特許第6373009号(P6373009)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6373009
(24)【登録日】2018年7月27日
(45)【発行日】2018年8月15日
(54)【発明の名称】大電流用プローブ
(51)【国際特許分類】
   G01R 1/073 20060101AFI20180806BHJP
   G01R 1/067 20060101ALI20180806BHJP
【FI】
   G01R1/073 A
   G01R1/067 B
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-15103(P2014-15103)
(22)【出願日】2014年1月30日
(65)【公開番号】特開2015-141145(P2015-141145A)
(43)【公開日】2015年8月3日
【審査請求日】2017年1月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000104021
【氏名又は名称】オルガン針株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100157912
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 健
(74)【代理人】
【識別番号】100074918
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬川 幹夫
(72)【発明者】
【氏名】松田 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】加藤 靖典
【審査官】 小川 浩史
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−545242(JP,A)
【文献】 特開2007−248133(JP,A)
【文献】 特開2011−137791(JP,A)
【文献】 特開平10−221368(JP,A)
【文献】 米国特許第5196789(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 1/06−1/073
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電体からなる基部材の先端部に電気導通用の接触部材を設けた大電流用プローブであって、
前記接触部材は、前記基部材の先端面に固定されたプレートであって、前記基部材の先端部に接触した状態で固定される固定部と、前記固定部から放射状に突出する複数の脚部と、を備え、
前記接触部材を被検体に押し付けたときに、前記複数の脚部が被検体によって放射状に押し広げられて変形しつつ被検体と接触するとともに、前記複数の脚部の先端の内側のエッジで被検体の表層をスクラブするように構成されており
前記基部材の先端部には、前記接触部材を被検体に押し付けたときに被検体に当接し、前記接触部材の被検体方向への移動を規制するストッパーが突出していることを特徴とする、大電流用プローブ。
【請求項2】
前記ストッパーは、前記接触部材の中央付近に突出して設けられていることを特徴とする、請求項1記載の大電流用プローブ。
【請求項3】
前記ストッパーは、四端子測定の電圧測定用センシングピンとして使用可能であることを特徴とする、請求項1又は2記載の大電流用プローブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、抵抗値や電圧値等の計測に使用される大電流用プローブに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、導電性の先端部を被検体に当接させることで電気的な接続を確立し、抵抗値や電圧値等を計測可能とした検査用のプローブが提供されている。特に大電流用(例えば数十アンペアから数百アンペア)のプローブにおいては、発熱等を抑制するために接触面積を確保する必要があり、プローブの先端は多点で被検体に接触するように形成されている。
【0003】
ところで、検査対象の被検体は大気中で使用されるため、被検体の表層に酸化被膜が形成されることがある。また、例えばクロメート処理など、電極部材等に高抵抗コーティングが施されている場合もある。このように被検体の表層に形成された酸化被膜や高抵抗コーティングなどの高抵抗被膜の上からプローブを押し当てると、接触抵抗が増大するため、低抵抗の安定した接触を確保することができなくなってしまう。よって、高抵抗被膜を除去又は突き破ってプローブの先端を接触させることが望ましい。
【0004】
例えば特許文献1には、プローブの先端を鋭利な多頂点の形状とし、このプローブの先端を被検体の表層に押し付けることで高抵抗被膜を貫通させる方法が記載されている。
【0005】
