(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
一次元又は二次元に配列された複数のレンズ部1と;各レンズ部1の周囲に結合し、複数のレンズ部1を相互に連結する非レンズ部2と;被写体側のレンズ部1及び/又は非レンズ部2に設けられた板状、シート状、又はフィルム状の遮光部3と、を有するウェハレンズアレイであって、レンズ部1の高さ、非レンズ部2の高さ、と遮光部3の高さが式(2)を満たし、遮光部3が非レンズ部2の表面の一部又は全部を被覆するように設けられたウェハレンズアレイ。
非レンズ部2の高さ≦レンズ部1の高さ<遮光部3の高さ ・・・式(2)
[ここで、式(2)における「高さ」とは、ウェハレンズアレイを被写体側を上面として水平面に載置した場合の、水平面から各部の被写体側の表面までの垂直距離を指す。また、レンズ部1及び/又は非レンズ部2及び/又は遮光部3において、高さの異なる部位が複数ある場合、その内の最も高い部位の高さを指す。]
一次元又は二次元に配列された複数のレンズ部1と;各レンズ部1の周囲に結合し、複数のレンズ部1を相互に連結する非レンズ部2と;被写体側のレンズ部1及び/又は非レンズ部2に設けられた遮光部3と、を有するウェハレンズアレイであって、レンズ部1の高さ、非レンズ部2の高さ、と遮光部3の高さが式(2)を満たし、遮光部3がレンズ部1の一部を覆うように設けられたウェハレンズアレイ。
非レンズ部2の高さ≦レンズ部1の高さ<遮光部3の高さ ・・・式(2)
[ここで、式(2)における「高さ」とは、ウェハレンズアレイを被写体側を上面として水平面に載置した場合の、水平面から各部の被写体側の表面までの垂直距離を指す。また、レンズ部1及び/又は非レンズ部2及び/又は遮光部3において、高さの異なる部位が複数ある場合、その内の最も高い部位の高さを指す。]
ひとつのレンズ部1と;レンズ部1の周囲に結合する非レンズ部2と;被写体側のレンズ部1及び/又は非レンズ部2に設けられた板状、シート状、又はフィルム状の遮光部3と、を有するウェハレンズであって、レンズ部1の高さ、非レンズ部2の高さ、と遮光部3の高さが式(2)を満たし、遮光部3が非レンズ部2の表面の一部又は全部にスペーサーを介在せずに直接接合して被覆するように設けられたウェハレンズ(B)を少なくともひとつ含む複数のウェハレンズが積層されて構成されるウェハレンズ積層体であって、複数のウェハレンズの内、最も被写体側に位置するウェハレンズがウェハレンズ(B)であるウェハレンズ積層体。
非レンズ部2の高さ≦レンズ部1の高さ<遮光部3の高さ ・・・式(2)
[ここで、式(2)における「高さ」とは、ウェハレンズを被写体側を上面として水平面に載置した場合の、水平面から各部の被写体側の表面までの垂直距離を指す。また、レンズ部1及び/又は非レンズ部2及び/又は遮光部3において、高さの異なる部位が複数ある場合、その内の最も高い部位の高さを指す。]
ひとつのレンズ部1と;レンズ部1の周囲に結合する非レンズ部2と;被写体側のレンズ部1及び/又は非レンズ部2に設けられた遮光部3と、を有するウェハレンズであって、レンズ部1の高さ、非レンズ部2の高さ、と遮光部3の高さが式(2)を満たし、遮光部3が非レンズ部2の表面の一部又は全部にスペーサーを介在せずに直接接合して被覆するように設けられ、遮光部3がレンズ部1の一部を覆うように設けられたウェハレンズ(B)を少なくともひとつ含む複数のウェハレンズが積層されて構成されるウェハレンズ積層体であって、複数のウェハレンズの内、最も被写体側に位置するウェハレンズがウェハレンズ(B)であるウェハレンズ積層体。
非レンズ部2の高さ≦レンズ部1の高さ<遮光部3の高さ ・・・式(2)
[ここで、式(2)における「高さ」とは、ウェハレンズを被写体側を上面として水平面に載置した場合の、水平面から各部の被写体側の表面までの垂直距離を指す。また、レンズ部1及び/又は非レンズ部2及び/又は遮光部3において、高さの異なる部位が複数ある場合、その内の最も高い部位の高さを指す。]
【発明を実施するための形態】
【0034】
[ウェハレンズアレイ(A)の構成]
図1のb)及びc)には、本発明のウェハレンズアレイ(「ウェハレンズアレイ(A)」と称する場合がある)の構成の一例を示す。なお、本発明はこれに限られるものではない。
図1のa)には、遮光部を有しないウェハレンズアレイの構成の一例を示す。
【0035】
ウェハレンズアレイ(A)は、複数のレンズ部1、非レンズ部2、及び遮光部3を少なくとも備える。より詳しくは、ウェハレンズアレイ(A)は、一次元又は二次元に配列された複数のレンズ部1と;各レンズ部1の周囲に結合し、複数のレンズ部1を相互に連結する非レンズ部2と;被写体側(結像側の反対側)のレンズ部1及び/又は非レンズ部2に設けられた遮光部3と、を少なくとも有するウェハレンズアレイである。ウェハレンズアレイ(A)は、板状、シート状、フィルム状のいずれの形態であっても良い。複数のレンズ部1は、一次元又は二次元に配列されており、規則的又は不規則に配列されている。レンズ部1と非レンズ部2は、同じ材料から構成されても良く、異なる材料から構成されても良い。遮光部3は、レンズ部1及び/又は非レンズ部2(レンズ部1及び非レンズ部2のいずれか一方又は両方)と同じ材料を含んで構成されても良く、レンズ部1及び非レンズ部2とは異なる材料から構成されても良い。
【0036】
遮光部3は、ウェハレンズアレイ(A)の片面のみに設けられても良く、両面に設けられても良い。また、遮光部3は、レンズ部1のみに設けられても良く、非レンズ部2のみに設けられても良く、レンズ部1及び非レンズ部2の両方に跨って設けられても良い。
図1のb)は遮光部3が非レンズ部2のみに設けられた例であり、
図1のc)は遮光部3がレンズ部1及び非レンズ部2の両方に跨って設けられた例である。遮光部3がレンズ部1に設けられる場合は、レンズ部1の一部を覆うように設けられる。遮光部3がレンズ部1の一部を覆うように設けられる場合は、遮光部3はレンズ部1と接触していても良く、離れていても良い。
図1のc)は遮光部3がレンズ部1の一部を接触せずに覆うように設けられた例である。また、遮光部3が非レンズ部2に設けられる場合は、非レンズ部2の一部のみを覆うように設けられても良く、非レンズ部2の全部を覆うように設けられても良い。また、遮光部3は、レンズ部1及び/又は非レンズ部2と一体に成形されても良いし、レンズ部1及び/又は非レンズ部2とは独立に成形されても良い。
【0037】
遮光部3は、撮像素子に対する無用な光の漏れや反射等を防止(遮光)する機能を有するが、遮光部3がレンズ部1に設けられる場合は、遮光部3は、被写体側からの入射光を調整する「絞り」としての機能も有する。また、遮光部3は、ウェハレンズアレイ(A)の片面又は両面に他の部材を設ける場合に、ウェハレンズアレイ(A)と他の部材の間隔を確保するためのスペーサーとしても機能することができる。
【0038】
ウェハレンズアレイ(A)において、レンズ部1の高さと遮光部3の高さは、以下の式(1)を満たす。
レンズ部1の高さ<遮光部3の高さ ・・・式(1)
ここで、式(1)における「高さ」とは、ウェハレンズアレイを被写体側を上面として水平面に載置した場合の、水平面から各部の被写体側の表面までの垂直距離を指す。また、レンズ部1又は遮光部3(レンズ部1及び/又は遮光部3)において、高さの異なる部位が複数ある場合、その内の最も高い部位の高さを上記「高さ」とする。式(1)を満たすことにより、後述する[ウェハレンズアレイ又はウェハレンズアレイ積層体の切断工程]において、レンズ部1の汚染を防止し、ウェハレンズの光学特性に影響を与えないような製造工程に資することができる。
【0039】
ウェハレンズアレイ(A)においては複数のレンズ部1が存在するが、少なくとも各レンズ部1と該各レンズ部1に最も近接する遮光部3とが、式(1)の関係を満たしていれば良い。これにより、上述のレンズ部1の汚染が効果的に防止される。以下の式(2)及び式(3)についても、これら式を満たすことにより得られる効果との関係で、同様である。
【0040】
また、ウェハレンズアレイ(A)において、レンズ部1の高さ、非レンズ部2の高さ、及び遮光部3の高さは、以下の式(2)を満たす関係にあっても良い。
非レンズ部2の高さ≦レンズ部1の高さ<遮光部3の高さ ・・・式(2)
ここで、式(2)における「高さ」とは、式(1)におけるもの同義である。なお、非レンズ部2の表面が遮光部3により被覆されている場合の非レンズ部2の高さとは、上記水平面から遮光部3により被覆された非レンズ部2の表面(被写体側の表面)までの垂直距離を指す。また、レンズ部1、非レンズ部2、又は遮光部3において(即ち、レンズ部1及び/又は非レンズ部2及び/又は遮光部3において)、高さの異なる部位が複数ある場合、その内の最も高い部位の高さを上記「高さ」とする。式(2)を満たすことにより、特に遮光部3をレンズ部1及び/又は非レンズ部2とは独立に成形する場合、遮光部3の厚み方向における設計の自由度を高めることができ、レンズモジュールの小型化、軽量化、薄型化に寄与することができる。
【0041】
一方、ウェハレンズアレイ(A)において、レンズ部1の高さ、非レンズ部2の高さ、及び遮光部3の高さは、以下の式(3)を満たす関係にあっても良い。
レンズ部1の高さ<非レンズ部2の高さ<遮光部3の高さ ・・・式(3)
ここで、式(3)における「高さ」とは、式(1)及び式(2)におけるものと同義である。式(3)を満たすことにより、後述する[ウェハレンズアレイ又はウェハレンズアレイ積層体の切断工程]において、ダイシングテープ上にウェハレンズアレイ(A)又はウェハレンズアレイ積層体(C)を戴置して固定する際に、安定して固定させ易いため、ウェハレンズアレイ(A)又はウェハレンズアレイ積層体(C)の切断不良を防止することが容易となる傾向がある。
【0042】
