(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記加工後の前記先端面の内周側縁から中間位置までの範囲の管軸に垂直な面に対する角度(θb±Δθ)と前記加工後の前記先端面の中間位置から外周側縁までの範囲の管軸に垂直な面に対する角度(θa±Δθ)との差(θa−θb+2Δθ)が、1.0°以下であることを特徴とする請求項5記載の鋼管の継手構造の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1に開示された鋼管用ネジ継手は、雌ネジの内径およびテーパー値と、雄ネジの外径およびテーパー値とが、それぞれ所定の不等式で規定され範囲内に収めるようにしたものである。すなわち、雄ネジのテーパー値を雌ネジのテーパー値よりも大きくし、雄ネジのテーパー値を公差の最大側から1/2未満とし、雌ネジのテーパー値を公差の最小側から1/2未満としているため、当該鋼管用ネジ継手を製造することができる装置(ネジ切り機)が限定されると共に、価格が高くなるという問題があった。
また、鋼管の先端面(雄ネジが加工された端部の端面)同士は、互いに当接するものの、先端面は鋼軸に対して垂直に加工されるものであるため、加工手段の工程能力によって、先端面が管軸に対して傾斜する場合が生じていた。このため、実際に当接する面積が先端面の一部に限定され、当接する部分の塑性変形によって、高い締め付けトルクを得ることができないという問題があった。
【0005】
なお、従来、油井でも生産層の圧力が低い場合は、吸い上げ用の鋼管(以下「チュービングパイプ」と称す)にポンプを設置して石油(原油)を地上まで吸い上げていたものを、近年、チュービングパイプの中に長いロッドを通し、これを地上に設置したモーターで回転することで、下端に設置した螺旋状のポンプを作動させる機構(Progressive Cavity Pump:PCP)が用いられている。このとき、ロッドが大きな振動を起こし、かかる振動によって、前記突出部の形状が公差範囲内であっても、チュービングパイプ同士を連結していた継手(ネジ)が緩み、時として、継手(ネジ)が外れ、チュービングパイプが油井中に落下するおそれがあるため、前記高い締め付けトルクを得ることができないという問題が重要視されている。
【0006】
本発明は上記本題を解消するものであって、特別の装置(ネジ切り機)を用いなくても、鋼管の先端面同士が広い範囲で当接するようにして、高い締め付けトルクを得ることができる鋼管の継手構造およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明に係る鋼管の継手構造は、端部に雄ネジが形成された一対の鋼管と、前記一対の鋼管の雄ネジがそれぞれ螺合する一対の雌ネジが形成されたカップリングと、を有し、前記鋼管の端部の先端面は、内周側縁が外周側縁よりも管軸方向に突出し、前記一対の鋼管が前記カップリングを介して連結される際、前記一対の鋼管の先端面の内周側縁同士が、前記一対の鋼管の先端面の外周側縁同士よりも先に当接
し、前記先端面は、前記内周側縁から前記内周側縁と前記外周側縁との中間位置にかけて形成する内テーパー面と、前記中間位置から前記外周側縁にかけて形成する外テーパー面と、を備え、前記内テーパー面の前記鋼管の管軸に垂直な面に対する開き角度である内周側開き角度は、前記外テーパー面の前記鋼管の管軸に垂直な面に対する開き角度である外周側開き角度よりも大きいことを特徴とする。
(
2)また、
前記内周側開き角度と前記外周側開き角度との差が、2°以下であることを特徴とする。
(3)また、前記内周側開き角度は、4°以下であり、前記外周側開き角度は、2°以下であることを特徴とする。
【0008】
(4)さらに、本発明に係る鋼管の継手構造の製造方法は、前記(2)記載の鋼管の継手構造を製造する鋼管の継手構造の製造方法であって、前記鋼管の先端面を管軸に対して垂直な面を形成する工程能力(Δθ)が、±0.4°以下である加工手段を用い、
