特許第6373575号(P6373575)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6373575燃料等価的距離/エネルギー消費率を測定および表示するためのシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6373575
(24)【登録日】2018年7月27日
(45)【発行日】2018年8月15日
(54)【発明の名称】燃料等価的距離/エネルギー消費率を測定および表示するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/02 20060101AFI20180806BHJP
   B60L 3/00 20060101ALI20180806BHJP
   F02D 45/00 20060101ALI20180806BHJP
【FI】
   B60R16/02 640K
   B60L3/00 N
   F02D45/00 364M
【請求項の数】19
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2013-264486(P2013-264486)
(22)【出願日】2013年12月20日
(65)【公開番号】特開2014-136576(P2014-136576A)
(43)【公開日】2014年7月28日
【審査請求日】2016年10月20日
(31)【優先権主張番号】13/743,279
(32)【優先日】2013年1月16日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507342261
【氏名又は名称】トヨタ モーター エンジニアリング アンド マニュファクチャリング ノース アメリカ,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100112357
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹
(74)【代理人】
【識別番号】100157211
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100159684
【弁理士】
【氏名又は名称】田原 正宏
(72)【発明者】
【氏名】モハメド イー.ダフオード
【審査官】 菅 和幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−197076(JP,A)
【文献】 特開2007−237792(JP,A)
【文献】 特開2010−085310(JP,A)
【文献】 特開2010−162957(JP,A)
【文献】 特開2011−209216(JP,A)
【文献】 米国特許第07865276(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/02
B60L 3/00
F02D 45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の総合燃料等価的距離/エネルギー消費率を測定および表示するためのコンピュータベースの方法であって、
エンジンまたは燃料電池に接続されている燃料コントローラを使用して、燃料消費率または消費量を測定することと、
バッテリーに接続されているバッテリー管理および充電ユニット(BMCU)を使用して、電気エネルギー消費率または消費量を測定することと、
電子制御ユニットを使用して、特定の時間期間中に自動車が走行する距離を測定することと、
前記電子制御ユニットを使用して、補助的負荷により使用される電気エネルギーであって自動車が静止状態にある間に自動車の駆動動作のエネルギー効率とは無関係な電気エネルギーの量を測定することと、
前記電子制御ユニットを使用して、前記電気エネルギー消費率または消費量を、燃料等価的電気エネルギー消費率または消費量に変換することと、
前記電子制御ユニットを使用して、前記燃料消費率または消費量と、前記補助的負荷により使用される電気エネルギーであって自動車が静止状態にある間に自動車の駆動動作のエネルギー効率とは無関係な電気エネルギーの量と、前記燃料等価的電気エネルギー消費率または消費量と、に基づいて、走行中に消費された燃料等価的エネルギーの量を測定することと、
前記電子制御ユニットを使用して、前記消費された燃料等価的エネルギーの、前記時間期間中に前記自動車が走行した測定された距離と、に基づいて、前記総合燃料等価的距離/エネルギー消費率を測定することと、
前記消費された燃料等価的エネルギーの量に対する自動車の走行距離量を表す前記総合燃料等価的距離/エネルギー消費率を、前記電子制御ユニットに接続された表示装置を使用して表示すること
とを含む方法。
【請求項2】
前記測定された燃料消費率または消費量に基づいて、前記時間期間中に消費された燃料消費合計量を、前記電子制御ユニットを使用して測定することと、
前記測定された電気エネルギー消費率または消費量に基づいて、前記時間期間中に消費された燃料等価的電気エネルギー消費合計量を、前記電子制御ユニットを使用して測定すること
とをさらに含み、
