(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6373515
(24)【登録日】2018年7月27日
(45)【発行日】2018年8月15日
(54)【発明の名称】生成方法
(51)【国際特許分類】
C02F 1/28 20060101AFI20180806BHJP
C02F 1/461 20060101ALI20180806BHJP
B01J 20/20 20060101ALI20180806BHJP
H01G 11/38 20130101ALI20180806BHJP
【FI】
C02F1/28 D
C02F1/461 Z
B01J20/20 E
H01G11/38
【請求項の数】8
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2017-560816(P2017-560816)
(86)(22)【出願日】2016年5月20日
(86)【国際出願番号】TR2016000073
(87)【国際公開番号】WO2016186596
(87)【国際公開日】20161124
【審査請求日】2017年11月16日
(31)【優先権主張番号】2015/06031
(32)【優先日】2015年5月20日
(33)【優先権主張国】TR
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517401990
【氏名又は名称】エディプ・バイラム
【氏名又は名称原語表記】Edip BAYRAM
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100156122
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 剛
(72)【発明者】
【氏名】エディプ・バイラム
【審査官】
富永 正史
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2010/150534(WO,A1)
【文献】
特表2002−513995(JP,A)
【文献】
特開昭60−200462(JP,A)
【文献】
特開平07−155766(JP,A)
【文献】
特開平06−325983(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第02070875(EP,A1)
【文献】
特開2001−185462(JP,A)
【文献】
特開平03−201520(JP,A)
【文献】
特開平04−167510(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/46−1/48
C02F 1/28
B01J 20/20
H01G 11/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性炭を含む電気収着に用いる電極の生成方法であって、
−5〜90重量%の活性炭粒と5〜90重量%の熱可塑性粉末とを混合する工程;
−3〜10重量%の水を前記混合物に添加する工程;
−その水性混合物を135〜145℃に加熱する工程;
−前記温度にて、加熱混合物を所定時間撹拌する工程;
−電極を生成するために、加熱混合物を型に注入し、500〜2,000バールの圧力にて加圧する工程;
−生成された電極を型から取り出し、電極を冷却させる工程
を含むことを特徴とする該方法。
【請求項2】
前記熱可塑性粉末がポリエチレンであることを特徴とする請求項1記載の生成方法。
【請求項3】
活性炭粒と熱可塑性粉末との混合工程にて、活性炭粒が85重量%であることを特徴とする請求項1記載の生成方法。
【請求項4】
活性炭粒と熱可塑性粉末との混合工程にて、熱可塑性粉末が15重量%であることを特徴とする請求項1記載の生成方法。
【請求項5】
水の混合物への添加工程にて、水が5重量%であることを特徴とする請求項1記載の生成方法。
【請求項6】
混合物の加熱工程にて、温度が140℃であることを特徴とする請求項1記載の生成方法。
【請求項7】
加熱混合物を型に注入し、加圧する工程にて、圧力が800バールであることを特徴とする請求項1記載の生成方法。
【請求項8】
活性炭粒と熱可塑性粉末との混合工程の前に、活性炭粒および熱可塑性粉末を所望の寸法とする工程を含むことを特徴とする請求項1記載の生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気収着適用に用いる粒状活性炭を含む電極の生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
活性炭は、高温での有機物質の熱分解によって得られ、非常に高い表面積を有し、導電性である実用的な材料である。活性炭は、主として粉末状または粒状形態で生成される。活性炭は、汚染水処理または電荷蓄電(すなわち、蓄電器中)のための電気収着(電気吸着)プロセスにおいて電極として用い得る。電気収着は、荷電した固体表面上の電流または電位の誘起吸着として一般的に定義される。荷電は、非常に低い電流(0.5〜2.0mA)または電位(0.5〜1.5V)で行なわれる。電気収着の容量は、電極として用いられる材料の電気化学的表面積および導電率に依存する。他方、活性炭は、それらが単一体構造を持つ電極の形態をとる場合にのみ、電気収着適用に用いることができる。
【0003】
活性炭を単一体構造に形成するために、層構造が先行技術において用いられている。かかる構造を生成するために、粉末状活性炭は、特定の架橋用樹脂および/またはポリマー結合剤と混合し、担持材料上に加圧される。かくして、活性炭の層が担持材料上に形成される。その樹脂が粉末状活性炭の細孔に拡散されるので、この方法によって達成された電極の表面積および機械的強度は低い。また、結合剤の使用により、それらのコストも高い。その樹脂を重合して機械的強度を高めるために、電極の導電率を低下させる化学プロセスが適用される。さらに、得られた電極を流動システムに用いる場合、それらは前記システムにおける圧力減少の問題を引き起こす。
【0004】
