【氏名又は名称原語表記】COMMISSARIAT A L’ENERGIE ATOMIQUE ET AUX ENERGIES ALTERNATIVES
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
シリル化ポリマーで少なくとも部分的に表面被覆されており、少なくとも一つの酸化還元メディエーターの一つ以上の分子で官能化されているナノ粒子であって、前記ナノ粒子の表面での前記メディエーターの前記分子の固定化が、前記シリル化ポリマー上におよび前記酸化還元メディエーター分子上にそれぞれ存在するエチレン、アセチレン及び又は芳香族単位の間で確立された非共有結合を介して起きている、上記ナノ粒子。
シリル化ポリマーが、少なくとも一つのエチレン、アセチレン及び/又は芳香族単位を有する前記シリル化ポリマーの少なくとも一つの前駆体の重合によって得られたものである、請求項1〜3のいずれか一項に記載のナノ粒子。
酸化還元メディエーター分子が、フェロセン;メチレングリーン;ナイルブルー;大環状有機金属錯体;キノン; フェノキサジン;テトラチアフルバレン;テトラシアノキノジメタン;ベンジルビオロゲン;トリス(2,2'-ビピリジン)コバルト(III)過塩素酸;インドフェノール;から選択される、請求項1〜6のいずれか一項に記載のナノ粒子。
前記メディエーター分子が、少なくとも一つのエチレン、アセチレン、及び/又は芳香族単位を含む少なくとも1つの基で官能化された形態で存在する、請求項7に記載のナノ粒子。
前記水溶性ポリマーが、ポリビニルアルコール、ポリエチレン-40ステアレート、ポリ(塩化ビニリデン-コ-塩化ビニル)、ポリ(スチレン-コ-無水マレイン酸)、ポリビニルピロリドン、ポリ(ビニルブチラール-コ-ビニルアルコール-コ-ビニルアセテート)、ポリ(無水マレイン酸-アルト -1-オクタデセン)、ポリ(塩化ビニル)、PEOX(ポリ(2-エチル-2-オキサゾリン))、PLGA(ポリ(乳酸-コ-グリコール酸))、およびそれらの混合物から選択される、請求項9に記載のナノ粒子。
請求項1〜10のいずれか一つに記載のナノ粒子、請求項12または13に記載の物質、請求項14に記載のインクの乾燥されたもの、または請求項15記載の少なくとも一つの電極をアノードとして含む燃料バイオ電池。
【背景技術】
【0002】
燃料バイオ電池、すなわち酵素バイオ電池は、二つの触媒の少なくとも一方が酵素である電池である。酵素触媒を使用する利点は、特に、有機分子を酸化または還元する能力にある。酵素触媒の第2の利点は、生理的電解液媒体中でその触媒能を活用することである。
【0003】
燃料バイオ電池の例として、WO2011/117357およびWO2005/096430に記載のバイオ電池を挙げることができる。
【0004】
これらのエネルギー源の開発を可能にするために、酵素バイオ電池の製造において、解決されるべき多くの問題が残っている。特に、今日のバイオ電池の電力を増加させることが、必要である。この点、例えば、酵素固定化技術の改善、酵素の化学構造の修飾、または酵素の活性中心と電極表面との間の電子移動の改善など、様々なルートが試みられている。
【0005】
近年多くの研究が、新規なエネルギー変換システムの開発について行われてきた。いくつかの燃料、例えばメタノール、エタノール、水素などは、広く研究されてきたが、グルコースは、医療応用のための理想的な燃料に留まっている。グルコース/酸素燃料電池、すなわちバイオ電池は、外部燃料供給を必要とすることなく、生体に移植することができるデバイス、特に医療デバイスにエネルギーを供給するための非常に有望なルートを構成している。グルコースは、哺乳動物における生理的液の構成要素であり(ヒト血液中5mM)、それは無毒である。燃料がグルコースであり、酸化剤が酸素分子であるそのような電池技術の開発は、移植可能なデバイス、特に医療分野において、例えば糖尿病検出に用いられるもの、あるいはまたはペースメーカーを供給するため、または聴覚的または視覚デバイスにおいて、大きな進歩を可能にするだろう。
【0006】
グルコースオキシダーゼ(GOx)であるホモ二量体酵素は、特には、グルコース代謝バイオセンサーの開発で観察される強い関心をもって、グルコース/酸素バイオ電池の設計に、疑いもなく最も広く使用される酵素である。これらのサブユニットのそれぞれは、D-グルコースに対する酵素活性に関与する酸化還元補因子:フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)を含む。GOxは、グルコースに対して非常に高い選択性を有する。具体的には、それはD-グルコースのみを優先的に酸化する。さらに、それは、生理的温度及びpH条件(37℃、〜7.4)下で、注目すべき活性および安定性を有する。これら二つの特徴は、このタンパク質を移植可能なグルコースバイオ電池の開発のための好適な候補とさせる。
【0007】
先に示したように、バイオ電池の開発は、電子を考慮の下の酵素の触媒部位からバイオ電池の電極に効率的に伝達することができることを含む。GOxに関しては、そのFAD酸化還元中心が、酵素のタンパク質囲い内に深く埋設されている。この局在は、酵素に良好な安定性を与えるが、それは、FADから電極への電子直接移動の開発に関する困難性を生む。すなわち、通常の条件下でのGOxの活性部位と電極との間の電子の移動は、非常に遅いか、あるいは存在さえしないプロセスである。この現象は、酵素の活性部位と電極の間の非常に大きな距離に起因している。電子受容体がメディエーターとして使用される場合は、活性部位と電極間の電子移動は容易になり得る。
【0008】
酵素の活性中心と電極表面との間の電子移動を改善するという問題は、バイオセンサーおよびバイオ検出器の分野においても遭遇される。
【0009】
Wilsonらは、グルコースオキシダーゼ(GOX) を用いたバイオセンサーを総説している(Biosensors & Bioelectronics, 1992, 7:165)。
【0010】
Tengらは、フェロセンで表面修飾されたZnOナノチューブを記載している(Biosensors &Bioelectronics, 2011, 26:4661)。ZnOのナノチューブは、アンモニア水の存在下にテトラエチルオルトシリケート(TEOS)で表面を修飾されている。これらの修飾されたナノチューブの上に、フェロセンモノカルボン酸が共有結合で接合されている。該ナノチューブはまた、抗体と結合され、抗原の検出のための電気化学的免疫学的測定法において使用される。
