乗によって増減する。結果として、3次元空間分解能を有する多光子過程を行うことが可能である。また、多光子過程は、2つ以上の光子の同時吸収を含むので、吸収発色団は、光子のそれぞれが個々に、発色団を励起するには不十分なエネルギーを有する場合でも、利用される多光子光増感剤の電子励起状態のエネルギーにその総エネルギーがほぼ等しい多数の光子で励起される。励起光は、硬化性母材又は材料中の単一光子吸収によって減衰されないので、材料内のその深さに集束されるビームを使用することによって、単一光子励起を通じて可能であるよりも、材料内の大きい深さで分子を選択的に励起することが可能である。これらの2つの現象はまた、例えば、ティッシュ又は他の生物学材料内での励起に適用される。
【0096】
多光子吸収を光硬化及び微細加工の分野に適用することによって、多数の利点が達成されている。例えば、多光子リソグラフィ又はステレオリソグラフィにおいて、強度による多光子吸収の非線形増減により、利用される光の回折限界より小さい寸法を有する特徴を書くことができ、(ホログラフィについてもまた重要である)3次元の特徴も書くことができる。
【0097】
反応性材料の溶解度を変化させる多光子励起の反応は、多光子微細加工(二光子加工としても知られる)において有用である。このような反応としては、重合、架橋、解重合、又は官能基の形質転換、例えば、極性から非極性へ、若しくは非極性から極性を含む反応による溶解度の変化が挙げられてよい。反応は、2つ以上の光子の同時吸収を受けて、カチオン反応若しくはフリーラジカル反応を起こすことができるフリーラジカル及び/又は酸を形成できる多光子光開始系による、少なくとも二光子の吸収によって引き起こされる。
【0098】
像を形成するのに十分な光に多光子反応性組成物を露光させることは、多光子反応性組成物内で適切なレーザーシステム(本書の22〜23ページを参照)からのビームを集束させることによって達成され得る。反応は集束レーザービームの焦点付近で発生して、露光された組成物の溶解度を変化させる。反応が発生する最小領域は、3次元の撮像素子、つまりボクセルである。単一のボクセルは、多光子リソグラフィによって製造できる最小部であり、使用される回折限界よりも小さい寸法を有し得る。ボクセルは、レーザービームの集束に用いられるレンズの開口数に応じて、x、y、及びzにおいて100nm以下と小さくてよい、並びにzにおいて10マイクロメートル以上、かつx及びyにおいて4マイクロメートル以上と大きくてよい。方向x、y、及びzは、ビーム経路(x,y)に垂直な軸であるか、ビーム経路(z)に平行な軸である。好ましくは、ボクセルは、2マイクロメートル未満である、好ましくは1マイクロメートル未満である、より好ましくは0.5マイクロメートル未満である少なくとも1つの寸法を有する。
【0099】
反応種
光反応組成物内で使用するのに好適な反応種としては、硬化性の化学種と非硬化性の化学種の双方が挙げられる。硬化性の化学種が一般に好ましく、また硬化性の化学種としては、例えば、付加重合性モノマー及びオリゴマーと付加架橋性ポリマー(例えばアクリレート、メタクリレート、及びスチレンなどの特定のビニル化合物を含む、ラジカル重合性又は架橋性のエチレンシステム不飽和の化学種)、並びにカチオン重合性モノマー及びオリゴマー、カチオン架橋性ポリマー(この化学種は最も一般的には酸開始されており、またこの化学種には、例えばエポキシ、ビニルエーテル、シアネートエステルなどが挙げられる)、その他同種のもの、それらの混合物が挙げられる。
【0100】
好適なエチレン不飽和性種は、例えばPalazzottoらにより、米国特許第5,545,676号の第1欄65行〜第2欄26行で述べられており、モノアクリレート及びモノメタクリレート、ジアクリレート及びジメタクリレート、並びにポリアクリレート及びポリメタクリレート(例えば、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ヘキシルアクリレート、ステアリルアクリレート、アリルアクリレート、グリセロールジアクリレート、グリセロールトリアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−プロパンジオールジアクリレート、1,3−プロパンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、1,2,4−ブタントリオールトリメタクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、ビス[1−(2−アクリルオキシ)]−p−エトキシフェニルジメチルメタン、ビス[1−(3−アクリルオキシ−2−ヒドロキシ)]−p−プロポキシフェニルジメチルメタン、トリスヒドロキシエチル−イソシアヌレートトリメタクリレート、分子量が約200〜500のポリエチレングリコールのビスアクリレート及びビスメタクリレート、米国特許第4,652,274号のものなどのアクリル化モノマーと同第4,642,126号のものなどのアクリル化オリゴマーとの共重合性混合物);不飽和アミド(例えば、メチレンビスアクリルアミド、メチレンビスメタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビスアクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、及びベータメタクリルアミノエチルメタクリレート);ビニル化合物(例えば、スチレン、ジアリルフタレート、ジビニルスクシネート、ジビニルアジパート、及びジビニルフタレート);その他同種のもの、並びにこれらの混合物が挙げられる。好適な反応性ポリマーとしては、例えばポリマー鎖ごとに1〜約50の(メタ)アクリレート基を有する、ペンダント(メタ)アクリレート基を有するポリマーが挙げられる。そのようなポリマーの例には、Sartomer社から入手可能なSarbox(商標)樹脂(例えば、Sarbox(商標)400、401、402、404、及び405)などの芳香族酸(メタ)アクリレート半エステル樹脂が挙げられる。フリーラジカル化学によって硬化可能なその他有用な反応性ポリマーには、ヒドロカルビル主鎖と、米国特許第5,235,015号(Aliら)において記載されているものなど、フリーラジカル重合可能な官能性を付与されたペンダントペプチド基と、を有するポリマーが挙げられる。2つ以上のモノマー、オリゴマー、及び/又は反応性ポリマーの混合物を、所望に応じて使用することができる。好ましいエチレン不飽和性種には、アクリレート、芳香族酸(メタ)アクリレート半エステル樹脂、及び、ヒドロカルビル主鎖と、ラジカル重合化可能な官能性を付与されたペンダントペプチド基と、を有するポリマーが挙げられる。
【0101】
好適なカチオン反応種については、例えばOxmanらによって米国特許第5,998,495号及び同第6,025,406号において記載されており、エポキシ樹脂が挙げられる。そのような材料は、概してエポキシドと呼ばれるものであり、モノマー型のエポキシ化合物とポリマー型のエポキシドとがあり、脂肪族、脂環式、芳香族、又は複素環式となり得る。これらの材料は一般に、平均して、分子1個あたり少なくとも1個(好ましくは少なくとも約1.5個、より好ましくは少なくとも約2個)の重合可能なエポキシ基を有している。ポリマーエポキシドには、末端エポキシ基を有する線状ポリマー(例えば、ポリオキシアルキレングリコールのジグリシジルエーテル)、骨格オキシラン単位を有するポリマー(例えば、ポリブタジエンポリエポキシド)、及びペンダントエポキシ基を有するポリマー(例えば、グリシジルメタクリレートポリマー又はコポリマー)が挙げられる。エポキシドは、純粋化合物とすることができ、又は、分子1個当たり1個、2個、又はそれ以上のエポキシ基を含有する化合物の混合物とすることができる。これらのエポキシ含有材料は、主鎖及び置換基の種類において、非常に多様となり得る。例えば、主鎖は任意の種類とすることができ、その主鎖上の置換基は、カチオン硬化を室温で実質的に妨げることのない任意の基とすることができる。許容し得る置換基の実例には、ハロゲン、エステル基、エーテル、スルホネート基、シロキサン基、ニトロ基、リン酸基、及び同種のものが挙げられる。エポキシ含有材料の分子量は、約58〜約100,000以上まで様々となり得る。
【0102】
有用なその他のエポキシ含有材料として、以下の式のグリシジルエーテルモノマーが挙げられる。
【0103】
【化1】
【0104】
式中、R’はアルキル又はアリールであり、nは1〜8の整数である。例は、多価フェノールをエピクロロヒドリン(例えば、2,2−ビス−(2,3−エポキシプロポキシフェノール)−プロパンのジグリシジルエーテル)などの過剰のクロロヒドリンと反応させることにより得られる、多価フェノールのグリシジルエーテル類である。この種のエポキシドの更なる例が、米国特許第3,018,262号、及び「Handbook of Epoxy Resins」、Lee及びNeville著、McGraw−Hill Book Co.,New York(1967)に記載されている。
【0105】
多くの市販のエポキシモノマー又は樹脂を使用することができる。容易に入手可能なエポキシドには、オクタデシレンオキシド、エピクロロヒドリン、スチレンオキシド、ビニルシクロヘキセンオキシド、グリシドール、グリシジルメタクリレート、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(例えば、Hexion Specialty Chemicals,Inc.(Columbus,OH)から「EPON 815C」、「EPON 813」、「EPON 828」、「EPON 1004F」、及び「EPON 1001F」として入手可能なもの)、並びにビスフェノールFのジグリシジルエーテル(例えば、Ciba Specialty Chemicals Holding Company(Basel,Switzerland)から「ARALDITE GY281」、及びHexion Specialty Chemicals,Inc.から「EPON 862」として入手可能なもの)が挙げられるが、これらに限定されない。その他芳香族エポキシ樹脂には、MicroChem Corp.(Newton,MA)から入手可能なSU−8樹脂が挙げられる。
【0106】
他の代表的なエポキシモノマーには、ビニルシクロヘキセンジオキシド(SPI Supplies(West Chester,PA)から入手可能)、4−ビニル−1−シクロヘキセンジエポキシド(Aldrich Chemical Co.(Milwaukee,WI)から入手可能)、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート(例えば、Dow Chemical Co.(Midland,MI)から「CYRACURE UVR−6110」として入手可能なもの)、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−6−メチル−シクロヘキサンカーボネート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート(例えば、Dow Chemical Co.から「CYRACURE UVR−6128」として入手可能なもの)、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、及びジペンテンジオキシドが挙げられる。
【0107】
更に例示的なエポキシ樹脂には、エポキシ化ポリブタジエン(例えば、Sartomer Co.,Inc.(Exton,PA)から「POLY BD 605E」として入手可能なもの)、エポキシシラン(例えば、Aldrich Chemical Co.(Milwaukee,WI)から市販されている3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン及び3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)、難燃性エポキシモノマー(例えば、Dow Chemical Co.(Midland,MI)から「DER−542」として入手可能な臭化ビスフェノール型エポキシモノマー)、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル(例えば、Ciba Specialty Chemicalsから「ARALDITE RD−2」として入手可能なもの)、水素化ビスフェノールA−エピクロロヒドリン系エポキシモノマー(例えば、Hexion Specialty Chemicals,Inc.から「EPONEX 1510」として入手可能なもの)、フェノール−ホルムアルデヒドノボラックのポリグリシジルエーテル(例えば、Dow Chemical Co.から「DEN−431」及び「DEN−438」として入手可能なもの)、並びにAtofina Chemicals(Philadelphia,PA)から「VIKOLOX」及び「VIKOFLEX」として入手可能なエポキシ化アマニ油及び大豆油などのエポキシ化植物油が挙げられる。
【0108】
更なる好適なエポキシ樹脂には、Hexion Specialty Chemicals,Inc.(Columbus,OH)から「HELOXY」として市販されるアルキルグリシジルエーテルが挙げられる。例示的なモノマーには、「HELOXY MODFIER 7」(C
8〜C
10アルキル(alky)グリシジルエーテル)、「HELOXY MODIFIER 8」(C
12〜C
14アルキルグリシジルエーテル)、「HELOXY MODIFIER 61」(ブチルグリシジルエーテル)、「HELOXY MODIFIER 62」(クレジルグリシジルエーテル)、「HELOXY MODIFIER 65」(p−第三−ブチルフェニルグリシジルエーテル)、「HELOXY MODIFIER 67」(1,4−ブタンジオールのジグリシジルエーテル)、「HELOXY 68」(ネオペンチルグリコールのジグリシジルエーテル)、「HELOXY MODIFIER 107」(シクロヘキサンジメタノールのジグリシジルエーテル)、「HELOXY MODIFIER 44」(トリメチロールエタントリグリシジルエーテル)、「HELOXY MODIFIER 48」(トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル)、「HELOXY MODIFIER 84」(脂肪族ポリオールのポリグリシジルエーテル)、及び「HELOXY MODIFIER 32」(ポリグリコールジエポキシド)が挙げられる。
【0109】
その他有用なエポキシ樹脂は、グリシドールのアクリル酸エステル(グリシジルアクリレート及びグリシジルメタクリレートなど)と1つ以上の共重合性ビニル化合物とのコポリマーを含んでいる。そのようなコポリマーの例が、1:1のスチレン−グリシジルメタクリレート及び1:1のメチルメタクリレート−グリシジルアクリレートである。その他の有用なエポキシ樹脂類は、周知であり、エピクロロヒドリン類、アルキレンオキシド類(例えば、プロピレンオキシド)、スチレンオキシド、アルケニルオキシド類(例えば、ブタジエンオキシド)及びグリシジルエステル類(例えば、エチルグリシデート)などのエポキシド類を包含する。
【0110】
有用なエポキシ官能性ポリマーには、General Electric Companyから市販される、米国特許第4,279,717号(Eckbergら)に記載されているものなどのエポキシ官能性シリコンが挙げられる。これらは、ケイ素原子の1モル%〜20モル%がエポキシアルキル基(好ましくは、米国特許第5,753,346号(Leirら)に記載されているように、エポキシシクロヘキシルエチル)で置換されたポリジメチルシロキサンである。
【0111】
種々のエポキシ含有材料の配合物を利用することもできる。そのような配合物は、エポキシ含有化合物(低分子量(200未満)、中分子量(約200〜1000)、及び高分子量(約1000超)など)の2つ以上の重量平均分子量分布を備えていてもよい。あるいは、又はそれに加えて、エポキシ樹脂は、異なる化学的性質(脂肪族及び芳香族など)又は官能性(極性及び無極性など)を有するエポキシ含有材料の配合物を含むことができる。他のカチオン反応性ポリマー(ビニルエーテル及び同種のものなど)を、所望に応じて更に混和することができる。
【0112】
