(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6373368
(24)【登録日】2018年7月27日
(45)【発行日】2018年8月15日
(54)【発明の名称】自動車の予測制御
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20180806BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20180806BHJP
B60R 21/00 20060101ALI20180806BHJP
【FI】
G08G1/16 C
G08G1/09 H
B60R21/00 991
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-518876(P2016-518876)
(86)(22)【出願日】2014年4月16日
(65)【公表番号】特表2016-521883(P2016-521883A)
(43)【公表日】2016年7月25日
(86)【国際出願番号】EP2014057690
(87)【国際公開番号】WO2014198440
(87)【国際公開日】20141218
【審査請求日】2015年12月10日
(31)【優先権主張番号】102013210923.7
(32)【優先日】2013年6月12日
(33)【優先権主張国】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン キューパーコッホ
(72)【発明者】
【氏名】ジャニーヌ シュヴァーツコプフ
【審査官】
高田 元樹
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−043498(JP,A)
【文献】
特開2004−078333(JP,A)
【文献】
特開2008−207729(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00−99/00
B60R 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向制御及び/又は横方向制御を含む推奨誘導を提供する運転ストラテジーに基づいて自動車(105)を制御するための方法(200)であって、
当該方法は、
・第1の走査装置(120)が前記自動車(105)の周囲を走査した結果に依存して、処理装置(110)が前記自動車(105)の前記運転ストラテジーを特定するステップ(215)と、
・第2の走査装置(120)が複数の先行自動車(122)の複数の運転ストラテジーを検出するステップ(225)と、
・前記複数の先行自動車(122)の前記複数の運転ストラテジーが相互に対応しており、かつ、前記自動車(105)及び前記複数の先行自動車(122)の前記運転ストラテジー同士が相違していることを、前記処理装置(110)が特定するステップ(230)と、
・前記複数の先行自動車(122)の前記複数の運転ストラテジーのうちの1つに従って、前記処理装置(110)が前記自動車(105)を誘導するステップ(250)と、
を含んでおり、
前記誘導するステップ(250)の前に、前記処理装置(110)は、前記複数の先行自動車(122)の前記複数の運転ストラテジーを危険の可能性について検査し(245)、
当該危険の可能性が事前に定められた閾値よりも低い場合にのみ、前記処理装置(110)は、前記誘導するステップ(250)において、前記複数の先行自動車(122)の前記複数の運転ストラテジーのうちの1つに従って前記自動車(105)を誘導し、
前記複数の先行自動車(122)の前記複数の運転ストラテジーのうちの1つから導出された推奨誘導を格納するステップ(240)と、
同じ場所を再び走行する際に、当該格納されている推奨誘導に基づいて前記自動車(105)を誘導するステップ(235)と、
をさらに含む、
ことを特徴する方法(200)。
【請求項2】
前記先行自動車(122)の前記運転ストラテジーから導出された推奨誘導を、他の自動車(105、122)に提供するステップ(240)をさらに含む、請求項1記載の方法(200)。
【請求項3】
前記自動車(105)又は前記先行自動車(122)の前記運転ストラテジーは、前記自動車(105)又は前記先行自動車(122)の前後方向制御(160)に関する、請求項1又は2記載の方法(200)。
【請求項4】