なお、本発明においては、レンズ部1、非レンズ部2、遮光部3のいずれかひとつ以上の構成が変形して厚み等が変動しても、式(1)及び/又は式(2)及び/又は式(3)の関係が維持されることが好ましい。上記変形は、種々の場面で生じ得るが、特に、後述する[ウェハレンズアレイ又はウェハレンズアレイ積層体の切断工程]において、ダイシングテープ上にウェハレンズアレイ(A)又はウェハレンズアレイ積層体(C)を戴置して固定する際に生じ易い。但しその場合でも、式(1)及び/又は式(2)及び/又は式(3)の関係が維持されることが好ましい。
【0043】
[ウェハレンズ(B)の構成]
図2のb)及びc)には、本発明のウェハレンズ(「ウェハレンズ(B)」と称する場合がある)の構成の一例を示す。なお、本発明はこれに限られるものではない。
図2のa)には、遮光部を有しないウェハレンズの構成の一例を示す。
【0044】
ウェハレンズ(B)は、ひとつのレンズ部1、非レンズ部2、及び遮光部3を少なくとも備える。より詳しくは、ウェハレンズ(B)は、ひとつのレンズ部1と;レンズ部1の周囲に結合する非レンズ部2と;被写体側(結像側の反対側)のレンズ部1及び/又は非レンズ部2に設けられた遮光部3と、を少なくとも有するウェハレンズである。ウェハレンズ(B)は、上記ウェハレンズアレイ(A)における複数のレンズ部1を個々のレンズ部1に分離するように、上記ウェハレンズアレイ(A)を切断することにより得られる。また、ウェハレンズ(B)は、最初から、ひとつのレンズ部1、非レンズ部2、及び遮光部3を備えるように製造されたものでも良い。
【0045】
レンズ部1、非レンズ部2、及び遮光部3の材料は、上記ウェハレンズアレイ(A)におけるものと同様である。また、遮光部3を設ける位置、成形、機能についても、上記ウェハレンズアレイ(A)におけるものと同様である。更に、レンズ部1の高さ、非レンズ部2の高さ、及び遮光部3の高さの関係は、ウェハレンズアレイ(A)と同様に、上述の式(1)を満たし、さらに、式(2)又は式(3)を満たしていてもよい。なお、ウェハレンズアレイ(A)と同様に、ウェハレンズ(B)において遮光部3は、レンズ部1の一部を覆うように設けられていることが好ましい。
【0046】
[ウェハレンズアレイ積層体(C)の構成]
図3のb)及びc)には、本発明のウェハレンズアレイ積層体(「ウェハレンズアレイ積層体(C)」と称する場合がある)の構成の一例を示す。なお、本発明はこれに限られるものではない。
図3のa)には、ウェハレンズアレイ(A)を有しないウェハレンズアレイ積層体の構成の一例を示す。
【0047】
なお、ウェハレンズアレイ積層体(C)及び後述のウェハレンズ積層体(D)においては、これらを構成する複数のウェハレンズアレイ又はウェハレンズのうち、最も被写体側のウェハレンズアレイ又はウェハレンズを「第一レンズ」と称し、結像側に向かって、「第二レンズ」、「第三レンズ」・・と称する場合がある。
【0048】
ウェハレンズアレイ積層体(C)は、少なくともひとつのウェハレンズアレイ(A)を含む複数のウェハレンズアレイが積層されて構成される。ウェハレンズアレイ積層体(C)を構成する各ウェハレンズアレイ(複数のウェハレンズアレイ)の内、最も被写体側に位置するウェハレンズアレイは、ウェハレンズアレイ(A)であることが好ましい。
図3のb)及びc)は、最も被写体側に位置するウェハレンズアレイがウェハレンズアレイ(A)であるウェハレンズアレイ積層体(C)の例である。
【0049】
ウェハレンズアレイ積層体(C)を構成する各ウェハレンズアレイの内、ウェハレンズアレイ(A)以外のウェハレンズアレイは、ウェハレンズアレイ(A)と同じものを用いても良く、異なるものを用いても良い。
【0050】
なお、ウェハレンズアレイ積層体(C)において各ウェハレンズアレイの間は、公知乃至慣用の接着手段により接合されていても良いし、接合されていなくても良い。なお、接合は、公知乃至慣用の固定手段(例えば、接着剤の使用等)によることができる。
【0051】
[ウェハレンズ積層体(D)の構成]
図4のb)及びc)には、本発明のウェハレンズ積層体(「ウェハレンズ積層体(D)」と称する場合がある)の構成の一例を示す。なお、本発明はこれに限られるものではない。
図4のa)には、ウェハレンズ(B)を有しないウェハレンズ積層体の構成の一例を示す。
【0052】
ウェハレンズ積層体(D)は、少なくともひとつのウェハレンズ(B)を含む複数のウェハレンズが積層されて構成される。ウェハレンズ積層体(D)を構成する各ウェハレンズ(複数のウェハレンズ)の内、最も被写体側に位置するウェハレンズは、上記ウェハレンズ(B)であることが好ましい。
図4のb)及びc)は、最も被写体側に位置するウェハレンズがウェハレンズ(B)であるウェハレンズ積層体(D)の例である。
【0053】
ウェハレンズ積層体(D)を構成する各ウェハレンズアレイの内、ウェハレンズ(B)以外のウェハレンズは、ウェハレンズ(B)と同じものを用いても良く、異なるものを用いても良い。
【0054】
ウェハレンズ積層体(D)は、上記ウェハレンズアレイ積層体(C)における複数のレンズ部1を個々のレンズ部1に分離するように、上記ウェハレンズアレイ積層体(C)を切断することにより得られる。また、ウェハレンズ積層体(D)は、最初から、上記ウェハレンズ(B)及びウェハレンズ(B)以外のウェハレンズを積層して製造されたものでも良い。
【0055】
なお、ウェハレンズ積層体(D)において各ウェハレンズの間は、公知乃至慣用の接着手段により接合されていても良いし、接合されていなくても良い。なお、接合は、公知乃至慣用の固定手段(例えば、接着剤の使用等)によることができる。
【0056】
[硬化性樹脂材料]
以下、本発明に用いられる硬化性樹脂材料の一例を示す。なお、本発明はこれに限られるものではない。このような硬化性樹脂材料は、特に、ウェハレンズアレイ(A)、ウェハレンズ(B)における、レンズ部1及び非レンズ部2(特に、レンズ部1)を形成するための材料として用いられる。
【0057】
本発明のウェハレンズアレイ(A)又はウェハレンズ(B)に用いられる硬化性樹脂材料は、加熱又は光照射(紫外線や電子線等の活性エネルギー線の照射)により硬化する材料(硬化性組成物)である。上記硬化性樹脂材料としては、特に限定されないが、例えば、エポキシ系樹脂材料やシリコーン系樹脂材料が挙げられる。以下、本発明のウェハレンズアレイ(A)又はウェハレンズ(B)の材料として特に適した硬化性樹脂材料(「本発明の硬化性樹脂材料」と称する場合がある)を構成する成分及び硬化物について例示する。
【0058】
[脂環エポキシ化合物(a)]
本発明の硬化性樹脂材料は、脂環エポキシ化合物(a)を含むことが好ましい。脂環エポキシ化合物(a)は、少なくとも1つのエポキシ基で置換された脂環(以下、「脂環エポキシ基」と称する場合がある。)を有する化合物である。脂環エポキシ基は、エポキシ化された環状オレフィン基であることが好ましい。上記エポキシ化された環状オレフィン基(以下、「エポキシ化環状オレフィン基」と称する場合がある。)とは、環状オレフィン(環を形成する炭素−炭素結合の少なくとも1つが炭素−炭素不飽和結合である環状脂肪族炭化水素)が有する炭素−炭素不飽和結合の少なくとも1つがエポキシ化された構造から1つの水素原子を除いて形成される基(1価の基)である。即ち、エポキシ化環状オレフィン基は、脂肪族炭化水素環構造とエポキシ基とを含み、上記エポキシ基が上記脂肪族炭化水素環を構成する隣接する2つの炭素原子と酸素原子とで構成されるエポキシ基である基である。なお、脂環エポキシ化合物(a)には、後述のシロキサン化合物(b1)及びカチオン重合性化合物(b2)は含まれない。
【0059】
上記エポキシ化環状オレフィン基における環状オレフィン基(エポキシ化される前の形態)としては、シクロプロペニル基(例えば、2−シクロプロペン−1−イル基等)、シクロブテニル基(例えば、2−シクロブテン−1−イル基等)、シクロペンテニル基(例えば、2−シクロペンテン−1−イル基、3−シクロペンテン−1−イル基等)、シクロヘキセニル基(例えば、2−シクロヘキセン−1−イル基、3−シクロヘキセン−1−イル基等)等のシクロアルケニル基;2,4−シクロペンタジエン−1−イル基、2,4−シクロヘキサジエン−1−イル基、2,5−シクロヘキサジエン−1−イル基等のシクロアルカジエニル基;ジシクロペンテニル基、ジシクロヘキセニル基、ノルボルネニル基等の多環式基等が挙げられる。なお、上記エポキシ化環状オレフィン基における環状オレフィン基を形成する脂肪族炭化水素環には、1個以上の置換基が結合していても良い。
【0060】
中でも、上記環状オレフィン基としては、炭素数5〜12の環状オレフィン基が好ましく、より好ましくは炭素数5〜12のシクロアルケニル基、更に好ましくはシクロヘキセニル基である。即ち、上記エポキシ化環状オレフィン基としては、炭素数5〜12の環状オレフィン基がエポキシ化された基が好ましく、より好ましくは炭素数5〜12のシクロアルケニル基がエポキシ化された基、更に好ましくはシクロヘキセニル基がエポキシ化された基(シクロヘキセンオキシド基)である。なお、脂環エポキシ化合物(a)は、エポキシ化環状オレフィン基の1種を有するものであっても良いし、2種以上を有するものであっても良い。
【0061】
脂環エポキシ化合物(a)が分子内に有する脂環エポキシ基の数は、2個以上であればよく、特に限定されないが、2〜4個が好ましく、より好ましくは2個である。
【0062】
脂環エポキシ化合物(a)においては、上記脂環エポキシ基の少なくとも2個が、単結合又は連結基(1以上の原子を有する2価の基)で結合されていることが好ましい。上記連結基としては、例えば、2価の炭化水素基、カルボニル基、エーテル結合、エステル結合、カーボネート基、アミド基、これらが複数個連結した基等が挙げられる。
【0063】
