特許第6373391号(P6373391)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6373391触媒的に押出成形されたソリッドハニカム体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6373391
(24)【登録日】2018年7月27日
(45)【発行日】2018年8月15日
(54)【発明の名称】触媒的に押出成形されたソリッドハニカム体
(51)【国際特許分類】
   B01J 29/76 20060101AFI20180806BHJP
   B01J 37/30 20060101ALI20180806BHJP
   B01J 35/04 20060101ALI20180806BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20180806BHJP
   F01N 3/08 20060101ALI20180806BHJP
【FI】
   B01J29/76 AZAB
   B01J37/30
   B01J35/04 301P
   B01D53/94 222
   B01D53/94 400
   B01D53/94 228
   F01N3/08 B
   F01N3/08 A
【請求項の数】34
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-547898(P2016-547898)
(86)(22)【出願日】2015年1月23日
(65)【公表番号】特表2017-507776(P2017-507776A)
(43)【公表日】2017年3月23日
(86)【国際出願番号】GB2015050150
(87)【国際公開番号】WO2015110822
(87)【国際公開日】20150730
【審査請求日】2017年11月6日
(31)【優先権主張番号】1401139.9
(32)【優先日】2014年1月23日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】590004718
【氏名又は名称】ジョンソン、マッセイ、パブリック、リミテッド、カンパニー
【氏名又は名称原語表記】JOHNSON MATTHEY PUBLIC LIMITED COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】バウアー, ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】ドッツェル, ラルフ
(72)【発明者】
【氏名】ヨードラウク, イェルク ヴァルター
(72)【発明者】
【氏名】レッペルト, ライナー
(72)【発明者】
【氏名】ミュンヒ, イェルク ヴェルナー
【審査官】 岡田 隆介
(56)【参考文献】
【文献】 特開平5−228371(JP,A)
【文献】 特開2012−183541(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00−38/74
B01D 53/73
B01D 53/86−90
B01D 53/94−96
DWPI(Derwent Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
結晶質モレキュラーシーブが8つのテトラヘドラル原子の最大リングサイズを有する、還元剤の存在下で窒素の酸化物を変換するための銅でプロモートされた小細孔結晶質モレキュラーシーブ触媒を含む押出成形されたソリッドハニカム体であって、
珪藻土を含む20‐50重量%のマトリクス成分であって、前記押出成形されたソリッドハニカム体の2‐20重量%が珪藻土である、マトリクス成分;
80‐50重量%の銅でイオン交換された小細孔結晶質モレキュラーシーブ;並びに
0‐10重量%の無機繊維:
を含む、押出成形されたソリッドハニカム体。
【請求項2】
マトリクス成分がアルミナ及び粘土を含む、請求項1に記載の押出成形されたソリッドハニカム体。
【請求項3】
少なくともいくつかの粘土が、ピラード粘土鉱物として存在する、請求項2に記載の押出成形されたソリッドハニカム体。
【請求項4】
無機繊維を含む、請求項1から3の何れか一項に記載の押出成形されたソリッドハニカム体。
【請求項5】
無機繊維を含み、無機繊維がEガラス繊維又はバサルト繊維である、請求項1から4の何れか一項に記載の押出成形されたソリッドハニカム体。
【請求項6】
無機繊維を含み、無機繊維における繊維長さの分布が150から700μmである、請求項1から5の何れか一項に記載の押出成形されたソリッドハニカム体。
【請求項7】
小細孔結晶質モレキュラーシーブがアルミノケイ酸塩ゼオライトである、請求項1から6の何れか一項に記載の押出成形されたソリッドハニカム体。
【請求項8】
小細孔結晶質モレキュラーシーブがCHA、ERI、FER、AFX又はAEI結晶構造を有する、請求項1から7の何れか一項に記載の押出成形されたソリッドハニカム体。
【請求項9】
小細孔結晶質モレキュラーシーブが、10から50までのアルミナ対シリカ比を有する、請求項1から8の何れか一項に記載の押出成形されたソリッドハニカム体。