好ましいエポキシには、芳香族グリシジルエポキシ(例えば、Hexion Specialty Chemicals,Inc.から入手可能なEPON樹脂、及びMicroChem Corp.(Newton,MA)から入手可能なSU−8樹脂)など、及びこれらの混合物が挙げられる。より好ましいのは、SU−8樹脂及びこれらの混合物である。
【0113】
また、好適なカチオン反応種には、ビニルエーテルモノマー、オリゴマー、及び反応性ポリマー(例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、第三−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル(International Specialty Products(Wayne,NJ)から入手可能なRAPI−CURE DVE−3)、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、及びMorflex,Inc.(Greensboro,NC)のVECTOMERジビニルエーテル樹脂(例えば、VECTOMER 1312、VECTOMER 4010、VECTOMER 4051、及びVECTOMER 4060、並びに他の製造業者から入手可能なそれらの等価物))、並びにそれらの混合物が挙げられる。1つ以上のビニルエーテル樹脂及び/又は1つ以上のエポキシ樹脂の(任意の比率における)配合物を利用することもできる。ポリヒドロキシ官能性材料(例えば米国特許第5,856,373号(Kaisakiら)に記載されているものなど)を、エポキシ−及び/又はビニルエーテル官能性材料と共に利用することもできる。
【0114】
非硬化性種には、例えば、酸又はラジカル誘起反応の際に溶解度が増加し得る反応性ポリマーが挙げられる。そのような反応性ポリマーには、例えば、光生成した酸によって水溶性の酸基へと変換され得るエステル基を持つ非水溶性ポリマー(例えば、ポリ(4−第三−ブトキシカルボニルオキシスチレン))が挙げられる。非硬化性種としてはまた、R.D.Allenらによって「High Performance Acrylic Polymers for Chemically Amplified Photoresist Applications」,J.Vac.Sci.Technol.B,9,3357(1991)に記載された化学増幅型フォトレジスト類が挙げられる。化学増幅フォトレジストの構想は、特に0.5マイクロメートル以下(又は更に0.2マイクロメートル以下)の部を伴うマイクロチップ製造に、現在では広く用いられている。そのようなフォトレジスト系においては、触媒種(典型的には水素イオン)を照射によって生成することができ、この照射によって化学反応のカスケード反応が誘発される。このカスケード反応は、より多くの水素イオン又は他の酸性種を生成する反応を水素イオンが開始し、それによって反応速度が増幅されるときに発生する。一般的な、酸を触媒とする化学増幅型フォトレジスト系の例には、脱保護(例えば、米国特許第4,491,628号に記載されるようなt−ブトキシカルボニルオキシスチレンレジスト、テトラヒドロピラン(THP)メタクリレート系物質、同第3,779,778号に記載されたものなどのTHPフェノール系の物質、R.D AllenらによってProc.SPIE 2438,474(1995)に記載されているものなどのt−ブチルメタクリレート系の物質など)、解重合(例えば、ポリフタルアルデヒド系の物質)、及び転位(例えば、ピナコール転位に基づく物質)が挙げられる。
【0115】
所望により、異なる種類の反応種の混合物を光反応性組成物中に利用してもよい。例えば、ラジカル反応種とカチオン反応種の混合物も有用である。
【0116】
光開始剤系
この光開始剤系は多光子光開始剤系であるが、これは、そのような系を使用することにより、光の集束ビームの焦点領域に反応を制限又は限定することが可能となるからである。このような系は好ましくは、少なくとも1つの多光子光増感剤と、少なくとも1つの光開始剤(又は電子受容体)と、任意に少なくとも1つの電子供与体と、を含む二成分又は三成分系である。このような多成分系は感度の向上をもたらすことができ、光反応をより短い期間で成し遂げることが可能であり、それによって、サンプル及び/又は露光システムの1つ以上の成分の動きに起因する問題が生じる可能性が減じられる。
【0117】
好ましくは、多光子光開始剤系は、光化学的に有効な量の、(a)少なくとも2個の光子を同時に吸収することが可能であり、任意であるが好ましくはフルオレセインよりも大きな二光子吸収断面を有する、少なくとも1つの多光子光増感剤と、(b)多光子光増感剤とは異なるものであり、電子励起状態の光増感剤に電子を供与することが可能な、任意の少なくとも1つの電子供与体化合物と、(c)電子励起状態の光増感剤から電子を受容することによって光増感することが可能であり、結果として、少なくとも1つのラジカル及び/又は酸を形成する、少なくとも1つの光開始剤と、を含む。
【0118】
あるいは、多光子光開始剤系は、少なくとも1つの光開始剤を含む一成分系とすることもできる。一成分多光子光開始剤系として有用な光開始剤には、アシルホスフィンオキシド(例えば、Cibaにより商品名Irgacure(商標)819で販売されているもの、並びにBASF Corporationにより商品名Lucirin(商標)TPO−Lで販売されている2,4,6トリメチルベンゾイルエトキシフェニルホスフィンオキシド)と、共有結合したスルホニウム塩部分を含むスチルベン誘導体(例えば、W.ZhouらによってScience 296,1106(2002)に記載されているもの)が挙げられる。ベンジルケタールなど、その他従来の紫外線(UV)光開始剤を利用することもできるが、それらの多光子光開始感度は一般に比較的低いものとなる。
【0119】
二成分及び三成分多光子光開始剤系において有用な多光子光増感剤、電子供与体、及び光開始剤(又は電子受容体)について以下に説明する。
【0120】
(1)多光子光増感剤
光反応性組成物の多光子光開始剤系における使用に好適な多光子光増感剤は、十分な光に暴露されると少なくとも2つの光子を同時に吸収できるものである。好ましくは、光増感剤は、フルオレセインよりも大きい(即ち、3’,6’−ジヒドロキシスピロ[イソベンゾフラン−1(3H),9’−[9H]キサンテン]3−オンよりも大きい)二光子吸収断面積を有している。一般に、好ましい断面は、C.Xu及びW.W.WebbによるJ.Opt.Soc.Am.B,13,481(1996)(Marder及びPerryらによる国際公開第98/21521号、85ページの18〜22行に引用されている)に記載された方法で測定される、約50×10
−50cm
4秒/光子を超えることができる。
【0121】
より好ましくは、光増感剤の二光子吸収断面は、フルオレセインの約1.5倍を超え(つまり、上記方法で測定される約75×10
−50cm
4秒/光子を超える)、更により好ましくはフルオレセインの約2倍を超え(つまり、約100×10
−50cm
4秒/光子を超える)、最も好ましくはフルオレセインの約3倍を超え(つまり、あるいは、約150×10
−50cm
4秒/光子を超える)、及び最も適切にはフルオレセインの約4倍を超える(つまり、あるいは約200×10
−50cm
4秒/光子を超える)。
【0122】
好ましくは、光増感剤は、反応種への可溶性を有するか(反応種が液体である場合)、あるいは、反応種との、又組成物中に含められた任意の結合剤(以下で説明する)との相溶性を有している。最も好ましくは、光増感剤は、米国特許第3,729,313号に記載の試験法を使用して、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジンを、光増感剤の単一光子吸収スペクトルと重なり合う波長範囲(単一光子吸収条件)における連続照射下で増感させることもできる。
【0123】
好ましくは、光増感剤は、一つには貯蔵性を考慮して選択することもできる。したがって、特定の光増感剤の選択は、利用する特定の反応種に(並びに、電子供与体化合物及び/又は光開始剤の選定に)ある程度依存し得るものである。
【0124】
特に好ましい多光子光増感剤としては、ローダミンB(すなわち、N−[9−(2−カルボキシフェニル)−6−(ジエチルアミノ)−3H−キサンテン−3−イリデン]−N−エチルエタンアミニウムクロライド又はヘキサフルオロアンチモネート)、並びに、例えばMarder及びPerryらによって国際公開第98/21521号及び同第99/53242号に記載されている4つの種別の光増感剤など、大きな多光子吸収断面積を呈するものが挙げられる。4つの種別は、(a)2つの供与体が共役π(pi)−電子架橋に結合された分子、(b)2つの供与体が1つ以上の電子求引基で置換された共役π(pi)−電子架橋に結合された分子、(c)2つの受容体が共役π(pi)−電子架橋に結合されている分子、及び(d)2つの受容体が、1つ以上の電子供与性基で置換されている共役π(pi)−電子架橋に結合されている分子(「架橋」は、2つ以上の化学基を接続する分子断片を意味し、「供与体」は、共役π(pi)−電子架橋に結合され得る低イオン化電位を有する原子又は原子団を意味し、「受容体」は、共役π(pi)−電子架橋に結合され得る高電子親和力を有する原子又は原子団を意味する)、として説明できる。
【0125】
上述の4つの種別の光増感剤は、標準ウィッティヒ(Wittig)条件下でアルデヒドをイリドと反応させることによって、又は、国際公開第98/21521号に詳述されているマクマリー(McMurray)反応を使用することによって調製することができる。
【0126】
その他の化合物が、大きな多光子吸収断面積を有するものとして、Reinhardtらによって述べられているが(例えば、米国特許第6,100,405号、同第5,859,251号、及び同第5,770,737号)、これらの断面積は上記以外の方法で決定されたものである。
【0127】
好ましい光増感剤には、以下の化合物(及びこれらの混合物)が挙げられる。
【0128】
【化2】
【0129】
(2)電子供与体化合物
光反応性組成物の多光子光開始剤系に有用な電子供与体化合物は、電子を光増感剤の電子励起状態に供与できるこれらの化合物(光増感剤自体以外)である。このような化合物は、任意に、光開始剤系の多光子感光性を増大させ、それによって光反応性組成物の光反応を成し遂げるのに必要な露光を減少させるために使用することができる。電子供与体化合物は好ましくは、ゼロより大きく、かつp−ジメトキシベンゼンの酸化電位以下である酸化電位を有している。好ましくは、酸化電位は、標準飽和カロメル電極(「S.C.E.」)に対して約0.3〜1ボルトである。
【0130】
また、電子供与体化合物は、好ましくは反応種に可溶性であり、(上述のように)好ましくは、光増感剤は、一つには貯蔵性を考慮して選択される。好適な供与体は一般に、望ましい波長の光に暴露されると、光反応性組成物の硬化速度又は画像濃度を増加させることが可能である。
【0131】
カチオン反応種を取り扱う際に、当業者は、電子供与体化合物が著しく塩基性の場合、電子供与体化合物がカチオン反応種に悪影響を与え得ることを認識するであろう(例えば、米国特許第6,025,406号(Oxmanら)の第7欄62行〜第8欄49行の説明を参照)。
【0132】
一般に、特定の光増感剤及び光開始剤と共に使用するのに好適な電子供与体化合物は、(例えば、米国特許第4,859,572号(Faridら)において述べられている)3つの成分の酸化電位及び還元電位を比較することによって選択することができる。このような電位は、(例えば、R.J.Cox,Photographic Sensitivity,Chapter 15,Academic Press(1973)によって述べられる方法によって)実験的に測定できるか、N.L.Weinburg,Ed.,Technique of Electroorganic Synthesis Part II Techniques of Chemistry,Vol.V(1975)及びC.K.Mann and K.K.Barnes,Electrochemical Reactions in Nonaqueous Systems(1970)などの文献から得ることができる。これらの電位は、相対的なエネルギー関係を反映するものであり、電子供与体化合物を選択する指針として使用することができる。
【0133】
好適な電子供与体化合物には、例えば、D.F.EatonによるAdvances in Photochemistry,edited by B.Voman et al.,Volume 13,pp.427〜488,John Wiley and Sons,New York(1986)、米国特許第6,025,406号(Oxmanら)の第7欄42行〜61行、及び同第5,545,676号(Palazzottoら)の第4欄14行から第5欄18行において述べられているものが挙げられる。そのような電子供与体化合物には、アミン(トリエタノールアミン、ヒドラジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、トリフェニルアミン(及びそのトリフェニルホスフィンとトリフェニルアルシンの類似体)、アミノアルデヒド、及びアミノシランを含む)、アミド(ホスホルアミドを含む)、エーテル(チオエーテルを含む)、尿素(チオ尿素を含む)、スルフィン酸とその塩、ヘキサシアノ鉄II酸塩、アスコルビン酸とその塩、ジチオカルバミン酸とその塩、キサントゲン酸塩、エチレンジアミン四酢酸の塩、(アルキル)
n(アリール)
mボレートの塩(n+m=4)(テトラアルキルアンモニウム塩が好ましい)、SnR
4化合物(式中、Rのそれぞれは、独立して、アルキル、アラルキル(特にベンジル)、アリール、及びアルカリル基から選択される)などの種々の有機金属化合物(例えば、n−C
3H
7Sn(CH
3)
3、(アリル)Sn(CH
3)
3、及び(ベンジル)Sn(n−C
3H
7)
3のような化合物)、フェロセン、その他同種のもの、並びにそれらの混合物が挙げられる。電子供与体化合物は、未置換とすることができ、又は、1つ以上の非妨害置換基で置換することもできる。特に好ましい電子供与体化合物は、電子供与体原子(窒素原子、酸素原子、リン原子、またはイオウ原子など)と、電子供与体原子に対してアルファ位置にある炭素原子又はケイ素原子に結合された除去可能な水素原子とを含む。
【0134】
好ましいアミン電子供与体化合物としては、アルキルアミン、アリールアミン、アルカリルアミン、アラルキルアミン(例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、トリエタノールアミン、アミルアミン、ヘキシルアミン、2,4−ジメチルアニリン、2,3−ジメチルアニリン、o−トルイジン、m−トルイジン、p−トルイジン、ベンジルアミン、アミノピリジン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、N,N’−ジエチルエチレンジアミン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、N,N’−ジエチル−1,3−プロパンジアミン、N,N’−ジエチル−2−ブテン−1,4−ジアミン、N,N’−ジメチル−1,6−ヘキサンジアミン、ピペラジン、4,4’−トリメチレンジピペリジン、4,4’−エチレンジピペリジン、p−N,N−ジメチル−アミノフェネタノール及びp−N−ジメチルアミノベンゾニトリル)、アミノアルデヒド(例えば、p−N,N−ジメチルアミノベンズアルデヒド、p−N,N−ジエチルアミノベンズアルデヒド、9−ジュロリジンカルボキシアルデヒド、及び4−モルホリノベンズアルデヒド)、及び、アミノシラン(例えば、トリメチルシリルモルホリン、トリメチルシリルピペリジン、ビス(ジメチルアミノ)ジフェニルシラン、トリス(ジメチルアミノ)メチルシラン、N,N−ジエチルアミノトリメチルシラン、トリス(ジメチルアミノ)フェニルシラン、トリス(メチルシリル)アミン、トリス(ジメチルシリル)アミン、ビス(ジメチルシリル)アミン、N,N−ビス(ジメチルシリル)アニリン、N−フェニル−N−ジメチルシリルアニリン、及びN,N−ジメチル−N−ジメチルシリルアミン)、並びにそれらの混合物が挙げられる。三級芳香族アルキルアミン、特に、少なくとも1つの電子求引性基を芳香環上に有するものが、とりわけ良好な貯蔵性をもたらすことが判明している。また、良好な貯蔵性は、室温で固体となるアミンを使用しても得られている。良好な感光性は、1つ以上のジュロリジニル部分を含むアミンを使用して得られている。
【0135】
