(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6373452
(24)【登録日】2018年7月27日
(45)【発行日】2018年8月15日
(54)【発明の名称】距離計測機能付き内視鏡および距離計測方法
(51)【国際特許分類】
G01C 3/06 20060101AFI20180806BHJP
A61B 1/00 20060101ALI20180806BHJP
G02B 23/24 20060101ALI20180806BHJP
G01B 11/00 20060101ALI20180806BHJP
【FI】
G01C3/06 120S
A61B1/00 553
A61B1/00 730
G02B23/24 B
G01B11/00 G
【請求項の数】15
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-103518(P2017-103518)
(22)【出願日】2017年5月25日
(65)【公開番号】特開2018-4624(P2018-4624A)
(43)【公開日】2018年1月11日
【審査請求日】2017年5月26日
(31)【優先権主張番号】105120513
(32)【優先日】2016年6月29日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】510195490
【氏名又は名称】醫電鼎▲衆▼股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(72)【発明者】
【氏名】▲セン▼志俊
【審査官】
眞岩 久恵
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−000258(JP,A)
【文献】
実開昭60−079109(JP,U)
【文献】
国際公開第2005/098476(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 3/00−3/32
A61B 1/00
G01B 11/00
G02B 23/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チューブによって連結された内視鏡本体および観察機構を備え、
前記観察機構は、管状基部、単波長光源、回折格子(diffraction grating)、撮像機構および遮光板を有し、
前記管状基部は、先端に開口部を有し、
前記単波長光源は、前記管状基部の内部に配置され、波長が一定した光線を前記開口部から放出し、
前記回折格子は、前記管状基部の内部かつ前記単波長光源と前記開口部との間に配置され、複数のスリットを有し、単波長光は前記回折格子の前記スリットを通って回折し、前記開口部から観察対象に当たり、0次光点、0次光点の両側に位置する+1次光点および−1次光点を生じ、前記単波長光源から前記0次光点とその両側に隣接する光点の間へのベクトルの角度は一定した波長および前記回折格子の前記スリットの幅に基づいて算出され、
前記撮像機構は、前記管状基部の内部に配置され、画像センサーおよびレンズ拡大率を有するレンズを有し、前記撮像機構は前記開口部から前方を撮像し、画像を生成し、撮像範囲が前記0次光点、前記+1次光点および前記−1次光点を含み、
前記遮光板は、前記管状基部の内部に配置され、前記単波長光源および前記回折格子の組み合せから前記撮像機構を隔離するため、前記単波長光源から放出された単波長光を前記管状基部の内部の前記撮像機構に反射や屈折させることはなく、
前記内視鏡本体は、内部に標準光点画素数が記録してある計算機構を有し、前記計算機構は第一演算論理、第二演算論理および第三演算論理に基づいて構築され、
前記第一演算論理は、前記レンズ拡大率、前記画像上の任一の光点の画素数および前記標準光点画素数に基づいて計算し、距離拡大率を算出し、
前記第二演算論理は、前記距離拡大率に基づいて前記画像上の二つの隣り合う前記光点の間の距離を計算し、前記観察対象に当たった二つの隣り合う前記光点の間の距離を算出し、
前記第三演算論理は、前記観察対象に当たった二つの隣り合う前記光点の間の距離および前記ベクトルの角度に基づいて前記回折格子と前記0次光点との間の距離を算出することを特徴とする、
距離計測機能付き内視鏡。
【請求項2】
さらにサブレンズを備え、前記サブレンズは、前記単波長光源と前記回折格子との間に配置され、前記単波長光源から放出された前記単波長光は、前記サブレンズを透過して前記回折格子に当たり、前記サブレンズによって拡散せず直線状に維持されることを特徴とする請求項1に記載の距離計測機能付き内視鏡。
