特許第6373367号(P6373367)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6373367内燃機関のインジェクタの噴射開始点を決定するための方法、内燃機関用の制御装置、及び内燃機関
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6373367
(24)【登録日】2018年7月27日
(45)【発行日】2018年8月15日
(54)【発明の名称】内燃機関のインジェクタの噴射開始点を決定するための方法、内燃機関用の制御装置、及び内燃機関
(51)【国際特許分類】
   F02D 41/04 20060101AFI20180806BHJP
   F02D 45/00 20060101ALI20180806BHJP
   F02M 65/00 20060101ALI20180806BHJP
【FI】
   F02D41/04 385P
   F02D41/04 335A
   F02D41/04 385A
   F02D45/00 358C
   F02M65/00 301A
   F02M65/00 304
【請求項の数】9
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-518861(P2016-518861)
(86)(22)【出願日】2014年6月3日
(65)【公表番号】特表2016-520768(P2016-520768A)
(43)【公表日】2016年7月14日
(86)【国際出願番号】EP2014001491
(87)【国際公開番号】WO2014198388
(87)【国際公開日】20141218
【審査請求日】2017年2月9日
(31)【優先権主張番号】102013210984.9
(32)【優先日】2013年6月12日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】503025605
【氏名又は名称】エム・テー・ウー・フリードリッヒスハーフェン・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100173521
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100153419
【弁理士】
【氏名又は名称】清田 栄章
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルダー・ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】メーア・アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ムリッキ・フランク
(72)【発明者】
【氏名】シュタウト・マルクス
(72)【発明者】
【氏名】ガーベト・ロッビィ
【審査官】 藤村 泰智
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2011/0130944(US,A1)
【文献】 特開2009−057928(JP,A)
【文献】 特開2011−007203(JP,A)
【文献】 特開2013−007341(JP,A)
【文献】 特開2012−077653(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0330576(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0027624(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0076665(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02D 41/00 〜 45/00
F02M 65/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の:
・1つの測定期間内の1つの単一アキュムレータの圧力の経時変化(p)を時分割に検出するステップ、
・前記単一アキュムレータの圧力の経時変化(p)に基づいて1つのテスト噴射開始点(TS)を決定するステップ、
・前記テスト噴射開始点(TS)前の既定の1つのテスト期間(Δi)内の前記単一アキュムレータの圧力の経時変化(p)の傾向を決定するステップ、
・前記傾向に応じて前記単一アキュムレータの圧力の経時変化(p)を補正するステップ、
・当該補正された単一アキュムレータの圧力の経時変化に基づいて1つの噴射開始点を決定するステップを有する、1つの内燃機関(1)の1つのインジェクタ(11)の1つの噴射開始点を決定するための方法において、
前記単一アキュムレータの圧力の経時変化(p)の1つのテスト値(TW)が、前記テスト噴射開始点(TS)に対して左側に既定の1つの期間(Δi)をあけて算出され、
1つの直線勾配が、前記テスト値(TW)と前記テスト噴射開始点(TS)との間で計算されることによって、前記単一アキュムレータの圧力の経時変化(p)の傾向が決定されるステップを有する当該方法。
【請求項2】
前記単一アキュムレータの圧力の経時変化(p)の第1勾配の経時変化(grad p)が、前記テスト噴射開始点(TS)を決定するために計算され、
前記第1勾配の経時変化(grad p)の1つの極小値(MIN)が算出され、
前記極小値(MIN)の左側に隣接している1つの点が、x座標値(iTS)として算出され、前記第1勾配の経時変化(grad p)の1つの値(TSg)が、当該点で既定の1つの第1デフォルト値(VW)に相当し、
前記単一アキュムレータの圧力の経時変化(p)が、特にフィルタリングされ、
前記第1勾配の経時変化(grad p)が、特に当該フィルタリングされた単一アキュムレータの圧力の経時変化(p)から計算されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
−特に1つのエンジン特性マップに基づいて−直線勾配に応じて、1つの補正関数が、算出され、前記テスト期間(Δi)内で、特に未フィルタリング処理の単一アキュムレータの圧力の経時変化(p)によってオフセットされることによって、未フィルタリング処理の単一アキュムレータの圧力の経時変化(p)が補正され、
当該補正された単一アキュムレータの圧力の経時変化(p)が、有益にフィルタリングされることを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項4】
1つのランプが、補正関数として選択され、このランプが、当該特に未フィルタリング処理の単一アキュムレータの圧力の経時変化(p)に加算されるか又は前記テスト期間(Δi)内で、当該特に未フィルタリング処理の単一アキュムレータの圧力の経時変化(p)によって乗算されることを特徴とする請求項に記載の方法
【請求項5】