好ましいアミド電子供与体化合物としては、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチル−N−フェニルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、ヘキサエチルホスホルアミド、ヘキサプロピルホスホルアミド、トリモルホリノホスフィンオキシド、トリピペリジノホスフィンオキシド、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0136】
好ましいアルキルアリールボレート塩には、次のものが挙げられる。
Ar
3B
−(n−C
4H
9)N
+(C
2H
5)
4
Ar
3B
−(n−C
4H
9)N
+(CH
3)
4
Ar
3B
−(n−C
4H
9)N
+(n−C
4H
9)
4
Ar
3B
−(n−C
4H
9)Li
+
Ar
3B
−(n−C
4H
9)N
+(C
6H
13)
4
Ar
3B
−−(C
4H
9)N
+(CH
3)
3(CH
2)
2CO
2(CH
2)
2CH
3
Ar
3B
−−(C
4H
9)N
+(CH
3)
3(CH
2)
2OCO(CH
2)
2CH
3
Ar
3B
−−(sec−C
4H
9)N
+(CH
3)
3(CH
2)
2CO
2(CH
2)
2CH
3
Ar
3B
−−(sec−C
4H
9)N
+(C
6H
13)
4
Ar
3B
−−(C
4H
9)N
+(C
8H
17)
4
Ar
3B
−−(C
4H
9)N
+(CH
3)
4
(p−CH
3O−C
6H
4)
3B
−(n−C
4H
9)N
+(n−C
4H
9)
4
Ar
3B
−−(C
4H
9)N
+(CH
3)
3(CH
2)
2OH
ArB
−(n−C
4H
9)
3N
+(CH
3)
4
ArB
−(C
2H
5)
3N
+(CH
3)
4
Ar
2B
−(n−C
4H
9)
2N
+(CH
3)
4
Ar
3B
−(C
4H
9)N
+(C
4H
9)
4
Ar
4B
−N
+(C
4H
9)
4
ArB
−(CH
3)
3N
+(CH
3)
4
(n−C
4H
9)
4B
−N
+(CH
3)
4
Ar
3B
−(C
4H
9)P
+(C
4H
9)
4
(式中、Arは、フェニル、ナフチル、置換(好ましくは、フッ素置換)フェニル、置換ナフチル及び多数の縮合芳香環を有するその類の基である)、並びに、テトラメチルアンモニウムn−ブチルトリフェニルボレート及びテトラブチルアンモニウムn−ヘキシル−トリス(3−フルオロフェニル)ボレート、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0137】
好適なエーテル電子供与体化合物としては、4,4’−ジメトキシビフェニル、1,2,4−トリメトキシベンゼン、1,2,4,5−テトラメトキシベンゼン、その他同種のもの、及びこれらの混合物が挙げられる。好適な尿素系電子供与体化合物としては、N,N’−ジメチル尿素、N,N−ジメチル尿素、N,N’−ジフェニル尿素、テトラメチルチオ尿素、テトラエチルチオ尿素、テトラ−n−ブチルチオ尿素、N,N−ジ−n−ブチルチオ尿素、N,N’−ジ−n−ブチルチオ尿素、N,N−ジフェニルチオ尿素、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジエチルチオ尿素、その他同種のもの、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0138】
ラジカル誘起反応に対する好ましい電子供与体化合物としては、1つ以上のジュロリジニル部分を含むアミン、アルキルアリールボレート塩、及び芳香族スルフィン酸の塩が挙げられる。しかしながら、そのような反応では、電子供与体化合物を、所望により(例えば、光反応性組成物の貯蔵性を改善するために、又は、分解能、コントラスト、及び相反性を修正するために)、除外することもできる。酸誘起反応のための好ましい電子供与体化合物としては、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、3−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノベンゾイン、4−ジメチルアミノベンズアルデヒド、4−ジメチルアミノベンゾニトリル、4−ジメチルアミノフェネチルアルコール、及び1,2,4−トリメトキシベンゼンが挙げられる。
【0139】
(3)光開始剤(つまり、電子受容体)
光反応性組成物の反応種に好適な光開始剤(すなわち、電子受容体化合物)は、電子励起状態の多光子光増感剤から電子を受容し、結果として、少なくとも1つのフリーラジカル及び/又は酸が形成されることによって光増感することが可能なものである。このような光開始剤としては、ヨードニウム塩(例えば、ジアリールヨードニウム塩)、スルホニウム塩(例えば、任意にアルキル基又はアルコキシ基で置換されており、隣接アリール部分を架橋する2,2’オキシ基を任意に有するトリアリールスルホニウム塩)、その他同種のもの、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0140】
光開始剤は、好ましくは反応種に可溶性であり、好ましくは貯蔵性を有している(すなわち、光増感剤及び電子供与体化合物の存在下で、反応種中に溶解したとき、反応種の反応を自発的に促進しない)。したがって、特定の光開始剤の選択は、上述のように、選択される特定の反応種、光増感剤、及び電子供与体化合物に、ある程度依存し得るものである。反応種が、酸開始化学反応を受け得る場合、光開始剤はオニウム塩(例えば、ヨードニウム塩又はスルホニウム塩)である。
【0141】
好適なヨードニウム塩類には、米国特許第5,545,676号2段28〜46行で、Palazzottoらによって記載されるようなものが挙げられる。好適なヨードニウム塩類は、米国特許第3,729,313号、同第3,741,769号、同第3,808,006号、同第4,250,053号及び同第4,394,403号にも記載されている。ヨードニウム塩は、単塩(例えば、Cl
−、Br
−、I
−又はC
4H
5SO
3−などのアニオンを含有する)又は金属錯体塩(例えば、SbF
6−、PF
6−、BF
4−、テトラキス(パーフルオロフェニル)ホウ酸塩、SbF
5OH
−又はAsF
6−を含有する)であってもよい。所望により、ヨードニウム塩の混合物を使用することができる。
【0142】
有用な芳香族ヨードニウム錯塩光開始剤の例として、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、ジ(4−メチルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、フェニル−4−メチルフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、ジ(4−ヘプチルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、ジ(3−ニトロフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジ(4−クロロフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジ(ナフチル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、ジ(4−トリフルオロメチルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジ(4−メチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアルセナート、ジ(4−フェノキシフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、フェニル−2−チエニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、3,5−ジメチルピラゾリル−4−フェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、2,2’−ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、ジ(2,4−ジクロロフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジ(4−ブロモフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジ(4−メトキシフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジ(3−カルボキシフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジ(3−メトキシカルボニルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジ(3−メトキシスルホニルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジ(4−アセトアミドフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジ(2−ベンゾチエニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、及びジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、その他同種のもの、並びにこれらの混合物が挙げられる。芳香族ヨードニウム錯塩は、Beringer et al.,J.Am.Chem.Soc.81,342(1959)の教示に従って、対応する芳香族ヨードニウム単塩(例えば、ジフェニルヨードニウム重硫酸塩など)のメタセシスによって調製することができる。
【0143】
好ましいヨードニウム塩には、ジフェニルヨードニウム塩(ジフェニルヨードニウムクロライド、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、及びジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレートなど)、ジアリールヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート(例えば、Sartomer Companyから入手可能なSarCat(商標)SR 1012)、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0144】
有用なスルホニウム塩には、米国特許第4,250,053号(Smith)の第1段66行から第4段2行に記載されるスルホニウム塩が挙げられ、このスルホニウム塩は次の式で表すことができる:
【0145】
【化3】
【0146】
式中、R
1、R
2、及びR
3は、それぞれ独立して約4〜約20個の炭素原子を有する芳香族基(例えば、置換又は非置換フェニル、ナフチル、チエニル、及びフラニル、ただし、置換には、アルコキシ、アルキルチオ、アリールチオ、ハロゲンなどのような基を伴っていてもよい)、及び1〜約20個の炭素原子を有するアルキル基から選択される。本明細書で使用するとき、「アルキル」は、置換されたアルキル(例えば、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、又はアリールなどの基で置換された)を含む。R
1、R
2、及びR
3のうちの少なくとも1つは芳香族であり、好ましくはそれぞれが独立して芳香族である。Zは、共有結合、酸素、硫黄、−S(=O)−、−C(=O)−、−(O=)S(=O)−及び−N(R)−からなる群から選択され、式中、Rは、アリール(フェニルなど、約6個〜約20個の炭素のもの)、アシル(アセチル、ベンゾイルなど、約2個〜約20個の炭素のもの)、炭素−炭素結合、又は−(R
4−)C(−R
5)−である(式中、R
4とR
5は独立して、水素と、1個〜約4個の炭素原子を有するアルキル基と、約2個〜約4個の炭素原子を有するアルケニル基と、からなる群から選択される)。X
−は、以下に述べるようなアニオンである。
【0147】
スルホニウム塩に(及び他の種類の光開始剤のいずれかに)好適なアニオンX
−は、例えば、イミド、メチド、ホウ素中心、リン中心、アンチモン中心、ヒ素中心、及びアルミニウム中心のアニオンなど、様々なアニオンの種類が挙げられる。
【0148】
好適なイミド及びメチドのアニオンの例示的であるが非限定的な例には、(C
2F
5SO
2)
2N
−、(C
4F
9SO
2)
2N
−、(C
8F
17SO
2)
3C
−、(CF
3SO
2)
3C
−、(CF
3SO
2)
2N
−、(C
4F
9SO
2)
3C
−、(CF
3SO
2)
2(C
4F
9SO
2)C
−、(CF
3SO
2)(C
4F
9SO
2)N
−、((CF
3)
2NC
2F
4SO
2)
2N
−、(CF
3)
2NC
2F
4SO
2C
−(SO
2 CF
3)
2、(3,5−ビス(CF
3)C
6H
3)SO
2N
−SO
2CF
3、C
6H
5SO
2C
−(SO
2CF
3)
2、C
6H
5SO
2N
−SO
2CF
3などが挙げられる。この種類の好ましいアニオンには、式(R
fSO
2)
3C
−が挙げられ、式中、R
fは、1個〜約4個の炭素原子を有するパーフルオロアルキルラジカルである。
【0149】
好適なホウ素中心のアニオンの例示的ではあるが、非限定的な例には、F
4B
−、(3,5−ビス(CF
3)C
6H
3)
4B
−、(C
6F
5)
4B
−、(p−CF
3C
6H
4)
4B
−、(m−CF
3C
6H
4)
4B
−、(p−FC
6H
4)
4B
−、(C
6F
5)
3(CH
3)B
−、(C
6F
5)
3(n−C
4H
9)B
−、(p−CH
3C
6H
4)
3(C
6F
5)B
−、(C
6F
5)
3FB
−、(C
6H
5)
3(C
6F
5)B
−、(CH
3)
2(p−CF
3C
6H
4)
2B
−、(C
6F
5)
3(n−C
18H
37O)B
−などが挙げられる。好ましいホウ素中心のアニオンは一般に、ホウ素に付随した3つ以上のハロゲン置換芳香族炭化水素ラジカルを含んでおり、フッ素が最も好ましいハロゲンである。好ましいアニオンの例示的ではあるが、非限定的な例には、(3,5−ビス(CF
3)C
6H
3)
4B
−、(C
6F
5)
4B
−、(C
6F
5)
3(n−C
4H
9)B
−、(C
6F
5)
3FB
−、及び(C
6F
5)
3(CH
3)B
−が挙げられる。
【0150】
他の金属又は半金属中心を含有する好適なアニオンには、例えば、(3,5−ビス(CF
3)C
6H
3)
4Al
−、(C
6F
5)
4Al
−、(C
6F
5)
2F
4P
−、(C
6F
5)F
5P
−、F
6P
−、(C
6F
5)F
5Sb
−、F
6Sb
−、(HO)F
5Sb
−、及びF
6As
−が挙げられる。他の有用なホウ素中心の非求核塩、並びに他の金属又は半金属を含んだ他の有用なアニオンが、当業者には(前述の一般式から)容易に明らかとなるため、前述の列挙は全てを網羅しようとしたものではない。
【0151】
好ましくは、アニオンX
−は、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロヒ酸塩、ヘキサフルオロアンチモン酸塩、及びヒドロキシペンタフルオロアンチモン酸塩から選択される(例えば、エポキシ樹脂などのカチオン反応性の化学種と共に使用するため)。
【0152】
好適なスルホニウム塩光開始剤の例としては、
トリフェニルスルホニウムテトラフルオロホウ酸塩
メチルジフェニルスルホニウムテトラフルオロホウ酸塩
ジメチルフェニルスルホニウムヘキサフルオロリン酸塩
トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロリン酸塩
トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモン酸塩
ジフェニルナフチルスルホニウムヘキサフルオロヒ酸塩
トリトリスルホニウムヘキサフルオロリン酸塩
アニシルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモン酸塩
4−ブトキシフェニルジフェニルスルホニウムテトラフルオロホウ酸塩
4−クロロフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロリン酸塩