【請求項10】
全体で、1.0‐5.0重量%の銅を含む、請求項1から9の何れか一項に記載の押出成形されたソリッドハニカム体。
【請求項11】
銅イオン交換された小細孔結晶質モレキュラーシーブ中での銅のアルミニウムに対する原子比が0.06‐1.22である、請求項1から10の何れか一項に記載の押出成形されたソリッドハニカム体。
【請求項12】
珪藻土が酸化鉄を含有する、請求項1から11の何れか一項に記載の押出成形されたソリッドハニカム体。
【請求項13】
押出成形されたソリッドハニカム体中でのFe:Cuの重量比が1:5‐1:20である、請求項12に記載の押出成形されたソリッドハニカム体。
【請求項14】
押出成形されたソリッドハニカム体の壁多孔度が40‐60%である、請求項1から13の何れか一項に記載の押出成形されたソリッドハニカム体。
【請求項15】
押出成形されたソリッドハニカム体のセル壁厚さが150‐250μmである、請求項1から14の何れか一項に記載の押出成形されたソリッドハニカム体。
【請求項16】
押出成形されたソリッドハニカム体のセル密度が>62セルcm‐2(>400セル毎平方inch)である、請求項1から15の何れか一項に記載の押出成形されたソリッドハニカム体。
【請求項17】
触媒的コーティングでコーティングされている、請求項1から16の何れか一項項に記載の押出成形されたソリッドハニカム体。
【請求項18】
触媒的コーティングがNHをNに酸化するためのものである、請求項17に記載の押出成形されたソリッドハニカム体。
【請求項19】
触媒的コーティングが窒素還元剤を使用してNOを変換するためのものである、請求項17に記載の押出成形されたソリッドハニカム体。
【請求項20】
請求項1から19の何れか一項に記載の押出成形されたソリッドハニカム体を含む排気システム。
【請求項21】
押出成形されたソリッドハニカム体の上流を流れる排気ガス中に窒素還元剤を導入するためのインジェクタを含む、請求項20に記載の排気システム。
【請求項22】
押出成形されたソリッドハニカム体の上流の隔てられた基材上に配置される、一酸化窒素を二酸化窒素に酸化するための酸化触媒又はNO吸着触媒を含む、請求項20又は21に記載の排気システム。
【請求項23】
請求項20、21又は22に記載の排気システムを含む内燃機関。
【請求項24】
請求項23に記載の内燃機関を含む車両。
【請求項25】
ガス中の窒素の酸化物(NO)を変換する方法であって、窒素還元剤をガスに加え、ガス混合物を生成すること、及び、ガス混合物を請求項1から19の何れか一項に記載の押出成形されたソリッドハニカム体と接触させることを含む、方法。
【請求項26】
窒素還元剤を用いてガス中の窒素の酸化物(NO)を変換するための、請求項1から19の何れか一項に記載の押出成形されたソリッドハニカム体の使用。
【請求項27】
(a)粉末化された珪藻土マトリクス成分と、粉末化された追加のマトリクス成分と、8つのテトラヘドラル原子の最大リングサイズを有する、粉末化された小細孔結晶質モレキュラーシーブと、銅成分と、任意選択的な無機繊維と、酸又はアルカリ水溶液とを、共に混合及び/又は混練することにより可塑性混合物を形成する工程であって、銅成分が混合工程より先に小細孔結晶質モレキュラーシーブ中でイオン交換された銅を含みかつ/又はイオン交換前駆体として混合物に加えられ、粉末化された小細孔結晶質モレキュラーシーブが、それのH又はNH形態として混合物に加えられかつその位置で銅でイオン交換される、工程;
(b)可塑性混合物を押出成形して湿ったハニカム体にし、押出成形されたハニカム体を乾燥し、かつそれをか焼して、押出成形されたソリッドハニカム体を形成する工程;並びに
(c)珪藻土を含む20‐50重量%のマトリクス成分であって、押出成形されたソリッドハニカム体の2‐20重量%が珪藻土である、マトリクス成分と、銅でイオン交換された80‐50重量%の小細孔結晶質モレキュラーシーブと、0‐10重量%の無機繊維とを押出成形されたソリッドハニカム体が含有するように、出発材料の量的な比を選択する工程:
を含む、押出成形されたソリッドハニカム体を作製する方法。
【請求項28】
可塑性混合物が、有機補助剤を含み形成される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
押出成形されたソリッドハニカム体中の追加のマトリクス成分がアルミナを含み、可塑性混合物がアルミナ前駆体及び/又はアルミナゾルとしてベーマイトを含む、請求項27又は28に記載の方法。
【請求項30】
可塑性混合物が追加のマトリクス成分として粘土を含む、請求項27から29の何れか一項に記載の方法。
【請求項31】
粘土が、ベントナイト粘土、カオリン粘土及び耐火粘土の組合せである、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
存在する粘土の総量に対して、耐火粘土が、重量%で過半数を占める、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
小細孔結晶質モレキュラーシーブが、その位置で銅でイオン交換され、かつイオン交換前駆体が酢酸銅である、請求項27から32の何れか一項に記載の方法。