左側の1つのx座標値(iTW)が、境界値として、前記テスト噴射開始点(TS)のx座標値(iTS)に対して既定の1つの期間をあけて確定されることによって、少なくとも1つの左側の境界値が、前記噴射開始点を算出するための1つの評価窓に対して決定されることを特徴とする請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
1つの第2勾配の経緯変化が、前記評価窓内で当該補正された単一アキュムレータの圧力の経時変化から計算され、
前記第2勾配の経時変化の1つの極小値が算出され、
前記極小値の左側に隣接している1つの点が、前記噴射開始点のx座標値として算出され、前記第2勾配の経時変化の1つの値が、当該点で既定の1つの第2デフォルト値に相当し、
前記第2デフォルト値が、特に前記第1デフォルト値(VW)に等しいことを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項7】
1つの代表噴射開始点と1つのテスト噴射開始点とが、前記評価窓内で当該補正された単一アキュムレータの圧力の経時変化から決定され、
前記代表噴射開始点が、前記テスト噴射開始点に対して妥当性チェックされることを特徴とする請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
1つの内燃機関(1)用の制御装置(3)において、
前記制御装置(3)が、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法を実行するために調整されていることを特徴とする当該1つの内燃機関(1)用の制御装置(3)。
【請求項9】
内燃機関(1)において、
請求項に記載の1つの制御装置(3)を特徴とする当該内燃機関(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に記載の内燃機関のインジェクタの噴射開始点を決定するための方法、請求項9の上位概念に記載の内燃機関用の制御装置、及び請求項10の上位概念に記載の内燃機関に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関の制御及び調性のための方法が、独国公開公報102009056381A1に記載されている。この方法では、特に、インジェクタの噴射開始点が決定される。このインジェクタの単一アキュムレータの圧力が、この噴射開始点で検出される。この場合、代表噴射開始点及びテスト噴射開始点が、当該検出から決定される。この場合、この代表噴射開始点が、このテスト噴射開始点に対して妥当性チェックされる。この場合、噴射開始点が決定されるこのインジェクタは、共通のレール、すなわち共通の蓄圧容器を有する燃料噴射システム、すなわち所謂コモンレール燃料噴射システムの一部である。燃料が、高圧ポンプによって当該共通の蓄圧容器に供給される。当該燃料噴射システムの全てのインジェクタが、この蓄圧容器から供給される。この場合、圧力の波状の経時変化が、当該内燃機関の稼働中にその高圧システム内で発生する。当該波状の経時変化は、個々のインジェクタの単一アキュムレータ内まで続いている。当該高圧ポンプの供給周波数を有するこの所謂ポンプ波形が、当該検出された単一アキュムレータの圧力の経時変化に重畳されている。上記の噴射開始点を算出するための公知の方法の場合、ポンプ波形に対する噴射開始点が、どんな位相位置を有するかに応じて、それらの結果が変化する。この作用は、当該噴射開始点の決定の精度を損ない、これに応じて当該単一アキュムレータの圧力分析の再現精度を損なう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】独国特許出願公開第102009056381号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
それ故に、本発明の課題は、上記の欠点を有しない方法を提供することにある。特に、上記単一アキュムレータの圧力分析の評価精度、すなわち上記噴射開始点の決定の精度を向上させることを、上記方法によって可能にしなければならない。この場合、好ましくは、当該評価の結果、すなわち算出された噴射開始点が、上記ポンプ波形に対する当該算出された噴射開始点の位相位置にもはや依存してはならない。さらに、本発明の課題は、当該方法が実行可能である、内燃機関用の制御装置を提供することにある。さらに、本発明の課題は、噴射開始点がここで提唱されている当該方法にしたがって決定可能である内燃機関を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、請求項1に記載のステップを有する方法が提供されることによって解決される。この場合、単一アキュムレータの圧力の経時変化が、測定期間内で時分割検出される。当然に、当該検出された単一アキュムレータの圧力の経時変化が、有益に記憶される。この場合、以下の評価ステップが、特に当該記憶された単一アキュムレータの圧力の経時変化で実行される。テスト噴射開始点が、当該単一アキュムレータの圧力の経時変化に基づいて決定される。当該単一アキュムレータの圧力の経時変化の傾向が、当該テスト噴射開始点の前の既定のテスト期間内で決定される。したがって、用語「当該テスト噴射開始点の前」は、当該テスト期間が、このテスト噴射開始点を起点として−単位時間ごとに測定されるか又は内燃機関の単位クランク角度ごとに測定される−早い経時変化に向かって延在することを意味する。すなわち、当該時間に応じて又は当該内燃機関のクランク角度に応じて、当該単一アキュムレータの圧力の経時変化を時分割検出することが可能である。すなわち、このことは、特に同様に検出された当該内燃機関の回転数に基づいて相互で容易に変換可能である。それ故に、用語「当該テスト噴射開始点の前」は、当該テスト期間が、時間的に当該テスト噴射開始点の前に存在する時間に向かってか又はより小さいクランク角度に向かって延在することを意味する。当該単一アキュムレータの圧力の経時変化が、その傾向に応じて補正され、噴射開始点が、当該補正された単一アキュムレータの圧力の経時変化に基づいて決定される。当該単一アキュムレータの圧力の経時変化の傾向が、当該テスト噴射開始点の前に算出されることによって、上記ポンプ波形に対する当該テスト噴射開始点の位相位置も、少なくとも間接的に算出される。特に、当該ポンプ波形によって重畳された圧力の経時変化が、現時点において上昇しているのか又は降下しているのかが、当該傾向によって確認され得る。当該ポンプ波形に対する当該位相位置の影響が、当該傾向に基づいて当該単一アキュムレータの圧力の経時変化を補正することによって少なくとも弱められる、特に排除される。それ故に、当該方法によれば、当該噴射開始点を当該方法によって非常に正確に且つ再現可能に決定することが、当該ポンプ波形に対する当該位相位置に左右されずに可能である。当該単一アキュムレータの圧力分析の評価精度が、当該方法によって著しく向上される。
【0006】
上記測定期間は、特にピストン式エンジンとして構成された内燃機関の特に稼働サイクルに相当する。