前記走行中に消費された燃料等価的エネルギーの量を測定することは、さらに、前記燃料消費合計量と前記燃料等価的電気エネルギー消費合計量とに基づいている
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記走行中に消費された燃料等価的エネルギーの量を測定することは、前記電子制御ユニットを使用して、前記燃料消費合計量と前記燃料等価的電気エネルギー消費合計量とを加算することを含み、
前記総合燃料等価的距離/エネルギー消費率を測定することは、前記電子制御ユニットを使用して、前記走行中に消費された燃料等価的エネルギーの量で前記時間期間中の走行距離を割り算することを含む
請求項に記載の方法。
【請求項4】
前記燃料消費合計量を測定することは、前記電子制御ユニットを使用して、前記時間期間全体にわたっての前記燃料消費率または消費量を積分または加算することを含み、
前記燃料等価的電気エネルギー消費合計量を測定することは、前記電子制御ユニットを使用して、初期電気エネルギー消費合計量を得るために前記時間期間全体にわたっての前記電気エネルギー消費率または消費量を積分または加算することと、前記電子制御ユニットを使用して、前記初期電気エネルギー消費合計量にエネルギー変換係数を乗算することとを含む
請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記総合燃料等価的距離/エネルギー消費率を測定することは、前記自動車の動作中に周期的に行われる請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記バッテリー中に蓄積されている電気エネルギーの形に燃料エネルギーが変換される時に失われるエネルギーに相当するエネルギー損失数値または係数を、前記電子制御ユニットを使用して測定することをさらに含み、
前記走行中に消費された燃料等価的エネルギーの量を測定することは、さらに、前記測定されたエネルギー損失数値または係数に基づいている
請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記燃料消費率または消費量を測定することは、ガソリン、ディーゼル燃料、エタノール、バイオディーゼル燃料、天然ガス、プロパン、水素、および、これらの組み合わせから成るグループから選択される燃料の消費率または消費量に基づいている請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記自動車のエネルギー発生ユニットのエネルギー発生率または発生量を、前記電子制御ユニットと前記エネルギー発生ユニットとを使用して測定することをさらに含み、前記エネルギー発生ユニットは、太陽電池パネル、ラムインダクション発電機、回生制動ユニット、熱交換ユニット、または、これらの組み合わせを含み、
前記総合燃料等価的距離/エネルギー消費率を測定することは、さらに、前記エネルギー発生ユニットの前記測定されたエネルギー発生率または発生量に基づいている
請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記総合燃料等価的距離/エネルギー消費率を表示することは、前記走行中に消費された燃料等価的エネルギー量の1ガロン当たりの走行距離のマイルの数値または分数に相当する指標、または、前記走行中に消費された燃料等価的エネルギー量の1リットル当たりの走行距離のキロメートルの数値または分数に相当する指標を表示することを含む請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記電子制御ユニットを使用して燃料コスト量を受け取ることと、
前記電子制御ユニットを使用して電気コスト量を受け取ることと、
燃料等価的エネルギーコスト量が、前記時間期間全体にわたっての走行距離の1キロメートルまたは1マイルに関する燃料および燃料等価的非燃料エネルギーの消費コストに相当するように、前記受け取られた燃料コスト量と、前記受け取られた電気コスト量と、前記測定された総合燃料等価的距離/エネルギー消費率とに基づいて、前記電子制御ユニットを使用して前記燃料等価的エネルギーコスト量を測定することと、
前記測定された燃料等価的エネルギーコスト量に相当するコスト指標を、前記表示装置を使用して表示すること
とをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項11】
さらに、前記測定された総合燃料等価的距離/エネルギー消費率または前記測定された燃料等価的エネルギーコスト量に基づいて、前記エンジンの動作、または、前記BMCUの充電もしくは放電動作を、前記電子制御ユニットを使用して変化させることをさらに含む請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記総合燃料等価的距離/エネルギー消費率に基づいて各々が点灯または消灯される1つまたは複数のライトを、前記表示装置によって提供することと、
前記総合燃料等価的距離/エネルギー消費率が増大−効率閾値よりも高い数値に増大する時に、前記1つまたは複数のライトの中の少なくとも1つのライトを、前記表示装置に接続されている表示コントローラを使用して点灯させることと、