【請求項3】
前記第一演算論理は数1によって前記距離拡大率を算出することであり、
【数1】
前記数1において、mは前記レンズ拡大率であり、△P(X)は前記画像上の任一の光点の画素数であり、Pは前記標準光点画素数であり、Mは前記距離拡大率であり、前記レンズ拡大率および前記標準光点画素数が固定値である場合、前記画像上の任一の光点の画素数が変わると前記距離拡大率も変わることを特徴とする請求項1に記載の距離計測機能付き内視鏡。
【請求項4】
前記第二演算論理は数2によって前記観察対象上の二つの隣り合う前記光点の間の距離を算出することであり、
【数2】
前記数2において、△X’は前記画像上の二つの隣り合う前記光点の間の距離であり、△Xは前記観察対象上の二つの隣り合う前記光点の間の距離であり、前記画像上の二つの隣り合う前記光点の間の距離を算出すれば、前記距離拡大率に基づいて前記観察対象上の二つの隣り合う前記光点の間の距離を計算することができることを特徴とする請求項3に記載の距離計測機能付き内視鏡。
【請求項5】
前記第三演算論理は数3によって前記回折格子と前記0次光点との間の距離を算出することであり、
【数3】
前記数3において、θは前記ベクトルの角度であり、Dは前記回折格子と前記0次光点との間の距離であることを特徴とする請求項4に記載の距離計測機能付き内視鏡。
【請求項6】
前記計算機構はさらに第四演算論理を有し、前記第四演算論理は前記0次光点および前記1次光点の間の距離と前記0次光点および前記ー1次光点の間の距離との差に基づいて、前記0次光点を生じさせる前記単波長光の方向に垂直の面と前記観察対象の表面との間の傾斜角度を算出することを特徴とする請求項1に記載の距離計測機能付き内視鏡。
【請求項7】
前記第四演算論理は数4によって前記傾斜角度を算出することであり、
【数4】
前記数4において、d1は前記0次光点および前記1次光点の間の距離であり、d2は前記0次光点および前記ー1次光点の間の距離であり、αは前記0次光点を生じさせる前記単波長光の方向に垂直の面と前記観察対象の表面との間の前記傾斜角度であることを特徴とする請求項6に記載の距離計測機能付き内視鏡。
【請求項8】
前記単波長光源は、発光ダイオード(LED)または光ファイバーと発光光源の組み合わせであることを特徴とする請求項1に記載の距離計測機能付き内視鏡。
【請求項9】
ステップA)、ステップB)およびステップC)を含み、
前記ステップA)は、内視鏡のチューブの前端に位置する観察機構内の単波長光源によって波長が一定した光線を放出し、放出した前記光線を回折格子から観察対象に照射し、前記観察対象の表面に0次光点、前記0次光点の両側に位置する+1次光点および−1次光点を生じさせ、前記単波長光源から前記0次光点とその両側に隣接する光点の間へのベクトルの角度は一定した波長および前記回折格子のスリットの幅に基づいて算出され、
前記ステップB)は、前記内視鏡の撮像機構によって前記観察対象を撮像し、前記0次光点、前記+1次光点および前記−1次光点を含む画像を撮り、
前記ステップC)は、前記内視鏡本体の計算機構によって前記画像中の前記0次光点、前記+1次光点および前記−1次光点の画素数を計算し、続いて前記計算機構の標準光点画素数を参考にし、第一演算論理および前記撮像機構のレンズ拡大率によって距離拡大率を算出し、続いて第二演算論理によって前記距離拡大率を参考に前記画像上の二つの隣り合う前記光点の間の距離を計算し、前記観察対象に当たった二つの隣り合う前記光点の間の距離を算出し、続いて第三演算論理によって前記観察対象に当たった二つの隣り合う前記光点の間の距離および前記ベクトルの角度を参考に前記回折格子と前記0次光点との間の距離を算出することを特徴とする、
内視鏡の距離計測方法。
【請求項10】
前記第一演算論理は数1によって前記距離拡大率を算出することであり、
【数1】
前記数1において、mは前記レンズ拡大率であり、△P(X)は前記画像上の任一の光点の画素数であり、Pは前記標準光点画素数であり、Mは前記距離拡大率であり、前記レンズ拡大率および前記標準光点画素数が固定値である場合、前記画像上の任一の光点の画素数が変わると前記距離拡大率も変わることを特徴とする請求項9に記載の内視鏡の距離計測方法。
【請求項11】
前記第二演算論理は数2によって前記観察対象上の二つの隣り合う前記光点の間の距離を算出することであり、
【数2】