【0011】
Qiuら(Biosensors &Bioelectronics, 2009,24:2920)は、フェロセンがキトサンに共有桔合され、その後金ナノ粒子の上に吸着されている、キトサン/フェロセン/Auナノ粒子/グルコースフェロセンオキシダーゼ複合膜を記載している。その膜は、グルコースの検出のための電極の上に沈着される。
【0012】
Liangら(Electrochimica Acta, 2012, 69:167)は、ナノ粒子の表面に導入されたチオール官能基とフェロセンが有するビニル基との反応の結果生ずるクリックケミストリー法により、共有結合でフェロセンにより表面修飾されたFe
2O
3ナノ粒子を記載している。得られたナノ粒子は、グルコースの検出のために、グルコースオキシダーゼの存在の下、電極の上に使用される。
【0013】
Qiuら(Biosensors &Bioelectronics, 2009,24:2649)は、Fe
2O
3@Auナノ粒子をHS(CH
2)
6Fcと反応させることによって得られたフェロセンで共有結合的に表面修飾された金(Fe
2O
3@Au)で覆われたFe
2O
3ナノ粒子を記載している。得られたナノ粒子は、ドーパミンの検出のための電極に使用されている。
【0014】
Huら(J. Mol. Catal. B-Enzyme., 2011, 72:298)は、吸着によってまたは電着によってその表面に沈着された、特に多層カーボンナノチューブ、ZnOおよびGOxのナノ粒子を含む電極を記載している。その電極はグルコースの検出のために使用される。
【発明を実施するための形態】
【0051】
本発明のナノ粒子は、表面がシリル化ポリマーで少なくとも部分的にコーティングされまたは修飾され、および少なくとも1つの酸化還元メディエーターの1つ以上の分子で官能化されている。ナノ粒子の表面でのメディエーター分子の固定化は、シリル化ポリマーおよび酸化還元メディエーター分子上でそれぞれ存在する、エチレン、アセチレン及び/又は芳香族単位の間で確立される非共有結合を介して起こる。
【0052】
上記に指摘したように、ナノ粒子の表面でのメディエーター分子の固定化は、有利には、π-π型の相互作用を介して起こる。
【0053】
一実施形態に従い、本発明のナノ粒子は、金属酸化物であってもよい。
【0054】
一実施形態によれば、本発明での使用に適しているナノ粒子は、半導性ナノ粒子であってもよい。
【0055】
好ましくは、本発明での使用に適しているナノ粒子は、SiO
2、MgO、Al
2O
3、ZnO、CeO
2、TiO
2、およびZrO
2ナノ粒子、およびそれらの混合物から選択されるナノ粒子であってもよい。より好ましくは、本発明のナノ粒子は、ZnOナノ粒子であってもよい。
【0056】
本発明における使用に適しているナノ粒子は、2〜50nm、好ましくは10〜50 nm、好ましくは 15〜40 nm、さらにより好ましくは20〜30nmの範囲の平均サイズ直径を有することができる。
【0057】
本発明のナノ粒子の平均サイズ直径は、当業者に公知の任意の方法によって測定することができる。特には、ナノ粒子の平均サイズ直径は、光子相関分光法(PCS)により決定することができ、または透過型電子顕微鏡(TEM)により撮影された写真上で直接測定することができる。このような方法は、当業者に公知であり、本明細書においてさらに詳細に提示する必要はない。
【0058】
特には本発明の実施例に示されるように、本発明での使用に適しているナノ粒子は、当業者に公知の任意の技術を介して取得することができる。
【0059】
一例として、本発明での使用に適しているZnOナノ粒子は、両方とも水溶液中の水和硝酸亜鉛と炭酸ナトリウムを用い、共沈法によって得ることができる。硝酸亜鉛溶液が、室温で攪拌されながら、炭酸ナトリウム溶液へ滴下される。得られた溶液は、好ましく室温で少なくとも2時間、攪拌され得る。得られた沈殿物は濾過で分離され得る。回収された粉末は、例えば特に100℃のオーブン中で、乾燥され得る。固体は次いで焼成される。焼成は400°Cで4時間空気中で、行われ得る。
ケイ素アルコキシド
【0060】
本発明のナノ粒子は、表面でシリル化ポリマーにより、少なくとも部分的に被覆され、または修飾されている。
【0061】
本発明の一実施形態に従い、シリル化ポリマーは、ナノ粒子の表面に単分子層を形成することができる。
【0062】
ナノ粒子の表面のシリル化ポリマーは、少なくとも一つのエチレン、アセチレン及び/又は芳香族単位を有する少なくとも一つのシリル化ポリマーの前駆体の重合によって得ることができる。このシリル化ポリマー前駆体の重合は、シリル化ポリマーが、ナノ粒子の表面に単分子層を形成するように実行され得る。
【0063】
ナノ粒子の表面でのシリル化ポリマーの単分子層の存在は、例えば、ゼータ電位の決定によって、検証され得る。
【0064】
一実施形態に従い、シリル化ポリマー前駆体は、一般式(I):
R
1R
2R
3SiR
4
のケイ素アルキルアルコキシドであってもよい。
ここで:
- R
1、R
2、およびR
3は、同一または異なっていてもよく、R
5が、おそらく飽和、直鎖または分枝のC
1〜C
4アルキル基;またはハロゲン、特にClおよびFから選択されるハロゲン基を表すOR
5基を表す、および
- R
4は、適切な場合には、1個以上のヘテロ原子、例えば酸素または窒素、好ましくは酸素で中断され、及び/又はオキソ官能基を有する、少なくとも1つのエチレン、アセチレン及び/又は芳香族単位を有する、C
2 からC
10の直鎖状、分岐状又は環状の炭化水素をベースとする基を表すことができる。
【0065】
好ましい実施形態に従い、R
1、R
2およびR
3は、同一または異なっても良く、好ましくは同一であってもよく、R
5が上記または下記に定義された通りであり、またはハロゲンはCl及びFから選択される、OR
5基を表すことができる。
【0066】
好ましくは、R
1、R
2およびR
3は、同一または異なっても良く、好ましくは同一であってもよく、Cl及びFから選択されるハロゲンを表すことができる。
【0067】
より好ましくは、R
1、R
2およびR
3は、同一または異なっても良く、好ましくは同一であってもよく、R
5が上記または下記に定義されるOR
