(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記水平共振抑制部は、前記振動活性領域の中心から前記振動活性領域の外縁に近づくほど厚みを増すように形成される、請求項1から請求項5の何れか一項に記載の音響共振器。
前記振動活性領域内に配置される前記水平共振抑制部の上部面の面積は、前記振動活性領域の上部面全体の面積の50%以下で形成される、請求項2に記載の音響共振器。
前記水平共振抑制部を形成する段階は、厚さが互いに異なる第1水平共振抑制部と第2水平共振抑制部をそれぞれ形成する段階を含む、請求項12または請求項13に記載の音響共振器の製造方法。
前記水平共振抑制部を形成する段階は、AINで形成された前記圧電層にSc、Mg、Nb、Zr、及びHfのうちいずれか一つのイオンを注入して圧電層の一部の領域を置換する段階を含む、請求項12から請求項14の何れか一項に記載の音響共振器の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(または強調表示や簡略化表示)がされることがある。
【0014】
なお、明細書全体において、ある構成が他の構成と「連結される」というのは、これら構成が「直接的に連結」される場合だけでなく、他の構成を介して「間接的に連結」される場合も含むことを意味する。さらに、明細書全体において、ある構成要素を「含む」というのは、特に反対である記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0015】
図1は本発明の実施形態による音響共振器を概略的に示す断面図であり、
図2は
図1の共振部を拡大して示す拡大断面図である。
【0016】
図1及び
図2を参照すると、本実施形態による音響共振器は、基板110及び共振部120を含むことができる。
【0017】
また、基板110と共振部120の間にはエアギャップ130が形成され、共振部120はメンブレン層150上に形成され、且つエアギャップ130によって基板110と離れるように形成される。
【0018】
基板110はシリコン基板またはSOI(Silicon On Insulator)型基板で形成されることができる。しかし、これらに限定されず、ガラス基板などの様々な基板が用いられることができる。
【0019】
共振部120は、下部電極121と、圧電層123と、上部電極125と、を含む。共振部120は、下側から下部電極121、圧電層123、及び上部電極125が順に積層されて形成されることができる。これにより、圧電層123は下部電極121と上部電極125の間に配置される。
【0020】
共振部120はメンブレン層150上に形成される。その結果、基板110の上部には、メンブレン層150、下部電極121、圧電層123、及び上部電極125が順に積層される。
【0021】
共振部120は、下部電極121と上部電極125に印加される信号に応じて圧電層123を共振させて共振周波数及び反共振周波数の振動を発生させることができる。
【0022】
下部電極121及び上部電極125は、金、モリブデン、ルテニウム、アルミニウム、白金、チタン、タングステン、パラジウム、クロム、ニッケルなどのような金属を主要材質として形成することができる。本実施形態では、下部電極121と上部電極125がともにモリブデン(Mo)で形成される。
【0023】
共振部120は、圧電層123の音響波を用いる。例えば、下部電極121と上部電極125に信号が印加されると、圧電層123の厚さ方向に沿って機械振動が発生して音響波が生成されるようになる。
【0024】
ここで、圧電層123の材料としては、酸化亜鉛(ZnO)、窒化アルミニウム(AlN)、クォーツ(Quartz)などを用いることができる。
【0025】
圧電層123の共振現象は、印加された信号の波長の1/2が圧電層123の厚さと一致する際に発生する。共振現象が発生すると、電気的インピーダンスが急激に変わるため、本実施形態による音響共振器としては共振周波数を任意に選択可能なフィルターを用いることができる。
【0026】
共振部120は、品質係数(Quality Factor)を向上させるために、エアギャップ130によって基板110と離れて配置することができる。
【0027】