前記数2において、△X’は前記画像上の二つの隣り合う前記光点の間の距離であり、△Xは前記観察対象上の二つの隣り合う前記光点の間の距離であり、前記画像上の二つの隣り合う前記光点の間の距離を算出すれば、前記距離拡大率に基づいて前記観察対象上の二つの隣り合う前記光点の間の距離を計算することができることを特徴とする請求項10に記載の内視鏡の距離計測方法。
【請求項12】
前記第三演算論理は数3によって前記回折格子と前記0次光点との間の距離を算出することであり、
【数3】
前記数3において、θは前記ベクトルの角度であり、Dは前記回折格子と前記0次光点との間の距離であることを特徴とする請求項11に記載の内視鏡の距離計測方法。
【請求項13】
前記計算機構はさらに第四演算論理を有し、前記第四演算論理は前記0次光点および前記1次光点の間の距離と前記0次光点および前記ー1次光点の間の距離との差に基づいて、前記0次光点を生じさせる前記単波長光の方向に垂直の面と前記観察対象の表面との間の傾斜角度を算出することを特徴とする請求項9に記載の内視鏡の距離計測方法。
【請求項14】
前記第四演算論理は数4によって前記傾斜角度を算出することであり、
【数4】
前記数4において、d1は前記0次光点および前記1次光点の間の距離であり、d2は前記0次光点および前記ー1次光点の間の距離であり、αは前記0次光点を生じさせる前記単波長光の方向に垂直の面と前記観察対象の表面との間の前記傾斜角度であることを特徴とする請求項13に記載の内視鏡の距離計測方法。
【請求項15】
前記単波長光源は、発光ダイオード(LED)または光ファイバーと発光光源の組み合わせであることを特徴とする請求項9に記載の内視鏡の距離計測方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡の距離計測技術に関し、詳しくは光干渉技術による距離計測機能付き内視鏡および距離計測方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の内視鏡の距離計測方法において、特許文献1は可動関節(movable joint)および視軸(visual axis)に基づいて距離計測を行う技術である。該技術は構造に連結された関節が可動性であるため、コントロール方式および計測方式が比較的複雑である。
【0003】
特許文献2は観察対象の表面に測光(measurement light)を照射してパターンを形成し、パターンの形を画像化し、形の大きさを計算することによって内視鏡と観察対象との間の距離および角度を求める技術である。
【0004】
それに対し、本出願は先行技術と異なり、内視鏡で光干渉/回折方式によって距離計測を行う技術である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】WO2015/098353A1号公報
【特許文献2】US2010/0324366A1号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、先行技術と異なり、光干渉/回折方式で距離を計測する技術による距離計測機能を有する内視鏡を提供することを主な目的とする。
【0007】
本発明は、先行技術と異なり、光干渉/回折方式で距離を計測する内視鏡の距離計測方法を提供することをもう一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するため、距離計測機能付き内視鏡は内視鏡本体および観察機構を備える。内視鏡本体はチューブによって観察機構に連結される。観察機構は管状基部、単波長光源、回折格子(diffraction grating)、撮像機構および遮光板を有する。管状基部は先端に開口部を有する。単波長光源は管状基部の内部に配置され、波長が一定した光線を開口部から放出する。
【0009】
回折格子は、管状基部の内部かつ単波長光源と開口部との間に配置され、複数のスリットを有する。単波長光は回折格子のスリットを通って回折し、開口部から測定対象に当たり、0次光点、0次光点の両側に位置する+1次光点および−1次光点を生じる。単波長光源から0次光点とその両側に隣接する光点の間へのベクトルの角度は一定した波長および回折格子のスリットの幅に基づいて算出される。撮像機構は管状基部の内部に配置され、開口部から前方を撮像し、画像を生成し、撮像範囲が0次光点、+1次光点および−1次光点を含む。撮像機構は画像センサーおよびレンズを有する。レンズはレンズ拡大率を有する。