(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6373379
(24)【登録日】2018年7月27日
(45)【発行日】2018年8月15日
(54)【発明の名称】移植物の導入外管及び移植物のデリバリーシステム
(51)【国際特許分類】
A61F 2/24 20060101AFI20180806BHJP
【FI】
A61F2/24
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-531036(P2016-531036)
(86)(22)【出願日】2014年11月14日
(65)【公表番号】特表2016-537101(P2016-537101A)
(43)【公表日】2016年12月1日
(86)【国際出願番号】CN2014091091
(87)【国際公開番号】WO2015070791
(87)【国際公開日】20150521
【審査請求日】2016年6月15日
(31)【優先権主張番号】201310580969.6
(32)【優先日】2013年11月18日
(33)【優先権主張国】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】516127259
【氏名又は名称】シャンハイ マイクロポート カーディオフロー メドテック シーオー., エルティーディー.
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI MICROPORT CARDIOFLOW MEDTECH CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100142804
【弁理士】
【氏名又は名称】大上 寛
(72)【発明者】
【氏名】リュウ,シャン
(72)【発明者】
【氏名】グイ,バオヅー
(72)【発明者】
【氏名】リ,ユー
(72)【発明者】
【氏名】ウー,ミンミン
(72)【発明者】
【氏名】ホ,ヅシュウ
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ハイシャン
【審査官】
松浦 陽
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−279529(JP,A)
【文献】
特表2013−539381(JP,A)
【文献】
特表2012−513878(JP,A)
【文献】
特表2010−540176(JP,A)
【文献】
特表2010−527695(JP,A)
【文献】
特開平09−140804(JP,A)
【文献】
国際公開第2014/189977(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0004556(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2001/0034514(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0188928(US,A1)
【文献】
国際公開第2011/035327(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/24
A61F 2/962
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導入後において高支持力を発揮する部位と、
導入後において低支持力を発揮する部位と、を有する自己拡張型の移植物を導入するための、移植物の導入外管であって、
前記導入外管は、前記導入外管の内壁面に前記移植物を接触させた状態で収容するものであり、
前記導入外管は近端部側から遠端部側に向かう順に、屈曲段と、補強段と、造影補強リングと、を有し、
前記補強段は、前記屈曲段よりも剛性が高く、
前記補強段は高分子チューブ及び複数の補強リングを有して構成され、前記複数の補強リングは前記高分子チューブの上に互いに間隔を空けて設置され、
前記複数の補強リングは、前記高分子チューブよりも剛性が高い金属又は高分子材料により構成され、
前記補強段には、前記移植物の高支持力を発揮する部位が設置される構成とし、
前記屈曲段には、前記移植物の低支持力を発揮する部位が設置される構成とする、
ことを特徴とする移植物の導入外管。
【請求項2】
前記屈曲段は高分子材料により形成される、
ことを特徴とする請求項1に記載の移植物の導入外管。
【請求項3】
前記補強段と前記屈曲段は一体に形成される、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の移植物の導入外管。
【請求項4】
前記補強段は接続点によりホットメルティンググレード或いは接着剤の方法を採用し、前記屈曲段と連結される、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の移植物の導入外管。