前記自動車(105)又は前記先行自動車(122)の前記運転ストラテジーは、前記自動車(105)又は前記先行自動車(122)の横方向制御(150)に関する、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法(200)。
【請求項5】
前記運転ストラテジーに基づいて提供される前記推奨誘導は、前記自動車(105)の前記前後方向制御及び/又は前記横方向制御への介入(235、250)を含む、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法(200)。
【請求項6】
前記運転ストラテジーに基づいて提供される前記推奨誘導は、前記自動車(105)の前記前後方向制御及び/又は前記横方向制御への介入(235、250)を含み、前記前後方向制御及び/又は前記横方向制御への介入(235、250)は、推奨される経路に関する制御、避けるべき領域に関する制御、推奨速度に関する制御又は速度に対する警告、の少なくとも1つを含む、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法(200)。
【請求項7】
処理装置(110)上で実行される場合に、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法(200)を実行するためのプログラムコードを備えたコンピュータプログラム。
【請求項8】
請求項7記載のコンピュータプログラムが格納されている、コンピュータ読み出し可能なデータ担体。
【請求項9】
前後方向制御及び/又は横方向制御を含む推奨誘導を提供する運転ストラテジーに基づいて自動車(105)を制御するための装置(100)であって、
当該装置(100)は、
・前記自動車(105)の周囲を走査する第1の走査装置(120)と、
・前記周囲の走査結果に依存して前記自動車(105)の前記運転ストラテジーを特定する処理装置(110)と、
・複数の先行自動車(122)の複数の運転ストラテジーを走査する第2の走査装置(120)と、
・前記複数の先行自動車(122)の前記複数の運転ストラテジーから導出された推奨誘導を格納するデータメモリ(125)と、
を含んでおり、
・前記処理装置(110)は、前記複数の先行自動車(122)の前記複数の運転ストラテジーが相互に対応しており、かつ、前記自動車(105)及び前記複数の先行自動車(122)の前記運転ストラテジー同士が相違していることを特定し、前記複数の先行自動車(122)の前記複数の運転ストラテジーを危険の可能性について検査し、当該危険の可能性が事前に定められた閾値よりも低い場合にのみ、前記複数の先行自動車(122)の前記複数の運転ストラテジーのうちの1つに従って前記自動車(105)を誘導するように構成されており、
・前記処理装置(110)は、同じ場所を再び走行する際に、前記データメモリ(125)に格納されている推奨誘導に基づいて前記自動車(105)を誘導するように構成されている、
ことを特徴とする装置(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の制御に関する。特に、本発明は、周囲に他の自動車がある自動車の制御に関する。
【0002】
従来技術
自動車運転手支援システムは、前後方向または横方向での自動車制御時に、運転手を支援するように構成されている。例えば、ブレーキ支援システムは、緊急ブレーキを作動させることができる。ここでは、車両の前進速度が低減される。別の例では、横滑り防止装置(ESP)が、操舵介入または制動介入によって、横方向における自動車走行を安定させる。
【0003】
幾つかの支援システム、例えば駐車支援システムは、自動車の制御に直接的に介入するのではなく、危険が生じ得ることを示唆するために、自動車運転手に信号を出力する。上述したブレーキ支援システム等の他の支援システムは自動車の制御に介入することができ、通常は運転手がその機能を停止させることはできない。他の運転手支援システムによっても、自動車の半自動誘導または全自動誘導が可能である。従って、運転手は、誘導にほぼ介入しなくてよい、または、誘導に全く介入しなくてよい。ここで自動車の運転手とこのシステムとは通常、最適な車両誘導を実現するために、相互に影響を与え合うことができる。
【0004】
