(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
リードフレーム及びこれを支持する樹脂製の支持体を有する基体部と、該基体部の搭載面に設けられると共に、前記リードフレームのリード部に電気接続される圧力センサ素子と、を備える半導体圧力センサを製造する方法であって、
前記リード部のうち前記支持体の第一外面から延出する外部リード部を折り曲げて、該外部リード部を前記支持体の第一外面及び該第一外面と異なる方向に向く前記支持体の第二外面に沿うように配する折り曲げ工程と、
該折り曲げ工程後に、前記外部リード部のうち少なくとも前記第一外面上に配された部分を、前記支持体と異なる樹脂製の被覆部によって被覆すると共に前記支持体に一体に固定する被覆工程と、を実施し、
前記被覆部が、前記外部リード部のうち前記第一外面と前記第二外面との角部に配された折り曲げ部分を被覆すると共に前記支持体に一体に固定する
ことを特徴とする半導体圧力センサの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0017】
〔第一実施形態〕
以下、本発明に係る半導体圧力センサ及びその製造方法の第一実施形態について、
図1〜7を参照して説明する。
図1は本実施形態の半導体圧力センサ1(以下、圧力センサ1と呼ぶ)の側断面図である。
図2は圧力センサ1の下面図である。
図3は圧力センサ1の斜視図である。本実施形態の圧力センサ1の説明において、「上」及び「下」は、
図1における上下に即している。また、高さ方向とは、
図1における上方である。「平面視」とは、圧力センサ1を上下方向から見ることを意味する。
【0018】
図1〜3に示すように、本実施形態の圧力センサ1は、基体部2と、基体部2の搭載面に設けられる圧力センサ素子3と、を備える。また、本実施形態の圧力センサ1は、制御素子4を備える。
【0019】
圧力センサ素子3は、外部の圧力を検知するものである。圧力センサ素子3は、MEMS(Micro Electro-Mechanical Systems)技術を利用した半導体圧力センサ素子である。
圧力センサ素子3としては、ピエゾ抵抗効果を用いたピエゾ抵抗式の圧力センサ素子の他、静電容量式等、その他の方式の圧力センサ素子であってよい。
【0020】
ピエゾ抵抗式の圧力センサ素子としては、例えば、シリコン等からなる半導体基板の一面側に、ダイアフラム部と、基準圧力室としての密閉空間と、圧力によるダイアフラム部の歪抵抗の変化を測定するための複数の歪ゲージと、を備えるものが挙げられる。この例の圧力センサ素子では、ダイアフラム部が圧力を受けて撓むと、各歪ゲージにダイアフラム部の歪み量に応じた応力が発生する。この応力に応じて歪ゲージの抵抗値がピエゾ抵抗効果によって変化し、この抵抗値変化に応じてセンサ信号が出力される。これにより、圧力を計測することができる。
【0021】
制御素子4は、上記した圧力センサ素子3に電気接続される。本実施形態において、制御素子4は、後述するリードフレーム5の内部リード部12、ボンディングワイヤ7A,7Bを介して圧力センサ素子3に電気接続される。
制御素子4は、圧力センサ素子3からのセンサ信号が入力された際に、センサ信号を処理して圧力検出信号として出力するように構成されている。また、制御素子4は、例えば、圧力センサ素子3のON/OFF制御、内蔵する温度センサによる検出値の補正、検出データのA/D変換、リニアリティの補正、信号波形の整形などの機能を有する。
【0022】
すなわち、制御素子4は、例えば、外部温度を測定する温度センサ(図示略)と、温度センサからの信号をA/D変換して温度信号として出力するA/D変換器(図示略)と、前記温度信号が入力される演算処理部(図示略)と、を備える構造を採用できる。
演算処理部では、上記した温度信号に基づいて、圧力センサ素子3からのセンサ信号に補正処理を行うことができる。
温度センサとしては、抵抗式(ブリッジ抵抗式)、ダイオード式、熱電対式、赤外線式などがある。温度センサは、制御素子4の内部において回路形成面4aに近接した位置に設けることができる。
【0023】
基体部2は、リードフレーム5と、これを支持する樹脂製の支持体6と、を備える。
