(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
電力量計及び計器用変圧変流器間に接続されるテストスイッチに嵌合し、当該テストスイッチの開放状態で前記テストスイッチの電力量計側の端子及び計器用変圧変流器側の端子に介装されるテストプラグと、
降圧型の変圧器で形成され、当該変圧器の一次側が前記テストプラグの電力量計側の3相のうちの一の相の電圧端子と計器用変圧変流器側の前記一の相の電圧端子とが接続される第1端子と、前記テストプラグの電力量計側の3相のうちの他の相の電圧端子と計器用変圧変流器側の前記他の相の電圧端子とが接続される第2端子と有し、前記変圧器の二次側が前記テストプラグの電力量計側の3相のうちの一の相の電流端子に接続される第3端子と、前記テストプラグの電力量計側の3相のうちの他の相の電流端子に接続される第4端子とを有する模擬負荷回路と、
を備えることを特徴とする模擬電力供給装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(本発明の第1の実施形態)
正常計量確認装置10を説明するにあたり、正常計量確認装置10の確認対象である計器20(売電用計器21、買電用計器22)の結線図について、
図1及び
図2を用いて説明する。
売電用計器21は、
図1(a)に示すように、高圧・特高用計器函100の内部に設置され、電源側から配電線路200で配電される高電圧を低電圧に変成する計器用変圧器(Potential Transformer:以下、「PT」と称す)と大電流を小電流に変成する変流器(Current Transformer:以下、「CT」と称す)とからなる計器用変圧変流器(Voltage and Current Transformer:以下、「VCT」と称す)を介して、需要家の負荷300の使用電力量を計量する。
また、買電用計器22は、高圧・特高用計器函100の内部に設置され、VCTに接続されており、特定規模電気事業者(power producer and supplier:PPS)等の需要家から電力会社に販売するための電力量を計量する。
【0015】
売電用計器21、買電用計器22及びVCT間は、
図2に示すように、計器20(売電用計器21、買電用計器22)の交換作業を行う場合に、需要家を停電させず施工するために必要なテストスイッチ30を介して接続されている。
なお、以下の説明においては、VCTに直接接続されるテストスイッチ30を「テストSW1」と称し、売電用計器21に直接接続されるテストスイッチ30を「テストSW2」と称し、買電用計器22に直接接続されるテストスイッチ30を「テストSW3」と称す。
【0016】
VCTは、二次側端子として、電流端子である1S端子、1L端子、3S端子及び3L端子と、電圧端子であるP1端子、P2端子及びP3端子と、を備え、PTがP1端子、P2端子及びP3端子に接続され、CTが1S端子、3S端子及び3L端子に接続され、1L端子、3L端子及びP2端子が接地されている。
計器20(売電用計器21、買電用計器22)は、VCTと同様に、電流端子である1S端子、1L端子、3S端子及び3L端子と、電圧端子であるP1端子、P2端子及びP3端子と、を備える。
【0017】
テストスイッチ30(テストSW1、テストSW2、テストSW3)は、後述するテストプラグ11を挿抜可能な機構であり、計器20側に接続される計器側端子(1S端子、P1端子、P3端子、3S端子、3L端子、P2端子、1L端子)とVCT側に接続されるVCT側端子(1S端子、P1端子、P3端子、3S端子、3L端子、P2端子、1L端子)とが挿入口の上面及び下面に相対向して配設される。
また、テストスイッチ30(テストSW1、テストSW2、テストSW3)は、通常(テストプラグ11の未挿入)時に、計器側端子及びVCT側端子が電気的に接続されており、テストプラグ11の挿入(ロック解除)により、計器側端子及びVCT側端子が電気的に切り離されることになる。
【0018】
また、テストSW1には、VCT側3L端子及び1L端子間に短絡バー31を取り付けているが、テストSW2及びテストSW3には、VCT側3L端子及び1L端子間の短絡バー31を取り外している。なお、この短絡バー31は、テストスイッチ30に内蔵されており、テストSW2及びテストSW3の短絡バー31の外し忘れが、誤結線の要因の1つである。
【0019】
VCT及びテストSW1間は、VCTの二次側端子(1S端子、P1端子、P3端子、3S端子、3L端子、P2端子)の各端子とテストSW1のVCT側端子(1S端子、P1端子、P3端子、3S端子、3L端子、P2端子)の各端子とをそれぞれ対応させて、6芯ケーブル(電圧3芯、電流3芯)で接続されている。
また、売電用計器21及びテストSW2間は、売電用計器21の端子(1S端子、P1端子、P3端子、3S端子、3L端子、P2端子、1L端子)の各端子とテストSW2の計器側端子(1S端子、P1端子、P3端子、3S端子、3L端子、P2端子、1L端子)の各端子とをそれぞれ対応させて、7本の電線で接続されている。
また、買電用計器22及びテストSW3間は、買電用計器22の端子(1S端子、P1端子、P3端子、3S端子、3L端子、P2端子、1L端子)の各端子とテストSW3の計器側端子(1S端子、P1端子、P3端子、3S端子、3L端子、P2端子、1L端子)の各端子とをそれぞれ対応させて、7本の電線で接続されている。
【0020】
さらに、テストSW1、テストSW2及びテストSW3間は、テストSW1の計器側1S端子とテストSW2のVCT側1S端子とを対応させ、テストSW1の計器側P1端子とテストSW2のVCT側P1端子とテストSW3のVCT側P1端子とを対応させ、テストSW1の計器側P3端子とテストSW2のVCT側P3端子とテストSW3のVCT側P3端子とを対応させ、テストSW1の計器側3S端子とテストSW2のVCT側3S端子とを対応させ、テストSW1の計器側3L端子とテストSW3のVCT側3S端子とを対応させ、テストSW1の計器側P2端子とテストSW2のVCT側P2端子とテストSW3のVCT側P2端子とを対応させ、テストSW1の計器側1L端子とテストSW2のVCT側1S端子とを対応させ、テストSW2のVCT側3L端子とテストSW3のVCT側3L端子とを対応させ、テストSW2のVCT側1L端子とテストSW3のVCT側1L端子とを対応させて、電線で接続されている。
【0021】
なお、各端子間の電線は、端子の種類毎に色を分けているのであるが、テストSW2のVCT側3L端子及びテストSW3のVCT側3L端子間の電線、テストSW2のVCT側1L端子及びテストSW3のVCT側1L端子間の電線は、同色のために、1L端子と3L端子とを間違えて接続する可能性があり、誤結線の要因の1つである。
【0022】
つぎに、本実施形態に係る正常計量確認装置10について、説明する。
正常計量確認装置10は、
図1(a)に示すように、大別すると、模擬電力供給装置(虚負荷供給装置)101と、電力量計誤差測定器102と、第1の判定手段103と、を備える。
【0023】
模擬電力供給装置101は、
図3に示すように、計器20及びVCT間に接続されるテストスイッチ30(テストSW1)に嵌合し、当該テストSW1の開放状態でテストSW1の計器側端子及びVCT側端子に介装されるテストプラグ11と、降圧型の変圧器(transformer:以下、「Tr」称す)で形成され、当該Trの一次側がテストSW1の計器20側及びVCT側の電圧端子(P1端子、P2端子、P3端子)に接続され、Trの二次側がテストSW1の計器20側の電流端子(1S端子、3S端子、3L端子、1L端子)に接続される模擬負荷回路12と、テストSW1及びTr間に接続され、売電用計器21に電力量を計量させる順潮流と買電用計器22に電力量を計量させる逆潮流とを切り換える切換手段13と、を備える。
【0024】
テストプラグ11は、
図4(a)に示すように、計器側端子(1S端子、P1端子、P3端子、3S端子、3L端子、P2端子、1L端子)がテストスイッチ30(テストSW1)の計器20側の各端子に対応する位置に配設される。また、テストプラグ11の計器側端子の各端子は、
