【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的を達成するため、本発明は、発信素子から受信素子を含んで該受信素子まで延びている流管の一部の少なくとも一部分の上に、影響付与素子が設けられており、該影響付与素子は、最大でも超音波の一部の速度及び方向の少なくとも一方に影響を与えるよう機能することを特徴とする超音波流量計を提供する。上記影響付与素子は、上記発信素子から該受信素子を含んで該受信素子まで延びている流管の一部域に位置している外側ジャケットの一部分の上に設けられている。上記影響付与素子は、流管の全体をカバーしていてよいが、その一部分しかカバーしていなくてもよい。上記影響付与素子は、例えば、エポキシ又はその複合材料を含む材料層である。
【0006】
本発明によれば、受信素子の位置にて、向上した信号対雑音比が得られることが判明した。この驚くべき効果は、理論的な解説を試みずに、単に図示するだけで、以下のように説明できよう。
【0007】
リング形の発振素子2個(発信素子1個及び受信素子1個)を使用すると、超音波は、流管の長手方向の軸と平行に伝播する。その場合には、上記超音波は、上記流管と上記流体との間の面において、少なくとも部分的に伝播する。したがって、発信素子と受信素子との間で該超音波が移動する距離は、流管の直径とは無関係である。これは、超音波流量計が比較的小さな大きさとなるよう設計可能であることを意味する。さらに、発信素子と受信素子との間の距離を十分大きく設計することによって、流量を求めるための測定可能な時間を得ることが可能となる。
【0008】
しかしながら、欠点もあり、それは、リング形の発振素子2個の従来技術による使用の結果として、比較的かなり複雑な波パターンが発生するという事実である。本発明に係わる流管内では、固体(流管)と流体との界面において、主としてストンレー(Stonely)波、すなわち、表面波(いわゆるショルテ(Scholte)波)が発生する。上記ストンレー(Stonely)波は、流量を測定したい媒体の流れによって影響を受ける。しかしながら、発生する該超音波の一部分は、ストンレー(Stonely)波ではなくて、例えば、流管の固体物質内全体に伝播する波である。この波は、所望の信号に対して外乱となる。また、この波は、流体と相互作用する超音波よりも速く伝播するが、この波は、減衰されず、したがって、測定値に影響を与える。
【0009】
影響付与素子を使用すること、すなわち、最大でも超音波の一部分(すなわち、該超音波の少なくとも一部分であって、測定したい流体と相互作用しない波)を遅延させ、加速させ、偏向させ、減衰させ、もしくは、別様に影響を与えるよう設計されている該影響付与素子を使用することによって、特に上記超音波の少なくとも一部分であって、測定したい流体と相互作用しない波は、受信素子に到達できない、又は、測定に用いられる時間窓(time window)の外で該受信素子に到達する、という程度にまで影響を受けることになる。したがって、該流体と相互作用しないそのような波の少なくとも一部は、正確に言えば、該流体と相互作用する該超音波と比較して、より早い、あるいは、より遅い時点で該受信素子に到達する(あるいは全く到達しない)という程度で影響を受ける。したがって、結果として、信号対雑音比の向上、すなわち、流量計測値を正確にする。
【0010】
したがって、向上した超音波流量計が得られたことは明白であり、また、この超音波流量計は、比較的小さな大きさに設計可能であることも明白である。以上により、本発明の目的は、達成される。
【0011】
以上の説明から、影響付与素子は、この超音波流量計の使用中、超音波の一部分を、偏向、遅延、加速、吸収のうちの少なくとも一つを行うよう設計するのが好ましいと考えられる。
【0012】
この点で、該影響付与素子は、ストンレー(Stonely)波に影響を与えないよう構成されている、例えば、該影響付与素子は、該ストンレー(Stonely)波にとって、存在しないようになっていることが好ましい。一実施形態では、これは、該影響付与素子が、適切な音響インピーダンスを確保していることによって達成可能である。すなわち、その場合には、ストンレー(Stonely)波以外の波が、影響付与素子によって、少なくとも部分的に影響を受けるよう、音響インピーダンスを選択する。
【0013】
影響付与素子は、好ましくは、受動素子である、すなわち、該影響付与素子は、電気的又は機械的な構成要素無しに動作し得る。一実施形態では、影響付与素子は、例えば、外側ジャケット上に設けられた材料層(エポキシ層又はエポキシ複合材料など)である。
【0014】