遮光板は管状基部の内部に配置され、単波長光源および回折格子の組合せから撮像機構を隔離するため、単波長光源から放出された単波長光を管状基部の内部の撮像機構に反射や屈折させることはない。内視鏡本体は内部に標準光点画素数が記録してある計算機構を有する。計算機構は下記の三つの演算論理に基づいて構築される。第一演算論理はレンズ拡大率、画像上の任一の光点の画素数および標準光点画素数に基づいて計算し、距離拡大率を算出する。第二演算論理は距離拡大率に基づいて画像上の二つの隣り合う光点の間の距離を計算し、観察対象に当たった二つの隣り合う光点の間の距離を算出する。第三演算論理は観察対象に当たった二つの隣り合う光点の間の距離およびベクトルの角度に基づいて回折格子と0次光点との間の距離を算出する。
【0010】
上述したとおり、本発明は光干渉/回折技術に基づいて光回折によって生じた光点を観測し、観察対象の距離を算出することであるため、先行技術とは異なる。
【0011】
上述した課題を解決するため、内視鏡の距離計測方法は次のステップを含む。ステップA)は内視鏡のチューブの前端に位置する観察機構内の単波長光源によって波長が一定した光線を放出し、放出した光線を回折格子から観察対象に照射し、観察対象の表面に0次光点、0次光点の両側に位置する+1次光点および−1次光点を生じさせる。単波長光源から0次光点とその両側に隣接する光点の間へのベクトルの角度は一定した波長および回折格子のスリットの幅に基づいて算出される。ステップB)は内視鏡の撮像機構によって観察対象を撮像し、0次光点、+1次光点および−1次光点を含む画像を取る。ステップC)は内視鏡本体の計算機構によって画像中の0次光点、+1次光点および−1次光点の画素数を計算する。続いて計算機構の標準光点画素数を参考にし、第一演算論理および撮像機構のレンズ拡大率によって距離拡大率を算出する。続いて第二演算論理によって距離拡大率を参考に画像上の二つの隣り合う光点の間の距離を計算し、観察対象に当たった二つの隣り合う光点の間の距離を算出する。続いて第三演算論理によって観察対象に当たった二つの隣り合う光点の間の距離およびベクトルの角度を参考に回折格子と0次光点との間の距離を算出する。
【0012】
上述したとおり、本発明による内視鏡の距離計測方法は光干渉/回折技術に基づいて光回折によって生じた光点を観測し、観察対象の距離を算出することであるため、先行技術とは異なる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第1実施形態による距離計測機能付き内視鏡を示す模式図である。
【
図2】本発明の第1実施形態による距離計測機能付き内視鏡の観察機構の内部状態を示す断面図である。
【
図3】本発明の第1実施形態による距離計測機能付き内視鏡の回折格子を示す模式図である。
【
図4】本発明の第1実施形態による距離計測機能付き内視鏡の回路を示す模式図である。
【
図5】本発明の第1実施形態による距離計測機能付き内視鏡の作動を示す模式図である。
【
図6】本発明の第1実施形態による距離計測機能付き内視鏡の作動を示す模式図である。
【
図7】本発明の第2実施形態による距離計測機能付き内視鏡の観察機構の内部状態を示す断面図である。
【
図8】本発明の第2実施形態による距離計測機能付き内視鏡の回路を示す模式図である。
【
図9】本発明の第2実施形態による距離計測機能付き内視鏡の作動を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明による距離計測機能付き内視鏡および距離計測方法を図面に基づいて説明する。
【0015】
(第1実施形態)
図1から
図6に示すように、本発明の第1実施形態による距離計測機能付き内視鏡10は内視鏡本体11、チューブ21および観察機構31から構成される。
【0016】
内視鏡本体11は、チューブ21によって観察機構31に連結される。観察機構31は管状基部32、単波長光源34、回折格子(diffraction grating)36、撮像機構38および遮光板39を有する。
【0017】
管状基部32は、先端に開口部33を有する。
【0018】
単波長光源34は、管状基部32の内部に配置され、波長λが一定した光線を開口部33から放出する。単波長光源34はレーザー光源、赤外線光源、紫外線光源または特定の波長の可視光源であるが、これに限らず、発光ダイオード(LED)または光ファイバーと発光光源の組み合わせを採用してもよい。