図3に示すように、模擬電力供給装置101の計器側端子台101aの各端子にそれぞれ対応して接続され、3L端子及び1L端子間が短絡している。
また、テストプラグ11は、
図4(b)に示すように、VCT側端子(1S端子、P1端子、P3端子、3S端子、3L端子、P2端子、1L端子)がテストスイッチ30(テストSW1)のVCT側の各端子に対応する位置に配設される。また、テストプラグ11のVCT側端子の各端子は、
図3に示すように、模擬電力供給装置101のVCT側端子台101bの各端子にそれぞれ対応して接続され、1S端子及び1L端子間並びに3S端子及び3L端子間が短絡している。
また、テストプラグ11は、
図4(c)に示すように、柄の収納時に上面及び下面の端子間が導通状態であるが、
図4(d)に示すように、柄の引下げ時に上面及び下面の端子間が非導通状態になる。
【0025】
本実施形態に係る切換手段13は、
図3に示すように、第1端子A、第2端子B、第3端子C、第4端子D、第5端子E及び第6端子Fからなる6つの端子を有し、当該第3端子C及び第6端子F間を短絡させ、当該第4端子D及び第5端子E間を短絡させたトグルスイッチであり、2つのトグルスイッチからなる。
なお、以下の説明においては、第1端子Aがテストプラグ11の計器側1S端子に接続され、第2端子Bがテストプラグ11の計器側1L端子に接続されるトグルスイッチを「第1トグルSW13a」と称し、第1端子Aがテストプラグ11の計器側3L端子に接続され、第2端子Bがテストプラグ11の計器側3S端子に接続されるトグルスイッチを「第2トグルSW13b」と称す。
【0026】
本実施形態に係る模擬負荷回路12は、
図3に示すように、110Vの一次電圧を4.4V程度の二次電圧に降圧する絶縁Trであり、2つのTrからなる。
なお、以下の説明においては、二次側の第1端子P1が第1トグルSW13aの第5端子Eに接続され、二次側の第2端子P2が第1トグルSW13bの第6端子Fに接続されるTrを「第1Tr12a」と称し、二次側の第1端子P2が、第2トグルSW13bの第5端子Eに接続され、二次側の第2端子P3が第2トグルSW13bの第6端子Fに接続されるTrを「第2Tr12b」と称す。
【0027】
また、第1Tr12aの一次側の第2端子P2及び第2Tr12bの一次側の第1端子P2には、計器20(売電用計器21、買電用計器22)の電流回路に力率がほぼ1で5A以下の電流を流すために、固定抵抗(定格抵抗値:200Ω、定格電力:8W)及び可変抵抗(定格抵抗値:〜300Ω、定格電力:12W)からなる可変抵抗Rがそれぞれ接続されているが、第1Tr12a及び第2Tr12bの一次側に可変抵抗Rを配設する代わりに、第1Tr12aの二次側の第2端子P2及び第2Tr12bの二次側の第1端子P2に可変抵抗をそれぞれ接続してもよい。
【0028】
テストプラグ11及び第1Tr12a間は、テストプラグ11のVCT側P1端子とテストプラグ11の計器側P1端子と第1Tr12aの一次側の第1端子P1とを対応させ、テストプラグ11のVCT側P2端子とテストプラグ11の計器側P2端子と第1Tr12aの一次側の第2端子P2と第2Tr12bの一次側の第1端子P2とを対応させ、テストプラグ11のVCT側P3端子とテストプラグ11の計器側P3端子と第2Tr12bの一次側の第2端子P3とを対応させて、リード線で接続されている。
【0029】
なお、本実施形態に係る模擬負荷回路12及び切換手段13は、図示しない筐体に内包されており、第1Tr12aの二次側の第1端子P1と第1トグルSW13aの第5端子Eとの接続は、外部端子1S,1Lを経由して接続され、第2Tr12bの二次側の第2端子P3と第2トグルSW13bの第6端子Fとの接続は、外部端子3S,3Lを経由して接続される。
また、外部端子P1は、テストプラグ11のVCT側P1端子とテストプラグ11の計器側P1端子と第1Tr12aの一次側の第2端子P1と第2Tr12bの一次側の第1端子P1とを接続するリード線に接続される。
同様に、外部端子P2は、テストプラグ11のVCT側P2端子とテストプラグ11の計器側P2端子と第1Tr12aの一次側の第2端子P2と第2Tr12bの一次側の第1端子P2とを接続するリード線に接続される。
同様に、外部端子P3は、テストプラグ11のVCT側P3端子とテストプラグ11の計器側P3端子と第2Tr12bの一次側の第2端子P3とを接続するリード線に接続される。
【0030】
トグルスイッチ(第1トグルSW13a、第2トグルSW13b)は、スイッチレバーが中立(垂直)の場合に第1端子A及び第2端子B間が開放状態であり、スイッチレバーを下側に倒すと、第1端子A及び第5端子E間が接続状態となり、第2端子B及び第6端子F間が接続状態となることで、順潮流側の結線になる。
これに対し、トグルスイッチ(第1トグルSW13a、第2トグルSW13b)のスイッチレバーを上側に倒すと、第1端子A及び第3端子C間が接続状態となり、第2端子B及び第4端子D間が接続状態となり、第3端子C及び第6端子F間の配線と第4端子D及び第5端子E間の配線との交差により、逆潮流側の結線になる。
【0031】
電力量計誤差測定器102は、JEMIC(日本電気計器検定所)等で校正された既存の誤差試験装置であり、計器20に供給される電流を測定し、計器20に印加される電圧を測定して、電力量を算出すると共に、当該電力量の算出値又は当該算出値に対応するパルス信号のパルス数と計器20の計量値又は当該計量値に対応するパルス信号のパルス数との誤差を算出する。
また、本実施形態に係る電力量計誤差測定器102は、テストSW1の計器側P1端子、計器側P2端子及び計器側P3端子に電圧ケーブル102aを接続して、計器20に印加される電圧を測定する。
なお、電力量計誤差測定器102は、模擬電力供給装置101の外部端子P1、P2及びP3に電圧ケーブル102aを接続して、計器20に印加される電圧を測定してもよい。
また、電力量計誤差測定器102は、テストSW1の計器側1S端子及びテストSW2のVCT側1S端子間のリード線と、テストSW1の計器側3S端子及びテストSW2のVCT側3S端子間のリード線とに電流ケーブル102bのCTをクランプして、計器20に供給される電流を測定する。
なお、電力量計誤差測定器102は、模擬電力供給装置101の外部端子1S及び1L間のリード線と外部端子3S及び3L間のリード線とに電流ケーブル102bのCTをクランプして、計器20に供給される電流を測定してもよい。
【0032】
また、本実施形態に係る電力量計誤差測定器102は、
図1(b)に示すように、売電用計器21又は買電用計器22のイヤホンジャック21a,22aに接続されたパルスケーブル102d及びパルス分周器102cを介して接続され、売電用計器21又は買電用計器22から出力されるパルス信号がパルス分周器102cにより分周されて入力される。
【0033】
第1の判定手段103は、電力量計誤差測定器102が算出した誤差に基づき、計器20及びテストスイッチ30間の配線の誤結線又は計器20の故障の有無を判断する。
特に、第1の判定手段103は、予め記憶された誤差の閾値(例えば、3%)に基づき、電力量計誤差測定器102が算出した誤差が閾値以下(計量法で規定された3%以内の誤差)の場合に、「誤結線無し(正常な結線)」及び「計器20の故障無し」と判定し、電力量計誤差測定器102が算出した誤差が閾値を超過した場合に、「誤結線有り」又は「計器20の故障有り」と判定する。
【0034】
つぎに、本実施形態に係る正常計量確認装置10の使用方法について説明する。
まず、売電用計器21についての誤結線又は故障を確認する
作業者は、電力量計誤差測定器102の電圧ケーブル102aをテストSW1の計器側P1端子、計器側P2端子及び計器側P3端子に接続し、電力量計誤差測定器102の電流ケーブル102bのCTをテストSW1の計器側1S端子及びテストSW2のVCT側1S端子間のリード線と、テストSW1の計器側3S端子及びテストSW2のVCT側3S端子間のリード線とにクランプし、電力量計誤差測定器102に接続されたパルス分周器102cのパルスケーブル102dを売電用計器21のイヤホンジャック21aに接続する。