一実施形態では、影響付与素子は、発信素子と受信素子との間に存在する流管の外側ジャケットの少なくとも一部分の上に設けられている。影響付与素子はこのように、発信素子と受信素子との間のどこかに設けられていてよく、したがって、流管の外側ジャケットの比較的小さな部分の上にのみ設けられていてよい。
【0015】
一実施形態では、発信素子と受信素子の少なくとも一方は、影響付与素子によって包囲されている。すなわち、発信素子と受信素子の少なくとも一方は、該所望の波を発生し、そして、受け取るように、また、反対に、望ましくない波の発生が防止されるように該影響付与素子によって包囲されている、と考えられる。これは、例えば、発信素子及び受信素子を備える流管が、エポキシ、又はその複合材料で成形されている実施形態の場合である。
【0016】
特殊な実施形態では、受信素子のみが、影響付与素子、例えば、エポキシからなる材料層で包囲されている。このようにして、望ましくない波は、それらが受信素子に到達しないよう(あるいはより早い又はより遅い時点で到達するよう)、該受信素子の位置において偏向されており、そして、遅延されていることが確保される。
【0017】
別の実施形態では、反対に、発信素子のみが、影響付与素子によって包囲されている。しかしながら、この実施形態では、それでも望ましくない信号が再び生じ、その結果、比較的複雑な信号が、しかもなお、測定される場合があることを想定させる。
【0018】
一実施形態では、さらに、影響付与素子が、流管を円周方向に完全に包囲することが考えられる。また、この場合は、流管の軸方向の小さな一部分に影響付与素子を設けるか、あるいは、比較的大きな一部分(該発信素子と受信素子の少なくとも一方を含む部分)に影響付与素子を設けることができる。影響付与素子は、円周方向に完全に及ぶ材料層であってよい。この後者の場合は、流管(可能なら発信素子と受信素子の少なくとも一方とともに)は、影響付与素子の材料で構成された、いわば、より大きな第2の管で包囲されている。
【0019】
影響付与素子の厚さは、超音波の一部分における偏向影響を与え得る。(ステンレス)鋼の流管及びエポキシ材料層の場合は、該流管の半径方向で測定された影響付与素子の厚さと該流管の肉厚との比が、5またはそれ以上であると、良好な結果が得られることが分かっている。他の材料については、異なる比が必要となるかもしれない。一実施形態では、影響付与素子の厚さは、発信素子と受信素子の少なくとも一方の厚さより大きく、この場合は、影響付与素子の厚さと流管の肉厚との間の比は、原則として、任意の比が可能である。
【0020】
比較的簡単な実施形態(これはまた製作が比較的容易でもある)では、受信素子は、圧電素子を備えている。上記圧電素子は、比較的薄いピエゾフィルムを備えていてよい。
【0021】
非常に好適な実施形態では、受信素子は、ポリ弗化ビニリデン又はポリ二弗化ビニリデン(PVDF)材料を備えている。PVDFは、非常に強い圧電効果を有しており、また、PVDFは、材料を振動させた場合に、電圧を発生させるのに特に好適である。
【0022】
さらに、PZT素子(発信素子と受信素子の少なくとも一方として機能することができるセラミック結晶)を使用することが考えられる。
【0023】
流管は、金属流管、特にステンレス鋼製の金属流管であってよい。別法として、ハステロイは、適切な材料となり得る。用途によっては、非金属が使用できる。この関連では、テフロン(登録商標)、PEEKばかりでなく、ガラス又はセラミック材料も考えられる。
【0024】
一実施形態では、発信素子と受信素子の少なくとも一方は、流管の周りに少なくとも実質的に全体的に設けられている。このようにして、実質的に回転対称の信号が得られ、また、流量が全体的に一様でなくても、実質的に流量の平均値が求められる。
【0025】
発信素子は、流管の外側ジャケットと音響的に接触していることが好ましく、例えば、流管の外側ジャケットと直接的に接続されているか、あるいは、該流管の外側ジャケット上に音響的に導通性の(好ましくは薄い)層を介して設けられていることが好ましい。
【0026】
信号のさらにより正確な測定値を得るためには、超音波流量計は、超音波のための別の受信素子を備え、該別の受信素子は、流管の外側ジャケット上に設けられていることが考えられる。
【0027】
一実施形態では、上記別の受信素子は、発信素子が受信素子と該別の受信素子との間に位置するように、発信素子から軸方向に間隔を置いて配設されている。発信素子は、その場合には、例えば、受信素子と別の受信素子との間の中央位置に配設されており、したがって、上流に伝播する超音波及び下流に伝播する超音波が、該受信素子及び該別の受信素子によって測定されることになる。
