(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ユーザ指示に基づいて画像データセットに対して施される3次元画像処理に対応するバーチャルシリーズからの派生画像を表示するためのコンピュータシステムであって、前記バーチャルシリーズが画像フレームシーケンスを定義する、コンピュータシステムにおいて、
前記バーチャルシリーズの仕様をユーザ指示に基づいて決定するように動作可能な第1のアプリケーションコンポーネントであって、各バーチャルシリーズの仕様が、派生画像シリーズのフレーム間で値が変わる可変パラメータと、前記派生画像シリーズのフレーム間で値が固定された複数の固定パラメータとを含む、第1のアプリケーションコンポーネントと、
ユーザ指示に従って、前記バーチャルシリーズから表示する画像を選択するように動作可能な第2のアプリケーションコンポーネントと、
前記バーチャルシリーズの仕様に基づいて派生画像を発生するように動作可能であり、前記可変パラメータの値を量子化することを含む、第3のアプリケーションコンポーネントと、
前記バーチャルシリーズの仕様から発生された前記派生画像を受信および表示するように構成された表示装置と、を備え、
前記第2のアプリケーションコンポーネントは、前記可変パラメータを、ユーザ指示と直接対応するフレームとは異なるフレームを含むように設定し、前記固定パラメータをユーザ指示と直接対応するように設定すること、
を特徴とするコンピュータシステム。
前記アプリケーションコンポーネントは、キャッシングプロトコルに従って前記派生画像シリーズを格納するためのキャッシュへのアクセスを有する、請求項2に記載のコンピュータシステム。
前記アプリケーションコンポーネントは、インタラクション式フレームバージョンおよび最終フレームバージョンとして前記サーバから前記クライアントに派生画像シリーズのフレームを送信するように構成され、
前記インタラクション式フレームバージョンの分解能は、前記最終フレームバージョンよりも低く、前記インタラクション式フレームバージョンが前記最終フレームバージョンの前に送信され、
前記最終フレームバージョンは、一旦受信されると、前記クライアントユーザインターフェース上で前記インタラクション式フレームバージョンの代わりに使用される、
請求項4に記載のコンピュータシステム。
前記アプリケーションコンポーネントは、サーバキャッシュおよびクライアントキャッシュへのアクセスを有し、前記サーバキャッシュおよび前記クライアントキャッシュを含むキャッシングプロトコルに従って、前記サーバから前記クライアントへの派生画像シリーズの送信を管理する、請求項4に記載のコンピュータシステム。
前記アプリケーションコンポーネントは、前記派生画像シリーズを有するユーザ指示から関連作業プロダクトをファイル格納装置に保存するように動作可能な機能を有する、請求項2から11のいずれかに記載のコンピュータシステム。
【背景技術】
【0002】
現行の病院間ネットワークは、一般に、医用画像保管通信システム(PACS)と呼ばれている。PACSは、単一の中央アーカイブ内に編成されたデジタルフォーマットで様々なタイプの診断画像を示すボリュームデータ用の記憶装置として使用される。医療用途で現在用いられている最も一般的な画像データフォーマットは、DICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)フォーマットである。医療分野では、2次元および3次元の画像データセットは、様々な技法およびタイプの収集システムによって収集されている。
【0003】
図1は、医療用撮像プロダクトチェーンの主な要素の概略図面である。まず、コンピュータ支援の断層撮影法(CT)、磁気共鳴(MR)、デジタルX線撮影法(DR)、コンピュータX線撮影法(CR)、陽電子断層撮影法(PET)、超音波、または他の撮像方法を医用画像診断装置(モダリティ)を用いて実行することによって患者を撮像する。モダリティは、2つのタイプのデータを発生する。第1のタイプのデータ、つまりラベル付きオリジナル画像(原画像)は、モダリティによって発生された画像である。オリジナル画像は、人間が、典型的には放射線専門医または他の医療専門家が直接見ることを意図されている。オリジナル画像としては、例えば、X線画像、CT断面画像、MR断面画像、超音波扇形画像などがある。第2のタイプのデータ、つまりラベル付きオリジナルデータは、画像の形態では発生されないデータであるか、または非常に多くの画像から構成されているデータであり、さらに、人間が直接見ることが意図されていないデータであるか、または集合体のデータである。オリジナルデータは、単純に、ファイル内の画像の集合体でもよく、画像のドメインを超える3次元または多次元のデータ表現でもよい。
【0004】
モダリティによって発生された折り返し画像やオリジナルデータは、コンピュータワークステーションに転送される。ワークステーションでは、オリジナル画像がローカルにキャッシュされ、すなわち、ワークステーションのメモリキャッシュに保有される。ワークステーションは、デジタル撮像ソフトウェアアプリケーションのホストとして働き、そのソフトウェアアプリケーションを使用して、医療撮像専門家に対して高分解能モニタまたはモニタを集めたものなどの表示システム上にオリジナル画像を表示する。デジタル撮像アプリケーションは、また、オリジナル画像の一部を直接前に、例えば、同じコンピュータもしくはコンピュータネットワーク上の他のアプリケーション、またはネットワークを越えて他のコンピュータシステムに渡すことができる。
【0005】
デジタル撮像アプリケーションは、オリジナル画像やオリジナルデータの一部の組み合わせを処理して派生画像を発生することができる。派生画像は、オリジナル画像とは異なる画像であり、放射線専門医などの医療撮像専門家によって直接見られることが意図されている画像である。派生画像の例には、例えば、以下のタイプがある。
【0006】
1.オリジナル画像とは異なる面またはX線コンピュータ断層撮影装置または磁気共鳴診断装置では原理的に発生できない面に関するCT断面画像またはMR断面画像。
【0007】
2.解剖学的構造をオリジナル画像よりも厚い断面(ゾーン)を表現しオリジナル画像やオリジナルデータの再サンプリングおよび加算から発生されるCT断面画像またはMR断面画像。
【0008】
3.光学的性質をオリジナル画像やオリジナルデータのコンテンツに割り当て、次いで、データを通したライティングおよび投影の概略的なシミュレーション(ボリュームレンダリングとして知られる技法)を実行することによって、CT、MR、または超音波のデータから派生したモノクロまたはカラーの投影画像。
【0009】
4.オリジナル画像またはオリジナルデータによって定義された空間のデータから湾曲面上でサンプリングした断面画像。
【0010】
5.上記の技法および/または他の技法の組み合わせを用いて派生した画像。
【0011】
オリジナル画像やオリジナルデータが膨大なデータ量であること、および撮像アプリケーションが派生画像を適時に発生するために処理能力が高い必要がある。
【0012】
派生画像は、コンピュータワークステーションに転送される。当該ワークステーションでは、派生画像がローカルにキャッシュされる。派生画像の処理の改善のためのキャッシングとしては、例えば、以下のようなものがある。
【0013】
リアクティブキャッシング(reactive caching):これは最も単純な形態のキャッシングである。ユーザが派生画像シリーズを要求したときに、そのシリーズを構成する画像がクライアント装置に送られローカルキャッシュに格納される。一旦キャッシュに格納されると、画像は即時的に利用可能になる。
【0014】
静的キャッシング:初期のシリーズの派生画像がキャッシュされ、そのセットは、ソフトウェアまたは人間の技術者が予測するユーザのニーズである。これは、ユーザがそのセットを参照するだけのときは首尾よく働くが、ユーザが新しいシリーズの派生画像を要求するときは効果的でない。
【0015】
予測キャッシング:ユーザは、派生画像の発生を自由に制御することができ、現在および最近の画像発生パラメータと、今後の画像発生パラメータの適当な値とを試験することによって、ユーザが次に行うことを予測しようと試みられる。例えば、ユーザが断面を左から右の方向に1秒当たり(または1回当たり)35mm移動しようと思われる場合、その面は1秒間に(または次の1回のうちに)3.5mm右に進むと予測され、従って、関連の派生画像は、前もって送信されローカルにキャッシュされる。実施の際には、これらのシステムにより、首尾よく予測できるのは非常にまれであり、現在のパラメータのすぐ隣にあるパラメータの変化が予測されるだけである。
【0016】
ヒストリカルキャッシング(historical caching):ヒストリカルキャッシングは、リアクティブキャッシングの効果的な形態である。システムは、単純に、ユーザが最近見た派生画像を全てキャッシュする。そのため、再度必要になった場合にすぐに利用可能である。これらのシステムは、明らかに、キャッシュ内で利用可能になる前に、ユーザに1回のマニュアル操作で1度に全ての画像をスキャンするように要求する。しかし、ヒストリカルキャッシングの良好なインプリメンテーションは、静的キャッシングまたは予測キャッシングよりもユーザにとって満足度が高いことが証明されている。
【0017】
特許文献1及び2には、例示的なPACSアーカイブからのファイル検索法およびキャッシング法が記載されている。
【0018】
次いで、放射線専門医、心臓病専門医、外科医、または他の専門家が、派生画像を表示システム上で見ることができる。オリジナル画像および派生画像を表示する目的は、診断、疾患の評価、治療計画、治療の評価、および他のこうしたタスクなど、患者に関する臨床的な判断を行うことである。
【0019】
派生画像は様々な画像タイプに分類される。例えば、医療撮像プロダクトの典型的な画像タイプには、平面MPR画像やCPR(Curved MPR)画像、3Dボリュームレンダリング画像、仮想内視鏡画像などがある。
【0020】
オリジナル画像と派生画像との組み合わせは、表示システム上に共に表示されることが多い。例えば、ワークステーションが2個、3個、もしくは4個の表示装置を有する場合、異なる表示装置上に別々に表示されたり、同じ表示装置の異なる部分に、例えば2×2、2×3、もしくは3×2の配列で画像を重ねずに表示されたりする。同じ組または関連の組の画像データから得られる複数の相補的な画像の特定の構成は、ハンギングプロトコル(hanging protocol)と呼ばれる。
【0021】
デジタル撮像が医療分野で最初に開発されたときは、プロダクトチェーンはオリジナル画像しか提供しなかった。モダリティは、人間が読み取り可能な画像を扱い易い(少ない)量で発生するように設計され、医療専門家はそれらの画像を直接読み取るように訓練されていた。近年では、モダリティは技術的に改良されており、そのため、それらのモダリティは依然として人間が読み取り可能な画像を発生する装置として名目上見られているが、人間の専門家が直接解釈可能な能力を上回る大量の画像を発生することができる。従って、プロダクトチェーンは、モダリティにより発生されたオリジナル画像を集約、縮小、あるいは、要約する手段として派生画像を提供することが期待されている。