なお、作業者は、電力量計誤差測定器102の電圧ケーブル102aを模擬電力供給装置101の外部端子P1、P2及びP3に接続し、電力量計誤差測定器102の電流ケーブル102bのCTを模擬電力供給装置101の外部端子1S及び1L間のリード線と外部端子3S及び3L間のリード線とにクランプしてもよい。
【0035】
そして、作業者は、柄が収納状態(上面及び下面の端子間が導通状態)のテストプラグ11をテストSW1に接続する。この時点で、計器20(売電用計器21、買電用計器22)に電圧110Vが課電されており、VCTのCT回路は計器20の電流回路と正常計量確認装置10の内部回路とで二重の閉回路となっている。
【0036】
そして、作業者は、テストプラグ11の柄を引き下げる(上面及び下面の端子間が非導通状態)。この時点で、テストSW1の一次側と二次側の回路が分離され、VCTのCT回路は正常計量確認装置10の内部回路のみでの閉回路となる。
また、作業者は、模擬電力供給装置101の第1トグルSW13a及び第2トグルSW13bのスイッチレバーを下側(順潮流側)に倒し、第1トグルSW13a並びに第2トグルSW13bの第1端子A及び第5端子E間を接続状態とし、第1トグルSW13a並びに第2トグルSW13bの第2端子B及び第6端子F間を接続状態とする。
【0037】
これにより、VCTのPT(P1端子、P2端子)からテストSW1(VCT側P1端子、VCT側P2端子)及びテストプラグ11(VCT側P1端子、VCT側P2端子)を介して模擬電力供給装置101の第1Tr12aの一次側(第1端子P1、第2端子P2)に印加される110Vの電圧が二次側で4.4V程度に降圧され、第1Tr12aの二次側の第1端子P1から外部端子(1S、1L)及び第1トグルSW13a(第5端子E、第1端子A)を介してテストプラグ11の計器側1S端子に向かって5A以下の電流が流れ、テストSW1の計器側1S端子からテストSW2(VCT側1S端子、計器側1S端子)を介して売電用計器21の1S端子に5A以下の電流が流れることになる。
同様に、VCTのPT(P2端子、P3端子)からテストSW1(VCT側P2端子、VCT側P3端子)及びテストプラグ11(VCT側P2端子、VCT側P3端子)を介して模擬電力供給装置101の第2Tr12bの一次側(第1端子P2、第2端子P3)に印加される110Vの電圧が二次側で4.4V程度に降圧され、第2Tr12bの二次側の第2端子P3から外部端子(3S、3L)及び第2トグルSW13b(第6端子F、第2端子B)を介してテストプラグ11の計器側3S端子に向かって5A以下の電流が流れ、テストSW1の計器側3S端子からテストSW2(VCT側3S端子、計器側の3S端子)を介して売電用計器21の3S端子に5A以下の電流が流れることになる。
【0038】
なお、買電用計器22には、売電用計器21の1L端子からテストSW2(計器側1L端子、VCT側1L端子)及びテストSW3(VCT側1L端子、計器側1L端子)を介して買電用計器22の1L端子に電流が流れ、売電用計器21の3L端子からテストSW2(計器側3L端子、VCT側3L端子)及びテストSW3(VCT側3L端子、計器側3L端子)を介して買電用計器22の3L端子に電流が流れることになるが、買電用計器22にとって逆潮流となるために、買電用計器22は電力量を計量しない。
【0039】
また、VCTのPT(P1端子、P2端子、P3端子)から、テストSW1(VCT側P1端子、VCT側P2端子、VCT側P3端子)、テストプラグ11(VCT側P1端子、VCT側P2端子、VCT側P3端子)、テストSW1(計器側P1端子、計器側P2端子、計器側P3端子)及びテストSW2(P1端子、P2端子、P3端子)を介して、売電用計器21のP1端子、P2端子及びP3端子に電圧が印加される。
【0040】
そして、売電用計器21は、1S端子及び3S端子に供給される電流並びにP1端子、P2端子及びP3端子に印加される電圧に基づき、模擬電力供給装置101による電力量を計量し、当該計量に基づくパルス信号を発信する。
【0041】
電力量計誤差測定器102は、パルスケーブル102dを介してパルス分周器102cにより分周された売電用計器21からのパルス信号を受信する。
また、電力量計誤差測定器102は、電圧ケーブル102a並びにテストSW1の計器側P1端子、計器側P2端子及び計器側P3端子を介して、売電用計器21に印加される電圧を測定し、CT付電流ケーブル102bとテストSW1の計器側1S端子及びテストSW2のVCT側1S端子間のリード線並びにテストSW1の計器側3S端子及びテストSW2のVCT側3S端子間のリード線とを介して、売電用計器21に流れる電流を測定して、電力量を算出する。
なお、電力量計誤差測定器102の電圧ケーブル102aを模擬電力供給装置101の外部端子P1、P2及びP3に接続した場合には、電力量計誤差測定器102が、電圧ケーブル102a並びに模擬電力供給装置101の外部端子P1、P2及びP3を介して、買電用計器22に印加される電圧を測定する。
また、電力量計誤差測定器102の電流ケーブル102bのCTを模擬電力供給装置101の外部端子1S及び1L間のリード線と外部端子3S及び3L間のリード線とにクランプした場合には、電力量計誤差測定器102が、CT付電流ケーブル102b並びに模擬電力供給装置101の外部端子1S及び1L間のリード線と外部端子3S及び3L間のリード線を介して、買電用計器22に流れる電流を測定する。
そして、電力量計誤差測定器102は、買電用計器22に印加される電圧と買電用計器22に流れる電流とに基づき、電力量を算出する。
【0042】
そして、電力量計誤差測定器102は、売電用計器21から受信した分周後のパルス信号による売電用計器21の計量値と電力量計誤差測定器102自体による電力量の算出値との誤差を算出し、算出した誤差を第1の判定手段103に出力する。
【0043】
第1の判定手段103は、電力量計誤差測定器102が算出した誤差が閾値(例えば、3%)以下の場合に、売電用計器21についての「誤結線無し(正常な結線)」及び「売電用計器21の故障無し」と判定し、電力量計誤差測定器102が算出した誤差が閾値を超過した場合に、売電用計器21についての「誤結線有り」又は「売電用計器21の故障有り」と判定する。
なお、第1の判定手段103が売電用計器21についての「誤結線有り」又は「売電用計器21の故障有り」と判定した場合には、作業者が再度の配線確認(短絡バー31の外し忘れ、テストSW2並びにテストSW3のVCT側1L端子及び3L端子の入れ替わり、等)を行ない、誤結線がなければ、売電用計器21の故障と判断する。
【0044】
つぎに、買電用計器22についての誤結線又は故障を確認する
作業者は、電力量計誤差測定器102の電圧ケーブル102aをテストSW1の計器側P1端子、計器側P2端子及び計器側P3端子に接続したままで、テストSW1の計器側1S端子及びテストSW2のVCT側1S端子間のリード線と、テストSW1の計器側3S端子及びテストSW2のVCT側3S端子間のリード線に対する電力量計誤差測定器102の電流ケーブル102bにおけるCTの向きを反転する。
また、作業者は、電力量計誤差測定器102に接続されたパルス分周器102cのパルスケーブル102dを買電用計器22のイヤホンジャック22aに接続する。
なお、電力量計誤差測定器102の電圧ケーブル102aを模擬電力供給装置101の外部端子P1、P2及びP3に接続し、電力量計誤差測定器102の電流ケーブル102bのCTを模擬電力供給装置101の外部端子1S及び1L間のリード線と外部端子3S及び3L間のリード線とにクランプした場合は、CTを反転せずにそのままの状態とする。
【0045】
そして、作業者は、模擬電力供給装置101の第1トグルSW13a及び第2トグルSW13bのスイッチレバーを上側(逆潮流側)に倒し、第1トグルSW13a並びに第2トグルSW13bの第1端子A及び第3端子C間を接続状態とし、第1トグルSW13a並びに第2トグルSW13bの第2端子B及び第4端子D間を接続状態とする。