リードフレーム5は、導電体からなる板状体からなる。リードフレーム5の形成材料としては、例えば銅(Cu)、鉄(Fe)等の金属が挙げられる。
リードフレーム5は、圧力センサ素子3に電気接続するためのリード部11を備える。リード部11は、短冊状に形成され、支持体6に封止または埋設された内部リード部12と、支持体6の側面(第一外面)6cから延出する外部リード部13と、を備える。
【0024】
外部リード部13は、支持体6の側面6c及び側面6cと異なる方向に向く支持体6の下面(第二外面)6bに沿って配されるように折り曲げられている。
すなわち、外部リード部13のうちその延出方向基端部が、折り曲げられた第一折曲部13Aである。また、外部リード部13のうち支持体6の側面6c上において第一折曲部13Aから延びる部分が、第一延出部13Bである。また、外部リード部13のうち第一延出部13Bの延出方向先端に連ねて形成され、支持体6の側面6cと下面6bとの角部に配される部分が、折り曲げられた第二折曲部13Cである。また、外部リード部13のうち支持体6の下面6b上において第二折曲部13Cから延びる部分が、第二延出部13Dである。第二延出部13Dは、圧力センサ1の回路を外部に接続するための外部端子である。
【0025】
本実施形態のリードフレーム5は、上記したリード部11を複数備える。また、本実施形態では、複数のリード部11が、圧力センサ素子3や制御素子4と適宜電気接続される。また、複数の外部リード部13が支持体6の側面6cから延出する。さらに、同じ数の外部リード部13が、支持体6の側面6cから互いに逆向きに延出している。図示例の圧力センサ1は、外部リード部13を有するリード部11を四つ備える。
【0026】
また、本実施形態のリードフレーム5は、制御素子4を搭載する板状の実装部14を備える。本実施形態では、制御素子4が実装部14の下面14bに搭載される。制御素子4は、例えばダイボンド樹脂を介して接着される。具体的なダイボンド樹脂としては、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。
前述した複数のリード部11の内部リード部12は、実装部14の周囲に間隔をあけて配されている。本実施形態では、同じ数の内部リード部12が、実装部14から互いに逆向きに離れるように延びている。
実装部14の下面14bに固定された制御素子4は、金、アルミニウム等の金属からなるボンディングワイヤ7A(第一ボンディングワイヤ7A)によって内部リード部12に電気接続される。第一ボンディングワイヤ7Aの両端は、下方に向く制御素子4の回路形成面4a、及び、内部リード部12の下面12bに接合される。
【0027】
支持体6は、例えばエポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエチレン、ポリフェニレンサルファイドなどの樹脂からなり、例えばモールド成形によって形成される。
支持体6は、リードフレーム5のうちリード部11の内部リード部12及び実装部14を一体に固定するものである。本実施形態の支持体6は、圧力センサ素子3を搭載する基体部2の搭載面2aを構成する。また、本実施形態の支持体6の内部には、上記したリードフレーム5の実装部14、これに搭載される制御素子4、第一ボンディングワイヤ7A、及び、内部リード部12の少なくとも一部が埋設される。以下、本実施形態の支持体6について詳細に説明する。
【0028】
本実施形態の支持体6は、本体部21(制御側基体)と、本体部21上に形成された上部基体22(センサ側基体)と、を備える。ここで、本体部21と上部基体22との界面は、内部リード部12や実装部14の上面12a,14aに位置する。このため、本体部21は、内部リード部12及び実装部14の下面12a,14b及び側面を封止するが、内部リード部12及び実装部14の上面14aは封止しない。
【0029】