【0022】
派生画像セットの一般的な例には、スラブ多断面再構成(MPR)を用いてボリュームデータセットから発生された画像のセットがある。この技法では、MPRデータの発生は、ビュー空間の座標をとり、その座標をボリューム空間に変換し、何らかの形態の補間を用いて離散的ビュー空間座標に関して新しいMPRデータ値を発生することでそのボリュームデータを再サンプリングすることによって行われる。z値が固定のときの複数の{x,y}座標についてこれを実行することによってMPR断面が形成される。これを複数のz値について繰り返すと、複数のMPR断面が決定され、これらの断面を投影してMPRスラブを形成することができる。従って、MPRスラブは、画像面に平行に位置合わせされZ軸に沿って異なる位置に配列された1組のMPR断面を有する。
【0023】
スラブMPRにおいて、スラブは、ユーザによって少しずつインクリメントして視軸に沿って徐々に「移動させる」ことができる。そのため、ユーザは、ボリュームデータから投影された連続する画像またはフレームを見ることができる。各フレームは、前のスラブとはインクリメントして異なる位置を占めるスラブを通る投影に関するものである。使用の際には、放射線専門医はスラブを前後にインタラクション形式で「スクロール」する。例えば、人間の頭部のCTスキャンでは、放射線専門医は、頭部を上から下にまたは後ろから前に横断するのに数秒かかることがあり、その横断には数百のフレームが含まれる。こうした画像フレームを発生する典型的な技法は、画像内の各画素に関してボリュームデータセットを貫通する仮想光線を放出し、そのボリュームデータセットを各仮想光線それぞれに沿って幾つかの不連続の点でサンプリングすることである。次いで、最大値投影(MIP)を用いる場合、最大ボクセル値、またはスラブ内の仮想光線に沿った補間値を選択する。スラブ内の選択した最大サンプル値または補間値を、各仮想光線に関連する画素データになるように取る。
【0024】
図2Aおよび
図2Bは、派生MPR画像シーケンスの例を示す。
図2Aは、平行多断面再構成(MPR)を示す。
図2Bは、曲線に対して固定され局部的に垂直なMPR(直交断面MPR)を示す。
【0025】
図2Aにおいて、断面の2つの位置座標と3つの配向角とが固定されている。断面は、例えば、マウスのスクロールホイールでパラメータtを変更することによって、その法線ベクトルに沿って移動する。典型的には、データセットに基づくパラメータtに関する最小値と最大値とがある。位置および配向に様々な選択肢があると、様々な平行MPRシーケンスが発生する。
【0026】
図2Bにおいて、曲線は、患者の体を通して画定され、通常血管などの解剖学的構造に対応する。断面は、当該断面上の所与の点が当該曲線に沿って移動するようにパラメータtを変えることによって移動し、他の自由度は、当該断面が境界点で曲線に直交するように制限される。パラメータtに関する境界値は、例えば、血管の特定の長さ部分に限定される。様々な曲線により、様々な直交断面MPRシーケンスが発生する。
【0027】
図2Cは、回転式のボリュームレンダリング投影(3D動画)または回転式の最大値投影(MIP動画)の他の例を示す。これらは、ある軸(例えば、患者の頭部から足への軸)を選択し、回転軸を見るように配置された仮想的なカメラで投影画像を発生しながら患者を事実上回転させることによってモデル化される。可変パラメータtは角度なので、最小限界と最大限界とを有しないが、その代わりに循環的にループする。患者の軸およびその軸に対するカメラの勾配に様々な選択肢があると、様々な回転シーケンスが発生される。
【0028】
医療撮像で有用な派生画像シーケンスの他の例としては、例えば、以下のものが挙げられる。
【0029】
・軸を中心に断面を回転させることによって発生されるラジアルMPRシーケンス。
・その面を画定する押し出しベクトルを回転させることによって発生されるCPRシーケンス。
・曲線に沿って移動する仮想的カメラによって発生される仮想内視鏡画像。
・断面上のある点がある曲線に境界を接しており、当該断面が境界点において当該曲線の接線方向に制約される、局所的MPRシーケンス。
・曲線に平行に移動し曲線上のある点を見る仮想的カメラによってレンダリングした局所的3DまたはMIPシーケンス。
【0030】
図3は、
図2Aおよび
図2BのMPRに適用可能な派生MPR画像のシーケンスを発生するための標準的なワークフローを示す。
【0031】
ステップS1において放射線専門医は、分析のためのMPRシリーズの所有を望む。
【0032】
ステップS2において放射線専門医は、患者に関するボリュームデータセットから患者に関する所望のMPRシリーズを準備するように技術者に要求する。
【0033】
ステップS3において技術者は、患者に関するデータを3D可視化アプリケーションにロードして、3Dワークステーション、すなわち、3D可視化アプリケーションを実行するコンピュータ上でボリュームデータセットを処理して、放射線専門医の仕様に合わせたMPRシリーズを発生する。MPRシリーズは、複数の派生画像の組である。
【0034】
ステップS4において技術者は、MPRシリーズをネットワークを介してPACSサーバに送信する。放射線専門医に向けたメッセージをPACSアーカイブに格納されたMPRシリーズに放射線専門医に向けたメッセージを送信することによって、MPRシリーズが放射線専門医に送信される。
【0035】
ステップS5において放射線専門医は、PACSサーバに格納されたMPRシリーズを、自身のローカルマシン、すなわち、LANまたはウェブクライアントコンピュータを介して開く。
【0036】
ステップS6において放射線専門医は、MPRシリーズがクライアントでキャッシュされることを待機する。すなわち、MPRシリーズがLANまたはインターネットを介してPACSサーバからPACSクライアントへ転送されることを待機する。
【0037】
ステップS7において放射線専門医は、読影を行うためにパラメータtを変更することでインタラクション形式で上下にスクロールすることによって、当該MPRシリーズを読影することができる。当然、MPRシリーズは、クライアント装置上で信頼できる診断を可能にするのに十分な画質を有している。
【0038】
ステップS8において放射線専門医には、他のMPRシリーズを見直すという選択肢が与えられる。放射線専門医が見直すと判断した場合(ステップS8:NO)、ステップS1からS8までのワークフローが繰り返される。放射線専門医が見直さないと判断した場合、すなわち、画像診断が完了した場合(ステップS8:YES)、ワークフローは、ステップS9に進む。
【0039】
ステップS9においてレポートが発行される。レポートの発行により、
図3のワークフローが終了する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0041】
目的は、コンピュータシステム、医用画像診断装置、画像表示方法、及び画像表示プログラムにおいて、ネットワーク帯域が小さい環境下における、画像転送に関するネットワーク負荷の分散及び画像表示操作に関するユーザの操作感の向上を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0042】
本実施形態に係るコンピュータシステムは、ネットワークを介して接続されたクライアント装置とサーバ装置とを有するコンピュータシステムであって、前記クライアント装置に設けられ、ユーザが2次元の画像の生成を指示するためのパラメータの入力を受け付ける入力部と、前記サーバ装置に設けられ、処理対象の3次元のオリジナル画像に3次元画像処理を施すことにより、前記ユーザが入力したパラメータに基づいて予測された複数の2次元の派生画像を発生する画像発生部と、前記サーバ装置に設けられ、前記発生された複数の2次元の派生画像を前記クライアント装置に送信する送信部と、前記クライアント装置に設けられ、前記送信された複数の2次元の派生画像をキャッシュする記憶部と、前記キャッシュされた複数の2次元の派生画像を、ユーザ指示に応じた前記パラメータの変更操作に伴って順番に読み出して表示する表示部と、を具備
し、前記パラメータは、前記複数の2次元の派生画像間で値が変わる可変パラメータと、前記複数の2次元の派生画像間で値が固定された複数の固定パラメータとを含み、前記画像発生部は、前記ユーザが入力した値以外の値の可変パラメータと、前記ユーザが入力した値と同一値の固定パラメータとに対応する前記予測された複数の2次元の派生画像を発生し、前記表示部は、前記キャッシュされた複数の2次元の派生画像を、ユーザ指示に応じた前記可変パラメータの値の変更操作に伴って順番に読み出して表示する。
【0043】
本実施形態は、オリジナル画像および派生画像ならびにオリジナル画像シリーズおよび派生画像シリーズをユーザインターフェース上に表示するためのコンピュータシステムであって、各派生画像シリーズが画像フレームシーケンスを備え、このコンピュータシステムがアプリケーションコンポーネントを備え、そのアプリケーションコンポーネントが、オリジナル画像または派生画像が表示された状態でユーザ指示に基づいて画像データセットから派生画像シリーズを生成するための仕様を決定するように動作可能であり、各派生画像シリーズの仕様が、複数の可視化パラメータに関する値を提供し、それらの複数の可視化パラメータが、派生画像シリーズ内のフレーム間で値が変わるパラメータと、派生画像シリーズのフレーム間で値が固定された複数のパラメータとを含み、さらに、変化するパラメータの値を量子化することを含む、医用画像データセットを派生画像シリーズの仕様に従って操作することによって派生画像シリーズを生成するように動作可能であり、このコンピュータシステムがさらに、派生画像シリーズ仕様から生成された派生画像シリーズを受信および表示するように構成された表示装置を備える、コンピュータシステムを提供する。
【0044】
ユーザ指示に応答する本実施形態では、アプリケーションは、フレーム間で異なるパラメータ「t」を選択し、他のパラメータを一定値に保持しながらパラメータ「t」を量子化し、そのため、ストリーミングおよびキャッシングを効果的にすることができる。したがって、アプリケーションのユーザ指示部分、およびその背後の数学モデルは、パラメータ「t」を選択および量子化するように構成される。例えば、ユーザインターフェースの指示「go to a particular 3D point(特定の3D点に行く)」は、他のパラメータとは異なる「t」の変更に分解する必要がある場合があり、次いで、量子化したパラメータ「t」の連続的変化と離散的変化との差を吸収する必要がある。この手法は、ユーザ指示に応答する従来技術の画像の動的な生成とは異なり、可視化パラメータのユーザの調節は、複数の可視化パラメータの(離散的でなく)連続的な調節なので、効果的なキャッシングは存在できず、そのため、通常、キャッシュされた画像は、各ユーザ指示の後は利用可能ではなくなる。この手法はまた、インターフェース制御のユーザの調節とのインタラクションなしに、格納された画像を流しキャッシュする従来技術の手法とは異なる。制約のないインタラクションから離れ、1つの「スクロール」変数または他の量子化されるパラメータを定義する。このPACS様の制約された設計を課すことによるユーザビリティの利益は、大きいが、場合によっては評価しにくい。