【0046】
これにより、VCTのPT(P1端子、P2端子)からテストSW1(VCT側P1端子、VCT側P2端子)及びテストプラグ11(VCT側P1端子、VCT側P2端子)を介して模擬電力供給装置101の第1Tr12aの一次側(第1端子P1、第2端子P2)に印加される110Vの電圧が二次側で4.4V程度に降圧され、第1Tr12aの二次側の第1端子P1から外部端子(1L、1S)及び第1トグルSW13a(第3端子E、第4端子D、第2端子B)を介してテストプラグ11の計器側1L端子に向かって5A以下の電流が流れ、テストSW1の計器側1L端子からテストSW3(VCT側1S端子、計器側1S端子)を介して買電用計器22の1S端子に5A以下の電流が流れることになる。
同様に、VCTのPT(P2端子、P3端子)からテストSW1(VCT側P2端子、VCT側P3端子)及びテストプラグ11(VCT側P2端子、VCT側P3端子)を介して模擬電力供給装置101の第2Tr12bの一次側(第1端子P2、第2端子P3)に印加される110Vの電圧が二次側で4.4V程度に降圧され、第2Tr12bの二次側の第2端子P3から外部端子(3L、3S)及び第2トグルSW13b(第6端子F、第3端子C、第1端子A)を介してテストプラグ11の計器側3L端子に向かって5A以下の電流が流れ、テストSW1の計器側3L端子からテストSW3(VCT側3S端子、計器側の3S端子)を介して買電用計器22の3S端子に5A以下の電流が流れることになる。
【0047】
なお、売電用計器21には、買電用計器22の1L端子からテストSW3(計器側1L端子、VCT側1L端子)及びテストSW2(VCT側1L端子、計器側1L端子)を介して売電用計器21の1L端子に電流が流れ、売電用計器21の3L端子からテストSW3(計器側3L端子、VCT側3L端子)及びテストSW2(VCT側3L端子、計器側3L端子)を介して売電用計器21の3L端子に電流が流れることになるが、売電用計器21にとって逆潮流となるために、売電用計器21は電力量を計量しない。
【0048】
また、VCTのPT(P1端子、P2端子、P3端子)から、テストSW1(VCT側P1端子、VCT側P2端子、VCT側P3端子)、テストプラグ11(VCT側P1端子、VCT側P2端子、VCT側P3端子)、テストSW1(計器側P1端子、計器側P2端子、計器側P3端子)及びテストSW3(P1端子、P2端子、P3端子)を介して、買電用計器22のP1端子、P2端子及びP3端子に電圧が印加される。
【0049】
そして、買電用計器22は、1S端子及び3S端子に供給される電流並びにP1端子、P2端子及びP3端子に印加される電圧に基づき、模擬電力供給装置101による電力量を計量し、当該計量に基づくパルス信号を発信する。
【0050】
電力量計誤差測定器102は、パルスケーブル102dを介してパルス分周器102cにより分周された買電用計器22からのパルス信号を受信する。
また、電力量計誤差測定器102は、電圧ケーブル102a並びにテストSW1の計器側P1端子、計器側P2端子及び計器側P3端子を介して、買電用計器22に印加される電圧を測定し、CT付電流ケーブル102bとテストSW1の計器側1S端子及びテストSW2のVCT側1S端子間のリード線並びにテストSW1の計器側3S端子及びテストSW2のVCT側3S端子間のリード線とを介して、買電用計器22に流れる電流を測定して、電力量を算出する。
なお、電力量計誤差測定器102の電圧ケーブル102aを模擬電力供給装置101の外部端子P1、P2及びP3に接続した場合には、電力量計誤差測定器102が、電圧ケーブル102a並びに模擬電力供給装置101の外部端子P1、P2及びP3を介して、買電用計器22に印加される電圧を測定する。
また、電力量計誤差測定器102の電流ケーブル102bのCTを模擬電力供給装置101の外部端子1S及び1L間のリード線と外部端子3S及び3L間のリード線とにクランプした場合には、電力量計誤差測定器102が、CT付電流ケーブル102b並びに模擬電力供給装置101の外部端子1S及び1L間のリード線と外部端子3S及び3L間のリード線を介して、買電用計器22に流れる電流を測定する。
そして、電力量計誤差測定器102は、買電用計器22に印加される電圧と買電用計器22に流れる電流とに基づき、電力量を算出する。
【0051】
そして、電力量計誤差測定器102は、買電用計器22から受信した分周後のパルス信号による買電用計器22の計量値と電力量計誤差測定器102自体による電力量の算出値との誤差を算出し、算出した誤差を第1の判定手段103に出力する。
【0052】
第1の判定手段103は、電力量計誤差測定器102が算出した誤差が閾値(例えば、3%)以下の場合に、買電用計器22についての「誤結線無し(正常な結線)」及び「買電用計器22の故障無し」と判定し、電力量計誤差測定器102が算出した誤差が閾値を超過した場合に、買電用計器22についての「誤結線有り」又は「買電用計器22の故障有り」と判定する。
なお、第1の判定手段103が買電用計器22についての「誤結線有り」又は「買電用計器22の故障有り」と判定した場合には、作業者が再度の配線確認を行ない、誤結線がなければ、買電用計器22の故障と判断する。
【0053】
以上のように、本実施形態に係る模擬電力供給装置101においては、需要家の負荷300の稼動(実潮流)がない場合であっても、VCT電圧を絶縁Tr(第1Tr12a、第2Tr12b)で降圧し、計器20(売電用計器21、買電用計器22)の電流回路に実負荷相当の虚負荷電流を直接供給することができ、電力量計として高圧・特高用の模擬負荷を用いた場合と同様な計量を実現することができると共に、装置の小型軽量化を図ることができるという作用効果を奏する。
また、本実施形態に係る模擬電力供給装置101においては、VCTの三相電圧をそのまま使用して三相電圧及び電流を生成(電圧はそのまま使用)しているため、単相電源を使用して三相電圧及び電流を生成している市販の虚偽負荷試験装置と比較して、回路構成が単純であり、低コストであるという作用効果を奏する。
【0054】
特に、模擬電力供給装置101を備えた正常計量確認装置10においては、計器20の計量値と電力量計誤差測定器102の算出値との誤差に基づき、計器20の正常計量(結線)又は計器20の故障の有無を判定することができるという作用効果を奏する。
【0055】
また、本実施形態に係る正常計量確認装置10(模擬電力供給装置101)は、テストスイッチ30(テストSW1)に嵌合するテストプラグ11を使用することにより、VCT及び計器20間の既設の配線に対して接続作業が簡易であり、VCT及び計器20間の既設の配線に対して確実に結線することができるという作用効果を奏する。
【0056】
ここで、一つのVCTに対して売電用計器21及び買電用計器22を設定している場合の各計器20の計量は、順潮流時には、売電用計器21が計量し、買電用計器22が無計量となり、逆潮流時には、売電用計器21が無計量となり、買電用計器22が計量する。
これに対し、本実施形態に係る正常計量確認装置10(模擬電力供給装置101)は、トグルスイッチ(第1トグルSW13a、第2トグルSW13b)を用いた結線により、順潮流又は逆潮流をスイッチ一つで切り替えることができ、計器20の正常計量(正常結線)又は計器20の故障の有無の判定を効率的かつ確実に行なうことができるという作用効果を奏する。
【0057】
(本発明の第2の実施形態)
図5は第2の実施形態に係る正常計量確認装置の概略構成及び結線を示す概略構成図である。
図5において、
図1乃至
図4と同じ符号は、同一又は相当部分を示し、その説明を省略する。
【0058】
本実施形態に係る正常計量確認装置10は、