5基を表すことができる。
【0068】
好ましい実施形態に従い、R
5は、メチル、エチルおよびプロピルから選択される、好ましくはメチル及びエチルから選択されるアルキル基を表す。
【0069】
好ましくは、R
1、R
2およびR
3は、同一であり、そしてR
5がメチルまたはエチルであるOR
5から選択することができる。
【0070】
一実施形態に従い、R
4は、アリール基、特にフェニルまたはナフチル基、ビニル(またはエテニル)基、又はプロペニルまたはイソプロペニル基から選択される基を含み且つ、適切な場合、1つまたはそれ以上のヘテロ原子、例えば酸素または窒素、好ましくは酸素、で中断されており、及び又はオキソ官能基を有するC
2〜C
10の炭化水素をベースとする基であり得る。
【0071】
一実施形態に従い、R
4は、フェニルまたはナフチル基から選択されるアリール基を含む環状のC
6〜C
10の炭化水素をベースとする基であってもよい。
【0072】
一実施形態に従い、R
4は、任意的に酸素原子で中断され及び/又はオキソ官能基を有する、少なくとも一つのエチレン性またはアセチレン性不飽和を含む、直鎖状又は分枝状のC
2〜 C
8の炭化水素をベースとする基であってもよい。
【0073】
好ましくは、R
4は、酸素原子で中断され及び/又はオキソ官能基を有していてもよい。より好ましくは、炭化水素をベースとする鎖を中断する酸素とオキソ官能基は共役されていても良い。
【0074】
好ましい実施形態に従い、R
4は、少なくとも1つのエチレン性不飽和を含み、鎖が酸素原子で中断されかつ、オキソ官能基を有し、酸素原子とオキソ官能基は共役している、ビニル基、プロペニルまたはイソプロペニル基、及び分枝状のC
7炭化水素をベースとする基から選択されてもよい。
【0075】
好ましい実施形態に従い、R
4は、フェニル基、ビニル基、プロペニル基、イソプロペニル基、および基
-(CH
2)
3OC(O)C(CH
3)=CH
2
から選択することができる。
【0076】
より好ましくは、R
4は、フェニル基、ビニル基、プロペニル基、および基-(CH
2)
3OC(O)C(CH
3)=CHから選択されてもよい。
【0077】
より好ましくは、R
4は、フェニル基、ビニル基、及び基-(CH
2)
3OC(O)C(CH
3)=CH
2から選択されてもよい。
【0078】
本発明での使用に適しているケイ素アルコキシドは、トリメトキシビニルシラン(CAS番号2768-2-7)トリエトキシビニルシラン(CAS番号78-08-0)、トリエトキシフェニルシラン(CAS番号780-69-8)、トリメトキシフェニルシラン(CAS番号2996-92-1)、および2-メチルプロペン-2- オイルと3-(トリメトキシシリル)プロピルのエステル(CAS番号2530-85-0)、またはそれらの混合物から選択することができる。
【0079】
好ましくは、本発明での使用に適しているケイ素アルコキシドはトリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、トリエトキシフェニルシラン及びトリメトキシフェニルシランあるいはこれらの混合物からさえ選択されてもよい。
【0080】
好ましくは、本発明での使用に適しているケイ素アルコキシドは、トリメトキシビニルシランである。
酸化還元メディエーター分子
【0081】
少なくとも部分的にシリル化ポリマーで表面がコーティングされたまたは修飾されたナノ粒子は、少なくとも一つの酸化還元メディエーターの一つ以上の分子で官能化されている。
【0082】
本発明での使用に適している酸化還元メディエーター分子は、フェロセン;メチレングリーン;ナイルブルー;大環状有機金属錯体、例えばポルフィリンおよびフタロシアニン;キノン;フェノキサジン、例えばメチレンブルーまたはトルイジンブルー;テトラチアフルバレン;テトラシアノキノジメタン;ベンジルビオロゲン;トリス(2,2'-ビピリジン)コバルト(III)過塩素酸;インドフェノール、例えばジクロロフェノールインドフェノール;から選択されることができ、好ましくは、フェロセンから選択される。
【0083】
好ましくは、本発明での使用に適している酸化還元メディエーター分子は、フェロセン分子である。
【0084】
本発明での使用に適している酸化還元メディエーター分子は、少なくとも一つのエチレン、アセチレン、および/または芳香族単位を有する少なくとも一つの基で官能化された形で存在する。
【0085】
本発明での使用に適している、少なくとも一つの、エチレン、アセチレン及び/又は芳香族単位を含む基は、適切な場合には、一つ以上のヘテロ原子、例えば酸素または窒素、好ましくは酸素で中断され、及び/又はオキソ官能基を有しても良い、アリール基、特にフェニルまたはナフチル基、ビニル基、又はプロペニルまたはイソプロペニル基、から選ばれる基を含むC
2〜C
10炭化水素をベースにする基であってもよい。
【0086】
特に、このような基は、前記のR
4基の定義を満たすことができる。
【0087】
少なくとも一つのエチレン、アセチレン及び/又は芳香族単位を含む基は、酸化還元メディエーター分子に直接又はスペーサーを介して結合されていてもよい。
【0088】
本発明での使用に適しているスペーサーはアルキル単位、特にC
1-C
4であるアルキル単位、及び/又は特にClとFから選択されるハロゲン単位で置換されてもよく、および/または、ヘテロ原子、特にO又はN、及び/又はアミド、エステル又はエーテル基で中断されていても良い、C
1-C
10の炭素をベースとする鎖であっても良い。スペーサーアームの存在と性質の選択は、当業者の一般的知識内である。特に、酸化還元メディエーター分子と、少なくとも一つのエチレン、アセチレン及び/又は芳香族単位を含む基との間のスペーサーの性質の選択は、このスペーサーが、シリル化ポリマー上に存在するエチレン、アセチレンおよび/または芳香族単位への非共有結合、特にはπ-π型の相互作用を経由する結合をするための、エチレン、アセチレンおよび/または芳香族単位の能力に、少なくとも実質的に影響を与えるべきでないことを考慮しながら、当業者の一般知識に基づいてなされる。
【0089】
これは、適切な動作条件を使用するための、酸化還元メディエーター分子の性質、およびその上にグラフト結合される少なくとも一つのエチレン及び/又は芳香族単位を含む基の性質に依存して、当業者の一般的知識の範囲内に帰する。これらの条件は、したがって、本明細書でさらに詳細に提示される必要はない。