しかしながら、プローブの先端を鋭利な多頂点の形状とした場合、この鋭利な多頂点を結んだ仮想平面で被検体の表層に接触するため、被検体表面の凹凸や傾斜等に追従して接触点を変えることができない。このため、傾斜のない平滑面にしか対応できず、用途が限定されるという問題がある。また、傾斜のない平滑面であっても、小さなうねり等がある場合には接触状態が安定しないという問題がある。また、複数の頂点を均等な高さに加工しなければならないため、高い加工技術が要求されて高コストとなってしまう問題がある。
【0006】
このような問題を解決する方法として、特許文献2には、プローブの先端に放射状に分岐した複数の接触部を形成し、この複数の接触部で被検体の表層をスクラブして高抵抗被膜を除去する方法が提案されている。このような方法によれば、複数の接触部のそれぞれが被検体表面の凹凸や傾斜等に追従して接触点を変化させるので、電極の凹凸や傾斜がある場合でも安定した接触を確保することができる。また、各接触部が電極に押し付けられてスクラブすることで、電極表面の高抵抗被膜を除去することができるため、高抵抗被膜による接触抵抗の増大を防ぎ、低抵抗の安定した接触を確保することができる。更には、プローブ先端に被検体の電極材が固着している場合でも、この固着した電極材をスクラブ動作により剥離させることができるので、接触抵抗の増大を防ぎ、低抵抗の安定した接触を確保することができる。しかも、製法としてプレスの打ち抜き加工を利用することができるので、安価に製造することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開昭62−114366号公報
【特許文献2】特開2011−137791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記した特許文献2記載の構造は、複数の接触部を弾性的に変形させることで被検体の表層をスクラブする構造であるため、接触部に復元不可能な歪みが残留してしまったり、接触部が疲労破壊されてしまったりといった問題が生じる可能性がある。このように接触部が歪んだり疲労破壊したりすると、安定した低抵抗接触を実現することができなくなってしまう。
そこで、本発明は、歪みや疲労破壊を生じることなく安定した低抵抗接触を長期間維持することができる大電流用プローブを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記した課題を解決するためになされたものであり、以下を特徴とする。
【0010】
請求項1記載の発明は、導電体からなる基部材の先端部に電気導通用の接触部材を設けた大電流用プローブであって、前記接触部材は、前記基部材の先端面に固定されたプレートであって、前記基部材の先端部に接触した状態で固定される固定部と、前記固定部から放射状に突出する複数の脚部と、を備え、前記接触部材を被検体に押し付けたときに、前記複数の脚部が被検体によって放射状に押し広げられて変形しつつ被検体と接触するとともに、前記複数の脚部の先端の内側のエッジで被検体の表層をスクラブするように構成されており、前記基部材の先端部には、前記接触部材を被検体に押し付けたときに被検体に当接し、前記接触部材の被検体方向への移動を規制するストッパーが突出していることを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の発明は、上記した請求項1に記載の発明の特徴点に加え、前記ストッパーは、前記接触部材の中央付近に突出して設けられていることを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明は、上記した請求項1又は2に記載の発明の特徴点に加え、前記ストッパーは、四端子測定の電圧測定用センシングピンとして使用可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明は上記の通りであり、接触部材を被検体に押し付けたときに、複数の脚部が被検体に押し広げられて変形しつつ被検体と接触するものである。すなわち、複数の脚部が電極の凹凸や傾斜に沿って変形するので、電極の凹凸や傾斜に左右されずに安定した接触を確保することができる。また、各脚部の先端が電極に押し付けられてスクラブすることで電極表面の高抵抗被膜を除去するので、低抵抗で安定した接触を確保することができる。更には、脚部の先端に被検体の電極材が固着している場合でも、この固着した電極材をスクラブ動作により剥離させることができるので、低抵抗で安定した接触を確保することができる。しかも、製法としてプレスの打ち抜き加工を利用することができるので、安価に製造することができる。また、仮に接触部材が摩耗や劣化した場合でも、接触部材のみを交換すればよいので、大電流用プローブの運用コストを大幅に低減することができる。
【0014】