上記2価の炭化水素基としては、例えば、2価の脂肪族炭化水素基、2価の脂環式炭化水素基、及びこれらが複数個結合した基等が挙げられる。上記2価の脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基等の直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基(例えば、炭素数1〜6のアルキレン基)等が挙げられる。また、2価の脂環式炭化水素基としては、例えば、1,2−シクロペンチレン基、1,3−シクロペンチレン基、1,2−シクロヘキシレン基、1,3−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキシレン基等の2価のシクロアルキレン基等が挙げられる。
【0064】
上記連結基としては、酸素原子を含有する連結基が好ましく、具体的には、−CO−、−O−CO−O−、−COO−、−O−、−CONH−;これらの基が複数個連結した基;これらの基の1又は2以上と2価の炭化水素基の1又は2以上とが連結した基等が挙げられる。2価の炭化水素基としては上記で例示したものが挙げられる。
【0065】
脂環エポキシ化合物(a)は、硬化性樹脂材料の硬化性、ウェハレンズ(硬化物)の耐湿性、耐熱性(特にガラス転移温度)、低収縮性、低線膨張性等の観点から、エステル基(エステル結合)を有しないことが好ましい。
【0066】
本発明の硬化性樹脂材料において、脂環エポキシ化合物(a)は1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。脂環エポキシ化合物(a)は、公知乃至慣用の方法により製造できる。また、脂環エポキシ化合物(a)としては、市販品を使用しても良い。脂環エポキシ化合物(a)としては、例えば、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(商品名「セロキサイド2021P」、(株)ダイセル製)、3,4,3’,4’−ジエポキシビシクロヘキシルが好ましく、硬化性樹脂材料の硬化性、ウェハレンズ(硬化物)の耐湿性、耐熱性(特にガラス転移温度)、低収縮性、低線膨張性の観点から、3,4,3’,4’−ジエポキシビシクロヘキシルが特に好ましい。
【0067】
本発明の硬化性樹脂材料における脂環エポキシ化合物(a)の含有量は、特に限定されないが、硬化性樹脂材料(100重量%)に対して、5〜60重量%が好ましく、より好ましくは10〜55重量%、更に好ましくは15〜50重量%である。脂環エポキシ化合物(a)の含有量が上記範囲であることにより、ウェハレンズ(硬化物)の耐熱性と機械強度について、高いレベルでバランスをとることが可能となる。
【0068】
[シロキサン化合物(b1)]
本発明の硬化性樹脂材料は、シロキサン化合物(b1)を含むことが好ましい。シロキサン化合物(b1)は、分子内に2以上のエポキシ基を有し、更に、シロキサン結合(Si−O−Si)により構成されたシロキサン骨格を少なくとも有する化合物である。シロキサン化合物(b1)におけるシロキサン骨格は、特に限定されないが、例えば、環状シロキサン骨格;直鎖又は分岐鎖状のシリコーン(直鎖状又は分岐鎖状ポリシロキサン)や、かご型やラダー型のポリシルセスキオキサン等のポリシロキサン骨格等が挙げられる。中でも、上記シロキサン骨格としては、硬化性樹脂材料の硬化性、ウェハレンズの耐熱性及び機械強度の観点で、環状シロキサン骨格が好ましい。即ち、シロキサン化合物(b1)としては、分子内に2以上のエポキシ基を有する環状シロキサンが好ましい。
【0069】
シロキサン化合物(b1)が2以上のエポキシ基を有する環状シロキサンである場合、シロキサン環を形成するSi−O単位の数(シロキサン環を形成するケイ素原子の数に等しい)は、特に限定されないが、硬化性樹脂材料の硬化性、ウェハレンズの耐熱性及び機械強度の観点で、2〜12が好ましく、より好ましくは4〜8である。
【0070】
シロキサン化合物(b1)が分子内に有するエポキシ基の数は、2個以上であれば特に限定されないが、硬化性樹脂材料の硬化性、ウェハレンズの耐熱性及び機械強度等の観点から、2〜4個が好ましく、より好ましくは3〜4個である。
【0071】
シロキサン化合物(b1)のエポキシ当量(JIS K7236に準拠)は、特に限定されないが、硬化性樹脂材料の硬化性、ウェハレンズの耐熱性及び機械強度の観点で、180〜400が好ましく、より好ましくは240〜400、更に好ましくは240〜350である。
【0072】
シロキサン化合物(b1)におけるエポキシ基は、特に限定されないが、硬化性樹脂材料の硬化性、ウェハレンズの耐熱性及び機械強度の観点で、脂環エポキシ基であることが好ましく、中でも、エポキシ基の少なくとも1つがシクロヘキセンオキシド基(シクロヘキサン環を構成する隣接する2つの炭素原子と酸素原子とで構成されるエポキシ基)であることが特に好ましい。
【0073】
シロキサン化合物(b1)としては、より具体的には、例えば、2,4−ジ[2−(3−{オキサビシクロ[4.1.0]ヘプチル})エチル]−2,4,6,6,8,8−ヘキサメチル−シクロテトラシロキサン、4,8−ジ[2−(3−{オキサビシクロ[4.1.0]ヘプチル})エチル]−2,2,4,6,6,8−ヘキサメチル−シクロテトラシロキサン、2,4−ジ[2−(3−{オキサビシクロ[4.1.0]ヘプチル})エチル]−6,8−ジプロピル−2,4,6,8−テトラメチル−シクロテトラシロキサン、4,8−ジ[2−(3−{オキサビシクロ[4.1.0]ヘプチル})エチル]−2,6−ジプロピル−2,4,6,8−テトラメチル−シクロテトラシロキサン、2,4,8−トリ[2−(3−{オキサビシクロ[4.1.0]ヘプチル})エチル]−2,4,6,6,8−ペンタメチル−シクロテトラシロキサン、2,4,8−トリ[2−(3−{オキサビシクロ[4.1.0]ヘプチル})エチル]−6−プロピル−2,4,6,8−テトラメチル−シクロテトラシロキサン、2,4,6,8−テトラ[2−(3−{オキサビシクロ[4.1.0]ヘプチル})エチル]−2,4,6,8−テトラメチル−シクロテトラシロキサン、エポキシ基を有するシルセスキオキサン等が挙げられる。
【0074】
また、シロキサン化合物(b1)としては、例えば、特開2008−248169号公報に記載の脂環エポキシ基含有シリコーン樹脂や、特開2008−19422号公報に記載の1分子中に少なくとも2個のエポキシ官能性基を有するオルガノポリシルセスキオキサン樹脂等を用いることもできる。
【0075】
なお、本発明の硬化性樹脂材料において、シロキサン化合物(b1)は1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。シロキサン化合物(b1)としては、例えば、商品名「X−40−2678」(信越化学工業(株)製)、商品名「X−40−2670」(信越化学工業(株)製)、商品名「X−40−2720」(信越化学工業(株)製)等の市販品を用いることもできる。
【0076】
本発明の硬化性樹脂材料におけるシロキサン化合物(b1)の含有量(配合量)は、特に限定されないが、硬化性樹脂材料(100重量%)に対して、1〜50重量%が好ましく、より好ましくは5〜45重量%、更に好ましくは10〜40重量%である。シロキサン化合物(b1)の含有量が上記範囲であることにより、ウェハレンズの耐熱性と機械強度について、高いレベルでバランスをとることが可能となる。
【0077】
[カチオン重合性化合物(b2)]
本発明の硬化性樹脂材料は、カチオン重合性化合物(b2)を含むことが好ましい。カチオン重合性化合物(b2)は、少なくとも1つのカチオン硬化性官能基(カチオン重合性官能基)とを有する化合物である。カチオン重合性化合物は、分子内に少なくとも1つの芳香環を有することが好ましい。カチオン重合性化合物(b2)を含むことにより、本発明の硬化性樹脂材料を硬化させて得られる硬化物に対して、耐熱性、高透明性、高屈折率、及び低アッベ数等の光学特性を効率的に付与できる傾向がある。
【0078】
カチオン重合性化合物(b2)が有する芳香環としては、特に限定されないが、例えば、ベンゼン環のような芳香族単環炭化水素環;ナフタレン環、アントラセン環、フルオレン環、ピレン環等の芳香族縮合多環炭化水素環等の芳香族炭化水素環等が挙げられる。また、上記芳香環としては、ピリジン環、フラン環、ピロール環、ベンゾフラン環、インドール環、カルバゾール環、キノリン環、ベンズイミダゾール環、キノキサリン環等の芳香族複素環等も挙げられる。中でも、上記芳香環としては、芳香族炭化水素環が好ましく、より好ましくはベンゼン環、フルオレン環であり、更に、硬化物に対して高屈折率かつ低アッベ数の光学特性を付与しやすい観点で、フルオレン環が特に好ましい。
【0079】
なお、カチオン重合性化合物(b2)が有する芳香環には、1個以上の置換基が結合していても良い。なお、カチオン重合性化合物(b2)は、芳香環の1種を有するものであっても良いし、2種以上を有するものであっても良い。
【0080】
カチオン重合性化合物(b2)が分子内に有する芳香環の数は、1個以上であればよく、特に限定されないが、1〜10個が好ましく、より好ましくは2〜8個である。
【0081】
カチオン重合性化合物(b2)が有するカチオン硬化性官能基としては、カチオン硬化性(カチオン重合性)を有する公知乃至慣用の官能基が挙げられ、特に限定されないが、例えば、エポキシ基、オキセタニル基、テトラヒドロフラニル基、オキサゾリニル基等の環状エーテル基;ビニルエーテル基、スチリル基等のビニル基含有基;これらの基を少なくとも含む基等が挙げられる。中でも、上記カチオン硬化性官能基としては、脂環エポキシ化合物(a)との反応性の観点で、脂環エポキシ基(エポキシ化環状オレフィン基)、グリシジル基、オキセタニル基が好ましい。なお、カチオン重合性化合物(b2)は、カチオン硬化性官能基の1種を有するものであっても良い。し、2種以上を有するものであっても良い。
【0082】
カチオン重合性化合物(b2)が分子内に有するカチオン硬化性官能基の数は、1個以上であればよく、特に限定されないが、2〜10個が好ましく、より好ましくは2〜4個である。
【0083】