【請求項34】
有機補助剤が、アクリル繊維、セルロース誘導体、有機可塑剤、潤滑油又は水溶性樹脂のうちの少なくとも1である、請求項28、及び請求項28に従属する場合の請求項29から33の何れか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、還元剤、好ましくは窒素還元剤、例えばNH、の存在下で窒素の酸化物を変換するための、銅でプロモートされた小細孔結晶質モレキュラーシーブ触媒を含む押出成形されたソリッドハニカム体に関する。それは、いわゆる選択的触媒的還元(SCR)触媒又はNHSCR触媒である。
【0002】
国際特許出願第2008/106519号は、CHA結晶構造並びに約15より大きなアルミナに対するシリカのモル比及び約0.25を超えるアルミニウムに対する銅の原子比を有するゼオライトを含む選択的触媒的還元触媒を開示する。ある実施態様において、SCR触媒は、SCR触媒組成物で形成されるハニカムモノリスの形態であってよい。
【0003】
押出成形されたソリッドハニカム体にある銅でプロモートされた小細孔結晶質モレキュラーシーブ触媒の重量により標準化された触媒活性の比較により示されるものとして、特に相対的に低い温度(例えば200‐300℃)において珪藻土無しの同等の触媒と比較して、銅でプロモートされた小細孔結晶質モレキュラーシーブ触媒を含む押出成形されたソリッドハニカム体中のマトリクス成分の構成要素として珪藻土を使用することにより、触媒の選選択的触媒的還元活性が改善されることを、発明者は非常に驚くべきことに今しがた発見した。
【0004】
第一の態様によれば、珪藻土を含む20‐50重量%のマトリクス成分、ここで押出成形されたソリッドハニカム体の2‐20重量%が珪藻土であり;80‐50重量%の、銅でイオン交換された小細孔結晶質モレキュラーシーブ;及び0‐10重量%の無機繊維:を含む押出成形されたソリッドハニカム体であって、還元剤の存在下で窒素の酸化物を変換するための銅でプロモートされた小細孔結晶質モレキュラーシーブ触媒を含む押出成形されたソリッドハニカム体を、本発明は提供し、結晶質モレキュラーシーブが8つのテトラヘドラル原子の最大リングサイズを有する。
【0005】
ハニカム体は、いわゆる「フロースルー」配置中でそれらの第一端から第二端まで延びるセル壁により一部定義される平行チャネルの配列を含む。セル壁断面は、典型的には、四角形であり、しかし任意に特定の断面は、三角形、六角形、八角形又はそれらの非対称な組合せ、例えば八角形及び四角形断面の組合せ、のように把握される。
【0006】
D.E.、ダイアトマイト(diatomite(珪藻土))又はキーセルガ(kieselgur/kieselguhr)としても知られる珪藻土は、容易に砕かれ白色から灰白色の細かな粉末になる柔らかい珪質堆積岩を自然に生じる。それは、3マイクロメートル未満から1ミリメートル強までの範囲の粒径を有し、しかし典型的には、5から200マイクロメートルである。オーブン乾燥された珪藻土の典型的な化学組成は、2から4%アルミナ(粘土鉱物に大部分が帰する)及び0.5から2%酸化鉄及び80から95%シリカである。珪藻土は、珪藻植物の化石、堅い殻を持つ藻類タイプ、からなり、かつこれらは顕微鏡を使用して本発明による生成物中で目に見える。
【0007】
モレキュラーシーブは、正確な及び統一されたサイズの非常に小さな穴を有する材料である。これらの穴は、大きな分子を防ぐのに十分小さく、同時に小さな分子に通過させることを可能する。ピラード粘土は、通常の3次元ネットワーク構造が無いが、モレキュラーシーブとしてみなされ得る。非アルミノケイ酸塩ゼオライト(例えば、SAPOs)及びアルミノケイ酸塩ゼオライトは、本発明におけるアプリケーションに伴う3次元ネットワーク構造を有したモレキュラーシーブの例である。
【0008】
マトリクス成分は、概して、不活性充填剤である。好ましくは、押出成形されたソリッドハニカム体中のマトリクス成分は、アルミナ、粘土又はアルミナと粘土の双方を含む。押出成形されたソリッドハニカム体中のマトリクス成分のタイプ及びそれの含有量が、無機繊維を有する(存在する場合)組合せにおいて、最終生成物中に望ましい強さを加えるように選択されるので、マトリクス成分のある目的は、押出成形されたソリッドハニカム体のためのフレームワークを提供することである。いくつかのマトリクス成分は、製造を助力するような所望の特性も提供し得る。例えば、粘土は、本質的に可塑性なので、押出成形されるであろう組成物へのそれらの添加が、ペーストフロー及び従って押出成形特性を改善する押出成形混合物における望ましいレベルの可塑性及びバインディングを可能にし又は促進し得る。
【0009】
マトリクス成分がケイ酸塩分散性セラミックを形成し得るので、現在の技術を使用して、完成された押出成形されたソリッドハニカム体中のマトリクス成分中の個々の構成要素を同定することは、難しくなり得る(しかし、不可能では無い)。ケイ酸塩分散性セラミックは、小粒子の密接な混合物を含む。粒子のサイズにより、それは、例えばアルミナとケイ酸塩又は粘土鉱物を区別することを可能にしてよく、かつそれによってソリッドハニカム体の組成を決定する。マトリクス成分中の個々の非珪藻土構成要素を同定することを助力してよい適切な分析技術は、エネルギー分散形X線分光(EDX)を含む。しかしながら、それは、上記されたような珪藻土の存在を同定することを可能にする。