図5に示すように、電力量計誤差測定器102の代わりに、Tr(第1Tr12a、第2Tr12b)及びテストプラグ11間に接続され、計器20(売電用計器21、買電用計器22)と異なる他の計器である参考計器40を備え、パルス分周器102cの代わりに、計器20の計量値又は当該計量値に対応するパルス信号及び参考計器40の計量値又は当該計量値に対応するパルス信号に基づき、当該計器20及び参考計器40の計量値又はパルス数の誤差を検出する検出手段104を備え、第1の判定手段103の代わりに、検出手段104が検出した計量値又はパルス数の誤差に基づき、計器20及びテストスイッチ30間の配線の誤結線又は計器20の故障の有無を判断する第2の判定手段105を備える。
【0059】
参考計器40は、計器20(売電用計器21、買電用計器22)と同種類の電力量計であり、電流端子である1S端子、1L端子、3S端子及び3L端子を備え、電圧端子であるP1端子、P2端子及びP3端子を備えている。
参考計器40の電流端子は、1S端子が第1Tr12aの二次側の第1端子P1に接続され、1L端子が第1トグルSW13aの第5端子Eに接続され、3S端子が第2Tr12bの二次側の第2端子P3に接続され、3L端子が第2トグルSW13bの第6端子Fに接続される。
参考計器40の電圧端子は、P1端子がテストプラグ11のP1端子(計器側、VCT側)及び第1Tr12aの一次側の第1端子P1間の配線に接続され、P2端子がテストプラグ11のP2端子(計器側、VCT側)並びに第1Tr12aの一次側の第2端子P2及び第2Tr12bの一次側の第1端子P2間の配線に接続され、P3端子がテストプラグ11のP3端子(計器側、VCT側)及び第2Tr12bの一次側の第2端子P3間の配線に接続される。
【0060】
検出手段104は、計器20(売電用計器21、買電用計器22)から出力されるパルス信号に基づきパルス数をカウントする第1パルスカウンター104aと、参考計器40から出力されるパルス信号に基づきパルス数をカウントする第2パルスカウンター104bと、第1パルスカウンター104a及び第2パルスカウンター104bから出力されるパルス数の差を検出する検出部104cと、を備える。
【0061】
第2の判定手段105は、予め記憶されたパルス数の差(参考計器40の計量値に対する計器20の計量値の誤差)の閾値に基づき、検出手段104が検出したパルス数の差が閾値以下の場合に、「誤結線無し(正常な結線)」及び「計器20の故障無し」と判定し、検出手段104が検出したパルス数の差が閾値を超過した場合に、「誤結線有り」又は「計器20の故障有り」と判定する。
【0062】
なお、本実施形態に係る正常計量確認装置10は、JEMIC等で校正された電力量計誤差測定器102の代わりに、参考計器40を使用しているため、参考計器40の計量値に3%の誤差を含む可能性がある。
このため、本実施形態に係るパルス数の差の閾値は、計量法で規定された3%以内を基準にした3%を第1の閾値とし、計量法の規定3%と参考計器40の誤差3%とを考慮した6%を第2の閾値として設定している。
【0063】
つぎに、本実施形態に係る正常計量確認装置10の使用方法について説明する。
まず、売電用計器21についての誤結線又は故障を確認する。
作業者は、検出手段104の第1パルスカウンター104aのパルスケーブル104dを売電用計器21のイヤホンジャック21aに接続し、検出手段104の第2パルスカウンター104bのパルスケーブル104dを参考計器40のイヤホンジャック40aに接続する。
【0064】
そして、作業者は、柄が収納状態(上面及び下面の端子間が導通状態)のテストプラグ11をテストSW1に接続する。この時点で、計器20(売電用計器21、買電用計器22)に電圧110Vが課電されている。
【0065】
そして、作業者は、テストプラグ11の柄を引き下げる(上面及び下面の端子間が非導通状態)。この時点で、テストSW1の一次側と二次側の回路が分離され、VCTのCT回路が閉回路となる。
また、作業者は、模擬電力供給装置101の第1トグルSW13a及び第2トグルSW13bのスイッチレバーを下側(順潮流側)に倒し、第1トグルSW13a並びに第2トグルSW13bの第1端子A及び第5端子E間を接続状態とし、第1トグルSW13a並びに第2トグルSW13bの第2端子B及び第6端子F間を接続状態とする。
【0066】
これにより、VCTのPT(P1端子、P2端子)からテストSW1(VCT側P1端子、VCT側P2端子)及びテストプラグ11(VCT側P1端子、VCT側P2端子)を介して模擬電力供給装置101の第1Tr12aの一次側(第1端子P1、第2端子P2)に印加される110Vの電圧が二次側で4.4V程度に降圧され、第1Tr12aの二次側の第1端子P1から参考計器40の1S端子に5A以下の電流が流れ、参考計器40(1S端子、1L端子)及び第1トグルSW13a(第5端子E、第1端子A)を介してテストプラグ11の計器側1S端子に向かって5A以下の電流が流れ、テストSW1の計器側1S端子からテストSW2(VCT側1S端子、計器側1S端子)を介して売電用計器21の1S端子に5A以下の電流が流れることになる。
同様に、VCTのPT(P2端子、P3端子)からテストSW1(VCT側P2端子、VCT側P3端子)及びテストプラグ11(VCT側P2端子、VCT側P3端子)を介して模擬電力供給装置101の第2Tr12bの一次側(第1端子P2、第2端子P3)に印加される110Vの電圧が二次側で4.4V程度に降圧され、第2Tr12bの二次側の第2端子P3から参考計器40の3S端子に5A以下の電流が流れ、参考計器40(3S端子、3L端子)及び第2トグルSW13b(第6端子F、第2端子B)を介してテストプラグ11の計器側3S端子に向かって5A以下の電流が流れ、テストSW1の計器側3S端子からテストSW2(VCT側3S端子、計器側の3S端子)を介して売電用計器21の3S端子に5A以下の電流が流れることになる。
【0067】
なお、買電用計器22には、売電用計器21の1L端子からテストSW2(計器側1L端子、VCT側1L端子)及びテストSW3(VCT側1L端子、計器側1L端子)を介して買電用計器22の1L端子に電流が流れ、売電用計器21の3L端子からテストSW2(計器側3L端子、VCT側3L端子)及びテストSW3(VCT側3L端子、計器側3L端子)を介して買電用計器22の3L端子に電流が流れることになるが、買電用計器22にとって逆潮流となるために、買電用計器22は電力量を計量しない。
【0068】
また、VCTのPT(P1端子、P2端子、P3端子)から、テストSW1(VCT側P1端子、VCT側P2端子、VCT側P3端子)及びテストプラグ11(VCT側P1端子、VCT側P2端子、VCT側P3端子)を介して、参考計器40のP1端子、P2端子及びP3端子に電圧が印加され、さらにテストSW1(計器側P1端子、計器側P2端子、計器側P3端子)及びテストSW2(P1端子、P2端子、P3端子)を介して、売電用計器21のP1端子、P2端子及びP3端子に電圧が印加される。
【0069】
そして、参考計器40は、1S端子及び3S端子に供給される電流並びにP1端子、P2端子及びP3端子に印加される電圧に基づき、模擬電力供給装置101による電力量を計量し、当該計量に基づくパルス信号を発信する。
また、売電用計器21は、1S端子及び3S端子に供給される電流並びにP1端子、P2端子及びP3端子に印加される電圧に基づき、模擬電力供給装置101による電力量を計量し、当該計量に基づくパルス信号を発信する。
【0070】
検出手段104の第1パルスカウンター104aは、パルスケーブル104dを介して売電用計器21からのパルス信号を受信し、当該パルス信号に基づくパルス数をカウントする。
また、検出手段104の第2パルスカウンター104bは、パルスケーブル104dを介して参考計器40からのパルス信号を受信し、当該パルス信号に基づくパルス数をカウントする。
【0071】
そして、検出手段104の検出部104cは、第1パルスカウンター104aから入力されたパルス数(パルス信号による売電用計器21の計量値)と第2パルスカウンター104bから入力されたパルス数(パルス信号による参考計器40の計量値)との差を検出し、検出したパルス数の差を第2の判定手段105に出力する。
【0072】