カチオン重合性化合物(b2)のうち、芳香環を有するエポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ化合物(ビスフェノールA又はそのアルキレンオキサイド付加物のジグリシジルエーテル等)、ビスフェノールF型エポキシ化合物(ビスフェノールF又はそのアルキレンオキサイド付加物のジグリシジルエーテル等)、ビフェノール型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、クレゾール型エポキシ化合物、ビスフェノールAのクレゾールノボラック型エポキシ化合物、ポリフェノール型エポキシ化合物、臭素化ビスフェノールA型エポキシ化合物、臭素化ビスフェノールF型エポキシ化合物、ヒドロキノンジグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、フタル酸ジグリシジルエステル、末端カルボン酸ポリブタジエンとビスフェノールA型エポキシ樹脂の付加反応物、ナフタレン型エポキシ化合物(ナフタレン環を有するエポキシ化合物)、フルオレン環を有するエポキシ化合物等が挙げられる。また、上記芳香環を有するエポキシ化合物としては、例えば、特開2009−179568号公報に開示された芳香族骨格を有する脂環式エポキシ化合物等も使用することができる。
【0084】
カチオン重合性化合物(b2)のうち、芳香環を有するオキセタン化合物としては、例えば、1,4−ビス{[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン、3−エチル−3−[(フェノキシ)メチル]オキセタン、4,4’−ビス[3−エチル−(3−オキセタニル)メトキシメチル]ビフェニル、ノボラック型オキセタン樹脂等が挙げられる。
【0085】
カチオン重合性化合物(b2)としては、市販品を使用することもできる。カチオン重合性化合物(b2)のうちビスフェノールA型エポキシ化合物の市販品として、例えば、商品名「jER827」、「jER828」、「jER828EL」、「jER828XA」、「jER834」(以上、三菱化学(株)製);商品名「エピクロン840」、「エピクロン840−S」、「エピクロン850」、「エピクロン850−S」、「エピクロン850−LC」(以上、DIC(株)製)等が挙げられる。また、カチオン重合性化合物(b2)のうち分子内にナフタレン環を有するエポキシ化合物の市販品として、例えば、商品名「エピクロンHP4032」、「HP4032D」、「HP4700」、「HP4710」、「HP4770」、「HP5000」(以上、DIC(株)製)等が挙げられる。更に、カチオン重合性化合物(b2)のうち分子内にフルオレン環を有するエポキシ化合物の市販品として、例えば、商品名「PG−100」、「EG−200」、「EG−250」(以上、大阪ガスケミカル(株)製);商品名「オンコートEX−1010」、「オンコートEX−1011」、「オンコートEX−1012」、「オンコートEX−1020」、「オンコートEX−1030」、「オンコートEX−1040」、「オンコートEX−1050」、「オンコートEX−1051」(以上、長瀬産業(株)製)等が挙げられる。更に、カチオン重合性化合物(b2)のうち分子内に芳香環を有するオキセタン化合物の市販品として、例えば、商品名「OXT−121」、「OXT−211」(以上、東亞合成(株)製);商品名「ETERNACOLL OXBP」(宇部興産(株)製)等が挙げられる。
【0086】
なお、本発明の硬化性樹脂材料においてカチオン重合性化合物(b2)は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0087】
本発明の硬化性樹脂材料におけるカチオン重合性化合物(b2)の含有量(配合量)は、特に限定されないが、硬化性樹脂材料(100重量%)に対して、40〜90重量%が好ましく、より好ましくは40〜80重量%、更に好ましくは45〜75重量%である。カチオン重合性化合物(b2)の含有量が40重量%未満であると、硬化物に対して高屈折率かつ低アッベ数の光学特性を付与することが困難となる場合がある。一方、カチオン重合性化合物(b2)の含有量が90重量%を超えると、硬化の際の速硬化性、形状安定性向上の効果が得られにくくなる場合がある。
【0088】
[硬化剤(c)]
本発明の硬化性樹脂材料は、硬化剤(c)を含んでいても良い。硬化剤(c)は、脂環エポキシ化合物(a)、シロキサン化合物(b1)、カチオン重合性化合物(b2)等のカチオン硬化性官能基(特に、エポキシ基)を有する硬化性化合物(特に、エポキシ化合物)の硬化反応を開始乃至促進させることにより、又は、上記硬化性化合物と反応することにより、硬化性樹脂材料を硬化させる働きを有する化合物である。硬化剤(c)としては、例えば、硬化触媒等の公知乃至慣用の硬化剤が挙げられる。なお、本発明の硬化性樹脂材料において、硬化剤(c)は1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0089】
硬化剤(c)としての硬化触媒としては、特に限定されないが、加熱処理を施すことによりカチオン種を発生して硬化を開始させる化合物(以下、「熱カチオン硬化剤(c1)」と称する場合がある。)であっても良く、又は、紫外線等の活性エネルギー線照射によりカチオン種を発生して硬化を開始させる化合物(以下、「光カチオン硬化剤(c2)」と称する場合がある。)であっても良い。
【0090】
熱カチオン硬化剤(c1)としては、例えば、アリールジアゾニウム塩、アリールヨードニウム塩、アリールスルホニウム塩、アレン−イオン錯体等が挙げられ、商品名「PP−33」、「CP−66」、「CP−77」((株)ADEKA製);商品名「FC−509」(スリーエム製);商品名「UVE1014」(G.E.製);商品名「サンエイドSI−60L」、「サンエイドSI−80L」、「サンエイドSI−100L」、「サンエイドSI−110L」、「サンエイドSI−150L」(三新化学工業(株)製);商品名「CG−24−61」(チバ・ジャパン製)等の市販品を好ましく使用することができる。更に、アルミニウムやチタン等の金属とアセト酢酸若しくはジケトン類とのキレート化合物とトリフェニルシラノール等のシラノールとの化合物、又は、アルミニウムやチタン等の金属とアセト酢酸若しくはジケトン類とのキレート化合物とビスフェノールS等のフェノール類との化合物であっても良い。
【0091】
中でも、熱カチオン硬化剤(c1)としては、本発明の硬化性樹脂材料の硬化開始温度を60〜150℃(より好ましくは80〜120℃)に制御できるものを使用することが好ましい。
【0092】
光カチオン硬化剤(c2)としては、例えば、ヘキサフルオロアンチモネート塩、ペンタフルオロヒドロキシアンチモネート塩、ヘキサフルオロホスフェート塩、ヘキサフルオロアルゼネート塩等が挙げられる。上記カチオン触媒としては、例えば、商品名「UVACURE1590」(ダイセル・サイテック(株)製);商品名「CD−1010」、「CD−1011」、「CD−1012」(以上、米国サートマー製);商品名「イルガキュア264」(BASF製);商品名「CIT−1682」(日本曹達(株)製);商品名「CPI−101A」(サンアプロ(株)製)等の市販品を好ましく使用することもできる。
【0093】
硬化剤(c)としての硬化触媒の含有量(配合量)は、特に限定されないが、硬化性樹脂材料に含まれる硬化性化合物の全量(100重量部)に対して、0.001〜15重量部が好ましく、より好ましくは0.01〜10重量部、更に好ましくは0.05〜10重量部、特に好ましくは0.1〜5重量部である。硬化触媒を上記範囲内で使用することにより、耐熱性、耐光性、透明性に優れた硬化物を得ることができる。
【0094】
[その他のカチオン硬化性化合物]
本発明の硬化性樹脂材料は、脂環エポキシ化合物(a)、シロキサン化合物(b1)、及びカチオン重合性化合物(b2)以外のカチオン硬化性化合物(以下、「その他のカチオン硬化性化合物」と称する場合がある。)を含んでいても良い。上記その他のカチオン硬化性化合物としては、例えば、脂環エポキシ化合物(a)、シロキサン化合物(b1)、及びカチオン重合性化合物(b2)以外のエポキシ化合物(「その他のエポキシ化合物」と称する場合がある)、オキセタン化合物、ビニルエーテル化合物等が挙げられる。また、上記その他のカチオン硬化性化合物としては、市販品を使用しても良く、例えば、商品名「YX8000」(三菱化学(株)製)、商品名「アロンオキセタンOXT221」(東亞合成(株)製)等が挙げられる。上記その他のカチオン硬化性化合物を含有することにより、硬化性樹脂材料の粘度が制御され、取り扱い性が向上し、ウェハレンズを形成する際の硬化収縮が抑制される場合がある。なお、本発明の硬化性樹脂材料において上記その他のカチオン硬化性化合物は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0095】
上記その他のカチオン硬化性化合物の含有量(配合量)は、特に限定されないが、硬化性樹脂材料(100重量%)に対して、0〜50重量%(例えば、5〜50重量%)が好ましく、より好ましくは0〜30重量%(例えば、5〜30重量%)、更に好ましくは0〜15重量%である。
【0096】
[離型剤]