トリ(4−フェノキシフェニル)スルホニウムヘキサフルオロリン酸塩
ジ(4−エトキシフェニル)メチルスルホニウムヘキサフルオロヒ酸塩
4−アセトニルフェニルジフェニルスルホニウムテトラフルオロホウ酸塩
4−チオメトキシフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロリン酸塩
ジ(メトキシスルホニルフェニル)メチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモン酸塩
ジ(ニトロフェニル)フェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモン酸塩
ジ(カルボメトキシフェニル)メチルスルホニウムヘキサフルオロリン酸塩
4−アセトアミドフェニルジフェニルスルホニウムテトラフルオロホウ酸塩
ジメチルナフチルスルホニウムヘキサフルオロリン酸塩
トリフロオロメチルジフェニルスルホニウムテトラフルオロホウ酸塩
p−(フェニルチオフェニル)ジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモン酸塩
10−メチルフェノキサチイニウム(phenoxathiinium)ヘキサフルオロリン酸塩
5−メチルチアントレニウムヘキサフルオロリン酸塩
10−フェニル−9,9−ジメチルチオキサンテニウム(thioxanthenium)ヘキサフルオロリン酸塩
10−フェニル−9−オキソチオキサンテニウムテトラフルオロホウ酸塩
5−メチル−10−オキソチアントレニウムテトラフルオロホウ酸塩
5−メチル−10,10−ジオキソチアントレニウムヘキサフルオロリン酸塩が含まれる。
【0153】
好ましいスルホニウム塩には、トリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモン酸塩(例えば、Sartomer Companyから入手可能なSarCat(商標)SR 1010)、トリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェート(例えば、Sartomer Companyから入手可能なSarCat(商標)SR 1011)及びトリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェート(例えば、Sartomer Companyから入手可能なSarCat(商標)KI85)などのトリアリール置換塩が挙げられる。
【0154】
好ましい光開始剤として、ヨードニウム塩(より好ましくはアリールヨードニウム塩)、スルホニウム塩、及びこれらの混合物が挙げられる。より好ましいのは、アリールヨードニウム塩及びこれらの混合物である。
【0155】
光反応性組成物の調製
反応種、多光子光増感剤、電子供与体化合物、及び光開始剤は、上述の方法によって又は当該技術分野において既知の他の方法で調製することができ、また、複数のものが商業的に入手可能である。これらの4つの構成成分は、「安全光」の条件下で、混合の任意の順序及び方法を使用して(任意選択的に、かき混ぜ又は攪拌を用いて)混合することができるが、ときには(貯蔵寿命及び熱的安定性の観点から)光開始剤を最後に(かつ、他の構成成分の溶解を促進するために任意選択で用いられる加熱工程の後に)添加するのが好ましい。溶媒を組成物の構成成分と目に付くほど反応しないように選定するという条件で、所望により溶媒を使用することができる。好適な溶媒として、例えば、アセトン、ジクロロメタン、及びアセトニトリルが挙げられる。反応種自体が、ときには他の構成成分の溶媒として働くことができる。
【0156】
光開始剤系の3つの成分は、光化学的に有効な量(上記で定義した)で存在する。一般に、組成物は、固体の総重量(すなわち、溶媒以外の構成成分の総重量)に基づいて、少なくとも約5重量%(好ましくは、少なくとも約10重量%、より好ましくは、少なくとも約20重量%)〜約99.79重量%まで(好ましくは約95重量%まで、より好ましくは約80重量%まで)の1つ以上の反応種と、少なくとも約0.01重量%(好ましくは少なくとも約0.1重量%、より好ましくは少なくとも約0.2重量%)〜約10重量%まで(好ましくは約5重量%まで、より好ましくは約2重量%まで)の1つ以上の光増感剤と、任意に約10重量%まで(好ましくは約5重量%まで)の1つ以上の電子供与体化合物(好ましくは少なくとも約0.1重量%、より好ましくは約0.1重量%〜約5重量%)と、約0.1重量%〜約10重量%の1つ以上の電子受容体化合物(好ましくは約0.1重量%〜約5重量%)と、を含むことができる。
【0157】
様々な補助剤を、望まれる最終用途に応じて光反応性組成物に含めることができる。好適な補助剤としては、溶媒、希釈剤、樹脂、結合剤、可塑剤、顔料、染料、無機又は有機の補強又は増量充填剤(組成物の総重量に基づいて約10重量%〜90重量%の好ましい量)、チキソトロープ剤、指示薬、阻害剤、安定化剤、紫外線吸収剤、及びその他の同種のものが挙げられる。そのような補助剤の量及び種類、並びにそれらの補助剤を組成物に添加する方式は、当業者なら周知であろう。
【0158】
非反応性高分子結合剤を組成物に、例えば、粘度を制御するために、またフィルム形成能をもたらすために含めることは、本発明の範囲内となる。そのような高分子結合剤は一般に、反応種と相溶性を有するように選定することができる。例えば、反応種に使用されているものと同じ溶媒に可溶であり、反応種の反応過程に悪影響を及ぼし得る官能基のない高分子結合剤を利用することができる。結合剤は、望ましいフィルム形成特性及び溶液レオロジーを達成するのに好適な分子量(例えば、約5,000〜1,000,000ダルトン、好ましくは約10,000〜500,000ダルトン、より好ましくは約15,000〜250,000ダルトンの分子量)のものにすることができる。好適な高分子結合剤としては、例えば、ポリスチレン、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(スチレン)−co−(アクリロニトリル)、セルロースアセテートブチラート、及びその他の同種のものが挙げられる。
【0159】
露光に先立って、結果として生じた光反応性組成物を、所望により、当業者に既知の種々のコーティング方法(例えば、ナイフコーティング及びスピンコーティングを含む)のうちのいずれかを用いて基材上にコーティングすることができる。基材は、様々なフィルム、シート、及び他の表面材(シリコンウエファー及びガラスプレートを含む)から、特定の用途及び利用する露光の方法に応じて選定することができる。好ましい基材は一般に、均一な厚さを有する光反応性組成物の層を調製できるように十分に平坦なものである。コーティングがさほど望ましくない用途の場合、光反応性組成物を、別法としてバルク形式で露光させることができる。
【0160】
露光システム及びその使用
発明の方法を実施するにあたり、光反応性組成物は、多光子吸収が行われる条件で光に露光され、それにより露光前の光反応性組成物と比べて異なる溶解度特性(例えば、特定の溶媒中でより小さい又はより大きい溶解度)の領域をもたらす。前記露光は、十分な光の強度を得ることができる任意の既知の手段で達成できる。
【0161】
使用可能な製造システムの1つの例示的な種類は、光源と、最終光学素子を備える光学システム(任意にガルボミラー(galvo-mirror)と、ビーム発散度を制御する望遠鏡と、を備える)と、移動可能なステージと、を含む。ステージ16は、1次元、2次元、又はより典型的には3次元で移動可能である。ステージ上に取り付けられた基板は、その上に光反応性組成物の層を有する。光源から生ずる光線は、光学システムを通過し、最終光学素子を通って離れ、層内の点Pに集中させ、それにより光の強度の3次元空間分布を組成物内で制御し、点Pの付近の光反応性組成物の少なくとも一部を、光線に露光直前よりも少なくとも1つの溶媒中でより可溶性に又はより可溶性でなくする。溶解度を変化させる、点Pの付近で露光された光反応性組成物の一部は、3次元の撮像素子、つまりボクセルである。
【0162】
光学システムの1つ以上の素子の移動と組み合わせてステージを移動するか、光線を向ける(例えば、ガルボミラー及び望遠鏡を使用してレーザー光線を移動する)ことにより、焦点Pを走査できるか、所望の形状に対応する3次元パターンに形を変えることができる。次に、生じた光反応性組成物の反応した部分又は部分的に反応した部分が、所望の形状の3次元構造体をもたらす。例えば、単一パスでは、微細ノズル金型パターンの1つ以上の穴形成部の表面輪郭(約1体積ピクセル、つまりボクセルに対応する)は、露光されるか、撮像されてよく、現像時には、その金型パターン又は微細ノズルの配列の製造に用いられる1つ以上のノズル穴形成部の形態になり得る。
【0163】
微細ノズル金型パターンの表面輪郭の露光又は撮像は、所望の3次元構造体の平面スライスの少なくとも周辺を走査し、次に複数の好ましくは平行の平面スライスを走査し、構造体を仕上げることにより行うことができる。スライス厚さは、ノズル穴形成部のそれぞれの形状にとって十分な高解像度を達成するように制御できる。例えば、より小さいスライス厚さは、より大きい構造テーパの領域で望ましく、高い構造忠実度の実現に役立つことができるが、より大きいスライスの厚さは、より小さい構造テーパの領域で利用され、有用な製造時間の維持に役立つことができる。このようにして、スライス厚さ未満(好ましくは、スライス厚さの約半分未満、より好ましくはスライス厚さの約4分の1未満)の寸法を有する非常に詳細な部は、製造速度(スループット、つまり単位時間であたり製造される微細ノズル金型パターン又は配列の、処理能力又は数)を犠牲にせずに達成できる。
【0164】
光源は、多光子吸収を行うのに十分な光の強度をもたらす任意の光源であってもよい。好適な光源には、例えば、アルゴンイオンレーザー(例えば、Coherent(Santa Clara,California)から「INNOVA」として入手可能なもの)により励起されるフェムト秒近赤外チタンサファイア発振器(例えば、Coherentから「MIRA OPTIMA 900−F」として入手可能なもの)が挙げられる。このレーザーは76MHzで動作し、パルス幅が200フェムト秒未満であり、700〜980nmの間で調整可能であり、平均出力が最大で1.4ワットである。別の有用なレーザーが、Spectra−Physics(Mountain View,California)から商品名「MAI TAI」として入手でき、750〜850ナノメートルの波長範囲内で同調可能であり、80メガヘルツの反復周波数、約100フェムト秒(1×10
−13秒)のパルス幅、1ワットまでの平均出力を有する。
【0165】
しかし、光反応性組成物に使用される多光子吸収剤に適した波長で多光子吸収を行うのに十分な強度を備える任意の光源(例えば、レーザー)を利用できる。こうした波長は通常、約300〜約1500nm、好ましくは約400〜約1100nmであり、より好ましくは約600〜約900nmであり、より好ましくは約750〜約850nmである(両端の値を含む)。通常、光フルーエンス(例えばパルスレーザーのピーク強度)は、約10
6W/cm
2よりも大きい。光フルーエンスの上限値は、光反応性組成物のアブレーション閾値によって一般的に表わされる。例えば、Q−スイッチNd:YAGレーザー(例えば、Spectra−Physicsから「QUANTA−RAY PRO」として入手可能なもの)、可視波長染料レーザー(例えば、Spectra−Physicsからの商品名「Quanta−Ray PRO」を有するQ−スイッチNd:YAGレーザーにより励起される、Spectra−Physicsから「SIRAH」として入手可能なもの)及びレーザーで励起されるQ−スイッチダイオード(例えば、Spectra−Physicsから「FCBAR」として入手可能なもの)も利用されてよい。
【0166】
好ましい光源は、パルス長さが約10
−8秒(より好ましくは約10
−9秒、最も好ましくは約10
−11秒)よりも小さい近赤外パルスレーザーである。上記のピーク強度及びアブレーション閾値の基準が満たされているかぎり他のパルス長さを用いることもできる。パルス放射は例えば、約1kHz〜約50MHzまで、又は更にそれ以上のパルス周波数を有し得る。連続波レーザーを使用することもできる。
【0167】
光学システムは、例えば、屈折性光学素子(例えばレンズ又はマイクロレンズアレイ)、反射性光学素子(例えば、再帰反射体又は集束ミラー)、回折性光学素子(例えば、回折格子、位相マスク、及びホログラム)、偏光光学素子(例えば、直線偏光子及び波長板)、分散性光学素子(例えばプリズム及び回折格子)、拡散体、ポッケルスセル、光導体などを有し得る。こうした光学要素は、集束、ビーム供給、ビーム/モード成形、パルス成形、及びパルスタイミングに有用である。一般に、光学要素は組み合わせて使用することができるが、他の適当な組み合わせも当業者によって認識されるであろう。最終光学素子は、例えば、1つ以上の屈折、反射及び/又は回折光学素子を含むことができる。ある実施形態では、例えば、顕微鏡検査で使用されるような対物レンズを、例えば、Carl Zeiss,North America(Thornwood,New York)などの供給業者から容易に入手でき、最終光学素子として使用することができる。例えば、放射光システムは、開口数(NA)0.75の対物レンズ(例えばCarl Zeiss,North Americaより「20X FLUAR」の商品名で販売されるもの)を備えた走査型共焦点顕微鏡(例えばBio−Rad Laboratories(Hercules,California)より「MRC600」の商品名で販売されるもの)を含んでよい。
【0168】
比較的開口数の大きな光学要素を使用して高度に集束された光を与えることがしばしば望ましい。しかしながら、所望の強度プロファイル(及びその空間的配置)を与える光学要素の任意の組み合わせを使用することができる。
【0169】
露光時間は一般的に、光反応性組成物中の反応性化学種の反応を引き起こすために用いられる露光システムの種類(及び、開口数、光強度の空間的分布の形状、レーザーパルスの間のピーク光強度(より高い強度及びより短いパルス幅がピーク光強度に概ね相当する)などのこれに付随する変量)、並びに光反応性組成物の性質に依存する。一般的に、他の全ての条件が等しい場合、焦点領域のピーク光強度が高いほど、露光時間は短くなる。一般に一次元撮像又は「書込み」速度は、約10
−8〜10
−15秒(例えば、約10
−11〜10
−14秒)及び約10
2〜10
9パルス/秒(例えば、約10
3〜10
8パルス/秒)のレーザーパルス持続時間の使用により約5〜100,000マイクロメートル/秒であることができる。
【0170】
露光された光反応性組成物の溶媒現像を容易にし、製造された微細ノズル金型パターン構造を得るため、光の閾値投与量(すなわち、閾値投与量)が利用できる。この閾値投与量は、通常はそのプロセスに固有のものであり、例えば、波長、パルス周波数、光の強度、特定の光反応性組成物、製造される特定の微細ノズル金型パターン構造、又は溶媒現像に使用されるプロセスなどの変量に依存し得る。したがって、プロセスのパラメータの群のそれぞれを通常、閾線量によって特徴付けることができる。閾値より高い光の投与量が使用でき、有益である場合があるが、より高い投与量(閾値投与量を超える1回)は、典型的により遅い書込み速度及び/又はより高い光の強度の状態で使用できる。
【0171】
光の線量を増大させると、プロセスによって生成するボクセルの体積及びアスペクト比が増大する傾向がある。したがって、低アスペクト比のボクセルを得るため、一般に、閾値投与量の約10倍未満、好ましくは閾値投与量の約4倍未満、及びより好ましくは閾値投与量の約3倍未満である、光投与量を使用することが好ましい。低アスペクト比のボクセルを得るため、光線の放射状強度特性は、好ましくはガウス形である。
【0172】
多光子吸収によって、光線は、非露光光反応性組成物のものと異なる溶解特性を有する物質の容積領域を製造する光反応性組成物内の反応を誘発する。得られた異なる溶解度のパターンは、従来の現像プロセスによって、例えば、露光又は未露光領域のいずれかを除去することにより実体化することができる。
【0173】