加工後の前記先端面の管軸に垂直な面に対する角度(θa±Δθ)が0.0°超えで、1.0°以下になるように、加工目標の前記先端面の管軸に垂直な面に対する角度(θa)を設定することを特徴とする。
(5)さらに、本発明に係る鋼管の継手構造の製造方法は、前記(3)記載の鋼管の継手構造を製造する鋼管の継手構造の製造方法であって、
前記鋼管の先端面を管軸に対して垂直な面を形成する工程能力(Δθ)が、±0.2°以下である加工手段を用い、
加工後の前記先端面の内周側縁から中間位置までの範囲の管軸に垂直な面に対する角度(θb±Δθ)が1.0°超えで、2.0°以下になるように、加工目標の前記先端面の内周側縁から中間位置までの範囲の管軸に垂直な面に対する角度(θb)を設定し、
加工後の前記先端面の中間位置から外周側縁までの範囲の管軸に垂直な面に対する角度(θa±Δθ)が0.0°超えで、1.0°以下になるように、加工目標の前記先端面の中間位置から外周側縁までの範囲の管軸に垂直な面に対する角度(θa)を設定することを特徴とする。
(6)また、前記加工後の前記先端面の内周側縁から中間位置までの範囲の管軸に垂直な面に対する角度(θb±Δθ)と前記加工後の前記先端面の中間位置から外周側縁までの範囲の管軸に垂直な面に対する角度(θa±Δθ)との差(θa−θb+2Δθ)が、1.0°以下であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
(i)本発明に係る鋼管の継手構造は、一対の鋼管がカップリングを介して連結された際、先端面の内周側同士が先に当接して、当接面が先端面の外周側に向かった拡大するから、先端面の外周側同士が先に当接して、当接面が内周側に向かって拡大する場合に比較して、当接する面積が大きくなる。
(ii)また、前記先端面は開き角度が2°以下の1段テーパーであるから、ねじ込みが進むに伴って、先端面同士の当接が内周側から外周側に徐々に拡大することによって、締め付けトルクの急激な上昇を抑えながら、大きな締め付けトルクを得ることができる。
(iii)また、先端面は、先端面が内周側開き角度が外周側開き角度よりも大きい2段テーパーであるから、締め付けトルクが低い場合でも、安定して先端面の内周側縁から外周側縁に至る広い範囲が当接し、また、2段テーパーである先端面のテーパーの変曲点に相当する位置における、開き角度の差が2.0以内にすれば、当該位置における面圧の低下を防ぐことができる(これについては別途詳細に説明する)。
【0010】
(iv)さらに、本発明に係る鋼管の継手構造の製造方法は、鋼管の先端面を管軸に対して垂直な面を形成する工程能力(Δθ)を勘案して、加工目標の先端面の管軸に垂直な面に対する角度(θa)を設定するため、加工後の先端面の管軸に垂直な面に対する角度(θa±Δθ)が0.0°超えで、1.0°以下(開き角度2°以下に対応する)になるから、前記(i)、(ii)記載の効果を奏する鋼管の継手構造を得ることができる。
(v)さらに、鋼管の先端面を管軸に対して垂直な面を形成する工程能力(Δθ)を勘案して、加工目標の先端面の内周側縁から中間位置までの範囲の管軸に垂直な面に対する角度(θb)と、加工目標の先端面の中間位置から外周側縁までの範囲の管軸に垂直な面に対する角度(θc)とを設定するため、加工後の先端面の内周側縁から中間位置までの範囲の管軸に垂直な面に対する角度(θb±Δθ)が1.0°超えで、2.0°以下(内周側開き角度が4°以下に対応する)になり、加工後の先端面の中間位置から外周側縁までの範囲の管軸に垂直な面に対する角度(θc±Δθ)が0.0°超えで、1.0°以下(外周側開き角度が2°以下に対応する)になるから、前記(i)、(iii)記載の効果を奏する鋼管の継手構造を得ることができる。