【0007】
或る方法は、上記単一アキュムレータの圧力の経時変化の第1勾配の経時変化が、そのテスト噴射開始点を決定するために計算されることを特徴とすることが有益になる。この場合、当該第1勾配の経時変化の極小値が算出される。当該極小値の左側に隣接している点が算出される。この点の場合、当該第1勾配の経時変化の値が、既定の第1デフォルト値に相当する。この場合、用語「当該極小値の左側」は、この点が、当該極小値の前に存在することを意味する、すなわち−単位時間ごとに又は単位クランク角度ごとに−当該極小値に対して早い経時変化に向かって移動されていることを意味する。最初に、当該勾配の経時変化が、増大する時間又は増大するクランク角度と共に観察される。その結果、対応するグラフの場合、早い経時変化に向かって移動されている点が、観察された基準点、ここでは当該極小値の左側に存在する。当該第1点が、当該極小値の左側で算出されることが、用語「隣接している点」を用いて説明されている。この第1点の場合、上記の条件、すなわち当該第1勾配の経時変化が、当該第1デフォルト値に相当するという条件が満たされている。こうして算出された当該点のx座標値が、当該テスト噴射開始点のx座標値として確定される。当該テスト噴射開始点の決定は、実際の噴射開始点の大まかな位置の比較的粗い第1の算出に相当する。
【0008】
特に、上記単一アキュムレータの圧力の経時変化はフィルタリングされる。この場合、上記第1勾配の経時変化が、当該フィルタリングされた単一アキュムレータの圧力の経時変化から有益に計算される。第1カットオフ周波数が、当該単一アキュムレータの圧力の経時変化をフィルタリングするために使用される。当該単一アキュムレータの圧力の経時変化が、この第1カットオフ周波数によってフィルタリングされる。特に特性曲線領域が、この第1カットオフ周波数を算出するために使用される。この特性曲線領域は、単一アキュムレータの圧力の差を入力変数として有し、当該カットオフ周波数を出力変数として有する。この場合、第1特性曲線が、当該第1カットオフ周波数を決定するために設けられている。最大値及び最小値が、上記測定期間内で当該単一アキュムレータの圧力に対して算出されることによって、当該単一アキュムレータの圧力の差が決定される。この場合、これらの値の差が計算される。当該第1カットオフ周波数が、こうして計算された差に基づいて当該特性曲線領域から算出される。当該単一アキュムレータの圧力の経時変化をフィルタリングするためのこの手段は、独国公開公報102009056381A1、ここでは特に段落[0021]及び[0022]に詳しく記載されている。すなわち、ここに開示されている内容は、本出願の開示内容に完全に記載されている。当該開示内容を参照のこと。
【0009】
上記単一アキュムレータの圧力の経時変化のテスト値が、上記テスト噴射開始点に対して左側に既定の期間をあけて算出されることによって、当該単一アキュムレータの圧力の傾向が決定されることを特徴とする方法が有益になる。この場合、このテスト値とこのテスト噴射開始点との間の直線勾配が計算される。この場合、特に、フィルタリングされた単一アキュムレータの圧力の経時変化が使用される。したがって、このテスト噴射開始点、すなわち或る時間又は或るクランク軸角度に割り当てられているx座標値を起点として、既定のステップ幅が、早い経時変化に向かって、すなわち、より早い時間又はより小さいクランク軸角度に向かって移動されることによって、すなわち、当該テスト噴射開始点に割り当てられたx座標値が、既定の差分値だけ減少されることによって、テスト値が決定される。この場合、こうして計算された当該新しいx座標値に対して、対応するy座標値又は特にフィルタリングされた単一アキュムレータの圧力の経時変化の近似値が決定される。このy座標値は、テスト値として定められる。次いで、直線が、このテスト値と、当該テスト噴射開始点に割り当てられたy座標値とによって設定され、この直線の勾配が計算される。当然に、直線を対応する値に実際に適合させることは、必ずしも必要でない。特に、当該直線勾配を算出するため、当該テスト値のy座標値と当該テスト噴射開始点のy座標値との差が、それらに対応して割り当てられたx座標値との差によって除算される。当然に、当該テスト値と当該テスト噴射開始点との間の直線勾配を決定するという別のあらゆる適した可能性が適用可能である。
【0010】
以下の事項が分かる:テスト値が、テスト噴射開始点に割り当てられたy座標値より大きい場合、実際の噴射開始点が、ポンプ波形の降下領域内に位置されていることが推測され得る。これとは反対に、テスト値が、テスト噴射開始点に割り当てられたy座標値より小さい場合、実際の噴射開始点が、ポンプ波形の上昇領域内に位置されていることが推測され得る。したがって、負の直線勾配が、当該噴射開始点の時点に対するポンプ波形の降下する経時変化を示す一方で、これに応じて正の直線勾配が、噴射開示時点のポンプ波形の上昇する経時変化を示す。したがって、当該テスト値と、このテスト値から算出された当該直線勾配とを用いると、噴射の時点に対するか又は噴射の直前の、すなわちテスト期間内にポンプ波形の勾配が推測され得る。この場合、このテスト期間は、現時点における左側の既定の期間又は当該テスト噴射開始点のx座標値と当該テスト値のx座標値との差に相当する。
【0011】
既に説明されているように、ここでは、上記単一アキュムレータの圧力の経時変化又は上記勾配の経時変化に割り当てられた時点又はクランク軸角度が、x座標値で常に示されている。これに対して、当該単一アキュムレータの圧力の経時変化に割り当てられた圧力値、又は当該勾配の経時変化に割り当てられた、時間的に又は当該クランク軸角度にしたがって導かれた圧力値が、用語であるy座標値で示されている。
【0012】
補正関数が、上記テスト期間内に直線勾配に応じて算出されることによって、上記単一アキュムレータの圧力の経時変化が補正されることを特徴とする方法が有益になる。この場合、当該補正関数は、当該テスト期間内に特にフィルタリングされた単一アキュムレータの圧力の経時変化によってオフセットされる。好ましくは、当該補正関数は、エンジン特性マップに基づいて算出される。複数の直線勾配に応じた複数の補正関数が、このエンジン特性マップ内に記憶されている。当該テスト期間内に単一アキュムレータの圧力の経時変化が、その補正関数によってオフセットされることによって、この単一アキュムレータの圧力の経時変化が、そのポンプ波形の経時変化に関して、その噴射開始点の直前又はその噴射開始点時に補正される。この場合、特に、当該ポンプ波形によって生成された急勾配の直線がなだらかにされる、又は、当該単一アキュムレータの圧力の経時変化が平らにされる。しかしながら、当該方法の好適な実施の形態では、当該ポンプ波形によって引き起こされた単一アキュムレータの圧力の経時変化の勾配が、完全に補正されないか又はそれどころか場合によっては過制御されることが可能である。具体的に存在する単一アキュムレータの圧力の経時変化の勾配に応じて、当該勾配の、補正が完全に実行されないか又はそれどころか過補正が実行されるときに、評価の精度が向上され得ることが分かっている。このことは、当該エンジン特性マップ内に記憶されている補正関数において適切に考慮されている。
