特許第6373380号(P6373380)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6373380
(24)【登録日】2018年7月27日
(45)【発行日】2018年8月15日
(54)【発明の名称】タイヤ試験装置
(51)【国際特許分類】
   G01M 17/02 20060101AFI20180806BHJP
   B60C 19/00 20060101ALI20180806BHJP
【FI】
   G01M17/02
   B60C19/00 H
【請求項の数】16
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-531927(P2016-531927)
(86)(22)【出願日】2014年8月1日
(65)【公表番号】特表2016-527516(P2016-527516A)
(43)【公表日】2016年9月8日
(86)【国際出願番号】US2014049371
(87)【国際公開番号】WO2015017758
(87)【国際公開日】20150205
【審査請求日】2017年6月26日
(31)【優先権主張番号】61/861,228
(32)【優先日】2013年8月1日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505383383
【氏名又は名称】エムティーエス システムズ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】リッツ, ブラッドリー チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】ジェニンジェス, ランダル リー
【審査官】 本村 眞也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−019950(JP,A)
【文献】 特開昭50−038584(JP,A)
【文献】 特開2005−345238(JP,A)
【文献】 特開2005−114605(JP,A)
【文献】 特開平07−020029(JP,A)
【文献】 特開平07−146217(JP,A)
【文献】 特開2005−164337(JP,A)
【文献】 特開2001−264041(JP,A)
【文献】 特開2011−002296(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 17/00;17/02
G01N 3/56
B60C 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤトレッドの摩耗を試験するための試験機であって、
回転要素と、
センサと送信機とを有するタイヤ・ホイールアセンブリであって、前記送信機は、前記タイヤ・ホイールアセンブリの軸の周りを前記タイヤ・ホイールアセンブリと共に回転し、前記センサは、前記タイヤ・ホイールアセンブリのタイヤと前記回転要素の表面との間の接地面での加速度を感知するように構成されており、前記送信機は、前記加速度を示す出力信号を送信するように構成されている、タイヤ・ホイールアセンブリと、
前記回転要素の表面に対する回転のために、前記タイヤ・ホイールアセンブリを支持するホルダと、
前記送信機からの前記出力信号を受信するように構成されている受信機と、
プロセッサであって、
前記送信機からの前記出力信号基づく前記受信機からの入力信号を受信することと、
前記受信された入力信号に少なくとも基づいて、前記接地面の長さまたは前記接地面での摩擦力を示す出力信号を生成することと
を行うように構成されているプロセッサと、
前記プロセッサからの前記出力信号を受信することと、前記プロセッサから受信された前記出力信号に基づいて、前記タイヤ・ホイールアセンブリの膨張、または、前記回転要素に対する前記タイヤ・ホイールアセンブリの位置を制御することとを行うように構成されている制御型要素と
を備える、試験機
【請求項2】
前記制御型要素は前記ホルダのポジショナを含み、前記ポジショナは、前記回転要素に対する前記タイヤ・ホイールアセンブリの位置を制御するように構成されている、請求項1に記載の試験機
【請求項3】
前記制御型要素は、前記タイヤ・ホイールアセンブリ内の気体の圧力を制御するように構成されているバルブを含む、請求項1に記載の試験機
【請求項4】