エアギャップ130により、共振部120で発生する音響波の反射特性が向上することができる。エアギャップ130は、空き空間であり、インピーダンスが無限大に近いため、音響波がエアギャップ130によって損失せず、共振部120内に残存することができる。
【0028】
上部電極125の上部にはフレーム170が配置されることができる。
【0029】
フレーム170は、共振部120の輪郭に沿ってリング(ring)状に上部電極125上に形成される。
【0030】
共振部120は、フレーム170の内壁によって全体的な形状が規定される振動活性領域(
図2のA)において実質的な振動が発生する構造を有する。ここで、振動活性領域Aとは、共振部120を
図2のA方向から見たとき、フレーム170内に位置する領域として定義される。
【0031】
フレーム170は、振動活性領域Aで発生した水平方向の弾性波のうち共振部120の外部に向かう水平方向の弾性波を、共振部120の内部に反射させて弾性波のエネルギー損失を防ぐ。これにより、本実施形態による音響共振器は、高いQ−factor、kt2を確保することができる。
【0032】
高いQ−factorは、フィルターまたはデュプレクサを実現するにあたり、他の周波数帯域の遮断特性を高めることができ、高いkt2は、帯域幅(bandwidth)を確保して送受信時のデータ伝送量及び速度を増加させることができる。
【0033】
振動活性領域Aは平面が多角状または楕円状に形成されることができる。これに対応して、フレーム170も多角状または楕円状のリング状に形成されることができる。
【0034】
フレーム170は、圧電体、誘電体または金属で構成される。例えば、フレーム170は、窒化アルミニウム(AlN)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、酸化ケイ素(SiO
2)、酸化チタン(TiO
2)、ルテニウム(Ru)、モリブデン(Mo)、金(Au)、チタン(Ti)、銅(Cu)、タングステン(W)、及びアルミニウム(Al)のうち一つ、またはいずれか一つを主成分とする合成材料で形成することができる。
【0035】
本実施形態によるフレーム170は、スパッタリングまたは蒸着を通じて上部電極125上にフレーム層を形成した後、エッチングまたはリフトオフ(Lift−Off)工程を通じてフレーム層から不要な部分を除去することにより形成することができる。
【0036】
フレーム170は、上部電極125と同一の材料で形成することができ、上部電極125を形成する過程で付加的に形成することができる。
【0037】
また、本実施形態による音響共振器は、不要な振動であるスプリアス(spurious)振動を抑制するために、圧電層123内に水平共振抑制部140が配置される。
【0038】
水平共振抑制部140は、圧電層123内に不純物を注入して形成することができる。水平共振抑制部140は、圧電層123内で所望の領域の物性(Stiffness、圧電定数など)を変更する。これにより、共振部120で発生する水平波(Lateral Wave)を効果的に制限することで、水平波の共振によるノイズ(例えば、水平波ノイズ)の発生を最小限に抑制することができる。
【0039】
水平共振抑制部140は、注入されるイオンの種類や、イオン注入時に加えられるエネルギー、ドーズ(Dose)量、熱処理温度及び時間などを異ならせて様々な深さ及び形状に形成することができる。
【0040】
圧電層123をAlNで形成する場合、水平共振抑制部140は、Sc、Mg、Nb、Zr、Hfなどのイオンを注入して圧電層123の一部の領域を置換することにより形成することができる。この場合、注入されたイオンは、圧電層123内のAlで置換されて該当領域の物性を変化させる。これにより、水平共振抑制部140においては、イオンが注入されていない他の部分に比べて圧電性能を増加させることができる。
【0041】
また、Ar、O、B、P、Nなどのイオンで圧電層123の格子構造を意図的に破壊して水平共振抑制部140を形成することもできる。この場合、注入されたイオンは、AlとNの間の接続構造を破壊して該当領域の物性を変化させる。その結果、水平共振抑制部140においては、イオンが注入されていない他の部分に比べて圧電性能を減少させることができる。
【0042】
水平共振抑制部140は、圧電層123内に形成され、一部または全体が振動活性領域A内に配置される。本実施形態の水平共振抑制部140は、振動活性領域Aに配置される第1領域141、及び振動活性領域Aの外側であるフレーム170の下部と外側に配置される第2領域142に区分される。