前記総合燃料等価的距離/エネルギー消費率が減少−効率閾値よりも低い数値に減少する時に、前記1つまたは複数のライトの中の少なくとも1つのライトを、前記表示コントローラを使用して消灯させること
とをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項13】
自動車の総合燃料等価的距離/エネルギー消費率を測定および表示するためのコンピュータベースの方法であって、
特定の時間期間中のエンジンまたは燃料電池によって消費される燃料エネルギーの量に相当する第1のエネルギー消費合計量を、エンジンまたは燃料電池に接続されている燃料コントローラを使用して測定することと、
前記時間期間中に非燃料エネルギー源を使用して消費されるエネルギーの量に相当する第2のエネルギー消費合計量を、電子制御ユニットを使用して測定することと、
前記時間期間中に前記自動車が走行した距離を、前記電子制御ユニットを使用して測定することと、
補助的負荷により使用されるエネルギーであって自動車が静止状態にある間に駆動動作のエネルギー効率とは無関係なエネルギーの量を、前記電子制御ユニットを使用して測定することと、
前記第1のエネルギー消費合計量と、第2のエネルギー消費合計量と、前記補助的負荷により使用されるエネルギーであって自動車が静止状態にある間に駆動動作のエネルギー効率とは無関係なエネルギーの量に基づいて燃料等価的総合エネルギー消費合計量を、前記電子制御ユニットを使用して測定することと、
前記総合燃料等価的距離/エネルギー消費率が、前記燃料等価的総合エネルギー消費合計量の1ガロン当たりの走行マイルの数値もしくは分数に相当するか、または、前記燃料等価的総合エネルギー消費合計量の1リットル当たりの走行キロメートルの数値もしくは分数に相当するように、前記測定された燃料等価的総合エネルギー消費合計量と、前記測定された前記時間期間中の走行距離とに基づいて、前記総合燃料等価的距離/エネルギー消費率を、前記電子制御ユニットを使用して測定することと、
前記測定された総合燃料等価的距離/エネルギー消費率に基づいた指標を、前記電子制御ユニットに接続された表示装置を使用して表示すること
とを含む方法。
【請求項14】
燃料コスト量を前記電子制御ユニットを使用して受け取ることと、
前記燃料等価的エネルギーコスト量が、前記時間期間全体にわたっての走行距離の1キロメートルまたは1マイルに関する燃料と燃料等価的非燃料エネルギーとの消費コストに相当するように、前記受け取られた燃料コスト量と前記測定された総合燃料等価的距離/エネルギー消費率とに基づいて、前記電子制御ユニットを使用して燃料等価的エネルギーコスト量を測定することと、
前記測定された燃料等価的エネルギーコスト量に相当するコスト指標を、前記表示装置を使用して表示すること
とをさらに含む請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記測定された総合燃料等価的距離/エネルギー消費率、または、前記測定された燃料等価的エネルギーコスト量に基づいて、前記エンジンの動作、または、前記BMCUの充電もしくは放電動作を、前記電子制御ユニットを使用して変化させることをさらに含む請求項14に記載の方法。
【請求項16】
自動車であって、
エンジンと、
前記エンジンに接続されており、かつ、前記エンジンの燃料消費率または消費量を測定するように構成されている燃料コントローラと、
バッテリーに接続されており、かつ、前記バッテリーの充電および放電を制御および監視するように構成されており、かつ、前記バッテリーの電気エネルギー消費率または消費量を測定するようにさらに構成されているバッテリー管理および充電ユニット(BMCU)と、
太陽電池パネル、ラムインダクション発電機、回生制動ユニット、熱交換ユニット、または、これらの組み合わせを含み、および、エネルギー発生率または発生量を有するエネルギー発生ユニットと、
前記エンジン、前記エネルギー発生ユニット、前記燃料コントローラ、および、前記BMCUに接続されている電子制御ユニットであって、
特定の時間期間中に自動車が走行する距離を測定し、
補助的負荷により使用される電気エネルギーであって自動車が静止状態にある間に駆動動作のエネルギー効率とは無関係な電気エネルギーの量を測定し、
前記測定された燃料消費率または消費量と、前記電気エネルギー消費率または消費量と、前記エネルギー発生率または発生量と、前記時間期間中に走行した距離と、前記補助的負荷により使用される電気エネルギーであって自動車が静止状態にある間に駆動動作のエネルギー効率とは無関係な電気エネルギーの量と、に基づいて、総合燃料等価的距離/エネルギー消費率を測定するように
構成されている、電子制御ユニットと、
前記電子制御ユニットに接続されており、かつ、前記測定された総合燃料等価的距離/エネルギー消費率に基づいた指標を表示するように構成されている表示装置であって、前記指標は、消費された燃料等価的エネルギーの量に関して自動車が走行した距離量に相当する、表示装置
とを備える、自動車。
【請求項17】
前記電子制御ユニットは、さらに、
燃料コスト量を受け取り、