【0045】
派生画像シリーズの仕様をそこから得ることができるユーザ指示は、オリジナル画像と、派生画像と、オリジナル画像シリーズと、派生画像シリーズとを得るのに使用される同じ医用画像データセットまたは関連の医用画像データセットの、前に生成された派生画像シリーズとのうちの少なくとも1つを有するユーザ指示とすることができる。その医用画像データセットは、同じモダリティまたは別のモダリティから供給されるものでも良いし、同じ患者または異なる患者に関するものでもよい。
【0046】
アプリケーションコンポーネントは、第1の部分と第2の部分に分割することができ、例えば、第1の部分はPACS可視化アプリケーション内にあり、第2の部分は3D可視化アプリケーション内にある。あるいは、アプリケーションコンポーネントは、同じ可視化アプリケーションの2つの構成要素に分割することができる。さらに、アプリケーションコンポーネントは、単一のサーバなど、単一のハードウェアプラットフォーム上で走行することもでき、別個のサーバまたは別個のコンピュータなど、異なるハードウェア上で走行する部分に分割することもできる。アプリケーションコンポーネント、またはその各部分は、複数のコンピュータ、例えば、サーバとクライアントが通信経路で接続された2つのコンピュータ上で走行することもできる。
【0047】
可変パラメータを画像タイプ分類によって定義することができる。その画像タイプ分類は、ユーザ指示から得る、例えば、直交断面MPRなどのセッションを開始するときにドロップダウンから選択することができるか、または、医用画像データセットのファイル属性、例えば、DICOMヘッダ情報からなど何らかの他の手法で得ることができる。
【0048】
可変パラメータの値を、開始値からフレームによってインクリメントを加えることによって、量子化、換言すれば、離散化することができる。インクリメント変化は、ユーザ指示によって設定されたインクリメント値によるものとすることができる。概して、可変パラメータは、可変パラメータが医用画像データセットに記録された程度を考慮して任意の手法でそのシリーズ内で設定および変更され、その医用画像データセットから、その仕様により派生画像シリーズを作り出すことが意図されている。例えば、可変パラメータは、医用画像データセット内で準連続的である、すなわち、生成される派生画像シリーズに関する仕様で定義されたインクリメントと比較すると、非常に小さいインクリメントで記録されてよい。概して、各画像フレームの面も、医用画像データセット内にデータが格納される程度と任意に比較され、例えば、派生シリーズ各画像フレームの面は、CTボリュームデータセットの断面と位置合わせしなくてよい。一部の画像タイプに関しては、可変パラメータは、例えば平行MPRの場合に、開始値から終了値まで変わる。他の画像タイプに関しては、可変パラメータは、例えば軸を中心に回転する場合に、開始値から変化する。場合によっては、可変パラメータは、例えば曲線が医用画像データセットに明確に記録されていないCPR投影の場合は医用画像データセットに記録された直接的な類似物は有しないが、その代わりに、アルゴリズムまたは人間の操作者によって事後に作られる。
【0049】
アプリケーションコンポーネントは、有利なことにキャッシングプロトコルに従って派生画像シリーズを格納するために、キャッシュへのアクセスを有することができる。
【0050】
アプリケーションコンポーネントは、クライアントとサーバとの間に分配することができ、クライアントは、連絡リンクを介してサーバに接続可能であり、画像シリーズを表示するように動作可能な表示装置を備え、サーバは、表示のために画像シリーズをクライアントに送信するように動作可能である。クライアントは、シンクライアントとすることができ、処理能力とドメインロジックとが低下した「リッチクライアント」または最小限の処理能力とドメインロジックとを有する「真のシンクライアント」を含む。
【0051】
アプリケーションコンポーネントを、インタラクション式フレームバージョンおよび最終フレームバージョンとして派生画像シリーズをサーバからクライアントに送信するように構成することができ、インタラクション式フレームバージョンは、最終フレームバージョンよりも分解能が低く、そのため、インタラクション式フレームバージョンは最終フレームバージョンの前に送信され、最終フレームバージョンは、一旦受信されるとクライアントユーザインターフェース上でインタラクション式フレームバージョンに置き換えられる。
【0052】
アプリケーションコンポーネントは、一部の実施形態では、サーバキャッシュおよびクライアントキャッシュへのアクセスを有し、サーバキャッシュとクライアントキャッシュとを含むキャッシングプロトコルに従ってサーバからクライアントに派生画像シリーズの送信を行う。キャッシングプロトコルを、インタラクション式フレームバージョンがクライアントキャッシュでキャッシュされず、最終フレームバージョンがクライアントキャッシュでキャッシュされるように構成することができる。キャッシングプロトコルを、サーバがクライアントキャッシュのコンテンツの知識を維持するように構成することができる。その知識を、画像シリーズレベルまたはフレームレベルのいずれかあるいはその両方で維持することができる。
【0053】
アプリケーションコンポーネントは、好ましくは、レポーティング機能を含み、そのレポーティング機能は、派生画像シリーズと共にユーザ指示から関連作業プロダクトをファイル格納装置に保存するように動作可能である。関連作業プロダクトには、ユーザの注釈、測定値、派生画像シリーズの一部または全て、および派生画像シリーズを発生するのに用いられる仕様が含まれてよい。
【0054】
アプリケーションコンポーネントは、画像シリーズを、ハンギングプロトコルに従って互いに並べて時間系列でかつ/または同時に表示するように動作可能とすることができる。画像シリーズが表示される手法は、少なくとも部分的に画像タイプによって定義することができる。適切な派生画像シリーズの一例は、画像データセットの多断面再構成(MPR)から得られる連続の2次オリジナル画像フレームである。MPRは、複数の関連の画像タイプ、例えば、平行MPRおよびCPRのための別々の画像タイプを有することができる。
【0055】
いくつかの実施形態は、ボリュームデータから医用画像を可視化するためのコンピュータシステムを提供し、・ユーザは、ちょうどシリーズを定義するために慣習的なワークステーションに対して行うように適切と思う任意の手法で画像を操作するために、1セットの制御およびユーザインターフェース要素を自由に使用することができ、そのシリーズの画像を計算する必要がない過程のこのステージでは、重要な点はシリーズ内の各画像ごとのパラメータのセットがこのステージで定義されることであり、・ユーザは、異なるセットの制御および/またはユーザインターフェース要素を使用して、制御により既に計算されたシリーズから画像がリクエストされる場合は、キャッシュミスの可能性がないようにして、そのシリーズを調査するためにちょうど定義したバーチャルシリーズ内で画像をスクロールすることができ、・シリーズからの画像は、シリーズ全体を前もって生成するより慣習的な手法とは異なり、ユーザの需要に従って生成される。それにより、2回見られた画像を再度レンダリングする必要はなく、クライアント−サーバの場合はクライアントに再度送信する必要がないので、キャッシング性能を良好に保持しながら、第1の画像を迅速に送出することが可能になり、・そのシリーズからの画像を、ユーザが次に見たい可能性のある画像を判定しようとする何らかの予測アルゴリズムに従って、「プレレンダリング」することによってユーザの需要の前に生成することもできる。
【0056】
この手法は、ユーザによってレンダリングされかつ/または明確にリクエストされる前にシリーズを定義するので、「バーチャルシリーズ」と呼ぶことができる。実際に、「バーチャルシリーズ」は、バーチャルシリーズを調査する前にユーザがユーザインターフェースを通して非量子化パラメータを変更する場合は、決して計算することができない。バーチャルシリーズ手法を実装することは、多くの場合に撮像パラメータを、シリーズの定義に影響を及ぼすある構成要素と、画像選択に影響を及ぼす別の構成要素とに分割することが要求されるので、重要である。
【0057】
本実施形態においてけるバーチャルシリーズのコンセプトは、1組の動作がバーチャルシリーズを定義し、別の動作が、バーチャルシリーズの仕様からどの派生画像を計算したり表示したりすべきかを選択することによって、バーチャルシリーズを調査することである。
【0058】
本実施形態においてバーチャルシリーズの派生画像は、派生画像を見るためにユーザの要求に従ってインタラクション形式で生成され、次いで、後の使用のためにキャッシュされる。
【0059】
本実施形態においてバーチャルシリーズの派生画像は、予測的に生成され、ユーザの要求の前にキャッシュされる。
【0060】
本実施形態において、あるセットのユーザインターフェース動作によりユーザが派生画像の仕様を自由に定義することができ、派生画像仕様が、当該派生画像がメンバであるバーチャルシリーズを定義するものとして解釈され、一方で、別のセットのユーザインターフェース動作により、ユーザがバーチャルシリーズの仕様からどの派生画像を計算したり表示したりすべきかを選択することが可能になる。
【0061】
本実施形態の特徴の一つは、派生画像シリーズの仕様を生成するためのユーザ指示が、単一の派生画像の仕様を生成するためのユーザ指示とは区別不能なことである。
【0062】
本実施形態の他の特徴は、ユーザ指示が、可視画像の好ましい操作を与えるように構成され、インタラクションが、派生画像シリーズ内のフレーム間で変わる可視化パラメータの変化に対応することである。
【0063】
本実施形態の他の特徴は、ユーザ指示が、派生画像シーケンスのフレーム間で値が固定された複数の固定パラメータを変える操作を阻止または回避するように構成されることである。
【0064】
本実施形態の他の特徴は、ユーザ指示が、派生画像シーケンスのフレーム間で値が変わる可変パラメータを変える動作を、派生画像シーケンスのフレーム間で値が固定された複数の固定パラメータを変える動作の代わりに用いるように構成され、例えば、指定の点に正確に全てのMPR面を再度配置するのではなく、最も近いMPR面にスクロールするように「三角測量」指示を実装できることである。
【0065】
本実施形態の他の特徴は、ユーザ指示が、自動的にかつユーザの動作を必要とせずに、派生画像シーケンスのフレーム間で値が固定されたパラメータの変化に応答して派生画像シーケンスの生成を開始または終了するように構成されることである。
【0066】
クライアント構成要素を、ユーザがユーザ指示を実行して派生画像シーケンスのフレーム間で値が変わる可変パラメータを変更することを可能にし、画像を再度生成または再度送信することなくキャッシュから格納された派生画像シーケンスのフレームを表示するように動作可能とすることができる。
【0067】
本実施形態の他の特徴は、派生画像シーケンスのフレーム間で値が固定された固定パラメータのベクトルの現在の値が、パラメータの異なるベクトルに関連する画像に対するキャッシングスペースの割り当てに影響を及ぼすように使用されることである。
【0068】