第2の判定手段105は、(1)検出手段104の検出部104cが検出したパルス数の差(参考計器40の計量値に対する売電用計器21の計量値の誤差)が第1の閾値(3%)以下の場合に、売電用計器21についての「誤結線無し(正常な結線)」及び「売電用計器21の故障無し」と判定し、(2)検出手段104の検出部104cが検出したパルス数の差が第2の閾値(6%)を超過した場合に、売電用計器21についての「誤結線有り」又は「売電用計器21の故障有り」と判定し、(3)検出手段104の検出部104cが検出したパルス数の差が第1の閾値を超過し第2の閾値以内である場合に、売電用計器21についての「誤結線の可能性有り」又は「売電用計器21の故障の可能性有り」と判定する。
【0073】
なお、第2の判定手段105が売電用計器21についての「誤結線有り」又は「売電用計器21の故障有り」と判定した場合には、作業者が再度の配線確認を行ない、誤結線がなければ、売電用計器21の故障と判断する。
また、第2の判定手段105が売電用計器21についての「誤結線の可能性有り」又は「売電用計器21の故障の可能性有り」と判定した場合には、作業者が再度の配線確認を行ない、誤結線がなければ、校正された電力量計誤差測定器を用いて、売電用計器21の故障を確認することになる。
【0074】
つぎに、買電用計器22についての誤結線又は故障を確認する
作業者は、検出手段104の第2パルスカウンター104bのパルスケーブル104dを参考計器40のイヤホンジャック40aに接続したまま、検出手段104の第1パルスカウンター104aのパルスケーブル104dを買電用計器22のイヤホンジャック22aに接続する。
【0075】
そして、作業者は、模擬電力供給装置101の第1トグルSW13a及び第2トグルSW13bのスイッチレバーを上側(逆潮流側)に倒し、第1トグルSW13a並びに第2トグルSW13bの第1端子A及び第3端子C間を接続状態とし、第1トグルSW13a並びに第2トグルSW13bの第2端子B及び第4端子D間を接続状態とする。
【0076】
これにより、VCTのPT(P1端子、P2端子)からテストSW1(VCT側P1端子、VCT側P2端子)及びテストプラグ11(VCT側P1端子、VCT側P2端子)を介して模擬電力供給装置101の第1Tr12aの一次側(第1端子P1、第2端子P2)に印加される110Vの電圧が二次側で4.4V程度に降圧され、第1Tr12aの二次側の第1端子P1から参考計器40の1S端子に5A以下の電流が流れ、参考計器40(1S端子、1L端子)及び第1トグルSW13a(第5端子E、第4端子D、第2端子B)を介してテストプラグ11の計器側1L端子に向かって5A以下の電流が流れ、テストSW1の計器側1L端子からテストSW3(VCT側1S端子、計器側1S端子)を介して買電用計器22の1S端子に5A以下の電流が流れることになる。
同様に、VCTのPT(P2端子、P3端子)からテストSW1(VCT側P2端子、VCT側P3端子)及びテストプラグ11(VCT側P2端子、VCT側P3端子)を介して模擬電力供給装置101の第2Tr12bの一次側(第1端子P2、第2端子P3)に印加される110Vの電圧が二次側で4.4V程度に降圧され、第2Tr12bの二次側の第2端子P3から参考計器40の3S端子に5A以下の電流が流れ、参考計器40(3S端子、3L端子)及び第2トグルSW13b(第6端子F、第3端子C、第1端子A)を介してテストプラグ11の計器側3L端子に向かって5A以下の電流が流れ、テストSW1の計器側3L端子からテストSW3(VCT側3S端子、計器側の3S端子)を介して買電用計器22の3S端子に5A以下の電流が流れることになる。
【0077】
なお、売電用計器21には、買電用計器22の1L端子からテストSW3(計器側1L端子、VCT側1L端子)及びテストSW2(VCT側1L端子、計器側1L端子)を介して売電用計器21の1L端子に電流が流れ、売電用計器21の3L端子からテストSW3(計器側3L端子、VCT側3L端子)及びテストSW2(VCT側3L端子、計器側3L端子)を介して売電用計器21の3L端子に電流が流れることになるが、売電用計器21にとって逆潮流となるために、売電用計器21は電力量を計量しない。
【0078】
また、VCTのPT(P1端子、P2端子、P3端子)から、テストSW1(VCT側P1端子、VCT側P2端子、VCT側P3端子)及びテストプラグ11(VCT側P1端子、VCT側P2端子、VCT側P3端子)を介して、参考計器40のP1端子、P2端子及びP3端子に電圧が印加され、さらにテストSW1(計器側P1端子、計器側P2端子、計器側P3端子)及びテストSW3(P1端子、P2端子、P3端子)を介して、買電用計器22のP1端子、P2端子及びP3端子に電圧が印加される。
【0079】
そして、参考計器40は、1S端子及び3S端子に供給される電流並びにP1端子、P2端子及びP3端子に印加される電圧に基づき、模擬電力供給装置101による電力量を計量し、当該計量に基づくパルス信号を発信する。
また、買電用計器22は、1S端子及び3S端子に供給される電流並びにP1端子、P2端子及びP3端子に印加される電圧に基づき、模擬電力供給装置101による電力量を計量し、当該計量に基づくパルス信号を発信する。
【0080】
検出手段104の第1パルスカウンター104aは、パルスケーブル104dを介して買電用計器22からのパルス信号を受信し、当該パルス信号に基づくパルス数をカウントする。
また、検出手段104の第2パルスカウンター104bは、パルスケーブル104dを介して参考計器40からのパルス信号を受信し、当該パルス信号に基づくパルス数をカウントする。
【0081】
そして、検出手段104の検出部104cは、第1パルスカウンター104aから入力されたパルス数(パルス信号による買電用計器22の計量値)と第2パルスカウンター104bから入力されたパルス数(パルス信号による参考計器40の計量値)との差を検出し、検出したパルス数の差を第2の判定手段105に出力する。
【0082】
第2の判定手段105は、(1)検出手段104の検出部104cが検出したパルス数の差(参考計器40の計量値に対する買電用計器22の計量値の誤差)が第1の閾値(3%)以下の場合に、買電用計器22についての「誤結線無し(正常な結線)」及び「買電用計器22の故障無し」と判定し、(2)検出手段104の検出部104cが検出したパルス数の差が第2の閾値(6%)を超過した場合に、買電用計器22についての「誤結線有り」又は「買電用計器22の故障有り」と判定し、(3)検出手段104の検出部104cが検出したパルス数の差が第1の閾値を超過し第2の閾値以内である場合に、買電用計器22についての「誤結線の可能性有り」又は「買電用計器22の故障の可能性有り」と判定する。
【0083】
なお、第2の判定手段105が買電用計器22についての「誤結線有り」又は「買電用計器22の故障有り」と判定した場合には、作業者が再度の配線確認を行ない、誤結線がなければ、買電用計器22の故障と判断する。
また、第2の判定手段105が買電用計器22についての「誤結線の可能性有り」又は「買電用計器22の故障の可能性有り」と判定した場合には、作業者が再度の配線確認を行ない、誤結線がなければ、校正された電力量計誤差測定器を用いて、買電用計器22の故障を確認することになる。
【0084】
なお、本実施形態においては、電力量計誤差測定器102の代わりに参考計器40を備え、パルス分周器102cの代わりに検出手段104を備え、第1の判定手段103の代わりに第2の判定手段105を備えるところが第1の実施形態と主に異なるところであり、参考計器40、検出手段104及び第2の判定手段105による作用効果以外は、第1の実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0085】
本実施形態に係る正常計量確認装置10においては、JEMIC等で校正された誤差試験装置(電力量計誤差測定器102)を用いることなく、電力会社で常時在庫が存在する電力量計を活用することができるという作用効果を奏する。
なお、本実施形態に係る正常計量確認装置10においては、模擬電力供給装置101に参考計器40を内蔵する場合について説明したが、