露光した光反応性組成物は、例えば、露光した光反応性組成物を溶媒中に置いて溶媒に対する溶解度の高い領域を溶解することにより、溶媒で洗浄することにより、蒸発により、酸素プラズマエッチングにより、他の公知の方法により、及びこれらの組み合わせにより、現像することができる。露光した光反応性組成物を現像するために使用することが可能な溶媒には、例えば、水(例えばpHが1〜12の範囲であるもの)、及び水と有機溶媒(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンなど、及びこれらの混合物)との相溶性混合物のような水性溶媒、並びに有機溶媒が含まれる。例示的な有用な有機溶媒としては、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、及びプロパノール)、ケトン類(例えば、アセトン、シクロペンタノン、及びメチルエチルケトン)、芳香族化合物類(例えば、トルエン)、ハロカーボン類(例えば、塩化メチレン、及びクロロホルム)、ニトリル類(例えば、アセトニトリル)、エステル類(例えば、酢酸エチル及びプロピレングリコールメチルエーテルアセテート)、エーテル類(例えば、ジエチルエーテル、及びテトラヒドロフラン)、アミド類(例えば、N−メチルピロリドン)など、及びこれらの混合物が挙げられる。。
【0174】
多光子吸収条件下で露光後、ただし溶媒現像の前に必要に応じて焼成処理を行うことが例えばエポキシタイプの反応性化学種などの一部の光反応性組成物において有用な場合がある。一般的な焼成条件としては、約40℃〜約200℃の範囲の温度で、約0.5分〜約20分の範囲の時間である。
【0175】
所望により、微細ノズル金型パターン、つまり配列の表面輪郭だけの露光、好ましくはそれに次いで溶媒現像の後、化学線を用いた非撮像的露光を行い、残りの未反応光反応性組成物の反応を行ってもよい。このような非画像様の露光は1光子法を用いて好ましくは行うことができる。
【0176】
複雑な3次元微細ノズル及び微細ノズル配列は、この方法で調製できる。
【0177】
実施形態
微細構造の実施形態
図26A〜26Fを参照すると、ノズル穴形成部、つまり微細構造の一実施形態は、湾曲側部804と、その微細構造頂部802の形状によって示されるように、円形の穴出口を形成するように構成されている平面制御空洞形成部800と、に加えて、円形基部806を備える。
【0178】
図27を参照すると、ノズル穴形成部、つまり微細構造の別の実施形態は、湾曲側部812と、その微細構造頂部810の形状によって示されるように、円形の穴出口を形成するように構成されている平面制御空洞形成部808と、に加えて、円形基部814を備える。湾曲側部812は、離間され、互いに平行であり、基部814と頂部810とのほぼ中間を始点とする、複数の円周方向溝816の形態の一連の第1の環状流体流遮断部を備える。第2の一連のかかる部818は互いに隣接して配設され、基部814の隣に形成される。
図28のノズル穴形成部、つまり微細構造は、湾曲側部824と、その微細構造頂部822の形状によって示されるように、円形の穴出口を形成するように構成されている平面制御空洞形成部820に加えて、円形基部828を備える。湾曲側部824は、様々な、分離している、又は尖っている流体流源遮断部825、826、及び827を備える。流体流遮断部とは、ノズル貫通穴の内面に向けると、ノズル貫通穴を通過して流出する流体を遮断する部である。このような部には例えば、ノズル貫通穴を通過して流出する流体に(a)空洞化、(b)乱流、(c)圧波のいずれか、又はこれらの組み合わせを引き起こすか、又は誘発し、結果として、ノズル穴出口を超えて流出する流体に変化をもたらす部が挙げられる。
【0179】
図29のノズル穴形成微細構造は、湾曲側部834と、その微細構造頂部832の形状によって示されるように、円形の穴出口を形成するように構成されている平面制御空洞形成部830と、に加えて、円形基部836を備える。湾曲側部834は、対応するノズル貫通穴を通過して流出する流体が穴出口を通過して出る前に、この流体を複数回収束させ、分岐させる2つ又は複数の収束/分岐流体流部を備えるように構成される。
図30のノズル穴形成微細構造は、湾曲側部842と、その微細構造頂部840の形状によって示されるように、円形の穴出口を形成するように構成されている平面制御空洞形成部838と、に加えて、円形基部844を同様に備える。湾曲側部842は、
図29の実施形態と同様に構築されるが、ノズル貫通穴を流出する流体が穴出口を通過して出る前に、流体を1回収束させ、分岐させる単一の収束/分岐流体流部を備える。
【0180】
図31A〜31Bを参照すると、別のノズル穴形成微細構造は、曲線側部850と、その微細構造頂部848の星形によって示されるように、星形の穴出口を形成するように構成されている平面制御空洞形成部846と、に加えて、円形基部852を備える。
図31Bは、平面制御空洞形成部846が除去された状態であり、対応する穴出口に予測される星形を示す、
図31Aの微細構造を示す。星形頂部848、ひいては対応する穴出口は、車輪のスポークのように中心部848aから延びる複数の矩形スロット、つまり分岐部848bによって画定される。5つの矩形スロット848bを示しているが、他の分岐形状及び異なる数の分岐部が望ましい場合がある。側部850は、分岐部848bのそれぞれに湾曲部850aと、直線部850bと、を備える。
【0181】
図32A及び32Bのノズル穴形成微細構造は、曲線側部858と、その微細構造頂部880の形状によって示されるように、十字形、つまりX形の穴出口を形成するように構成されている平面制御空洞形成部854と、に加えて、円形基部860を備える。
図32Bは、平面制御空洞形成部854が除去された状態であり、対応する穴出口に予測される形状を示す、
図32Aの微細構造を示す。頂部856、ひいては対応する穴出口は、車輪のスポークのように中心部856aから延びる4つの矩形スロット、つまり分岐部856bによって画定される。側部858は、分岐部856bのそれぞれに湾曲部858aと、直線部858bと、を備える。
【0182】
同様に、
図33のノズル穴形成微細構造は、曲線側部866と、その微細構造頂部864の形状によって示されるように、十字形、つまりX形の穴出口を形成するように構成されている平面制御空洞形成部862に加えて円形基部868を備える。頂部864、ひいては対応する穴出口は、車輪のスポークのように中心部から延びる4つの矩形スロット、つまり分岐部によって画定される。側部866は、分岐部それぞれに湾曲部866aと、直線部866bと、を備える。
図34のノズル穴形成微細構造は、曲線側部874と、その微細構造頂部872の形状によって示されるように、十字形、つまりX形の穴出口を形成するように構成されている平面制御空洞形成部870と、に加えて、円形基部876を備える。頂部872、ひいては対応する穴出口は、車輪のスポークのように中心部から延びる4つの矩形スロット、つまり分岐部によって画定される。側部874は、分岐部それぞれに湾曲部874aと、直線部874bと、を備える。基部876は、円周方向に湾曲したフィレット874cによって側部874に連結される。
図35のノズル穴形成微細構造は、曲線側部882と、その微細構造頂部880の形状によって示されるように、十字形、つまりX形の穴出口を形成するように構成されている平面制御空洞形成部878と、に加えて、円形基部884を備える。頂部880、ひいては対応する穴出口は、車輪のスポークのように中心部から延びる4つの矩形スロット、つまり分岐部によって画定される。側部882は、分岐部それぞれに湾曲部882aと、直線部882bと、を備える。同様に、
図36のノズル穴形成微細構造は、曲線側部890と、その微細構造頂部888の形状によって示されるように、十字形、つまりX形の穴出口を形成するように構成されている平面制御空洞形成部886と、に加えて、基部892を備える。頂部888、ひいては対応する穴出口は、車輪のスポークのように中心部から延びる4つの矩形スロット、つまり分岐部によって画定される。側部890は、分岐部それぞれに湾曲部890aと、直線部890bと、を備える。
【0183】
その一方で、
図37のノズル穴形成微細構造は円形基部898を備えるが、直線側部897と、その微細構造頂部896の形状によって示されるように、十字形、つまりX形の穴出口を形成するように構成されている平面制御空洞形成部894と、を備える。頂部896、ひいては対応する穴出口は、車輪のスポークのように中心部から延びる4つの矩形スロット、つまり分岐部によって画定される。側部897は、分岐部それぞれに第1の直線部897aと、第2の直線部897bと、を備える。
【0184】
図38A〜38Dを参照すると、ノズル穴形成微細構造の異なる実施形態は、曲線側部1104と、その微細構造頂部1102の形状によって示されるように、単一の矩形スロット形の穴出口を形成するように構成されている平面制御空洞形成部1100と、に加えて、半円形基部1106を備える。頂部1102、ひいては対応する穴出口は、単一の矩形スロットによって画定される。側部1104は、単一の湾曲部1104aと、直線部1104bと、を備える。
【0185】
所定のノズル穴形成微細構造に上述の任意の2つ以上の部を組み合わせることが望ましい場合がある。
【0186】
図31〜36及び38の微細構造の曲線側部構造(すなわち、湾曲部分と直線部分のそれぞれのセット)、並びに
図37の微細構造の直線側部構造は、ノズル貫通穴を画定する内面に沿った2つ以上の異なる経路に沿って流出する流体の結果として、2つ以上の異なる力ベクトルにおいて、その中を流出する流体の別の部分をその穴出口に向かって移動させ、その穴出口に達するようにさせる、対応する内面を有するノズル貫通穴をもたらすと考えられている。また、このような異なる力ベクトルは、流体が穴出口を出るときに流体を剪断させ、次に、最終的には穴出口を超えて流体のより小さい液滴を形成させると考えられている。流体が穴出口を出るときに流体に加える剪断力を増加させると、更に小さい液滴をもたらすことが更に理論化されている。また、車輪のスポークのように中心部から延びるスロット、つまり分岐部を有するノズル貫通穴(例えば、
図31〜37の微細構造など)については、このような剪断力は、流体が穴出口から出るときに、スロットのそれぞれ、つまり分岐部から流出する流体を、分岐部の数に等しい別個の流れの数に分離させると考えられている。更に、これらの流れのそれぞれは、最終的に、分岐した穴出口と同一の総開口面積の円形穴又は矩形穴から形成される液滴よりも小さい液滴に形成されると考えられている。これらのより小さい液滴は、同一の総出口開口面積の単一の円形穴出口又は矩形穴出口から形成された液滴と比較すると、およそ、つまりほぼ穴出口を形成する分岐部の数で除した小ささであってよい。
【0187】
図39A〜39Cを参照すると、金型形成微細構造化パターン1116の一実施形態は、中央に位置する複製ノズル穴形成微細構造、つまり部1108、複製平面制御空洞形成部1112、及び複製追加流体吸入チャネル形成部1114の単一の群、つまり配列である。微細構造化パターン1116は、上記の教示に従って多光子を同時に吸収することにより多光子反応を受けることができる材料1135を用いて、基板1110上に形成される。
図40A〜40Cを参照すると、
図39の金型形成微細構造化パターン1116を用いて形成された微細構造化ノズル1118は、パターン1116の中心部に位置するノズル貫通穴1122のクラスタと、一連の離間された追加流体吸入チャネル1120と、を含む。貫通穴1122のそれぞれが、穴入口1128を穴出口1124に連結する内面1126を備える。示すように、ノズル貫通穴1122の穴入口1128はノズルプレート1118の中心部に緊密に詰められているが、穴出口1124は離間されている。これは、穴入口1128の面積が穴出口1124の面積よりも著しく大きいために可能である。チャネル1120のそれぞれが、貫通穴クラスタの外側周辺部に位置する1つの貫通穴1122aのみに連結される。残りの貫通穴1122bは、どのチャネル1120にもそのようには連結されない。チャネル1120を使用して、他の貫通穴1122bに供給する流体源から独立した流体源からノズル1118を通過して追加の流体を供給することができる。
【0188】
本発明のノズルの貫通穴出口の寸法(例えば、直径)は、非常に小さくなり得るので、本発明のノズルの貫通穴入口は、例えば、
図40及び41に示すように、非常に近接して配設され得る、つまり緊密に詰められ得る。このように貫通穴入口を緊密に詰めることにより、貫通穴入口開口部間の表面積を除去するか、少なくとも著しく低減できるため、このように貫通穴入口を緊密に詰めると、ノズルを通過する流体によって、ノズルの入口側表面に対して及ぼされる任意の有害な背圧を少なくとも低減できるか、更にはこの背圧の全て、大部分、又は少なくとも相当量を除去できる。穴入口が穴出口よりも大きい場合、背圧の低減は、徐々に小さくなる内壁を有するか、ないしは別の方法で穴入口から穴出口にかけて湾曲した弧を備える貫通穴を用いることによっても促進される。
【0189】
図41の微細構造化ノズル1130は、別のパターンのノズル貫通穴1134と、別の追加流体吸入チャネル1132と、を備える。示すように、ノズル貫通穴1132の群、つまり配列は2つ存在する。一方の貫通穴1134aの群は、ノズルプレート1130の外周辺部に隣接して位置する円形パターン内にある。他方の貫通穴1134bの群は、ノズル1130の中心部に位置する。追加流体吸入チャネル1132のそれぞれが、ノズル貫通穴の外環を形成する貫通穴1134aの1つのみに連結されている。
【0190】
図42A及び42Bを参照すると、金型形成微細構造化パターン1136の別の実施形態は、複製ノズル穴形成微細構造、つまり部1138の群、つまり配列を2つ含み、対応する複製平面制御空洞形成部はオプションであり、追加の、又は別の少なくとも3つ、好ましくは4つの複製平面制御空洞形成部1142のセットを備える複製環状ノズル分離部1140は、複製分離環1140上に配設される。複製ノズル穴形成微細構造1138aの1つの群は分離環1140に隣接して位置する円形パターン内にあり、他の群の複製ノズル形成微細構造1138bは、金型形成微細構造化パターン1136の中心部に位置する。微細構造化パターン1136は、上記の教示に従って基板1110上に形成される。複製平面制御空洞形成部1142が複製分離環1140上に形成されると、複製ノズル穴形成微細構造1138は、独自の複製平面制御空洞形成部を必要としない場合がある。あるいは、部1142を用いるか、又は微細構造1138のそれぞれの複製平面制御空洞形成部を用いる代わりに、複製平面制御空洞形成部を有する複製ノズル穴形成微細構造1138の数は、少なくとも3、好ましくは4に限定され得る。製造を容易にするために、複製分離環1140は、一度に1つではなく、一度に一群のノズルを製造することが望ましい場合に用いられる、2つ以上の複製ノズル連結部1144を備えてよい。この部1144については、以下でより詳細に記載する。金型形成微細構造化パターン1136は、微細構造化金型パターン、つまり第1の金型1146(破線で図示)を形成するために用いることができる。
【0191】
図43A〜43Dを参照すると、
図42の金型形成微細構造化パターン1136を用いて作製した微細構造化金型パターン、つまり第1の金型1146はパターン1136のネガティブ像であり、第1の金型1146は、複製ノズル穴1148aの対応する外環と、複製ノズル穴1148bの中央クラスタと、同数の複製平面制御空洞1152及びノズル連結溝1154を含む環状分離チャネル1150と、を有する。
【0192】
図44A及び44Bを参照すると、ノズル形成微細構造化パターン1156は、
図43の微細構造化金型パターン1146を用いて作製される。パターン1156は、ノズル穴形成微細構造、つまり部1158の2つの群つまり配列を含み、対応する平面制御空洞形成部は任意であり、追加の又は別の少なくとも3、好ましくは4つの平面制御空洞形成部1162のセットを有する環状ノズル分離部1160は複製分離環1160上に配設される。ノズル穴形成微細構造1158aの1つの群は分離環1160に隣接して位置する円形パターン内にあり、他の群のノズル穴形成微細構造1158bは、微細構造化金型パターン1146の中心部に位置する。微細構造化金型パターン1146は、上記の教示に従って微細構造化金型パターン1146を用いて、例えば、射出成形によって形成された一体構造である。平面制御空洞形成部1162が分離環1160上に形成されると、ノズル穴形成微細構造1158は、独自の複製平面制御空洞形成部を必要としない場合がある。あるいは、部1162を用いるか、微細構造1158それぞれの平面制御空洞形成部を用いるのかではなく、平面制御空洞形成部を有するノズル穴形成微細構造1158の数は、少なくとも3、好ましくは4に限定され得る。