本体部21は、円柱状に形成された上で、その外周面の四箇所が平坦となるように、周方向の四箇所を切り欠いた形状に形成されている。すなわち、本体部21の外周面は、四つの平坦面21aと、四つの湾曲面21bと、を有する。平坦面21a及び湾曲面21bは、本体部21の周方向に交互に配列されている。四つの平坦面21aは、本体部21の周方向に等間隔で配されている。また、周方向に隣り合う平坦面21aは、本体部21の軸方向(Z軸方向)から見て互いに直交している。四つの平坦面21aは、図示例のように本体部21の軸方向(Z軸方向)に平行してもよいが、例えば本体部21の軸方向に対して傾斜してもよい。
上記した本体部21の外周面は、外部リード部13の第一延出部13Bを配する支持体6の側面6cである。図示例では、本体部21の外周面のうち互いに逆に向く二つの平坦面21a(第一平坦面21a1)に、外部リード部13の第一延出部13Bが配される。
【0030】
本体部21の外周面の下方側に隣り合う本体部21の下面は、上記した本体部21の外周面に倣う形状に形成されている。すなわち、本体部21の下面は、円形状に形成された上で、その周縁の四箇所が直線となるように、周方向の四箇所を切り欠いた形状に形成されている。すなわち、本体部21の下面は、四つの直線部及び四つの円弧状の曲線部を周方向に交互に配列した形状に形成されている。
上記した本体部21の下面は、外部リード部13の第二延出部13Dを配する支持体6の下面6bである。
【0031】
本実施形態では、本体部21の下面が、基準面21cと、基準面21cに対して階段状に低く位置する段差面21dと、を有する。段差面21dは、外部リード部13の第一延出部13Bが配される二つの第一平坦面21a1に隣り合うように形成されている。図示例において、段差面21dは二つに分けて形成されているが、例えば一つにまとめて形成されてもよい。
外部リード部13の第二延出部13Dは、上記した段差面21dに配される。基準面21cと段差面21dとの段差の大きさは、例えば、段差面21d上に配された第二延出部13Dが基準面21cから突出しないように設定されるとよい。
【0032】
上部基体22は、一部を除く内部リード部12及び実装部14の上面14aを封止する。上部基体22には、上側に開口して圧力センサ素子3を収容する収容部23が形成されている。本実施形態の収容部23は、平面視円形の内周面を有する。
圧力センサ素子3は、収容部23の底面23aに搭載されている。すなわち、本実施形態では、収容部23の底面23aが基体部2の搭載面2aをなす。収容部23の底面23aに搭載された圧力センサ素子3は、前述したリードフレーム5の実装部14及び制御素子4と上下方向(Z軸方向)に重なるように位置する。また、収容部23の底面23aには、圧力センサ素子3と電気接続するための内部リード部12の上面12aが露出している。
【0033】
収容部23の底面23aに搭載された圧力センサ素子3は、金、アルミニウム等の金属からなるボンディングワイヤ7B(第二ボンディングワイヤ7B)によって収容部23の底面23aに露出する内部リード部12に電気接続される。第二ボンディングワイヤ7Bの両端は、上方に向く圧力センサ素子3の回路形成面3a、及び、収容部23の底面23aに露出する内部リード部12の上面12aに接合される。
収容部23の底面23aに露出する内部リード部12の上面12aは、例えば
図1のように収容部23の底面23a(搭載面2a)よりも低く位置してもよいが、例えば収容部23の底面23aと同じ高さに位置してもよい。また、収容部23の底面23aに露出する内部リード部12の上面12aは、例えば収容部23の底面23aよりも高く位置してもよい。
【0034】
収容部23の深さ寸法は、上記のように配された圧力センサ素子3及び第二ボンディングワイヤ7Bが収容部23の開口よりも低く位置するように設定されている。これにより、圧力センサ素子3及び第二ボンディングワイヤ7Bに外力が作用することを抑制できる。
【0035】
上部基体22は、前述した本体部21の外周面のうち四つの平坦面21aよりも側方に突出する四つの突出部24を有する。各突出部24は、本体部21の各平坦面21aを圧力センサ1の上方側から覆う。また、一部の突出部24(第一突出部24A)は、本体部21の第一平坦面21a1に配された外部リード部13の第一延出部13Bを圧力センサ1の上方側から覆う。
【0036】