【請求項5】
前記導入外管の前記補強段と前記屈曲段の内腔は、平滑な内壁を有する、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の移植物の導入外管。
【請求項6】
前記導入外管の前記補強段と前記屈曲段の内腔は、摩擦力を低減する材料により形成される内層を有する、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の移植物の導入外管。
【請求項7】
前記摩擦力を低減する材料は、ポリテトラフルオロエチレン、又はポリエチレン・テレフタラートである、
ことを特徴とする請求項6に記載の移植物の導入外管。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の移植物の導入外管(10)を有する移植物デリバリーシステムであって、
前記移植物デリバリーシステムは近端部側から遠端部側に向かう順に、操作ハンドル(2)とカテーテル(1)を有し、
前記カテーテル(1)が押込外管(20)、導入外管(10)、及び、内管(30)を有し、
前記導入外管(10)と前記押込外管(20)が連結され、前記内管(30)の近端部側と前記操作ハンドル(2)が固定的に接続され、
前記導入外管(10)と前記押込外管(20)が前記内管(30)の外周を囲むように設けられ、
前記押込外管(20)と前記操作ハンドル(2)の制御機構が結合され、
前記制御機構により、前記押込外管(20)と前記導入外管(10)の進行及び後退が制御される、
ことを特徴とする移植物のデリバリーシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は移植物の導入外管及び移植物のデリバリーシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、心臓弁膜症はわが国ではよく見られる心臓病の一つであり、主にリウマチ熱により引き起こされる弁膜の損傷である。近年、人口が老齢化するとともに、弁膜変性(石灰化、粘液変性等を含む)、及び代謝異常性の弁膜の損傷はわが国でますます増える傾向がある。
【0003】
従来の心臓弁膜手術は全身麻酔の下で行われる開胸術である。従来の心臓弁膜手術では、患者の胸骨を通じて切り込みを行い(胸骨切開)、且つ患者の心臓が止められ、血流が「心肺」のバイパスコントロール器(体外循環器)を導いて通過する。外科の心臓弁置換手術は明らかにリスクを伴う損傷の度合いが高い手術であり、患者には栓子及び体外循環器に関連する他の要素により一時的な障害を及ぼすため、患者が完全に回復するには数ヶ月を必要とする。さらに、年長者又は一部の特別な人々は、外科手術による損傷に耐えられないため、手術後の回復がより長い時間がかかる、又は完全な回復が不可能である。
【0004】
低侵襲介入療法は、胸骨切開が不要であり、損傷が小さく、また患者が迅速に回復するなどの利点がある。近年の介入療法の方向は、内外科による治療可能な疾病については、介入による治療が全て可能であり、さらに、外科手術による治療不能の疾病についても、介入による治療が可能であることを示している。新世紀の弁膜症介入療法は、研究が顕著に加速し、また、経皮介入弁膜移植術は、実験研究から小規模の臨床試験並行の研究段階に発展し、弁膜症介入療法は技術的な「ボトルネック」を突破し、迅速に大規模な臨床適用を達成することが可能になり、再び介入性心臓病学分野の注目が集まるようになった。
【0005】
低侵襲介入による弁膜移植を実施するプロセスにおいて、如何にしてデリバリーシステムを通じて弁膜を目標部位により良く導入し、弁膜の導入外管と元弁膜の管腔構造(弁リング)との同軸性を確保し、正確な位置に到達させて放出させるかは手術プロセスの重要なポイントである。
【0006】
米国特許文献US2011/0251683A1はデリバリーシステムを説明するものであり、当該システムは回転とプッシュプルの二つの操作により、弁膜の導入及び放出を実現することができ、同時に内管、外管と安定管の構造により、位置決め、放出及び必要時の回収機能を実現するものであり、当該デリバリーシステムの外管全体は高分子材料により形成され、或いは高分子材料の編組みにより形成され、或いは金属の切り込みにより形成される。回収時に、輔助チューブの前進により、ステントセクション外管はステントに対する包囲の能力を増強し、これにより、回収を完成することができる。また、当該デリバリーシステムの輔助チューブは高分子材料で編組まれるチューブを採用する。そのほか、中国特許文献CN101961269Aでは弁膜のデリバリーシステムを公開し、当該弁膜デリバリーシステムの外管全体は金属で編組まれる高分子チューブにより形成される。
【0007】