【0043】
第1領域141は、一定の幅(例えば、5μm)で振動活性領域Aの外縁に沿って振動活性領域A内に配置される。ここで、振動活性領域Aの外縁とは、上部電極125とフレーム170の境界として定義されることができる。
【0044】
一方、本実施形態では、振動活性領域Aの外縁に沿って連続的に第1領域141が形成される。しかし、これに限定されず、必要に応じて、部分的または不連続的に第1領域141を形成することもできる。
【0045】
振動活性領域A内に配置される第1領域141の上部面の面積は、振動活性領域Aの上部面全体の面積の50%以下に形成することができる。
【0046】
イオンの注入により、圧電層123の物性を変化させるためには、0.05um以上の厚さで水平共振抑制部140を形成しなければならない。よって、本実施形態による水平共振抑制部140の最小厚さは0.05umと規定することができる。また、水平共振抑制部140の最大厚さは圧電層123の厚さと同一の厚さに形成することができる。
【0047】
例えば、本実施形態において、水平共振抑制部140の厚さは0.05umより大きく、圧電層123の厚さの半分以下となるように形成される。しかし、本発明の構成は、これらに限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【0048】
共振部120は保護層127をさらに含むことができる。保護層127は、フレーム170、下部電極121、上部電極125、及び圧電層123の一部を上から覆うように形成されて、上記構成要素が外部環境に露出することを防止する。
【0049】
一方、下部電極121及び上部電極125は、一部が保護層127の外部に露出し、当該露出している部分にはそれぞれ第1接続電極160aと第2接続電極160bが形成される。
【0050】
第1接続電極160a及び第2接続電極160bは、音響共振器とフィルターの特性を確認するための電気信号を観測し、観測結果に応じて必要な周波数トリミングを行うために備えることができる。しかし、これらに限定されるものではない。
【0051】
上述のように構成される本実施形態による音響共振器は、水平共振抑制部140を通じて水平波(Lateral Wave)による不要共振(Spurious Resonance)を抑制することで、水平波の共振によって発生するノイズ及び共振器の性能劣化を最小限にする。
【0052】
不要共振は、共振部120で発生する水平波(または横モード定在波)によってもたらされ、共振性能を歪曲させたり低下させたりする。
【0053】
よって、不要共振を最小限にするために、本実施形態による水平共振抑制部140は、フレーム170の内壁に沿って形成されて振動活性領域Aとフレーム170が接する境界部分の物性を変化させる。これにより、本実施形態による共振部120は、水平共振抑制部140が形成されていない中心部と、水平共振抑制部140が形成されている振動活性領域Aの外縁部分において、垂直方向の振幅が互いに異なって生じるように形成される。
【0054】
つまり、上述の中心部と水平共振抑制部140は、共振周波数において横方向に異なる波数(wave number)を有するため、全体的な振動形態が異なるように構成されている。例えば、水平共振抑制部140の物性が変化するにつれて、水平共振抑制部140において垂直方向の振幅がさらに急激に変わる。その結果、振動活性領域Aと水平共振抑制部140において水平方向の距離による垂直方向の振幅の変化量も変化し、共振周波数より低い周波数における水平方向の共振の発生が抑制される。
【0055】
また、本実施形態による音響共振器は、フレーム170を用いて振動活性領域Aで発生した振動が振動部の外部に抜け出ることを抑制して、共振部120のQ値(Q−factor)を増加させ、振動活性領域Aの外縁に沿って形成された水平共振抑制部140を用いて水平振動の共振を抑制する。これにより、共振部120のQ値、kt2を増加させることができるとともに、水平波ノイズも最小限にすることができる。
【0056】