前記回転要素に対する前記タイヤの接触に影響を及ぼすために、前記接地面の領域に材料を供給するための材料供給システムをさらに含み、前記材料は、粉末、液体、または、他の物質を含み、前記材料供給システムは、前記プロセッサからの出力信号に基づいて、前記接地面の領域に前記材料を供給することを調節する、請求項1〜3のいずれかに記載の試験機
【請求項5】
前記回転要素は、回転するホイールを含む、請求項1〜のいずれかに記載の試験機
【請求項6】
前記回転要素は、回転するエンドレスベルトを含む、請求項1〜のいずれかに記載の試験機
【請求項7】
タイヤトレッドの摩耗を試験するための試験機を作動させる方法であって、前記試験機は、回転要素と、センサと送信機とを有するタイヤ・ホイールアセンブリと、プロセッサと、制御型要素とを含み、前記方法は、
前記センサが、前記タイヤ・ホイールアセンブリのタイヤと前記回転要素の表面との間の接地面での加速度を感知することと、
前記送信機が、前記感知された加速度に基づく出力信号を送信することと、
前記プロセッサが、前記出力信号に基づく入力信号を受信することと、
前記プロセッサが、前記受信された入力信号に少なくとも基づいて、前記接地面の長さまたは前記接地面での摩擦力を示す出力信号を生成することと、
前記制御型要素が、前記プロセッサによって生成された前記出力信号に基づいて、前記タイヤ・ホイールアセンブリの膨張、または、前記回転要素に対する前記タイヤ・ホイールアセンブリの位置を制御することと
を含む、方法。
【請求項8】
出力信号を生成することは、前記接地面での摩擦計算することを含み、前記タイヤ・ホイールアセンブリの膨張を制御することは、前記タイヤ・ホイールアセンブリのタイヤ内の気体の圧力を制御することを含む、請求項に記載の方法。
【請求項9】
出力信号を生成することは、前記接地面での摩擦計算することを含み、前記位置を制御することは、前記接地面の領域への材料の送達を調節することを含み、前記材料は、粉末、液体、または他の物質を含む、請求項に記載の方法。
【請求項10】
出力信号を生成することは、前記接地面での摩擦計算することを含み、前記接地面での摩擦に基づき、前記試験機の材料送達システムが適正に機能しているかどうかを決定することをさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記接地面の長さ、前記摩擦力、および/または、前記感知された加速度をユーザに提示することをさらに含む、請求項7〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
タイヤトレッドの摩耗を試験するための試験機を作動させる方法であって、前記試験機は、回転要素と、インテリジェントタイヤと、プロセッサと、制御型要素とを含み、前記インテリジェントタイヤは、前記インテリジェントタイヤの軸の周りを前記インテリジェントタイヤと共に回転するセンサを有し、前記方法は、
前記プロセッサが、前記インテリジェントタイヤと前記回転要素の表面との間の接地面の長さを示すフィードバック信号、または、前記接地面での摩擦力を示すフィードバック信号を前記インテリジェントタイヤから受信することであって、前記接地面の長さおよび前記摩擦力は、前記センサによって感知された加速度に基づいて決定される、ことと、
前記プロセッサが、前記フィードバック信号を前記制御型要素に送り込むことと、
前記制御型要素が、前記フィードバック信号に基づいて、前記インテリジェントタイヤの膨張、または、前記回転要素に対する前記インテリジェントタイヤの位置を制御することと
を含む、方法。
【請求項13】
前記インテリジェントタイヤの膨張を制御することは、前記インテリジェントタイヤ内の空気圧を制御することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記接地面の長さ、前記摩擦力、および/または、前記感知された加速度をユーザに提示することをさらに含む、請求項12〜13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記回転要素は、回転するエンドレスベルトを含む、請求項7〜14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記回転要素は、回転するホイールを含む、請求項7〜14のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