本実施形態の他の特徴は、キャッシュが、派生画像シリーズのフレーム間で値が変わる量子化パラメータの別個の値の全てまたはサブセットに関連する、派生画像シーケンスのフレームの全てまたはサブセットを格納するように動作可能であることである。
【0069】
本実施形態の他の特徴は、アプリケーションコンポーネントが、派生画像シリーズのフレームをサーバからクライアントに送信するように構成され、こうしたフレームが、現在表示されている値とは異なる、派生画像シーケンスのフレーム間で変わる量子化パラメータ値に関連することである。
【0070】
本実施形態の他の特徴は、量子化パラメータ値が、現在表示されている値、例えばi+n、i−nに体系的に関連することである。
【発明を実施するための形態】
【0072】
以下、図面を参照しながら本実施形態に係わるコンピュータシステム、医用画像診断装置、画像表示方法、及び画像表示プログラムを説明する。
【0073】
まず、
図1および
図2を参照しながら上記で示した一般的な従来技術システムの説明が、本実施形態の詳細な説明の一部も形成することを留意されたい。
【0074】
次に、
図4を参照しながら第1実施形態を説明する。
図4は、第1実施形態を実装する可視化アプリケーションのホストとして働くPACSシステムに関するクライアント−サーバアーキテクチャの概略図である。他の実施形態は、クライアント−サーバではなくワークステーションに実装され、従って、この実施形態で説明するキャッシングのクライアント−サーバの特有の態様は、本発明を限定するものではない。他の実施形態は、シック−クライアント(thick - client)システム上に実装される。PACSアーカイブ20は、PACSサーバクラスタ18に接続されている。ウェブクライアントコンピュータ21およびLANクライアントコンピュータ16は、それぞれインターネットおよび病院間ネットワーク接続を介してPACSサーバクラスタ18に接続される。第1の実施形態の以下の説明では、画像を発生する可視化アプリケーションがサーバ上にあると仮定しているが、可視化アプリケーションの位置が他の実施形態における位置とは異なることがある。
【0075】
概略的に言うと、共通の状況は、可視化アプリケーションを走行させるサーバが、画像をクライアントに送信できるよりもずっと速くそれらの画像を発生(すなわち、レンダリング)できることである。従って、サーバは、バッファリングする。バッファリングは、例えば、キャッシュすることにより、レンダリングされた画像を格納することを意味する。その後、サーバは、キャッシュされた画像を、クライアントのキャッシュに送信する必要がある。従って、画像を発生する可視化アプリケーションに収容されたロジックは、キャッシングプロトコルのインプリメンテーションを含む。キャッシングプロトコルは、例えば、キャッシュをチェックして、画像が既にキャッシュされているか否かを確かめるために使用される。画像がキャッシュされたか否かをチェックするために、サーバとクライアントとの間でデータを往復することを回避することが望ましい。従って、サーバは、クライアントに保有されたキャッシュ(以下、クライアントキャッシュと呼ぶ)の論理ミラー(以下、ミラーキャッシュと呼ぶ)を保持する。サーバがミラーキャッシュを保持することにより、クライアントキャッシュの内容がサーバ側に維持される。従って、サーバは、どの画像がクライアントにおいてキャッシュされたかを分かっており、クライアントに必要か否かを尋ねる必要なしに、フレーム毎に必要に応じて画素データまたは画像フレーム識別子(画像ID)のいずれかをクライアントに送信することができる。
【0076】
次に、クライアントへの画像シリーズの転送を説明する。
【0077】
図5Aに、サーバ側のミラーキャッシュが全ての画素データを有しクライアントキャッシュが空であるときのデータ転送開始時の初期の状況を示す。そのとき、ミラーキャッシュは、クライアントにおいて全てのフレームを表示するために、クライアントに画素データを送信する。
【0078】
図5Bに、しばらく後、例えば、1分後の、中間の状態に到達したときの状況を示す。中間の状態においては、画素データの全てとは限らないが一部はクライアントキャッシュ内にある。この中間の状態では、サーバにおけるミラーキャッシュは、要求された画像がクライアントにおいて既にキャッシュされている場合、当該画像の画像IDのみを当該クライアントに送信する。また、要求された画像がクライアントにおいてキャッシュされていない場合、ミラーキャッシュは、当該画像の画素データを送信する。
【0079】
図5Cに、さらに時間が経った後、例えば、数分後に、クライアントキャッシュが全ての画素データを有するときの最終状況を示す。サーバのミラーキャッシュは、画像発生に使用される全てのパラメータ値のクライアントキャッシュおよび/またはダイジェストに格納されたフレームの画像IDの記録を保持する。クライアントに要求されるときに、ミラーキャッシュは、画像IDのみをクライアントに送信し、クライアントが当該キャッシュ内でフレームを特定することが可能になる。
【0080】
派生画像シリーズは、一般に、1組のパラメータ変数と定義することができ、そのパラメータ変数の値は、単一パラメータと結合した全てのシリーズメンバに共通であり、その単一パラメータの値は、シリーズメンバによって、すなわち、所与のシリーズ内の画像によって異なる。ここで採用する手法は、任意の所与の画像タイプを定義する多くの画像タイプから、画像タイプごとに1つのパラメータまたは自由度を識別することに基づいている。識別された1パラメータは、従来、1ボリュームから単一の画像をレンダリングすることに関連するパラメータでなくてもよいことが留意されよう。例えば、平行MPRシリーズを定義するために、シリーズの軸と起点と画像間の間隔とを画定する。次に、「バーチャルシリーズ」のコンセプト無しに、ユーザ指定の視点を当該軸に投影することによってどの画像を表示するかを決定して、相対的にそのシリーズから現在目に見える画像を決定する必要がある。単に、視点および視線の方向を定義し、その後、そのシリーズを構成する画像をレンダリングすることが必要なだけである。従って、1つのパラメータまたは自由度がシリーズの変数になるように選択されるが、見る条件を定義するように通常選択されるパラメータは「バーチャルシリーズ」モデルにリファクタリングされているので、これが唯一可能であることが理解されよう。
【0081】
画像タイプは、平面MPR画像または平行MPR画像、CPR画像、3Dボリュームレンダリングした画像、および仮想内視鏡画像などの派生画像シリーズのタイプ間を区別する、医用撮像に共通の分類である。画像タイプの設定は、例えば、表示画面上で見る画像を操作するためにユーザが選択したツールから推論されるなど、PACSアーカイブまたはユーザ指示から医用画像データセットをロードするときに、セッションの開始時にユーザによって、またはDICOMヘッダを参照するハンギングプロトコルとして知られた自動アルゴリズムによって、あるいはこれらの要因のいずれかの組み合わせによって行うことができる。
【0082】
平行MPRの場合には、例えば、
図2Aに示すように、高い自由度は、その法線ベクトルに沿って画像面を移動させるパラメータtである。画像面間で固定された他の自由度は、2つの位置座標と切断面の3つの配向角とである。直交断面MPR(
図2B)の場合、パラメータtは、血管軸に沿う距離とであり。回転ボリュームレンダリング(
図2C)の場合、パラメータtは、患者軸回りの角度に関する距離である。
【0083】
このように高い自由度の変化、すなわち、様々なパラメータが、フレームと呼ばれる公称の画像シーケンスを定義し、他の全ての自由度が一定値、すなわち、固定パラメータである。画像タイプが5つの自由度(A、B、X、D、E)で定義されるとし、高い自由度としてXが選択されると仮定する。下記の2つの画像は、同一シーケンスに属する異なる画像を示す。
【0084】
X≠X’のとき、(A,B,X,D,E)、(A,B,X’,D,E)
(A,B,X,D,E)とは異なる画像シーケンスにある4つの画像を下記に示す。:
A’≠Aのとき、(A’,B,X,D,E)
B’≠Bのとき、(A,B’,X,D,E)
D’≠Dのとき、(A,B,X,D’,E)
E’≠Eのとき、(A,B,X,D,E’)
高い自由度は、元々連続的であっても、必要な場合はその組の可能な値を量子化することによって、離散量としてモデル化されても良い。離散量としてのパラメータのモデリングは、可視化アプリケーションに組み込まれる。間隔やアンカポイント(anchor point)などの量子化の詳細は、ユーザ制御に応答して変化することが可能である。他の自由度を、連続的または離散的にモデル化することができる。モデルは、1組の公称画像シーケンスを定義する。各画像シーケンスは、順序通り画像を収集して収容する。これら画像は、以下のように、量子化パラメータiにより識別することができる。
【0085】
(A,B,Xi,D,E)、ここでiは整数である。
【0086】
理論上、Xiで定義されるシーケンスの画像は無限とすることができるが、医用画像は通常、例えばモダリティの制約に基づいて有限である。画像シーケンスの実用上の種類は、リニアとサイクリックとの2種類である。リニアシーケンスは、開始点と終了点とを有する。例えば、リニアシーケンスとして複数の横断面画像からなる組が挙げられる。横断面は、患者の頭部から足まで1mm間隔で掃引する。サイクリックシーケンスは、有限数であるが、無限に繰り返すものとして提示される。例えば、サイクリックシーケンスとして複数の回転MIP投影画像からなる組が挙げられる。MIP投影は、患者軸回りを1度間隔で無期限に回転しながら繰り返される。
【0087】
画像シーケンスは、以下によって定義される。
【0088】
・この例では、区別されたパラメータ以外のパラメータのベクトルVは、V=(A,B,D,E)である。
・関数Xi=f(i)。ここで、iは、区別されたパラメータXに対して整数をマッピングする範囲[p,q]にある。
【0089】
このように選択的に制約を組み付けると、キャッシングがシステム内で効果的に動作できるようになる。そのシステムは、クライアント−サーバ構成内、例えばシンクライアント構成内において、派生画像を発生し、送信し、表示する。
【0090】
キャッシュは、画像シーケンス間を区別する必要がある。それらの画像シーケンスは、(異なるウィンドウに表示されるので)同時に、または(シーケンスを定義するパラメータの1つをユーザが変更しているので)異なる時刻のいずれかで、プロダクトにおいて例に挙げることができる。従って、基本的には、キャッシュは、下記の2種類の入力の連想マッチング(associative match)を行う必要がある。
【0091】
・シーケンスを部分的に定義するパラメータのベクトルV
・シーケンスを部分的に定義する関数Xi=f(i)