従来の場合、水平波の共振によるノイズを最小限にするために、共振部を楕円状または非定形の形状に形成していたが、本実施形態による音響共振器は、水平共振抑制部140を通じて水平波の共振によるノイズを効果的に抑制することができるため、共振部120を四角状に定型化することができる。これにより、複数の共振部120を基板上に配置する場合、四角形状の共振部120を実装面積内に効率的に配置することができ、共振部同士の間隔も最小限にすることができる。したがって、共振部120を備えるモジュールのサイズを最小限にするとともに、実装面積を減らすことができる。
【0057】
図3は
図2に示された音響共振器と従来の音響共振器の挿入損失を比較したグラフである。ここで、
図2に示された音響共振器は、AlNで圧電層123を形成し、圧電層123内にNイオンを注入して水平共振抑制部140を形成した。
【0058】
図3を参照すると、従来の音響共振器は、2.04Gh以下の周波数帯域において水平波の共振によってノイズが大きく現れる。これに対し、本実施形態による音響共振器は、同一の周波数帯域において従来の音響共振器に比べて水平波の共振によるノイズが顕著に減少することが分かる。
【0059】
上述のように構成される本実施形態による音響共振器は、イオン注入方式を用いるため、圧電体内における所望の領域に、所望の形状及び物性で水平共振抑制部140を配置することができる。これにより、共振器の形状や材質、サイズなどに関係なく最適な位置に最適な形態で水平共振抑制部140を形成することができる。その結果、水平波(Lateral Wave)による不要共振(Spurious Resonance)を効果的に制限することで共振性能を高めることができる。
【0060】
一方、本発明による音響共振器は、上述の実施形態の構成に限定されず、様々な変形が可能である。
【0061】
図4は本発明の他の実施形態による音響共振器の共振部を示す断面図であり、
図5は
図4に示された音響共振器と従来の音響共振器の挿入損失を比較したグラフである。
【0062】
図4及び
図5を参照すると、本実施形態による音響共振器は、水平共振抑制部140が上述の実施形態に比べて厚く形成される。上述の実施形態の場合、水平共振抑制部140が圧電層123の厚さの半分以下の厚さとなるように形成されるが、本実施形態による水平共振抑制部140の厚みは、圧電層123の厚さの半分以上となるように形成される。より具体的には、水平共振抑制部140は、圧電層123の厚さと同一の厚さで形成される。
【0063】
このように、水平共振抑制部140を構成する場合、
図5に示されたとおり、従来の音響共振器に比べて挿入損失が小さくなることが確認できる。しかし、
図3と比較すると、上述の実施形態に比べてノイズの減少効果がやや低いと測定された。
【0064】
図6は本発明のさらに他の実施形態による音響共振器の共振部を示す断面図である。また、
図7は
図6に示された音響共振器と従来の音響共振器の挿入損失を比較したグラフである。
【0065】
図6及び
図7を参照すると、本実施形態による音響共振器は、振動活性領域Aの中心側に配置される第1水平共振抑制部140aと、第1水平共振抑制部140aの外側に配置される第2水平共振抑制部140bと、を含む。
【0066】
第1水平共振抑制部140aは第2水平共振抑制部140bより薄い厚さを有する。例えば、第1水平共振抑制部140aの厚さは、第2水平共振抑制部140bの厚さの半分以下の厚さとなるように形成されることができる。
【0067】
図6に示された水平共振抑制部140は、第1水平共振抑制部140aと第2水平共振抑制部140bの幅の比が3:2となるように形成され、第1水平共振抑制部140aの幅が第2水平共振抑制部140bの幅より大きくなるように構成される。
【0068】
このように、振動活性領域A内に配置される第1水平共振抑制部140aと第2水平共振抑制部140bは、互いに異なる幅を有するように構成することができる。しかし、これに限定されず、必要に応じて、振動活性領域A内に配置される第1水平共振抑制部140aと第2水平共振抑制部140bを同一の幅で形成することもできる。
【0069】
一方、第2水平共振抑制部140bと第1水平共振抑制部140aの厚さの差異により、第2水平共振抑制部140bと第1水平共振抑制部140aの間に階段状の段差が形成される。その結果、水平共振抑制部140は、振動活性領域Aの中心部から振動活性領域Aの外縁に近づくほど厚みを増すように構成される。
【0070】