【0013】
上記方法の好適な実施の形態では、未フィルタリング処理の単一アキュムレータの圧力の経時変化が補正される。この手段は、有益になる。何故なら、上記テスト期間の、右側に存在する、すなわちより大きいx座標値に向かって存在する端部に、すなわち上記テスト噴射開始点のx座標値に、屈折点又は微分不可能な位置が、当該補正に起因して、その補正された単一アキュムレータの圧力の経時変化で発生するからである。好ましくは、次いで、当該補正された未フィルタリング処理の単一アキュムレータの圧力の経時変化が、当該補正に続いてフィルタリングされる。これにより、当該屈折点又は当該微分不可能な位置が平滑される。この代わりに、フィルタリングされた単一アキュムレータの圧力の経時変化が、補正され、好ましくは引き続きもう一度フィルタリングされることも可能である。
【0014】
好ましくは、カットオフ周波数が、上記の補正された単一アキュムレータの圧力の経時変化をフィルタリングするために使用される。このカットオフ周波数は、上記と同じ特性曲線領域から得られる。上記第1カットオフ周波数も、この特性曲線領域から読み出される。しかしながら、当該特性曲線領域の入力値として使用される単一アキュムレータの圧力の差は、全測定期間にわたって決定されるのではなくて、特に評価窓内で決定される。この場合、以下に、当該評価窓の確定をさらに詳しく説明する。このとき、当該カットオフ周波数は、−以下で、さらに説明するように−好ましくは当該特性曲線領域の別の特性曲線によって決定される。この場合、ここで当該フィルタリングのために使用されるカットオフ周波数は、以下でさらに説明される、特に第2カットオフ周波数に相当する。
【0015】
この関係では、ランプが、補正関数として選択されることを特徴とする方法が有益になる。特に、当該ランプは、既定の勾配を有する線形関数である。当該勾配は、特に負又は正に選択される。この場合、一般に、当該補正の必要性は、上記テスト期間の右側の端部の領域内よりも、その左側の境界の領域内のほうが大きい。当該右側の端部の領域では、補正が、ここでもはや実行されないように、上記テスト噴射開始点での切れ目のない移行が要求される。これに応じて、当該ランプが、当該テスト値のx座標値、すなわち当該テスト期間の左側の端部を起点として、好ましくは当該テスト噴射開始点、すなわちこのテスト期間の右側の境界値のx座標値の値に向かって降下又は上昇する。この値では、このテスト噴射開始点のy座標値が変化しない。
【0016】
上記方法の好適な実施の形態では、上記ランプが、特に未フィルタリング処理の単一アキュムレータの圧力の経時変化に加算される。この場合、このランプは、上記補正の終了時に、すなわち上記テスト噴射開始点のx座標値で値0に降下又は上昇する。その結果、補正が、この値0では実行されない。
【0017】
上記方法の別の好適な実施の形態では、上記テスト期間内に特に未フィルタリング処理の単一アキュムレータの圧力の経時変化が、上記ランプによって乗算される。この場合、この未フィルタリング処理の単一アキュムレータの圧力の経時変化は、上記補正の終了時に、すなわち上記テスト期間の右側の境界値で値1に有益に降下又は上昇する。この場合、1で乗算すると、上記テスト噴射開始点のy座標値が変化しない。すなわち、補正が実行されない。
【0018】
特に好ましくは、上記ランプが、エンジン特性マップから読み出される。複数のランプが、上記テスト期間内にテスト値とテスト噴射開始点との間の直線勾配に応じてエンジン特性マップ内に記憶されている。この場合、特に好ましくは、複数の勾配値が、当該直線勾配に応じた当該複数のランプのために記憶されている。この場合、完全なランプの値が、−0又は1に具体的に選択された算術演算に応じて−当該テスト期間の右側の境界値に確定されているならば、一般に、当該ランプ勾配は、当該完全なランプを決定するのに十分である。
【0019】
左側の少なくとも1つの境界値が、上記噴射開始点を算出するための評価窓に対して決定されることを特徴とする方法も有益になる。このため、左側のx座標値が、境界値として、上記テスト噴射開始点を起点として、このテスト噴射開始点のx座標値に対して既定の期間をあけて確定される。すなわち、既定の差が、当該テスト噴射開始点のx座標値から減算される。新しいx座標値が、当該減算からこのテスト噴射開始点のx座標値の左側に発生する。この新しいx座標値は、当該評価窓に対する境界値として確定される。当該方法の好適な実施の形態では、当該評価窓の左側の境界値が、現時点におけるテスト値のx座標値に相当することが可能である。この場合、上記テスト期間が、現時点における当該テスト噴射開始点のx座標に対する左側の境界値の期間に相当する。この場合、当該左側の境界値を独立した方法ステップで算出することは、当然に必要でない。むしろ、この代わりに、当該テスト値に割り当てられているx座標値を、当該評価窓に対する左側の境界値として直接に使用することが可能である。
【0020】
特に、上記評価窓に対する右側の境界値も算出される。この場合、用語「右側」は、上記テスト噴射開始点を起点として、遅い経時変化に向かって、すなわちより遅い時間又はより大きいクランク角度に向かって移動されていることを意味する。上記極小値の右側に隣接している点のx座標値が、第1ステップにおいて、上記第1勾配の経時変化の極小値を起点として算出されることによって、特に当該右側の境界値が算出される。当該右側の境界値の場合、当該第1勾配の経時変化の値が、第1デフォルト値に相当する。次いで、第2ステップでは、既定の加数が、当該対応するx座標値に加算される。この場合、右側の境界値として確定されるx座標値が、当該加算から発生する。当該右側の境界値を算出するための適切な手段が、独国特許出願公開第102009056381号明細書の特に[0021]に開示されている。これに関しては、この明細書の開示内容が、本出願の開示内容中に完全に記載されていて、当該記載を参照のこと。本出願によるテスト値の決定が、当該独国特許出願公開第102009056381号明細書に記載されている評価窓の第1境界値の決定にほぼ相当することが特徴である。したがって、当該方法の好適な実施の形態では、独立した左側の境界値が、当該評価窓に対して決定されるのではなくて、むしろ当該テスト値に割り当てられたx座標値が、左側の境界値として使用される。
【0021】
特に、上記の評価窓の決定は、先行する評価におけるのと同じ噴射事象又は同じ噴射開始点が、別の評価において観察されることを保証する。この場合、特に、勾配の経時変化の同じ極小値が観察される。場合によっては、別の極小値が、当該方法の別のステップで探し出されることが、当該評価窓を確定しないときに可能である。これにより、有効値が、当該方法の結果としてもはや発生しない。
【0022】