【0090】
本発明における使用に適する、このように修飾された酸化還元メディエーター分子は市販されている。本発明における使用に適している、このように修飾された酸化還元メディエーターとして、ビニルフェロセン(CAS番号1271-51-8)およびフェロセニルメチルメタクリレート(CAS番号31566-61-7)が、非限定的に挙げられ得る。
水溶性高分子
【0091】
本発明のナノ粒子は、表面に少なくとも一つの水溶性ポリマーを含むことができる。このようなポリマーは、ナノ粒子の表面に吸着させられることができる。水溶性ポリマーの使用は、有利には、本発明のナノ粒子の表面に位置する酸化還元メディエーター分子の、液中に均一な分散を得ることを可能にする。特に、このようなポリマーは、不溶性で非分散性であるメディエーターの形成を促進することを可能にすることができる。
【0092】
本発明での使用に適している水溶性ポリマーは、ポリビニルアルコール、ポリエチレン40-ステアレート、ポリ(塩化ビニリデン- コ-塩化ビニル)、ポリ(スチレン -コ - 無水マレイン酸)、ポリビニルピロリドン、ポリ(ビニルブチラール-コ-ビニルアルコール-コ -ビニルアセテート)、ポリ(無水マレイン酸-アルト-1-オクタデセン)、ポリ(塩化ビニル)、PEOX(ポリ(2-エチル-2-オキサゾリン))、PLGA(ポリ(乳酸 - コ - グリコール酸))、及びこれらの混合物から選択することができる。
【0093】
好ましくは、本発明で使用するのに適している水溶性ポリマーは、ポリビニルアルコール(PVA)である。
ナノ粒子を調製するための方法
【0094】
本発明のナノ粒子の調製方法は、少なくとも以下のステップを含んでもよい:
a-有機溶媒中に分散され
たナノ粒子
、好ましくは金属酸化物
のナノ粒子、を用意すること、
b-前記ナノ粒子を、反応性エチレン、アセチレン及び/又は芳香族単位を有するシリル化ポリマーの形成に有利な、かつ前記ナノ粒子の表面への少なくとも部分的な沈着に有利な条件下で、少なくとも一つのエチレン、アセチレン及び/又は芳香族単位を含む、少なくとも一つのシリル化ポリマー前駆体と接触させること、
c-工程bで得られたナノ粒子を、前記シリル化ポリマーおよび前記酸化還元メディエーター分子上にそれぞれ存在する、エチレン、アセチレンおよび/または芳香族単位の間で確立された非共有結合、好ましくはπ-π型相互作用の確立を介して、前記ナノ粒子の表面に前記メディエーターの前記分子を固定するに適した条件の下、少なくとも一つのエチレン、アセチレン及び/又は芳香族単位を有する少なくとも一つの酸化還元メディエーター分子と接触させること。
【0095】
本発明の方法で使用されるナノ粒子は、特に先に定義された通りであってもよい。
【0096】
本発明の方法の工程aにおいて、ナノ粒子は、0.02〜20g / L、好ましくは0.1〜15g/L、の範囲、より好ましくは0.5〜10 g/Lの範囲、より好ましくは1〜5 g/Lの範囲、さらにより好ましくは約2g/Lの濃度で、有機溶媒中に分散されてもよい。
【0097】
本発明での使用に適した有機溶媒は、特に、イソプロパノール、テトラヒドロフラン(THF)、ブタノール、およびシクロヘキサノールから選択することができる。
【0098】
好ましくは、本発明における使用に適した有機溶媒はイソプロパノールである。
【0099】
本発明の方法の工程bは、有利には、好ましくは単分子層として、シリル化ポリマーを使用して表面修飾された、ナノ粒子を得ることを可能にする。
【0100】
本発明の方法の工程bにおけるナノ粒子の表面修飾は、特に先に定義されたケイ素アルコキシドを用いて行うことができる。
【0101】
このようなケイ素アルコキシドは、0.01〜10 g/L、好ましくは0.05〜8g/L、好ましくは0.1〜6g/L、より好ましくは0.4〜2g/L、好ましくは0.2〜4 g/L、又は更には0.6〜1 g/L、さらにより有利には0.6g/Lの割合で反応溶媒中で使用され得る。
【0102】
本発明において使用するのに適した反応溶媒は、特にイソプロパノール、テトラヒドロフラン(THF)、ブタノール、およびシクロヘキサノールから選択される、溶媒、または有機相であってもよい。
【0103】
好ましくは、本発明において使用するのに適した反応溶媒はイソプロパノールである。
【0104】
一実施形態に従い、本発明の方法において、工程bは、加水分解剤の存在下で行うことができる。そのような剤は、特にアンモニア水、水酸化ナトリウム、および水酸化カリウムから選択することができる。
【0105】
好ましくは、本発明における使用に適している加水分解剤はアンモニア水である。
【0106】
加水分解剤は、溶媒の重量に対して重量で5%〜50%、更には6%〜40%、又は更には7%〜30%、又は更には8%〜20%、または更に有利には、約10%の割合で用いてもよい。
【0107】
本発明の方法の工程bは、約20〜24°Cの範囲の室温で、約20〜30時間、好ましくは約24時間実行されることができる。
【0108】
好ましくは、この工程は、当業者によって通常使用される手段により攪拌しながら行われてもよい。
【0109】
本発明の方法の工程cは、有利には、酸化還元メディエーターの1以上の分子で表面修飾されたナノ粒子を得ることを可能にする。
【0110】
特に先に定義したように、この工程cは、酸化還元メディエーター分子を用いて行われ得る。
【0111】
本発明の方法の工程cにおいて、酸化還元メディエーターは、溶媒の重量に対して、0.25重量%〜25重量%、又は更に0.5重量%〜20重量%、又は更に1重量%〜15重量%、又は更には2重量%〜10重量%、又は更に3重量%〜8重量%、又は更には4重量%〜6重量%、さらにより有利には5重量%の割合で、反応溶媒中で使用され得る。
【0112】
本発明の方法の工程cの実施で、工程bに由来するナノ粒子は、回収され、単離され、そして先に定義されたように、反応溶媒、特に水性溶媒、特に水、または有機溶媒中に、溶媒の重量に対して0.25%〜25%、またはさらには0.5%から20%、またはさらには1%〜15%、又は更には2%〜10%、又は更には3%〜8%、又は更には4%〜6%、およびさらにより有利には、5%の重量割合で、分散され得る。
【0113】