本発明の硬化性樹脂材料は、離型剤を含有していても良い。離型剤を含むことにより、ウェハレンズ成型用金型からの離型が容易となる傾向がある。上記離型剤としては、(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸化合物、フッ素化合物(フッ素系離型剤;フッ素樹脂、フルオロアルキル基含有化合物等)、シリコーン化合物(シリコーン系離型剤;シリコーンオイル、シリコーン樹脂等)、ワックス類(ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、アミドワックス等)、長鎖カルボン酸、長鎖カルボン酸金属塩、多価アルコール(ポリエチレングリコール等)、ポリテトラフルオロエチレンパウダー等の公知乃至慣用の離型剤を使用することができ、特に限定されない。中でも、分子内にエポキシ基やオキセタニル基等のカチオン硬化性官能基を有する離型剤(例えば、カチオン硬化性官能基を有するフッ素化合物、シリコーン化合物等)が好ましい。なお、離型剤は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。離型剤としては、例えば、商品名「E−1430」、「E−1630」、「E−1830」、「E−2030」、「E−3430」、「E−3630」、「E−3830」、「E−4030」、「E−5244」、「E−5444」、「E−5644」、「E−5844」(フッ素系離型剤、以上、ダイキン工業(株)製)等の市販品を使用することもできる。上記離型剤の含有量は、離型剤の種類や成型方法等に応じて適宜設定することができ、特に限定されないが、ウェハレンズ(硬化物)の透明性の観点から、硬化性樹脂材料(100重量%)に対して、0.1〜10重量%が好ましく、より好ましくは0.5〜5重量%である。
【0097】
[添加剤等]
本発明の硬化性樹脂材料は、添加剤等のその他の成分を含んでいても良い。上記添加剤としては、公知乃至慣用の添加剤が挙げられ、特に限定されないが、例えば、金属酸化物粒子、ゴム粒子、シリコーン系やフッ素系の消泡剤、シランカップリング剤、充填剤、可塑剤、レベリング剤、帯電防止剤、難燃剤、着色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、イオン吸着体、顔料等が挙げられる。これら各種の添加剤の含有量(配合量)は、特に限定されないが、硬化性樹脂材料(100重量%)に対して、5重量%以下とすることが好ましい。本発明の硬化性樹脂材料は溶媒を含んでいても良いが、あまり多いとウェハレンズに気泡が生じる場合があるので、硬化性樹脂材料(100重量%)に対して10重量%以下とすることが好ましく、より好ましくは1重量%以下である。
【0098】
本発明の硬化性樹脂材料は、特に限定されないが、例えば、上記各成分を所定量配合し、必要に応じて、例えば真空下で気泡を除去しながら撹拌・混合することにより調製することができる。撹拌・混合する際の温度は、例えば、10〜60℃程度が好ましい。なお、撹拌・混合には、公知乃至慣用の装置、例えば、自転公転型ミキサー、1軸又は多軸エクストルーダー、プラネタリーミキサー、ニーダー、ディゾルバー等を使用することができる。
【0099】
[硬化物]
本発明の硬化性樹脂材料は、優れた硬化性を有する。また、本発明の硬化性樹脂材料を硬化させることにより得られる硬化物(以下、「本発明の硬化物」と称する場合がある)は、高いガラス転移温度を維持したまま、機械強度にも優れる。本発明の硬化性樹脂材料の硬化は、例えば、後述の[レンズ部及び非レンズ部の成形工程]の項に記載の方法により進行させることができる。
【0100】
本発明の硬化物の400nmにおける内部透過率(厚み0.5mm換算)は、特に限定されないが、70%以上(例えば、70〜100%)が好ましく、より好ましくは75%以上、更に好ましくは80%以上、特に好ましくは85%以上である。
【0101】
本発明の硬化物のガラス転移温度(Tg)は、特に限定されないが、100℃以上(例えば、100〜200℃)が好ましく、より好ましくは140℃以上である。ガラス転移温度が100℃未満であると、使用態様によっては硬化物の耐熱性が不十分となる場合がある。硬化物のガラス転移温度は、例えば、各種熱分析(DSC(示差走査熱量計)、TMA(熱機械分析装置)等)や動的粘弾性測定等により測定することができる。
【0102】
本発明の硬化物のガラス転移温度以下における線膨張係数(α1)は、特に限定されないが、40〜100ppm/℃が好ましく、より好ましくは40〜90ppm/℃である。また、本発明の硬化物のガラス転移温度以上における線膨張係数(α2)は、特に限定されないが、90〜150ppm/℃が好ましく、より好ましくは90〜130ppm/℃である。なお、硬化物の線膨張係数α1、α2は、例えば、TMA等により測定することができる。
【0103】
本発明の硬化物の25℃における貯蔵弾性率は、特に限定されないが、0.1GPa以上が好ましく、より好ましくは1GPa以上である。なお、硬化物の25℃における貯蔵弾性率は、例えば、動的粘弾性測定等により測定することができる。
【0104】
本発明の硬化物の25℃における曲げ強度は、特に限定されないが、80〜200MPaが好ましく、より好ましくは100〜200MPaである。また、本発明の硬化物の25℃における曲げひずみ(最大曲げ応力時のひずみ)は、特に限定されないが、2%以上が好ましく、より好ましくは3%以上である。なお、硬化物の25℃における曲げ強度及び曲げひずみは、例えば、JIS K7171に準拠して測定することができる。
【0105】
本発明の硬化性樹脂材料により高いアッベ数を有する硬化物を得る場合、硬化性樹脂材料の成分としては、脂環エポキシ化合物(a)を必須成分として含むことが好ましく、更にシロキサン化合物(b1)を含むことがより好ましい。上記成分を含むことにより、高い耐熱性、高い透明性、高い硬化性、高いガラス転移温度、高い機械強度を有する高アッベ数の硬化物を得ることができる。高いアッベ数を有する上記硬化物の屈折率(25℃における波長589nmの光の屈折率)は、特に限定されないが、1.40〜1.60が好ましく、より好ましくは1.45〜1.55である。高いアッベ数を有する上記硬化物のアッベ数は、特に限定されないが、45以上が好ましく、より好ましくは50以上である。
【0106】
本発明の硬化性樹脂材料により低いアッベ数を有する硬化物を得る場合、硬化性樹脂材料の成分としては、脂環エポキシ化合物(a)を必須成分として含むことが好ましく、更にカチオン重合性化合物(b2)を含むことがより好ましい。上記カチオン重合性化合物(b2)としては、芳香環を有するカチオン重合性化合物(b2)が好ましい。上記成分を含むことにより、高い耐熱性、高い透明性、高い硬化性、高いガラス転移温度、高屈折率、高い機械強度を有する低アッベ数の硬化物を得ることができる。また、上記成分を含むことにより、特に、硬化収縮率が小さく、形状安定性に優れた硬化物を得ることができるため、精度の高いウェハレンズの設計に寄与することができる。低いアッベ数を有する上記硬化物の屈折率(25℃における波長589nmの光の屈折率)は、特に限定されないが、1.58以上が好ましく、より好ましくは1.60以上である。低いアッベ数を有する上記硬化物のアッベ数は、特に限定されないが、35以下が好ましく、より好ましくは30以下、更に好ましくは27以下である。
【0107】
本発明の硬化性樹脂材料を使用した場合、ウェハレンズアレイ(A)及びウェハレンズ(B)において優れた耐熱性、硬化性、寸法安定性、機械強度等、いずれの特性も同時に満足されるため、好ましい。
【0108】
[遮光部の構成]
図5には、本発明のウェハレンズアレイ(ウェハレンズアレイ(A))における遮光部の一例を示す。なお、本発明はこれに限られるものではない。
図5に示す遮光部3は、ウェハレンズアレイ(A)におけるレンズ部1及び非レンズ部2に装着する前の状態を示している。
【0109】
遮光部3は、板状、シート状、フィルム状のいずれの形態であっても良い。ウェハレンズアレイ(A)において、遮光部3は複数の開口部3iを備えており、上記開口部3iは各々、複数のレンズ部1に相当する位置に設けられている。上記開口部3iの形状は、特に制限されないが、レンズ部1の形状と相似形であることが好ましい。また、上記開口部の内壁3jの形状は、特に制限されないが、一例として
図5のa)に示すように断面が垂直状であっても良く、又は、一例として
図5のb)に示すように断面が非垂直状(例えばテーパー状)であっても良い。
【0110】
遮光部3の材料としては、遮光処理された材料であれば特に限定されない。上記材料としては、樹脂材料又は非樹脂材料を用いることができる。樹脂材料としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニルスルホン樹脂等を用いることができる。非樹脂材料としては、金属材料、ガラス材料等の無機材料が挙げられる。上記材料の遮光処理に用いる方法としては、上記材料に黒色の着色剤又はカーボンブラックやチタンブラック等の黒色粉末を混合する方法、上記材料の表面を黒色塗料により着色する方法、上記材料を黒色被膜により被覆する方法等が挙げられる。
【0111】
遮光部3は、レンズ部1及び/又は非レンズ部2と接着するために、接着剤を有していても良い。上記接着剤は非硬化型であっても良く、硬化型であっても良い。上記接着剤が硬化型である場合、熱硬化型であっても良く、光硬化型(紫外線や電子線等の活性エネルギー線による硬化型)であっても良い。
【0112】
接着剤を有する遮光部3を得るためには、例えば、市販の接着テープを用いることができる。上記市販の接着テープ自体が遮光性を有する場合は、そのまま遮光部3(接着剤を有する遮光部3)として用いることができる。上記市販の接着テープが遮光性を有しない場合は、上記遮光処理を行うことにより、遮光部3(接着剤を有する遮光部3)とすることができる。上記接着テープとしては、特に限定されないが、ダイシングテープ、ダイボンディングテープ、半導体チップ保護テープ等を用いても良い。市販の接着テープとしては、例えば、リンテック(株)製のDシリーズ、Gシリーズ、LEテープ、LDテープ、LCテープ、Eシリーズ、Pシリーズ、Lシリーズ等;日立化成工業(株)製のHAE−1500シリーズ、HAE−1600シリーズ等;電気化学工業(株)製のダイシングテープ(スタンダードタイプ、UVタイプ等);日東電工(株)製のダイシングテープ(Vシリーズ、UEシリーズ、DU−300、DU−2187G、NBD−5000シリーズ、NBD−7000シリーズ、NBD−3190K等);古河電工(株)製のダイシングテープ(SPシリーズ、UCシリーズ、FCシリーズ);住友ベークライト(株)製のスミライトFSL等が挙げられる。
【0113】