上記の未フィルタリング処理の単一アキュムレータの圧力の経時変化に基づいて計算された当該補正された単一アキュムレータの圧力の経時変化が、特に上記評価窓内でフィルタリングされる。この場合、特に、上記テスト期間の右側の境界値の、上記補正によって得られる微分不可能な位置を平滑することが可能である。特に、最初に、補正された単一アキュムレータの圧力の経時変化に対する評価窓内の最大圧力と最小圧力との圧力差が、当該補正された単一アキュムレータの圧力の経時変化をフィルタリングするために決定される。特に上記第1カットオフ周波数とは異なるカットオフ周波数が、複数のカットオフ周波数用の特性曲線領域の、特に上記の第1エンジン特性マップとは異なるエンジン特性マップによって、この圧力差に基づいて決定される。当該補正された単一アキュムレータの圧力が、このカットオフ周波数によってフィルタリングされる。好ましくは、こうして補正されてフィルタリングされた単一アキュムレータの圧力の経時変化が、その他の方法の基礎になる。
【0023】
第2勾配の経時変化が、上記評価窓内で上記補正されて特にフィルタリングされた単一アキュムレータの圧力の経時変化から計算される方法が、有益になる。したがって、後続する計算が、上記補正関数によって補正されて特にフィルタリングされた単一アキュムレータの圧力の経時変化の基礎になる。既に説明されているように、当該評価窓の選択は、当該第2勾配の経時変化が、当該単一アキュムレータの圧力の経時変化の領域に対して計算される。この領域は、先行する方法ステップが実行されたのと同じ、最初の単一アキュムレータの圧力の経時変化の領域に相当する。当該第2勾配の経時変化の極小値が算出される。次いで、この極小値の左側に隣接している点が算出される。この点の場合、当該第2勾配の経時変化が、既定の第2デフォルト値に相当する。こうして算出されたこの点のx座標値が、上記噴射開始点のx座標値として確定される。明らかに、当該噴射開始点が、同様に上記テスト噴射開始点を算出するために算出される。この場合、ただし、上記補正されて特にフィルタリングされた単一アキュムレータの圧力の経時変化から計算された第2勾配の経時変化が使用される。したがって、上記ポンプ波形によって引き起こされた当該単一アキュムレータの圧力の経時変化の歪みが、もはや当該噴射開始点の計算に影響しない。何故なら、当該単一アキュムレータの圧力の経時変化が、適切に補正されたからである。したがって、当該第2勾配の経時変化から算出された噴射開始点は、当該テスト噴射開始点よりも又はその他の方法で上位未フィルタリング処理の単一アキュムレータの圧力の経時変化のから計算された噴射開始点よりも非常に正確である。
【0024】
特に、上記第1デフォルト値に等しい値が、第2デフォルト値として使用される。特に、この第2デフォルト値とこの第1デフォルト値とは等しい。当然に、第2デフォルト値用の独立した蓄圧領域のない方法を具体的に実行する場合は、当該第1デフォルト値が直接に使用され得る。それ故に、このような方法の実施の形態の場合、名称「第2デフォルト値」は、専ら概念的に区別するために使用されるが、実際に区別するためには使用されない。しかしながら、この代わりに、第2デフォルト値が、第1デフォルト値と異なる方法も可能である。
【0025】
最後に、代表噴射開始点とテスト噴射開始点とが、上記評価窓内の補正された単一アキュムレータの圧力の経時変化から決定されることを特徴とする方法が有益になる。この場合、この代表噴射開始点が、このテスト噴射開始点に対して妥当性チェックされる。この手段は、特に、独国特許出願公開第102009056381号明細書に開示されている方法に正確に一致する。しかしながら、この場合は、単一アキュムレータの圧力の経時変化の代わりに、当該補正された単一アキュムレータの圧力の経時変化が、当該方法の基礎になる。特に、−既に上述されているように−最初に、上記評価窓内の、最大圧力と最小圧力との圧力差が当該補正された単一アキュムレータの圧力の経時変化に対して決定されることによって、特に代表噴射開始点が決定される。第2カットオフ周波数が、上記の複数のカットオフ周波数用の特性曲線領域の特性曲線によってこの圧力差に基づいて決定される。当該補正されたが、未フィルタリング処理の単一アキュムレータの圧力が、当該第2カットオフ周波数によってフィルタリングされる。
【0026】
ここで説明されているフィルタリングは、上述されている補正された単一アキュムレータの圧力の経時変化のフィルタリングに相当する。ここで再び説明されるフィルタリングは、当該補正された単一アキュムレータの圧力の経時変化が2度フィルタリングされることを意味しない。むしろ、好ましくは、当該補正された未フィルタリング処理の単一アキュムレータの圧力の経時変化が、1度だけ、特に当該第2カットオフ周波数でフィルタリングされる。上述されている補正された単一アキュムレータの圧力の経時変化のフィルタリングの範疇の代わりに、別の特性曲線、すなわち別のカットオフ周波数が、当該代表噴射開始点を決定するために使用されることも可能である。例えば、下記の第3特性曲線及び第3カットオフ周波数又はその他の第4特性曲線及びその他の第4カットオフ周波数が、当該別の特性曲線、すなわち別のカットオフ周波数に対して使用され得る。
【0027】
勾配の経時変化が、上記フィルタリングされて補正された単一アキュムレータの圧力の経時変化から新たに計算される。同様に、上記代表噴射開始点が、極小値の左側の点を算出することによってこの勾配の経時変化から決定される。この勾配の経時変化は、この点で上記第2デフォルト値に相当する。この手段は、独国公開公報102009056381A1、ここでは特に段落[0024]に詳しく記載されている。これに関しては、この明細書の開示内容が、本出願の開示内容中に同時に記載されていて、当該記載を参照のこと。
【0028】
特に、第3カットオフ周波数が、上記の複数のカットオフ周波数を決定するための特性曲線領域の第3特性曲線によって、上記最大圧力と上記最小圧力との差に基づいて決定される。上記補正された単一アキュムレータの圧力の経時変化が、この第3カットオフ周波数によってフィルタリングされる。こうしてフィルタリングされて補正された単一アキュムレータの圧力の経時変化の別の勾配の経時変化が計算され、既に説明されているように、上記テスト噴射開始点が、極小値の左側の点として決定される。当該別の勾配の経時変化が、この点で現時点における上記第2デフォルト値に相当する。この手段は、独国公開公報102009056381A1、ここでは特に段落[0025]に詳しく記載されている。これに関しては、この明細書の開示内容が、本出願の開示内容中に完全に記載されていて、当該記載を参照のこと。
【0029】