ベクトルVは、典型的には、数、行列、表などのデータ内で実施される。関数fの異なる選択は、典型的には、プログラムコード内で実施される。好ましい例のインプリメンテーションでは、fの異なる選択肢は、列挙型トークンTを用いてデータとして示される。ベクトルVおよびトークンTは、ハッシュ関数で処理されることによりキーKが発生される。そのキーKを使用して、ハッシュテーブルまたは同様のデータ構造を用いて連想マッチングが実行される。このインプリメンテーションにより、ユーザがVをV’に変更し、次いでV’をVに戻す場合にキャッシュを有用なままとすることができる。他のインプリメンテーションが可能である。キャッシュは、また、整数iによって直接索引が付される。整数iは、シーケンスに沿って画像番号を定義する。各画像シーケンス全体を格納することが有利なので、可能なインプリメンテーションは、各キャッシュキーKを、iによって索引を付された拡張可能な配列の画像にマッピングするためのものである。しかし、キャッシュできる画像シーケンス全ての画像の総数を非常に多くできるので、ハッシュ関数への入力にiを含んでも良い。このハッシュ関数は、キーKを発生し、ハッシュテーブルまたは同様の構造を用いてキーKを直接画像にマッピングする。そのため、各画像をキャッシュからの追い出し(eviction)のための候補とみなすことができる。
【0092】
派生画像を発生するプロダクトの性能を技術的要因によって制限することができ、ここで提案するキャッシングの種類から利益を得ることもできるときは、撮像チェーンには領域が2つある。第1に、クライアント−サーバの設置においてサーバからクライアントに派生画像を送信できる速度は、典型的には、サーバとクライアントとの間の利用可能な帯域幅と、医用精度を保ちながら画像に適用できる許容可能な圧縮程度とによって制限される。第2に、派生画像を発生できる速度を、利用可能な計算機能力、例えば、コンピュータプロセッシングユニット(CPU:computer process unit)、グラフィックスプロセッシングユニット(GPU)、メモリ、および同様のコンピューティングリソースによって制限することができる。さらに、これらのリソースは、クライアント−サーバシステムの他の同時のユーザに役立つなど、他の潜在的な使用によって対処することができる。
【0093】
クライアントにおいてキャッシングは、サーバから受信される全ての画像に、またはそれらの画像のサブセットに適用される。キャッシングの適用は非常に有利である。インプリメンテーションに対する可能な2つの変化について次に言及する。新しい画像を送信するのに必要であると判断されるロジックは、サーバまたはクライアントのいずれかにおいてホストとして働く。任意選択で、キャッシングを、サーバ内でレンダリング処理の結果に適用することもできる。レンダリング処理結果のためのキャッシュをレンダリングキャッシュと呼ぶ。レンダリングサブシステムにより画像を発生する前段においてサーバは、画像発生パラメータをレンダリングキャッシュに与える。レンダリングキャッシュ内で画像が見つかると、当該画像は即時的に利用可能となる。そのため、コンピュータリソースは、レンダリングによって不必要に独占されない。レンダリングキャッシュは、サーバのレンダリング機能の性能特徴に応じて利益をもたらすことももたらさないこともある。
【0094】
新しい画像の必要性を判定するロジックがクライアントにおいて実行される。この場合、クライアントは、サーバに画像を要求する前段おいて、当該クライアントに保有されているキャッシュに画像発生パラメータを与える。クライアントキャッシュがヒットを登録する場合、画像は即時的に利用可能になる。サーバは、当該画像を再生することを要求されない。それにより、サーバとの連絡のレイテンシと、サーバ上の処理リソースの使用と、サーバからクライアントに画像を送信するのに必要になる時間とが回避される。
【0095】
新しい画像の必要性を判定するロジックをサーバにおいて実行する場合、サーバは、クライアント上に保有されるキャッシュの論理ミラーを保有する。これは、サーバ上のミラーキャッシュおよびクライアントキャッシュのうちの一方のみがある特定の画像の画素データを格納する必要があることを除いて、サーバおよびクライアントが同一の2つの画像キャッシュを保有することを意味する。サーバは、画像発生パラメータをその論理キャッシュに与え、その後、画像がレンダリングおよび送信される。画素データがクライアントに格納されるようにシステムが構成される場合、論理キャッシュがヒットを登録するときに、サーバは、キャッシュキーKを収容する小さいデータパケットをクライアントに送信する。次に、クライアントは、キャッシュキーKを使用して、その画像の画素データにアクセスする。こうした手法により、(代わりに送信される画像の説明が小さいので)サーバとクライアントとの間の通信遅延と、サーバにおける処理リソースの不必要な使用と、サーバからクライアントに画像を送信するために必要な時間とが回避される。
【0096】
サーバにおけるレンダリングキャッシュは、レンダリング画像をキャッシュする。レンダリング画像は、レンダリングのスループットが送信よりも高い場合、まずサーバのレンダリングキャッシュにより記憶され始め、その後クライアントキャッシュに記憶され始める。
【0097】
クライアントキャッシュは、好ましくは、サーバキャッシュとは異なるサーバのクライアントキャッシュの論理ミラーによって補足される。画像がクライアントキャッシュや当該クライアントキャッシュのサーバのミラーにキャッシュされている場合、当該画像は、サーバにおけるレンダリングキャッシュにもキャッシュされる必要はない。そのため、レンダリングキャッシュから当該画像を消去しても良い。例えば、サーバのレンダリングキャッシュは、容量が小さく、レンダリングと送信との間のバッファとして用いられると良い。この場合、クライアントキャッシュは、クライアント上の自由に利用できるメモリによって可能になる程度の容量を有すればよい。
【0098】
画像発生ロジックがサーバ上にある場合、レンダリングキャッシュおよびクライアントキャッシュのサーバミラーは、1つであり同一であると良い。あるいは、画像発生ロジックがクライアント上にあっても良い。この場合、クライアントキャッシュに関するサーバミラーは設ける必要はなく、サーバにレンダリングキャッシュが設けられれば良い。
【0099】
画像の発生およびキャッシュのための2つの条件は、以下の通りである。第1に、ユーザが撮像パラメータVおよびiを操作して特定の画像を要求する場合、当該画像が発生およびキャッシュされる。例えば、ユーザがアプリケーションを操作して特定のMPR断面画像を表示する場合、当該MPR断面画像がキャッシュされる。第2に、i−jおよびi+jの値について画像が自動的に発生およびキャッシュされる。ここで、jは[1,∞]である。例えば、ユーザがアプリケーションを操作して特定のMPR画像をキャッシュし、その後、当該MPR画像を表示する場合、当該MPR画像の両側に(または、スクロールする方向を予測できる場合は片側にのみ)隣接する他のMPR画像がキャッシュされる。当該MPR画像が属するシリーズ内の全てのMPR画像がキャッシュされるまで、当該シリーズに含まれるMPR画像が最初に表示されたMPR画像から順番に探索される。
【0100】
第1のタイプのキャッシングは、リアクティブキャッシングタイプである。第2のタイプのキャッシングは、予測キャッシングを改善したタイプである。第1の原理から現在表示されている画像の1組の隣接する画像を予測しようとするのではなく、可視化アプリケーションは、画像タイプまたはシリーズタイプのコンセプトを利用する。可視化アプリケーションは、現在操作されている画像タイプを分かっており、各画像タイプごとに、単一の自由度および離散化される関連の可変パラメータiを指定する定義を有する。次いで、キャッシングのための隣接画像のコンセプトは、デフォルトの量、ユーザインターフェース上の最近のユーザの動作から推論される量、またはユーザによって明確に設定される量とすることもできる、所定量だけ量子化指標iをインクリメントまたはデクリメントする単純な事柄である。それにより、画像シーケンス全体を確実かつ効率的にキャッシュすることができる。
【0101】
本実施形態に係るワークフローにおいてパラメータXは、識別および離散化される。そのため、キャッシングは、使用されるキャッシングプロトコルの種類にかかわらず、例えば、リアクティブキャッシングであれ予測キャッシングであれ、効率的である。ボリュームをブラウジングする従来の手法では、MPRモードでユーザが上下にスクロールすることは、マウスの移動がMPRの面の位置に対する浮動小数点の変化に転換されることになり、そのため、例えばリアクティブキャッシングを使用した場合に、ある画像を正確に再訪する可能性、従って、キャッシュをヒットさせる可能性は極めて低くなる。ブラウジング時のこうした問題を回避する従来の手法は、「動画モード」を提供することであり、動画モードでは、ユーザは、コロナルMPRまたは回転ボリューム画像などのシリーズをセットアップし、次いで、「再生」ボタンを押してその計算をシリーズとして開始する、明確なステップをとらなければならない。コンピュータがシリーズ内の画像間にインクリメントを発生しており、動画であることが分かっているので、効果的にキャッシュすることができる。「バーチャルシリーズ」手法は、やはり効果的にキャッシュできるデータの自由な調査を有するブラウジングベースのユーザ指示を提供する点でこれらの従来の手法のいずれとも異なる。
【0102】
上記のように、画像シーケンスは、リニアキャッシングまたはサイクリックキャッシングとすることができ、これらの場合のそれぞれにおいてある程度異なるように働く。リニアシリーズでは、i−jおよびi+jにおいて画像は、各方向でシーケンスの限界に達するまでキャッシュされる。サイクリックシリーズでは、(i−j)_mod_nおよび(i+j)_mod_nの画像は、キャッシュされる。ここで、nは、サイクリックシーケンス内の画像の総数である。そのため、隣接する画像が当該シリーズを正確にラップすることとなる。
【0103】
シリーズ全体、すなわち、パラメータtの範囲全体をカバーするフレームを、クライアントに送信することが有利であり、そのため、一旦クライアントでキャッシュされると、ユーザは、1秒当たりフレームの高い更新割合でそのシリーズの範囲全体を通して進むことができる。多くの状況において、これは、特に、クライアントでキャッシュされた画像のサイズを縮小するために圧縮が使われる場合に、実現可能である。しかし、セッション中に訪れた全てのシリーズ全体の範囲を常にキャッシュ可能であるとは限らず、他の画像のためのスペースを作るためにキャッシュから画像を追い出す何らかの方法が必要である。個々の画像または画像シリーズ全体をキャッシュから追い出すためのいくつか可能な方式は以下の通りである。
【0104】
・最も長くキャッシュされていない:タイムスタンプが作られたのが最も古い画像またはシリーズを追い出す。
・最も長く見られていない:表示されているタイムスタンプが最も古い画像またはシリーズを追い出す。
・アクティブなシリーズを有利にする:見られユーザインターフェース操作を受けた(例えば、マウスフォーカス、直接的ユーザ入力、またはユーザ入力による間接的変更を受信した)シリーズに属する画像を保持し、他の画像を追い出す。
・現在のシリーズを有利にする:パラメータVの画像が現在事実上属するシリーズを保持し、パラメータの前の値V’、V’’などに関連する画像を追い出す。
【0105】