更には、前記基部材の先端部には、接触部材を被検体に押し付けたときに被検体に当接し、前記接触部材の被検体方向への移動を規制するストッパーが突出しているので、脚部の変形量が制限されており、脚部の変形時に発生する応力を脚部の弾性域内(好ましくは疲労限度内)とすることができる。よって、大電流用プローブを繰り返し使用した場合でも、歪みや疲労破壊を抑え、安定した低抵抗接触を長期間維持することができる。
【0015】
また、請求項2に記載の発明は上記の通りであり、前記ストッパーは、前記接触部材の中央付近に突出して設けられているので、ストッパーによる変形抑制をすべての脚部に対してほぼ均等に作用させることができる。
【0016】
また、請求項3に記載の発明は上記の通りであり、前記ストッパーは、四端子測定の電圧測定用センシングピンとして使用可能であるので、大電流用プローブを四端子測定にも使用することができ、精度の高い計測を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】大電流用プローブの外観斜視図である。
図2】円形プレート(接触部材)の外観斜視図である。
図3】大電流用プローブの断面図である。
図4】大電流用プローブの一部拡大断面図である。
図5】脚部によって被検体の表層をスクラブする様子を示す説明図である。
図6】脚部の数を変えた変形例に係る大電流用プローブの側面図である。
図7】矩形プレート(接触部材)を使用した変形例に係る大電流用プローブの外観斜視図である。
図8】矩形プレート(接触部材)の外観斜視図である。
図9】変形例に係る大電流用プローブの断面図である。
図10】変形例に係る大電流用プローブの一部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態について、図を参照しながら説明する。
【0019】
本実施形態に係る大電流用プローブ10は、導電性の先端を被検体30に当接させることで被検体30との電気的な接続を確立し、被検体30の抵抗値や電圧値等を計測するために使用される。この大電流用プローブ10は、図1に示すように、先端において多点で被検体30に接触することで接触面積を確保し、大電流(例えば数十アンペアから数百アンペア)で使用した場合でも発熱を抑制することができるようになっている。
【0020】
この大電流用プローブ10は、図1及び図2に示すように、スリーブ11と、付勢部材12と、プランジャ13と、円形プレート14と、ストッパー15と、絶縁カラー16,17と、を備えている。
【0021】
スリーブ11は、図3に示すような導電体からなる筒状部材であり、中空部にプランジャ13を摺動可能に保持している。このスリーブ11は、例えば合成樹脂製のボードに孔を形成し、この孔に挿通した状態で固定されて使用される。このようにスリーブ11を固定したボードは、被検体30(電極)に対して離接可能となるように対向配置される。電気的な接続を確立したい場合には、ボードを被検体30に対して接近させることで、大電流用プローブ10の先端(より具体的には後述する円形プレート14)を被検体30に押し付けて接触させることができる。一方、大電流用プローブ10の先端を被検体30に対して非接触の状態としたい場合には、ボードを被検体30から離れる方向に移動させることで、大電流用プローブ10の先端を被検体30に対して非接触の状態とすることができる。
【0022】
付勢部材12は、後述するプランジャ13を付勢するためのバネ部材であり、スリーブ11に対して突出する方向にプランジャ13を付勢している。この付勢部材12が設けられることによって、プランジャ13の先端を被検体30に押し付けたときに付勢部材12の弾発力によって安定した接触を確保することができるようになっている。
【0023】
プランジャ13(基部材)は、導電体からなり、図3に示すようにスリーブ11に挿通されて前後移動可能に保持されている。このプランジャ13は、後端部13cに電線を接続可能となっており、電線によって測定機器(図示せず)と電気的に接続可能となっている。プランジャ13の先端部13aには、後述する電気導通用の円形プレート14が固定されている。また、プランジャ13は、図3に示すような中空部材であり、長手方向に貫通孔13bが貫通形成されている。
【0024】
円形プレート14(接触部材)は、導電体からなり、図1等に示すようにプランジャ13の先端部13aに接触した状態で固定されている。具体的には、後述する絶縁カラー16とプランジャ13とによって挟み込まれることで、プランジャ13の先端面に固定されている。この円形プレート14は、例えばベリリウム銅合金を加工して製造することができる。また、時効処理により剛性を高めることで耐久性を向上させてもよい。また、ニッケル金めっきを施すことで耐久性と電気伝導度を向上させてもよい。
【0025】
この円形プレート14は、図2に示すように、一枚板を王冠状に加工した形状をしており、例えばプレスの打ち抜き加工によって製造される。この円形プレート14は、中央の円形の固定部14aと、この固定部14aから放射状に突出する複数の脚部14cと、を備えている。
【0026】