(vi)さらに、加工後の先端面の内周側縁から中間位置までの範囲の管軸に垂直な面に対する角度(θb±Δθ)と加工後の先端面の中間位置から外周側縁までの範囲の管軸に垂直な面に対する角度(θc±Δθ)との差(θc−θb+2Δθ)が、1.0°以下であるから、前記(iii)記載の効果を確実に奏する鋼管の継手構造を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[実施の形態1]
図1〜
図3Bは本発明の実施の形態1に係る鋼管の継手構造を説明するものであって、
図1の上半分は一部を示す側面視の断面図、
図1の下半分は一部を示す側面図、
図2は一部を拡大して示す側面視の断面図、
図3Aおよび
図3Bは比較材の一部を拡大して示す側面視の断面図である。なお、各部は模式的に示すものであって、本発明は図示された形態に限定するものではない。
【0013】
図1において、鋼管の継手構造(以下「継手構造」と称す)100は、第1鋼管10と第2鋼管20とが、カップリング50によって接続されたものである。このとき、予め製造工場(「ミル」に同じ)において第1鋼管10にカップリング50が接続され、第2鋼管20は、採油現場(「フィールド」に同じ)においてはカップリング50に接続されるものである。なお、第1鋼管10と第2鋼管20とは同じ形状のものであるが、説明の便宜上、各部位に「第1」または「第2」の修飾語を付している。
第1鋼管10の一方の端部(
図1において右側の端部)は外周側に向かって厚肉に形成(外アプセット加工)され、その外周には第1雄ネジ11が形成されている。
同様に、第2鋼管20の他方の端部(
図1において左側の端部)は外周側に向かって厚肉に形成(外アプセット加工)され、その外周には第2雄ネジ21が形成されている。
そして、第1雄ネジ11がカップリング50に形成された第1雌ネジ51に螺合し、第2雄ネジ21がカップリング50に形成された第2雌ネジ52に螺合し、第1鋼管10の一方の端部の先端面(以下「第1先端面12」と称す)と、第2鋼管20の他方の端部の先端面(以下「第2先端面22」と称す)とが当接している。
【0014】
(ショルダーアングル)
図2において、第1先端面12は、内周側縁13が外周側縁14よりも管軸18(
図1参照)方向に突出した断面テーパー状であり、同様に、第2先端面22は、内周側縁23が外周側縁24よりも管軸28(
図1参照)方向に突出した断面テーパー状である。
そのため、第1先端面12の内周側縁13と第2先端面22の内周側縁23とが当接した際、第1先端面12と第2先端面22とによって、外周側になるほど拡大する、断面V字状の隙間が形成される。
このとき、第1先端面12が第1鋼管10の管軸18に垂直な管軸垂直面19に対する角度、および第2先端面22が第2鋼管20の管軸28に垂直な管軸垂直面29に対する角度(以下「ショルダーアングルθ」と称す)は「ポジティブアングル」になっている。
なお、締め込みが進むに伴って、第1先端面12と第2先端面22との当接範囲は、外周側に向かって拡大する。
【0015】
(比較材)
図3Aにおいて、比較材である鋼管の継手構造(以下「継手構造」と称す)800は、鋼管の継手構造100の作用効果を確認するためのものであって、第1鋼管810の第1先端面812は、管軸(図示しない)に垂直な管軸垂直面819に平行で、第2鋼管820の第2先端面822は、管軸(図示しない)に垂直な管軸垂直面829に平行であって、第1先端面812と第2先端面822とは全面において当接している。
【0016】
図3Bにおいて、比較材である鋼管の継手構造(以下「継手構造」と称す)900は、鋼管の継手構造100の作用効果を確認するためのものであって、第1鋼管910の第1先端面912は、外周側縁914が内周側縁913よりも管軸方向に突出し、第2鋼管920の第2先端面922は、外周側縁924が内周側縁923よりも管軸方向に突出している。すなわち、第1先端面912の外周側縁914と第2先端面922の外周側縁924とが当接して、内周側縁913と内周側縁923との間に隙間が形成されている。