別の見方をすると、本実施形態の上部基体22は、本体部21上に設けられた円環板状の基部25と、基部25の上面25aから上方に突出する円筒状の筒状壁部26と、基部25の内縁側に設けられて圧力センサ素子3を搭載するための台座部27と、を備える。
【0037】
基部25は、その中心軸が前述した本体部21の中心軸と一致するように設けられる。また、基部25の外径寸法は、前述した本体部21の外周面のうち湾曲面21bにおける径寸法と同等に設定されている。このため、基部25の外周面は本体部21の湾曲面21bと滑らかに連なる。また、前述した各突出部24は、平面視で本体部21の各平坦面21aから膨出するように形成される。言い換えれば、各突出部24の突出方向先端は、平面視で基部25の外周縁に倣う円弧状に形成される。
【0038】
基部25及び筒状壁部26の内周面は、前述した収容部23の内周面をなす。基部25及び筒状壁部26の内径寸法は、例えば
図1のように同等であってもよいが、例えば異なっていてもよい。また、筒状壁部26の外径寸法は、例えば
図1のように基部25よりも小さく設定されてもよいが、例えば基部25と同等に設定されてもよい。
また、台座部27の上面は、収容部23の底面23aをなす。台座部27は、例えば
図1のように平面視した収容部23の一部の領域に形成されてもよいし、例えば平面視した収容部23の全部の領域に形成されてもよい。
【0039】
そして、本実施形態の圧力センサ1は、支持体6と異なる樹脂製の被覆部9を備える。被覆部9は、外部リード部13のうち支持体6の側面6c上に配された第一延出部13Bを被覆すると共に、第一延出部13Bを支持体6に一体に固定する。さらに、本実施形態の被覆部9は、外部リード部13の第一折曲部13Aを被覆すると共に支持体6に一体に固定する。被覆部9は電気的な絶縁性を有すると好ましい。
本実施形態の被覆部9は、熱により収縮する熱収縮チューブである。熱収縮チューブの具体的な材料としては、例えばフッ素樹脂(FEP)や軟質難燃性塩化ビニル樹脂が挙げられる。フッ素樹脂の場合、熱収縮チューブの収縮率は25〜30%となる。また、軟質難燃性塩化ビニル樹脂の場合、熱収縮チューブの内径収縮率は50%以上となる。
【0040】
すなわち、本実施形態の被覆部9は、筒状に形成され、支持体6の側面6c全体を覆う、より具体的には、本体部21の外周面全体を覆う。このため、本実施形態において被覆部9の軸方向長さは、本体部21の外周面の軸方向長さと同等に設定されている。また、本実施形態の被覆部9は、熱により収縮することで、支持体6をその外周から締め付ける。外部リード部13の第一延出部13Bは、被覆部9の締め付け力によって支持体6の側面6cに押し付けられ、支持体6に一体に固定される。
【0041】
さらに、本実施形態の圧力センサ1は、圧力センサ素子3及び第二ボンディングワイヤ7Bを埋設する保護剤8を備える。本実施形態では、保護剤8が支持体6の収容部23に充填される。
保護剤8は、水や外気の浸入を防ぎ、圧力センサ素子3や第二ボンディングワイヤ7Bへの悪影響を防ぐ。具体的な保護剤8としては、例えば、シリコン系の樹脂(例えばシリコーン樹脂)やフッ素系の樹脂が挙げられる。保護剤8は液状やゲル状とすることができる。保護剤8は高い粘性を持つことが好ましい。
【0042】
保護剤8としては、例えば、硬度約0(ショアA硬度。JIS K 6253に準拠)の柔らかいゲル剤を用いることが望ましい。これによって、測定対象から加えられる圧力をそのまま圧力センサ素子3に伝達することができる。
保護剤8は、光透過性が低いことが望ましい。これによって、可視光や紫外線を遮断することができるため、圧力センサ素子3に光起電力を発生させることを防ぎ、測定誤差を低減できる。また、圧力センサ素子3やその周囲の配線の劣化を防ぐ効果も期待できる。
保護剤8は、顔料等を含有させることによって、光透過性を低くすることができる。
【0043】
次に、上記した圧力センサ1を製造する方法の一例について説明する。
圧力センサ1を製造する際には、はじめに、
図4(a)に示すように、リード部11及び実装部14を備えるリードフレーム5を用意する(フレーム準備工程)。フレーム準備工程におけるリードフレーム5のリード部11は、その長手方向にわたって直線状に形成されている。すなわち、リード部11には折り曲げ加工が施されていない。