実験室タイヤ試験機は知られており、ラバートレッドの空気入りまたは非空気入りタイヤ等のタイヤについてタイヤトレッド摩耗試験を行うために使用される。概して、タイヤ・ホイールアセンブリは、スピンドルに取り付けられ、タイヤは、ドラムまたは同等物等の回転要素に対して接触し、回転する。回転要素は、所望の路面を模擬する肌合いを有することができる。代替としてまたは加えて、粉末(例えば、タルク、けい砂)または他の形態の粒子状物質が、タイヤ接地面に提供され得る。粉末または他の粒子状物質は、試験の間に2つの機能を果たす。1つの機能は、回転要素上の人工的な試験表面とタイヤとの間に何らかの制御を提供することである。第2の機能は、ゴム製トレッド摩耗粒子に埃を付け、それらがタイヤまたはローリング要素試験表面に付着しないようにすることである。トレッド摩耗粒子は、その後、集じんシステムによって除去され得る。様々な粉末および微粒子が、用いられる。多くは、試験研究者の専有である。タイヤのトレッド摩耗はまた、試験の進捗に伴う試験表面の変化によっても影響される。適正な試験のために、表面摩擦をある範囲内に維持することが、多くの場合、望ましい。所望の結果を得るためには、タイヤ接地面に適切な量の粉末および微粒子を送達することが必要である。
【0002】
いくつかの実験室タイヤ試験機では、タイヤトレッド摩耗試験は、湾曲した表面またはローラ上で行われる。湾曲した表面は、実験室試験機上での試験と接地面が実質的に平坦な現実世界でのタイヤの使用との間のタイヤ接地面の配置の違いをもたらす。典型的には、試験条件を補償するために調節が必要である。
【0003】
「インテリジェントタイヤ」の考え方が進められてきた。「インテリジェントタイヤ」とは、車両内の監視システムにフィードバックを提供するため、タイヤに適用または埋め込まれた計装器、またはセンサをタイヤが有することを示す用語である。「インテリジェントタイヤ」についての研究は、タイヤからのデータを、車道摩擦、タイヤ接地面サイズ、およびタイヤ力を表す車両監視システムに提供するように、タイヤ会社および大学で進められている。この情報は、車両操縦および/または安定性を改善するため、車両操作中に使われ得る。センサは、タイヤ構造またはタイヤリム上/内に設置され得、典型的には、タイヤ構造の機械的変化を計測する。タイヤ・ホイールアセンブリの内部またはタイヤ・ホイールアセンブリの外部のいずれかにあるプロセッサ上で実行されるコンピュータ可読媒体内で具現化されるアルゴリズムが、センサから受信された信号を解釈する。例えば、タイヤ会社および大学で採用される1つの方法は、タイヤカーカス本体の内面またはタイヤの中心面近傍のインナライナ上に1つまたはそれを上回る加速度計を設置することである。加速度信号は、典型的には、接地表面長さとタイヤおよび車道間の摩擦を表す特性とを判定するアルゴリズムを実行するプロセッサによって評価される。なお、本明細書に記載される本発明の側面は、タイヤ摩擦を評価するために使用されるアルゴリズムに関連するものではなく、背景情報として本明細書で述べられることに留意されたい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
開示される1つの側面は、回転要素と、回転要素上でタイヤ・ホイールアセンブリが回転する際にタイヤ・ホイールアセンブリに関するパラメータを計測するため、それを表す出力信号を提供するセンサを有するタイヤ・ホイールアセンブリと、回転要素の表面に対する回転のためにタイヤ・ホイールアセンブリを支持するホルダと、センサからの出力信号に少なくとも基づく入力を受信するように構成されたプロセッサであって、タイヤ・ホイールアセンブリのタイヤと回転要素との間の接地面のパラメータを表す出力信号を提供するように構成されたプロセッサと、接地面に関するパラメータを変更するように構成された制御型要素とを有するタイヤ試験機である。ある実施形態では、パラメータは、接地面の長さであり得る。
【0005】
制御型要素は、例えば、回転要素に対してタイヤ・ホイールアセンブリの位置を調整するように構成されたホルダのポジショナ、タイヤ・ホイールアセンブリ内の気体の圧力を調節するように構成されたバルブ、または回転要素に対するタイヤの接触に影響を及ぼす材料供給システムであって、プロセッサからの出力信号に基づき材料の送達を調節する材料供給システムの1つまたはそれを上回るものを含み得る。
【0006】
回転要素は、例えば、回転するホイールまたは回転するエンドレスベルトを含み得る。
【0007】