第1水平共振抑制部140a及び第2水平共振抑制部140bはそれぞれ別のイオン注入過程を通じて形成することができる。例えば、1次イオン注入過程を通じて圧電層123内に第1水平共振抑制部140aを先に形成した後、2次イオン注入過程を行って第2水平共振抑制部140bを形成することができる。
【0071】
第1水平共振抑制部140a及び第2水平共振抑制部140bは、互いに同一の物性を有するように構成してもよく、互いに異なる物性を有するように構成してもよい。
【0072】
本実施形態の場合、第1水平共振抑制部140a及び第2水平共振抑制部140bは、AlNの圧電層123にともにNイオンを注入して形成する。これにより、第1水平共振抑制部140a及び第2水平共振抑制部140bは同一の物性を有する。
【0073】
しかし、本発明が上記構成に限定されるものではない。例えば、第1水平共振抑制部140aは、イオン置換を通じて圧電性能を増加させ、第2水平共振抑制部140bは、格子構造を破壊して圧電性能を低下させる等というように、逆に構成するなど様々な変形が可能である。
【0074】
また、本実施形態では、第1水平共振抑制部140a及び第2水平共振抑制部140bを互いに異なる厚さで形成している。しかし、これに限定されず、第1水平共振抑制部140a及び第2水平共振抑制部140bの物性を互いに異ならせて構成してもよく、同一の厚さで形成してもよい。
【0075】
図7を参照すると、本実施形態による音響共振器も、従来の音響共振器に比べて挿入損失が小さくなることが確認できる。また、
図3及び
図6をともに参照すると、上述の実施形態に比べて本実施形態による音響共振器のノイズの減少効果がより高いと測定された。
【0076】
図8は本発明のさらに他の実施形態による音響共振器の共振部を示す断面図である。
【0077】
図8を参照すると、本実施形態による音響共振器は、振動活性領域A内にのみ水平共振抑制部140が形成され、フレーム170の下部または外側には水平共振抑制部140が形成されない。
【0078】
水平波の共振の抑制は、振動活性領域A内に配置される水平共振抑制部140によって大部分が行われる。そのため、必要に応じて、振動活性領域Aの外部の水平共振抑制部140を省略することができる。
【0079】
以下、
図1及び
図2に示された音響共振器モジュールの製造方法について説明する。
【0080】
図9〜
図11は
図1及び
図2に示された音響共振器の製造方法を説明するための図面である。
【0081】
図9を参照すると、先ず、基板110の上部に犠牲層131を形成する。
【0082】
基板110としては、シリコン基板またはSOI(Silicon On Insulator)基板を用いることができる。また、犠牲層131は、後で除去されてエアギャップ(
図1の130)を形成する。犠牲層131としては、ポリシリコンまたはポリマーなどの材質が用いられることができる。
【0083】
次に、基板110の上部及び犠牲層131の上部にメンブレン層150を形成する。メンブレン層150は、エアギャップ(
図1の130)の形状を維持させ、共振部(
図1の120)の構造を支持する役割を果たす。
【0085】
下部電極121は、基板110及び犠牲層131の上部に全体的に導電層(図示せず)を蒸着した後、不要な部分を除去(例えば、パターニング)することにより形成することができる。本段階は、フォトリソグラフィ工程を通じて行われることができるが、これに限定されるものではない。
【0086】
上記導電層は、モリブデン(Mo)の材質で形成されることができる。しかし、これに限定されるものではなく、金、ルテニウム、アルミニウム、白金、チタン、タングステン、パラジウム、クロム、ニッケルなどの様々な金属が用いられることができる。
【0088】
圧電層123は、下部電極121上に圧電物質を蒸着して形成することができる。
【0089】
圧電層123は窒化アルミニウム(AlN)で形成することができる。しかし、これに限定されるものではなく、酸化亜鉛(ZnO)やクォーツ(Quartz)などの様々な圧電材質を用いることができる。
【0090】
次に、
図10に示されたとおり、圧電層123内に水平共振抑制部140を形成する。水平共振抑制部140は、圧電層123にイオンを部分的に注入して形成することができる。
【0091】
上述のとおり、水平共振抑制部140は、イオンソース、エネルギー(Energy)、ドーズ(Dose)、熱処理温度及び時間に応じて様々な深さ及び形状で実現することができる。
【0092】