先行技術において、米国第6770736B1号は、粒状活性炭と5μm〜300μmの粒子サイズを有するポリエチレン粉末とを混合し、次いで、高温で焼結させることによる活性炭フィルターの生成を開示する。しかしながら、前記適用における焼結の使用により、活性炭粒間の空間は充填される。この結果、生成されたフィルター中の活性炭の表面積を減少させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、活性炭粒を含む電極の生成方法を提供することである。
【0006】
本発明のもう一つの目的は、高表面積を有する電極の生成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明により、活性炭を含む電極の生成方法が提供される。前記生成方法は、5〜90重量%の活性炭粒と5〜90重量%の熱可塑性粉末とを混合する工程;3〜10重量%の水を前記混合物に添加する工程;その水性混合物を135〜145℃に加熱する工程;前記温度にて、加熱混合物を所定時間撹拌する工程;電極を生成するために、加熱混合物を型に注入し、500〜2,000バールの圧力にて加圧する工程;生成された電極を型から取り出し、電極を冷却させる工程を含む。
【0008】
本発明による生成方法において、活性炭粒、熱可塑性物質および水の混合物が135〜145℃に加熱されるので、加熱可塑性物質は流動化されることおよび活性炭粒間の空間に充填されることが防止される。さらに、混合物中の水のために、混合物が均一になるだけではなく、均一に加熱される。このように、単一体構造として生成された電極につき、活性炭の高表面積が達成される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
活性炭は、高表面積を有し、主として吸着プロセスに用いられ、一般的に粉末/粒状形態にある材料である。電気収着適用において、活性炭は電極として用いられる。活性炭が電極として用いられる場合、それは単一体構造を有しなければならない。単一体の活性炭の従来の生成方法において、活性炭粒を配合する限りは、活性炭の表面積は低下する。活性炭の表面積の低下の結果、活性炭が電極として用いられる適用において効率が減少する。したがって、本発明により、活性炭粒を含み、かつ高表面積を有する電極の生成方法が提供される。
【0010】
本発明による生成方法は、5〜90重量%(好ましくは、85重量%)の活性炭粒と5〜90重量%(好ましくは、15重量%)の熱可塑性(すなわち、ポリエチレン)粉末とを混合する工程;3〜10重量%(好ましくは、5重量%)の水を前記混合物に添加する工程;その水性混合物を135〜145℃(好ましくは、140℃)に加熱する工程;前記温度にて、加熱混合物を所定時間撹拌する工程;電極を生成するために、加熱混合物を型に注入し、500〜2,000バール(好ましくは、800バール)の圧力にて加圧する工程;生成された電極を型から取り出し、電極を冷却させる工程を含む。
【0011】
本発明による生成方法において、前記熱可塑性物質が粉末状活性炭粒および水と混合されるので、混合物は均一になる。混合物を135〜145℃に加熱すると、混合物中の粉末状熱可塑性物質は溶けて、液体形態をとる。前記温度が145℃より低いので、液体形態の熱可塑性物質は濃厚な形態で維持される。かくして、熱可塑性物質は、活性炭粒間のすべての空間には浸透しないため、生成された電極中の活性炭表面積を低下させない。加えて、混合物中の水は、混合物が均一であって、それが前記温度にて撹拌中に蒸発して混合物を均一に加熱させることを保証する。本発明による電極生成方法において、活性炭粒が担持材料上に結合されず、焼結しないので、生成された電極中の活性炭の表面積は増加する。
【0012】
本発明の例示的な具体例において、前記活性炭粒のサイズは0.5〜1.5mmの範囲にある。もう一つの例示的な具体例では、前記熱可塑性粉末のサイズは、0.1〜0.5mmの範囲にある。前記サイズは、生成される電極の物理的性質(すなわち、導電率およびヨウ素指標値)に基づいて変化する。本発明の好ましい具体例において、前記生成方法は、活性炭粒と熱可塑性粉末との混合工程の前に、活性炭粒および熱可塑性粉末を所望の寸法とする工程を含む。活性炭粒および熱可塑性粉末を所望の寸法とすることは、好ましくはふるいを用いることにより行なわれる。ある例示的な具体例において、活性炭粒はふるいを通過し、0.5〜1mmおよび1〜1.5mmの2群に分けられる。同様に、前記熱可塑性粉末はふるいを通過し、0.1〜0.315mmおよび0.315〜0.5mmの2群に分けられる。生成される電極の物理的性質に基づいて、相互に混合される活性炭粒のサイズおよび熱可塑性粉末のサイズは変化し得る。いくつかの例示的な具体例において、0.5〜1mmの活性炭粒および0.1〜0.315mmの熱可塑性粉末;0.5〜1mmの活性炭粒および0.315〜0.5mmの熱可塑性粉末;1〜1.5mmの活性炭粒および0.1〜0.315mmの熱可塑性粉末;1〜1.5mmの活性炭粒および0.315〜0.5mmの熱可塑性粉末を一緒に混合し得る。このように、得られた電極は、所望の物理的性質を有する。
【0013】
本発明による電極生成方法において、前記の型は生成される電極の形状およびサイズに基づいて選択し得る。いくつかの例示的な具体例において、前記の型は円柱、楕円またはプリズム形であり得る。
【0014】
本発明による生成方法において、活性炭粒、熱可塑性物質および水の混合物が135〜145℃に加熱されるので、熱可塑性物質は、流動化されることおよび活性炭粒間の空間に充填されることが防止される。さらに、混合物中の水のために、混合物は均一になるだけではなく、均一に加熱される。このように、単一体構造として生成された電極につき、活性炭の高表面積が達成される。
【要約】
本発明により、活性炭を含む電極の生成方法が提供される。前記生成方法は、5〜90重量%の活性炭粒と5〜90重量%の熱可塑性粉末とを混合する工程;3〜10重量%の水を前記混合物に添加する工程;その水性混合物を135〜145℃に加熱する工程;前記温度にて、加熱混合物を所定時間撹拌する工程;電極を生成するために、加熱混合物を型に注入し、500〜2,000バールの圧力にて加圧する工程;生成された電極を型から取り出し、電極を冷却させる工程を含む。