別の側面では、タイヤ試験機は、回転要素と、回転要素上でタイヤ・ホイールアセンブリが回転する際にタイヤ・ホイールアセンブリに関するパラメータを計測するため、それを表す出力信号を提供するセンサを有するタイヤ・ホイールアセンブリと、回転要素の表面に対する回転のためにタイヤ・ホイールアセンブリを支持するホルダと、センサからの出力信号に少なくとも基づく入力を受信するように構成されたプロセッサであって、タイヤ・ホイールアセンブリのタイヤとローリング要素との間の摩擦のパラメータを表す出力信号を提供するように構成されたプロセッサと、摩擦に関するパラメータを変更するように構成された制御型要素とを含む。制御型要素は、例えば、プロセッサからの出力信号に基づいて、タイヤおよびローリング要素への材料の送達を調節する材料供給システムであってもよい。
【0008】
さらに別の側面では、タイヤ試験機を操作する方法は、タイヤ試験機のタイヤ・ホイールアセンブリのセンサを用いてパラメータを計測するステップと、計測されたパラメータに基づく出力信号を提供するステップと、出力信号に基づく入力を受信するステップと、タイヤ・ホイールアセンブリのタイヤとタイヤ試験機の回転要素の表面との間の接地面のパラメータを表す出力信号を生成するステップと、接地面に関するパラメータを変更するステップとを含む。
【0009】
出力信号を生成するステップは、例えば、接地面での摩擦を推定するステップを含んでもよい。パラメータを変更するステップは、例えば、回転要素に対するタイヤ・ホイールアセンブリの位置を調節するステップと、接地面での摩擦を推定するステップとの1つまたはそれを上回るものを含んでもよく、パラメータを変更するステップは、タイヤ・ホイールアセンブリのタイヤ内の気体の圧力を調節するステップを含むか、パラメータを変更するステップが接地面の領域への材料の送達を調節するステップを含む。
【0010】
本方法はまた、接地面での摩擦に基づき、回転要素の表面の交換がいつ必要かを決定するステップと、接地面での摩擦に基づきタイヤ試験機の材料送達システムが適正に機能しているかどうかを決定するステップとの1つまたはそれを上回るものをさらに含んでもよい。
【0011】
さらに別の側面では、タイヤ試験機を操作する方法は、タイヤ試験機のインテリジェントタイヤからタイヤ試験機のパラメータを表す信号を受信するステップと、信号をパラメータ変更システムに送り込むステップと、フィードバック信号に基づきパラメータを調節するステップとを含む。パラメータを調節するステップは、インテリジェントタイヤからパラメータ変更システムにフィードバックを提供するステップと、インテリジェントタイヤとタイヤ試験機の回転要素の表面との間の接地面の領域での摩擦を制御するステップおよびインテリジェントタイヤ内の空気圧を制御することによりパラメータを変更するステップのうちの1つまたはそれを上回るものによってパラメータを変更するステップとを含んでもよい。
【0012】
1つまたはそれを上回る実施形態では、パラメータは、ユーザに提示され得る。
【0013】
2つまたはそれを上回る前述の特徴は、必要に応じて組み合わせられ得る。
例えば、本願は以下の項目を提供する。
(項目1)
タイヤ試験機であって、
回転要素と、
前記回転要素上でタイヤ・ホイールアセンブリが回転する際にタイヤ・ホイールアセンブリに関するパラメータを計測するように構成され、それを表す出力信号を提供するセンサを有するタイヤ・ホイールアセンブリと、
前記回転要素の表面に対する回転のために、前記タイヤ・ホイールアセンブリを支持するホルダと、
前記センサからの前記出力信号に少なくとも基づく入力を受信するように構成されたプロセッサであって、前記タイヤ・ホイールアセンブリのタイヤと前記回転要素との間の接地面のパラメータを表す出力信号を提供するように構成されたプロセッサと、
前記接地面に関するパラメータを変更するように構成された制御型要素と、
を備える、タイヤ試験機。
(項目2)
前記制御型要素は、前記回転要素に対して前記タイヤ・ホイールアセンブリの位置を調整するように構成された、前記ホルダのポジショナである、項目1に記載のタイヤ試験機。
(項目3)
前記制御型要素は、前記タイヤ・ホイールアセンブリ内の気体の圧力を調節するように構成されたバルブを含む、項目1に記載のタイヤ試験機。
(項目4)
前記回転要素に対する前記タイヤの接触に影響を及ぼす材料供給システムをさらに含み、前記材料供給システムは、前記プロセッサからの出力信号に基づき材料の送達を調節する、項目1〜3のいずれかに記載のタイヤ試験機。
(項目5)
前記パラメータは、前記接地面の長さを含む、項目1〜4のいずれかに記載のタイヤ試験機。
(項目6)
前記回転要素は、回転するホイールを含む、項目1〜5のいずれかに記載のタイヤ試験機。