図3に示す模擬電力供給装置101の外部端子(電圧端子(P1、P2、P3)、電流端子(1L、1S、3L、3S))に、参考計器40の電圧端子(P1端子、P2端子、P3端子)及び電流端子(1L端子、1S端子、3L端子、3S端子)をそれぞれ接続し、参考計器40を模擬電力供給装置101の外付けとする構成であってもよい。
【0086】
(本発明の第3の実施形態)
図6は第3の実施形態に係る正常計量確認装置の概略構成及び結線を示す概略構成図である。
図7(a)は有効電力計の接続状態を正常側に切り替えた場合の計測値を説明するためのフェーザ図であり、
図7(b)は有効電力計の接続状態を異常側に切り替えた場合の計測値を説明するためのフェーザ図である。
図6において、
図1乃至
図5と同じ符号は、同一又は相当部分を示し、その説明を省略する。
【0087】
本実施形態に係る正常計量確認装置10は、
図6に示すように、テストプラグ11に接続され、需要家の受電設備である進相コンデンサSC(力率改善用コンデンサ、並列コンデンサ(いわゆるスタコン)、力率改善用スタコン、
図2参照)のスイッチ(以下、「第1スイッチ301」と称す)投入により生じる無効電流に基づく無効電力を計測する計測器を、さらに備える。
なお、本実施形態に係る計測器は、コスト低減のために単相有効電力計106を使用し、三相無効電力を計測しているが、単相有効電力計の代わりに、三相無効電力計を使用してもよい。
【0088】
有効電力計106は、電流端子がテストプラグ11のVCT側3S端子及びVCT側3L端子に接続され、電圧端子が、第1端子A、第2端子B、第3端子C、第4端子D、第5端子E及び第6端子Fからなる6つの端子を有するトグルスイッチ(以下、「第3トグルSW13c」と称す)の第2端子B及び第5端子Eに接続される。
【0089】
第3トグルSW13cは、第4端子Dがテストプラグ11のVCT側P3端子及び計器側P3端子間の配線に接続され、第5端子Eがテストプラグ11のVCT側P2端子及び計器側P2端子間の配線に接続され、第6端子Fがテストプラグ11のVCT側P1端子及び計器側P1端子間の配線に接続される。
【0090】
また、本実施形態に係る模擬電力供給装置101においては、テストプラグ11のVCT側P1端子及び計器側P1端子間並びにテストプラグ11のVCT側P3端子及び計器側P3端子間の配線に、スイッチ(以下、「第2スイッチ14」と称す)を配設しており、第2スイッチ14を開放することにより、計器20(売電用計器21、買電用計器22)のP1端子及びP3端子に対するVCTのPTからの電圧の印加を遮断することができる。
また、本実施形態に係る模擬電力供給装置101においては、第2スイッチ14を開放することにより、計器側が停電状態になるため、誤結線の場合に、結線の手直しを安全に実施することができるという効果がある。
【0091】
また、本実施形態に係る第1の判定手段103は、有効電力計106の計測値に基づき、VCTの二次側端子及びテストスイッチ30(テストSW1)のVCT側端子間の配線の誤結線並びにVCTの一次側端子における電源側と負荷側との逆接続を判断する。
【0092】
なお、本実施形態に係る正常計量確認装置10においては、
図6に示すように、第1Tr12aの一次側の第1端子P1及び第2端子P2間の電圧P1−P2を測定し、第2Tr12bの一次側の第1端子P2及び第2端子P3間の電圧P3−P2を測定する電圧計を図示し、第1Tr12aの二次側の第1端子P1を流れる電流を測定し、第2Tr12bの二次側の第2端子P3を流れる電流を測定する電流計を図示しているが、これらの電圧計及び電流計は、必ずしも配設する必要はない。
【0093】
つぎに、本実施形態に係る正常計量確認装置10の使用方法について説明する。
なお、計器20(売電用計器21、買電用計器22)についての誤結線又は故障の確認については、第1の実施形態に係る正常計量確認装置10の使用方法と同様であるので、説明を省略する。
以下、本実施形態に係る正常計量確認装置10による、VCTの二次側端及びテストスイッチ30(テストSW1)のVCT側端子間における配線の誤結線並びにVCTの一次側端子における電源側と負荷側との逆接続の確認方法について説明する。
【0094】
まず、作業者は、需要家の受電設備である第1スイッチ301を投入して、進相コンデンサSCを投入する。
【0095】
これにより、進相コンデンサSCに流れる各相の電流は、相電圧より90°進みの電流であり、無効電流として、VCTのCT(3S端子、3L端子)及びテストSW1のVCT側(3S端子、3L端子)を介して、有効電力計106に供給される。なお、進相コンデンサSCからの電流は、無効電流となるために、計器20(売電用計器21、買電用計器22)は、進相コンデンサSCからの電流に基づいて電力量を計量しない。
【0096】
また、作業者は、模擬電力供給装置101の第3トグルSW13cのスイッチレバーを下側(正常側)に倒し、第1端子A及び第5端子E間を接続状態とし、第2端子B及び第6端子F間を接続状態とする。
【0097】
これにより、VCTのPTのP1端子からの電圧が、テストSW1のVCT側P1端子及びテストプラグ11のVCT側P1端子並びに模擬電力供給装置101の第3トグルSW13cの第6端子F及び第7端子Bを介して、有効電力計106に印加され、VCTのPTのP2端子からの電圧が、テストSW1のVCT側P2端子及びテストプラグ11のVCT側P2端子並びに模擬電力供給装置101の第3トグルSW13cの第5端子Eを介して、有効電力計106に印加される。
【0098】
そして、有効電力計106は、進相コンデンサSCから供給される無効電流並びにP1端子及びP2端子に印加される電圧に基づいて無効電力を計測し、計測値(以下、「正常側計測値」と称す)を第1の判定手段103に出力する。
【0099】
つぎに、作業者は、模擬電力供給装置101の第3トグルSW13cのスイッチレバーを上側(異常側)に倒し、第1端子A及び第3端子C間を接続状態とし、第2端子B及び第4端子D間を接続状態とする。
【0100】
これにより、VCTのPTのP3端子からの電圧が、テストSW1のVCT側P3端子及びテストプラグ11のVCT側P3端子並びに模擬電力供給装置101の第3トグルSW13cの第4端子D及び第2端子Bを介して、有効電力計106に印加され、VCTのPTのP2端子からの電圧が、テストSW1のVCT側P2端子及びテストプラグ11のVCT側P2端子並びに模擬電力供給装置101の第3トグルSW13cの第5端子Eを介して、有効電力計106に印加される。
【0101】
そして、有効電力計106は、進相コンデンサSCから供給される無効電流並びにP2端子及びP3端子に印加される電圧に基づいて無効電力を計測し、計測値(以下、「異常側計測値」と称す)を第1の判定手段103に出力する。
【0102】
第1の判定手段103は、正常側計測値と異常側計測値とを比較し、正常側計測値の絶対値が異常側計測値の絶対値より大きい場合に、VCTの二次側端子及びテストSW1のVCT側端子間の配線の誤結線が無いと判定し、正常側計測値の絶対値が異常側計測値の絶対値より小さい場合に、VCTの二次側端子及びテストSW1のVCT側端子間の配線の誤結線が有りと判定する。
そして、第1の判定手段103は、正常側計測値の絶対値が異常側計測値の絶対値より大きい場合において、正常側計測値が正の場合に、VCTの一次側端子における電源側と負荷側との結線が逆であると判定し、正常側計測値が負の場合に、VCTの一次側端子における電源側と負荷側との結線が正常結線であると判定する。
【0103】
ここで、正常側計測値の絶対値が異常側計測値の絶対値より大きい場合に、VCTの二次側端子及びテストSW1のVCT側端子間の配線の誤結線が無いと判定し、正常側計測値が異常側計測値より小さい場合に、VCTの二次側端子及びテストSW1のVCT側端子間の配線の誤結線が有りと判定する根拠について、
図7を用いて説明する。