【0044】
次いで、リードフレーム5の実装部14の下面14bに制御素子4を搭載する(第一搭載工程)。この工程では、例えばダイボンド樹脂によって制御素子4を実装部14の下面14bに接着すればよい。
その後、制御素子4とリード部11とを第一ボンディングワイヤ7Aによって電気接続する(第一接続工程)。この工程において、第一ボンディングワイヤ7Aは、リード部11のうち制御素子4や実装部14が位置する長手方向の端部(
図1の圧力センサ1において内部リード部12に相当する部分)に接合される。
【0045】
そして、
図4(b)に示すように、リードフレーム5を支持する樹脂製の支持体6を形成する(封止工程)。この工程では、実装部14、リード部11の一部、制御素子4及び第一ボンディングワイヤ7Aを支持体6によって封止する。支持体6は、例えばモールド成形によって形成される。
封止工程後の状態において、リード部11のうち制御素子4や実装部14が位置する長手方向の端部は、支持体6の内部に埋設されており、圧力センサ1における内部リード部12である。また、支持体6に埋設されないリード部11の残部は、支持体6の側面6cから直線状に延出しており、圧力センサ1における外部リード部13である。また、外部リード部13の延出方向基端部の上側には、支持体6の突出部24が支持体6の上下方向に重ねて配されている。
上記した封止工程を実施することで、リードフレーム5及び支持体6を備える基体部2が得られる。
【0046】
封止工程後には、
図4(c)に示すように、リード部11のうち支持体6の側面6cから延出する外部リード部13を折り曲げて、外部リード部13を支持体6の側面6c及び下面6bに沿うように配する(折り曲げ工程)。
折り曲げ工程では、外部リード部13の延出方向基端(第一折曲部13A)において折り曲げることで、外部リード部13の第一延出部13Bが支持体6の側面6c上に配される。また、支持体6の側面6cと下面6bとの角部に位置する外部リード部13の部分(第二折曲部13C)において折り曲げることで、外部リード部13の第二延出部13Dが支持体6の下面6b上に配される。折り曲げ工程では、例えば外部リード部13の第二折曲部13Cに折り曲げ加工を施した後に、第一折曲部13Aに折り曲げ加工を施すことが好ましい。
【0047】
折り曲げ工程後には、
図4(d)に示すように、基体部2の搭載面2aに圧力センサ素子3を搭載する(第二搭載工程)。次いで、圧力センサ素子3と内部リード部12とを第二ボンディングワイヤ7Bによって電気接続する(第二接続工程)。第二搭載工程では、圧力センサ素子3を支持体6の収容部23の底面23aに搭載する。また、第二接続工程では、第二ボンディングワイヤ7Bの端部を内部リード部12のうち収容部23の底面23aに露出する部分に接合する。
【0048】
第二接続工程後には、保護剤8によって圧力センサ素子3及び第二ボンディングワイヤ7Bを埋設する(埋設工程)。この工程では、支持体6の収容部23に充填することで、圧力センサ素子3及び第二ボンディングワイヤ7Bを埋設する。
埋設工程後が完了することで、
図4(d)に示す圧力センサ中間体100が得られる。圧力センサ中間体100は、
図1〜3に示す圧力センサ1から被覆部9を除いた構成である。
【0049】
その後、
図6,7に示すように、外部リード部13のうち支持体6の側面6c上に配された第一延出部13Bを、支持体6と異なる樹脂製の被覆部9によって被覆する(被覆工程)。本実施形態の被覆工程では、熱収縮チューブからなる筒状の被覆部9を圧力センサ中間体100に装着する。
【0050】
すなわち、本実施形態の被覆工程では、はじめに、
図6に示すように、支持体6の外径寸法(本体部21の外径寸法)よりも大きな内径寸法を有する筒状の被覆部9を用意する。本実施形態では、被覆部9が本体部21の外周面全体を覆うため、被覆部9の軸方向長さは、本体部21の外周面の軸方向長さと同等に設定される。
次いで、支持体6の側面6c上に配された外部リード部13の第一延出部13Bが被覆部9の内周面に対向するように、支持体6を被覆部9に挿入する。本実施形態では、本体部21の外周面が被覆部9の内周面に対向するように、支持体6の本体部21を被覆部9に挿入する。