工程cのために、本発明での使用に適している反応溶媒としては、例えば上記で定義されたように、特に水性相、特に水、または有機相から選択され得る。好ましくは、本発明において使用するのに適した反応溶媒は、水性相であり、より好ましくは水である。
【0114】
一実施形態に従い、本発明の方法において、工程cは室温、特に約20〜24℃の範囲の温度で行われ得る。工程cは、例えば、約2〜6日、または更に3から5日の期間にわたって、および好ましくは約4日間実行され得る。
【0115】
工程cは、好ましくは、当業者によって通常使用される手段によって攪拌しながら行なわれ得る。
【0116】
一実施形態に従い、本発明の方法はまた、工程c で得られたナノ粒子を少なくとも1つの水溶性ポリマーと、官能化されたナノ粒子の表面へ該ポリマーを、特に吸着により、固定化するのに有利な条件の下で接触させることを含んでいてもよい。
【0117】
好ましい実施形態の変形例によれば、工程c は、特に吸着により、固定化するための好ましい条件の下で、官能化されたナノ粒子の表面の、少なくとも1つの水溶性ポリマーの存在下で、実施され得る。
【0118】
本発明で使用するのに適している水溶性ポリマーは、特に先に定義したようであってもよい。
【0119】
水溶性ポリマーは、溶媒の重量に対して2%〜40%、あるいは3%〜30%、又は更には4%〜25%、または更には5%〜20%、またはさらには5%〜15%、またはさらには6%〜12%、又は更には8%〜10%、さらにより有利には10%の重量割合で溶媒中で使用され得る。
【0120】
水溶性ポリマーのための本発明における使用に適している溶媒は、特に上記で定義したようであってもよく、好ましくは水であってもよい。
【0121】
一実施形態に従い、本発明の方法はまた、特に遠心分離することによって、工程bの結果得られたナノ粒子を単離することからなる、工程bとcの間の中間工程、および任意的に前記単離されたナノ粒子を乾燥することからなる工程を含んでも良い。
【0122】
ナノ粒子を単離するこのような工程は、4000〜12000回転特に約8000回転(すなわち8000±500回転)の速度で、1分〜1時間、特に2分〜30分、特に10分の間、室温での遠心分離により行われ得る。
【0123】
分離工程の後、得られたナノ粒子は、乾燥工程に、次に粉砕工程に、供され得る。乾燥および粉砕工程は、当業者によって通常使用される任意の技術を介して実行され得る。
【0124】
一実施形態に従い、本発明の方法はまた、工程cの後に、ナノ粒子を結晶化することから成る、少なくとも1つの追加の工程を含んでいてもよい。このような工程は、液体窒素(N
2)中に工程cで得られたナノ粒子の分散体を滴下して浸漬することにより行うことができる。このようにして得られた沈殿物は、当業者によって通常使用される任意の技術を介して濾過され得る。
【0125】
一実施形態に従い、本発明の方法はまた、ナノ粒子の凍結乾燥からなる少なくとも一つの追加の工程を含んでもよい。凍結乾燥工程は当業者によって通常使用される任意の技術によって行われ得る。
【0126】
こうして得られたナノ粒子は、特に先に定義されているように、水性又は有機溶媒中に自己分散し得る凝集体の形態であってもよい。
【0127】
本発明の方法は、有利には、好ましくは単分子層として、シリル化ポリマーで表面被覆されまたは修飾され、及び酸化還元メディエーター分子で表面修飾されたナノ粒子を得ることを可能にする。ここでこれらの分子は、前記シリル化ポリマー、および前記酸化還元メディエーター分子上にそれぞれ存在する、エチレン、アセチレンおよび/または芳香族単位の間で確立された非共有結合、好ましくはπ-π型相互作用で、表面に固定化されている。
【0128】
本発明はまた、上記で定義された方法に従って得ることができるナノ粒子に関する。
凝集体
【0129】
前述したナノ粒子、好ましくは表面に少なくとも1つの水溶性ポリマーを含んでなるナノ粒子は、凝集体の形態で作られることができる。
【0130】
このような凝集体は、好ましくは約2〜3mmの平均直径を有するビーズの形態であってもよい。
【0131】
一実施形態に従い、本発明の凝集体は、親水性溶媒、好ましくは水性溶媒、より好ましくは水中に自己分散してもよい。
【0132】
本発明のナノ粒子の凝集体の分散は、有利には、インクの調合時、水相中、好ましくは水中で実施されてもよい。
【0133】
溶媒中の本発明のナノ粒子の凝集体の溶液または分散体の均一な性質は、巨視的なスケールで視覚的に、例えば、当分野で知られている任意の方法によって評価することができる。
凝集体を調製するための方法
【0134】
本発明の凝集体は、特に以下に詳述する方法に従って調製することができる。
【0135】
本発明の凝集体を調製するための方法は、少なくとも以下の工程を含むことができる:
-特に以前に定義されたように、本発明のナノ粒子の分散体を用意し、該ナノ粒子は、好ましくは、特に以前に定義されたように、表面に少なくとも1つの水溶性ポリマーを含むこと、
-液体窒素中に前記分散体を滴下して浸漬を行って固体物質を得ること、
-このようにして得られた固体物質を濾過により回収すること、および適切な場合には、
- このようにして回収された固体物質を凍結乾燥すること。
支持体物質
材料
【0136】
好ましい実施形態に従い、本発明のナノ粒子は、支持体物質の表面上に吸着されることができる。
【0137】
本発明において使用するのに適した支持体物質は、多層カーボンナノチューブ、単層カーボンナノチューブ、グラフェン、グラファイト、炭素繊維、及びフラーレンから選択することができる。
【0138】
好ましくは、本発明において使用するのに適した支持体物質は、多層カーボンナノチューブであってもよい。
【0139】
本発明における使用のために適切であり得るカーボンナノチューブは、約9.5 nmの直径と、少なくとも95%以上の純度を有していてもよい。
【0140】
本発明における使用に適している多層カーボンナノチューブは、少なくとも二つの層を含む。
【0141】
好ましくは、本発明において使用するのに適した支持体物質は、多層カーボンナノチューブで構成されている。このようなナノチューブは、有利には、燃料バイオ電池における本発明のナノ粒子の使用中に、電子伝導体として、すなわち酵素の触媒部位から電極への電子の移動を促進するように働く。
【0142】