多くの運転手支援システムではその機能は、自動車に搭載されているセンサの検出領域内のデータ、または、格納されている情報の形態で提供されるデータ、例えば地図データに制限されている。幾つかのケースでは、近辺に現下の状況を迅速に提供するために、個々の自動車間で補足情報の伝達を行うことも可能である。それにもかかわらず、自動車の極力良好な誘導を半自動または全自動で実行するのに十分な情報が存在しないことがしばしばある。例えば、自動車に搭載されているセンサによって検出することができない、予期されていない障害物を、自動車の運転ストラテジーを特定するために考慮することはできない。
【0005】
従って本発明の課題は、自動車の改善された制御のための改善された方法、コンピュータプログラム製品および装置を提供することである。本発明は上述の課題を、独立請求項の特徴部分に記載された構成を有する方法、コンピュータプログラム製品および装置を用いて解決する。従属請求項は、有利な実施形態を表している。
【0006】
本発明の開示
自動車を制御するための本発明の方法は、周囲に依存して運転ストラテジーを特定するステップと、先行自動車の運転ストラテジーを検出するステップと、これらの運転ストラテジー同士が相違していることを特定するステップと、先行自動車の運転ストラテジーに従って自動車を誘導するステップとを含んでいる。
【0007】
これによって自動車は先行自動車に従って誘導され、このようにして、先行自動車において運転ストラテジーの変更のために用いられた認識を利用することができる。この振る舞いは、運転初心者のそれと似ている。運転初心者は、自身の運転ストラテジーを周囲の自動車に合わせる。従って、先行自動車は有しているが、制御されるべき自動車は有していない情報を判断形成のために走査して、制御されるべき自動車に転送する必要がなくなる。むしろ、自動車の誘導は、先行車の観察されている運転ストラテジーに基づいて行われる。従って、データを伝送すること、特に、情報走査装置および伝送装置を先行車に設けることは必要ない。特に、先行車が、運転手によって操縦されているか、または、運転手支援システムによって誘導されているかは関係ない。
【0008】
有利な実施形態では、複数の先行自動車の運転ストラテジーが特定され、これらの運転ストラテジーが相互に相当し、かつ、特定された運転ストラテジーと異なっている場合に、自動車が、これらのストラテジーのうちの1つに従って誘導される。複数の自動車の運転ストラテジーを考慮することによって、先行自動車の運転時の過失または誤って選択された運転ストラテジーを受け継いでしまうのをより良好に回避することができる。
【0009】
特に有利な実施形態では、付加的に、先行自動車の運転ストラテジーから導出された推奨誘導が、他の自動車に提供される。この提供は、特に、車両間コミュニケーション(Car−to−Ca
r、C2C)ないしは車両とインフラストラクチャーとの間のコミュニケーション(Car−to−Infrastructure、C2I)を用いた、例えば、いわゆるコンピュータクラウド内にある中央部または周辺自動車へのこの推奨誘導の伝達を含み得る。
【0010】
上述したバリエーションと組み合わせ可能である別のバージョンでは、推奨誘導を格納することも可能である。自動車が後に同じ箇所を再び走行すると、この自動車は、格納されている推奨に基づいて誘導される。これによって、特に、中期的または長期的に有効な情報、例えば工事または道路の損傷への示唆を自動車の誘導に使用することが可能になる。従って、この自動車は、同じ箇所を再び通過する際に、先行自動車がいないときでも、最適な運転ストラテジーを使用することができる。
【0011】
別の実施形態では、先行自動車の運転ストラテジーが危険の可能性に関して検査され、危険の可能性が事前に定められた閾値よりも低い場合、自動車は先行自動車のこの運転ストラテジーに従ってのみ誘導される。従って、自動車が有している情報に基づいていつもならば選択されていないであろう運転ストラテジーによって自動車の危険を低減させることができる。従って、特に、先行自動車の予期せぬ行動または誤った行動が、選択した運転ストラテジーに影響を与えることはない。
【0012】
種々の実施形態では、運転ストラテジーは、前後方向制御または横方向制御または両者に関する。これによって、柔軟に、自動車の重要な走行パラメータに影響を及ぼすことができる。従って、先行車の、外から識別可能な運転ストラテジーは比較的容易に、かつ、確実に、理解可能である。
【0013】
有利には、この誘導は、自動車の前後方向制御または横方向制御への介入を含んでいる。他の実施形態では、自動車運転手への示唆の出力も行われる。この示唆は、上述した推奨誘導に相当する。特に、この示唆は、自動車の前後方向制御または横方向制御に関する。
【0014】