(項目7)
前記回転要素は、回転するエンドレスベルトを含む、項目1〜5のいずれかに記載のタイヤ試験機。
(項目8)
タイヤ試験機であって、
回転要素と、
前記回転要素上でタイヤ・ホイールアセンブリが回転する際にタイヤ・ホイールアセンブリに関するパラメータを計測するように構成され、それを表す出力信号を提供するセンサを有するタイヤ・ホイールアセンブリと、
前記回転要素の表面に対する回転のために、前記タイヤ・ホイールアセンブリを支持するホルダと、
前記センサからの前記出力信号に少なくとも基づく入力を受信するように構成されたプロセッサであって、前記タイヤ・ホイールアセンブリのタイヤとローリング要素との間の摩擦のパラメータを表す出力信号を提供するように構成されたプロセッサと、
前記摩擦に関するパラメータを変更するように構成された制御型要素と、
を備える、タイヤ試験機。
(項目9)
前記制御型要素は、前記プロセッサからの出力信号に基づいて、前記タイヤおよび前記ローリング要素への材料の送達を調節する材料供給システムを含む、項目8に記載のタイヤ試験機。
(項目10)
タイヤ試験機を操作する方法であって、
前記タイヤ試験機のタイヤ・ホイールアセンブリのセンサを用いてパラメータを計測するステップと、
前記計測されたパラメータに基づく出力信号を提供するステップと、
前記出力信号に基づく入力を受信するステップと、
前記タイヤ・ホイールアセンブリのタイヤと前記タイヤ試験機の回転要素の表面との間の接地面のパラメータを表す出力信号を生成するステップと、
前記接地面に関するパラメータを変更するステップと、
を含む、方法。
(項目11)
出力信号を生成するステップは、前記接地面での摩擦を推定するステップを含み、パラメータを変更するステップは、前記回転要素に対する前記タイヤ・ホイールアセンブリの位置を調節するステップを含む、項目10に記載の方法。
(項目12)
出力信号を生成するステップは、前記接地面での摩擦を推定するステップを含み、パラメータを変更するステップは、前記タイヤ・ホイールアセンブリのタイヤ内の気体の圧力を調節するステップを含む、項目10に記載の方法。
(項目13)
出力信号を生成するステップは、前記接地面での摩擦を推定するステップを含み、パラメータを変更するステップは、前記接地面の領域への材料の送達を調節するステップを含む、項目10に記載の方法。
(項目14)
出力信号を生成するステップは、前記接地面での摩擦を推定するステップを含み、前記接地面での摩擦に基づき、前記回転要素の表面の交換がいつ必要かを決定するステップをさらに含む、項目10に記載の方法。
(項目15)
出力信号を生成するステップは、前記接地面での摩擦を推定するステップを含み、前記接地面での摩擦に基づき、前記タイヤ試験機の材料送達システムが適正に機能しているかどうかを決定するステップをさらに含む、項目10に記載の方法。
(項目16)
前記パラメータをユーザに提示するステップをさらに含む、項目10〜15のいずれかに記載の方法。
(項目17)
タイヤ試験機を操作する方法であって、
前記タイヤ試験機のインテリジェントタイヤから前記タイヤ試験機のパラメータを表す信号を受信するステップと、
前記信号をパラメータ変更システムに送り込むステップと、
フィードバック信号に基づき前記パラメータを調節するステップと、
を含む、方法。
(項目18)
前記パラメータを調節するステップは、前記インテリジェントタイヤから前記パラメータ変更システムにフィードバックを提供するステップを含み、前記パラメータ変更システムは、前記インテリジェントタイヤと前記タイヤ試験機の回転要素の表面との間の接地面の領域での摩擦を制御することにより前記パラメータを変更する、項目17に記載の方法。
(項目19)
パラメータを調節するステップは、前記インテリジェントタイヤから前記パラメータ変更システムにフィードバックを提供するステップを含み、前記パラメータ変更システムは、前記インテリジェントタイヤ内の空気圧を制御することにより前記パラメータを変更する、項目17に記載の方法。
(項目20)
前記パラメータをユーザに提示するステップをさらに含む、項目17〜19のいずれかに記載の方法。
(項目21)
前記回転要素は、回転するエンドレスベルトを含む、項目10〜20のいずれかに記載の方法。
(項目22)
前記回転要素は、回転するホイールを含む、項目10〜20のいずれかに記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本開示の実施形態による、タイヤ試験機の模式図である。