このとき、第1先端面912が第1鋼管910の管軸(図示しない)に垂直な管軸垂直面919に対する角度、および第2先端面922が第2鋼管920の管軸(図示しない)に垂直な管軸垂直面929に対する角度(以下「ショルダーアングル−θ」と称す)は「ネガティブアングル」になっている。
【0017】
(面圧分布の計算)
図4は、
図3Bに示す比較材である鋼管の継手構造900における、第1先端面912と第2先端面922とが当接した際の、面圧分布を示す側面視の断面図である。
図4において、継手構造900では外周側縁914、924が当接して、外周側縁914と外周側縁924との当接位置に応力が集中し、剛性当接位置から離れるほど、接触応力が徐々に小さくなっている。
図4において、最も応力が高い範囲を複斜線にて示し、次に、応力が高い範囲を単斜線にて示し、それよりも応力が低い範囲を梨地で示す。
【0018】
図5は、
図3Aに示す比較材である鋼管の継手構造800における第1先端面812および第2先端面822同士、および
図3Bに示す比較材である継手構造900における第1先端面912および第2先端面922同士が当接した際の、面圧分布を示す面圧分布図であって、縦軸は単位面積当たりの面圧、横軸は管軸からの距離(厚さ方向の距離)である。すなわち、横軸、38.76mmは内周側縁913、923に相当し、43.87mmは外周側縁914、924に相当している。このとき、締め付けトルクは3500ft−lbsである。
【0019】
(比較材の面圧分布)
図5において、継手構造800(SA0)は、ショルダーアングルθが「0°」であって、内周側縁913、923から外周側縁914、924にかけた全域において当接し、略300MPaの略一定の面圧分布を示している。
図5において、継手構造900は、ショルダーアングルがネガティブであるから、ショルダーアングルθが何れの値であっても外周側縁914、924において接触が始まり、ショルダーアングル−θのネガティブの値が増す程、接触範囲は狭くなっている。
すなわち、ショルダーアングル−θが「−0.5°」である「SA−0.5」は、接触範囲が約40mmから約44mmで、外周寄りの範囲で約650MPaの面圧分布を生じるのに対し、ショルダーアングル−θが「−1.0°」である「SA−1.0」は、接触範囲が約41.5mmから約44mmで、約42mmの位置で約900MPaのピーク値になる山状の面圧分布を生じる。
そして、ショルダーアングル−θが「−2.0」である「SA−2.0」は、接触範囲が約42.5mmから約44mmで、約43mmの位置で約1150MPaのピーク値になる山状の面圧分布を生じる。また、ショルダーアングル−θが「−4.0」である「SA−4.0」は、接触範囲が43mmから約44mmと非常に狭く、約43.5mmの位置で約1000MPaのピーク値になる山状の面圧分布を生じる。
【0020】
(実施の形態1の面圧分布)
図6は、
図1に示す鋼管の継手構造100の面圧分布を示す面圧分布図である。
図6において、継手構造100は「ショルダーアングルθ」がポジティブである。ショルダーアングルθが「+0.5°、+1.0°、+2°、+4°、+6.0」であるものを、それぞれ「SA+0.5、SA+1.0、SA+2.0、SA+4.0、SA+6.0」と称す。
図6において、ショルダーアングルθが「+0.5°」である「SA+0.5」は、内周側縁813(約38.8mm)から外周側縁814(約43mm)に至る広い範囲において接触し、約39.5mmから約42mmの範囲では、約550MPaから約500MPaに徐々に僅かに減少する面圧分布を生じている。
【0021】