次いで、上記代表噴射開始点と上記テスト噴射開始点とが、相互に妥当性チェックされる。当該妥当性チェックは、当該双方の値の差又は比が形成されることによって、当該双方の値が、互いに比較されることを意味する。好適な実施の形態において、当該差(このとき、当該差の特に絶対値が観察される)が、既定の差の境界値より小さいならば、当該代表噴射開始点は、妥当な噴射開始点として設定される。当該差が、既定の差の境界値より小さくない場合は、この代表噴射開始とこのテスト噴射開始点とが拒否される。この代わりに、この代表噴射開始とこのテスト噴射開始点との比を使用することが可能である。この場合、特に、当該比が、約1の既定の期間内に存在するかどうかがチェックされる。当該既定の期間内に存在する場合は、当該代表噴射開始点は、妥当な噴射開始点として設定され、当該既定の期間内に存在しない場合は、双方の値は拒否される。すなわち、2つの計算方式において、又は、異なる方法でフィルタリングされた当該両勾配の経時変化から、十分に近い値が、当該噴射開始点に対して得られたかどうかが、最終的にチェックされる。十分に近い値が、当該噴射開始点に対して得られた場合は、当該結果は妥当である。十分に近い値が、当該噴射開始点に対して得られなかった場合は、欠陥が、高い確率で存在する。したがって、当該結果を拒否することが適正である。
【0030】
上記の方法は、噴射事象に対する噴射開始点を算出するためのあらゆる種類の噴射事象に対して使用可能である。この場合、噴射事象は、プレ噴射、メイン噴射及び/又はポスト噴射としての個々の噴射と多重の噴射との双方を意味する。すなわち、当該方法を使用することで、当該噴射開始が、個々の噴射、プレ噴射、メイン噴射及び/又はポスト噴射に対して算出可能である。
【0031】
上記課題は、請求項9に記載の特徴を有する制御装置が提供されることによっても解決される。この制御装置は、この制御装置が、上述されている複数の実施の形態のうちの1つの実施の形態による方法を実行するために調整されていることを特徴とする。この場合、当該方法が、この制御装置の回路内に実装されていること、すなわちこの制御装置のハードウェアによって予めほぼ設定されていることが可能である。この代わりに、コンピュータプログラムが、この制御装置内に実装されていることが可能である。このコンピュータプログラムが、この制御装置上で実行されるときに、方法が、上述されている複数の実施の形態のうちの1つの実施の形態にしたがって実行されるように、このコンピュータプログラムは、複数の命令を有する。
【0032】
最後に、上記課題は、請求項10に記載の特徴を有する内燃機関が提供されることによっても解決される。この内燃機関は、この内燃機関が、上述されている複数の実施の形態のうちの1つの実施の形態による制御装置を有することを特徴とする。したがって、この制御装置は、上述されている複数の実施の形態のうちの1つの実施の形態による方法を実行するために調整されている。
【0033】
さらに、上記内燃機関は、少なくとも1つのインジェクタを有する燃料噴射システム、特にコモンレール燃料噴射システムを備える。この場合、当該少なくとも1つのインジェクタは、1つの単一アキュムレータを追加のバッファ容器として有する。この場合、噴射すべき燃料が、当該単一アキュムレータから直接に取り出され、当該コモンレール若しくは当該共通のレール又は共通の蓄圧容器から取り出されない。その結果、当該複数のインジェクタが、相互にさらに隔離される。この場合、噴射中に個々のインジェクタの領域内に加わる圧力が、その他のインジェクタの領域内に印加される高圧にほとんど影響しないか又は全く影響しない。当該単一アキュムレータの圧力を検出するための圧力センサが、当該少なくとも1つのインジェクタの領域内に設けられている。この圧力センサは、上記制御装置に作用接続されている。この制御装置及びこの圧力センサを使用することで、当該単一アキュムレータの圧力の経時変化が、時分割に、特に時間に応じて又は当該内燃機関のクランク角度に応じて検出され得る。特に、当該単一アキュムレータの圧力の経時変化が、当該クランク角度に応じて検出される場合、特に回転数センサ又はクランク角度センサが、当該内燃機関のクランク軸にさらに設けられている。当該クランク軸の回転数又はクランク角度が、当該制御装置によって検出可能であるように、当該センサは、当該制御装置に作用接続している。
【0034】
上記方法に関連して既に説明された利点が、上記制御装置及び上記内燃機関に対して得られることが分かる。
【0035】
以下に、本発明を図面に基づいて詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】内燃機関の実施の形態の概略図である。
図2】単一アキュムレータの圧力の経時変化のグラフである。
図3A】噴射事象の範囲内の単一アキュムレータの圧力の経時変化の一部のグラフである。
図3B図3Aによる単一アキュムレータの圧力の経時変化から計算された勾配の経時変化のグラフである。
図4】方法の実施の形態のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1は、内燃機関1の実施の形態の概略図である。内燃機関1は、特にピストン式エンジンとして構成されている。好適な実施の形態の場合、内燃機関1は特に、より重い陸上車両又は水上車両の駆動部、例えば、鉱山用運搬車両、列車の駆動部に使用される。当該列車の駆動部では、内燃機関1は、機関車又は動力車で使用されるか又は船舶によって使用される。防衛に使用される車両、例えば戦車を駆動させるために内燃機関1を使用することも可能である。また、内燃機関1の或る実施の形態は、特に確定して使用される、例えば確定してエネルギーを供給するために、予備負荷運転、低負荷運転又は最大負荷運転で使用される。この場合には、内燃機関1は、特に発電機を駆動させる。補助動力装置、例えば掘削プラットフォーム上の消火ポンプを駆動させるために内燃機関1を確定して使用することも可能である。内燃機関1は、特に、ディーゼルエンジンとして、ガソリンエンジンとして又は天然ガス、バイオガス、特殊ガス若しくはその他の適切なガスで駆動させるためのガスエンジンとして構成されている。特に、内燃機関1が、発電機として構成されている場合、内燃機関1は、固定式にエネルギーを生成するためのコージェネレーションユニットで使用するのに適している。
【0038】
内燃機関1は、特に電子制御装置として構成されていて且つ内燃機関1を制御及び/又は調整する制御装置3を有する。さらに、内燃機関1は、燃料噴射システム5を有する。燃料噴射システム5は、共通の蓄圧容器7を有する。燃料が、高圧ポンプ9によってこの蓄圧容器7に供給される。共通の蓄圧容器7は、内燃機関1の全てのインジェクタに燃料を供給するために使用される。それ故に、燃料噴射システム5は、いわゆるコモンレール燃料噴射システムとして構成されている。
【0039】
単一アキュムレータ13を追加のバッファ容器として有するインジェクタ11が、図1に例示されている。或る噴射事象時に、インジェクタ11によって噴射される燃料が、単一アキュムレータ13から取り出され、蓄圧容器7から直接に取り出されない。当該噴射に続いて、単一アキュムレータ13が、蓄圧容器7から再び充填される。こうして、異なる複数の当該インジェクタが、より良好に互いに隔離されている。この場合、個々の噴射事象に基づいて発生する圧力波形が、これらの噴射事象に関与していないインジェクタにほとんど影響しないか又は全く影響しない。