【0010】
しかしながら、好ましくは、少なくともいくつかの粘土が、ピラード粘土として、より特に、カオリンタイプの粘土、スメクタイトタイプの粘土、フラー土、アニオン性の粘土(層状二重水酸化物)、セピオライト又は任意の2以上のそれらの混合物のようなピラード粘土鉱物成分として、押出成形されたソリッドハニカム体中に存在する。「サイン」としてd001ライン(基礎的な間隔)を明瞭に示すXRDパターンを有するので、特に非ピラード粘土の同定と対照的に、本発明による押出成形されたソリッドハニカム体中の上記されたピラード粘土鉱物成分は、容易に同定可能である。カオリンは、サブベントナイト(subbentonite)、アナウキサイト、ハロイサイト、カオリナイト、ディッカイト、ナクライト及びそれらの任意の2以上の混合物から選択されてよく;スメクタイトは、モンモリロナイト(例えば、ヘクトライト)、ノントロナイト、バーミキュライト、サポナイト及びそれらの任意の2以上の混合物からなる群から選択されてよく;かつフラー土はモンモリロナイト又はパリゴルスカイト(アタパルジャイト)であってよい。特に好ましくは、ピラード粘土鉱物成分がピラードカオリン鉱物及び/又はピラードベントナイト鉱物を含む。
【0011】
ピラーリングは、XRDパターンにより同定可能な化学的及び物理的に安定なミクロ多孔性(IUPAC表記nm)及び/又はメソ多孔性(IUPAC表記2‐50nm)を有する材料に、粘土鉱物のような層状結晶質無機化合物を変形させる手順である。手順においてゲスト種(ピラーリング剤)は、粘土鉱物の層間に導入され、同時に粘土鉱物の層状構造を維持する。ピラード粘土鉱物は、以下の特徴により定義される。(i)層が、別々に垂直に調製され、かつゲスト種を導入する溶媒の除去に際して崩れず;(ii)基礎的な間隔における最小増加が、一般的に表面積及び細孔容積を測定するように使用されるN分子の直径:0.315±0.353nmであり;(iii)ピラーリング剤は、分子直径を有し、かつ分子長スケールで、層間スペース中、側面に一定間隔を保つ;(iv)層間スペースは、細孔及び少なくともNと同程度の大きさの分子に利用でき;細孔のサイズに上限はない。ピラード粘土鉱物が、ピラーリング剤の側面の分離由来の結晶内の多孔性を有するので、ピラード粘土鉱物は、粘土鉱物の層間のゲスト種を含む通常の粘土と区別され得る。
【0012】
ピラーリング剤は、無機及び有機化合物を含む。アミノ、オレフィン及びエポキシ基を有するそれら、例えば、イミダゾリウムピラーリング剤、及び、例えば、ポリヒドロキシアルミニウムピラーリング剤由来の無機水和されたポリオキソカチオン、又は安息香酸鉄を、有機化合物は含む。無機ピラーリング剤は、溶液中で形成される大きな金属(例えば、Al、Fe、Ti、Zr、Cr、Ga、Ce、Ta、La)ポリオキソカチオン又はシラン(例えば3‐アミノプロピルトリメトキシシラン(APTMS)及び2‐(2‐トリクロロシリルエチル)ピリジン(TCSEP))であってよい。米国特許第6521559も参照されたい。
【0013】
任意選択的な、本発明の第一の態様によるが、好ましくは、本発明による押出成形されたソリッドハニカム体が無機繊維を含む。無機繊維を使用するという有意な点は、主として、より長い部分及び/又はより広い断面を有する部分の押出成形を可能にし得る生成物の安定性(すなわち、繊維強化)のため及び/又は触媒が振り動かされてよいアプリケーション、例えば、車両使用、のためであるが、押出性を改善し、乾燥の間に部分の形を維持するであろう(マイクロ波乾燥はより速いので、マイクロ波乾燥が使用される場合にこれは必要でなくてよいが)。
【0014】
好ましくは、無機繊維がEガラス繊維又はバサルト繊維である。Eガラス繊維は、1%w/w未満のアルカリ酸化物を有するアルミノホウケイ酸塩ガラスとして定義され得る。バサルト繊維は、極めて細かいバサルトの繊維から作製される材料であり、そしてそれは、斜長石、輝石及び橄欖石鉱物から構成される
【0015】
使用のために選択される無機繊維の長さは、改善された押出性及び改善された生成物安定性を折衷したもの、すなわち、安定性を低減しかつ逆もまた同様、であってよいが、より短い繊維は押出性を改善する。しかしながら、好ましくは、本発明の押出成形されたソリッドハニカム体中に存在する繊維長さ分布は、150から700μmまで(ガウス分布)、好ましくは約300μmの平均を有する200から500μmまでである。そのような繊維長さは、本発明の製造の方法による可塑性混合物に、より長い長さ、例えば約6mm又は6mm長長さを事前ミリングすることによる約1mm、の繊維を加えること、及びその後完成された生成物の望ましい繊維長さ分布を達成するように種々の混合パラメータを使用することにより、粒子に導入され得る。そのような混合パラメータは、混合ブレード、混合ブレード速度、ブレード間ギャップ、ブレードの代わりの対の一方の混練機又は混練機の使用、混合物の水含有量、混合の持続等の選択物を含む。
