(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6373330
(24)【登録日】2018年7月27日
(45)【発行日】2018年8月15日
(54)【発明の名称】波力発電機構
(51)【国際特許分類】
F03B 13/24 20060101AFI20180806BHJP
【FI】
F03B13/24
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-227159(P2016-227159)
(22)【出願日】2016年11月22日
(62)【分割の表示】特願2012-173364(P2012-173364)の分割
【原出願日】2012年7月17日
(65)【公開番号】特開2017-36738(P2017-36738A)
(43)【公開日】2017年2月16日
【審査請求日】2016年12月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】391060524
【氏名又は名称】有限会社手島通商
(74)【代理人】
【識別番号】100092864
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 京子
(72)【発明者】
【氏名】手島 浩光
【審査官】
新井 浩士
(56)【参考文献】
【文献】
特表2003−525393(JP,A)
【文献】
実開昭58−116770(JP,U)
【文献】
特開平03−179170(JP,A)
【文献】
英国特許出願公開第02454167(GB,A)
【文献】
実開平01−102483(JP,U)
【文献】
実開平06−008767(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03B 13/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正面に配置した開口部である波導入口から上面、両側面、底面が開口中心を通る水平線上の奥方向に向かって急激に狭くなる漏斗状の構造で前記底面が奥方向に向かって高くなるように傾斜するとともに、前記波導入口において、底面のみにその前端縁に沿って波導入板が設けられ、前記波導入板が前記底面の傾斜よりも急傾斜の角度で斜め下前方に向けて連設されている波導入箱と、前記波導入箱における奥端に上向きに連結した先端にノズル状の圧縮空気噴出口を有する圧縮空気通気管と、前記圧縮空気噴出口に距離をおいて配置された羽根を有する羽根風車と、前記羽根風車の回転力で回転して発電する発電機とからなる波力発電機構であって、洋上の波を前記波導入口から導入可能に前記波導入箱を洋上に設置し、前記波導入箱内に導入される洋上の押し寄せる波が、前記急傾斜の波導入板を介して前記波導入口より深い下方から前記波導入板よりも緩傾斜である前記波導入箱の底面の傾斜に導入されることによって恰も自然界海岸の浜辺において打ち寄せる波のように段波を形成、波打ちが発生し、高速高圧の流れとなって前記波導入箱内で蓋をするように奥端へ押し寄せ、さらに前記波が前記奥端に押し寄せる度に前記波導入箱内の空気を圧縮して押し込むことで圧縮空気が前記圧縮空気通気管に吹き込み、圧縮空気噴出口から噴出して羽根風車を一定方向に回し続けて発電することを特徴とする波力発電機構。
【請求項2】
前記波導入箱の両側に浮きを取り付けるとともに、前記波導入箱を洋上の所定位置に保持する保持手段に上下移動可能に取り付けられることで、潮位に応じて前記波導入箱が上下動することを特徴とする請求項1記載の波力発電機構。
【請求項3】
前記先端に圧縮空気噴出口を備えた圧縮空気通気管を連結した波導入箱を幅方向に複数配置して、幅方向に並列する複数の圧縮空気通気管の圧縮空気噴出口から噴射する圧縮空気を、回転軸から外方に向けて放射状に延びる複数の羽根を回転軸の周囲に有するドラム式羽根風車であって前記回転軸を前記波導入箱の幅方向に向けて配置されている一つの羽根風車の羽根に噴出させて、波の大小、潮位に左右されることなく押し寄せる波が存在する限り、常時、前記羽根風車を一定方向に回転させて常時発電することを特徴とする請求項1または2記載の波力発電機構。