現在において、介入手術に使用されるデリバリーシステムの弁膜導入外管の全体は、高分子材料、編組み型高分子材料又は金属チューブにより形成され、これにより、弁膜の導入及び包囲を実現することができるが、このような弁膜導入外管は、位置決めの精度を高めることを同時に考慮したものではない。従来の技術では、時にデリバリーシステムという操作手段を増加させることを採用することや、カテーテルのステアリングにより、同軸の位置決めを実現することが行われる。しかし、デリバリーシステムのカテーテル部分は、血管の中で前進するプロセスにおいて方向性の要求がある、即ち、カテーテルの屈曲は、血管の屈曲と同じ方向を確保する必要がある。このことは手術の操作に困難をもたらしてしまう。
【0008】
従って、従来の技術は以下の問題がある:(1)デリバリーシステムは位置決めの精度を高ることと、外管の過膨脹を防止することを同時に考慮するものではない;(2)ハンドルのステアリング機能を増加することにより、位置決めを実現するが、これは手術の操作に困難をもたらしてしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来技術の上述問題に基づいて、本発明の目的は、移植物の導入外管及び移植物のデリバリーシステムを開発するものであり、それは移植物の同軸での放出を確保することができ、且つ同時に、移植物のステントの支持力が強すぎることにより外管の過膨脹が発生する問題を防ぐことができるものである。
【0010】
具体的には、本発明は移植物の導入外管を提供するものであり、その特徴とするところは、前記導入外管は近端部側から遠端部側に向かう順に、屈曲段、補強段及び造影補強リングを有し、前記補強段の強度が前記屈曲段の強度より高い。
【0011】
好ましくは、補強段は高分子材料により形成される。
【0012】
好ましくは、前記補強段は高分子チューブ、及び前記高分子チューブの上に設置される補強型材料編組層により形成される。
【0013】
好ましくは、前記補強型材料編組層は、金属フィラメント又は高分子フィラメント編組層であり、且つ前記補強型材料編組層は、コイル編組構造又はブレード編組構造を有する。
【0014】
好ましくは、前記補強段は金属管であり、前記金属管がレーザ切断により形成される切口溝を有する。
【0015】
好ましくは、前記補強段は高分子チューブと複数の補強リングにより形成され、前記複数の補強リングが、前記高分子チューブの上に互いに間隔を空けて設置され、且つ前記複数の補強リングが、強度が高分子チューブの強度より高い金属又は高分子材料により構成される。
【0016】
好ましくは、前記屈曲段は高分子材料により形成される。
【0017】
好ましくは、前記補強段と前記屈曲段は一体に形成され、又は、前記補強段は接続点によりホットメルティンググレード或いは接着剤の方法を採用し、前記屈曲段と連結される。
【0018】
好ましくは、前記導入外管の補強段と屈曲段の内腔は、平滑な内壁を有し、又は摩擦力を低減する材料により形成される内層を増加する。
【0019】
好ましくは、前記摩擦力を低減する材料は、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)又はPET(ポリエチレン・テレフタラート)である。
【0020】
そのほか、本発明は移植物デリバリーシステムを提供するものであり、前記移植物デリバリーシステムは近端部側から遠端部側に向かう順に、操作ハンドルとカテーテルを有し、前記カテーテルが押込外管、導入外管及び内管を有し、前記導入外管が前記押込外管に連結され、前記内管の近端部側と前記操作ハンドルが固定的に接続され、前記導入外管及び前記押込外管が前記内管の外周を囲むように設けられる。ここで、前記押込外管は前記操作ハンドルの制御機構に結合され、前記制御機構により、前記押込外管と前記導入外管の進行及び後退を制御することができ、その特徴とするところは、前記導入外管が上述した移植物の導入外管ということである。
【0021】
要約すると、本発明は移植物の強化型導入外管を提供するものであり、当該導入外管では、部分的強化及び部分的非強化の構造を採用し、例えば、高分子チューブの上に部分的に金属編組層を増加し、又は間隔を空けて補強リングを設置し、又は部分的に金属管を採用する。本発明の上述設計により、デリバリーシステムの移植物の導入外管と弁リングとの同軸性が実現され、位置決め及び放出に有利になるとともに、移植物の導入外管の強度を移植物を包囲するのに十分なものとすることができ、これにより、移植物のステントの支持力が強すぎることにより外管の過膨脹が発生する問題を防ぐことができる。
【0022】
従って、本発明の移植物の導入外管は以下の利点がある:(1)移植物に対する高い支持力により、移植物導入外管の過膨脹が発生するリスクを減らす;(2)移植物の導入外管は部分的強化及び部分的非強化の構造を採用し、これにより、外管の拘束強度と屈曲機能を同時に考慮することができるため、移植物の同軸性の放出を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本発明の実施例の技術案をより明確に説明するために、以下では実施例の説明に使用が必要な添付図面を簡単に紹介する。以下の説明における添付図面は本発明に記載されるいくつかの特定の実施例に過ぎず、本発明の特許の範囲を制限するものではないことは明らかである。当業者は、創造的な努力なしに、当然本発明のこれらの実施例及び添付図面に基づいて、他の実施例と図面を得ることができる。