【0040】
単一アキュムレータ内の単一アキュムレータの圧力を検出するため、単一アキュムレータ圧力センサ15が、インジェクタ11、特に単一アキュムレータ13に配置されている。単一アキュムレータ13は、特に時分割検出して単一アキュムレータの圧力を単一アキュムレータ13内に蓄勢するための制御装置3に作用接続されている。
【0041】
高圧ポンプ9の供給周波数が、燃料噴射システム5内の圧力に作用することが分かっている。この場合、この供給周波数の重畳によって発生する圧力波形、すなわち所謂ポンプ波形が、単一アキュムレータ圧力センサ15によって検出された単一アキュムレータ13内の単一アキュムレータ圧力に作用する。このことが、図2に概略的に示されている。
【0042】
図2は、単一アキュムレータ13内の、制御変数iに対してプロットされた時分割検出された圧力pのグラフである。この場合、特に時間又は内燃機関1のクランクシャフトのクランク角度が、制御変数として選択される。本発明の方法の特に好適な実施の形態の場合、当該単一アキュムレータの圧力の経時変化が、クランク角度に応じて検出される。したがって、この場合には、制御変数iは、当該クランク角度を示す。
【0043】
単一アキュムレータ13内の圧力pが、実線で示された曲線17として示されたポンプ波形に追従することが、図2に基づいて示されている。第1噴射事象が、破線で示された第1曲線19によって示されている。この場合、第1噴射開始点S1が、ポンプ波形17の上昇領域17内に存在する。第2噴射事象が、一点鎖線で示された曲線21によって示されている。この場合、第2噴射開始点S2が、ポンプ波形17の降下領域内に存在する。単一アキュムレータ13内の上昇する圧力pが、ポンプ波形17に基づいて変化すると、噴射開始点を検出するための公知の方法、特に独国特許出願公開第102009056381号明細書から公知の方法が、ポンプ波形17に対する噴射事象の位相位置に応じて変化する結果を返す。その結果、実際の噴射開始点に関する評価精度が制限されている。そこで、本発明が適用される。特に、単一アキュムレータの圧力分析の評価精度が、当該方法によって向上され得る。
【0044】
図3Aは、制御変数iに対してプロットされている単一アキュムレータの圧力の経時変化pのグラフである。この場合、実線で示された曲線23は、噴射事象に対してまだ補正されていない単一アキュムレータの圧力の経時変化を示す。この噴射事象では、その噴射開始点が、ポンプ波形17の上昇領域内に存在する。最初に、圧力pが、ポンプ波形17と共に上昇し、次いで、開始する噴射に起因して降下することが、明らかに認識可能である。この場合、圧力pは、噴射の終了の時点の近辺で最小値を通過し、次いで再び上昇する。何故なら、単一アキュムレータ13が、蓄圧容器7から蓄圧されるからである。
【0045】
このとき、最初に、単一アキュムレータの圧力の経時変化の第1勾配の経時変化が計算される。
【0046】
図3Bは、制御変数iに対してプロットされている第1勾配の経時変化grad pのグラフである。この場合、最初に、第1勾配の経時変化 grad pが、上昇するポンプ波形17に起因して正の値を有し、次いで、開始する噴射の結果として降下することが分かる。したがって、第1勾配の経時変化grad pは、それぞれの変数iで最も激しく降下する単一アキュムレータの圧力の経時変化の領域内で最小値MINを通過する。次いで、第1勾配の経時変化grad pは、当該噴射の終了に対して再び上昇する。
【0047】
上記方法の範囲内では、最初に、第1勾配の経時変化grad pの極小値MINが算出される。次いで、制御変数iのより小さい値に向かって、すなわち極小値MINの左側に存在する点が算出される。この点では、第1勾配の経時変化grad pは、既定の第1デフォルト値VWに等しい。この点のx座標値が、テスト噴射開始点TSのx座標値iTSとして定められる。この場合、図3Bでは、第1勾配の経時変化grad pに割り当てられたy座標値が、符号TSgで示されている。
【0048】
好ましくは、上記単一アキュムレータの圧力の経時変化は、−既に記載されているように−第1勾配の経時変化grad pの計算前にフィルタリングされる。この場合、第1勾配の経時変化grad pは、当該単一アキュムレータの圧力の経時変化から計算される。
【0049】
図3Aによれば−x座標値imin左側に設定されたテスト噴射開始点TSのx座標値iTSを起点として、既定の期間Δiをあけて左側に設定されたx座標値iTWが、単一アキュムレータの圧力の経時変化pに対して探し出される。したがって、x座標値iTWに割り当てられているy座標値である単一アキュムレータの圧力の経時変化pの値が算出される。このy座標値は、テスト値TWとして確定される。
【0050】
ここでは一点鎖線で示された直線25が、テスト値TWとテスト噴射開始点TSとによって−少なくとも仮想的に−設定され、テスト値TWとテスト噴射開始点TSとの間の直線25の対応する直線勾配が計算される。当該方法の好適な実施の形態では、ランプ状の補正関数が、この直線勾配を用いてエンジン特性マップを参照して算出される。
【0051】
x座標上の期間Δiは、テスト期間に相当する。このテスト期間内では、単一アキュムレータの圧力の経時変化pの傾向が、上記のテスト値TWとテスト噴射開始点TSとの間の直線勾配によって算出される。このとき、特に未フィルタリング処理の単一アキュムレータの圧力の経時変化pが、上記のランプによってオフセットされることによって、当該単一アキュムレータの圧力の経時変化pは、−図3Aに示されているように−このテスト期間Δi中に補正される。さらに図3Aには、補正期間Δi中に補正された当該単一アキュムレータの圧力の経時変化が、破線で示された曲線部分27として示されている。
【0052】
この場合、上記の補正された単一アキュムレータの圧力の経時変化が、テスト期間Δi中にx座標に対して完全に平行に延在しないことが分かる。すなわち、ポンプ波形17によって引き起こされた勾配が、完全に補正されない。また、本発明の範囲内では、未補正の単一アキュムレータの圧力の経時変化の具体的な勾配に応じて、当該勾配の完全でない補正を実行するか又はそうではなくて当該勾配の過補正を実行することが可能である。明らかに、完全な補正を当該具体的な勾配に応じて実行することも可能である。この場合は、当該単一アキュムレータの圧力の経時変化が、曲線部分27の領域内でx座標に対して平行に延在する。補正関数、ここでは特に、上記直線勾配によって決まるランプを有するエンジン特性マップ内では、このことが、適切に考慮されている。この場合、上記噴射開始点を決定するための非常に正確な結果が得られるように、上記の補正関数又はランプが選択される。
【0053】