【0193】
製造を容易にするために、複製分離環1160は、一度に1つのノズルではなく、一度に一群のノズルを製造することが望ましい場合に用いられる、2つ以上のノズル連結部1164を備えてよい。例えば、
図46の連結されているノズル1166の任意の所望の長さの直線配列は、
図45に示すように、最初にそれぞれの連結部1164において、ノズル形成微細構造化パターン1156の直線配列を揃えることによって作製できる。同様に、連結されているノズル1166の任意の所望の領域の平面配列(図示なし)は、分離環1160のそれぞれに必要数の追加連結部1164を形成して、隣接するノズル1166間に少なくとも1つの連結部、つまりランナー1170を形成することによって作製することもできる。連結部1164の数及び位置は、個別のノズル形成微細構造化パターン1156の配置に使用される所望の詰め込みパターン(例えば、緊密に詰められた六角形、立方体など)に応じて異なる。次いで、例えば、好適な材料を隣接パターン1156のそれぞれに堆積させることにより、対応するノズルプリフォーム1165の配列が形成される。次に、プリフォーム1165の配列が、パターン1156の対応する穴形成部1158a及び1158bによって形成される、ノズル貫通穴1168a及び1168bのそれぞれに所望の寸法の穴出口が見えるようにするために必要な高さ1167までその露出面を平坦化させる。連結部1164のために、得られたノズル1166の配列は、(例えば、破断、切断などによって)容易に切断されて個別のノズル1166を分離できる、ランナー、つまり連結部1170によって連結される。したがって、得られたノズル1166の配列全体は、パターン1156の配列から一体的に取り外して、必要に応じて個別のノズル1166を取り外すことができる。
【0194】
図47は、ノズル形成微細構造化パターン及びその上に堆積される対応する多成分ノズルプリフォームの概略的断面側面図である。
【0195】
図47を参照すると、ノズルプリフォーム(例えば、
図1Jを参照)の作製時には、1つ以上の初期層1127及び1つ以上の材料の1186は、ノズルプリフォーム穴(すなわち、ノズル貫通穴)の内面を含む、得られるノズルプリフォーム(すなわち、ノズル)の入口側面を形成するように、ノズル穴形成部1182及び平面制御空洞形成部1184を有するノズル形成微細構造化パターン1194の上に堆積できるか、ないしは別の方法で塗布できる。次いで、1つ以上の他の材料の1つ以上の他の層1188、1190及び1192を堆積させて、ノズルプリフォームの形成を完了できる。次いで、破線に沿って部1184及び対応する塗布材料を除去することによって、上述のように対応するノズルを作製できる。同様に、更に、又はあるいは、微細構造化金型パターン、つまり第1の金型(例えば、
図1Dを参照)の作製時には、初期層1127及び1186は、第1の金型の入口側面を形成するように堆積できる、ないしは別の方法で塗布できる。他層1188、1190、及び1192は、第1の金型のバルクのバルクつまり残部を形成するように、同一又は別の方法で堆積できる、ないしは別の方法で塗布できる。
【0196】
例示のみを目的として、層1127はシード層であり、電気伝導性を微細構造化パターン1194の表面に付与してよい。次層1186は、構造層及び/又は性能付与層であってよい。層1188は、ノズル及び/又は第1の金型の残部の大部分又は全てを構成するバルク層であってよい。次いで、層1190及び1192のうちの1つ若しくは両方は任意であってよい、又はノズル及び/若しくは第1の金型の残部に所望の構造特性及び/若しくは性能特性を付与するために塗布されてよい。
【0197】
このようにして、例えば、第1の金型及び/又はノズルは、より高い性能及び/又はより高価な材料(例えば、電着された高温腐食及び/又は耐摩耗性金属)によって形成された入口側面を有することができ、第1の金型及び/又はノズルのバルクつまり残部は、低性能材料及び/又は低価格材料を用いて形成される。したがって、低価格材料は、第1の金型及び/又はノズルのバルクの作製に用いることができ、実質的に性能を犠牲にする必要はない。燃料噴射器ノズルを作製する本プロセスはまた、貫通穴の機械加工を伴うニアネットシェイプ成形を用いる既存の、従来のノズル製造プロセスよりも(例えば、より少ないプロセスを含むことにより)効率的かつ低費用になり得る。
【0198】
図48を参照すると、本発明のノズルは、封止材1174に対して封止する制御弁1180と、一連の貫通穴1178を有するノズル1178を有し、通常その周辺部1176から封止材1174に沿って溶接されているノズルプレート1178と、を備える従来の燃料噴射器1772内で使用可能である。
【0199】
追加の実施形態
方法の実施形態
1.ノズルを作製する方法であって、該方法は以下を含む。
(a)複数の複製ノズル穴と、複数の複製平面制御空洞と、を含み、金型の少なくとも一部を画定する微細構造化金型パターンを準備すること(複製ノズル穴のそれぞれは、少なくとも1つの複製平面制御空洞に連結されていても(例えば、流体連通している)、連結されていなくてもよい)。
(b)微細構造化金型パターンを用いて第1の材料をノズル形成微細構造化パターンに成形することであって、該ノズル形成微細構造化パターンが、複数のノズル穴形成部と、複数の平面制御空洞形成部と、を含むこと。(ノズル穴形成部のそれぞれが、少なくとも1つの平面制御空洞形成部に連結されていても(例えば、流体連通している)、連結されていなくてもよい)、を含む。ノズル穴形成部は、実質的に複製ノズル穴のネガティブ複製(すなわち、全部分、大部分、又は少なくとも相当部分のネガティブ複製)であり、平面制御空洞形成部は、複製平面制御空洞の実質的にネガティブ複製(すなわち、全部分、大部分、又は少なくとも相当部分のネガティブ複製)である。
(c)ノズル形成微細構造化パターンを用いて第2の材料をノズルプリフォームに焼結する、金属射出成形(MIM)する、電着させる、ないしは別の方法で堆積させるか、形成することであって、ノズルプリフォームは、複数のノズルプリフォーム穴と、複数の犠牲平面制御空洞と、備える。ノズルプリフォーム穴のそれぞれが入口開口部を備え、少なくとも1つの犠牲平面制御空洞に連結されていても(例えば、流体連通している)、連結されていなくてもよい。ノズルプリフォーム穴は、実質的にノズル穴形成部のネガティブ複製(すなわち、全部分、大部分、又は少なくとも相当部分のネガティブ複製)であり、犠牲平面制御空洞は、実質的に平面制御空洞形成部のネガティブ複製(すなわち、全部分、大部分、又は少なくとも相当部分のネガティブ複製)である。つまり、ノズルプリフォーム穴は、実質的に複製ノズル穴のポジティブ複製(すなわち、全部分、大部分、又は少なくとも相当部分のポジティブ複製)であり、犠牲平面制御空洞は、複製平面制御空洞の実質的にポジティブ複製(すなわち、全部分、大部分、又は少なくとも相当部分のネガティブ複製)である。
(d)ノズルプリフォームから少なくとも1つのノズルを形成することであって、ノズルプリフォームの上面をノズルの平面的な上面に形成し(すなわち、上面を平坦化し)、穴入口と、内面によって画定された空洞によって穴入口に連結されている(例えば、流体連通している)穴出口と、を備える完成ノズル貫通穴にノズルプリフォーム穴のそれぞれを形成するように、犠牲平面制御空洞を除去するのに十分な第2の材料を除去する(例えば、放電加工、機械的研削などによって)こと、を含む。ノズルはまた、平面的な下面と、平面的な上面と、を有し、平面的な下面は、互いに平行であるか、互いに鋭角であってよい。
【0200】
2.第2の材料が複数の異なる第2の材料を含み、得られるノズルプリフォームが、ひいてはノズルが、層毎に異なる第2の材料からなる堆積物を含むか、ないしは別の方法で多層(すなわち、2、3、4、5以上)を含むように、ノズルプリフォームがノズル形成微細構造化パターンの全体、大部分、又は少なくとも相当部分の上に層として第2の材料のそれぞれを個別に堆積させることによって形成される、実施形態1に記載の方法。
【0201】
3.複数の異なる第2の材料が、少なくとも3種類の異なる第2の材料であり、ノズル形成微細構造化パターンの上に層として堆積された第2の材料のうちの第1の材料が導電性層を形成する、実施形態2に記載の方法。
【0202】
4.多層のいずれもが薄い導電性シード層の形態ではない、実施形態2又は3に記載の方法。
【0203】
5.多層の少なくとも1つが、ノズル形成微細構造化パターンの上に堆積される第1の層であり、内燃機関の燃焼室に燃料と共に供給されるように、燃焼される(すなわち、燃やされる)燃料(例えば、ガソリン、アルコール、ディーゼル燃料など)に十分に溶解する形態である燃焼触媒(例えば、パラジウム、プラチナ、金、ルテニウム、ロジウム、及びイリジウム)、腐食防止剤、燃焼副産物沈着阻害剤、セラミック、合金、又は燃料流速(例えば、燃料とノズルの内部表面との間の境界面において、ノズルを通過する流体と接触する層の表面が低摩擦を示す場合)、燃料混合への空気、及び/若しくはノズルを備える燃料噴射器と内燃機関の燃焼室に曝露されているノズルの外側との間での所望の熱伝導を促進する層の形態の任意の他の材料である、実施形態2〜4に記載の方法。
【0204】
ノズル形成微細構造化パターンの上に層として堆積される第2の材料はまた、第1の堆積層がノズルを通過する燃料との相溶性を有する第2の材料で作製され、最終層が内燃機関の燃焼室の内側の環境に曝露されるのに好適な第2の材料で作製され、第1の層と最終層との間に堆積される少なくとも1つの他の層は、第1の層、最終層、又は第1の層若しくは最終層のいずれかとしては好適ではない場合があるが、他の望ましい特性(例えば、比較的安価である、望ましい熱的特性、振動特性、及び/又は音響特性などを有する)を有する第2の材料で作製されるように選択され得る。燃焼触媒が層の1つとして用いられる場合、それは堆積される第1の層であり、シード層として機能してもよい。得られる層が比較的多孔性である(すなわち、比較的低密度を有する)ように燃焼触媒材料を堆積させて、堆積させた燃焼触媒材料とノズルを通過する燃料との境界表面積を著しく増加させることが望ましい場合がある。
【0205】
6.第1の材料が第2の材料とは異なる、実施形態1〜5のいずれか1つに記載の方法。
【0206】
7.微細構造化金型パターンの複製ノズル穴のそれぞれが少なくとも1つ以上の流体流影響(例えば、遮断)部を備える内面を有する、実施形態1〜6のいずれか1つに記載の方法。複製ノズル穴それぞれの流体流影響部は、ノズル形成微細構造化パターンの対応するノズル穴形成部の外面にネガティブ複製として複製され、次いで、ノズルプリフォームの対応するノズルプリフォーム穴の内面(すなわち、完成ノズルの対応する貫通穴の内面)にポジティブ複製として複製されるように、構成される(すなわち、寸法、形状、及び設計)。
【0207】
流体流影響部は、ノズル貫通穴の内面に複製された場合、ノズルを出る流体によって形成される流れ、噴霧、帯、液滴のプリューム、又は個別の液滴に良い影響を及ぼすように、発生させる、ないしは別の方法で例えば、空洞化にする、乱流を誘発する、ないしは別の方法でノズルを通過する流体(例えば、液体燃料)の流れを妨げるか遮断することが意図されている、複製ノズル穴の内面にある構造部である。これらの流体流影響部は、例えば、バンプ、連続環状隆起部、離間された不連続隆起部(例えば、ノズル貫通穴の内面の周り又はノズル貫通穴の縦軸に沿って同心円状に形成される)、リブレット(例えば、ノズル貫通穴を通過する流体流に垂直又は平行)、並びに本発明の方法に適合する他の成形構造障害物の形態であってよい。このような流体流影響部は、ノズルから出る流体(例えば、液体燃料)を噴霧化させるのに役立ち得ると考えられる。液体燃料の噴霧化の程度及び燃焼室の内側のプリューム形状は、燃料消費及び内燃機関の排気物質の両方に影響を与えると考えられる。
【0208】
8.微細構造化金型パターンが、少なくとも1つの複製ノズル穴を(a)少なくとも1つの他の複製ノズル穴、(b)微細構造化金型パターンの外側周辺部を超えた金型の部分、又は(c)(a)及び(b)の両方、に連結させる、少なくとも1つ以上の流体(すなわち、ガス又は液体)チャネル、つまりアンダーカット部を含む、実施形態1〜7のいずれか1つに記載の方法。微細構造化金型パターンの流体チャネル部は、対応するネガティブ複製、つまり隆起部がノズル形成微細構造化パターンの上面に複製され、次いで、ノズルプリフォーム(すなわち、完成ノズル)の内面にポジティブ複製、つまりチャネル部として複製されるように、構成される(すなわち、寸法、形状、及び設計)。これらのチャネル部は、(a)噴射器の主燃料源とは別個の別の源からの所望の数のノズル貫通穴の燃料流に追加の流体(例えば、ガス又は液体燃料、空気、油、燃料添加剤、触媒など)を挿入するため、(b)流体連通している2つ以上のノズル貫通穴を連結させて、例えば、非連結ノズル貫通穴に対して連結されているノズル貫通穴内の流体流速及び/若しくは圧力を調整するため、(c)収束及び/若しくは分岐ノズルと併用するため、(d)衝突燃料流を発生させて燃料の噴霧化を向上させるため、(e)燃料レール圧を低下させるため、(f)燃焼室(すなわち、エンジンシリンダー)から空気を引き出して、ノズル貫通穴を流れる燃料流に還流させ、これらに方向付けて燃料の噴霧化を向上させるため、(g)(a)〜(f)の任意の組み合わせ、及び任意の他の所望の理由のために、例えば、追加ポートとして使用するように設計され得る。
【0209】
9.微細構造化金型パターンの少なくとも3つの複製ノズル穴のそれぞれが、少なくとも1つの複製平面制御空洞に連結されている(例えば、流体連通している)、実施形態1〜8のいずれか1つに記載の方法。複製ノズル穴の全てが、そのように複製平面制御空洞に連結されていることが望ましい場合がある。
【0210】
10.微細構造化金型パターンが複製ノズル穴の配列、つまりパターンを画定し、その配列が周辺部を有し、少なくとも3つの複製ノズル穴及び連結されている複製平面制御空洞がアレイの周辺部上で離間されている、実施形態9に記載の方法。
【0211】
11.複製ノズル穴のそれぞれ及びその連結されている複製平面制御空洞が、対応する犠牲平面制御空洞を除去すると、ノズルの平面的な上面を形成するように構成され(すなわち、寸法、形状、及び設計)、ノズル貫通穴は少なくとも1つの流体流制御部、つまり出力(例えば、燃料流、つまりプリューム)形状制御部を形成するように構成されている、実施形態9又は10に記載の方法。
【0212】
このような部は、ノズル貫通穴を出る流体の形状を制御するために使用できる。例えば、このような部を用いて、所望の寸法、形状、及び分布の燃料液滴を有する燃料プリュームを形成するために、ノズル貫通穴から流出する燃料流を制御(例えば、細分化)できる。このような流体出力形状制御部は、(a)例えば、
図31〜37に示すような星形、十字形、つまりX形を有する、ノズル貫通穴出口開口部、(b)例えば、
図14に示し、
図9Aに図示するように、螺旋状の溝が彫られ、ノズル貫通穴を流出する流体がノズル貫通穴の対応する出口開口部を通過して出る前に、対応するノズル貫通穴の縦軸の周囲方向への回転を付与するノズル貫通穴内面、(c)少なくとも1つ、2つ、若しくはそれ以上の湾曲内面(例えば、4分の1円状の内面)及び少なくとも1つ、2つ、若しくはそれ以上のスロット形状の出口開口部をそれぞれ有し、このようなノズル貫通穴それぞれの湾曲内面が、例えば、
図31〜36、及び38に示すように、出口開口部を通ってノズル貫通穴の縦軸から所定の角度で(例えば、鋭角)で流体を流出させるように構成されている、少なくとも1つ又は複数のノズル貫通穴、又は(d)(a)〜(c)の任意の組み合わせを備えてよい。
【0213】
本明細書の他の箇所に記載した関連教示に加えて、ノズル貫通穴を離れる際に流体の方向を制御することによって(例えば、ノズル貫通穴の湾曲、つまり4分の1円状の内面の相対配向を調節することにより)、得られる流体出力(例えば、流体液滴の流れ及び/又はプリューム)を所望に応じて方向付けることができることも判明している。例えば、燃料流及び/若しくはプリュームを内燃機関の燃焼室、炉などの内側の1つ以上所望の位置に方向付けるため、又は例えば、エンジンピストン、弁、及び/若しくは内燃機関の燃焼室壁上での燃料の衝突を回避するために、燃料流体出力の方向を制御することが望ましい場合がある。燃料によるこのような衝突は、(a)燃焼プロセス中の燃料、弁、ピストン、及び/若しくは燃焼室の冷却、(b)(有害な摩耗をもたらし得る)弁及び/又はピストンからの油若しくは他の滑沢剤の除去、(c)有害な「風損」、並びに/又は(d)燃焼室内のスパークプラグ付近から離れる方向への燃料の誤誘導、の任意の組み合わせをもたらし得る。このような部はまた、非対称の燃料流及び/又はプリュームを生成させる機能を有することができ、この機能は、燃焼室内の燃料流及び/又はプリュームの寸法、分布、位置、又は他の側面を制御する際にいくつかの利点を有し得る。