また、ショルダーアングルθが「+1.0°」である「SA+1.0」は、SA+0.5と同様に広い範囲で接触し、約40.0mmから約42mmの範囲では、約550MPaの略一定値で、その内周側の位置に約600MPaのピーク値、その外周側の位置に約650MPaのピーク値の山を有す面圧分布を生じている。
さらに、ショルダーアングルθが「+2.0°」である「SA+2.0」は、肉厚中央範囲(約40.0mmから約41.5mm)で、外径側になる程、面圧が上昇し、その外周側には、約750mmのピーク値の山を有す面圧分布を生じている。
そして、このような傾向は、ショルダーアングルθが「+4.0°、+6.0」である「SA+4.0、SA+6.0」になる程、顕著になる。
【0022】
(ショルダーアングルの作用効果)
以上より、次が確認される。
(a)ショルダーアングルθがネガティブになると、接触面積が小さくなり、外周側縁14、24に近い位置に応力が集中し、均一な面圧分布が得られない。
(b)一方、ショルダーアングルθをポジティブにしておくと、ねじ込みが進むに伴って、先端面同士の当接が内周側から外周側に徐々に拡大することによって、締め付けトルクの急激な上昇を抑えながら、大きな締め付けトルクを得ることができる。
(c)このとき、ショルダーアングルθを「+1.0°」以下にしておけば、比較的均一な面圧分布を得ることができる。
【0023】
(実施の形態1の製造方法)
以上のように、継手構造100は、ショルダーアングルθ(ポジティブアングル)が「1.0°以下」であることが好ましく、「0.0°未満(ネガティブアングル)」になることを避ける必要がある。そのため、継手構造100を製造するに当たっては、第1鋼管10の第1先端面12(第2鋼管20の第2先端面22も同じ)を加工する能力、すなわち、管軸に対して垂直な面に対して加工した面が傾斜する角度(以下「工程能力(Δθ)」と称す)を勘案する。
すなわち、工程能力が(Δθ)以下である加工手段を用い、加工後の第1先端面12の角度(θa±Δθ)が0.0°超えで、1.0°以下になるように、加工目標の第1先端面12の管軸18に垂直な面(第2先端面22の管軸28に垂直な面)に対する角度(θa)を設定する。
【0024】
例えば、工程能力(Δθ)が、±0.4°の場合、加工目標の前記角度(θa)を「0.5°」に設定する。また、工程能力(Δθ)が、±0.3°の場合、加工目標の前記角度(θa)を「0.4°〜0.6°」の範囲の値に設定する。さらに、工程能力(Δθ)が、±0.2°の場合、加工目標の前記角度(θa)を「0.3°〜0.7°」の範囲の値に設定する。
よって、かかる製造方法によると、使用する加工装置の工程能力(Δθ)の大小に関わらず、その工程能力(Δθ)に応じた加工目標(θa)を設定するため、ショルダーアングルθがポジティブである第1先端面12(第2先端面22)を得ることができる。
【0025】
[実施の形態2]
図7は本発明の実施の形態2に係る鋼管の継手構造を説明するものであって、一部を拡大して示す側面視の断面図である。なお、実施の形態1と同じ部分または相当する部分には同じ符号を付し、一部の説明を省略する。
図7において、鋼管の継手構造(以下「継手構造」と称す)200は、第3鋼管30と第4鋼管40とが、カップリング50(図示しない。
図1参照)によって接続されたものである。このとき、予め製造工場(「ミル」に同じ)において第3鋼管30にカップリング50が接続され、第4鋼管40は、採油現場(「フィールド」に同じ)においてはカップリング50に接続されるものである。なお、第3鋼管30と第4鋼管40とは同じ形状のものであるが、説明の便宜上、各部位に「第3」または「第4」の修飾語を付している。
【0026】
第3鋼管30の一方の端部(
図7において右側の端部)の外周には第1雄ネジ11が形成されている。同様に、第4鋼管40の他方の端部(