【0016】
小細孔結晶質モレキュラーシーブは、アルミノケイ酸塩ゼオライト、金属置換されたアルミノケイ酸塩ゼオライト又は非ゼオライトアルミノリン酸塩モレキュラーシーブであり得る。非ゼオライトアルミノリン酸塩モレキュラーシーブは、アルミノリン酸塩(AlPO)、金属置換されたゼオライト(MeAlPO)、シリコアルミノリン酸塩(SAPO)ゼオライト又は金属置換されたシリコアルミノリン酸塩(MeAPSO)であり得る。適切な置換金属は、1以上のAs、B、Be、Co、Cu、Fe、Ga、Ge、Li、Mg、Mn、Zn及びZr、好ましくはCuを制限無しで含む。
【0017】
本発明におけるアプリケーションを伴う小細孔結晶質モレキュラーシーブは、水熱的な安定性を改善するために処理されたそれらを含み得る。水熱的な安定性の例証方法は:
(i)スチーミング及び、酸又は錯化剤、例えば(EDTA‐エチレンジアミン(テトラセティック酸)(ethylenediaminetetracetic acid)を使用する酸抽出;酸及び/又は錯化剤を用いる処理;SiClのガス流を用いる処理(ゼオライトフレームワーク中のAlをSiと置き換える):による脱アルミニウム化;
(ii)カチオン交換‐Laのような多価カチオンの使用;並びに
(iii)化合物(例えば米国特許第5,958,818を参照されたい)を含有する亜リン酸の使用:
を含む。
【0018】
好ましくは、小細孔結晶質モレキュラーシーブがシリコアルミノリン酸塩モレキュラーシーブ又は非ゼオライトアルミノリン酸塩モレキュラーシーブでない。これは幾分か、押出成形されたソリッドハニカム体中のクラッキングをもたらし得る結晶のユニットセルの収縮及び水がそこから放出されたものとして関連する再膨張をもたらす使用において多数の水分子を、シリコアルミノリン酸塩が吸着し得るからである。シリコアルミノリン酸塩における水吸着は、NO還元活性も低減し得る。
【0019】
最も好ましくは、本発明における使用のための小細孔結晶質モレキュラーシーブが、アルミノケイ酸塩ゼオライトである。
【0020】
好ましくは、本発明に関する押出成形されたソリッドハニカム体中の小細孔結晶質モレキュラーシーブは、CHA、ERI、FER、AFX又はAEI結晶構造、好ましくはCHA及び/又はAEIを有する。
【0021】
本発明における使用のためのCHA結晶構造を有するアイソタイプは、AlPO‐34、CoAPO‐47、DAF‐5、GaPO‐34、LZ‐218、Linde D、Linde R、MeAPO‐47、MeAPSO‐47、Phi、SAPO‐34、SAPO‐47、SSZ‐13(アルミノケイ酸塩)、SSZ‐62(アルミノケイ酸塩)、UiO‐21、ZK‐14及びZYT‐6を含む。好ましくは、CHA結晶構造を有するアイソタイプが、AlPO‐34、SAPO‐34、SSZ‐13又はSSZ‐62である。
【0022】
本発明における使用のためのAFX結晶構造を有するアイソタイプは、SAPO‐56、MAPSO‐56を含み、ここでMは、Co、Mn又はZr及びSSZ‐16(アルミノケイ酸塩)である。好ましくは、ERI結晶構造を有するアイソタイプがSSZ‐16である。
【0023】
本発明における使用のためのFER結晶構造を有するアイソタイプは、[Bi‐Si‐O]‐FER、[Ga‐Si‐O]‐FER、[Si‐O]‐FER、FU‐9、ISI‐6、単斜のフェリエライト、NU‐23、Sr‐D及びZSM‐35を含む。好ましくは、FER結晶構造を有するアイソタイプがZSM‐35である。
【0024】
本発明における使用のためのERI結晶構造を有するアイソタイプは、AlPO‐17、LZ‐220、Linde‐T及びUZM‐12を含む。
【0025】
本発明における使用のためのAEI結晶構造を有するアイソタイプは、AlPO‐18、[Co‐Al‐P‐O]‐AEI、SAPO‐18、SIZ‐8及びSSZ‐39(アルミノケイ酸塩)を含む。好ましくは、AEI結晶構造を有するアイソタイプがSSZ‐39である。
【0026】
好ましくは、押出成形されたソリッドハニカム体中の小細孔結晶質モレキュラーシーブが、15‐40又は20‐35のような10‐50のアルミナ対シリカ比を有する。
【0027】
本発明による押出成形されたソリッドハニカム体中の小細孔結晶質モレキュラーシーブ触媒は、銅を用いて促進される。銅は、イオン交換、含浸、同型置換等により小細孔結晶質モレキュラーシーブ中に導入され得る。銅成分が小細孔結晶質モレキュラーシーブ中でイオン交換される本発明による押出成形されたソリッドハニカム体において、それは好ましい。固体状態イオン交換(例えば、粉末化された銅化合物及びモレキュラーシーブからの水素の組合せをミリングすること並びに不活性雰囲気下で熱すること)あるいは、例えば、小細孔モレキュラーシーブからの水素又はアンモニウムを銅化合物、例えば硝酸銅、リン酸銅又は酢酸銅、好ましくは酢酸銅、の溶液と組合わせることによる「湿式」イオン交換を含む既知技術により、イオン交換は実施され得る。
【0028】
小細孔結晶質モレキュラーシーブ中でイオン交換された銅は、マトリクス成分との混合よりも先にイオン交換されてよく(すなわち、事前形成)、かつ/又は銅成分が混合物のイオン交換前駆体として加えられてよい。銅成分は、「遊離銅」、例えば、非交換CuO粒子、として存在してもよい。