料等価的エネルギーコスト量が、前記時間期間全体にわたる走行距離の1キロメートルまたは1マイルに関する燃料と燃料等価的非燃料エネルギーとの消費コストに相当するように、前記受け取られた燃料コスト量と前記測定された総合燃料等価的距離/エネルギー消費率とに基づいて前記燃料等価的エネルギーコスト量を測定し、
前記測定された総合燃料等価的距離/エネルギー消費率に基づいて、または、前記測定された燃料等価的エネルギーコスト量に基づいて、前記エンジンの動作、または、前記BMCUの充電もしくは放電動作を変化させる
ように構成されており、
前記表示装置は、さらに、前記測定された燃料等価的エネルギーコスト量に相当するコスト指標を表示するように構成されている
請求項16に記載の自動車。
【請求項18】
前記電子制御ユニットは、さらに、
前記バッテリー中に蓄積される電気エネルギーに燃料エネルギーが変換される時に失われるエネルギーに相当する第1のエネルギー損失量と、
前記BMCUまたは前記バッテリーに接続されている外部充電器を使用して前記バッテリーが充電される時に失われるエネルギーに相当する第2のエネルギー損失量と、
前記バッテリーが前記自動車の動作に電力供給するために放電される時に失われるエネルギーに相当する第3のエネルギー損失量と、
前記電子制御ユニットに接続されているかまたはその中に一体化されている記憶装置の中に記憶されているエネルギー効率データ
とに基づいてエネルギー損失数値または係数を測定するように構成されており、
前記電子制御ユニットは、さらに、前記測定されたエネルギー損失数値または係数に基づいて前記総合燃料等価的距離/エネルギー消費率を測定するように構成されている
請求項16に記載の自動車。
【請求項19】
前記指標は、前記測定された総合燃料等価的距離/エネルギー消費率に対応するテキストまたは数値であり、および、前記指標は、前記表示装置の表示スクリーン上に表示される請求項16に記載の自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料等価的距離/エネルギー消費率(fuel−equivalent distance−per−energy consumption rate)を測定(determine:決定)および表示するための方法およびシステムに関し、および、さらに特に、特定の時間期間全体にわたって消費された燃料および非燃料エネルギー合計の1ガロン当たりの自動車が走行する距離のマイル数、特定の時間期間全体にわたって消費された燃料および非燃料エネルギー合計の1リットル当たりの自動車が走行する距離のキロメーター数を測定および表示するための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
世界的なエネルギー価格の急速な上昇につれて、再充電可能なバッテリーを有する自動車のユーザが、特定の量の燃料の消費に対してその自動車がどれだけの距離を走行することが可能であるかを評価することに、ますます関心を寄せるようになっている。従来の自動車は燃料エネルギー源にだけ依存してきたので、自動車のユーザは、燃料1ガロン当たりの自動車の走行可能なマイル数(MPG)、または、燃料1リットル当たりの自動車の走行可能なキロメーター数(Km/l)を評価することが習慣になっている。
【0003】
ハイブリッド自動車およびプラグインハイブリッド自動車の場合には、単に燃料消費に基づいてMPGまたはKm/l情報を提示することの欠点が、その自動車のユーザが、非燃料エネルギー消費(例えば、電気エネルギー消費)が計算に入れられないので、消費エネルギーの単位量当たりの自動車の走行可能距離の正確な評価が不可能であるということである。例えば、バッテリーが放電されており、これによってエネルギーを枯渇させることがあり、および、さらには、電気エネルギー消費が、自動車のユーザに対して表示される燃料MPGまたはKm/l情報において計算に入れられないだろう。
【0004】
自動車ユーザが自動車のエネルギー効率を評価することを可能にするために、製造業者が、自動車ユーザに対してエネルギー効率情報を提供する新規性のある方法を求めてきた。エネルギー効率指標の欠点が、エンジニアリング専門家を除いた平均的な自動車ユーザにとってはエネルギー効率情報が不明瞭であり、理解し難いことがあるということである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、消費される燃料または燃料等価的非燃料エネルギー(fuel−equivalent non−fuel energy)の単位量に対して自動車がどれだけの距離を走行することが可能であるかに関する容易に理解可能な情報を測定および表示するための方法とシステムとが必要とされている。さらに、消費される総合的な燃料および燃料等価的非燃料エネルギー(total fuel and fuel−equivalent non−fuel energy)のガロンまたはリットルに基づいて燃料等価的MPGまたはKm/l率を測定および表示する方法およびシステムが必要とされている。さらに、総合的な燃料および燃料等価的非燃料エネルギーが消費される時間期間の全体にわたって走行距離の1キロメートルまたは1マイルを走行するためのコスト量(cost amount)に相当する、燃料等価的エネルギーコストを表示するための方法およびシステムが必要とされている。