(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記アウトレットパイプに連通されて当該アウトレットパイプを流通する排気ガスの負圧によって前記シェル内に貯留された凝縮水を前記アウトレットパイプの内部に導く吸込口を備え、
前記保持部材は、車体に取り付けられた状態において前記吸込口よりも上方に位置することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関用消音装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の形態を説明する。図面は本発明の第1の実施形態に係わり、
図1はシェルの一部を破砕して示す消音装置の側面図、
図2は
図1のII−II断面図、
図3はアウトレットパイプの要部断面図である。なお、以下の説明において、各部の前後左右方向、及び、上下方向等に関しては、特に説明する場合を除き、図示しない車体に取り付けられた状態を基準に定義されるものとする。
【0012】
図1に示す内燃機関用消音装置1は、シェル5と、シェル5の内部に排気ガスを導入するインレットパイプ6と、シェル5の内部から外部に排気ガスを導出するアウトレットパイプ7と、を有して構成されている。
【0013】
シェル5は、例えば、周壁10と、一対の端板11,12と、隔壁13と、が接合された金属性の部材によって構成されている。
【0014】
例えば、
図1,2示すように、周壁10は、略一様な断面形状をなすストレートな筒体によって構成され、軸線が略前後方向に指向し且つ略水平方向に指向するよう配置されている。
図2に示す例では、周壁10の断面形状は、例えば、略直角三角形状に形成されているが、他の形状、例えば、楕円形、円形、その他の形状であっても良い。この周壁10は、例えば、略直角の角部と、1つの鋭角の角部とが略同一高さに位置し、これらの角部よりも上方に残り1つの鋭角の角部が位置するよう配置されている。
【0015】
図1に示すように、周壁10の前側の開口部は端板11によって閉塞され、後側の開口部は端板12によって閉塞されている。これにより、シェル5の内部に密閉空間が形成されている。また、周壁10内の軸方向の中途部には、隔壁13が固設されている。この隔壁13によってシェル5内の密閉空間が、後側の第1室15と、前側の第2室16とに区画されている。ここで、例えば、
図2に示すように、隔壁13には、第1室15と第2室16とを連通するための複数の連通孔13aが穿設されている。
【0016】
図1に示すように、シェル5内には、インレットパイプ6が収容されている。このインレットパイプ6は、例えば、略全域にわたって一定の直径を有する円筒状のストレート管によって構成され、略水平な状態でシェル5内に配置されている。第2室16側において、インレットパイプ6の上流端はシェル5の前側の端板11を気密に貫通し、これにより、インレットパイプ6の上流側開口部がシェル5の外部に露呈されている。なお、シェル5の外部において、インレットパイプ6の上流側開口部には、図示しない内燃機関の排気管が連通されている。
【0017】
一方、インレットパイプ6の下流側の周壁部には、複数のサイド孔6aが貫通形成されている。このインレットパイプ6の下流側は隔壁13を貫通して第1室15内に延設され、各サイド孔6aが第1室15内に臨まされている。
【0018】
図1,2に示すように、シェル5内には、アウトレットパイプ7が収容されている。このアウトレットパイプ7は、例えば、上流側から順に、第1のストレート管部20と、第2の湾曲管部21と、第2のストレート管部22と、第2の湾曲管部23と、第3のストレート管部24とが連設された一連のパイプによって構成されている。
【0019】
第1のストレート管部20は、例えば、インレットパイプ6よりも下方において、略水平な状態で配置されている。この第1のストレート管部20の上流端部には上流側に向けて拡開するテーパ部20aが形成され、このテーパ部20aの上流側開口部が第2室16内に臨まされている。一方、第1のストレート管部20の下流側は隔壁13を貫通して第1室15内に延出され、第1の湾曲管部21の上流側に連通されている。
【0020】
また、第1の湾曲管部21の下流側は、例えば、第1室15内の上方に向けて略U字状に湾曲され、第2のストレート管部22の上流側に連通されている。
【0021】
また、第2のストレート管部22は、例えば、インレットパイプ6よりも上方において、略水平な状態で配置されている。この第2のストレート管部22の下流側は隔壁13を貫通して第2室16内に延出され、第2の湾曲管部23の上流側に連通されている。
【0022】
また、第2の湾曲管部23の下流側は、例えば、第2室16内の下方に向けて略U字状に湾曲され、第3のストレート管部24の上流側に連通されている。
【0023】
また、第3のストレート管部24は、例えば、インレットパイプ6よりも下方であって、且つ、第1のストレート管部20と略同一の高さ位置において、略水平な状態で配置されている。この第3のストレート管部24の下流側は隔壁13を貫通して第1室15内に延出されている。第1室15内において、第3のストレート管部24の中途には、例えば、周知のストレート排気式のサイレンサ部24aが形成されている。さらに、第3のストレート管部24の下流端は、シェル5の後側の端板12を液密に貫通している。これにより、アウトレットパイプ7(第3のストレート管部24)の下流側開口部が、シェル5の外部に露呈されている。