キャッシング方式は、インタラクション式画像と最終画像との間の画像の分類を使用し、最終画像のみキャッシングすることから利益を得ることもできる。インタラクション式画像は、ユーザ入力に応答してすぐに発生および表示できる質の低い画像であり、そのため、ユーザは、自身の動作および特定のユーザインターフェース操作に対するフィードバックをすぐに得る。具体的には、インタラクション式画像を、概略的であるがより速い方法を用いてレンダリングすることができ、送信のためにそれらの画像をデータロスの割合が高い圧縮(不可逆圧縮)を行うことができる。そのため、それらの画像を、限定された帯域幅を通してクライアントに迅速に送信することができる。最終画像は、完全な品質、または少なくとも信頼できる診断のために十分に高い品質の画像であり、従って、レンダリング品質および送信忠実度のある一定の最低基準に合う必要がある。例えば、その用途に、完全な再現(可逆的圧縮)または不可逆圧縮においてデータロスの程度が低いことが必要となる場合がある。最終画像は、一旦クライアントで利用可能になると、ユーザが必要とする診断情報を提供するために発生および表示される。低品質のインタラクション式画像をバックフィルするか、あるいは、使用される。
【0106】
クライアントでキャッシュされる画像のデータタイプに関係する選択肢が複数ある。
【0107】
医用画像は、通常、元のビット密度が12ビットのグレースケールである。通常の表示デバイスは、典型的には、8ビットの輝度のグラデーションのみ再現することができる。通常は、表示できる8ビット画像に到達するために、12ビット画像に「バイアスおよびスロープ」変換、または任意の変換を行うことである。本発明では、この変換をサーバに行い、その結果、8ビットの画像をクライアントにキャッシュすることもできるか、または、12ビットの画像をクライアントに送信およびキャッシュすることもでき、そのため、変換がクライアントに行われる。両方の手法が異なる使用例の場合に利益を有する。
【0108】
医療用途の派生画像は、通常、それらが表示されるビューポートによってクリッピングされ、すなわち、表示装置の仕様にクリッピングされる。例えば、血管の湾曲部分は、画像データセットの400×1500画素に拡大することができるが、512×512画素のビューポートに表示されるときは、そのうちの400×512画素の部分しか目に見えない。一実施形態は、400×1500画像全体をクライアントにキャッシュし、そのため、画像周りの後続のパニングを迅速に実現することができる。他の実施形態は、512×512ビューポートのコンテンツのみをキャッシュすることになり、そのため、キャッシュは、初期の画像を示すためにより速く満たされ、そのときにパニングが続く場合はある程度のレイテンシを受容する。
【0109】
医用画像には、通常、撮像アプリケーションによって描かれる線および/またはテキストが重ねられて、患者、撮像方法、形状の目印、画像の重要な特徴などについての情報が運ばれる。一実施形態では、医用画像は、これらのデコレーションなしにクライアントでキャッシュされる。好ましくはテキストオブジェクトおよび形状オブジェクトの説明のようなデコレーションは、別個の手段によって送信され、次いで、クライアントで画像上に描かれる。これにより、通常の動作である医用画像の再送信をすることなしにオーバーレイを更新することができ、不可逆的画像圧縮が行われる場合はラインまたはテキストのひずみが回避される。
【0110】
医療撮像のシンクライアントの用途では、一般に、送信する必要がある画像当たりのデータ量を縮小するように圧縮した形態を使用し、従って、画像をより迅速にクライアントに送信することが可能になる。本発明の事例では、クライアントにおいて圧縮された画像表現をキャッシュすることが有利である。というのは、これは、キャッシュ容量をより効率的に使用し、画像を圧縮解除する時間が全体に短くなるからである。異なる医療用途で受容できる圧縮の程度は大きく異なる。一部の関連要因は、臨床の用途の領域と、プロダクトを使用する領域で影響が大きい専門機関と、適用できる法律要件と、医療サービス提供者によって設定される方針と、医療専門家の判断とである。一共通要件は、画像の完全な再現(可逆的圧縮)を支持することである。別の共通要件は、データロス(不可逆圧縮)の量を制御して、JPEGなど、確立された基準に従った画像の圧縮および再現を支持することである。そのシステムは、最終画像の所望の圧縮レベルをユーザが設定可能であり常にその品質レベルを用いて最終画像を送出する構成されることが有利なことがある。一方で、不可逆圧縮がその場合に受容可能なことがあるインタラクション式画像については、圧縮の程度を自動的に選択することができ、許容される最大遅延時間などの性能評価に適合するように変更することができる。あるいは、インタラクション式画像の場合の圧縮の程度は、ユーザによって設定することもできる。最終画像に関して完全でない品質レベルが設定されている場合、それらをさらに高い品質に改良しなくても良い。あるいは、利用可能な時間およびネットワーク帯域幅を使用して、最終画像の指定の完全でない品質レベルでそのシリーズの追加の画像をキャッシュしても良い。
【0111】
可視化アプリケーションにより、ユーザにオリジナル画像および派生画像が与えられる。オリジナル画像に関する動作は従来通りであり、重複する説明は行わない。派生画像に関しては、可視化アプリケーションは、ユーザに画像シリーズを選択させる。MPRビューを選択するのではなく、ユーザは、目下の臨床上のタスクに従って、平行MPRシリーズビューまたはラジアルMPRシリーズビューを選択する。その選択を、さらに、プロトコルと呼ばれるアセンブリにおいて臨床上のタスクに対して効果的に働く画像シリーズの収集をパッケージ化することによって合理化することができる。例えば、脈管の病気の診断のためのプロトコルは、平行MPR、CPR、直交断面画像、曲線の接線、及び回転3D画像シーケンスを保持することができる。
【0112】
画像シーケンス内においてユーザが利用可能なツールおよび動作は、2つのグループに細分することができる:(i)1つまたは複数のシリーズの指標iを変更する動作と;(ii)1つまたは複数のシリーズの定義Vを変更する動作。第1のグループの動作により、表示のために同じシリーズからの異なる画像を選択し、従って、一旦、関連した画像がキャッシュされると、更新が速くなる。第2のグループの動作により、シリーズの定義が変更され、そのため、古い定義に従って既にキャッシュされた任意の画像は、もはや関連しておらず、新しい定義に従って新しい画像をキャッシュする必要がある。従って、これらの動作は、キャッシングによって改善された性能から利益を得ず、追加の計算が生じる。
【0113】
全ての画像シリーズに関して、量子化指標iを直接変更可能なツールが識別される。このツールは、スクロールツールと呼ばれている。スクロールツールは、典型的には、医療撮像用途では、左または右いずれかのボタンを下に下げてマウスをドラッグする動作に関連する。さらに、スクロールツールは、スクロールを補助するホイールマウスまたはタッチパッドのスクロール動作に関連する。スクロールツールの動作はシリーズのタイプに応じて変わる。一部の例は以下の通りである。そのシリーズが平行MPRの場合、スクロールツールは断面を平行に動かす。シリーズがラジアルMPRの場合、スクロールツールは断面を回転軸回りに回転させる。直交断面画像シリーズでは、スクロールツールは曲線に沿って平面を動かす。回転3Dシリーズの場合、スクロールツールは、事実上、垂直軸を中心に患者を回転させる。
【0114】
従って、スクロールする動作は、使用しているシリーズのタイプに従って、ユーザに非常に自然な形態のナビゲーションを与える。多くのツールのうちどれが撮像パラメータを所望の形で操作するかを知らなければならない代わりに、ユーザは、各タイプのシーケンスのデフォルトのスクロール動作を用いてそのタスクのほとんどを実現する。一旦画像がキャッシュされると、ネットワーク帯域幅、画質、および圧縮設定に関係なく、高い更新速度を獲得することができる。従って、ユーザは、スクロール動作等の画像表示操作を快適に行うことができる。
【0115】
スクロール動作に関する他の利点は、スクロールが完全に繰り返し可能なことである。言い換えると、ユーザが前後にスクロールする場合、まさに同じ画像が見られる。コンピュータが当該シリーズの全ての画像を認識した(または少なくともそれらが表示された)か否かを判断し、当該シリーズに属する全ての画像を認識し終えていない場合に警告を発しても良い。これは、可変パラメータiを略連続的に段階状に設定することにより、有限セットの派生画像から構成されるシリーズが、ボリュームデータセットの時間分解能に比べてとても細かくすることができる、という他の利点である。というのは、定義された有限画像シーケンスが与えると、DICOMなどの標準的データフォーマットに従って当該シリーズの永久コピーをとることが単純だからである。
【0116】
スクロールツールに加えて、他の幾つかのツールを1つまたは複数のシリーズの指標iを変更するように実装することができる。こうした候補の1つは三角測量ツールである。三角測量ツールにより、複数の画像シリーズが当該画像シリーズのうちの1つにマウスクリックで識別される点を表示する。三角測量ツールは、影響を受ける画像シリーズの全てのパラメータVを変更する。それらは正確にその点を収容する画像を含むためである。しかし、これは、現在キャッシュされている全ての画像の値を否定する。好ましいインプリメンテーションは、各画像シリーズのその点に最も近い現行の画像を見せることによってそれらが概略的にその点を表示するように、影響を受けるシリーズ全ての指標iを変更することである。このインプリメンテーションは、キャッシュされた画像の値を保存する。
【0117】
典型的には撮像パラメータのベクトルVを変更する幾つかの動作は以下の通りである:
・平行MPRシリーズの切断面の勾配を変更すること
・ラジアルMPRシリーズの軸の位置および勾配を変更すること
・直交断面MPRシリーズに関連する曲線の定義を変更すること
・回転3DまたはMIPシリーズの色、不透明度、または輝度の特性を変更すること
・回転3DまたはMIPシリーズのカメラの勾配を変更すること
・仮想内視鏡カメラの視野、移動経路、または観察方向の変更
これらは、ベクトルVを変更する動作のほんのいくつかの例である。ユーザがこれらの動作のうちの1つを行うときは、そのベクトル前の値のV’’に関連するキャッシュされた画像は、クライアントでの画像の表示を加速するのにもはや有用ではない。これらの画像を、キャッシュからすぐに、または使用中の追い出しポリシに応答して最終的に追い出すことができる。ユーザが後で値を変更してVからV’’に戻す場合、これらの画像がもう一度有用になる可能性がある。これは、ユーザインターフェースがこれらの動作のための取消機能を含む場合、頻繁に起こることが予期されることになる。ユーザがこれらの動作のうちの1つを実行するときは、システムは、新しい値Vに従って新しいシリーズの画像の発生およびキャッシングを開始する。これが起きている間は、システムは、インタラクション式画像をユーザに表示することしかできなくなる。しかし、一旦相当な数の画像がキャッシュされると、既に説明したようにシステムは再度最終品質画像の速い更新を可能にする。
【0118】