本発明のコンピュータプログラム製品は、このコンピュータプログラム製品が処理装置上で動作する場合またはこのコンピュータプログラム製品がコンピュータ読み出し可能なデータ担体に格納されている場合に、記載された方法を実行するプログラムコード手段を備えている。
【0015】
自動車を制御するための本発明の装置は、周囲を走査する第1の走査装置と、この周囲に依存して運転ストラテジーを特定する処理装置と、先行自動車の運転ストラテジーを走査する第2の走査装置とを含んでいる。ここでこの処理装置は、これらの運転ストラテジー同士が相違している場合に、自動車を、先行自動車の運転ストラテジーに従って誘導するように構成されている。この装置は、既に自動車に搭載されている1つまたは複数の制御機器を含み得る。従って、僅かなコストで、既存の自動車に、制御を改善するための改造を施すことができる。
【0016】
次に、本発明を、添付された図面に関連してより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図2】
図1に示されている自動車を制御する方法のフローチャート
【実施例】
【0018】
図1は、自動車105に搭載されている制御装置100を示している。この装置100は、処理装置110を含んでいる。この処理装置110は、有利には、コンピュータプログラム製品を実施するための、プログラミング可能なマイクロコンピュータ115を含んでいる。さらに、自動車105の周囲を走査するために走査装置120が設けられている。この走査装置120は、有利には、自動車105の走行方向に延びている検出領域を有している。例えば、この走査装置120は、カメラ、レーダーセンサ、LIDARセンサ、超音波センサ、または、複数のセンサの組み合わせを含み得る。以降でより詳細に説明するように、検出装置120は有利には、先行自動車122の周囲を走査するようにも構成されている。さらに有利には、複数の先行自動車122も検出され、それらの運転ストラテジーが走査される。または、1台または複数台の先行自動車122の前を走行する自動車122が走査される。
【0019】
選択的に、制御装置100はさらに、特に、自動車105の周囲に関する情報を提供するためのデータメモリ125を含む。このデータメモリ125は、例えば、自動車105の周囲の地図情報を提供する。この地図情報へのアクセスを改善するために、特に、衛星によってサポートされたポジショニング装置を、自動車105の位置を特定するために設けることができる。特定されたこの位置に基づいて、データメモリ125から、自動車105の周囲に関する情報が読み出される。データメモリ125は、自動車105に搭載されている衛星ナビゲーションシステムの一部であり得る。
【0020】
選択的に、伝達装置130を設けることもできる。自動車105の周囲または自動車105の制御の推奨に関する情報が、この伝達装置130によって送信される、または、受信される。ここで、他の自動車、インフラストラクチャーまたは中央部との、一方向の通信または双方向の通信が行われ得る。ある実施形態では、このような情報は、いわゆるコンピュータクラウド135から伝達される、ないしは、コンピュータクラウド135へ伝達される。ここでこのコンピュータクラウド135は、要望にダイナミックに合わせられる、抽象化されたコンピュータインフラストラクチャーを含んでいる。
【0021】
走査装置120、データメモリ125または伝達装置130の情報に基づいて、処理装置110は、自動車105に対して1つの運転ストラテジーを特定する。この運転ストラテジーは特に、自動車105の前後方向制御および/または横方向制御に関する。簡単な実施形態では、自動車105の運転手のための出力装置140が設けられている。従って運転手に情報が提供され、この情報に基づいて、運転手は、事前に特定された運転ストラテジーに従うために、自動車105の前後方向制御ないしは横方向制御を自身で起こすことができる。出力装置140の、記載された形態と組み合わせ可能な他の形態では、自動車105の前後方向制御ないしは横方向制御への自動介入または半自動介入も、処理装置110によって生起され得る。このために、第1のインタフェース145が、横方向制御部150との接続のため、特に、自動車105の走行方向に影響を与える操舵部との接続のために設けられる。付加的にまたは選択的に、第2のインタフェース155が、駆動装置160との接続のため、特に自動車105の駆動モータ、または、制動装置(図示されていない)との接続のために設けられる。この第2のインタフェース155によって、自動車105の前後方向制御ないしは速度制御のための信号が伝達される。ある実施形態では、自動車105の運転手は、処理装置110による自動車105の前後方向制御ないし横方向制御の影響を、強めるまたは弱めることもできる。