【請求項4】
前記先端に圧縮空気噴出口を備えた圧縮空気通気管を連結した波導入箱の位置を高さ方向に固定して複数配置し、波が導入される波導入箱が潮位、波の高さに応じて変化することを特徴とする請求項1記載の波力発電機構。
【請求項5】
前記高さ方向に複数配置した前記波導入箱において上方に配置された波導入箱の波導入口が、前記上方に設置された波導入箱の波導入口より下方に配置された波導入箱の波導入口よりも奥方向に位置し、且つ前記上側に位置する波導入箱の前記波導入板の下端がその下側に位置する波導入箱の上面の開口端に連接して配置されていることを特徴とする請求項4記載の波力発電機構。
【請求項6】
前記高さ方向に複数配置した前記波導入箱の奥行方向に並列する複数の圧縮空気通気管の圧縮空気噴出口から噴射する圧縮空気を、回転軸から外方に向けて放射状に延びる複数の羽根を回転軸の周囲に有するドラム式羽根風車であって前記回転軸を前記波導入箱の幅方向に向けて配置されている一つの羽根風車の羽根に噴出させて、波の大小、潮位に左右されることなく押し寄せる波が存在する限り、常時、前記羽根風車を一定方向に回転させて常時発電することを特徴とする請求項4または5記載の波力発電機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洋上に設置して押し寄せる波の力により圧縮空気を発生させ、この圧縮空気の噴射で羽根風車を回転させることにより発電機を駆動させて発電する波力発電機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
世界中で今やエネルギー問題は不足・枯渇の懸念のみならず、極限の危険と背中合わせの重大な局面に立たされていることが現実である。原子力に頼るだけでなく、自然の力をありのまま有効に利用できる方策を考案して、全域で安全エネルギー社会を実現すべきであると思われるが、まだまだ、自然の理想的利用が十分行われていないのが実情である。
【0003】
従来、多様な自然活用を含め、風力、潮流、波動、地熱、水力、火力、太陽光、原子力など多方面のエネルギーの源から電力供給につなげる技術力は驚異的な発展進歩がみられるも、反面その裏に付加されたデメリットが大きな問題となり、自然現象利用は大きく遅れているのも事実であるところ、これからは海洋有効利用が大切であると考える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、従来の諸々の発電機構のような複雑・高価・不安定などの問題点も少なく、自然界の波の力を簡素かつ有効に利用して持続安定発電を可能とする波力発電機構を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するためになされた本発明は、正面に配置した開口部である波導入口から上面、両側面、底面が開口中心を通る水平線上の奥方向に向かって急激に狭くなる漏斗状の構造で前記底面が奥方向に向かって高くなるように傾斜するとともに、前記波導入口
において、底面
のみにその前端縁に沿って波導入板が
設けられ、
前記波導入板が前記底面の傾斜よりも急傾斜の角度で斜め下前方に向けて連設されている波導入箱と、前記波導入箱における奥端に上向きに連結した先端にノズル状の圧縮空気噴出口を有する圧縮空気通気管と、前記圧縮空気噴出口に距離をおいて配置された羽根を有する羽根風車と、前記羽根風車の回転力で回転して発電する発電機とからなる波力発電機構であって、洋上の波を前記波導入口から導入可能に前記波導入箱を洋上に設置し、前記波導入箱内に導入される洋上の押し寄せる波が、前記急傾斜の波導入板を介して前記波導入口より深い下方から前記波導入板よりも緩傾斜である前記波導入箱の底面の傾斜に導入されることによって恰も自然界海岸の浜辺において打ち寄せる波のように段波を形成、波打ちが発生し、高速高圧の流れとなって前記波導入箱内で蓋をするように奥端へ押し寄せ、さらに前記波が前記奥端に押し寄せる度に前記波導入箱内の空気を圧縮して押し込むことで圧縮空気が前記圧縮空気通気管に吹き込み、圧縮空気噴出口から噴出して羽根風車を一定方向に回し続けて発電することを特徴とする。
【0006】