【0024】
図1は、本発明による低侵襲介入式の移植物デリバリーシステムを示す図である。
【0025】
図2は、本発明による移植物デリバリーシステムのカテーテルを示す図である。
【0026】
図3〜
図7は、本発明の種々の構造による移植物の導入外管を示す図である。
【0027】
図8は、本発明の移植物を導入するデリバリーシステムにより移植物を目標部位までデリバリーすることを示す図である。
【0028】
図9は、本発明の移植物を導入するデリバリーシステムにより目標部位で位置決めと放出を実施することを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
当業者が本願の技術案をより良く理解するために、以下は本発明の実施例の添付図面を参照し、本発明の実施例の技術案を明確に、且つ完全に説明するものである。説明される実施例が本願の一部分の実施例に過ぎず、全部の実施例ではないことは明らかである。本願の下記の具体的な実施例に基づいて、当業者が創造的な努力なしに得られる全ての他の実施例は、本発明の特許の範囲内に含まれるものとなる。
【0030】
図1は、本発明による低侵襲介入式の移植物デリバリーシステムを示す図である。
図1に示されるように、本発明における低侵襲介入式の移植物デリバリーシステムは、遠端部側から近端部側に向かう順に、カテーテル1と操作ハンドル2を有する。カテーテル1は操作ハンドル2に連結される。
【0031】
図2は、本発明による移植物デリバリーシステムのカテーテル1を示す図である。本発明における移植物デリバリーシステムのカテーテル1は、移植物の導入に使用されるとともに、移植物の位置決めと放出を行うものである。
図2に示されるように、本発明による移植物デリバリーシステムのカテーテル1は、導入外管10、押込外管20及び内管30を有する。導入外管10と押込外管20は一体構造として形成されることができ、一つの代替の実施例として、導入外管10と押込外管20は接続点40にて連結することもできる。また、押込外管20は操作ハンドル2に連結され、且つ連結後は、操作ハンドル2に対して動かないように維持される。さらに、導入外管10と押込外管20は内管30の外周を囲むように設けられ、導入外管10と押込外管20の管腔の内径が内管30の外径より大きい。これにより、移植物を導入外管10に導入することができる。また、押込外管20及び操作ハンドル2の制御機構が結合され、制御機構により押込外管20と導入外管10の進行及び後退を制御することができる。
【0032】
図3は、本発明の第一の構造による移植物の導入外管10を示す図である。
図3に示されるように、導入外管10は近端部側から遠端部側に向かう順に、屈曲段102a、補強段101aと造影補強リング104aを有し、前記補強段101aの強度が前記屈曲段102aの強度より高い。前記補強段101aは移植物を拘束するのに使用される。また、前記屈曲段102aは、主に前記導入外管10が移植物の位置決めと放出のプロセスにおいて必要な屈曲性能を具備するために用いられる。具体的には、補強段101aは強化型チューブであり、移植物の高支持力を有する部分を拘束するのに使用される。即ち、移植物の高支持力を有する部分が前記補強段101aの中に設置される。一方、屈曲段102aは導入後の移植物の低支持力を有する部分に対応し、屈曲段102aの屈曲性が優れるため、移植物の位置決めと放出のプロセスにおいて必要な屈曲性を確保することができる。即ち、移植物の低支持力を有する部分が前記屈曲段102aの中に設置される。当業者は、移植物を導入外管10の中に導入した後に、移植物の一部分が高い支持力により支えられる必要があり(本文中では、これらの部分が移植物の高支持力を有する部分と呼ばれる)、その他の一部分が低い支持力により支えられる必要がある(本文中では、これらの部分が移植物の低支持力を有する部分と呼ばれる)ことを容易に理解することができるであろう。
【0033】
前記補強段101aは高分子材料により形成される。当該高分子材料の強度は、前記屈曲段102aを構成する材料の強度より高い。当該実施例において、前記補強段101aと前記屈曲段102aは一体に形成されることができるため、一体構造として形成され、また、一つの代替の実施例として、前記補強段101aは、接続点103aによりホットメルティンググレード或いは接着剤の方法を採用し、前記屈曲段102aと連結されることができる。また、当該実施例において、前記移植物は人工心臓弁膜である。
【0034】
図4は、本発明の第二の構造による移植物の導入外管を示す図である。
図4に示される移植物の導入外管の構造は