本発明の範囲内では、特に評価窓が、上記の単一アキュムレータの圧力の経時変化と勾配の経時変化とを分析するために確定される。この場合、ここでは、1つの評価窓が、制御変数iの1つの期間を意味する。この場合、すなわち、制御変数iの最小値と最大値との間の制御変数iの留意すべき1つの領域が決定される。この場合、制御変数iの最小値が、当該留意すべき領域に対して決定される。すなわち、左側の境界値が、当該評価窓に対して決定される。この評価窓内では、テスト噴射開始点TSのx座標値iTSを起点として、x座標値iTSに対して既定の期間をあけて、留意すべき1つのx座標値が、境界値として確定される。この場合、当該方法の好適な実施の形態では、テスト値TWに割り当てられたx座標値iTWが、左側の境界値として使用されることが提唱されている。それ故に、このとき、当該既定の期間は、テスト期間Δiに完全に一致する。しかしながら、当該既定の期間とは違う規定も、当該左側の境界値を算出するために当然に可能である。この場合は、x座標値iTWとは違うx座標値が、左側の境界値として発生する。特に、これに応じて、−既に記載されているように−右側の境界値も、当該評価窓に対して決定される。これに対しては、独国公開公報102009056381A1及び上記の構成を参照のこと。
【0054】
上記の補正された単一アキュムレータの圧力の経時変化は、上記評価窓内で有益にフィルタリングされる。
【0055】
次いで、第2勾配の経時変化が、上記評価窓内で補正されて有益にフィルタリングされた単一アキュムレータの圧力の経時変化から計算される。一般に、この第2の勾配の経時変化は、図3Bに示された第1勾配の経時変化に似ている。したがって、新たな図は必要でない。当該第2勾配の経時変化の極小値が、当該評価窓内で算出される。
【0056】
上記方法の好適な実施の形態では、上記極小値の左側に隣接している点が、噴射開始点として算出される。当該方法では、上記第2勾配の経時変化が、既定の第2デフォルト値に相当する。この場合、図3Bに基づいて説明したのと同様に、テスト噴射開始点TSが算出される。特に、当該第2デフォルト値は、第1デフォルト値VWに等しい。この代わりに、当該第2デフォルト値が、第1デフォルト値VWとは違うように選択されることも可能である。
【0057】
こうして補正された単一アキュムレータの圧力の経時変化に基づいて算出された噴射開始点が、決定された噴射開始点として定められることが可能である。
【0058】
この代わりに、代表噴射開始点及びテスト噴射開始点が、上記評価窓内で補正された単一アキュムレータの圧力の経時変化から決定されることが可能である。この場合、この代表噴射開始点が、このテスト噴射開始点に対して妥当性をチェックされる。この場合、独国公開公報102009056381A1に詳しく記載されている方法が実行される。したがって、上記の構成のほかに、この明細書の開示内容も参照のこと。すなわち、当該開示内容は、本出願の開示内容中に十分に記載されている。しかしながら、当該独国公開公報102009056381A1による方法とは違って、ここで提唱されている方法にしたがって補正された当該単一アキュムレータの圧力の経時変化は、本発明の方法を基礎にしている。
【0059】
図4は、上記の本発明の方法の好適な実施の形態をフローチャートとして概略的に示す。ステップST1では、当該方法が開始する。後続するステップST2では、単一アキュムレータの圧力の経時変化が、測定期間内に時分割検出される。
【0060】
ステップST3では、ステップST2で検出された単一アキュムレータの圧力の経時変化の勾配の経時変化が計算される。
【0061】
後続するステップST4では、上記勾配の経時変化の極小値が算出され、この極小値の左側に設定されたテスト噴射開始点が、点として探し出される。このテスト噴射開始点では、その勾配の経時変化が、既定の第1デフォルト値に相当する。
【0062】
後続するステップST5では、上記単一アキュムレータの圧力の経時変化のテスト値が、上記テスト噴射開始点のx座標値に対して左側に既定の期間をあけて算出される。この場合、後続するステップST6では、上記テスト値と、上記単一アキュムレータの圧力の経時変化の、上記テスト噴射開始点又はこのテスト噴射開始点のx座標値に割り当てられているy座標値との間の直線勾配が計算される。
【0063】
後続するステップST7では、補正関数、特にランプが、上記直線勾配を用いてエンジン特性マップから算出される。ステップST8では、上記テスト値のx座標値と上記テスト噴射開始点のx座標との間のテスト期間内に単一アキュムレータの圧力の経時変化が、当該エンジン特性マップによって補正される。このステップST8では、当該単一アキュムレータの圧力の経時変化が、特にランプによって乗算されるか、又は、ランプによって、当該単一アキュムレータの圧力の経時変化に加算される。
【0064】
ステップST9では、左側の少なくとも1つの境界値が、上記噴射開始点を算出するための評価窓に対して決定される。特に、ステップST9では、右側の境界値も、この評価窓に対して確定される。したがって、このステップST9は、図4に示されなかった位置で実行されなければならないことが分かる。むしろ、評価窓又はこの評価窓に対する境界値を、当該方法の別の、特により早い位置で適切に確定することも可能である。当該補正された単一アキュムレータの圧力の経時変化は、この評価窓内で有益にフィルタリングされる。
【0065】
ステップST10では、勾配の経時変化が、補正されて有益にフィルタリングされた上記単一アキュムレータの圧力の経時変化から計算される。この場合、後続するステップST11では、この勾配の経時変化の極小値が算出される。
【0066】
最後に、ステップST12では、噴射開始点が、上記極小値の左側に隣接している点として算出される。この噴射開始点では、上記の補正された単一アキュムレータの圧力の経時変化から計算された勾配の経時変化が、既定の第2デフォルト値に相当する。特に、当該第2デフォルト値は、上記テスト噴射開始点を算出するために使用された第1デフォルト値に等しい。
【0067】
ステップST13では、上記方法が終了する。
【0068】
以上により、特に単一アキュムレータの圧力の信号の勾配を、上記噴射開始点の領域内のポンプ波形の勾配に応じて補正すること、すなわち、単一アキュムレータの圧力分析の評価精度を著しく向上させることが、上記方法によって可能であることが分かる。このとき、当該ポンプ波形上の噴射開始点の補正された位相位置は、上記の単一アキュムレータの圧力のアルゴリズムによって認識された噴射開始点にもはや影響しない。
【符号の説明】
【0069】
1 内燃機関(エンジン)
3 制御装置
5 燃料噴射システム
7 蓄圧容器(コモンレール)
9 高圧ポンプ
11 インジェクタ
13 単一アキュムレータ
15 単一アキュムレータ圧力センサ
17 ポンプ波形、実曲線
19 第1噴射事象
21 第2噴射事象
23 単一アキュムレータの圧力の経時変化
25 直線
27 曲線部分
S1 第1噴射開始点
S2 第2噴射開始点
TS テスト噴射開始点
TW テスト値
VW デフォルト値
MIN 極小値
TSg 第1勾配の経時変化の値
ST1−ST13 ステップ
図1
図2
図3A
図3B
図4