例えば、水平共振抑制部140は、圧電層123をAlNで形成し、Sc、Mg、Nb、Zr、Hfのうちいずれか一つのイオンを圧電層123に注入することにより、圧電層123の一部の領域を置換することで形成することができる。この場合、水平共振抑制部140は、イオンが注入されていない他の部分に比べて圧電性能が高い物性を有することができる。
【0093】
また、水平共振抑制部140は、Ar、O、B、P、NなどのイオンでAlN圧電層123の格子構造を意図的に破壊して形成することもできる。この場合、水平共振抑制部140は、イオンが注入されていない他の部分に比べて圧電性能が低い物性を有することができる。
【0094】
本実施形態の場合、圧電層123のうち、振動活性領域(
図2のA)の縁部分、及び振動活性領域Aの外側部分に水平共振抑制部140をすべて形成する。この場合、広い面積で水平共振抑制部140を形成するため、製造が容易であるという利点がある。しかし、本発明の構成がこれに限定されるものではなく、後述する他の実施形態のように、最小限の面積で水平共振抑制部140を形成するなど様々な変形が可能である。
【0095】
一方、水平共振抑制部140を形成する過程において、厚さが互いに異なる第1水平共振抑制部140a及び第2水平共振抑制部140bをそれぞれ形成する場合、
図6に示された音響共振器を製造することができる。
【0096】
この場合、1次イオン注入過程を通じて圧電層123内に先ず第1水平共振抑制部140aを形成した後、2次イオン注入過程を行って第2水平共振抑制部140bを形成することができる。
【0097】
また、第1水平共振抑制部140aの厚さは圧電層123厚さの半分以上で形成し、第2水平共振抑制部140bの厚さは第1水平共振抑制部140aより薄く形成することができる。
【0098】
これにより、
図6に示されたとおり、振動活性領域Aの中心から振動活性領域Aの縁側に向かうほど厚さが厚くなる水平共振抑制部140を形成することができる。
【0099】
再び
図10を参照して
図2に示された音響共振器の製造方法を説明する。水平共振抑制部140が形成されると、圧電層123の上部に上部電極125とフレーム170を形成した後、上部電極125をパターニング(Patterning)する。
【0100】
その後、
図11に示されたとおり、圧電層123をパターニング(Patterning)する。その結果、
図2に示された振動活性領域Aが完成する。
【0101】
振動活性領域Aが完成すると、保護層127及び第1接続電極160a並びに第2接続電極160bを順に形成する。また、犠牲層131を除去して
図1に示された音響共振器を完成させる。ここで、犠牲層131はエッチング方式を通じて除去することができる。
【0102】
一方、本発明による音響共振器の製造方法は、上述の実施形態に限定されず、様々な変形が可能である。
【0103】
図12及び
図13は
図8に示された音響共振器の製造方法を説明するための図面である。
【0104】
本実施形態による音響共振器の製造方法は、
図9に示された過程まで上述の実施形態と同一に行われる。以下、
図9に示された段階後から説明する。
【0105】
図12を参照すると、圧電層123内に水平共振抑制部140を形成する。水平共振抑制部140は圧電層123にイオンを部分的に注入して形成することができる。
【0106】
本実施形態の場合、圧電層123のうち振動活性領域(
図8のA)内にのみ水平共振抑制部140を形成する。この場合、圧電層123の物性変化を最小限にすることができるため、不要に形成される水平共振抑制部140により圧電層123の圧電性能が変化することを最小限にすることができる。
【0107】
次に、圧電層123の上部に上部電極125とフレーム170を形成した後、上部電極125をパターニング(Patterning)する。
【0108】
その後、
図13に示されたとおり、圧電層123をパターニング(Patterning)した後、保護層127及び第1接続電極160a並びに第2接続電極160bを順に形成する。最後に、犠牲層131を除去して
図8に示された音響共振器を完成させる。
【0109】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で様々な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有するものには明らかである。