【0214】
12.複製平面制御空洞の少なくとも3つが、微細構造化金型パターンの複製ノズル穴に連結されていない(例えば、流体連通していない)、実施形態1〜11のいずれか1つに記載の方法。複製平面制御空洞のいずれもが、複製ノズル穴のいずれにもそのように連結されていないことが望ましいことがあり得る。
【0215】
13.ノズルが周辺縁部を有し、ノズル形成微細構造化パターンが、ノズルの周辺縁部を形成するか、少なくとも画定する、ノズル分離部を含む、実施形態1〜12のいずれか1つに記載の方法。ノズル分離部は、ノズルのそれぞれの分離環の形態であってよい。
【0216】
14.少なくとも3つ、好ましくは4つの複製平面制御空洞がノズル分離部上に形成される、実施形態13に記載の方法。複製平面制御空洞は、微細構造化金型パターンの唯一のこのような部形成部分であり得るが、必ずしもそうである必要はない。
【0217】
15.微細構造化金型パターンを準備することが以下のことを含む、実施形態1〜14のいずれか1つに記載の方法。
(a)第3の材料を複数の複製ノズル穴形成部と、複数の複製平面制御空洞形成部と、を含む金型形成微細構造化パターンに形成すること。複製ノズル穴形成部のそれぞれが、少なくとも1つの複製平面制御空洞形成部に連結されていても(例えば、流体連通している)、連結されていなくてもよい。
(b)金型形成微細構造化パターンを用いて第4の材料を微細構造化金型パターンに焼結する、金属射出成形(MIM)する、電着させる、ないしは別の方法で堆積させるか、形成することであって、複製ノズル穴形成部が、実質的に複製ノズル穴のネガティブ複製(すなわち、全部分、大部分、又は少なくとも相当部分のネガティブ複製)であり、複製平面制御空洞形成部が、実質的に複製平面制御空洞のネガティブ複製(すなわち、全部分、大部分、又は少なくとも相当部分のネガティブ複製)である。
【0218】
上記の流体流影響部、流体チャネル、つまりアンダーカット部、及び燃料プリューム形状制御部は、最初にノズルの作製に用いられる任意の金型形成微細構造化パターン内の対応する部としてそれぞれ形成され得るか、金型形成微細構造化パターンが用いられない(すなわち、このような工程を行わずに微細構造化金型パターンが形成される)場合には、このような部は、最初に微細構造化金型パターン内に形成され得る。
【0219】
16.第4の材料が複数の異なる第4の材料を含み、得られる微細構造化金型パターンが、層毎に異なる第4の材料からなる堆積物を含むか、ないしは別の方法で多層を含むように、微細構造化金型パターンが金型形成微細構造化パターンの全体、大部分、又は少なくとも相当部分の上に層として第4の材料それぞれを個別に堆積させることにより形成される、実施形態15に記載の方法。
【0220】
17.第1の材料が第4の材料とは異なり、第2の材料が第3の材料及び第1の材料とは異なり、第3の材料が第4の材料とは異なる、実施形態15又は16に記載の方法。
【0221】
18.第1の材料が第3の材料と同一であるか、又はこれとは異なり、第2の材料が第4の材料と同一であるか、又はこれとは異なる、実施形態17に記載の方法。
【0222】
19.第3の材料が多光子を同時に吸収することによって多光子硬化反応を受けることが可能であり、金型形成微細構造化パターンが、金型形成微細構造化パターンを構成させる、第3の材料内の所望の/指定の位置において多光子を同時に吸収することによって第3の材料内に多光子硬化反応を引き起こす多光子過程を用いて第3の材料で形成される、実施形態15〜18のいずれか1つに記載の方法。
【0223】
20.ノズルを作製する方法であって、該方法は、以下を含む。
(a)例えば、多光子を同時に吸収することによって多光子反応を受けることが可能である材料など第1の材料を準備すること。
(a)(1)第1の材料内の所望の/指定の位置において多光子を同時に吸収することによって第1の材料内に多光子反応を引き起こす多光子過程、及び/又は(2)焼結プロセスであって、第1の微細構造化パターンがノズル貫通穴を形成するための複数の複製ノズル穴形成部と複数の複製平面制御空洞形成部とを含むこと。複製ノズル穴形成部のそれぞれは、少なくとも1つの複製平面制御空洞形成部に連結されていても(例えば、流体連通している)、連結されていなくてもよい。
(b)第1の微細構造化パターンを用いて第2の材料を第2の微細構造化パターンに焼結する、金属射出成形(MIM)する、電着させる、ないしは別の方法で堆積させるか、形成することであって、第2の微細構造化パターンが、金型空洞の少なくとも一部を画定し、実質的に第1の微細構造化パターンのネガティブ複製(すなわち、全部分、大部分、又は少なくとも相当部分のネガティブ複製)を含むこと(つまり、第2の微細構造化パターンは、複数の複製ノズル穴と、複数の複製平面制御空洞と、を含む)。複製ノズル穴のそれぞれが、少なくとも1つの複製平面制御空洞に連結されていても(例えば、流体連通している)、連結されていなくてもよい。
(c)金型の第2の微細構造化パターンを用いて第3の材料を第3の微細構造化パターンに成形することであって、第3の微細構造化パターンは、複数のノズル穴形成部と、複数の平面制御空洞形成部と、を含むこと。ノズル穴形成部のそれぞれが、少なくとも1つの平面制御空洞形成部に連結されていても(例えば、流体連通している)、連結されていなくてもよい。第3の微細構造化パターンは、実質的に第2の微細構造化パターンのネガティブ複製(すなわち、全部分、大部分、又は少なくとも相当部分のネガティブ複製)を含む。換言すれば、第3の微細構造化パターンは、複数の複製ノズル穴形成部と、複製平面制御空洞形成部と、を含む、実質的に第1の微細構造化パターンのポジティブ複製(すなわち、全部分、大部分、又は少なくとも相当部分のポジティブ複製)を含む。
(d)第3の微細構造化パターンを用いて第4の材料を微細構造化パターンに焼結する、金属射出成形(MIM)する、電着させる、ないしは別の方法で堆積させるか、形成することであって、第4の微細構造化パターンは、複数のノズルプリフォーム穴と、複数の犠牲平面制御空洞と、を含み、ノズルプリフォーム穴のそれぞれが、入口開口部を備え、少なくとも1つの犠牲平面制御空洞に連結されていても(例えば、流体連通している)、連結されていなくてもよい。第4の微細構造化パターンは、複数のノズル穴形成部と、平面制御空洞形成部と、を含む、実質的に第3の微細構造化パターンのネガティブ複製(すなわち、全部分、大部分、又は少なくとも相当部分のネガティブ複製)を含む。つまり、第4の微細構造化パターンは、実質的に第2の微細構造化パターンのポジティブ複製(すなわち、全部分、大部分、又は少なくとも相当部分のポジティブ複製)を含む。
(e)第4の微細構造化パターンからノズルを形成することであって、ノズルを形成することは、第4の微細構造化パターンの上面をノズルの平面的な上面に形成し(すなわち、上面を平坦化し)、入口開口部と、内面によって画定された空洞によって入口開口部に連結されている(例えば、流体連通している)少なくとも1つの穴出口と、を備える完成ノズル貫通穴にノズルプリフォーム穴それぞれを形成するように、犠牲平面制御空洞を除去するのに十分な第4の材料を除去する(例えば、放電加工、機械的研削などによって)ことを含む。ノズルはまた、平面的な下面と、平面的な上面と、を有し、平面的な下面は、互いに平行であるか、互いに鋭角であってよい。
【0224】
21.第2の材料が第1の材料とは異なり、第3の材料が第2の材料とは異なり、第4の材料が第1の材料及び第3の材料とは異なる、実施形態20に記載の方法。
【0225】
22.第3の材料が第1の材料と同一であるか、又はこれとは異なり、第4の材料が第2の材料と同一であるか、又はこれとは異なる、実施形態21に記載の方法。
【0226】
23.ノズルを作製する方法であって、該方法が、
(a)複数の複製ノズル穴を含み、金型空洞の少なくとも一部を画定する微細構造化金型パターンを準備することと、
(b)微細構造化金型パターンを用いて第1の材料をノズル形成微細構造化パターンに成形することであって、ノズル形成微細構造化パターンが、複数のノズル穴形成部を含むことと、
(c)ノズル形成微細構造化パターンを用いて第2の材料をノズルプリフォームに焼結する、金属射出成形(MIM)する、電着させる、ないしは別の方法で堆積させるか、形成することであって、ノズルプリフォームが、複数のノズルプリフォーム穴を備え、第2の材料が複数の異なる第2の材料を含み、ノズルプリフォームが、得られるノズルプリフォーム、ひいてはノズルが、層毎に又は部分毎に異なる第2の材料からなる多層又は複数の部分を含むように、ノズル形成微細構造化パターンの全体、大部分、又は少なくとも相当部分の上に独立層、又は他の部分として、第2の材料のそれぞれを個別に堆積させることによって形成されることと、
(d)ノズルプリフォームからノズルを形成することであって、ノズルを形成することが、ノズルプリフォームの穴のそれぞれに出口開口部を開口し、それによって前記ノズルプリフォーム穴のそれぞれを、入口開口部と、内面によって画定された空洞によって入口開口部に連結されている(例えば、流体連通している)少なくとも1つの穴出口と、を備える完成ノズル貫通穴に形成するのに十分な前記第2の材料を(例えば、放電加工、機械的研削などによって)除去することと、を含む。
【0227】
24.複数の異なる第2の材料が、少なくとも3種類の異なる第2の材料であり、層としてノズル形成微細構造化パターンの上に堆積された第2の材料の第1の材料が導電性層を形成する、実施形態23に記載の方法。
【0228】
25.多層のいずれもが薄い導電性シード層の形態ではない、実施形態23又は24に記載の方法。
【0229】
26.多層の少なくとも1つが腐食防止剤、燃焼副産物沈着阻害剤、セラミック、又は金属合金である、実施形態23〜25のいずれか1つに記載の方法。
【0230】
27.微細構造化金型パターンを準備する工程であって、
(a)第3の材料を複数の複製ノズル穴形成部を含む金型形成微細構造化パターンに形成することと、
(b)金型形成微細構造化パターンを用いて第4の材料を微細構造化金型パターンに焼結する、金属射出成形(MIM)する、電着させる、ないしは別の方法で堆積させるか、形成することであって、複製ノズル穴形成部が、実質的に複製ノズル穴のネガティブ複製(すなわち、全部分、大部分、又は少なくとも相当部分のネガティブ複製)を形成することと、を含む実施形態23〜26のいずれか1つに記載の方法。
【0231】
28.第4の材料が複数の異なる第4の材料を含み、得られる微細構造化金型パターンが層毎に異なる第4の材料からなる堆積物を含むか、ないしは別の方法で多層を含むように、微細構造化金型パターンが金型形成微細構造化パターンの全体、大部分、又は少なくとも相当部分の上に層として第4の材料のそれぞれを個別に堆積させることにより形成される、実施形態27に記載の方法。
【0232】
29.第1の材料が第4の材料とは異なり、第2の材料が第3の材料及び第1の材料とは異なり、第3の材料が第4の材料とは異なる、実施形態27又は28に記載の方法。
【0233】
30.第1の材料が第3の材料と同一であるか、又はこれとは異なり、第2の材料が第4の材料と同一であるか、又はこれとは異なる、実施形態29に記載の方法。
【0234】
31.ノズルを作製する方法であって、該方法は以下のことを含む。
(a)例えば、多光子を同時に吸収することによって多光子反応を受けることが可能である材料など第1の材料を準備すること。
(a)(1)第1の材料内の所望の/指定の位置において、多光子を同時に吸収することによって第1の材料内に多光子反応を引き起こす多光子過程、及び/又は(2)焼結プロセスであって、ノズル貫通穴を形成するための複数の複製ノズル穴形成部を含む第1の微細構造化パターンを含む焼結プロセスを用いて、第1の材料を第1の微細構造化パターンに形成すること。
(b)第1の微細構造化パターンを用いて第2の材料を第2の微細構造化パターンに焼結する、金属射出成形(MIM)する、電着させる、ないしは別の方法で堆積させるか、形成することであって、第2の微細構造化パターンが金型空洞の少なくとも一部を画定し、第1の微細構造化パターンの実質的にネガティブ複製(すなわち、全部分、大部分、又は少なくとも相当部分のネガティブ複製)を含むこと(つまり、第2の微細構造化パターンが複数の複製ノズル穴を含む)。
(c)金型の第2の微細構造化パターンを用いて第3の材料を第3の微細構造化パターンに成形することであって、第3の微細構造化パターンは、複数のノズル穴形成部を含むこと。第3の微細構造化パターンは、実質的に第2の微細構造化パターンのネガティブ複製(すなわち、全部分、大部分、又は少なくとも相当部分のネガティブ複製)を含む。換言すれば、第3の微細構造化パターンは、複数の複製ノズル穴形成部を含む、に第1の微細構造化パターンの実質的にポジティブ複製(すなわち、全部分、大部分、又は少なくとも相当部分のポジティブ複製)を含む。
(d)第3の微細構造化パターンを用いて第4の材料を第4の微細構造化パターンに焼結する、金属射出成形(MIM)する、電着させる、ないしは別の方法で堆積させるか、形成することであって、第4の微細構造化パターンは複数のノズルプリフォーム穴を含み、第4の材料は複数の異なる第4の材料を含み、第4の微細構造化パターンは、得られるノズルプリフォーム、ひいてはノズルが層毎に異なる第2の材料からなる堆積物を含むか、ないしは別の方法で多層を含むように、第4の微細構造化パターンの全体、大部分、又は少なくとも相当部分の上に層として第4の材料のそれぞれを個別に堆積させることにより形成される。
(e)第4の微細構造化パターンからノズルを形成することであって、ノズルを形成することは、ノズルプリフォーム穴それぞれに出口開口部を開口するのに十分な第4の材料を除去し(例えば、放電加工、機械的研削などによって)、それによって、入口開口部と、内面によって画定された空洞によって入口開口部に連結されている(例えば、流体連通している)少なくとも1つの穴出口と、を備える完成ノズル貫通穴に、ノズルプリフォーム穴それぞれを形成すること。
【0235】
32.第1の材料がポリ(メチルメタクリレート)を含む、実施形態20又は31に記載の方法。
【0236】
33.第1の材料が二光子反応を受けることが可能である、実施形態20又は31に記載の方法。
【0237】
34.第1の微細構造化パターンが、複数の離散的微細構造を含む、実施形態20又は31に記載の方法。
【0238】
35.複数の離散的微細構造が、3次元の直線的な形体である離散的微細構造を含む、実施形態34に記載の方法。
【0239】
36.複数の離散的微細構造が、3次元の直線的な形体の一部分である離散的微細構造を含む、実施形態34に記載の方法。
【0240】
37.複数の離散的微細構造が、3次元の曲線的な形体である離散的微細構造を含む、実施形態34に記載の方法。
【0241】
38.複数の離散的微細構造が、3次元の曲線的な形体の一部分である離散的微細構造を含む、実施形態34に記載の方法。
【0242】
39.複数の離散的微細構造が多面体の一部分を含む、実施形態34に記載の方法。
【0243】
40.複数の離散的微細構造が錐体の一部分を含む、実施形態34に記載の方法。
【0244】
41.複数の離散的微細構造が、先細の離散的微細構造を含む、実施形態34に記載の方法。
【0245】
42.複数の離散的微細構造が、螺旋状の離散的微細構造を含む、実施形態34に記載の方法。
【0246】
43.第1の微細構造化パターンが、二光子過程を用いて第1の材料内に形成される、実施形態20又は31に記載の方法。
【0247】
44.第1の材料内に第1の微細構造化パターンを形成する工程が、第1の材料の少なくとも一部分を露光して、多光子の同時吸収を生じさせることを含む、実施形態20又は31に記載の方法。
【0248】
45.第1の材料内に第1の微細構造化パターンを形成する工程が、第1の材料のうちの露光された部分を除去することを含む、実施形態44に記載の方法。
【0249】
46.第1の材料内に第1の微細構造化パターンを形成する工程が、第1の材料のうちの露光されていない部分を除去することを含む、実施形態44に記載の方法。
【0250】