発光ダイオードが単波長光源34になる場合、発光ダイオードは直接観察機構31の管状基部32に配置される。光ファイバーと発光光源の組み合わせが単波長光源34になる場合、発光光源は内視鏡本体11に配置される。光ファイバーは内視鏡本体11に配置され、先端がチューブ21を通って観察機構31の管状基部32内に据えられる。発光光源から放出された光線を光ファイバーによって誘導する技術は従来の技術であるため、配置方法についての説明および図面を省略する。
【0019】
回折格子36は、管状基部32の内部かつ単波長光源34と開口部33との間に配置され、複数のスリット361を有する。単波長光は回折格子36のスリット361を通って回折し、開口部33から測定対象99に当たり、0次光点L0、0次光点L0の両側に位置する+1次光点L1および−1次光点L−1を生じる。
単波長光源34から0次光点L0とその両側に隣接する光点L1、L−1の間へのベクトルの角度θは一定した波長λおよび回折格子36のスリット361の幅sに基づいて算出される。ベクトルの角度θ、回折格子36のスリット361の幅sおよび単波長光の波長λの関係式はssinθ=λである。一方、実際の回折格子3のスリット361は図面に表示し切れないほど密集する。説明の便をはかるため、図中の回折格子36のスリット361は実際の比によって作成されてない。
【0020】
撮像機構38は、管状基部32の内部に配置され、開口部33から前方を撮像し、画像Iを生成し、撮像範囲が0次光点L0、+1次光点L1および−1次光点L−1を含む。撮像機構38は画像センサー381およびレンズ382を有する。レンズ382はレンズ拡大率mを有する。
【0021】
遮光板39は、管状基部32の内部に配置され、単波長光源34および回折格子36の組合せから撮像機構38を隔離するため、単波長光源34から放出された単波長光を管状基部32の内部の撮像機構38に反射や屈折させることはない。
【0022】
内視鏡本体11は、内部に標準光点画素数Pが記録してある計算機構12を有する。計算機構12は下記の三つの演算論理121、122、123に基づいて構築される。第一演算論理121はレンズ拡大率m、画像I上の任一の光点の画素数△P(X)および標準光点画素数Pに基づいて計算し、距離拡大率Mを算出する。第二演算論理122は距離拡大率Mに基づいて画像I上の二つの隣り合う光点の間の距離△X’を計算し、観察対象99に当たった二つの隣り合う光点の間の距離△Xを算出する。第三演算論理123は観察対象99に当たった二つの隣り合う光点の間の距離△Xおよびベクトルの角度θに基づいて回折格子36と0次光点L0との間の距離Dを算出する。
内視鏡によって観察対象99を観察する際、観察距離は非常に短く、20センチ以内が一般的であるため、観察距離内に内視鏡の観察機構31を移動させても単波長光が観察対象99に当たって生じた光点の大きさはあまり変わらない。従って製作業者は標準条件(例えば所定の距離)を設定し、かつ標準条件を設定したうえで撮像する際の単波長光点の画素数を標準光点画素数Pと定義することができる。
【0024】
数1において、mはレンズ拡大率である。△P(X)は画像I上の任一の光点の画素数である。Pは標準光点画素数である。Mは距離拡大率である。第一演算論理121は数1によって距離拡大率Mを算出する。
【0025】
レンズ拡大率mおよび標準光点画素数Pが固定値である場合、画像I上の任一の光点の画素数△P(X)が変わると距離拡大率Mも変わる。
【0027】
数2において、△X’は画像I上の二つの隣り合う光点の間の距離である。△Xは観察対象99に当たった二つの隣り合う光点の間の距離である。第二演算論理122は数2によって観察対象99に当たった二つの隣り合う光点の間の距離△Xを算出する。
【0028】
画像I上の二つの隣り合う光点の間の距離△X’を算出すれば、距離拡大率Mに基づいて観察対象99に当たった二つの隣り合う光点の間の距離△Xを計算することができる。
【0030】
数3において、θはベクトルの角度である。Dは回折格子36と0次光点L0との間の距離である。第三演算論理123は数3によって回折格子36と0次光点L0との間の距離Dを算出する。
【0031】
回折格子36を観察機構31と見なせばDが観察機構31と観察対象99との間の距離になる。
【0032】
以上は本発明の第1実施形態の構築についての説明である。続いて、第1実施形態の構築に基づいて内視鏡の距離計測方法を説明する。
【0033】
図1から
図6に示すように、本発明による内視鏡の距離計測方法は、下記のステップを含む。
【0034】