図2図2は、本開示の別の実施形態による、タイヤ試験機の模式図である。
図3図3は、本開示の実施形態による、加速度計の加速度計出力のグラフである。
図4図4は、本開示の実施形態による、方法のフローチャートである。
図5図5は、本開示の別の実施形態による、方法のフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
タイヤトレッド摩耗試験機は、図1中の10に図示される。試験機10は、回転要素12を含み、その上でタイヤ14が回転する。回転要素12は、図示されるような大型ドラムもしくはホイールまたは米国特許第6,584,835号に開示されるような回転するエンドレスベルトを有するフラットベルトアセンブリを含む、数多くの形態をとることができる。そのようなシステムは、米国ミネソタ州エデンプレイリーのMTS Systems社から入手可能である。
【0016】
回転要素12は、16に模式的に図示され、油圧、空圧、または電気モータを含む駆動モータによって駆動される。タイヤ14は、好適なホイール15に取り付けられ(タイヤ・ホイールアセンブリ17)、その結果、タイヤ・ホイールアセンブリは、19に模式的に図示され、回転要素12上にタイヤ14を配置するホイールポジショナのスピンドル(すなわち、ホルダ)に取り付けられる。ポジショナ19は、タイヤ・ホイールアセンブリ17の位置を調節するとともに回転要素12上でタイヤ14に負荷をかける(力をかける)ための(典型的には、油圧であるが、電気的なものでもあり得る)様々な作動装置、レバー、ストラット、ピボット、および同等物を含むことができる。例えば、配置は、模擬的ステアリング位置またはステアリング軸18周りのタイヤ・ホイールアセンブリ17の動きを含むことができる。他の配置パラメータはまた、タイヤ・ホイールアセンブリ17が回転要素12上で回転する間に、そのキャンバを調節することを含むことができる。図示された実施形態では、キャンバ調節は、タイヤ14のタイヤ接地面24を通して延在する軸20を中心に、回転要素12について行うことができる。所望の場合、ポジショナはまた、例えば、タイヤ接地面を通して回転要素12の表面に垂直な基準軸に対して、ステアリング軸18のキャスタ角25を調節することができる。ポジショナ19は、タイヤ・ホイールアセンブリ17の任意または全ての位置調節を提供する必要はなく、むしろ、前述したタイヤ・ホイールアセンブリの位置調節は、単なる例示であることを理解されたい。システム制御器28は、試験機10の操作を制御するための制御信号を、限定ではないが、モータ16およびポジショナ19に提供する。
【0017】
図1の実施形態では、粉末、液体、または他の物質を回転要素12、タイヤ14、および/または別様に提供する材料供給システム27は、タイヤ接地面24に材料を提供するように配置される。図示された実施形態では、材料は、材料供給器29(以下、粉末を供給するものとして例示される)に結合されたノズル28を通して提供される。材料供給システム27は、当技術分野でよく知られたものである。
【0018】
1つまたはそれを上回るセンサ40は、計測されたパラメータを表す出力信号を提供するため、タイヤ・ホイールアセンブリ17上または内部に配置される。センサ40からの出力信号は、所望の場合、典型的には、送信機または送信機42を含み得る処理モジュール41に向けられる。処理モジュール41は、センサ40とともにタイヤ14に取り付けられか、44で表されるようにホイール15に取り付けられ得る。典型的には、送信機42は、図示されるように受信機50に無線接続されるが、所望の場合には、有線信号伝送システムが、図示しないが、タイヤ・ホイールアセンブリ17上に設けられたスリップリングアセンブリで形成された有線接続を用いて、センサ40、処理モジュール41、および/または送信機42を受信機50に直接接続することができる。
【0019】