また、正常側計測値の絶対値が異常側計測値の絶対値より大きい場合において、正常側計測値が正の場合に、VCTの一次側端子における電源側と負荷側との結線が逆であると判定し、正常側計測値が負の場合に、VCTの一次側端子における電源側と負荷側との結線が正常結線であると判定する根拠について、
図7を用いて説明する。
なお、
図7においては、電流I
ca(I
1)が、進相コンデンサSCに流れるa(U)相の電流(a相電圧V
a(V
p1)より90°進みの電流)であり、電流I
cb(I
2)が、進相コンデンサSCに流れるb(V)相の電流(b相電圧V
b(V
p2)より90°進みの電流)であり、電流I
cc(I
3)が、進相コンデンサSCに流れるc(W)相の電流(c相電圧V
c(V
p3)より90°進みの電流)である。
また、三相無効電力Q
3cは、a相電圧をE
aとし、a相電流をI
aとし、b相電圧をE
bとし、b相電流をI
bとし、c相電圧をE
cとし、c相電流をI
cとすると、次式1にて表される。但し、進みの電流及び進みの無効電力を正とする。
【0104】
[式1]
Q
3c=|E
a|×|I
a|×sinθ+|E
b|×|I
b|×sinθ+|E
c|×|I
c|×sinθ=3×E×I×sinθ=√3×V×I×sinθ
(但し、進相コンデンサSCの場合は、θ=90°になり、プラスの無効電力となる。)
【0105】
まず、第3トグルSW13を正常側(P1端子及びP2端子間の線間電圧V
ab(V
p1−p2)と3S端子及び3L端子間を流れる電流I
3(電流I
cc)間)にした場合における計測について、
図7(a)を用いて説明する。
【0106】
(1)正常結線の場合には、V
ab(V
p1−p2)×I
cc(I
3)の有効電力の計測となるので、次式2となり、三相無効電力Q
3cの1/√3をマイナスデータ(遅れ無効電力)として計測する。
すなわち、(1)正常結線の場合には、−Q
3c/√3とマイナス計量(遅れの無効電力として正常計量)される。
【0107】
[式2]
|V
ab|×|I
cc|×cos(90°+θ)=−V×I×sinθ=−Q
3c/√3
【0108】
これに対し、(2)誤結線(1Sと3Sが入れ替わり)の場合には、V
ab(V
p1−p2)×I
ca(I
1)の有効電力の計測となるので、次式3となり、三相無効電力Q
3cの(1/√3)/2に、三相有効電力P
3の1/2を加えた値として、プラス計量(進みの無効電力として誤計量)される。
【0109】
[式3]
|V
ab|×|I
ca|×cos(θ−30°)
=V×I×(cosθ×cos30°+sinθ×sin30°)
=V×I×(cosθ×(√3/2)+sinθ×(1/2))
=√3×V×I×cosθ×(1/2)+V×I×sinθ×(1/2)
=(P
3/2)+(Q
3c/√3)/2
【0110】
但し、進相コンデンサSCのみの場合は、三相有効電力P
3がゼロであるため、三相無効電力Q
3cの(1/√3)/2((1)正常結線の場合の1/2の値)として、プラス計量(進みの無効電力として計量)される。
すなわち、(2)誤結線(1Sと3Sが入れ替わり)の場合には、+(Q
3c/√3)/2にプラス計量となり、かつ、(1)正常結線の場合の絶対値の1/2の値となる。
なお、有効電力が発生していると、三相有効電力P
3の1/2が加算された値となり、これが誤差として測定されるため、有効電力が小(進相コンデンサSCの電気容量の10%程度以下)の状態で計測することが必要である。
【0111】
つまり、第3トグルSW13が正常側の場合は、(1)正常結線の場合の測定値(絶対値)が、(2)誤結線の場合の測定値(絶対値)に対して2倍の値になる。
【0112】
つぎに、第3トグルSW13を異常側(P3端子及びP2端子間の線間電圧V
cb(V
p3−p2)と3S端子及び3L端子間を流れる電流I
3(電流I
cc)間)にした場合における計測について、
図7(b)を用いて説明する。
【0113】
(1)正常結線の場合には、V
cb(V
p3−p2)×I
cc(I
3)の有効電力の計測となるので、次式4となり、三相無効電力Q
3cの−(1/√3)/2として、マイナス計量(遅れの無効電力として正常計量)に三相有効電力P
3の1/2を加えた値として誤計量される。
【0114】
[式4]
|V
cb|×|I
cc|×cos(330°−θ)
=V×I×(cos330°×cosθ+sin330°×sinθ)
=V×I×(cosθ×(√3/2)+sinθ×(−1/2))
=(√3×V×I×cosθ×(1/2)+V×I×sinθ×(−1/2))
=(P
3/2)+(−Q
3c/√3)/2
【0115】
但し、進相コンデンサSCのみの場合は、三相有効電力P
3がゼロであるため、三相無効電力Q
3cの−(1/√3)/2((1)正常結線の場合の1/2の値)として、マイナス計量(遅れの無効電力として計量)される。
すなわち、(1)正常結線の場合には、−(Q
3c/√3)/2となり、正常計測値の1/2の値となる。
なお、有効電力が発生していると、三相有効電力P
3の1/2が加算された値となり、これが誤差として測定されるため、有効電力が小(進相コンデンサSCの電気容量の10%程度以下)の状態で計測することが必要である。
【0116】
これに対し、(2)誤結線(1Sと3Sが入れ替わり)の場合には、V
cb(V
p3−p2)×I
ca(I
1)の有効電力の計測となるので、次式5となり、三相無効電力Q
3cの1/√3としてプラス計量(進みの無効電力として正常計量)される。
すなわち、(2)誤結線(1Sと3Sが入れ替わり)の場合には、Q
3c/√3となり、正常計量値と同じ値になる。
【0117】
[式5]
|V
cb|×|I
ca|×cos(90°−θ)=V×I×sinθ=Q
3c/√3
【0118】
つまり、第3トグルSW13が異常側の場合は、(2)誤結線の場合の測定値(絶対値)が、(1)正常結線の場合の測定値(絶対値)に対して2倍の値になる。
【0119】
したがって、結論としては、第3トグルSW13の正常側の計測値及び異常側の計測値のうち計測値(絶対値)の大きい方を判定データとし、第3トグルSW13が正常側の場合に、その判定データが計測されれば、正常結線の判定になり、第3トグルSW13が異常側の場合に、その判定データが計測されれば、誤結線の判定になる。
そして、第3トグルSW13の正常側の計測値(絶対値)が異常側の計測値(絶対値)より大きい場合に、符号が逆の計測(進相コンデンサSCの負荷であっても遅れ電力として計測)となれば、潮流の向きを正しく計量する結線と判定することができる。
すなわち、VCTの一次側端子における電源側と負荷側との結線が逆の場合は、電流の向きが逆になるのみで他は同一であるため、計測値も符号の正負が逆になるのみである。このため、正常側計測値が負(遅れの無効電力として計量)の場合に、VCTの一次側端子における電源側と負荷側との結線が正常結線であるという判定になり、正常側計測値が正(進みの無効電力として計量)の場合に、VCTの一次側端子における電源側と負荷側との結線が逆であるという判定になる。
【0120】
以上のように、本実施形態に係る正常計量確認装置10は、進相コンデンサSCの投入により生じる無効電流に基づく無効電力を有効電力計106で計測することにより、VCTの二次側端子及びテストSW1のVCT側端子間の配線の誤結線並びにVCTの一次側端子における電源側と負荷側との逆接続を判定することができるという作用効果を奏する。
【0121】
なお、本実施形態においては、有効電力計106を備えるところのみが第1の実施形態と異なるところであり、有効電力計106による作用効果以外は、第1の実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0122】
また、本実施形態に係る正常計量確認装置10においては、電力量計誤差測定器102を使用した第1の実施形態に係る正常計量確認装置10(模擬電力供給装置101)に有効電力計106を配設させた場合について説明したが、参考計器40を使用した第2の実施形態に係る正常計量確認装置10(模擬電力供給装置101)に有効電力計106を配設させてもよい。