本発明は、洋上において繰り返し押し寄せる波そのものを利用して恰も自然界海岸の浜辺において打ち寄せる波のように段波を形成し、高速高圧の波により圧縮空気を発生させ、その噴射で発電する仕組みのため、洋上へ単独設置も、あらゆる既設の洋上の構造物に併用、後付も可能であり規模、数量、環境地域に応じて産業上多方面での利用活用ができ貢献度大であり、従来の諸々の発電装置のような複雑・高価・不安定などの問題点も少なく、ごく自然界の波の力を、最も簡素で最有効に利用して、持続安定発電を可能にする画期的発電方法である。
【0007】
また、本発明において、前記波導入箱における波導入口の底面側端縁に沿って波導入板が斜め下前方に向けて連接されている場合には洋上の波を前記波導入板を介して前記波導入箱に効率よく導入することができる。
【0008】
加えて、本発明において、前記波導入箱の両側に浮きを取り付けるとともに、前記波導入箱を洋上の所定位置に保持する保持手段に上下移動可能に取り付けられることで、潮位に応じて前記波導入箱が上下動する場合には潮位に応じて前記波導入箱を上下動させて波を受ける位置に高さを変化させるので洋上へ単独設置し単独での発電を可能にする装置として利用することができるのみならず、並列配置することで効率よく安定発電が可能である。
【0009】
また、本発明において、前記先端に圧縮空気噴出口を備えた圧縮空気通気管を連結した波導入箱を、高さ方向に複数配置して洋上に設置することにより波の大小、潮位に左右されることなく押し寄せる波が存在する限り、常時いずれかの波導入箱が波を受ける海域に設置することでいずれかの圧縮空気噴出口から圧縮空気が噴出して複数の羽根風車が回転し続けることで常時発電することができ、前記高さ方向に複数配置した前記波導入箱において上方に配置された波導入箱の波導入口が前記上方に設置された波導入箱の波導入口より下方に配置された波導入箱の波導入口よりも奥方向に位置し、且つ前記上側に位置する波導入箱の前記波導入板の下端がその下側に位置する波導入箱の上面の開口端に連接して配置されている場合には洋上の波が抵抗なく各導入箱に導入される。
【0010】
更に、本発明において、前記先端に圧縮空気噴出口を備えた圧縮空気通気管を連結した波導入箱を、幅方向に複数配置するとともに幅方向に互いに隣接して配置された前記波導入箱と高さ方向において段違いに配置される場合には洋上の潮位に自然に対処することができる。
【0011】
更にまた、本発明において、幅方向または高さ方向に並べた前記先端に圧縮空気噴出口を備えた圧縮空気通気管を連結した波導入箱の幅方向または奥行方向に並列する複数の圧縮空気通気管の圧縮空気噴出口から噴射する圧縮空気を、回転軸から外方に向けて放射状に延びる複数の羽根を回転軸の周囲に有するドラム式羽根風車であって、前記回転軸を前記波導入箱の幅方向に向けて配置されている一つの羽根風車の羽根に噴出させる場合には、いずれかの波導入箱からの圧縮空気により羽根風車を一定方向に回転し続けて常時発電することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、従来の諸々の発電機構のような複雑・高価・不安定などの問題点も少なく、自然界の波の力を簡素かつ有効に利用して持続安定発電を可能とする波力発電機構を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明に用いられる先端に圧縮空気噴出口を有する圧縮空気通気管を連結した波導入箱の好ましい実施の形態を示すものであり、(a)は斜視図、(b)は平面図、(c)は側面図。
【
図2】
図1に示した実施の形態に係る波導入箱を用いた本発明の好ましい実施の形態についての作用を示す断面図。
【
図3】
図1に示す実施の形態に係る波導入箱に連結した圧縮空気通気管から送られる圧縮空気噴出口、羽根風車、発電機配置実施例図。
【
図4】
図1に示す実施の形態に係る波導入箱に押し寄せる波が、波導入箱内で蓋をするように空気を奥方向に押し込み、奥端に設けた圧縮空気通気管へ圧縮空気を吹き込み、引き波で海水が海側に戻り、押し寄せる波がこれを繰り返すメカニズム縦断面図。
【
図5】
図1に示す実施の形態に係る両側に浮きを利用した波導入箱が干満潮位同調して上下動できる説明図。