受信機50は、摩擦推定プロセッサ60に電気的に接続され、それに入力信号を提供する。摩擦推定プロセッサ60は、接地面24での摩擦を表す推定値もしくはパラメータまたは回転要素12に係合するタイヤ14の別のパラメータを提供する。図示された実施形態では、摩擦推定プロセッサ60は、粉末送達制御器70への指令信号を形成する出力信号64を提供する。粉末送達制御器70は、その結果、制御信号を粉末供給器29に提供する。タイヤ14内のセンサ40は、摩擦推定プロセッサ60(およびセンサ40からの出力信号に基づき、摩擦推定プロセッサ60に入力を提供する前述した任意または全てのハードウェア)とともに、タイヤ接地面24への粉末の送り速度を調節する粉末送達制御器70にフィードバック信号を提供する。なお、本明細書に記載される本発明の側面は、タイヤ摩擦を評価するため摩擦推定プロセッサ60によって用いられるアルゴリズムに関連するものではないことに留意されたい。本発明の側面の目的のために、摩擦推定プロセッサ60は、粉末供給器29による粉末の適用を制御するために用いられ得る、出力信号64を提供しさえすればよい。別の実施形態では、摩擦推定プロセッサ60によって確認されるタイヤ接地面24での摩擦は、出力信号67によって表されるように、表面(または表面を形成する要素)がいつ交換される必要があるかを確認するために用いられ得る。
【0020】
なお、タイヤ・ホイールアセンブリ17のまたはタイヤ接地面24における算出された摩擦または他のパラメータはまた、モニタ、プリンタ、電子ファイル記録デバイス等の任意の好適なデバイスによって、ユーザに提示され得ることにも留意されたい。例えば、タイヤ接地面24での摩擦等、パラメータの所望の値は、ユーザによる所望の範囲内で獲得または維持され得る。同様に、所望の場合には、タイヤ接地面24での摩擦は、試験全体を通してまたは試験中に、粉末送達制御器70によって制御される粉末供給器29および上述された関連機器を用いて調節され得、それによって、より複雑なおよび/または実世界でのタイヤ試験を作り出す能力をユーザに提供する。
【0021】
タイヤ接地面24における回転要素12上のタイヤ14の摩擦を調節することに加えてまたはその代替として、試験機10は、タイヤ接地面24の長さを計測することができる。タイヤ接地面24の長さを計測すると、ポジショナ19のパラメータのうちの任意の1つまたはそれを上回るもの等、試験機10の1つまたはそれを上回るパラメータは、タイヤ接地面24の所望の長さを得るように調節され得る。
【0022】
図2は、単独でまたはポジショナ19のパラメータのうちの1つまたはそれを上回るものの調節とともに用いられ得る、タイヤ接地面24の長さを調節するための別の技法を模式的に図示する。特に、図2のタイヤ接地面24の長さ調節は、タイヤ・ホイールアセンブリ17内の気体圧力を調節または調整することにより得られ得る。タイヤ接地面24の長さを計測することにより、所望の長さのタイヤ接地面24を得るために、気体圧力が、調節され得る(および/または試験機の他のパラメータが、調節され得る)。タイヤ接地面24の長さの調節は、試験機10が、タイヤ14がその上で回転する湾曲した表面を提供する丸型ドラム、ホイール、または同等物を含むときに特に有利である。センサ40、処理モジュール41、送信機42、および/または受信機50を用いて、出力信号91として提供されるタイヤ接地面24の長さを計算する、接地面長さ計算プロセッサ90に入力信号80が提供される。
【0023】
図3を参照すると、1つの例証的実施形態では、センサ40は、タイヤ14の回転数にわたって変化する出力信号を提供する加速度計をそれぞれ含むことができる。特に、加速度計は、タイヤ14の回転の間にタイヤ接地面24を除いて実質的に一定な、80で表される信号を提供することができる。図3に図示されるように、タイヤ接地面24の始点でタイヤ14がローリング要素12の表面に接触するとき、加速度計は、この接触を図3の102で表されるように感知する。加速度計からの出力信号の別の変化は、タイヤ接地面24の終点またはセンサ40を有するタイヤ14の部分が回転要素12の表面から離れるもしくは離脱するときに対応する104で表される。点102および104の間の出力信号の変化の間の時間を計測すること、またはこれらの点の間におけるタイヤ・ホイールアセンブリ17の回転角を計測すること、または必要に応じて、限定されないが、タイヤ・ホイールアセンブリ17の回転速度等、タイヤ・ホイールアセンブリ17もしくは試験機10の他のパラメータを含み得る他の好適な処理技法により、タイヤ接地面24の長さを表す値は、タイヤ接地面長さ計算プロセッサ90から信号91として出力され得、タイヤ接地面長さ調整器120に提供され得る。タイヤ接地面長さ調整器120は、タイヤ接地面長さ計算プロセッサ90からの受信出力を、タイヤ接地面24の所望の長さを表す信号130と比較し、図示された実施形態では、出力信号122をタイヤ膨張圧制御器124に提供し、その結果、タイヤ膨張圧制御器は、空気ホース134を介してタイヤ・ホイールアセンブリ17内の気体圧力を増加または減少させるため、空気源132に接続されたバルブ126を制御する。図示された実施形態では、バルブ126およびホース134は、タイヤ・ホイールアセンブリ17が回転する際に気体圧力が調節され得るようにするため、回転ユニオン127を通して、タイヤ・ホイールアセンブリ17に動作可能に結合される。なお、別の実施形態では、所望の場合、タイヤ接地面長さ計算プロセッサ90によって計算されるタイヤ接地面24の長さの計算値は、モニタまたはプリンタ等の好適な提示デバイスを通してユーザに提示され得ることに留意されたい。ユーザは、その後、回転ユニオン127付きまたは無しの手動操作制御バルブを用い、タイヤ・ホイールアセンブリ17の気体圧力を手動で調節することができる。