図3に示される移植物の導入外管の構造とほぼ同様であるため、簡潔のために、以下はその相違点だけを説明するものである。
図4に示されるように、移植物の導入外管において、導入外管10は近端部側から遠端部側に向かう順に、屈曲段102b、補強段101b及び造影補強リング104bを有し、補強段101bは高分子チューブ及び前記高分子チューブの上に設置される補強型材料編組層により形成される。前記補強型材料の強度は前記高分子チューブの材料の強度より高くてもよい。また、前記補強型材料編組層は、金属フィラメント又は高分子フィラメント編組層であってもよく、且つ前記補強型材料編組層はコイル編組構造を有する。前記コイル編組構造は補強効果を果たすことができる。
【0035】
図5は、本発明の第三の構造による移植物の導入外管を示す図である。
図5に示される移植物の導入外管の構造は
図3に示される移植物の導入外管の構造とほぼ同様であるため、簡潔のために、以下はその相違点だけを説明するものである。
図5に示されるように、移植物の導入外管において、導入外管10は近端部側から遠端部側に向かう順に、屈曲段102c、補強段101c及び造影補強リング104cを有し、補強段101cが高分子チューブ及び前記高分子チューブの上に設置される補強型材料編組層により形成される。前記補強型材料の強度は前記高分子チューブの材料の強度より高くてもよい。また、前記補強型材料編組層は、金属フィラメント又は高分子フィラメント編組層であってもよく、且つ前記補強型材料編組層はブレード編組構造を有する。前記ブレード編組構造は補強効果を果たすこともできる。
【0036】
図6は、本発明の第四の構造による移植物の導入外管を示す図である。
図6に示される移植物の導入外管の構造は
図3に示される移植物の導入外管の構造とほぼ同様であるため、簡潔のために、以下はその相違点だけを説明するものである。
図6に示されるように、移植物の導入外管において、導入外管10は近端部側から遠端部側に向かう順に、屈曲段102d、補強段101d及び造影補強リング104dを有し、補強段101dは金属管で構成される。ここで、その屈曲性を適切に高め、カテーテルが大動脈弓4を通過させるために、レーザ切断の方法或いは他の方法により、前記金属管に切口溝107が形成される。また、切口溝107の伸びる方向は導入外管10の中心軸に対して垂直にしてもよい。さらに、補強段101dと屈曲段102dは接続点103dにより連結されることができる。
【0037】
図7は、本発明の第五の構造による移植物の導入外管を示す図である。
図7に示される移植物の導入外管の構造は
図3に示される移植物の導入外管の構造とほぼ同様であるため、簡潔のために、以下はその相違点だけを説明するものである。
図7に示されるように、移植物の導入外管においては、導入外管10は近端部側から遠端部側に向かう順に、屈曲段102e、補強段101e及び造影補強リング104eを有し、補強段101eは高分子チューブ及び複数の補強リング105により形成され、前記複数の補強リング105が前記高分子チューブの上に互いに間隔を空けて設置され、前記複数の補強リング105は、強度が高分子材料の強度より高い金属又は高分子材料により構成される。また、補強リングの伸びる方向は導入外管10の中心軸に対して垂直にしてもよい。さらに、補強リング105が間隔を置いて配置されることで、移植物の導入外管が良好な屈曲性を有することが保証される。
【0038】
以上の
図2〜
図7の実施例においては、導入外管10が順調に屈曲することを保証するために、屈曲段102a〜102eは高分子材料により形成されることができる。屈曲段102a〜102eは高分子材料により形成され、且つ移植物が導入される際に、屈曲段102a〜102eは移植物の低支持力を有する部分に対応するため、導入外管10の過膨脹は起こらない。同時に、屈曲段102a〜102e全体は均質な高分子材料により構成され、良好な位置決め性能と屈曲性能を有し、その結果、移植物の位置決め及び放出時の同軸性を十分に満足し、実現することができる。さらに、上述の実施例において、補強段と屈曲段は一体に形成されることができ、又は、補強段は接続点によりホットメルティンググレード或いは接着剤の方法を採用し、屈曲段と連結されることができる。
【0039】
移植物が管腔の中で押込まれる抵抗力を軽減するために、導入外管10の補強段101a〜101e及び屈曲段102a〜102eの内腔では、摩擦力を低減する材料により形成される内層を追加的に設けることができ、また、前記摩擦力を低減する材料はPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PET(ポリエチレン・テレフタラート)などである。導入外管10が接続点を有する場合に、当該接続点における内腔では、上述の摩擦力を低減する材料により形成される内層を追加的に設けることもできる。そのほか、代替できる実施例としては、機械的な処理又は適切な材料の選別により、上述導入外管10の補強段101a〜101e及び屈曲段102a〜102eの内腔が平滑な内壁を有する構成とする。