【0028】
さらに超音波流量計は、超音波のための別の発信素子を備えることができ、該別の発信素子は、流管の外側ジャケット上に設けられる。上記別の発信素子は、該発信素子から間隔を置いて配置してよい。その配置位置は、発信素子と別の発信素子との間に該受信素子が配設されているような位置とすることができる。かくして、上流及び下流の測定が実施できる。また、別の発信素子と受信素子との間に、発信素子が配設されているように、該別の発信素子を配設して、異なる距離で測定を行うことも考えられる。他の位置も、もちろん考えられる。
【0029】
一実施形態では、発信素子(又は別の発信素子)は、流管内にストンレー(Stonely)波、特にショルテ(Scholte)波を発生するよう設計されている。
【0030】
一実施形態は、含まれている構成要素の数は比較的少ないが、それでもなお比較的高い精密さで機能する実施形態であり、この実施形態では、発信素子を受信素子としても機能するよう設計することが考えられる。また、それと同様に、(可能的には追加的に)受信素子を発信素子として機能するよう設計することも考えられる。
【0031】
一実施形態では、流管は、該流管内に実質的に一様な流量をもたらすため、真っ直ぐな管となっている。
【0032】
適切な影響付与素子は、超音波の一部分に影響を与える材料層とすることができる。一実施形態では、超音波を偏向させるための材料層は、エポキシ又はエポキシ複合材料を含む材料層で構成されている。
【0033】
流管、発信素子と受信素子の少なくとも一方を、例えば、エポキシなどの材料層内に成形すれば、もしくは、流管、発信素子及び受信素子のアセンブリを該材料層内に成形すれば、簡単な手段を用いて、影響付与素子を超音波流量計に材料層の形態で設けることができる。
【0034】
本発明の一態様によれば、本発明に係わる超音波流量計を用いて流れの速度を測定するための、次のステップを含む測定方法が得られる。すなわち、
・発信素子によって超音波を発生するステップと、
・発生した該超音波を該受信素子によって登録するステップと、
・登録された該超音波に基づいて流れの速度を求めるステップと、
を含む測定方法が得られる。
【0035】
本発明によれば、この測定方法の少なくとも一方は、影響付与素子を用いて、超音波の一部分の速度と方向に影響を与えるステップを備えている。すなわち、上記影響を与えるステップは、該超音波の一部分を偏向、遅延、加速、吸収の少なくとも一つを行う処理を含んでいる。したがって、既に説明したように、超音波の一部分(測定すべき流れの速度の測定対象ではない部分)は、受信素子に到達できない、あるいは、測定に用いられる時間窓外で該受信素子に到達するという程度で影響を受ける、と考えられる。したがって、向上した信号対雑音比が、該受信素子において得られる。
【0036】
一実施形態では、発信素子は、表面波(ストンレー(Stonely)波)を発生し、該表面波は、流管と流量を測定したい流れとの間の界面を伝播する。
【0037】
超音波の測定対象ではない該超音波の一部分は、単に該流管を通って伝播するのに過ぎない波と考えられる。よって、一実施形態では、この測定方法は、流管の外側ジャケットにおいて発生した超音波の少なくとも一部分を偏向させるステップを備えている。
【0038】
本発明は、さらに、超音波流量計、特に上述した本発明に係わる超音波流量計を製造する方法に関し、該製造方法は、少なくとも流管、発信素子及び受信素子を備える超音波流量計を用意するステップと、その後で、該発信素子、該受信素子の少なくとも一方又は該流管を、最大で超音波の一部分の速度と方向の少なくとも一方に影響を与える影響付与素子で包囲するステップと、を備えている。好ましくは、影響付与素子は、本発明に係わる超音波流量計を参照して既に説明したように構成されている。
【0039】
したがって、本発明に係わる超音波流量計は、簡単な製造方法で構成される。
【0040】
この製造方法は、特に、流管、発信素子及び受信素子のアセンブリを、影響付与素子を構成する材料層内に成形するステップを備えていてよい。その場合には、この製造方法は、流管、発信素子及び受信素子の一つを、液状の該影響付与素子によって包囲するステップを備えていてよい。
【0041】
このステップに続いて、液状の該影響付与素子を硬化させれば、固体材料層が得られる。
【0042】
液体材料内に成形と浸漬の少なくとも一方を行い、次いで硬化させる既述のステップは、該影響付与素子がエポキシ又はエポキシ複合材料であれば、簡単な方法で実現することができる。
【0043】
以下、添付の図面に示したいくつかの可能な実施形態の説明により、本発明をさらに詳しく説明する。