【0024】
このようにシェル5内に配置されたアウトレットパイプ7の外周部には、例えば、短尺な略円筒形状をなす保持部材としてのキャップ30が固設されている。具体的には、本実施形態のキャップ30は、基端側にフランジ部30aを備えた断面略ハット形状をなし、このフランジ部がアウトレットパイプ7の外周部に溶接されることによって保持されている。そして、このように保持されることにより、キャップ30は、アウトレットパイプ7との間に保持空間30sを形成する。
【0025】
また、例えば、
図3に示すように、アウトレットパイプ7の周壁部には、キャップ30に対応する位置に、当該アウトレットパイプ7の内部をキャップ30の保持空間30sに連通するための第1の連通孔31が設けられている。また、例えば、キャップ30の突端部には当該キャップ30の保持空間30sを外部(すなわち、シェル5の内部)に連通するための第2の連通孔32が設けられている。そして、これら、第1,第2の連通孔31,32を介して、アウトレットパイプ7の中途の内部が、シェル5の内部に連通されている。さらに、キャップ30の保持空間30s内には、消音材33が保持されている。この消音材33は、耐熱性及び耐腐食性を有する材質で構成されていることが望ましく、例えば、グラスウールやステンレス製の金属ウール、或いは、ステンレス製の金属メッシュ等が好適に採用されている。
【0026】
ここで、第1の連通孔31の穿設位置は、例えば、実験やシミュレーション等に基づいて設定されるものである。具体的には、第1の連通孔31の穿設位置は、所定のエンジン回転数領域で発生する高周波振動の波長等に基づいて設定されるものであり、当該高周波振動の共振を防止することが可能な位置に設定されている。換言すれば、キャップ30は、アウトレットパイプ7の外周部において、当該アウトレットパイプ7の共振を防止可能な位置に穿設された第1の連通孔31を覆う位置に固設されている。
【0027】
このような構成において、内燃機関から排出された排気ガスは、インレットパイプ6内を流通した後、複数のサイド孔6aから第1室15内に導入される。このとき、サイド孔6aを介して第1室15内に導入される排気ガスは、急激に膨張され、これにより、音の圧力波が減衰される。
【0028】
その後、第1室15内に導入された排気ガスは、隔壁13の連通孔13aを介して第2室16内に導入される。第2室16内に導入された排気ガスは、主として、第1のストレート管部20のテーパ部20aを介してアウトレットパイプ7内に導入される。そして、アウトレットパイプ7内を排気ガスが流通する過程において(すなわち、第1のストレート管部20、第1の湾曲管部21、第2のストレート管部22、第2の湾曲管部23、及び、第3のストレート管部24内を排気ガスが順次流通する過程において)音の圧力波が減衰され、さらに、サイレンサ部24aにおいて音の圧力波がより減衰される。
【0029】
また、アウトレットパイプ7の中途に第1の連通孔31が設けられていることにより、所定のエンジン回転数領域で高周波振動が発生した場合にも、当該高周波振動の共振が第1の連通孔31において遮断されて好適に抑制される。この場合において、例えば、
図3に示すように、第1の連通孔31が第2の湾曲管部23のような湾曲した経路に設けられている場合には、特に、アウトレットパイプ7内の排気ガスが第1の連通孔31を横切る際の風切り音の発生が懸念されるが、このような風切り音は、キャップ30に保持された消音材33によって好適に吸収される。
【0030】
加えて、キャップ30に第2の連通孔32を設け、第1,第2の連通孔31,32を介してアウトレットパイプ7の中途を第2室16内に連通することにより、第2室16内に導入された排気ガスの一部が、テーパ部20aを経ることなく(すなわち、テーパ部20aをショートカットして)、アウトレットパイプ7の中途に直接的に導入される。そして、このように排気ガスの一部をショートカットさせてアウトレットパイプ7内に流入させることにより、アウトレットパイプ7の管路長を長く設定した場合にも、排気系の通路抵抗の増大が抑制される。加えて、キャップ30の保持空間30s内に消音材を保持することにより、排気ガスが第2,第1の連通孔32,31を通過する際の風切り音についても好適に消音することができる。
【0031】
このように、本実施形態による消音装置1は、シェル5の内部においてアウトレットパイプ7の外周部に固設されて当該アウトレットパイプ7との間に保持空間30sを形成するキャップ30と、保持空間30sにアウトレットパイプ7の内部を連通する第1の連通孔31と、保持空間30sをシェル5の内部に連通する第2の連通孔32と、保持空間30sに保持された消音材33と、を有することにより、内燃機関の高出力化と、消音特性の向上とを両立して実現することができる。
【0032】
ここで、本実施形態において適用が可能な保持部材としては、上述のような断面略ハット形状のキャップ以外にも、種々の形態のものを採用することが可能である。
【0033】
例えば、
図4,5に示すように、平板状の金属板にプレス加工等を施すことにより、頂部に
第2の連通孔32が開口する山状の膨出部40aを形成したキャップ40を保持部材として採用することも可能である。そして、このキャップ40をアウトレットパイプ7の外周部に固設し、このキャップ40の膨出部40aとアウトレットパイプ7との間に形成された保持空間40s内に消音材33を保持することにより、上述の実施形態と同様の効果を奏することができる。この場合、特に、膨出部40aをなだらかな山状に形成すれば、保持空間40sの容積を確保しつつ、アウトレットパイプ7に対する突出量を抑制することができる。