【0040】
また、
図1〜
図7において、「近端部」は添付図面の右端を指す、即ち、オペレータに近い側の一端であり、一方、「遠端部」は添付図面の左端を指す、即ち、オペレータから遠い側の一端である。
【0041】
図8は、本発明にかかる移植物を導入するデリバリーシステムにより、移植物を目標部位までデリバリーすることを示す図であり、また、
図9は、本発明にかかる移植物を導入するデリバリーシステムにより、目標部位で位置決めと放出を実施することを示す図である。
図8に示されるように、当該移植物デリバリーシステムのカテーテルは、導入外管10、押込外管20及び内管30を有し、導入外管10と押込外管20が接続点40により連結され、導入外管10が屈曲段102と補強段101を有する。ここで、自己拡張型移植物3(
図9に示され、当該移植物の一つの例が人工心臓弁膜である)が導入外管10の中に導入され、さらに、カテーテル1が大動脈弓4を通過し、補強段101が弁リング5の位置に到達する。導入外管10の屈曲段102において自己拡張型移植物3に対応する部分には低支持力の構造があり、また大動脈の当該部分には円弧の構造があるため、自己拡張型移植物3と屈曲段102には自然に屈曲が生じる(屈曲点が添付図面の106に示される位置である)。屈曲点106が存在しているため、補強段101は弁リング5の中心側にオフセットするため、同軸性を高めることができる。
【0042】
図9に示されるように、初期の位置決めがなされた後に、オペレータは操作ハンドル2を制御し、押込外管20を後退させることで導入外管10を後退させ、これにより、自己拡張型移植物3がゆっくりと放出される。また、自己拡張型移植物3の自己拡張により、自己拡張型移植物3の放出された部分は弁リング5のところに留めることができる。簡単な調節により精確な位置を確定した後に、オペレータは最終的に自己拡張型移植物3を放出することができる。
【0043】
自己拡張型移植物3は、主に弁リング5と接触する部分により固定されるため、自己拡張型移植物3のこの部分には、高い支持力があるように設計され、それに対応して、補強段101は管径の過膨脹を防止するために、強い円周拘束能力を有する必要がある。上述したように、本発明の補強段101には上記の特別な構造があるため、その強度を高め、且つその円周拘束能力を強めることができる。従って、本発明の上述構造は適切に手術操作における上述した要求に適合する。
【0044】
さらに、導入外管10の屈曲段102は高分子材料により作製され、自己拡張型移植物3が導入される際に、屈曲段102は自己拡張型移植物3の低支持力を有する部分に対応するため、導入外管10には過膨脹が起こらない。また、屈曲段102は均質な高分子材料により構成されるため、良好な屈曲の性能を有し、これにより、本発明の導入外管10は自己拡張型移植物3の位置決め及び放出時の同軸性を十分に満足し、実現することができる。
【0045】
まとめると、本発明は強化型の移植物の導入外管を提供するものであり、当該導入外管は、部分的強化及び部分的非強化の構造を採用し、例えば、高分子チューブの上に部分的に金属編組層を増加し、又は間隔を空けて補強リングを設置し、又は部分的に金属管を採用する。本発明の上述の設計により、デリバリーシステムの移植物の導入外管と弁リングとの同軸性が実現され、位置決め及び放出に有利になるとともに、移植物の導入外管の強度を移植物を包囲するのに十分なものとすることができ、これにより、移植物のステントの支持力が強すぎることにより外管の過膨脹が発生する問題を防ぐことができる。
【0046】
従って、本発明の移植物の導入外管は以下の利点がある:(1)移植物に対する高い支持力により、移植物導入外管の過膨脹が発生するリスクを減らす;(2)移植物の導入外管は部分的強化及び部分的非強化の構造を採用し、これにより、外管の拘束強度と屈曲機能を同時に考慮することができるため、移植物の同軸性の放出を確保することができる。
【0047】
また、本発明の上述の実施例における移植物は人工心臓弁膜である。しかし、当業者は、本発明に公開されるデリバリーシステムは人工心臓弁膜以外に、他の類の移植物も担体として身体の相応位置に導入することができると理解すべきである。また、本発明のデリバリーシステムは人工心臓弁膜のデリバリーに限定されるものではなく、他の類の移植物のデリバリーも可能である。
【0048】
本明細書における各実施例は累進的な方法で説明されるものであり、各実施例は他の実施例との相違点を強調し、各実施例間の同一または類似の部分について、互いに参考されながら理解されるものである。
【0049】
上述したものは本発明のいくつかの具体的な実施例に過ぎないものである。また、当業者は、本発明の原理と構想から逸脱することなく、上述の実施例に様々な組合せ、若しくは若干の改良及び変形をすることができ、これらの組合せ、改良及び変形も本発明の範囲内に入られるものと見なされることを理解すべきである。