【0022】
図2は、
図1に示された自動車105を制御する方法200のフローチャートを示している。この方法200は、特に、自動車105に搭載されている処理装置110ないしはプログラミング可能なマイクロコンピュータ115上で実行されるように構成されている。
【0023】
この方法200は、ステップ205において開始する。ここでは特に、走査装置120によって、自動車105の周囲が走査される。選択的に、ステップ210において、補足情報が提供される。この補足情報は例えば、データメモリ125から取り出された、または、伝達装置130によって受信されたものである。この補足情報は、特に、同じ場所を以前に走行した際に格納された推奨誘導を含み得る。この推奨誘導が、以前に同じ箇所を走行した他の自動車によって提供されてもよい。これを以降で、ステップ240に関連してさらに詳細に説明する。集められたこれらの情報に基づいて、次に、ステップ215において、自動車105に対して運転ストラテジーが特定される。この運転ストラテジーは、特に、自動車105の前後方向制御および/または横方向制御を含み得る。
【0024】
ステップ220では、先行自動車122が走査される。次に、ステップ225では、先行自動車122の運転ストラテジーが特定される。ここでは再び、特に、先行自動車122の前後方向制御または横方向制御が考慮される。
【0025】
ステップ230では、ステップ215において特定された、自動車105の運転ストラテジーと、ステップ225において特定された、先行自動車122の運転ストラテジーとの間に差があるか否かが求められる。ここで有利には、ある区間を走行した際の自動車105と自動車122の前後方向制御と横方向制御の時間的なオフセットのモデルを作るために、自動車105と先行自動車122との間の距離が考慮される。
【0026】
差がない場合には、自動車105は、ステップ235において、ステップ215において定められた運転ストラテジーに従って誘導される。この誘導は、特に、出力装置140を介した、運転手への、特定の運転ストラテジーへの示唆の出力、または、インタフェース155および145のうちの1つを用いた、自動車105の前後方向制御ないし横方向制御への直接的な介入を含み得る。
【0027】
しかし、ステップ230でこれらの運転ストラテジーが異なっていることが特定されると、ステップ240において、選択的に、先行自動車122の運転ストラテジーに基づく推奨誘導が提供される。推奨誘導は、有利には、速度等の、車両に関するパラメータによる自動車105ないし122の前後方向制御ないし横方向制御の抽象化であり、例えば、推奨される経路、避けるべき領域、推奨速度または一般的な警告、例えば高すぎる速度に対する警告を含み得る。推奨誘導は、データメモリ125内に格納可能である。付加的または択一的に、推奨誘導を、伝達装置130によって伝達することができる。これによって、例えばステップ210に関連して説明したように推奨誘導を有効利用することができる他の自動車105が、この推奨誘導を入手することが可能になる。
【0028】
選択的なステップ245では、先行自動車122の運転ストラテジーを受け継ぐことによる、自動車105への危険の可能性が特定される。例えば先行自動車122が一時的に対向車線に移ると、ステップ245において次のことが特定される。すなわち、同じ箇所で自動車105が対向車線に一時的に移るであろう時点で、対向車線上のトラフィックによって自動車105が危険に晒され得るか否かが特定される。ある実施形態では、危険が数値化され、閾値と比較される。危険がこの閾値を上回る場合、先行自動車122の運転ストラテジーに従うことによって生じるリスクが高いと評価される。従って、この方法200は、上述したステップ235へと続く。危険が十分に低いと評価される場合、または、ステップ245における危険特定が全く行われない場合には、自動車105はステップ250において、先行自動車122の運転ストラテジーに従って誘導される。このステップは、別の運転ストラテジーを用いるステップ235に相当する。
【0029】
ステップ235または250の後、この方法200は、ステップ205に戻り、再開される。
【0030】
図3は、