【
図6】
図1に示す実施の形態に係る圧縮空気噴出口、羽根風車、発電機設置の方法図。
【
図7】本発明の異なる実施の形態に係る圧縮空気噴出口を備えた圧縮空気通気管を上向きに連結した波導入箱を高さ方向に複数配置した状態および発電有効な海水位配列を示す縦断面図。
【
図8】
図7に示した実施の形態の正面部分の拡大斜視部分図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
図1は本発明に用いられる波導入箱2を示すものであり、正面に配置した開口部である波導入口21、上面22、両側面23,24、底面25を有し、底面25が設置する例えば自然海岸の波打ち際の傾斜と合致した奥上がりに傾斜するとともに開口部である波導入口21を広い間口とし、かつ波導入口21の中心を通る水平線BLを中心軸として奥に向かって急激に狭くなる全体漏斗状の構造を有し、前記波導入箱2の奥端に圧縮された空気が通る圧縮空気通気管3が上向きに且つ気密に連結されている。
【0016】
図2および
図3は、前記
図1に示した波導入箱2を用いた本発明である波力発電機構1のメカニズムを示すものであり、洋上に配置した波導入箱2の波導入口21の底面25側端縁に沿って波導入板26が斜め下前方に向けて連接されていることで波導入板26を介して打ち寄せる波7を効率よく波導入口21から波導入箱2内へ導入し、前記圧縮空気通気管3の先端に設けたノズル状の圧縮空気噴出口31から先方の少し離れた所定位置に配置した羽根風車4に向かって圧縮空気を噴出させて羽根風車4を回転させて前記羽根風車4に連結した発電機5を回転、駆動して発電を行うものである。
【0017】
また、本実施の形態は、
図4(a)に示すように、波導入箱2の正面に形成した波導入口21へ押し寄せる波7が、
図4(b)に示すように、底面25の傾斜によって恰も自然界海岸の浜辺において打ち寄せる波のように段波を形成し、波導入箱2の狭くなっている部分で、高速高圧の波8となって波導入箱2内で蓋をするように奥の方へ空気を押し込み奥端に連結された上向き圧縮空気通気管3へ圧縮空気を吹き込み、その後、
図4(c)に示すように、引き波9が自然に
図4(d)に示すように海の方10へ戻り、更に、
図4(e)に示すように前記
図4(a)からの動作を波がある限り繰り返して、圧縮空気を送り続ける構造になっている。
【0018】
図5は本発明の好ましい実施の形態の波導入箱2を洋上に設置した状態を示すものであり、波力発電機構1の波導入箱2の両側(両側面23,24側)に浮き18,18を取り付けるとともに保持手段として備えた位置固定用の固定柱16および上下移動可能な上下動ガイドレール17を用いて、固定柱16に沿って配置する上下動ガイドレール17を介して固定柱16と波導入箱2または浮き18を接続することで、波導入箱2が流されてしまうことの無いように洋上の所定位置に保持するとともに浮き18,18によって波導入箱2を潮位に応じて自動的に上下動させるものであり、この場合には波導入箱2の海面に対する高さ位置が潮位に合わせて最適位置に移動するので高さ方向には1つの波導入箱を配置すればよい。
【0019】
本実施の形態によれば、洋上へ単独設置し単独での発電を可能にする装置として利用することができるのみならず、並列配置することで効率よく安定発電が可能であり、規模、数量、環境地域に応じて産業上多方面での利用活用ができ貢献度大である。
【0020】
図6は、圧縮空気通気管3の先端に設けたノズル状の圧縮空気噴出口31から先方の少し離れた所定位置に配置した羽根風車4の羽根41に向かって圧縮空気を噴出させて羽根風車4を回転させて前記羽根風車4に連結した発電機5を回転、駆動して発電を行う部分を更に詳しく示したものである。
【0021】
この
図6に示すように複数の圧縮空気通気管3の圧縮空気噴出口31から噴出する圧縮空気が1つの羽根風車4に供給されることで、常時、前記羽根風車4を一定方向に回転させて前記羽根風車4に連結した発電機5により常時発電することができる。
【0022】