【0029】
小細孔結晶質モレキュラーシーブ中の銅の総重量%が、最も好ましくは2.5‐3.5重量%銅(を含めて)、2.0‐4.0重量%銅(を含めて)、のような1.0‐5.0重量%銅(を含めて)であることは好ましい。
【0030】
銅でプロモートされた小細孔結晶質モレキュラーシーブ触媒中の銅促進剤の量は、アルミニウムに対する銅の原子比として表され得る。好ましくは、アルミニウムに対する銅の原子比が0.06‐1.22である。この範囲は、恣意的に選択されない。小細孔結晶質モレキュラーシーブのアルミナに対するシリカの比(SAR)が10であり、かつ銅充填量が1.0重量%である場合、アルミニウムに対する銅の原子比は0.06であり;一方で、SARが50であり、かつ銅充填量が5.0重量%である場合、アルミニウムに対する銅の原子比は1.22である。既知のSAR及び重量パーセントとして表される銅充填量から、アルミニウムに対する銅の原子比を決定するための式は:
Cu/Al原子=X/63.5/(1x2/(SARx60+102))、
として表されてよく、ここで「X」は銅のwt%である。
【0031】
珪藻土がイオン酸化物を含有する本発明による押出成形されたソリッドハニカム体において、それは好ましく、押出成形されたソリッドハニカム体中のFe:Cuの重量比が1:5‐1:20、好ましくは1:8‐1:15、最も好ましくは1:12であり得る。
【0032】
押出成形されたソリッドハニカム体の壁多孔度は、40‐60%であってよく、かつ好ましくは>50%である。多孔度は、水銀多孔度測定により決定され得る。
【0033】
押出成形されたソリッドハニカム体のセル壁厚さは、175‐225μmのような150‐250μmであり得る。セル壁厚さが200μmより一層小さい場合、NO還元活性が低減され得ることを、発明者は発見した。加えて、セル壁厚さが200μmを一層上回って増加すると、NO変換率は著しく改善されないが(すなわち、物質移動限界効果)、排気システム中での使用の場合、望ましくない増加した背圧においてされる(すなわち、押出成形されたソリッドハニカム体の低減された開口面積)。
【0034】
本発明による押出成形されたソリッドハニカム体のセル密度は、>62セルcm‐2(>400セル毎平方inch(cpsi))、好ましくは、93セルcm‐2(600cpsi)以上124セルcm‐2(800cpsi)以下のような155セルcm‐2(1000cpsi)又は>62セルcm‐2(>400cpsi)以上、最も好ましくは、約93セルcm‐2(600cpsi)であり得る。同様のセル壁厚さについて、93cm‐2(600cpsi)押出成形されたソリッドハニカム体が62セルcm‐2(400cpsi)において押出成形された同様のフォーミュレーション(formulation)より良い性能を有することを、発明者は発見した。セル密度における増加は、OFA中の対応する減少による背圧における任意の増加と釣り合わされるべきだが(セル壁厚さが一定のままだと仮定する)、NO還元活性はより高いセル密度が好まれるのに十分有意であった。
【0035】
本発明による押出成形されたソリッドハニカム体は、触媒的コーティングでコーティングされ得る。
【0036】
1以上の触媒的コーティングは、NHをNに酸化するためであり得る。そのような触媒は、しばしばアンモニアスリップ触媒又はASCと呼ばれる。適切なASCは、アルミナのような適切な微粒子酸化物担体材料上に担持された白金族金属、例えば、白金又は白金及びパラジウムの双方の、14.2‐28.3g/l(0.5‐10g/ft)のような相対的に低い充填量を含む。特に好ましいASCにおいて、相対的に低い充填量の白金族金属/微粒子金属酸化物担体材料が、第一の層上に第二の層として塗布される。層において押出成形されたソリッドハニカム体の表面上に直接的に塗布され、かつ窒素還元剤、すなわち選択的触媒的還元触媒、を使用してNOを変換するための触媒的コーティングは、第一の層上に第二の層として塗布される。選択的触媒的還元(SCR)触媒は、V/TiO又はV/WO/TiOのようなバナジアベースのSCR触媒、あるいは銅及び/又は鉄のような遷移金属でプロモートされた結晶質モレキュラーシーブであり得る。好ましくは、2つの層配置が、Nのためのより大きな選択性を促進する。
【0037】
還元剤の存在下で窒素の酸化物を変換するためである押出成形されたソリッドハニカム体の主要な目的に抵触しないように、ASCは、好ましくは、使用の場合、排気システムの下流側に配置されるようにゾーン上にコーティングされる。ゾーンは、第一端から測定される押出成形されたソリッドハニカム体の総長さの最大50%(≦40%又は≦30%例えば≦20%)の長さにより、押出成形されたソリッドハニカム体の第一端によるある端及び別の端において定義される実質的に均一の長さである。
【0038】