図7において左側の端部)の外周には第2雄ネジ21が形成されている。そして、第1雄ネジ11がカップリング50に形成された第1雌ネジ51に螺合し、第2雄ネジ21がカップリング50に形成された第2雌ネジ52に螺合し、第3鋼管30の一方の端部の先端面(以下「第3先端面32」と称す)と、第4鋼管400の他方の端部の先端面(以下「第4先端面42」と称す)とが当接している。
【0027】
(ショルダーアングル)
図7において、第3先端面32は管軸を含む面において2段テーパー面であって、内周側縁33と外周側縁34との中間位置35において折れ曲がっている。すなわち、中間位置35と外周側縁34との間に管軸垂直面39に対して傾斜した「外側ショルダーアングルθ1(ポジティブアングル)」を有する第3外テーパー面32aが形成され、内周側縁33と中間位置35との間に第3鋼管30の管軸(図示しない)に垂直な管軸垂直面39に対して傾斜した「内側ショルダーアングルθ2(ポジティブアングル)」を有する第3内テーパー面32bが形成されている。
同様に、第4鋼管40の第4先端面42には、中間位置45と外周側縁44の間に「外側ショルダーアングルθ1(ポジティブアングル)」を有する第4外テーパー面42aが形成され、内周側縁43と中間位置45との間に「内側ショルダーアングルθ2(ポジティブアングル)」有する第4内テーパー面42bが形成されている。
このとき、内側ショルダーアングルθ2は、外側ショルダーアングルθ1よりも大きくなっている(θ2>θ1>0.0°)。
【0028】
(実施の形態2の面圧分布)
図8および
図9は、
図7に示す鋼管の継手構造200の面圧分布を示す面圧分布図である。
図8において、「外側ショルダーアングルθ1(ポジティブアングル)」を「+0.5°」にして、「内側ショルダーアングルθ2(ポジティブアングル)」を「+1.0°、+2.0°、+3.0°」にし、それぞれ「SA+0.5/+1.0、SA+0.5/+2.0、SA+0.5/+3.0」と称している。
SA+0.5/+1.0は、内周側縁33、43から中間位置35、45に至る範囲では約500PMa以上の略一定の面圧分布で、中間位置35、45において僅かに面圧が低下し、中間位置35、45から外周側縁34、44に至る範囲では徐々に上昇し約600PMaを超えている。
【0029】
SA+0.5/+2.0は、内周側縁33、43から中間位置35、45に至る範囲で徐々に上昇して約500PMa以上に達し、中間位置35、45において約350PMaに低下した後、中間位置35、45から外周側縁34、44に至る範囲では再度徐々に上昇し約600PMaを超えている。
一方、SA+0.5/+3.0は、内周側縁33、43から中間位置35、45に至る範囲で急激に上昇して約700PMa近くに達し、中間位置35、45において約150PMaにまで急激に低下した後、中間位置35、45から外周側縁34、44に至る範囲では上昇し約600PMaを超えている。
【0030】
図9において、「外側ショルダーアングルθ1(ポジティブアングル)および内側ショルダーアングルθ2(ポジティブアングル)」を、「+1.0°および+2.0°」にしたものを「SA+1.0/+2.0°」と、「+1.5°および+2.0°」にしたものを「SA+1.5/+2.0°」と、「+2.0°および+3.0°」にしたものを「SA+2.0/+3.0°」と称している。
内側ショルダーアングルθ2が+2.0以上であるSA+1.0/+2.0°、SA+1.5/+2.0°およびSA+2.0/+3.0°は、何れも、外周側縁14、24に近い位置で、急激に面圧が上昇しピークを示しているが、中間位置15、25付近における面圧低下がない。
【0031】
(2段テーパー面の作用効果)
以上より、先端面に形成される2段テーパーについて次の作用効果が確認される。
(a)広い範囲で当接し、略全域で約500MPa以上と大きな面圧を得ることができる。すなわち、
図6に示す1段テーパー面では、軸心から略42mmよりも外周になると、急激に面圧が低下しているのに対し、