この実施形態を要約すると、ユーザは、従来の3D可視化アプリケーションのようにベクトルVを構成する撮像パラメータ全体を自由に調節することができ、システムの特徴は、ユーザがベクトルVを調節しているときは、従来のシステムの特徴と等価である。しかし、単一の派生シリーズとの関連で指標iを変更し、ベクトルVは変更しないときは、システムは、必要なシリーズを既に格納している従来のシステムと同様に実行することができるが、一旦完全な分解能シリーズがクライアントに到達すると、これは、クライアント−サーバの実施形態の場合に概略的にのみ正しい。この前に、いくつかの中間品質の画像を提供することができる。
【0119】
図6に、第1実施形態に係るワークフローの典型例を示す。第1実施形態に係るワークフローを、
図3に示す標準的ワークフローと比較する。第1実施形態に係るワークフローは、標準的ワークフローのように、
図2Aおよび
図2Bに示すようなMPRのための派生画像シーケンスを準備するためのものである。この第1実施形態に係るワークフローは、
図1に示す概略的派生画像ワークフローに特有の例である。
【0120】
ステップT1において放射線専門医は、分析のためのMPRシリーズの所有を望む。(ステップS1と同じ)。
【0121】
ステップT2において放射線専門医は、クライアントのアプリケーションを用いて、明確に所望のMPRシリーズを定義するようにして、またはクライアントのアプリケーションによりMPRシリーズ、すなわち、診断分析を行うために当該放射線専門医が見たい特定の画像タイプの派生画像シリーズを推論可能になるようにして、見た画像を操作する。ユーザインターフェースを介した放射線専門医の指示により、明確にまたは暗黙的に可視化の仕様、すなわち、総合するとトークンTおよびベクトルVになるビューイングパラメータが定義される。ここで、ベクトルVおよびトークンTの意味は上記で説明した通りである。
【0122】
ステップT3において、所望のMPRシリーズの仕様は、PACSサーバを介してグラフィックスサーバによって受信される。グラフィックサーバは、受診されたMPRシリーズをレンダリングする。レンダリングされたMPRシリーズは、PACSサーバを介してクライアントに発生され送信される。
【0123】
ステップT4において放射線専門医は、MPRシリーズがクライアントでキャッシュされるのを待機する。ステップS放射線専門医は、すなわち、MPRシリーズデータがLANまたはインターネットを介してクライアントに転送されることを待機する(ステップS6と同じ)。
【0124】
ステップT5において放射線専門医は、読影を行うためにパラメータt(すなわち指標i)を変更することでインタラクション形式で上下にスクロールすることによって、当該MPRシリーズを読影することができる。さらにユーザインターフェースを介した指示により、ユーザ指示がトークンTやベクトルVを再度定義する要求であると解釈される場合、プロセスの流れをステップT2に戻すことができる。放射線専門医がステップT1でロードしたMPRシリーズの検査を終えると、そのプロセスの流れはステップT6に移る。
【0125】
ステップT6において放射線専門医は、他のMPRシリーズを見直すという選択肢が与えられ、その場合、ワークフローが繰り返される(ステップS8と同じ)。
【0126】
ステップT7においてレポートが発行される(ステップS9と同じ)。レポートの発行により第1実施形態に係るワークフローが終了する。
【0127】
ベクトルVがステップT5/T2で変更される一例のケースでは、ユーザがユーザインターフェースによって例えば平面MPRの切断面の勾配を調節するときは、新しい面の角度でわずかに異なるシリーズを見たいことを示している。その場合、可視化アプリケーションは、ユーザに意識させずにステップT2からT4を繰り返し、そのため、調節したシリーズが自動的に表示装置上に現れる。
【0128】
図7に、第1の実施形態によるクライアント−サーバアーキテクチャを示す。
図7は、
図2に示す標準的PACSシステムクライアント−サーバアーキテクチャの変形例を示している。
【0129】
標準的クライアント−サーバアーキテクチャと同様に、クライアントは、ワークステーション16、21である。ワークステーション16、21は、ネットワーク接続を介してメインPACSサーバおよびファイル格納装置18、20に接続される。ネットワーク接続は、LANクライアント16の場合、高速ネットワーク接続であり、ウェブクライアント21の場合、一般の通信インフラストラクチャを通したインターネット接続とすることができる。標準的手法とは異なり、追加のグラフィックスサーバ17が設けられても良い。追加のグラフィックスサーバ17は、高速接続によってPACSサーバ18に接続される。例えば、サーバ18および17は、隣接するサーバラックのホストとして動作することができ、光ファイバーデータリンクにより接続することができる。グラフィックスサーバは、グラフィックス処理を実行するために、具体的には、ボリュームレンダリングなどのレンダリングまたは多断面再構成によってボリュームデータセットの処理に対して最適化される。GPUおよびメモリキャッシュを収容するグラフィックスサーバを概略的に示す。
【0130】
グラフィックスサーバの目的は、PACSサーバからの指示の下で迅速に派生画像シリーズを発生することである。本実施形態では、シリーズタイプ(トークンT)、シリーズのパラメータ(ベクトルV)を選択肢表示される画像(指標i)を選択するためのアプリケーションロジックは、好ましくは、PACSサーバまたはPACSクライアントアプリケーション内に実装されるが、他の実施形態はその手法とは異なることがある。
【0131】
PACSサーバとグラフィックスサーバとの間のデータの流れは、
図7にシーケンス1から5まで番号を付与した5つのステップで表される。
【0132】
ステップ1においてPACSサーバは、モダリティ画像をグラフィックスサーバにプッシュする。モダリティ画像は、グラフィックスサーバにより読み取られるまでキャッシュされている。グラフィックスサーバは、モダリティ画像に基づいて発生対象のシリーズをGPUによりレンダリングする。
【0133】
ステップ2においてPACSサーバは、発生対象のシリーズに関する説明(description)をグラフィックスサーバに送信する。
【0134】
ステップ3においてグラフィックスサーバは、発生されたシリーズをPACSサーバに送信する。
【0135】
ステップ4においてPACSサーバは、オリジナル画像から構成されたシリーズを送信するのと同様にして、表示のため、当該シリーズをクライアントワークステーションに送信する。
【0136】
ステップ5においてPACSサーバは、PACSアーカイブのセッションの間に発生された派生画像シリーズの一部を格納する。
【0137】
次に、これらの各ステップをより詳細に説明する。
【0138】
ステップ1では、PACSサーバは、モダリティによって発生された、検査に関するDICOMシリーズをグラフィックスサーバにプッシュする。DICOMシリーズは、グラフィックスサーバにおいて検査が読み取られるまでキャッシュされる。このステップは、取得と読み取りとの間にはいつでも行われなければならない。一例の方針は、取得したらできるだけすぐに検査をグラフィックスサーバにプッシュすることである。別の方針は、PACSサーバのワークリストに現れたらすぐにそれらをプッシュすることであり、これは読み取られる前の数分から数日間にわたる場合がある。グラフィックスサーバは、モダリティ画像を格納するためのキャッシュスペースが限られており、サーバの仕様および機能によって毎日発生されたデータのボリュームに応じて数日から数週間の時間ウィンドウに対応する。例えば、サーバ内のキャッシュが500GB、スキャンボリュームが50GB/日であると、グラフィックスサーバ内にキャッシュされるのは10日分のウィンドウである。このウィンドウは、フォローアップの時間が来るまで、以前の検査を保有するのに十分に長いものではない。PACSサーバは、フォローアップ検査で必要になるときに、(前に取得および報告された検査の派生画像をさらに使用することが望ましいと仮定すると)以前の検査を再度グラフィックスサーバに設置およびプッシュすることが予期される。
【0139】
ステップ2においてPACSサーバは、グラフィックスサーバにMPRシリーズを発生する指示を送信する。シリーズの発生がPACSハンギングプロトコルによって開始される場合、発生指示が送信されるタイミングは、読み取りが完了する前であればいつでも良い。2つの例の方針は、検査がPACSサーバワークリストに現れる(そのときにプロトコルを自動的に選択することもできる)とき、または検査が放射線専門医に与えられそのプロトコルを選択または確認するときでも良い。当該シリーズの読み取り中にインタラクション形式で放射線専門医によって要求される場合、ステップ2は、放射線専門医がシリーズを定義するときに起きる。PACSサーバがグラフィックスサーバに与える指示は、MPRシリーズは、DICOM画像の正確なセットを含む。DICOM画像は、派生したMPRシリーズ内で発生される各画像の座標、配向、サイズ、厚さ、および他のパラメータと同様に再度サンプリングされるボリュームと解釈される。
【0140】
座標および画像の他のパラメータに関しては、クライアントワークステーション内のロジックにより発生対象の各画像のパラメータが計算され、計算された各画像のパラメータがPACSサーバに送信されれば良い。PACSサーバは、単純にパラメータに従いそれに応じて派生画像シリーズを発生するようにグラフィックスサーバに命令する。あるいは、画像パラメータを選択したり計算したりするためのロジックは、PACSサーバに帰属しても良い。
【0141】
クライアント上で実行されるアプリケーションを書き換えて、様々な所望のユーザインターフェースを提供して、例えば、PACSサーバにおいて変更する必要なしに、円形オーバーレイを提供してラジアルシリーズを発生しても良い。例えば、PACSは、ユーザインターフェースにより、ユーザがシリーズタイプを操作し、MPR面の勾配など、シリーズを定義するパラメータを設定し、上記の第1実施形態と同様にして表示するようにバーチャルシリーズから画像を選択しても良い。
【0142】
グラフィックスサーバのプロトコルは、DICOMベースでも良い。派生画像シリーズの発生要求を説明する標準的DICOMメッセージがないので、当該発生要求は、標準的DICOMタグの非標準的組み合わせにエンコードされる。具体的には、PACSサーバは、グラフィックスサーバに、発生される画像毎に1つのDICOMメッセージを送信する。これは、完全なセットのタグ情報を有するが画素データは有しない。タグ情報は、発生される画像のパラメータ(座標、方向余弦)と、ソース画像に対する基準(基準フレーム、画像特有の識別子(UID)、またはキー画像ノート)とを収容する。グラフィックスサーバは、画像について発生した画素データに加えて受信した通りにタグを含む画像毎のDICOMメッセージを戻す。このインターフェースにより、発生される画像のDICOMタグに対してPACSが正確に制御することが可能になる。代替的実施形態では、DICOMの互換性は、必要とされておらず、例えば、固有のプロトコルを使用することができる。
【0143】