【0051】
その後、
図7に示すように、被覆部9を加熱して被覆部9の径寸法を縮める(縮径する)ことで、被覆部9を支持体6の側面6cや外部リード部13の第一延出部13Bに密着させる。これにより、外部リード部13の第一延出部13Bが被覆部9によって覆われる。また、支持体6(本体部21)が収縮した被覆部9によって外周から締め付けられることで、外部リード部13の第一延出部13Bが支持体6に一体に固定される。
【0052】
また、本実施形態の被覆工程では、被覆部9に支持体6を挿入する際に、被覆部9と外部リード部13の第一延出部13Bとの相対的な位置決めを容易にできるように、例えば
図5〜7に示すように治具Tを用いるとよい。
治具Tは、充填工程を経た圧力センサ中間体100を収容する凹部T1を有する。凹部T1は上方に開口している。凹部T1には、圧力センサ中間体100がその上下を逆にして収容される。すなわち、凹部T1の底部側の空間(底部側空間TA1)には主に支持体6の上部基体22が収容され、凹部T1の開口側の空間(開口側空間TA2)には支持体6の本体部21が収容される。
【0053】
底部側空間TA1の平面視形状は、平面視した支持体6の上部基体22の平面視形状に対応している。本実施形態では、底部側空間TA1が上部基体22に対応する平面視円形状に形成されている。
平面視した底部側空間TA1の大きさは、支持体6の大きさに対応している。平面視した底部側空間TA1の大きさは、底部側空間TA1に収容された上部基体22の外周面(特に突出部24の突出方向先端)と底部側空間TA1の内周面との間の隙間が被覆部9の肉厚よりも小さくなるように設定されることが好ましい。
【0054】
開口側空間TA2の内径寸法は底部側空間TA1の内径寸法よりも大きく設定されている。このため、凹部T1には、その開口側に向く平面視環状の段差面T1bが形成されている。段差面T1bは、開口側空間TA2と底部側空間TA1との境界に位置し、収縮前の被覆部9を載置する面となる。
凹部T1の底面T1aに対する段差面T1bの高さ位置は、圧力センサ中間体100が凹部T1に収容された状態で外部リード部13の第一延出部13Bが開口側空間TA2の内周面に対向するように設定される。
図5〜7において、段差面T1bは、支持体6の本体部21と上部基体22との境界(具体的には凹部T1の開口側に向く突出部24の端面)と同等の高さに位置するが、これに限ることはない。
また、段差面T1bから凹部T1の開口に至る開口側空間TA2の内周面の高さは、例えば
図5,6に示すように、凹部T1内に収容される圧力センサ中間体100及び被覆部9が凹部T1の開口から突出しないように設定されるとよい。
【0055】
上記治具Tを用いて前述した被覆工程を実施する場合には、はじめに、
図5に示すように、圧力センサ中間体100を上下逆にして凹部T1に収容する。この状態においては、本体部21の外周面及び外周面上に配された外部リード部13の第一延出部13Bが、開口側空間TA2の内周面の内側に間隔をあけて位置する。
次いで、
図6に示すように、支持体6の本体部21が筒状の被覆部9に挿入されるように、筒状の被覆部9を凹部T1の段差面T1b上に載置する。この状態では、被覆部9の内周面が、本体部21の外周面及びこれに配された外部リード部13の第一延出部13Bに対向する。すなわち、被覆部9と外部リード部13の第一延出部13Bとの相対的な位置決めを容易に行うことができる。また、この状態では、筒状の被覆部9が開口側空間TA2の内周面に囲まれる。
【0056】
最後に、
図7に示すように、治具T全体(特に開口側空間TA2の内周面)を加熱することで、被覆部9を加熱し、被覆部9の径寸法を縮める。これにより、外部リード部13の第一延出部13Bが被覆部9によって覆われると共に、支持体6に一体に固定される。
ここで、開口側空間TA2の内周面の高さが被覆部9の軸方向長さよりも長く設定されている場合には、上記した加熱の際に、被覆部9全体を均一に加熱することができる。
上記した被覆工程を実施することで、
図1〜3に示す圧力センサ1の製造が完了する。
【0057】