固定部14aは、プランジャ13の先端部13aに接触した状態で固定される部分であり、後述する絶縁カラー16とプランジャ13とによって挟み込まれて保持される部分である。この固定部14aの中央には丸孔14bが形成されており、後述するストッパー15の軸部15cを貫通させることができるようになっている。
【0027】
脚部14cは、固定部14aの外周縁から等間隔に突出形成された部位であり、固定部14aから被検体30の方向へ斜め外方向に突出して形成されている。この脚部14cは、図5に示すように、プランジャ13を被検体30に押し付けたときに、被検体30に押し広げられて変形しつつ被検体30と接触する。このとき、図5に示すように、脚部14c先端のエッジが被検体30の表層をスクラブし、被検体30の表層に形成された高抵抗被膜を除去することができるようになっている。
【0028】
なお、脚部14cの数は、図6に示すように、電流の大きさなどに応じて適宜変更してもよい。また、脚部14cの数が異なる複数の円形プレート14を提供し、この円形プレート14を交換することで使用環境に合わせて脚部14cの数を変更可能としてもよい。
【0029】
ストッパー15は、図3に示すような棒状部材であり、軸部15cの先端部に平坦面15aが形成され、この平坦面15aの中央部に円錐状の突起15bを形成したものである。このストッパー15は、軸部15cがプランジャ13の貫通孔13bを貫通するように配置され、先端部の平坦面15aがプランジャ13の先端方向に突出するようになっている。また、平坦面15aから突出した突起15bは、図4に示すように、円形プレート14の脚部14cと同様に被検体30の方向へ突出しているが、この突起15bの突出量は脚部14cよりも小さく設定されている(言い換えると、突起15bが脚部14cの先端を結んだ仮想平面から突出しないように形成されている)。
【0030】
このストッパー15は、プランジャ13を被検体30に押し付けたときに、被検体30に当接し、接触部材14の被検体30方向への移動を規制するためのものである。このストッパー15が接触部材14の移動を規制することで、脚部14cが所定の範囲を超えて変形しないように抑制される。
【0031】
具体的には、図5に示すように、プランジャ13を被検体30に押し付けると、脚部14cが被検体30に押し広げられて変形し、ストッパー15の先端に設けられた突起15bが被検体30に突き刺さる。そして、突起15bが被検体30にある程度の位置まで突き刺さると、それ以上はプランジャ13を被検体30に押し付けることができなくなる。このように、ストッパー15が設けられていることで、プランジャ13が必要以上に被検体30に押し付けられないようになっており、脚部14cが所定の範囲を超えて押し広げられて変形することがないようになっている。
【0032】
なお、このストッパー15は、プランジャ13と同軸上に配置されており、円形プレート14の重心を通る垂線上に突起15bの頂点が設けられている。このため、このストッパー15による変形抑制は、すべての脚部14cに対してほぼ均等に作用するようになっている。なお、このストッパー15による抑制は、脚部14cの変形時に発生する最大応力が降伏点未満、更に好ましくは疲労限度未満となるように設定することが望ましい。
【0033】
絶縁カラー16,17は、図3及び図4に示すように、プランジャ13の貫通孔13bに嵌合固定される筒状の絶縁部材である。なお、前述したストッパー15は、この絶縁カラー16,17の孔に圧入されることでプランジャ13に固定されている。
【0034】
ところで、本実施形態に係るストッパー15は、四端子測定の電圧測定用センシングピンとして使用可能となっている。すなわち、絶縁カラー16,17を介して固定されることで、ストッパー15はプランジャ13や円形プレート14に対して絶縁されている。また、ストッパー15の後端部15dには電線を接続可能となっており、電線によって四端子測定用の測定機器(図示せず)と電気的に接続可能となっている。このように、ストッパー15がプランジャ13や円形プレート14とは電気的に別系統で測定機器に接続できるようになっている。なお、ストッパー15は先端部に突起15bを備えているため、突起15bが突き刺さることで、被検体30の表層の高抵抗被膜を突き破ることが可能となっており、四端子測定を行った場合でも、安定した低抵抗接触を実現できるようになっている。
【0035】
以上説明したように、本実施形態によれば、プランジャ13を被検体30に押し付けたときに、複数の脚部14cが被検体30に押し広げられて変形しつつ被検体30と接触するようになっている。すなわち、複数の脚部14cが電極の凹凸や傾斜に沿って変形するので、電極の凹凸や傾斜に左右されずに安定した接触を確保することができる。また、各脚部14cの先端が電極に押し付けられてスクラブすることで電極表面の高抵抗被膜を除去するので、低抵抗で安定した接触を確保することができる。更には、脚部14cの先端に被検体30の電極材が固着している場合でも、この固着した電極材をスクラブ動作により剥離させることができるので、低抵抗で安定した接触を確保することができる。しかも、製法としてプレスの打ち抜き加工を利用することができるので、安価に製造することができる。また、仮に円形プレート14が摩耗や劣化した場合でも、円形プレート14のみを交換すればよいので、大電流用プローブ10の運用コストを大幅に低減することができる。