図8に示す1段テーパー面では、軸心から略44mmの外周側縁34、44に至る広い範囲に面圧が発生している。
(b)外側ショルダーアングルθ1は小さく「+1.0°」以下で、内側ショルダーアングルθ2は「+1.0°超え、+2.0°以下」にする。すなわち、内側ショルダーアングルθ2を+2.0°超えにすると、外周側において面圧のピークが現れる。
(c)外側ショルダーアングルθ1と内側ショルダーアングルθ2との差も小さく「+1.0°」以下であることが好ましい。すなわち、前記差が1.0°を超えるSA+0.5/+2.0およびSA+0.5/+3.0では、中間位置15、25において面圧の低下が発生する。
【0032】
(実施の形態2の製造方法)
以上のように、継手構造200は、外側ショルダーアングルθ1(ポジティブアングル)が「1.0°以下」であることが好ましく、「0.0以下(ネガティブアングル)」になることを避ける必要がある。また、内側ショルダーアングルθ2(ポジティブアングル)が「1.0°超え、2.0°以下」であることが好ましく、外側ショルダーアングルθ1と内側ショルダーアングルθ2との差も小さく「+1.0°」以下であることが好ましい。
そのため、継手構造200を製造するに当たっては、第3鋼管30の第3先端面32(第4鋼管40の第4先端面42に同じ)を加工する能力、すなわち、管軸垂直面39、49に対して加工した面が傾斜する角度(以下「工程能力(Δθ)」と称す)を勘案する。
【0033】
すなわち、工程能力(Δθ)が、±Δθ°以下である加工手段を用い、加工後の第3先端面32の第3外テーパー面32a(中間位置15から外周側縁14までの範囲)の管軸垂直面19に対する角度(θa±Δθ)が0.0°超えで、1.0°以下になるように、加工目標の第3外テーパー面32aの管軸垂直面19に対する角度(θb)を設定し、
加工後の第3内テーパー面32b(第3先端面32の内周側縁13から中間位置15までの範囲)の管軸垂直面19に対する角度(θc±Δθ)が1.0°超えで、2.0°以下になるように、加工目標の第3内テーパー面32bの管軸垂直面19に対する角度(θb)を設定する。
【0034】
例えば、工程能力(Δθ)が、±0.2°の場合、加工目標の前記角度(θa)を「0.3°〜0.7°」に設定し、加工目標の前記角度(θb)を「1.3°〜1.7°」に仮に設定する。
さらに、外側ショルダーアングルθ1と内側ショルダーアングルθ2との差も小さく「+1.0°」以下であることが好ましいから、加工後の外側ショルダーアングルである「θa±Δθ」と加工後の内側ショルダーアングルである「θb±Δθ」との差が1.°以下にする。
そうすると、「θb−θa+2Δθ≦1.0」、「θb−θa≦1.0−2Δθ」であるから、例えば、工程能力(Δθ)が、±0.2°の場合、「θb−θa≦0.6」となるから、加工目標の前記角度(θa)および前記角度(θb)をそれぞれ「0.7°」および「1.3°」にしておけば、加工後は「0.5≦(θb±Δθ)≦0.9」および「1.1≦(θc±Δθ)≦1.5」となり、前記角度(θb)および前記角度(θc)はそれぞれ、「1.0以下」および「1.0以上」、さらに、「両者の差が1.0以下」であるという条件を満足する。
【0035】
一方、例えば、工程能力(Δθ)が、±0.3°の場合、「θb−θa≦0.4」となり、加工目標の前記角度(θa)を「0.6°」に設定すると、目標の前記角度(θa)は「1.0°」になってしまい、加工後は「0.3≦(θa±Δθ)≦0.9」および「0.7≦(θb±Δθ)≦1.3」となり、前記角度(θb)は「1.0超え」を満足しなくなる。
【0036】
よって、かかる製造方法によると、使用する加工装置の工程能力(Δθ)の大小に関わらず、その工程能力(Δθ)に応じた加工目標(θa、θb)を設定するため、前記条件を満足する2段テーパー面を得ることができる。