図7は本発明の異なる実施の形態を示すもので、前記先端に圧縮空気噴出口31を備えた圧縮空気通気管3を上向きに連結した波導入箱2を高さ方向および幅方向に連続して複数個(本実施の形態では3個)が海水潮位の上限13から、下限14までの間に波導入口21が配置されるように設置されているので、例えば潮位が高い時は上限13に近い側の波導入箱2の波導入口21から波を導入し、反対に潮位が低い時は下限14に近い側の波導入箱2の波導入口21から波を導入するように潮位の変動に対応して動作するため、潮位の変化に拘わらず上下に配置した少なくとも1つの波導入箱2内に波を導入して圧縮空気による発電を可能としたものである。
【0023】
本実施の形態では、前記先端に圧縮空気噴出口31を備えた圧縮空気通気管3を上向きに連結した波導入箱2を、高さ方向に複数配置して波打ち際、洋上に設置することにより波の大小、潮位に左右されることなく押し寄せる波が存在する限り、高さ方向に複数配置した少なくとも1つの波導入箱2から圧縮空気が羽根風車4に供給されるので、常時、前記羽根風車4を一定方向に回転させて前記羽根風車4に連結した発電機5により常時発電することができる。
【0024】
また、前記先端に圧縮空気噴出口31を備えた圧縮空気通気管3を上向きに連結した波導入箱2を、幅方向に複数配置して波打ち際、洋上に設置することにより、幅方向に複数配置した波導入箱2から圧縮空気が羽根風車4に供給されるので、多数の前記羽根風車4を一定方向に強力に回転させて、前記羽根風車4に連結した発電機5により発電することができる。
【0025】
更に、前記先端に圧縮空気噴出口31を備えた圧縮空気通気管3を上向きに連結した波導入箱2を、高さ方向に複数配置して奥行方向または幅方向に並列する複数の圧縮空気通気管3・・・3の圧縮空気噴出口31・・・31から噴射する圧縮空気を一つの羽根風車の羽根に噴出させることにより、常時少なくとも1つの波導入箱2が波を受ける海域に設置することで少なくとも1つの圧縮空気噴出口31・・・31から圧縮空気が噴出して羽根風車4が回転し続ける。
【0026】
図8に示すように、前記高さ方向に複数配置された先端に圧縮空気噴出口31を備えた圧縮空気通気管3を上向きに連結した波導入箱2において、上方に配置された波導入箱2の波導入口21を前記上方に配置された波導入箱2の波導入口21より下方に配置された波導入箱2の波導入口21よりも奥方向(圧縮空気通気管3方向)に位置して配置する場合、特に好ましい。
【0027】
図9に示すように、前記高さ方向に複数配置された先端に圧縮空気噴出口31を備えた圧縮空気通気管3を上向きに連結した波導入箱2が、幅方向に互いに隣接して配置された前記高さ方向に複数配置された先端に圧縮空気噴出口31を備えた圧縮空気通気管3を上向きに連結した波導入箱2と、高さ方向において段違いに配置されている場合、特に好ましい。
【0028】
なお、本実施の形態において波導入箱2を高さ方向および幅方向に複数配置する際は、例えば保持手段として備えた固定柱に固定する方法その他の固定方法により配置することができる。
【0029】
このように、海水潮位の上限13から下限14までの間に波導入箱2、圧縮空気通気管3、圧縮空気噴出口31、羽根風車4、発電機5を既存の洋上や岸壁沿岸の建造物、また、新設の建造構造物にも併設活用することで、発電という新しい能力が付加されるので産業に限らず、多方面での利用価値が見込まれる。
【0030】
以上のように、本発明によれば圧縮空気通気管3の羽根風車4までの距離、圧縮空気通気管3内の泡、塩害防止、異物・浮遊物等に留意することで環境アセスメントもメンテナンスも、従来の発電機能に比べて最も簡素で安価でかつ安全である。
【符号の説明】
【0031】
1 波力発電機構、2 波導入箱、21 波導入口、22 底面、23,24 側面、25 上面、26 波導入板、3 圧縮空気通気管、31 圧縮空気噴出口、4 羽根風車、41 羽根、5 発電機、6 構造物、7 波導入箱入り口で押し寄せる波、8 波導入箱内で圧縮空気を奥の方へ押し込み圧縮空気通気管へ空気を吹き込む高速高圧の波、9 波導入箱内を自然に引き波で海側へ戻る波、10 波導入口に到達した次の波、11 繰り返し寄せる波、13 海水潮位の上限、14 海水潮位の下限、15 発電に有効な潮位水位幅、16 固定柱、17 上下動ガイドレール、18 海水面の干満変動に同調して波導入箱が自動的に上下動するための浮き