ステップ3においてグラフィックスサーバは、発生されたシリーズをPACSサーバに送信する。これは、ステップ2の直後、最初の画像が発生されたことを契機として開始する。効率化のため、PACSサーバは、1回にシリーズの全ての画像を要求すると良い(あるいは、PACSサーバは、ユーザがブラウジングするときに画像シリーズを要望に応じてまとめて要求することもできる)。要求を受信する際、グラフィックスサーバは、シリーズ全体を典型的には数秒以内に発生し、そのシリーズ全体をリンクによって許可された最大の速度でPACSサーバに送信する。従って、効率的にするために、ステップ2および3においては、(たとえ、クライアントワークステーションが数枚の画像しか引き出していなくても)シリーズ全体が送信される。グラフィックスサーバが当該シリーズをPACSサーバに送信するための最も単純な手法は、DICOMのプッシュによるものである。たとえこれがボトルネックになったとしても、例えば、他の入ってくるDICOMデータが待ち行列を作るので、グラフィックスサーバは、DICOMファイルとして指定の共有インターネットファイルシステム(CIFS)ファイルシェアにそれらの画像を預けるか、または所有のプロトコルを通して送信しても良い。DICOMファイルの転送を含まないデータ転送のために所有のデータリンクを用いても良い。
【0144】
ステップ4においてPACSサーバは、画像をクライアントワークステーションに送信する。送信された画像は、クライアントワークステーションにより表示される。グラフィックスサーバにより発生された画像は、クライアントに送信され、表示のためにモダリティ画像と同様に処理される。標準的圧縮、バックグラウンド送信、およびクライアント側のキャッシング技法を転送の際に用いることができる。具体的には、PACSサーバは、送信前の画像の圧縮に関連しており、圧縮方針を実装するために、例えば、不可逆圧縮場合の最低品質レベルに準拠し、または測定などのある環境において完全な画像を送信することに関連している(あるいは、グラフィックスサーバは、そのシリーズをPACSサーバに圧縮画像として送信することでもできる)。
【0145】
ステップ5においてPACSサーバは、グラフィックスサーバにより発生され、操作者によりクライアントワークステーションにおいて永久的診療録の一部としてレビューされた当該シリーズのサブセットをPACSアーカイブに格納する。このステップは、検査がレポートされるときに起きる。その点で、PACSサーバは、グラフィックスサーバにより発生された追加のシリーズ全てを読み取りの一部として一時的に保有している。これを実現するために、グラフィックスサーバを要求して別の動作をするか、または画像をクライアントワークステーションから転送してサーバに戻す必要はない。
【0146】
次に、第2の実施形態を使用する一例を、適切なハンギングプロトコルに従ってクライアントワークステーションの表示装置のセットに示されるものに関連して説明する。
【0147】
ある患者が腹痛および膵臓の疾患の病歴を示したとする。患者に適切な造影剤を与えた前および後に2回取得したマルチスライスCTスキャン(MDCT)を、すなわち、厚さ1mm、長さ800mmの腹部全体の造影前のスキャンと、それに続く厚さ1mm、長さ800mmの腹部全体の造影後のスキャンとが受信された。PACS可視化アプリケーションは、この例の特徴に合う「腹部全体」ハンギングプロトコルを有する。
【0148】
図8Aに、クライアントワークステーションの4つ1組の表示装置1、2、3、および4を概略的に示す。プロトコルは、放射線専門医に以下のような事例を示す(図を単純に保持するために表示装置2および3に非現実的な2×3の重なり無しの配置を示す)。グラフィックスサーバのおかげで、PACSハンギングプロトコルは、モダリティ技術者または放射線専門医によるセットアップのための動作を必要とせずに、これらの所望のシリーズを全て即時的に表示することができる。「Ax1mm」シリーズは、モダリティによって発生され、残りの10はグラフィックスサーバによって発生される。プロトコルは、その事例の迅速な概要を送出するために、アキシャル面(Ax)、コロナル面(Co)、及びサジタル面(Sa)に5mmの平均輝度スラブを与える。コロナルおよびサジタル再構成の800画素の垂直分解能を標準的512画素の正方形シリーズに合わせるために、プロトコルは、自動的に、スキャンを分割して2つのステーションにし、「ST1」は腹部の上側のセクション、「ST2」は下側のセクションである。
【0149】
図8Bに、PACSサーバおよび関連のインフラストラクチャが矩形のCT画像を扱うことができるときに適切な同じ使用例の変形形態を示す。この場合、コロナルおよびサジタルシリーズを概略的に示すように切れ目なしに表示することができる。
【0150】
放射線専門医が事例を読むために行う必要がある全てのことは、最も適切なシリーズに集中しスクロール(ブラウジング)することである。そのシリーズは、DICOM規格に関する16ビットのCTであり、従って、PACS可視化アプリケーションがCTシリーズを提供する全てのツールが利用可能である:拡大鏡、WW/WL、リニアおよびHU測定、注釈など。さらに、放射線専門医は、対象の点の上で左クリックするなど、「三角測量」をまねることができ、(両方のスキャンにおいて、モダリティが基準となる同じDICOMフレームを使用したと仮定するときに)全てのシリーズが同じ3Dの点を示すようにブラウジングされる。PACSアプリケーションは、3Dの点または画像の互いの位置を示すオーバーレイを作り出すように簡単に書くことができ、ユーザがインタラクション形式で発生されたシリーズの、3D回転のカメラパラメータ、MPHのための面の角度および位置などのパラメータを変更することが可能になる。このようにして、PACSワークステーションの3Dナビゲーションは、3Dワークステーションの場合と同程度に強力にすることができる。
【0151】
第1または第2の実施形態によるベクトルVおよびトークンTの変化は、複数の手法で可視化アプリケーションによって作動させることができる。第1の例は、ハンギングプロトコルの一部として自動的に作動さえることができる例である。これにより、ハンギングプロトコルがコロナルおよびサジタルシリーズなど、モダリティが発生しないシリーズを与えることが可能になる。第2の例は、ユーザの要求がある際にインタラクション形式で作動させることができる例である。これにより、ユーザが様々な範囲、断面の間隔、配向、または視野を有するシリーズを要求できるようになる。この選択肢は、自宅で作業する場合にクライアント−サーバの連絡が厳しく制限された帯域幅に対処するために特に有用なことがある。
【0152】
可視化アプリケーションは、派生シリーズの保存のための所望の方針を行うことができる。単純な方針は、ハンギングプロトコルによって自動的に発生されたものと、インタラクション形式で発生されたものの両方を含む、読み取り過程で発生された全てのシリーズを保存することになる。勿論、この方針は、デフォルトではあまりシリーズを発生しないハンギングプロトコルによって首尾よく対話することになる。より格納が効率的な方針は、測定または注釈の存在により、ユーザがマークした派生シリーズのみを保存することである。「バーチャルシリーズ」コンセプトによって可能な効率的な一格納手法は、当該シリーズを定義するパラメータセットのみをオリジナル画像と共に格納することである。これにより、所望の場合にいつでもシリーズを再現することが可能になる。遠隔アクセスの場合、派生シリーズは、読み取り中にPACSサーバに保有され、従って、それらを保存することで他に問題が生じることはない。大容量画像データを上流に、例えば、ユーザの自宅PCからPACSサーバに戻す必要がない。可視化アプリケーションは、完全なバージョンのシリーズ、または放射線専門医に送信されたロスのある圧縮バージョンのいずれか、あるいはその両方から、保存方針を選択することができる。
【0153】
別の方針では、画素データの代わりに、発生されるシリーズ、すなわち、トークンTおよびベクトルVを定義するパラメータのみ保存する。これにより、前記パラメータが小さいので、シリーズをすぐに低い格納要件で保存することが可能である。そのシリーズを再現するには、パラメータを、画像を発生するためにグラフィックスサーバに再度供給しなければならない。
【0154】
本発明の実施形態を本明細書で以下にシステム、方法、および持続的媒体上に格納できるコンピュータプログラムプロダクトを実装したコンピュータとの関連で説明する。本実施形態の一部はコンピュータ、例えばパーソナルコンピュータまたは他の形態のワークステーションに本発明の一部の実施形態が必要とする機能を提供されるコンピュータプログラムプロダクトの点で説明しているが、これは本発明の一部の実施形態の単なる一例に関するものであると以下の説明から理解されよう。例えば、本発明の一部の実施形態では、スタンドアローンのコンピュータではなく、コンピュータネットワークが本発明の実施形態を実装することができる。あるいは、またはさらに、本発明の機能の少なくとも一部を、特別な目的のハードウェアによって、例えば、特別な目的の集積回路(例えば、特定用途向け集積回路(ASIC))の形態で実装することができる。
【0155】
クライアント−サーバプラットフォームにバーチャルシリーズ手法を実装する実施形態を説明してきた。しかし、他の実施形態は、シッククライアントおよびワークステーションの実施形態に実装される。これらのプラットフォーム全てで、バーチャルシリーズ手法は、頻繁に見る画像の不必要な再レンダリングを回避し、ユーザに対してアプリケーションの挙動のなじみのある「シリーズ志向」モデルを与えるのに有利にすることができる。
【0156】
いくつかの実施形態を説明してきたが、それらの実施形態は単なる例として与えられており、実際に本発明の範囲を限定するものではない。本明細書で説明した新規の方法、コンピュータおよびコンピュータプログラムプロダクト、ならびにデバイスを、他の様々な形態で実施することができる。さらに、本発明の精神から逸脱することなしに、本明細書で説明した方法およびシステムの形態の様々な省略、置換、および変更を行うことができる。添付の請求項およびそれらの等価物は、本発明の範囲および精神に包含されるようにこうした形態または変形例をカバーするものである。
【0157】
上記説明の通り、本実施形態に係る、ネットワークを介して接続されたクライアントとサーバとを有するコンピュータシステムは、画像発生部、送信部、記憶部、及び表示部を少なくとも有している。画像発生部は、サーバ装置に設けられ、処理対象の3次元のオリジナル画像に所定の3次元画像処理を施すことにより複数の2次元の派生画像を発生する。当該複数の2次元の派生画像は、当該3次元画像処理に関するパラメータの初期値またはユーザ指定値を含む所定パラメータ範囲に属する複数のパラメータ値にそれぞれ対応する。送信部は、サーバ装置に設けられ、発生された複数の2次元の派生画像をクライアント装置に送信する。記憶部は、クライアント装置に設けられ、送信された複数の2次元の派生画像をキャッシュする。表示部は、キャッシュされた複数の2次元の派生画像を、ユーザ指示に応じたパラメータの変更操作に伴って順番に読み出して表示する。
【0158】
かくして、本実施形態に係るコンピュータシステム、医用画像診断装置、画像表示方法、及び画像表示プログラムは、ネットワーク帯域が小さい環境下における、画像転送に関するネットワーク負荷の分散及び画像表示操作に関するユーザの操作感の向上を実現することが可能となる。
【0159】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。