遮光部3は、レンズ部1及び/又は非レンズ部2と接着するために、接着剤を保持する接着部位3kを有していても良い。上記接着部位3kは、接着剤を保持することができるように、一例として
図5のb)に示すような凹部であっても良く、又は貫通孔であっても良い。上記接着部位3kが凹部又は貫通孔である場合、接着剤が上記凹部又は上記貫通部に保持される結果、接着剤がレンズ部1の領域にはみ出ることによる光学性能の劣化を防止することができる。また、遮光部3とレンズ部1及び/又は非レンズ部2との間に接着層を設ける必要がないため、ウェハレンズアレイ(A)やウェハレンズ(B)をより薄型にすることが容易となる。更に、上記接着層の厚みの不均一によるウェハレンズアレイ(A)やウェハレンズ(B)の厚みの不均一を防止することも可能となる。
【0114】
本発明のウェハレンズアレイ(ウェハレンズアレイ(A))及び本発明のウェハレンズ(ウェハレンズ(B))を製造する方法は、特に限定されず、周知慣用の手段を利用して実施できる。例えば、ウェハレンズアレイ(A)及びウェハレンズ(B)におけるレンズ部1及び非レンズ部2を硬化性樹脂材料(特に、本発明の硬化性樹脂材料)を用いて形成する場合には、ウェハレンズアレイ(A)及びウェハレンズ(B)は、レンズ部及び非レンズ部の成形工程と、レンズ部及び/又は非レンズ部への遮光部の装着工程と、を必須の工程として含む製造方法によって、製造することができる。
【0115】
[レンズ部及び非レンズ部の成形工程]
以下、ウェハレンズアレイ(A)又はウェハレンズ(B)を構成するレンズ部1及び非レンズ部2の成形工程の一例を示す。なお、本発明におけるレンズ部1及び非レンズ部2の成形工程はこれに限られるものではない。
【0116】
硬化性樹脂材料を硬化して成形することにより、ウェハレンズアレイ(A)又はウェハレンズ(B)を構成するレンズ部1及び非レンズ部2が得られる。具体的には、ウェハレンズアレイ(A)又はウェハレンズ(B)を構成するレンズ部1及び非レンズ部2は、硬化性樹脂材料をキャスティング成形又は射出成形することにより得られる。
【0117】
なお、ウェハレンズアレイ(A)又はウェハレンズ(B)を構成するレンズ部1及び非レンズ部2の成形に用いる金型(以下、「ウェハレンズ成形用型」と呼ぶことがある。)の材質は特に限定されず、例えば、金属、ガラス、プラスチック等のいずれであっても良い。
【0118】
(キャスティング成形法)
上記キャスティング成形法としては、例えば、下記の工程1a〜工程3aを含む方法が挙げられる。
工程1a:ウェハレンズアレイ(A)又はウェハレンズ(B)を構成するレンズ部1及び非レンズ部2を形成するための型を有するウェハレンズ成形用型を準備する工程
工程2a:工程1aの後、硬化性樹脂材料を上記ウェハレンズ成形用型に接触させる工程
工程3a:工程2aの後、硬化性樹脂材料を加熱及び/又は光照射により硬化させる工程
【0119】
硬化性樹脂材料の硬化は、加熱及び/又は光照射により行われる(工程3a)。加熱を行う場合、その温度としては、硬化反応に供する成分や触媒の種類等に応じて適宜調整することができ、特に限定されないが、100〜200℃が好ましく、より好ましくは120〜160℃程度である。光照射を行う場合、その光源としては、例えば、水銀ランプ、キセノンランプ、カーボンアークランプ、メタルハライドランプ、太陽光、電子線源、レーザー光源等を使用することができる。また、光照射後、例えば、50〜180℃程度の温度で加熱して更に硬化反応を進行させても良い。
【0120】
上記キャスティング成形法は、工程3aの後、更に、下記の工程4aを含んでも良い。
工程4a:硬化した硬化性樹脂材料(即ち、硬化物)をアニール処理する工程
【0121】
上記アニール処理は、特に限定されないが、例えば、100〜200℃の温度で30分〜1時間程度加熱することにより行われる。なお、アニール処理は、ウェハレンズ成形用型を外してから実施することもできるし、外すことなく実施することもできる。
【0122】
(射出成形法)
上記射出成形法としては、例えば、下記の工程1b〜工程3bを含む方法が挙げられる。
工程1b:ウェハレンズアレイ(A)又はウェハレンズ(B)を構成するレンズ部1及び非レンズ部2を形成するための型を有するウェハレンズ成形用型を準備する工程
工程2b:工程1bの後、硬化性樹脂材料を上記ウェハレンズ成形用型に射出する工程
工程3b:工程2bの後、硬化性樹脂材料を加熱及び/又は光照射により硬化させる工程
【0123】
上記射出成形法における硬化性樹脂材料の硬化は、加熱処理及び/又は光照射により行われ、より具体的には、上述のキャスティング成形法における硬化と同様に実施できる。
【0124】
上記射出成形法は、工程3bの後、更に、下記の工程4bを含んでも良い。
工程4b:硬化した硬化性樹脂材料(即ち、硬化物)をアニール処理する工程
【0125】
上記アニール処理は、特に限定されないが、例えば、100〜200℃の温度で30分〜1時間程度加熱することにより行われる。なお、アニール処理は、ウェハレンズ成形用型を外してから実施することもできるし、外すことなく実施することもできる。
【0126】
上記キャスティング成形法及び上記射出成形法では、硬化性樹脂材料は低粘度で流動性に優れることが、ウェハレンズ成形用型への充填性に優れる点で好ましい。上記キャスティング成形法及び上記射出成形法において使用される硬化性樹脂材料の25℃における粘度としては、特に限定されないが、3600mPa・s以下が好ましく、2500mPa・s以下がより好ましく、2000mPa・s以下が更に好ましく、1500mPa・s以下が特に好ましい。硬化性樹脂材料の粘度を上記範囲に調整することにより、流動性が向上し、気泡が残存し難くなり、ウェハレンズ成型用型への充填圧力の上昇を抑制することができるため、塗布性及び充填性が良好となり、上記キャスティング成形及び上記射出成形の作業性を向上させることができる。
【0127】
上記キャスティング成型法及び上記射出成形法では、得られる硬化性樹脂材料の硬化物は、100〜200℃程度の高温環境下でも優れた耐熱性を有し、形状保持性に優れることが好ましい。それにより、上記硬化物をウェハレンズ成形用型から外した後にアニール処理を施しても、優れたレンズ部1の中心位置精度を有するウェハレンズアレイ(A)又はウェハレンズ(B)を効率よく製造することができる。レンズ部1の中心位置精度としては、レンズ部1の中心位置のズレが、例えば、±2μm以下程度が好ましく、±1μm以下程度がより好ましい。
【0128】
また、本発明の硬化性樹脂材料の硬化物は、高温環境下でも優れた形状保持性を有するため、工程4a及び工程4bのようにアニール処理を施してもレンズピッチにズレを生じることがなく、後述するウェハレンズアレイ又はウェハレンズアレイ積層体の切断工程において、ウェハレンズアレイ又はウェハレンズアレイ積層体を精度良く且つ破損することなく切断することができる。
【0129】
以上の成形工程により、ウェハレンズアレイ(A)又はウェハレンズ(B)を構成するレンズ部1及び非レンズ部2が得られる。
【0130】
なお、ウェハレンズアレイ積層体(C)又はウェハレンズ積層体(D)を製造する場合、ウェハレンズアレイ(A)以外のウェハレンズアレイ、又はウェハレンズ(B)以外のウェハレンズの成形は、上述のウェハレンズアレイ(A)又はウェハレンズ(B)を構成するレンズ部1及び非レンズ部2の成形と同様に行うことができる。
【0131】
[遮光部の装着工程]
上述の成形工程で得られたレンズ部1及び非レンズ部2におけるレンズ部1及び/又は非レンズ部2(レンズ部1及び非レンズ部2のいずれか一方又は両方)に対して、遮光部3を装着することによって、ウェハレンズアレイ(A)又はウェハレンズ(B)が得られる。以下、レンズ部1及び/又は非レンズ部2に対する遮光部3の装着工程の一例を示す。なお、本発明はこれに限られるものではない。
【0132】
上記成形工程にて得られたウェハレンズアレイ(A)を構成するレンズ部1及び/又は非レンズ部2(以下、当該[遮光部の装着工程]の項において、「ウェハレンズアレイ」と称する場合がある)に遮光部3を装着するために、工程3a若しくは工程4a、又は、工程3b若しくは工程4bの後、更に、下記の工程5を含む。
工程5a:ウェハレンズアレイに遮光部3を装着してウェハレンズアレイ(A)を得る工程
【0133】
工程5aでは、まず、工程3a若しくは工程4a又は工程3b若しくは工程4bで得られたウェハレンズアレイを1枚、並びに、別途製造した遮光部3を1〜2枚準備する。上記ウェハレンズアレイの片面のみに遮光部3を装着する場合、遮光部3を1枚準備し、上記ウェハレンズアレイの両面に遮光部3を装着する場合、遮光部3を2枚準備する。
【0134】
次に、上記ウェハレンズアレイに遮光部3を装着する。その際、上記ウェハレンズアレイが有する複数のレンズ部1の中心が各々、遮光部3が有する上記各レンズ部1に該当する複数の開口部の中心と一致するように位置合わせを行う。位置合わせは、アライメントマークを用いたり、ウェハレンズアレイと遮光部3に各々嵌合できるような凹凸部を設けるたりする他、公知乃至慣用の方法により行うことができる。
【0135】
なお、上記ウェハレンズアレイに遮光部3を装着する際、上記ウェハレンズアレイと遮光部3の間は、公知乃至慣用の接着手段により接合されていても良いし、接合されていなくても良い。遮光部3が、上記ウェハレンズアレイのレンズ部1及び/又は非レンズ部2と接着するための接着剤を保持する接着部位を有している場合、上記ウェハレンズアレイに遮光部3を装着するに先立って、上記接着部位に接着剤を保持させてから装着する。
【0136】
また上記ウェハレンズアレイに遮光部3を装着する際、上記ウェハレンズアレイと遮光部3の間には、スペーサーを介在させても良いし、スペーサーを介在させず、上記ウェハレンズアレイと遮光部3が直接接合されていても良い。
【0137】
一方、上記成形工程にて得られたものがウェハレンズ(B)を構成するレンズ部1及び非レンズ部2(以下、当該[遮光部の装着工程]の項において、「ウェハレンズ」と称する場合がある)である場合、上記ウェハレンズに遮光部3を装着するために、工程3a若しくは工程4a、又は、工程3b若しくは工程4bの後、更に、下記の工程5bを含む。