ステップA)は、内視鏡のチューブ21の前端に位置する観察機構31内の単波長光源34によって波長λが一定した光線を放出し、放出した光線を回折格子36から観察対象99に照射し、観察対象99の表面に0次光点L0、0次光点L0の両側に位置する+1次光点L1および−1次光点L−1を生じさせる。単波長光源34から0次光点L0とその両側に隣接する光点L1、L−1の間へのベクトルの角度θは一定した波長λおよび回折格子36のスリット361の幅sに基づいて算出される。
【0035】
ステップB)は、内視鏡の撮像機構38によって観察対象99を撮像し、0次光点L0、+1次光点L1および−1次光点L−1を含む画像Iを撮る。
【0036】
ステップC)は、内視鏡本体11の計算機構12によって画像I中の0次光点L0、+1次光点L1および−1次光点L−1の画素数を計算する。続いて計算機構12の標準光点画素数Pを参考にし、第一演算論理121および撮像機構38のレンズ拡大率mによって距離拡大率Mを算出する。続いて第二演算論理122によって距離拡大率Mを参考に画像I上の二つの隣り合う光点の間の距離△X’を計算し、観察対象99に当たった二つの隣り合う光点の間の距離△Xを算出する。続いて第三演算論理123によって観察対象99に当たった二つの隣り合う光点の間の距離△Xおよびベクトルの角度θを参考に回折格子36と0次光点L0との間の距離Dを算出する。第一演算論理121、第二演算論理122および第三演算論理123は上述した記載のとおりである。
【0037】
上述したとおり、本発明は光干渉/回折方式で距離を計測する技術に基づいて内視鏡の観察機構31と観察対象99との間の距離を算出するため、先行技術とは異なる。
【0038】
(第2実施形態)
図7から
図9に示したのは本発明の第2実施形態である。第1実施形態との違いは下記のとおりである。
【0039】
第2実施形態はさらにサブレンズ42’を備える。計算機構12’はさらに第四演算論理124’を含む。
【0040】
サブレンズ42’は単波長光源34’と回折格子36’との間に配置される。単波長光源34’から放出された単波長光はサブレンズ42’を透過して回折格子36‘に当たる。サブレンズ42’は単波長光の形を調整し、単波長光を拡散させないように平行に維持する。
【0041】
第四演算論理124’は、0次光点L0および1次光点L1の間の距離d1と0次光点L0およびー1次光点L―1の間の距離d2との差に基づいて、0次光点L0を生じさせる単波長光の方向に垂直の面と観察対象99の表面との間の傾斜角度αを算出する。
【0043】
数4において、d1は0次光点L0および1次光点L1の間の距離である。d2は0次光点L0およびー1次光点L―1の間の距離である。αは0次光点L0を生じさせる単波長光の方向に垂直の面と観察対象99の表面との間の傾斜角度である。第四演算論理124’は数4によって0次光点L0を生じさせる単波長光の方向に垂直の面と観察対象99の表面との間の傾斜角度αを算出する。
【0044】
傾斜角度αを算出すれば、観察対象99の表面が観察方向に垂直せず傾斜するか否かを判断することができる。
【0045】
第一演算論理121’、第二演算論理122’および第三演算論理123’を行う際、観察対象99の表面は傾斜するため、画像I中の0次光点L0および1次光点L1の間の距離d1と0次光点L0およびー1次光点L―1の間の距離d2とを平均し、二つの隣り合う光点の間の距離を算出すれば、演算を行い、回折格子36’と0次光点L0との間の距離Dを計算することができる。
【0046】
第2実施形態のほかの構造および達成できる効果は第1実施形態と同じであるため、説明を省略する。
【符号の説明】
【0047】
10 距離計測機能付き内視鏡
11 内視鏡本体
12 計算機構
121 第一演算論理
122 第二演算論理
123 第三演算論理
21 チューブ
31 観察機構
32 管状基部
33 開口部
34 単波長光源
36 回折格子
361 スリット
38 撮像機構
381 画像センサー
382 レンズ
39 遮光板
99 観察対象
D 回折格子と0次光点との間の距離
I 画像
L0 0次光点
L1 1次光点
L−1 −1次光点
s スリットの幅
θ ベクトルの角度
△X 観察対象上の二つの隣り合う光点の間の距離
△X’ 画像上の二つの隣り合う光点の間の距離
10’ 距離計測機能付き内視鏡
12’ 計算機構
121’ 第一演算論理
122’ 第二演算論理
123’ 第三演算論理
124’ 第四演算論理
34’ 単波長光源
36’ 回折格子
42’ サブレンズ
d1 0次光点および1次光点の間の距離
d2 0次光点およびー1次光点の間の距離