【0036】
更には、プランジャ13の先端部13aには、円形プレート14を被検体30に押し付けたときに被検体30に当接し、前記脚部14cが所定の範囲を超えて変形しないように抑制するストッパー15が突出しているので、脚部14cの変形量が制限されており、脚部14cの変形時に発生する応力を脚部14cの弾性域内(好ましくは疲労限度内)とすることができる。よって、大電流用プローブ10を繰り返し使用した場合でも、歪みや疲労破壊を抑え、安定した低抵抗接触を長期間維持することができる。
【0037】
また、前記ストッパー15は、円形プレート14の中央付近に突出して設けられているので、ストッパー15による変形抑制をすべての脚部14cに対してほぼ均等に作用させることができる。
【0038】
また、前記ストッパー15は、四端子測定の電圧測定用センシングピンとして使用可能であるので、大電流用プローブ10を四端子測定にも使用することができ、精度の高い計測を行うことができる。
【0039】
なお、上記した実施形態においては、大電流用プローブ10の基部材としてプランジャ13を使用する例について説明したが、本発明の実施形態はこれに限らない。たとえば、図7に示すように、基部材として板状部材21を用いてもよい。すなわち、2枚の板状部材21で被測定物を狭持して検査を行うような大電流用プローブ20であっても、本発明の構造を応用して上記した実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0040】
また、上記した実施形態においては、大電流用プローブ10の接触部材として円形プレート14を使用する例について説明したが、本発明の実施形態はこれに限らない。たとえば、図7及び図8に示すように、接触部材として矩形プレート22を使用してもよい。この図7及び図8に示す例では、矩形プレート22は、長方形の固定部22aと、この固定部22aの外周縁からほぼ同じ高さで突出した複数の脚部22cと、を備えている。そして、固定部22aの重心に丸孔22bが形成されている。この丸孔22bを貫通するようにストッパー23を配置することで、矩形プレート22の中央付近にストッパー23が突出して設けられるようになっている。このように、接触部材の形状を変更した場合であっても、本発明の構造を応用して上記した実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0041】
また、上記した実施形態においては、ストッパー23を四端子測定の電圧測定用センシングピンとして使用可能としたが、これに限らず、ストッパー23とは別に四端子測定の電圧測定用センシングピンを設けてもよい。例えば、図9及び図10に示すように、ストッパー23を貫通するように四端子測定の電圧測定用センシングピンである四端子測定用プローブ25を設けてもよい。この図9及び図10に示す例では、四端子測定用プローブ25は、筒状の針案内部26の中空部に配置されており、針案内部26によって前後に摺動可能に保持されている。そして、四端子測定用プローブ25は、外方へ突出するように針付勢部材27によって付勢されており、被検体30に押し付けられることで内方へ摺動可能となっている。針案内部26の後方には、測定機器と接続するための接続部28が設けられており、この接続部28に測定機器を接続することで、四端子測定用プローブ25が被検体30と電気的に接続されたときに電圧測定が実行できるようになっている。なお、四端子測定用プローブ25は、プランジャ13や円形プレート14に対して絶縁されている。このように、大電流用プローブ10のプランジャ13を貫通するように四端子測定の電圧測定用センシングピンを設ければ、大電流用プローブ10を四端子測定にも使用することができ、精度の高い計測を行うことができる。
【符号の説明】
【0042】
10 大電流用プローブ
11 スリーブ
12 付勢部材
13 プランジャ(基部材)
13a 先端部
13b 貫通孔
13c 後端部
14 円形プレート(接触部材)
14a 固定部
14b 丸孔
14c 脚部
15 ストッパー
15a 平坦面
15b 突起
15c 軸部
15d 後端部
16,17 絶縁カラー
20 大電流用プローブ
21 板状部材(基部材)
21a 先端部
22 矩形プレート(接触部材)
22a 固定部
22b 丸孔
22c 脚部
23 ストッパー
25 四端子測定用プローブ
26 針案内部
27 針付勢部材
28 接続部
30 被検体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10