工程5b:ウェハレンズに遮光部3を装着してウェハレンズ(B)を得る工程
【0138】
工程5bでは、まず、工程3a若しくは工程4a又は工程3b若しくは工程4bで得られたウェハレンズを1枚、並びに、別途製造した遮光部3を1〜2枚準備する。上記ウェハレンズの片面のみに遮光部3を装着する場合、遮光部3を1枚準備し、上記ウェハレンズの両面に遮光部3を装着する場合、遮光部3を2枚準備する。
【0139】
なお、工程5bにおいて、上記ウェハレンズと遮光部3の位置合わせ、接合、スペーサーの介在等については、工程5aの場合と同様の要領で行う。
【0140】
以上の装着工程により、ウェハレンズアレイ(A)又はウェハレンズ(B)が得られる。
【0141】
本発明のウェハレンズアレイ積層体(ウェハレンズアレイ積層体(C))及び本発明のウェハレンズ積層体(ウェハレンズ積層体(D))を製造する方法は、特に限定されず、周知慣用の手段を利用して実施できる。ウェハレンズアレイ積層体(C)は、例えば、工程3a(又は、工程3a及び工程4a)によりレンズ部1及び非レンズ部2(ウェハレンズアレイ)を得、次いで、下記の工程6cにより該ウェハレンズアレイを含む複数のウェハレンズアレイを積層し、その後、工程5aにより工程6cで得られた積層体におけるレンズ部1及び/又は非レンズ部2に遮光部3を装着してウェハレンズアレイ(A)とすることによって、製造できる。また、ウェハレンズアレイ積層体(C)は、例えば、工程3a(又は、工程3a及び工程4a)並びに工程5aによりウェハレンズアレイ(A)を得た後、下記の工程6cにより該ウェハレンズアレイ(A)を含む複数のウェハレンズアレイを積層することによっても、製造できる。一方、ウェハレンズ積層体(D)も同様であるが、例えば、工程3b(又は、工程3b及び工程4b)によりレンズ部1及び非レンズ部2(ウェハレンズ)を得、次いで、下記の工程6dにより該ウェハレンズを含む複数のウェハレンズを積層し、その後、工程5bにより工程6dで得られた積層体におけるレンズ部1及び/又は非レンズ部2に遮光部3を装着してウェハレンズ(B)とすることによって、製造できる。また、ウェハレンズ積層体(D)は、例えば、工程3b(又は、工程3b及び工程4b)並びに工程5bによりウェハレンズ(B)を得た後、下記の工程6dにより該ウェハレンズ(B)を含む複数のウェハレンズを積層することによっても、製造できる。これらの製造方法は各々、さらにその他の工程を含んでいてもよい。
【0142】
[ウェハレンズアレイ又はウェハレンズの積層工程]
以下、ウェハレンズアレイ又はウェハレンズの積層工程の一例を示す。なお、本発明はこれに限られるものではない。
【0143】
ウェハレンズアレイ積層体(C)を製造する場合、工程3a若しくは工程4a、又は、工程3b若しくは工程4b、又は、工程5aの後、更に、下記の工程6cを実施することが好ましい。
工程6c:複数のウェハレンズアレイを積層する工程
【0144】
なお、工程6cは、上述の例のように、工程5aの前(特に直前)に行うこともできるし、工程5aの後(特に直後)に行うこともできる。
【0145】
工程6cでは、まず、複数のウェハレンズアレイを準備する。複数のウェハレンズアレイの内、少なくとも1枚はウェハレンズアレイ(A)、又は、これを構成するレンズ部1及び非レンズ部2(ウェハレンズアレイ)、である。ウェハレンズアレイの枚数は、特に限定されないが、例えば2〜5枚(特に2〜3枚)である。ウェハレンズアレイの枚数をこの範囲とすることにより、レンズモジュールの小型化、軽量化、薄型化を実現しつつ、優れた解像度を有するレンズモジュールを得ることができる。
【0146】
上記複数のウェハレンズアレイがいずれも硬化性樹脂材料を用いて得られたものである場合、これらは全て同じ硬化性樹脂材料により成形されたものであっても良く、相互に異なる硬化性樹脂材料により成形されたものであっても良い。また、上記複数のウェハレンズアレイは、全て同じ屈折率を有する硬化物からなるものであっても良く、相互に異なる屈折率を有する硬化物からなるものであっても良い。更に、上記複数のウェハレンズアレイは、全て同じアッベ数を有する硬化物からなるものであっても良く、相互に異なるアッベ数を有する硬化物からなるものであっても良い。更にまた、上記複数のウェハレンズアレイは、全て同じ形状であっても良く、相互に異なる形状であっても良い。
【0147】
次に、複数のウェハレンズアレイを積層する。ウェハレンズアレイ(A)(又はこれを構成するレンズ部1及び非レンズ部2)が最下層となるように積層する場合、ウェハレンズアレイ積層体(C)におけるウェハレンズアレイ(A)の遮光部3が下方となるように配置し、他のウェハレンズアレイは、ウェハレンズアレイ(A)の遮光部3を有する面とは反対側の面に順次積層される。ウェハレンズアレイ(A)が両面に遮光部3を有する場合、いずれの面が下方となるように配置しても良い。遮光部3のいずれか一方が絞りである場合、絞りとなる遮光面3を有する面を下方となるように配置する。
【0148】
複数のウェハレンズアレイを積層する際、各ウェハレンズアレイが有する複数のレンズ部の中心が各々、上層及び下層のウェハレンズアレイの該当するレンズ部の中心と一致するように位置合わせ(以下、「調芯」と呼ぶ場合がある。)を行う。調芯は、アライメントマークを用いたり、上下のウェハレンズアレイに各々嵌合できるような凹凸部を設けたり、MTF(Modulation transfer function、変調伝達関数)等の光学特性を最適化する他、公知乃至慣用の方法により行うことができる。
【0149】
なお、複数のウェハレンズアレイを積層する際、各ウェハレンズアレイの間は、公知乃至慣用の接着手段により接合されていても良いし、接合されていなくても良い。
【0150】
また、複数のウェハレンズアレイを積層する際、各ウェハレンズアレイの間には、スペーサーを介在させても良いし、スペーサーを介在させず、各ウェハレンズアレイが相互に直接接合されていても良い。
【0151】
ウェハレンズ積層体(D)を製造する場合、工程3a若しくは工程4a、又は、工程3b若しくは工程4b、又は、工程5bの後、更に、下記の工程6dを実施することが好ましい。
工程6d:複数のウェハレンズを積層する工程
【0152】
なお、工程6dは、上述の例のように、工程5bの前(特に直前)に行うこともできるし、工程5bの後(特に直後)に行うこともできる。
【0153】
工程6dでは、まず、複数のウェハレンズを準備する。複数のウェハレンズの内、少なくとも1枚はウェハレンズ(B)、又は、これを構成するレンズ部1及び非レンズ部2(ウェハレンズ)、である。ウェハレンズの枚数は、特に限定されないが、例えば2〜5枚(特に2〜3枚)である。ウェハレンズの枚数をこの範囲とすることにより、レンズモジュールの小型化、軽量化、薄型化を実現しつつ、優れた解像度を有するレンズモジュールを得ることができる。
【0154】
上記複数のウェハレンズがいずれも硬化性樹脂材料を用いて得られたものである場合、これらは、全て同じ硬化性樹脂材料により成形されたものであっても良く、相互に異なる硬化性樹脂材料により成形されたものであっても良い。また、上記複数のウェハレンズは、全て同じ屈折率を有する硬化物からなるものであっても良く、相互に異なる屈折率を有する硬化物からなるものであっても良い。更に、上記複数のウェハレンズは、全て同じアッベ数を有する硬化物からなるものであっても良く、相互に異なるアッベ数を有する硬化物からなるものであっても良い。更にまた、上記複数のウェハレンズは、全て同じ形状であっても良く、相互に異なる形状であっても良い。
【0155】
なお、工程6dにおいて、複数のウェハレンズの配置、調芯、接合、スペーサーの介在等については、工程6cの場合と同様の要領で行う。
【0156】
以上の積層工程を含む方法により、ウェハレンズアレイ積層体(C)又はウェハレンズ積層体(D)が得られる。
【0157】
ウェハレンズ(B)又はウェハレンズ積層体(D)を製造する方法としては、上述の方法のほか、例えば、ウェハレンズアレイ(A)又はウェハレンズアレイ積層体(C)の切断工程を必須の工程として含む製造方法も挙げられる。即ち、ウェハレンズ(B)は、ウェハレンズアレイ(A)を切断することによっても得られ、ウェハレンズ積層体(D)は、ウェハレンズアレイ積層体(C)を切断することによっても得られる。
【0158】
[ウェハレンズアレイ又はウェハレンズアレイ積層体の切断工程]
以下、ウェハレンズアレイ(A)又はウェハレンズアレイ積層体(C)の切断工程の一例を示す。なお、本発明はこれに限られるものではない。
【0159】
ウェハレンズ(B)を製造する場合、工程5aの後、更に、下記の工程7bを含む。
工程7b:工程5aで得られたウェハレンズアレイ(A)を切断する工程
【0160】
図6には、ダイシングテープ9に戴置されたウェハレンズの一例を示す。従来のウェハレンズアレイの切断工程においては、
図6のa)に示すように、ダイシングテープ上にウェハレンズアレイを戴置して固定してから切断する工程が採用されているが、ダイシングテープの接着剤とウェハレンズアレイのレンズ部1が接触するため、
図7のb)に示すように、レンズ部1の表面が接着剤により汚染されることが避けられない。多くの場合、レンズ部1の表面に残存した接着剤は、溶剤等で洗浄しても除去することが困難であり、ウェハレンズの光学特性を低下させる原因となっていた。
【0161】
一方、本発明におけるウェハレンズアレイ(A)の切断工程においては、
図6のb)に示すように、ウェハレンズアレイ(A)の遮光部3が装着された面をダイシングテープ上に固定してから切断する。遮光部3がスペーサーの役割を兼ねるため、ダイシングテープの接着剤とレンズ部1が接触することがなく、
図7のc)に示すように、レンズ部1の表面が接着剤により汚染されることを防止することができる。その結果、ウェハレンズアレイ(A)の切断により得られるウェハレンズ(B)の光学特性の低下を防止することができる。