一実施形態に従い、少なくとも1つの酵素はまた、この支持体物質の表面に吸着されてもよい。本実施形態に従い、本発明の支持体物質は、少なくとも本発明のナノ粒子、および少なくとも一つの酵素を表面上に共吸着されて、含むことができる。
酵素
【0143】
本発明での使用に適している酵素は、電子生成反応、および好ましくは酸化反応を触媒することをできる酵素であってもよい。
【0144】
好ましくは、本発明での使用に適している酵素は、グルコースの酸化を触媒することが可能である。このような酵素は、グルコースオキシダーゼ、セロビオースデヒドロゲナーゼ及びグルコースデヒドロゲナーゼから選択することができる。
【0145】
より好ましくは、本発明における使用に適した酵素は、グルコースオキシダーゼ(GOx)であってもよい。
【0146】
本発明での使用に適した酵素は、微生物からの抽出、特に、アスペルギルス・ニガーなどの細菌または酵母から、天然に又は遺伝子工学によって改変した後、それらを産生する当分野で公知の任意の方法、例えば抽出を介して得られ得る。このような方法は、当業者に知られており、本明細書でさらに詳細に提示する必要は生じない。
支持体物質の製造方法
【0147】
本発明の支持体物質は、特に以下に詳述する方法に従ってより特別に調製することができる。
【0148】
本発明の支持体物質を調製するための方法は、少なくとも以下の工程を含んでもよい:
-生理的学的に許容される溶媒、好ましくは、水性溶液、さらにより好ましくは水の中の支持体物質の分散体を用意すること、
- 先に定義したように酸化還元メディエーターの1つ以上の分子で官能化された、好ましくは特に前に定義されるように表面に少なくとも1の水溶性ポリマーを有するナノ粒子の生理的学的に許容される溶媒、好ましくは水性溶液さらにより好ましくは水の中の分散体を用意すること、
- -支持体物質の表面上へのナノ粒子の吸着のために有利な条件の下で、支持体物質の分散体とナノ粒子の分散体を混合すること。
【0149】
本発明の目的では、語「生理的学的に許容される」は、動物、好ましくは哺乳動物、およびより好ましくはヒトに、例えば経口的に、局所的に、または注射によって投与することができる溶媒を意味することが意図される。
【0150】
本発明において使用するのに適した支持体物質は、特に、先に定義されたようでも良い。
【0151】
有利には、ナノ粒子の分散体と支持体物質の分散体の混合物は、種々の機械的、熱的または音波での攪拌手段に供されてもよい。好ましくは、本発明での使用に適している撹拌手段は、音波、特に超音波による撹拌でもよい。このような攪拌は、有利には、カーボンナノチューブの壁のような支持体物質の表面上へのナノ粒子の吸着を促進することを可能にする。超音波浴の時間は、例えば、約30分間であってもよい。
【0152】
本発明の支持体物質を調製するための方法はまた、好ましくは、上記に定義されているように、少なくとも一つの酵素の溶液または分散体を、支持体物質の分散体とナノ粒子の分散体との混合物に添加することからなる少なくとも一つの追加の工程を含んでいてもよい。酵素溶液または分散体は、生理的学的に許容される溶媒、好ましくは水性溶液、さらにより好ましくは水中で調製され得る。
【0153】
少なくとも1つの支持体物質、少なくとも本発明のナノ粒子、及び少なくとも1つの酵素を含む混合物は、上記で定義されるような撹拌工程に供され得る。このような攪拌は、有利には、カーボンナノチューブの壁のような、支持体物質の表面上へのナノ粒子と酵素の吸着を促進することができる。超音波浴の時間は、例えば、約30分間であってもよい。
【0154】
好ましい実施形態の変形例に従い、支持体物質、本発明のナノ粒子、および少なくとも一つの酵素の混合物は、同じ工程の間に調製することができる。このようにして得られた混合物はまた、上記で定義されるように攪拌工程に供される。
【0155】
実施形態の変形例によれば、本発明の支持体物質を調製するための方法は、フッ素化スルホン酸の少なくとも一つの共重合体を得られた分散体または懸濁液に添加することからなる少なくとも1つの工程を含んでもよい。この工程は、有利には、攪拌工程の前に行われる。
【0156】
一実施形態に従い、このようにして得られた支持体物質の懸濁液または分散体は、インクとして用いられ得る。
インク
【0157】
一実施形態に従い、本発明のナノ粒子は、インクの形態に調製されることができる。
【0158】
本発明のインクは、少なくとも本発明のナノ粒子または本発明に従う少なくとも1つの支持体物質を含むことができる。
【0159】
本発明のインクの分散相または溶媒は、親水性溶媒、好ましくは水性または有機液相であり、より好ましくは水であってもよい。
【0160】
好ましくは、本発明における使用に適した親水性溶媒は、生理的学的に許容される溶媒である。
【0161】
一実施形態に従い、本発明に従うインクは、また、スルホン化テトラフルオロエチレン共重合体に基づく、少なくとも1つのフルオロポリマーを含むことができる。
【0162】
本発明での使用に適しているスルホン化テトラフルオロエチレン共重合体に基づいたフルオロポリマーは、特にNafion(商標)であり得る。
インクを調製するための方法
【0163】
本発明のインクは、より特に以下に詳述する方法に従って調製することができる。
【0164】
本発明のインクを調製するための方法は、少なくとも以下の工程を含んでもよい:
- 本発明のナノ粒子または本発明の支持体物質を用意すること、
-該ナノ粒子または支持体物質を親水性溶媒中に分散または懸濁すること。
【0165】
このように得られたインクは、種々の機械的、熱的または音波の攪拌手段に供され得る。好ましくは、本発明での使用に適している撹拌手段は、音波、特に超音波による撹拌でもよい。超音波浴の時間は、例えば、約30分間であってもよい。
【0166】
実施形態の変形例によれば、本発明のインクを調製するための方法は、スルホン化テトラフルオロエチレン共重合体に基づいた少なくとも一つのフッ素化ポリマーを、得られた分散体または懸濁液に添加することからなる少なくとも1つの工程を含んでもよい。この工程は、有利には、攪拌工程の前に行われ得る。
電極
【0167】
本発明の電極は、特に先に定義されたように、本発明のナノ粒子、または本発明の支持体物質から、全体的に又は部分的に形成されてもよい。
【0168】
一実施形態に従い、該ナノ粒子または支持体物質は、ガラス状カーボン支持体又はアニオン性及び/又はカチオン性膜、好ましくはスルホン化テトラフルオロエチレン共重合体に基づいたフルオロポリマーの膜上に沈着される。