【0034】
また、例えば、
図6,7に示すように、平板状の金属板にプレス加工等を施すことにより、中央部に
第2の連通孔32を開口するとともに、アウトレットパイプ7の外周部に倣って全体を所定に湾曲させた板部材41を保持部材として採用することも可能である。そして、この板部材41を、溶接部42を介して所定間隔隔てた状態にてアウトレットパイプ7に固設し、この板部材41とアウトレットパイプ7との間に形成された保持空間41s内に消音材33を保持することにより、上述の実施形態と同様の効果を奏することができる。この場合、特に、アウトレットパイプ7に対する突出量をより抑制しつつ、簡素な構成により消音材33を保持することができる。
【0035】
次に、
図8は、本発明の第2の実施形態に係わり、シェルの一部を破砕して示す消音装置の側面図である。なお、本実施形態において、上述の第1の実施形態と同様の構成については、同符号を付して説明を省略する。なお、本実施形態は、内燃機関の冷態時等にシェル5内に発生する凝縮水を排出するための機構をアウトレットパイプ7に追加した点が上述の第1の実施形態に対して主として異なる。その他、上述の第1の実施形態と同様の構成については、同符号を付して説明を省略する。
【0036】
図8に示すように、本実施形態のアウトレットパイプ7において、第3のストレート管部24の底面側には、下方に延在する排水パイプ35が設けられている。具体的には、本実施形態の排水パイプ35は、基端側にフランジ部35aを有し、このフランジ部35aがアウトレットパイプ7(第3のストレート管部24)の外周部に溶接されることによって保持されている。
【0037】
また、アウトレットパイプ7の周壁部には、排水パイプ35に対応する位置に、当該アウトレットパイプ7の内部を排水パイプ35の内部に連通するための連通孔36が設けられている。
【0038】
これにより、排水パイプ35の先端部は、シェル5内に貯留された凝縮水をアウトレットパイプ7の内部に導く吸込口37として機能する。すなわち、アウトレットパイプ7内に排気ガスが流通されると、この排気ガスの流通によって排水パイプ35内に負圧が発生する。そして、この負圧により、冷態時等にシェル5の底部に貯留された凝縮水は、吸込口37を介してアウトレットパイプ7内に導入された後、第3のストレート管部24を介して外部に排出される。ここで、このような凝縮水の排水機構はアウトレットパイプ7の中途に連通孔36を有するが、このような連通孔36は、ストレート状の管部(例えば、第3のストレート管部24)に設けられているため、第1,第2の湾曲管部21,23等に設けられる場合に比べ、風切り音の発生が抑制される。
【0039】
なお、
図8に示す例では、排水パイプ35の先端部が吸込口37として設定されているが、例えば、シェル5の底部に対して第3のストレート管部24が十分に低い位置に配置されている場合には、排水パイプ35を省略し、連通孔36をそのまま吸込口として機能させることも可能である。さらに、風切り音等の影響が低い場合には、吸込口を第2の湾曲管部23の下面側に設けることも可能である。
【0040】
このような排水機構が設けられた本実施形態のアウトレットパイプ7上において、
図8に示すように、キャップ30は、排水パイプ35よりも上流側(すなわち、吸込口37よりも上流側)に配置されている。より具体的には、本実施形態のキャップ30は、第3のストレート管部24よりも上流側に位置する第2の湾曲管部23に配置され、且つ、キャップ30の下端に開口する第2の連通孔32が吸込口37よりも高い位置に設定されている。
【0041】
このような実施形態によれば、シェル5内に貯留された凝縮水をアウトレットパイプ7の内部に導く吸込口37を設けたことにより、アウトレットパイプ7を上下方向に湾曲させて管路長を確保した場合にも、凝縮水を的確に排出することが可能となる。
【0042】
その際、アウトレットパイプ7上において、キャップ30を吸込口37よりも上流側に配置することにより、アウトレットパイプ7内に導入された凝縮水が第1の連通孔31内に流入する等の不具合を的確に防止することができる。
【0043】
ここで、
図9に示すように、例えば、設計上の要請からアウトレットパイプ7内をキャップ30内に連通する第1の連通孔31が第3のストレート管部24に配置される場合等には、キャップ30を第3のストレート管部24の底面側に設けることにより、当該キャップ30を排水パイプと兼用し、さらに、このキャップ30に設けられた第2の連通孔32を凝縮水の吸込口として兼用することも可能である。
【0044】
このように構成すれば、内燃機関の冷態時等のようにシェル5内に凝縮水が発生する運転状態においてはキャップ30(及び、第1,第2の連通孔31,32)を凝縮水の排出機構として機能させ、凝縮水の排出後は、キャップ30(及び、第1,第2の連通孔31,32)に、高周波振動の共振抑制、及び、排気ガスのショートカットを行うための機構として機能させることが可能である。
【0045】
なお、本発明は、以上説明した各実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であり、それらも本発明の技術的範囲内である。