以上説明したように、本実施形態の圧力センサ1及びその製造方法によれば、外部リード部13のうち支持体6の側面6cに配された第一延出部13Bが被覆部9によって支持体6に一体に固定される。このため、仮に支持体6の下面6b上に位置する外部リード部13の第二延出部13Dが支持体6の下面6bから浮き上がっており、第二延出部13Dを引っ掛けても、外部リード部13の第一折曲部13Aに力が加わることを防止できる。したがって、圧力センサ1の電気的な信頼性を向上できる。
また、支持体6の側面6cに配された外部リード部13の第一延出部13Bは、被覆部9によって覆われて支持体6に一体に固定されるため、仮に第一延出部13Bが支持体6の側面6cから浮き上がっていても、第一延出部13Bを引っ掛けることを防止できる。
【0058】
また、本実施形態の圧力センサ1は、フレキシブル配線板(以下、FPCと呼ぶ)に実装する場合にも有効である。
すなわち、圧力センサ1をFPCに実装する場合には、はんだ等により圧力センサ1の外部端子である外部リード部13の第二延出部13DをFPCの配線パターンに接合する。この実装状態において、例えばFPCを撓ませると、第二延出部13Dにはこれを支持体6の下面6bから離そうとする外力が作用することがある。ここで、本実施形態の圧力センサ1では、支持体6の側面6cに配された第一延出部13Bが被覆部9によって支持体6に一体に固定されるため、上記した外力によって第一折曲部13Aに力が加わることを防止できる。
【0059】
また、本実施形態によれば、被覆部9が熱収縮チューブであるため、外部リード部13の被覆及び支持体6への固定を短時間かつ容易に行うことができる。したがって、圧力センサ1の製造効率向上を図ることができる。
【0060】
さらに、本実施形態によれば、被覆部9が電気的な絶縁性を有するため、圧力センサ1を導電性の筐体に組み込んでも、外部リード部13と筐体との間で電気的な短絡が発生することを抑制できる。例えば、支持体6の側面6cに配された外部リード部13の第一延出部13Bが筐体の内面等の一部に対向するように、圧力センサ1を導電性の筐体に組み込んでも、第一延出部13Bと筐体との間で電気的な短絡が発生することを防止できる。
【0061】
〔第二実施形態〕
次に、本発明の第二実施形態について、
図8を参照して第一実施形態との相違点を中心に説明する。なお、第一実施形態と共通する構成については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0062】
図8に示すように、本実施形態の圧力センサ1Aは、被覆部9を除き、第一実施形態と同様に構成されている。
本実施形態の被覆部9は、第一実施形態と同様に、外部リード部13のうち支持体6の側面6c上に配された第一延出部13Bを被覆すると共に、第一延出部13Bを支持体6に一体に固定する。その上で、本実施形態の被覆部9は、外部リード部13の第二折曲部13Cを被覆すると共に支持体6に一体に固定する。
そして、本実施形態の被覆部9は、第一実施形態と同様の熱収縮チューブである。
【0063】
本実施形態の圧力センサ1Aは、第一実施形態と同様の製造方法によって製造することができる。
ただし、本実施形態の製造方法では、被覆工程において、例えば軸方向長さが本体部21の外周面よりも長い筒状の被覆部9を用意する。これにより、支持体6の本体部21を被覆部9に挿入した上で、被覆部9を加熱して被覆部9の径寸法を縮めると、被覆部9のうち本体部21の外周面よりも下面(支持体6の下面6b)側に突出する軸方向の端部が、本体部21の外周面よりも径方向内側に撓むように縮径して、外部リード部13の第二折曲部13Cや本体部21の外周面と下面との角部に密着する。これにより、外部リード部13の第一延出部13B及び第二折曲部13Cが被覆部9によって被覆されると共に支持体6に一体に固定される。
【0064】
本実施形態の圧力センサ1A及びその製造方法は、第一実施形態と同様の効果を奏する。
さらに、本実施形態の圧力センサ1A及びその製造方法によれば、仮に支持体6の下面6b上に位置する外部リード部13の第二延出部13Dが浮き上がっており、第二延出部13Dを引っ掛けても、外部リード部13の第二折曲部13Cに力が加わることも防止できる。したがって、圧力センサ1Aの電気的な信頼性をさらに向上できる。