【0169】
本発明の電極用物質の選択は、特に、酵素触媒反応が行わるべきpHまたは酸化還元メディエーターの性質を含む、いくつかの要因に依存し得る。当業者は、その一般的な知見に基づいて、採用されるべき物質の適切な選択をなし得る。
【0170】
例えば、好ましくは、GOxの場合のように、7または7に近いpHで、酵素により触媒される反応が実施される場合、本発明の電極として使用するのに適した物質は、スルホン化テトラフルオロエチレン共重合体に基づいたフルオロポリマーの膜、好ましくはNafion(商標)の膜であってもよい。
【0171】
好ましくは、本発明の電極として使用するのに適した支持体は、スルホン化テトラフルオロエチレン共重合体に基づいたフルオロポリマーの膜であってもよい。本発明での使用に適しているフッ素化スルホン酸共重合体の膜は、Nafion(商標)膜であってもよい。
電極を製造する方法
【0172】
本発明の電極は、より特に以下に詳述する方法に従って調製することができる。
【0173】
本発明の電極の調製方法は、支持体、特にガラス状カーボン支持体又はアニオン性及び/又はカチオン性膜、好ましくはスルホン化テトラフルオロエチレン共重合体に基づいたフルオロポリマーの膜の上に、特に上記に定義されたような本発明のインクを沈着させることからなる少なくとも1つの工程を含み得る。
【0174】
インクの沈着は、当業者に公知の任意の技術を介して、特にドロップ‐キャスティングによって行ってもよい。
燃料バイオ電池
【0175】
バイオ電池は、二つの電極から形成されている。アノードは、グルコースの酸化から誘導された電子の流れを移送する。これらの電子はカソードでの電気回路の終点で見出され、二つの酸素の水への還元を行う触媒によって取り込まれる。負極から正極への電子のこの流れは、それによって外部回路内の電流の循環を誘発する。
【0176】
本発明の燃料バイオ電池は、アノードまたはアノード室として、本発明のナノ粒子、本発明の支持物質、本発明のインクであって、乾燥されたもの、または本発明の少なくとも一つの電極を含むことができる。
【0177】
本発明のインクは、支持体、例えば、Nafion(商標)膜上に沈着され、乾燥され得る。
【0178】
本発明のバイオ電池のアノード室は、緩衝液、例えばリン酸塩緩衝液(100mM, pH 7).中で調製されたグルコース溶液(例えば50mM)を、蠕動ポンプを用いて、連続供給され得る。
【0179】
一実施形態に従い、本発明のバイオ電池は、特に金属ナノ粒子の形態で、表面に白金、金および銀から選択される金属を含む電極から形成されたカソード、またはカソード室を含むことができる。これらのナノ粒子は、特にカーボンナノ粒子の表面上に固定化された形で存在してもよい。
【0180】
好ましくは、金属は白金であってもよい。白金は、有利には、バイオ電池の生体適合性を維持することを可能にし、また、有利には、比較的高い電位で大気中の酸素の還元を可能にする。
【0181】
一実施形態に従い、金属は、スルホン化テトラフルオロエチレン共重合体に基づいたフルオロポリマーの膜の表面上に堆積されることができる。
【0182】
一実施形態に従い、本発明のバイオ電池のカソードは、金属多孔質層、特には、金、銀、白金、またはチタンの多孔質層で覆われてもよい。
【0183】
本発明のバイオ電池のカソード室は、例えば、以下のように得られてもよい。白金ナノ粒子、例えば60%Ptで覆われた、カーボン粒子例えばVulcanXC-72-Rに基づくインクが使用され得る。白金ナノ粒子に基づいた触媒が、600μg/cm
2の被覆量でNafion(商標)膜に噴霧され得る。PVD(物理蒸着)によって沈着された金の多孔質層は、電子の収集を可能にする。
【0184】
電池のカソード室は、空気にさらされてもよく、「空気呼吸」条件下で機能することができる。
【0185】
明細書全体、具体的には上記の記載、および以下の実施例を通して、数値の範囲に関して「...と... との間に」の表現は、その範囲の境界を含むものとして理解されるべきである。
【0186】
下記の実施例は、本発明の主題の例示として提示され、その範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
実施例
【実施例1】
【0187】
フェロセンで官能化されたZnOナノ粒子の合成
【0188】
本発明のフェロセンで官能化されたZnOナノ粒子を合成するためのスキームが図
4に示されている。
【0189】
純粋なZnOナノ粒子の合成は、共沈により行われた。
【0190】
開始の試薬は、水和硝酸亜鉛、および炭酸ナトリウムである。純粋なZnOの試料10gを調製するために、Zn(NO
3)
2・6H
2Oの0.2mol/L、すなわち蒸留水615 mL中36.5 gを含有する溶液が調製された。炭酸ナトリウムの0.5 mol/L溶液が、蒸留水246 mL中に炭酸ナトリウム13.78gを溶解することによって調製された。
【0191】
硝酸亜鉛溶液が、室温で激しく機械的に攪拌しながら、炭酸ナトリウム溶液に滴下される。次いで、溶液は、2時間室温で攪拌される。沈殿物は、ブフナー漏斗で濾過される。このように回収した粉末は、100℃のオーブンで一晩乾燥される。その後、固形物は、400℃で4時間空気(100L / h)中で焼成される。得られるナノ粒子は、直径が20〜30 nm、および結晶性である。元素分析は、試料中の亜鉛の存在を明らかにする。粒子径の測定と、試料中の亜鉛の存在確認は、Bellatらによって記載されているように実施されてもよい(Ind.Eng. Chem.Res.,2011, 50(9), 5714-5722)。
1b- ZnOナノ粒子の表面修飾
【0192】
ナノメートルのZnO(1g)は、室温で激しく撹拌しながら、1Lの丸底フラスコ中のイソプロパノール(500mL)に分散される。次いで、加水分解剤すなわちアンモニア水(30%,61mL)が、激しく撹拌されながら反応混合物に添加される。イソプロパノール(250 mL)中のトリエトキシビニルシランの溶液(0.323 g, 1.7 mmol,CAS 番号78-08-0)が、該塩基性反応混合物に添加され、得られた溶液は、室温で24時間撹拌される。次いで、溶液は遠心分離(8000回転、10分間)され、上清は廃棄される。得られた固体はエタノール(100mL)中に分散され、再び遠心分離(8000回転、10分間)される。