47.第2の材料内に第1の微細構造化パターンを複製することが、第1の微細構造化パターンを電気メッキすることを含む、実施形態20又は31に記載の方法。
【0251】
48.第2の材料が電気メッキ材料を含む、実施形態20又は31に記載の方法。
【0252】
49.金型が金属を含む、実施形態20又は31に記載の方法。
【0253】
50.金型がニッケルを含む、実施形態20又は31に記載の方法。
【0254】
51.第2の微細構造化パターンが、少なくとも実質的に第1の微細構造化パターンのネガティブ複製である、実施形態20又は31に記載の方法。
【0255】
52.第3の微細構造化パターンが、少なくとも実質的に第2の微細構造化パターンのネガティブ複製であり、かつ少なくとも実質的に第1の微細構造化パターンのポジティブ複製である、実施形態20又は31に記載の方法。
【0256】
53.金型の第2の微細構造化パターンを用いて第3の材料を第3の微細構造化パターンに成形する工程が、射出成形を含む、実施形態20又は31に記載の方法。
【0257】
54.第3の材料がポリマーを含む、実施形態20又は31に記載の方法。
【0258】
55.第3の材料がポリカーボネートを含む、実施形態20又は31に記載の方法。
【0259】
56.第2の金型がポリマーを含む、実施形態20又は31に記載の方法。
【0260】
57.第3の微細構造化パターンが、少なくとも実質的に第2の微細構造化パターンのネガティブ複製である、実施形態20又は31に記載の方法。
【0261】
58.第3の微細構造化パターンを用いて第4の材料を第4の微細構造化パターンに形成する工程が、第4の材料で第3の微細構造化パターンを電気メッキすることを含む、実施形態20又は31に記載の方法。
【0262】
59.第3の微細構造化パターンを用いて第4の材料を第4の微細構造化パターンに形成する工程が、第4の材料で第3の微細構造化パターンをコーティングすることを含む、実施形態20又は31に記載の方法。
【0263】
60.十分な第4の材料を除去する工程が、機械的研削法によって、又は放電加工によって実施される、実施形態20又は31に記載の方法。
【0264】
61.第4の材料が電気メッキ材料を含む、実施形態20又は31に記載の方法。
【0265】
62.ノズルが、金属、セラミック、又は金属及びセラミックの組み合わせを含む、実施形態20又は31に記載の方法。
【0266】
63.ノズルが、シリカ、ジルコニア、アルミナ、チタニア、又は、イットリウム、ストロンチウム、バリウム、ハフニウム、ニオビウム、タンタル、タングステン、ビスマス、モリブデン、スズ、亜鉛、57〜71の範囲の原子番号を有するランタニド元素、セリウム、及びそれらの組合せの酸化物からなる群から選択されるセラミックを含む、実施形態20又は31に記載の方法。
【0267】
微細構造化パターンの実施形態
64.複数のノズルプリフォーム穴と、複数の犠牲平面制御空洞と、外側平面外周部と、を備えるノズルプリフォームを形成するための微細構造化パターンであって、
実質的にノズルプリフォーム穴のネガティブ複製である、複数のノズル穴形成部と、
実質的に犠牲平面制御空洞のネガティブ複製である、複数の平面制御空洞形成部と、を含む微細構造化パターン。
【0268】
65.ノズル穴形成部のそれぞれが少なくとも1つの平面制御空洞形成部に連結されていても、連結されていなくてもよい、実施形態64に記載の微細構造化パターン。
【0269】
66.ノズルプリフォームの外側平面外周部を画定する環状周壁を更に含む、実施形態64又は65に記載の微細構造化パターン。
【0270】
67.周壁が少なくとも1つの平面制御部に連結されている、実施形態66に記載の微細構造化パターン。
【0271】
ノズルプリフォームの実施形態
68.複数のノズル貫通穴を備えるノズルを形成するためのノズルプリフォームであって、ノズル貫通穴それぞれが、入口開口部と、内面で画定された空洞によって入口開口部に連結されている(例えば、流体連通している)少なくとも1つの出口開口部と、を備え、
ノズル貫通穴に対応する複数のノズルプリフォーム穴と、
複数の犠牲平面制御空洞と、を備え、
ノズルプリフォーム穴のそれぞれが、少なくとも1つの犠牲平面制御空洞に連結されていても、連結されていなくてもよい、ノズルプリフォーム。
【0272】
69.ノズルプリフォーム穴のそれぞれが少なくとも1つの犠牲平面制御空洞と流体連通している、実施形態68に記載のノズルプリフォーム。
【0273】
70.ノズルプリフォーム、ひいてはノズルが層毎に異なる材料からなる多層堆積物を含む、実施形態68又は69に記載のノズルプリフォーム。
【0274】
71.多層が、一体構造形態の、異なる材料の堆積層である、実施形態70に記載のノズルプリフォーム。
【0275】
72.多層が少なくとも3層であり、多層のうちの第1の層が導電性層である、実施形態70又は71に記載のノズルプリフォーム。
【0276】
73.多層のいずれもが薄い導電性シード層の形態ではない、実施形態70〜72のいずれか1つに記載のノズルプリフォーム。
【0277】
74.多層のうちの少なくとも1つを形成する材料が、腐食防止剤、燃焼副産物沈着阻害剤、セラミック、又は合金である、実施形態70〜73のいずれか1つに記載のノズルプリフォーム。
【0278】
ノズルの実施形態
75.複数のノズル貫通穴を含む微細構造化パターンを含むノズルであって、ノズル貫通穴それぞれが、入口開口部と、内面で画定された空洞によって入口開口部に連結されている(例えば、流体連通している)少なくとも1つの出口開口部と、を備え、微細構造化パターンが外側周辺部を有し、ノズルが層毎に異なる材料からなる多層堆積物を含み、(a)多層のいずれもが薄い導電性シード層の形態ではない、(b)多層が少なくとも3層である、又は(c)(a)及び(b)の両方である、のいずれかである、ノズル。
【0279】
76.多層が、一体構造形態の、異なる材料の堆積層である、実施形態75に記載のノズル。
【0280】
77.多層が少なくとも3層であり、多層のうちの第1の層が導電性層である、実施形態75又は76に記載のノズルプリフォーム。
【0281】
78.多層の少なくとも1つを形成する材料が、腐食防止剤、燃焼副産物沈着阻害剤、セラミック、又は合金である、実施形態75〜77のいずれか1つに記載のノズル。
【0282】
79.平面的な下面と、平面的な上面と、を更に含み、平面的な下面及び平面的な上面が、互いに平行であるか、又は互いに鋭角であるかいずれかである、実施形態75〜78のいずれか1つに記載のノズル。
【0283】
80.多層のそれぞれが、金属材料、無機非金属材料、又はこれらの組み合わせの電着層である、実施形態75〜79のいずれか1つに記載のノズル。
【0284】
81.多層のそれぞれが、焼結金属、無機非金属材料、又はこれらの組み合わせの層である、実施形態75〜79のいずれか1つに記載のノズル。
【0285】
82.多層のいずれもが薄い導電性シード層の形態ではない、実施形態75〜81のいずれか1つに記載のノズル。
【0286】
83.多層が少なくとも3層である、実施形態75〜82のいずれか1つに記載のノズルプリフォーム。
【0287】
84.少なくとも1つのノズル貫通穴を(a)少なくとも1つの他のノズル貫通穴、(b)微細構造化パターンの外側周辺部の一部、又は(c)(a)及び(b)の両方、に連結させる、少なくとも1つ以上の流体(すなわち、ガス又は液体)チャネル、つまりアンダーカット部を更に備える、実施形態75〜83のいずれか1つに記載のノズル。
【0288】
85.ノズル貫通穴の出口開口部を通過して、そこから流出する流体によって形成されるプリュームの形状を制御する、少なくとも1つの流体プリューム形状制御部を更に備える、実施形態75〜84のいずれか1つに記載のノズル。
【0289】
86.流体プリューム形状制御部が、ノズル貫通穴から流出する流体流を細分化して、プリュームを形成する流体液滴の寸法及び分布を制御するように機能的に適応されている、実施形態85に記載のノズル。
【0290】
87.燃料プリューム形状制御部が、(a)十字形、つまりX形を有する出口開口部の少なくとも1つ、(b)ノズル貫通穴を流出する流体が、ノズル貫通穴の対応する出口開口部を通過して出る前に、ノズル貫通穴の縦軸の周囲方向への回転を付与するように、螺旋状の溝が彫られたノズル貫通穴の少なくとも1つの内面、(c)少なくとも1つ、2つ、若しくはそれ以上の湾曲内面(例えば、4分の1円状の内面)と、少なくとも1つ、2つ、若しくはそれ以上のスロット形状の出口開口部と、を有し、ノズル貫通穴の湾曲内面がノズル貫通穴出口開口部を通過してノズル貫通穴の縦軸から所定の角度で(例えば、鋭角)で流体を流出させるように構成されている、少なくとも1つ若しくは複数のノズル貫通穴、又は(d)(a)〜(c)の任意の組み合わせ、を備える、実施形態86に記載のノズル。
【0291】
88.ノズル貫通穴を通過し、ノズル貫通穴の対応する出口開口部から出る流体によって形成される液滴のプリュームに良い影響を及ぼすように、発生させる、ないしは別の方法で空洞化にする、乱流を誘発させる、ないしは別の方法でノズルを通過する流体(例えば、液体燃料)の流れを妨げる、少なくとも1つ以上の流体流影響部を備える内面を有する、少なくとも1つのノズル貫通穴、を更に備える、実施形態75〜87のいずれか1つに記載のノズル。
【0292】
89.流体流影響部が、バンプ、連続環状隆起部、離間された非連続隆起部、及びリブレットのうちの少なくとも1つ、又は任意の組み合わせを備える、実施形態88に記載のノズル。
【0293】
90.複数のノズル貫通穴を含む微細構造化パターンであって、ノズル貫通穴それぞれが、入口開口部と、内面で画定された空洞によって入口開口部に連結されている(例えば、流体連通している)少なくとも1つの出口開口部と、を備え、外側周辺部を有する微細構造化パターンと、
少なくとも1つのノズル貫通穴を(a)少なくとも1つの他のノズル貫通穴、(b)微細構造化パターンの外側周辺部の一部、又は(c)(a)及び(b)の両方、に連結させる、少なくとも1つ以上の流体(すなわち、ガス又は液体)チャネル、つまりアンダーカット部と、を含むノズル。
【0294】
91.
複数のノズル貫通穴を含む微細構造化パターンであって、ノズル貫通穴のそれぞれが、入口開口部と、内面で画定された空洞によって入口開口部に連結されている(例えば、流体連通している)少なくとも1つの出口開口部と、を備え、外側周辺部を有する微細構造化パターンと、
ノズル貫通穴の出口開口部を通過して、そこからり流出する流体によって形成されるプリュームの形状を制御する、少なくとも1つの流体プリューム形状制御部と、を含むノズル。
【0295】
92.流体プリューム形状制御部が、ノズル貫通穴から流出する流体流を細分化して、プリュームを形成する流体液滴の寸法及び分布を制御するように機能的に適応されている、実施形態91に記載のノズル。
【0296】
93.燃料プリューム形状制御部が、(a)十字形、つまりX形を有する出口開口部の少なくとも1つ、(b)ノズル貫通穴を流れる流体がノズル貫通穴の対応する出口開口部を通過して流出する前に、ノズル貫通穴の縦軸の周囲方向への回転を付与するように、螺旋状の溝が彫られたノズル貫通穴の少なくとも1つの内面、(c)少なくとも1つ、2つ、若しくはそれ以上の湾曲内面(例えば、4分の1円状の内面)と、少なくとも1つ、2つ、若しくはそれ以上のスロット形状の出口開口部と、を有し、ノズル貫通穴の湾曲内面がノズル貫通穴出口開口部を通過してノズル貫通穴の縦軸から所定の角度で(例えば、鋭角)で流体を流出させるように構成されている、少なくとも1つ若しくは複数のノズル貫通穴、又は(d)(a)〜(c)の任意の組み合わせを備える、実施形態92に記載のノズル。
【0297】
94.複数のノズル貫通穴を含む微細構造化パターンであって、ノズル貫通穴それぞれが、入口開口部と、内面で画定された空洞によって入口開口部に連結されている(例えば、流体連通している)少なくとも1つの出口開口部と、を備え、外側周辺部を有する微細構造化パターンと、
ノズル貫通穴を通過し、ノズル貫通穴の対応する出口開口部から出る流体によって形成される液滴のプリュームに良い影響を及ぼすように、発生させる、ないしは別の方法で、空洞化にする、乱流を誘発させる、ないしは別の方法でノズルを通過する流体(例えば、液体燃料)の流れを妨げる、少なくとも1つ、又はそれ以上の流体流影響部を備える内面を有する、少なくとも1つのノズル貫通穴と、を備えるノズル。
【0298】
95.流体流影響部が、バンプ、連続環状隆起部、離間された非連続隆起部、及びリブレットのうちの少なくとも1つ、又は任意の組み合わせを含む、実施形態94に記載のノズル。
【0299】
96.ノズル貫通穴それぞれの入口開口部及び出口開口部が異なる形状を有する、実施形態75〜95のいずれか1つに記載のノズル。
【0300】
97.ノズル貫通穴それぞれの入口開口部及び出口開口部が異なる形状を有し、この形状が楕円形状、円形状、レーストラック形状からなる群から選択される、実施形態75〜95のいずれか1つに記載のノズル。
【0301】
98.少なくとも1つのノズル貫通穴の入口開口部及び出口開口部のうちの1つのみが、緊密に詰められた円の外弧を含んだ外周を備える形状を有し、外弧は曲線状のフィレットで連結されている、実施形態75〜95のいずれか1つに記載のノズル。
【0302】
99.入口開口部それぞれが、300マイクロメートル未満、200マイクロメートル未満、又は160マイクロメートル以下の直径を有する、実施形態75〜98のいずれか1つに記載のノズル。
【0303】
100.出口開口部それぞれが、300マイクロメートル未満、100マイクロメートル未満、又は40マイクロメートル以下の直径を有する、実施形態75〜99のいずれか1つに記載のノズル。
【0304】
101.ノズルが燃料噴射器ノズルである、実施形態75〜100のいずれか1つに記載のノズル。
【0305】
102.ノズルが、金属材料、無機非金属材料(例えば、セラミック)、又はこれらの組み合わせを含む、実施形態75〜101のいずれか1つに記載のノズル。
【0306】
103.ノズルが、シリカ、ジルコニア、アルミナ、チタニア、又は、イットリウム、ストロンチウム、バリウム、ハフニウム、ニオビウム、タンタル、タングステン、ビスマス、モリブデン、スズ、亜鉛、57〜71の範囲の原子番号を有するランタニド元素、セリウム、及びそれらの組合せの酸化物からなる群から選択されるセラミックを含む、実施形態102に記載のノズル。
【0307】
104.少なくとも1つのノズル貫通穴の内面が、その入口開口部から出口開口部にかけて回転する横断面を有する、実施形態75〜103のいずれか1つに記載のノズル。
【0308】
105.横断面が、増加する回転率、減少する回転率、一定の回転率、又はこれらの組み合わせの少なくとも1つを有する、実施形態104に記載のノズル。
【0309】
106.少なくとも1つのノズル貫通穴が最外方の円を含んだ同心円の配列をなして配置されている複数のノズル貫通穴であり、どの最外方の円の直径も同心円の配列をなす円それぞれからの少なくとも1つのノズル貫通穴を含まないようにノズル貫通穴が配置される、実施形態75〜105のいずれか1つに記載のノズル。
【0310】
107.同心円の配列をなす円のそれぞれが、等しく離間されたノズル貫通穴を含む、実施形態106に記載のノズル。
【0311】
メッキした層の厚さ;
好ましい実施形態のシード層の厚さ≦50μm又は≦100μm(最大厚さ≦200μm)。
【0312】
保護材の(一部の)電気メッキの厚さ範囲:
硬質クロム0.0003インチ(8μm)〜0.002インチ(50μm)。
無電解ニッケル0.0001インチ(2.5μm)〜0.005インチ(127μm)。
【0313】
亜鉛0.0002インチ(5μm)〜0.0006インチ(15μm)
PTFE/ニッケル/リン
スパッタリング及びイオンメッキは、他のコーティング方法であり得る。
【0314】
燃料噴射器ノズルの厚さは、少なくとも約100μm、好ましくは約200μm超、かつ約3mm未満、好ましくは約1mm未満、より好ましくは約500μmであることが望ましい場合がある。
【0315】
上記に引用した全ての特許、特許出願及び他の刊行物を、それらがあたかも完全に再現されたものとして本明細書に援用するものである。本発明の様々な態様の説明を容易にするために本発明の特定の実施例を上記に詳細に説明したが、本発明は、それら実施例の詳細に限定されるものではないことを理解すべきである。むしろ添付の「特許請求の範囲」により規定されるように本発明の趣旨及び範囲内にある全ての変形例、実施形態及び代替例を全て網羅しようとするものである。