【0024】
例えば、3軸加速度計が採用され得る。多数の加速度計は、タイヤカーカスの幅全体にわたって配置され得る。多数のセンサは、タイヤ情報がタイヤから提供される速さを増加させるように、タイヤの周囲を取り巻いて設置されることができる。単一のセンサは、タイヤ1回転につき1回だけ情報を提供する一方、2つのセンサは、1回転につき2回の情報を提供する等である。
【0025】
図4は、タイヤ試験機を操作する方法400のフローチャート図である。方法400は、ある実施形態では、ブロック402での、タイヤ試験機のタイヤ・ホイールアセンブリのセンサを用いてパラメータを計測するステップと、ブロック404での、計測されたパラメータに基づく出力信号を提供するステップと、ブロック406での、出力信号に基づく入力を受信するステップと、ブロック408での、タイヤ・ホイールアセンブリのタイヤとタイヤ試験機の回転要素の表面との間の接地面のパラメータを表す出力信号を生成するステップと、ブロック410での、接地面に関するパラメータを変更するステップとを含む。
【0026】
図5は、タイヤ試験機を操作する別の方法500のフローチャート図である。方法500は、ある実施形態では、ブロック502での、タイヤ試験機のインテリジェントタイヤからタイヤ試験機のパラメータを表す信号を受信するステップと、ブロック504での、信号をパラメータ変更システムに送り込むステップと、ブロック506での、フィードバック信号に基づきパラメータを調節するステップとを含む。
【0027】
上述の実施形態では、所望の場合、複数のセンサ40が、タイヤ14の幅の選択された位置におけるタイヤ接地面24の長さを計測するため、タイヤ14の幅に沿って配置され得ることもまた理解されたい。
【0028】
上述した処理モジュール、制御器、および調整器のそれぞれは、アナログおよび/またはデジタル回路で実現され得る。別個の処理モジュール、制御器、および調整器が図示されてきたが、これは、本発明の側面のより明快な理解を提供するために行われるもので、限定するものとして解釈されるべきではないこともまた留意されたい。タイヤ試験機10の実用的な実施形態は、前述した処理ステップのうちの1つまたはそれを上回るものを実行するまたは制御器、プロセッサ、および調整器のうちの1つまたはそれを上回るものを実装する、単一または複数のアナログおよび/またはデジタル回路を含み得る。加えて、処理ステップまたはそれらの部分は、ハードウェアおよび/またはソフトウェアを任意に組み合わせまたはそれらの一部を用いて行われ得ることが理解されるべきである。ソフトウェアは、任意の好適なプロセッサによって実行される指令を含む。プロセッサは、例えば、マイクロプロセッサと、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、および/またはシステムバス全体にわたって互いに通信する他のコンピュータ可読非一過性記憶媒体等のサポート周辺機器とを有する電気回路に実装され得る。回路基板は、前述の構成要素のそれぞれのための電気的接続を形成するために用いられ得および/または1つまたはそれを上回る構成要素がシステムオンチップとして実装され得る。アナログデジタル変換器、デジタルアナログ変換器、モニタ、および(キーボード、ポインタ等)ユーザ操作による入力デバイス等の他の構成要素もまた、システムバスを通す等して、前述した構成要素のうちの1つまたはそれを上回るものに動作可能に結合され得る。
【0029】
主題は、構造的特徴および/または方法論的行為に特有の言語で記述されてきたが、添付の請求項に定義される主題は、裁判所によって維持されてきたように、上述された特定の特徴または行為に必ずしも限定されるものではないことが理解されるべきである。むしろ、上述の特定の特徴および行為は、特許請求の範囲を実施する形態の例として開示される。
図1
図2
図3
図4
図5