さらに、これに加えて、総合エネルギー効率を最大化する動作点に到達するためにエンジンの動作とバッテリーの充電/放電動作とを調整するための距離/エネルギー消費率(distance−per−energy consumption rate)を測定するための方法およびシステムが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、燃料等価的距離/エネルギー消費率を測定および表示するための方法およびシステムに関し、および、さらに特に、消費される総合的な燃料および非燃料エネルギーの1ガロン当たりの自動車が走行するマイル数、または、消費される総合的な燃料および非燃料エネルギーの1リットル当たりの自動車が走行するキロメーター数を測定および表示するための方法およびシステムに関する。一実施態様では、本発明は、例えば、自動車の燃料等価的距離/エネルギー消費率を測定および表示するためのコンピュータベースの方法であることがあり、この方法は、エンジンまたは燃料電池に接続されている燃料コントローラを使用して、燃料消費率または消費量を測定することと、バッテリーに接続されているバッテリー管理および充電ユニット(BMCU)を使用して、電気エネルギー消費率または消費量を測定することと、速度センサに接続されている電子制御ユニットを使用して、特定の時間期間中に自動車が走行する距離を測定することと、この電子制御ユニットを使用して、燃料および電気エネルギー消費率または消費量に基づいて、および、測定された時間期間中の走行距離に基づいて、燃料等価的距離/エネルギー消費率を測定することと、消費された燃料等価的エネルギーの量に対する自動車の走行距離量を表示するための、燃料等価的距離/エネルギー消費率に基づいた指標を、電子制御ユニットに接続された表示装置を使用して表示することとを含む。
【0007】
別の実施態様では、本発明は、自動車の燃料等価的距離/エネルギー消費率を測定および表示するためのコンピュータベースの方法であることがあり、この方法は、エンジンまたは燃料電池に接続されている燃料コントローラを使用して、特定の時間期間中にエンジンまたは燃料電池によって消費される燃料エネルギーの量に相当する第1のエネルギー消費合計量を測定することと、電子制御ユニットを使用して、その時間期間中に非燃料エネルギー源を使用して消費されるエネルギー量に相当する第2のエネルギー消費合計量を測定することと、電子制御ユニットとこの電子制御ユニットに接続されている速度センサとを使用して、その時間期間中に自動車が走行した距離を測定することと、電子制御ユニットを使用して、第1および第2の消費合計量に基づいて燃料等価的総合エネルギー消費合計量を測定することと、電子制御ユニットを使用して、その時間期間中の測定された燃料等価的総合エネルギー消費合計量と測定された走行距離とに基づいて燃料等価的距離/エネルギー消費率を測定し、したがって、この燃料等価的距離/エネルギー消費率は、燃料等価的総合エネルギー消費合計量の1ガロン当たりの走行マイルの数または分数に相当し、または、燃料等価的総合エネルギー消費合計量の1リットル当たりの走行キロメーターの数または分数に相当することと、電子制御ユニットに接続されている表示装置を使用して、測定された燃料等価的距離/エネルギー消費率に基づいた指標を表示することとを含む。
【0008】
さらに別の実施態様では、本発明は自動車であって、この自動車は、エンジンと、エンジンに接続されており、かつ、エンジンの燃料消費率または消費量を測定するように構成されている燃料コントローラと、バッテリーに接続されており、かつ、このバッテリーの充電および放電を制御および監視するように構成されており、かつ、このバッテリーの電気エネルギー消費率または消費量を測定するようにさらに構成されているバッテリー管理および充電ユニット(BMCU)と、太陽電池パネル、ラムインダクション発電機(ram induction generator)、回生制動ユニット、熱交換ユニット、または、これらの組み合わせを含み、および、エネルギー発生率または発生量を有するエネルギー発生ユニットと、エンジン、エネルギー発生ユニット、燃料コントローラ、および、BMCUに接続されている電子制御ユニットであって、速度センサを使用して、特定の時間期間中に自動車が走行する距離を測定し、および、測定された燃料消費率または消費量と、電気エネルギー消費率または消費量と、エネルギー発生率または発生量と、時間期間中に走行した距離とに基づいて、燃料等価的距離/エネルギー消費率を測定するように構成されている電子制御ユニットとを含み、この自動車は、さらに、電子制御ユニットに接続されており、かつ、測定された燃料等価的距離/エネルギー消費率に基づいて指標を表示するように構成されている表示装置をさらに含み、この指標は、消費された燃料等価的エネルギーの量に対して自動車が走行する距離量に相当する。
【0009】