1以上の触媒的コーティングは、窒素還元剤、すなわち選択的触媒的還元(SCR)触媒を使用してNOを変換するためであり得る。SCR触媒は、V/TiO又はV/WO/TiOのようなバナジウムベースのSCR触媒、あるいは結晶質モレキュラーシーブ、好ましくは、銅及び/又は鉄のような遷移金属でプロモートされたアルミノケイ酸塩ゼオライトであり得る。好ましくは、銅及び/又は鉄でプロモートされた結晶質モレキュラーシーブ触媒が使用され、この場合、触媒は、押出成形された触媒と同様又は異なってよい。好ましい結晶質モレキュラーシーブは、CHA、AEI、FER、MFI又はBEA結晶構造を有するそれらを含む。小細孔モレキュラーシーブ、すなわち8つのテトラヘドラル原子の最大リングサイズを有するそれ、が好ましい。
【0039】
ASC及びSCR触媒コーティングは、組合わされてよく、使用の場合、排気システム中の上流側に配置されることを意図されるゾーンは、SCR触媒でコーティングされてよく、かつ使用の場合、下流に配置されることを意図されるゾーンは、ASCでコーティングされてよい。好ましくは、SCR触媒コーティングとASCの間にギャップが無い。
【0040】
第二の態様によれば、本発明は、任意の前述の請求項による押出成形されたソリッドハニカム体を含む排気システムを提供する。
【0041】
排気システムは、好ましくは、押出成形されたソリッドハニカム体の上流を流れる排気ガス中に窒素還元剤を導入するためのインジェクタを含む。しかしながら、NO吸着触媒を再生するように、例えばBa(NO+8H→BaO+2NH+5HO、定期的に生成されるようなNHは、上流のNO吸着触媒をリッチな排気ガスと接触させることにより、その位置(in situ)で生成され得る。
【0042】
排気システムは、押出成形されたソリッドハニカム体の上流の隔てられた基材上に配置される特に(inter alia)一酸化窒素を二酸化窒素に酸化するための酸化触媒又はNO吸着触媒も含み得る。SCR触媒は、(i)4NH+4NO+O→4N+6HO(すなわち、1:1のNH:NO);(ii)4NH+2NO+2NO→4N+6HO(すなわち、1:1のNH:NO;及び(iii)8NH+6NO→7N+12HO(すなわち、4:3のNH:NO)の反応を触媒化する。反応(ii)は、最も速く、かつ低温度NO還元を促進する。反応(i)は、次に最も速い。反応(ii)を促進するためにNOを得るために、それは、本発明による押出成形されたソリッドハニカム体の上流でNOをNOに酸化するのに望ましくあり得る。
【0043】
第三の態様によれば、本発明は、本発明の第二の態様による排気システムを含む内燃機関を提供する。
【0044】
第四の態様によれば、本発明は、本発明の第三の態様による内燃機関を含む車両を提供する。
【0045】
第五の態様によれば、窒素還元剤をガスに加え、ガス混合物を生成することを含み、かつ本発明の第一の態様による押出成形されたソリッドハニカム体とガス混合物を接触させる、ガス中の窒素の酸化物を(NO)変換する方法を、本発明は提供する。
【0046】
第六の態様によれば、窒素還元剤を有するガス中の窒素の酸化物(NO)を変換するための本発明の第一の態様による押出成形されたソリッドハニカム体の使用のために、本発明は提供する。
【0047】
第七の態様によれば、本発明は、(a)粉末化された珪藻土マトリクス成分;粉末化された追加のマトリクス成分;8つのテトラヘドラル原子の最大リングサイズを有する、粉末化された小細孔結晶質モレキュラーシーブ;銅成分;任意選択的な無機繊維;並びに酸又はアルカリ水溶液と共に混合及び/又は混練することにより可塑性混合物を形成する工程であって、銅成分が、混合工程より先に小細孔結晶質モレキュラーシーブ中でイオン交換された銅を含み、及び/又は混合物にイオン交換前駆体として加えられ、粉末化された小細孔結晶質モレキュラーシーブが、それらのH又はNH形態として混合物に加えられ、かつ小細孔結晶質モレキュラーシーブが、その位置で銅でイオン交換される、工程;(b)可塑性混合物を押出成形して湿ったハニカム体とし、押出成形されたハニカム体を乾燥し、かつそれをか焼し押出成形されたソリッドハニカム体を形成する工程;(c)押出成形されたソリッドハニカム体が、押出成形されたソリッドハニカム体の2‐20重量%が珪藻土である、珪藻土を含む20‐50重量%のマトリクス成分;80‐50重量%の銅でイオン交換された小細孔結晶質モレキュラーシーブ;及び0‐10重量%の無機繊維を含有するような出発材料の量的な比を選択する工程:
を含む押出成形されたソリッドハニカム体を作成する方法を提供する。
【0048】
「湿った」押出成形された材料は、凍結乾燥及びマイクロ波乾燥を含む標準技術を使用して乾燥及びか焼され得る(国際特許出願第2009/080155号を参照されたい)。
【0049】
好ましくは、押出成形されたソリッドハニカム体中の追加のマトリクス成分がアルミナを含む。アルミナは、ベーマイトのようなアルミナ前駆体から誘導されてよく、そしてそれは方法の可塑性混合物中に含まれ;及び/又は好ましくはアルミナゾルとして加えられ、そしてそれは押出成形されたソリッドハニカム体における強度を改善する。
【0050】