図1に示された自動車105の制御の第1の例300を示している。自動車105と、複数の先行自動車122とが道路305上を走行している。先行自動車122は、自動車105の搭載部で識別されていない障害物310を避けて走行する。これは例えば、車道上にある破裂したタイヤである。自動車105の搭載部で特定される運転ストラテジーは、例えば、単なる直線走行に関するものであろう。しかし、自動車105の搭載部で、先行自動車122のうちの1台または複数台が他の運転ストラテジーを選択し、障害物310の領域を避けて走行していることを特定することができる。自身で特定した運転ストラテジーと、先行自動車122で特定された運転ストラテジーとの間のこのような相違によって、自身で特定した運転ストラテジーを放棄して、自動車105は自動車122について走行する。
【0031】
1つのバリエーションでは、複数の先行自動車122のうちの1台の運転ストラテジーの受け継ぎは、次のことに依存し得る。すなわち、どの位多くの先行自動車122が、はじめに自身で選択した運転ストラテジーと異なる運転ストラテジーを選択しているのか、および、場合によっては、各先行自動車122の運転ストラテジーが類似しているか否かに依存し得る。例えば、複数の先行自動車122のうちの一台が、他の先行自動車122とは異なる側で障害物310を通過する場合、他の車の運転ストラテジーの受け継ぎは次のことに依存し得る。すなわち、先行自動車122のうちの多数がどのバリエーションを選択しているかに依存し得る。他のバリエーションでは、常に、直前を先行している自動車122の運転ストラテジーが受け継がれる。
【0032】
図4は、
図1に示された自動車105の制御の第2の例400を示している。自動車105と自動車122とは、道路405上を走行している。この道路の幅は細く、自動車が向かって近づいてくる場合には、自身の車線の中央にではなく、右側の車道縁部の領域に留まるのが有利である。向かって近づいてくる車両は、通常、自動車105よりも、先行自動車122によってより容易にないしはより早期に識別される。従って自動車105は、先行自動車122に倣って、右側の車道縁部に停止することができる。
【0033】
図5は、
図1に示されている自動車105の制御の第3の例500を示している。
図4に示されている第2の例400と類似して、自動車105と先行自動車122とは、道路505上を走行している。道路505の幅は狭く、向かって近づいてくる自動車510が通過することを可能にするためには、歩道515に一時的に移らなければならない。自動車105による先行自動車122の運転ストラテジーの受け継ぎは、
図4に関連して説明したように行われる。
【0034】
図6は、
図1に示されている自動車105の制御の第4の例を示している。自動車105と先行自動車122とは、左カーブを描いている道路605上を走行している。先行自動車122は、カーブ後の道路605において十分な視界を有している。従って、対向するトラフィックの車線もカーブ走行に使用可能であることを識別することができる。この運転ストラテジーは、内側ぎりぎりでのカーブ走行(Kurvenschneiden)としても知られている。自動車122のこの運転ストラテジーを観察することによって、自動車105の搭載部で、次のことが推測される。すなわち、今のところは対面交通を計算に入れるべきではなく、自動車122の運転ストラテジーが受け継ぎ可能である、ということが推測される。ある実施形態では、先行自動車122の経路を追って走行するだけでなく、内側ぎりぎりでのカーブ走行がすぐに開始される。従って先行自動車122の運転ストラテジーは、走行方向に対向している道路605に関して、あとにずらされる。従って受け継がれた運転ストラテジーは、道路605に関して、自動車122によって終了されるよりも早期に自動車105によって終了される。
【0035】
図7は、
図1に示されている自動車105の制御の第5の例700を示している。自動車105と複数の先行自動車122とが、道路705上にある。自動車105の搭載部では、複数の先行自動車122のうちの一台、有利には、離れている自動車122のうちの一台が急激に失速している、ないしは、既に停止していることが識別される。前方を先行している自動車122の失速に基づいて、早期に、次のことが推測される。すなわち、自動車105が渋滞の端に近づいていることが推測される。従って制動の運転ストラテジーが、先行自動車122のうちの一台によって早期に受け継がれる。従って制動時には、長い制動距離を利用し尽くすことができ、これによって、より安定した、ひいては事故の起こりにくい制動が可能になる。