本発明の他のシステムと方法と特徴と利点とが、次の図面と詳細な説明とを検討することによって、当業者にとって明らかであろうし、または、明らかになるだろう。こうしたすべての追加のシステムと方法と特徴と利点とがこの説明に含まれており、本発明の範囲内に含まれており、および、添付されている特許請求項によって保護されることが意図されている。図面に示されている構成部品は必ずしも同一の縮尺比で示されているわけではなく、および、本発明の重要な特徴要素をより適切に図示するために誇張されていることがある。これらの図面では、同じ照合番号が種々の図の全体を通じて同じ部品を示す。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の実施形態による自動車のブロック図である。
図2図2は、本発明の実施形態によって、燃料等価的総合エネルギー消費合計量がどのように測定されるかを示す、制御ロジックのブロック図である。
図3A図3Aは、本発明の例示的な実施形態による自動車の動作中のバッテリーの充電状態(SOC)の一例を示すグラフである。
図3B図3Bは、図3Aに示されている本発明の実施形態による、バッテリーのSOCの変化に応じた、燃料消費および燃料等価的総合エネルギー消費合計量における変化を示すグラフである。
図4A図4Aは、本発明の実施形態による燃料等価的距離/エネルギー率を測定および表示する方法を示す判断フローチャート図である。
図4B図4Bは、本発明の実施形態による燃料等価的距離/エネルギー率を測定および表示する方法を示す判断フローチャート図である。
図5A図5Aは、本発明の別の実施形態による燃料等価的距離/エネルギー率を測定および表示する方法を示す判断フローチャート図である。
図5B図5Bは、本発明の別の実施形態による燃料等価的距離/エネルギー率を測定および表示する方法を示す判断フローチャート図である。
図6図6は、本発明の実施形態による、自動車が動作させられている時にリアルタイムで測定および更新される、燃料等価的距離/エネルギー率と、コスト/走行距離と、総合エネルギー効率とを示す指標を有する、自動車の表示装置の表示スクリーンである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1を参照すると、本発明の実施形態による自動車100のブロック図が示されている。この自動車100は、電子制御ユニット102と、表示装置104と、エンジン106と、エンジン燃料コントローラ108と、エネルギー発生ユニット110と、充電器112と、バッテリー管理および制御ユニット(以下ではBMCUと呼ばれる)116と、バッテリー118と、自動車速度センサ120とを含むだろう。BMCU116は、バッテリー管理システム(BMS)114と充電器112とを含むだろう。充電器112は、外部充電器に接続されるように構成されていることがある。自動車100は、さらに、モータ/発電機とHVAC(暖房、換気、および、空調)ユニットとを含むだろう。
【0012】
自動車100は、燃料源と非燃料エネルギー源とを使用することによって動作する。自動車100は、本発明の範囲を限定することなしに、代替燃料自動車、ハイブリッド電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車、電気自動車、または、太陽電池駆動自動車、または、非燃料エネルギー源を使用する他のあらゆる自動車であるだろう。自動車100は、あらゆるエネルギー形態のエネルギー消費を燃料等価的エネルギー消費率または消費量に変換することによって、燃料等価的距離/エネルギー消費率を測定および表示するだろう。
【0013】
電子制御ユニット102は、制御エリアネットワーク(CAN)バスを経由した電子信号の送信を使用して、表示装置104、エンジン106、エンジン燃料コントローラ108、BMS114、充電器112、および、自動車100の他のユニットに対する連続的または周期的な通信状態にあるだろう。他の実施形態では、制御および通信が、様々な他のタイプのシリアル通信リンク、直接的な配線、ディジタル通信バス、無線通信、または、他の通信リンクを経由しているだろう。
【0014】
エンジン燃料コントローラ108は、内燃動作のためのエンジン106内への燃料噴射を制御および監視する。燃料消費率または消費量を測定するために、電子制御ユニット102は、エンジン燃料コントローラ108と周期的に通信し合っているだろう。燃料コントローラ108は燃料インジェクタシステムであるだろう。エンジン106に供給される燃料の量が、燃料インジェクタのパルス幅に部分的に基づいて測定されるだろう。エンジン燃料コントローラ108および/または電子制御ユニット102は、マスエアフローセンサ、酸素センサ、スロットルバルブの位置を監視するスロットル位置センサ、クーラント温度センサ、空気圧センサ、エンジン回転速度センサ、および/または、電子制御ユニット102が燃料消費率または消費量を測定することを可能にする信号を発生させる他の入力センサを使用して、燃料消費率を測定するだろう。電子制御ユニット102は、燃料消費量または消費値を測定するために、記憶装置(図示されていない)内に記憶されているルックアップテーブルまたはアルゴリズムまたはデータを使用するだろう。記憶装置は電子制御ユニット102と一体であるか、または、電子制御ユニット102に接続されているだろう。この電子制御ユニット102と記憶装置は、特定用途向け集積回路(ASIC)内に含まれているだろう。このASICは無線モデム内に含まれていることもある。代替策としては、電子制御ユニット102と記憶装置は、無線モデム内に別々の構成要素として含まれていることがある。