【0162】
なお、本発明においては、上記切断工程の後、スペーサーを剥離する工程を設ける必要がなく、スペーサーとして使用した部材がそのまま遮光部3として用いられる。また、遮光部3が「絞り」である場合、切断工程により得られるウェハレンズ又はウェハレンズ積層体の個々に対して「絞り」を装着する必要がなく、最初から「絞り」が装着されたウェハレンズ又はウェハレンズ積層体を一気に得ることができる。以上より、ウェハレンズ(B)及びウェハレンズ積層体(D)は、ウェハレンズ又はウェハレンズ積層体の製造効率化に極めて大きく寄与する構造特性を有すると言える。
【0163】
上記切断工程により、ウェハレンズアレイ(A)の非レンズ部2及び遮光部3が同時に切断され、レンズ部1、非レンズ部2、及び遮光部3を備えた複数のウェハレンズ(B)を得ることができる。
【0164】
なお、切断ラインは、ウェハレンズアレイ(A)を平面視した場合、曲線状であっても良く、直線状であっても良い。上記切断ラインの形状は、切断工程の効率を考慮した場合、直線状であることが好ましい。上記切断ラインが直線状である場合、得られるウェハレンズ(B)の形状は、ウェハレンズ(B)を平面視した場合、多角形状となる。上記多角形状は、切断工程の効率を考慮した場合、四角形状であることが好ましい。
【0165】
工程7bにおけるウェハレンズアレイ(A)の切断は、公知乃至慣用の加工手段等により実施しても良い。なお、工程5bによりウェハレンズ(B)を直接得る場合、工程7bは不要である。
【0166】
ウェハレンズ積層体(D)を製造する場合、工程6c又は工程5aの後、更に、下記の工程7dを含む。
工程7d:工程6c又は工程5aで得られたウェハレンズアレイ積層体(C)を切断する工程
【0167】
ウェハレンズアレイ積層体(C)の切断は、工程7bと同様の要領で行う。上記切断工程により、ウェハレンズアレイ積層体(C)を構成する複数のウェハレンズアレイ各々が有する非レンズ部2及び遮光部3が同時に切断され、レンズ部1、非レンズ部2、及び遮光部3を備えた複数のウェハレンズ積層体(D)を得ることができる。
【0168】
なお、工程6dによりウェハレンズ積層体(D)を直接得る場合、工程7dは不要である。
【0169】
また、工程7b又は工程7dに用いられるダイシングテープ9としては、上記にて遮光部用として例示した市販の接着テープを用いることができる。接着テープに用いられる接着剤は非硬化型であっても良く、硬化型であっても良い。上記接着剤が硬化型である場合、熱硬化型であっても良く、光硬化型(紫外線や電子線等の活性エネルギー線による硬化型)であっても良い。上記接着剤が硬化型である場合、工程7b又は工程7dの後、加熱又は光照射することにより上記接着剤が固化するため、得られたウェハレンズ(B)又はウェハレンズ積層体(D)をダイシングテープ9から剥離することが容易となる。
【0170】
[レンズモジュール]
ウェハレンズ(B)又はウェハレンズ積層体(D)を用いて、レンズモジュール(ウェハレンズ(B)又はウェハレンズ積層体(D)を少なくとも備えるレンズモジュール;「本発明のレンズモジュール」と称する場合がある)を得ることができる。以下、本発明のレンズモジュールの構成を例示する。また、
図8には、レンズモジュールの構成の一例を示す。なお、本発明はこれに限られるものではない。
【0171】
ウェハレンズ(B)又はウェハレンズ積層体(D)をそのままレンズモジュールとして用いても良い。また、ウェハレンズ(B)又はウェハレンズ積層体(D)の非レンズ部等に更に遮光処理等を施した上でレンズモジュールとして用いても良く、ウェハレンズ(B)又はウェハレンズ積層体(D)を筒状部材に装着した状態(以下、「バレル」と呼ぶことがある)でレンズモジュールとして用いても良い。
【0172】
ウェハレンズ(B)が最も外側に位置するウェハレンズであるウェハレンズ積層体(D)をバレルとする場合、ウェハレンズ積層体(D)のウェハレンズ(B)が存在する側が被写体側となるように、ウェハレンズ積層体(D)を筒状部材に装着する。
【0173】
ウェハレンズ(B)又はウェハレンズ積層体(D)をバレルとする場合であって、ウェハレンズ(B)やウェハレンズ積層体(D)が絞りを有する場合、ウェハレンズ(B)又はウェハレンズ積層体(D)の絞りが存在する側が被写体側となるように、ウェハレンズ(B)又はウェハレンズ積層体(D)を筒状部材に装着する。この場合、筒状部材は、絞りを有していても良く、有していなくても良い。
【0174】
バレルの構成としては、例えば
図8のa)や
図8のb)に示すような構成が挙げられる。
図8のa)の場合、ウェハレンズ(B)又はウェハレンズ積層体(D)は絞りを有するため、その絞りが存在する側が被写体側となるように筒状部材に装着されていれば、筒状部材に絞りは不要である。また、ウェハレンズ(B)又はウェハレンズ積層体(D)は、被写体側とは反対側(センサーモジュール側)にて筒状部材に固定されていても良く、
図8のa)の場合、筒状部材の有する突起部分が、ウェハレンズ(B)又はウェハレンズ積層体(D)の被写体側とは反対側の位置にて当接されることにより固定されている。ウェハレンズ(B)又はウェハレンズ積層体(D)に対して筒状部材の有する突起部分が当接する位置は、レンズ部分であっても良く、レンズ部分以外であっても良い。
図8のb)の場合、ウェハレンズ(B)又はウェハレンズ積層体(D)は絞りを有さないため、筒状部材に絞りが存在する。
図8のb)の場合、ウェハレンズ(B)又はウェハレンズ積層体(D)は、筒状部材と被写体側又はセンサーモジュール側(結像側)のいずれの側で固定されていても良い。
【0175】
バレルをレンズモジュールとする場合、筒状部材としては、公知乃至慣用のものを用いることができる。筒状部材の内周形状は、ウェハレンズ(B)又はウェハレンズ積層体(D)の外周形状と一致していても良いし、一致しなくても良い。また、筒状部材の内周と、ウェハレンズ(B)又はウェハレンズ積層体(D)の外周との間に隙間が存在する場合、当該隙間にはスペーサー、遮光材料、緩衝材料等が装填されていても良い。更に、筒状部材の内壁には、ウェハレンズ(B)又はウェハレンズ積層体(D)を固定するための部材(突起部分等)が存在していても良い。
【0176】
本発明のレンズモジュールの用途としては、特に限定されないが、例えば、パソコン用カメラ、携帯電話用カメラ、スマートフォン用カメラ、タブレット端末用カメラ、モバイル装置用カメラ、デジタルカメラ、車載カメラ、監視カメラ等の各種光学装置におけるカメラに搭載されるレンズ、医療機器等に搭載されるレーザー用光集光又は光拡散レンズ、太陽光発電装置等に搭載されるや太陽光用光集光又は光拡散レンズ等、各種レンズが挙げられる。
【0177】
[光学装置]
本発明のレンズモジュールを用いて、光学装置(本発明のレンズモジュールを少なくとも備える光学装置;「本発明の光学装置」と称する場合がある)を得ることができる。本発明の光学装置としては、上述のように、デジタルカメラ、車載カメラ、監視カメラ等の各種光学装置が挙げられる。
【0178】
[撮像モジュール]
本発明のレンズモジュールを用いて、撮像モジュール(「本発明の撮像モジュール」と称する場合がある)を得ることができる。以下、本発明の撮像モジュールの構成を例示する。なお、本発明はこれに限られるものではない。
【0179】
本発明の撮像モジュールは、上記レンズモジュール(本発明のレンズモジュール)と、センサーモジュールとを少なくとも備える。被写体の像は、レンズモジュールのレンズ部を介して、センサーモジュールの有するCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal−Oxide Semiconductor)等の固体撮像素子に結像される。
【0180】
本発明の撮像モジュールにおいては、本発明のレンズモジュールのレンズ部がセンサーモジュールと接触するのを回避するために、レンズ部と固体撮像素子の間にスペーサーを設けても良い。上記スペーサーは、固体撮像素子を取り囲むように設けても良く、固体撮像素子の周囲における任意の3箇所乃至4箇所に柱状に設けても良い。
【0181】
[撮像装置]
本発明の撮像モジュールを用いて、撮像装置(本発明の撮像モジュールを少なくとも備える撮像装置;「本発明の撮像装置」と称する場合がある)を得ることができる。以下、本発明の撮像装置の構成を例示する。なお、本発明はこれに限られるものではない。
【0182】
本発明の撮像モジュールは、回路基板に実装され、撮像装置に組み込まれる。回路基板への実装としては、製造効率を向上させるために、リフロー実装であることが好ましい。
【0183】
上記リフロー実装の方法としては、例えば、下記の工程11〜13を含む方法が挙げられる。
工程11:撮像モジュールが実装される位置にハンダが付与された回路基板を準備する工程
工程12:回路基板上のハンダが付与された位置に撮像モジュールを載置する工程
工程13:撮像モジュールが載置された回路基板を加熱処理する工程
【0184】
工程11において、ハンダを回路基板に付与する方法としては、特に限定されないが、例えば、回路基板にハンダを印刷する方法が挙げられる。
【0185】
工程13において、回路基板を加熱処理する方法としては、特に限定されないが、回路基板を加熱炉の中に一定時間放置する方法、回路基板を熱風に晒す方法、回路基板に赤外線を照射する方法等が挙げられる。なお、本発明の硬化性樹脂材料を用いたウェハレンズ(B)又はウェハレンズ積層体(D)は、高い耐熱性を有するため、工程13のような加熱工程を有するリフロー実装に好適である。
【0186】
本発明の撮像装置は、特に限定されないが、例えば、パソコン用カメラ、携帯電話用カメラ、スマートフォン用カメラ、タブレット端末用カメラ、モバイル装置用カメラ、デジタルカメラ、車載カメラ、監視カメラ、医療機器用カメラ等の各種光学装置におけるカメラ等の撮像装置として使用できる。