好ましくは、方法は、追加のマトリクス成分としての可塑性混合物中の粘土を含むことを含む。最も好ましくは、追加のマトリクス成分がアルミナ及び粘土の双方を含む。粘土は、好ましくはベントナイト、カオリン及び耐火粘土である。The United States Environmental Protection Agencyは、耐火粘土を非常に概して「遊離シリカを有する又は有さない含水のアルミニウムのケイ酸塩(Al.2SiO.2HO)の鉱物集合化合物」として定義する。「耐火粘土」と呼ばれる材料は、1515℃(2759°F)の最低温度に耐えなければならない。半フリント及び半可塑性耐火粘土も同様にあるが、耐火粘土はフリント粘土から可塑性耐火粘土までの範囲に及ぶ。耐火粘土は、微粒状の雲母及び石英に加えて、自然の粘土質材料、ほぼカオリナイト族粘土からなり、かつ有機物質及び硫黄化合物も含有してよい。特に相対的に低い温度において、結果として生じる触媒活性が改善されるので、可能な限り最も低いアルカリ金属の含有量を有する粘土を使用する方が好ましい。
【0051】
存在する粘土の総量に対する重量%で大多数であることは、耐火粘土にとって好ましい。これは、ベントナイト粘土鉱物ほど乾燥及びか焼の際に減少しないが、耐火粘土は可塑性(改善された押出成形挙動のために)を混合物に加え得るからである。
【0052】
銅成分は、イオン交換前駆体として混合物に加えられ、イオン交換前駆体が、好ましくは酢酸銅であるが、硝酸銅、硫酸銅、酸化銅又は酢酸銅であり得る。
【0053】
有機補助剤は、か焼工程の間に消耗されるが、完成された生成物に所望の特性を導入するため又は処理を改善するために使用される。それらが、か焼の間に消耗され、穴の後ろに残るので、そのような材料は、可塑性の処理を改善してよく、しかし完成された生成物中の多孔性及び使用の場合の生成物中の物質移動も改善する。本発明の第七の態様による方法における使用に適切な有機補助剤は、少なくとも1つのアクリル繊維(押出成形補助及び細孔形成剤)、セルロース誘導体(可塑剤及び/又は乾燥補助)他の有機可塑剤(例えば、ポリビニルアルコール(PVA)又はポリエチレン酸化物(PEO))、潤滑油(押出成形補助)及び水溶樹脂を含む。
【0054】
本発明がより十分に理解され得るために、以下の実施例が実例の方法のみで提供される。
【実施例1】
【0055】
実施例1及び比較例
2つの押出成形されたゼオライトモノリス基材は、米国特許出願第7,507,684号において開示されるそれらに類似の方法により作製された:比較例及び実施例及び本発明による実施例(実施例1)。比較例について、粉末化され銅交換されたアルミノケイ酸塩CHAゼオライトは、珪藻土及びマトリクス成分の組合せにおいて望ましいレベルの多孔性を提供するように、粘土鉱物及び粉末化された人工的なベーマイトアルミナ(Pural)と混合され、かつカルボキシメチルセルロース、可塑剤/押出成形補助Zusoplast(オレイン酸、グリコール、酸及びアルコール(Zschimmer & Schwarz GmbH & Co KGの商標名))及び有機補助剤PEO商標名Alkox(ポリエチレン酸化物)との混合により5‐6のpH値を有する水溶液中で処理され、賦形性及び流動性スリップとなった。完成された固体触媒体の活性材料が60重量%CuCHA、31重量%のγ‐Al及び粘土鉱物並びに10重量%のガラス繊維を含有したこのような方法で、出発物質の量的な比は選択された。賦形性混合物は、押出成形され、すなわち、連続的な平行チャネルを有し、円形の断面を有し、62セルcm‐2(400cpsi(セル毎平方inch))のセル密度を有するフロースルーハニカム触媒体になった。後に、触媒体は、国際特許出願第2009/080155号において示される方法により、1時間、2mbarにおいて凍結乾燥され、かつ580℃の温度において、か焼され、触媒体を形成した。
【0056】
本発明による実施例について、商業的に取得可能な珪藻土は、比較例の混合物に加えられた。完成された固体触媒体の活性材料が58.5重量%のCuCHA、23重量%のγ‐Al及び粘土鉱物、7重量%のガラス繊維並びに12重量%の珪藻土を含有したこのような方法で、出発材料は選択された。触媒体は、押出成形され、比較例と同様なセル密度及び断面となり、同様な方法で乾燥及びか焼された。
表1
【実施例2】
【0057】
実施例2-触媒試験
比較例及び実施例1の同一体積試料は、選択された入口ガス温度における以下の入口ガス混合物:100ppmNO(NO=0ppm)、100ppmNH、7%HO、9.4%O、残部N、空間速度60,000h‐1、を使用する人工的な触媒活性試験(SCAT)装置で試験された。異なる温度におけるハニカム体積(XNOx/V)による及びハニカム重量(XNOx/M)によるNO変換についての結果は、表2中で述べられる。
表2
【0058】
これらの結果から、1.5重量%未満のCuCHAの存在を有する実施例1の触媒にもかかわらず、ハニカムの単位体積による触媒活性が実質的に同一であることが見られ得る。しかしながら、ハニカム重量の単位によるNO変換活性(表2中の差%を参照されたい)として表される場合、実施例1による触媒が比較例のそれより活性であることが見られ得る。これらのデータから、NHSCR触媒のための押出成形組成物への珪藻土の添加が、増加したNO還元活性を有するより多くの触媒に帰着することを、発明者は結論付ける。
【0059】
いかなる疑義も回避するために付言するに、本書に記載されている全ての従来技術文書の内容全体が、参照によって本書に援用される。