【0015】
ガソリン、ディーゼル燃料、エタノール、バイオディーゼル燃料、天然ガス、プロパン、水素、または、これらの組み合わせを非限定的に含む、様々なタイプの燃料が自動車100によって使用されるだろう。自動車100は、エンジン106の代わりに、または、エンジン106に加えて、酸化剤を用いた化学反応によって燃料を変換することによってバッテリー118および/またはコンデンサを充電することが可能な燃料電池をさらに含むことがある。燃料消費合計量が、燃料消費率を測定するために、計算されて電子制御ユニット102と通信されるだろう。
【0016】
燃料等価的距離/エネルギー消費率を測定するために、電子制御ユニット102は、特定の時間期間中の走行距離を測定するだろう。一実施形態では、電子制御ユニット102は、自動車速度センサ120を使用して、その特定の時間期間中の自動車の速度を測定するだろう。その次に、電子制御ユニット102は、その特定の時間期間中に自動車100が走行する距離を測定するために、その特定の時間期間全体にわたっての自動車の速度を積分するだろう。
【0017】
一実施形態では、バッテリー118は、自動車100の動作のための電気エネルギーを提供する。バッテリー118は、自動車100で使用されることが可能な任意の再充電可能なバッテリーであってよく、および、複数のバッテリーセルを含むだろう。このバッテリー118は、自動車100によって蓄積される電気エネルギーの形に燃料エネルギーを変換することによって、モータ/発電機を使用して充電されるだろう。例えば全電気式自動車またはプラグインハイブリッド自動車の場合のように、バッテリー118は、充電器112またはバッテリー118に接続されている外部充電器を使用して充電されるだろう。
【0018】
電気エネルギー消費は、バッテリー118を出入りする電気エネルギーを測定することによって測定されることが可能である。バッテリー118の充電状態(SOC)のレベルの変化が、電気消費率または消費量を表示するだろう。BMS114が、バッテリー118のSOCを測定するために使用されるパラメータをセンサを使用して測定するだろう。このセンサは、電圧、電流、温度、電荷受容性、内部抵抗、自己放電、磁気特性、バッテリー118の正常性および/または他の状態またはパラメータを測定するだろう。一実施形態では、電子制御ユニット102は、バッテリー118の現在の充電容量を基準として、バッテリー118または自動車100に蓄積されているエネルギー値に基づいてバッテリー118のSOCパーセンテージまたは比率を測定するだろう。別の実施形態では、BMS114は、自動車100の内側に配置されている種々の負荷に対するバッテリー118の接続を選択的に作動させるためにリレーに対して制御信号を送ることが可能である。これらの負荷は、例えば、プログラム可能な記憶項目を有する自動車100の種々のユニットまたはデバイスであることが可能である。電子制御ユニット102は、SOCまたは表示SOCを操作することがあり、または、操作しないこともある。一実施形態では、電子制御ユニット102は、表示装置104と自動車100の他のユニットの動作とを制御するために、自動車100またはバッテリー118のSOCにアクセスすることができるだろう。
【0019】
別の実施形態では、SOCは、記憶装置内に記憶されているバッテリー118に関する基準容量を基準として、記憶されているエネルギー値に基づいて測定されるだろう。さらに別の実施形態では、SOCは、バッテリー118に関連付けられている別の予め決められた値を基準として、パーセンテージまたは比率として測定されることがある。SOCは、エネルギーのアンペア時(Ah)またはキロワット時(kW−h)の形で測定されるだろう。別の実施形態では、電子制御ユニット102は、バッテリー118の測定SOCに基づいて表示SOCを決定し、したがって、表示SOCがSOC値の範囲に関して測定されたSOCとは異なることがある。例えば、表示SOCは、測定されたSOCが閾値よりも高い時に、その測定SOCよりも大きいパーセンテージに相当するだろう。一実施形態では、電子制御ユニット102は、燃料等価的消費率また消費量を測定するために表示SOCを使用することがある。SOCのパーセンテージ、値、または、数値を測定するための当業で公知の他のシステムまたは方法が、本発明の範囲を限定することなしに、自動車100において使用されてもよい。
【0020】
電子制御ユニット102は、バッテリー118のSOCの変動に基づいて電気エネルギー消費の燃料等価的消費率を測定するだろう。例えば、SOCにおける33.7kW−hの変化が、約1ガロンのガソリン中に蓄えられているエネルギーに相当するだろう。消費された電気エネルギーは、燃料等価的エネルギー量に変換され、および、後述するように、燃料等価的総合エネルギー消費合計量を得るために燃料消費合計量に加算されるだろう。燃料等価的総合エネルギー消費合計量のガロンまたはリットルの合計数値が測定され終わると、電子制御ユニット102は、例えばマイル/ガロン等価量(MPG−e)またはキロメートル/リットル等価量(Km/l−e)の形で、燃料等価的距離/エネルギー消費率を測定するために、燃料等価的総合エネルギー消費合計量(ガロンまたはリットル)のエネルギー量で走行距離(マイルまたはキロメートル)を割り算するだろう。