そして、外部リード部13の第一、第二折曲部13A,13Cに力が加わることを防止できるため、支持体6に対する外部リード部13の位置がずれることを防止できる。したがって、外部リード部13の位置を修正する必要が無くなり、圧力センサ1Aの取り扱いが容易となる。
【0065】
〔第三実施形態〕
次に、本発明の第二実施形態について、
図9〜11を参照して第一実施形態との相違点を中心に説明する。なお、第一実施形態と共通する構成については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0066】
図9〜11に示すように、本実施形態の圧力センサ1Bは、支持体6を除き、第一実施形態と同様に構成されている。
本実施形態の圧力センサ1Bでは、第一実施形態と同様に、外部リード部13が、支持体6の側面6cから延出する。また、外部リード部13は、支持体6の側面6c、及び、側面と異なる方向に向く支持体6の下面6bに沿って配されるように折り曲げられている。すなわち、外部リード部13の第一延出部13Bが支持体6の側面6cに配される。また、外部リード部13の第二延出部13Dが支持体6の下面6bに配される。さらに、複数(図示例では二つ)の外部リード部13が、支持体6の側面6c及び下面6bにおいて隣り合うように配列されている。
【0067】
その上で、本実施形態の支持体6は、相互に隣り合う外部リード部13の間に配される突条部29を備える。突条部29は、支持体6の側面6c及び下面6bから突出している。突条部29は、支持体6に一体に形成されている。突条部29は、支持体6と同様に電気的な絶縁性を有する。
本実施形態の突条部29は、支持体6の側面6c及び下面6bにおいて外部リード部13よりも高く突出している。
【0068】
また、本実施形態では、第一実施形態と同様に、支持体6の下面6bが基準面21c及び段差面21dを有し、外部リード部13の第二延出部13Dが支持体6の段差面21dに配される。このため、突条部29は支持体6の段差面21dから突出している。
突条部29の突出方向先端は、例えば
図9〜11に示すように基準面21cと同一平面をなしてもよいが、これに限ることはない。また、支持体6の側面6cから突出する突条部29の突出長さは、例えば
図9〜11に示すように突出部24の突出長さと同等に設定されてもよいが、これに限ることはない。
【0069】
本実施形態の圧力センサ1Bは、第一実施形態と同様の製造方法によって製造することができる。
【0070】
本実施形態の圧力センサ1Bは、第一実施形態と同様の効果を奏する。
さらに、本実施形態の圧力センサ1Bによれば、突条部29によって相互に隣り合う外部リード部13同士の電気的な短絡を防止できる。
また、被覆部9が熱収縮チューブである場合には、被覆工程において熱により被覆部9を収縮させて、被覆部9により外部リード部13の第一延出部13Bを被覆する際に、被覆部9の収縮動作によって隣り合う外部リード部13(特に第一延出部13B)同士が接触することを防止できる。
本実施形態の突条部29は、例えば第二実施形態の圧力センサ1Bにも適用可能である。
【0071】
以上、本発明の詳細について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることができる。
【0072】
例えば、被覆部は、上記実施形態のような熱収縮チューブに限らず、少なくとも外部リード部13の第一延出部13Bを被覆すると共に支持体6に一体に固定するものであればよい。
被覆部は、例えば支持体6と異なる樹脂材料を塗布し、硬化することで形成されてもよい。この場合、被覆部用の樹脂材料としては、例えばシリコーンゴムやフッ素樹脂等が挙げられる。また、樹脂材料の塗布方法としては、例えばスプレーやディスペンス等の手法が挙げられる。
この構成では、熱収縮チューブの場合と比較して被覆部を薄く形成することが可能である。したがって、圧力センサの小型軽量化を図ることができる。
【0073】
また、圧力センサ素子3を搭載する基体部2の搭載面2aは、支持体6によって構成されることに限らず、例えばリードフレーム5によって構成されてもよい。すなわち、圧力センサ素子3は、例えば実装部14の上面14aに搭載されてもよい。