【0193】
官能化されたZnOはオーブン中で乾燥され(50°C、4時間)、次いで粉砕され、得られたままで次の工程のために使用される。
1c -
フェロセンで官能化されたZnOナノ粒子の調製
【0194】
ポリビニルアルコールPVA(CAS番号9002-89-5)を含有する100mLの水溶液10g(脱イオン水中10重量%)は、室温で撹拌される。表面官能化されたZnO (0.5 g, 5 重量%)が、続いてフェロセニルメチルメタクリレート(0.5 g, 1.76 mmol, 5重量%, CAS No.31566-61-7).が、激しく撹拌されながら添加される。
【0195】
反応媒体の均一な分散体を得るために、反応媒体は室温で4日間撹拌される。得られた分散体は、液体窒素(N
2)中に滴下され浸漬され、濾過され、次いで48時間凍結乾燥される。得られた物質(11 g,100%)は、2〜3mm程度のビーズの形態であり、水中で自己分散性である。
【実施例2】
【0196】
フェロセンで官能化されたZnOナノ粒子に基づくバイオ電池の調製
2a-原理
【0197】
電池は、二つの電極(図
5)から形成される。アノードは、グルコースの酸化から誘発される電子の流れを移送する。これらの電子はカソードでの電気回路の終点に見出され、二つの酸素の水への還元を行う触媒によって取り込まれる。この負極から正極への電子の流れは、それによって外部回路内の電流の循環を誘発する。
【0198】
本発明の電池において、グルコースを酸化する酵素触媒は、グルコースオキシダーゼである。バイオ電池のカソードを製造するために使用される物質は、応用において生体適合性を維持するという利点を有する白金である。白金は、有利に、比較的高い電位で大気中の酸素の還元を可能にする。
【0199】
一般的に、グルコースの酸化は、以下の反応に従ってグルコン酸の形成をもたらす:
【0200】
電池のカソードで起こる反応は、以下の式に従う二つの酸素のH
2Oへの還元である:
2b- フェロセンで官能化されたZnOナノ粒子(ZnO-Fc)の電気化学的特性評価
【0201】
我々は、フェロセンで官能化されたZnOナノ粒子単独の電気化学的特性評価を開始した。これを行うために、我々は、水中のこれらのナノ粒子の60 mg/mLの濃度の溶液を調製する。フェロセンは、水に不溶であることが知られていることが留意されるべきである。
【0202】
本発明の官能化方法は、超音波浴中で丁度1時間後に、水中でのナノ粒子の完全な分散を可能にする。
【0203】
用意したZnO溶液10μLが、直径3mmのガラス状炭素電極(A35T090分析用輻射計)上に、「ドロップ-キャスティング」によって沈着され、その後空気中、次いで減圧下で乾燥される。この電極は、我々の作用電極を構成している。サイクリックボルタンメトリーによるこのコンパウンドの特性評価は、三電極系:白金対電極、対照電極として飽和カロメル電極(XM110分析用輻射計とREF621分析用輻射計)、および作用電極としての官能化ガラス状炭素電極:を用いて行われる。特性評価は、pH7で、リン酸緩衝塩溶液(100 mM)中で行われる。掃引速度は50mV/sである。
【0204】
活性および比表面積を改善するために、我々は、Nanocylによって供給される多層カーボンナノチューブ(MWCNT)(Nanocyl NC7000)を使用した。これらのカーボンナノチューブは、直径が9.5 nmであり、純度>95%を有する。これらのカーボンナノチューブは、いかなる追加の精製工程もなく使用される。このため、60 mg/mLのZnO-Fおよび2.5mg/mLのMWCNTから形成される水中分散体が調製された。この分散体10μLは、をガラス状炭素電極上に沈着され、前述のように処理された。
【0205】
我々は、ガラス状炭素電極上でフェロセンの酸化ピークを観察し、このように電極の表面に酸化還元メディエーターの存在を確認した(図
6A)。カーボンナノチューブの存在下で、このアノード酸化ピークがかなり増加する(図
6B)。
【0206】
これは、明らかに比表面積および電気伝導度を増加させるという点で、MWCNTの役割を示している。さらに、本発明者らは、カーボンナノチューブの使用中に正の電位(Ea = 300 mV)に向かって酸化ピークのシフトを観察し、そしてそれはCNTsにより与えられた三次元構造によって促進された電子移動の改善を示している。
2c- フェロセンで官能化されたZnOナノ粒子(ZnO-Fc)に基づくグルコースバイオ電池の設計
【0207】
以下のように、フェロセンで官能化されたZnOナノ粒子に基づくインクが調製される:60 mg/mLのZnOと 2.5mg/mLのMWCNTの混合物が、1時間超音波浴中で処理される。アスペルギルス・ニガーからののグルコースオキシダーゼ(GOX)7 mg / ml と80μLとNafion(商標)がこの混合物に添加される。懸濁液は、混合物を均質化し、カーボンナノチューブの壁の上にナノ粒子と酵素の吸着を可能にするために、超音波浴中で30分間再度処理される。
【0208】
電池を作製するため、ZnO-Fc触媒に基づいたインクが、Nafion(商標)膜のアノード部分上に沈着される。電池のカソード、アノード室のために、白金ナノ粒子(60%Pt)で覆われた炭素粒子(VulcanXC-72-R)に基づくインクが、使用される。白金ナノ粒子に基づいた触媒は、600 μg/cm
2の被覆率でNafion(商標)膜の上に噴霧される。
【0209】
PVD(物理蒸着)によって沈着された金の多孔質層は、電子の収集を可能にする。
【0210】
アノード室は、リン酸塩緩衝液(100 mM, pH 7).中で調製されたグルコース溶液(50mM)を、蠕動ポンプを用いて、連続供給される。電池のカソード室は、空気にさらされ、「空気呼吸」条件下で機能する。
【0211】
電池の性能は、環境条件下で試験される。これを行うため、アノードとカソードとの間に2mV/sの速度で正の電位が印加され、電子の循環を示しながら、電流が測定された。非官能化フェロセンに基づいた電池の性能の比較研究が行われ、触媒工程でのZnOナノ粒子の役割を明らかに示した(図
7A及び
7B)。
【0212】
最後に、200 mVの定電位での放電は、CNTs/ZnO-Fc/GOXに基づいた電池のために行われた。この電位で、電流は15分(図
8)後に下がり始め460μAに到達した。