【0021】
一実施形態では、バッテリー118は、自動車100の出発時の以前に外部充電器に接続されるだろう。一実施形態では、BMCU116は外部電源に接続されている。この外部電源は、自動車100の外側に配置されている外部充電器に接続されている交流電源を含む。この外部充電器は、様々なタイプの電気自動車充電ステーション、壁埋め込み型電気充電ソリューション、または、住居環境または商業環境内で使用される電気自動車給電装置のいずれであってもよい。外部充電器は、図1に示されている本発明の一実施形態では自動車100の内側に配置されていることがある充電器112に接続されている。充電器112は、外部電源から受け取られた交流電圧または交流電流を、バッテリー118に送られる直流電圧または直流電流に変換するための、交流/直流変換器に接続されているかまたはこれを含んでいるだろう。別の実施形態では、外部電源は、外部充電器を使用せずに、充電器112に接続されているか、または、BMS114に接続されていることがある。さらに別の実施形態では、外部電源は直流電源であることがある。こうした実施形態では、充電器112は、交流/直流変換器に接続されることも交流/直流変換器を含むことも不要だろうし、および、自動車100は直流/直流変換器を含むだろう。電子制御ユニット102は、BMCU114の充電/放電動作に基づいて、消費される燃料等価的電気エネルギーを測定するだろう。
【0022】
蓄積される電気エネルギーは、外部電源を用いた充電、エンジン106からの燃料消費エネルギー、または、エネルギー発生ユニット110(例えば、回生制動)または他の手段によって発生させられるエネルギーであるだろう。一実施形態では、バッテリー118は、さらに、エネルギー発生ユニット110によって充電されることがあるコンデンサであることがある。補助的なモータ/発電機が、自動車100を作動させるためのトルクまたは機械的力を供給するように構成されていることがある。エネルギー発生ユニット110は、太陽電池パネル、ラムインダクション発電機、回生制動ユニット、熱交換ユニット、または、これらの組み合わせを含むことがある。この補助的なモータ/発電機は、エンジン106によって供給されるトルクを補足するだろう。自動車100は、さらに、バッテリー118を充電するためにエネルギー発生ユニット110によって使用される熱を発生させるためにエンジン106に連結されている触媒コンバータを含むことがある。この場合に、この補助的なモータ/発電機は、バッテリー118またはコンデンサを放電させることによって給電されるだろう。一実施形態では、電子制御ユニット102は、エネルギー発生ユニット110によって発生させられるエネルギーに基づいて、および、さらには、図5Aおよび図5Bに関連して詳細に後述されているエネルギー発生動作のエネルギー変換効率に基づいて、燃料等価的非燃料エネルギー消費合計量を測定する。
【0023】
一実施形態では、電子制御ユニット102は、燃料等価的距離/エネルギー消費率を周期的に(例えば、500ミリ秒毎に)測定し、および、測定されたこの消費率を表示装置104に周期的に通信する。電子制御ユニット102または別の表示コントローラは、測定された燃料等価的距離/エネルギー消費率に基づいて画像を表示するように表示装置104に命じるだろう。電子制御ユニット102は、さらに、測定された燃料等価的距離/エネルギー消費率と、記憶装置内にアルゴリズムまたはルックアップテーブルとして記憶されているデータシーケンスとに基づいて、幾つかのライトまたは発光ダイオードを点灯または消灯するように表示装置104に命じるだろう。
【0024】
本発明の利点の1つが、MPG−eまたはKm/l−eをリアルタイムで表示および測定することによってエネルギー消費のより正確な表示をユーザに提示し、これによって、その自動車ユーザが自動車100の総合的なエネルギー効率を評価することを可能にし、または、容易に理解可能でしかも正確な計量に基づいて、改善された総合的なエネルギー効率を実現するようにその自動車ユーザの運転習慣を調整することを可能にするということである。燃料消費だけに基づくMPG表示は、電気エネルギー消費が計算に入れられないので、エネルギー消費の正確な表示ではないだろう。従来の自動車において算出される距離/エネルギー消費は人為的に高いMPGまたはKm/lを示すだろう。本発明の別の利点が、電子制御ユニット102または別のコントローラ/プロセッサが、連続的に更新されるMPG−eまたはKm/l−eに基づいて、エンジン動作、充電/放電動作、電力制御、HVAC動作、自動車100のユニットの調整または他の動作を改善するだろうということである。こうしたフィードバックシステムは、自動車100の総合的なエネルギー効率を向上させる。
【0025】
図2を参照すると、制御ロジックブロック図200が、燃料等価的総合エネルギー消費合計量がどのように測定されるかを示す。燃料消費率または消費量202が、燃料の噴射率、噴射混合気中の燃料の体積、パルス幅、および、上述した他のパラメータを使用して、特定の時間期間中に測定されるだろう。燃料消費合計量206が、例えば、燃料量のガロン単位または他の燃料量の単位で表された初期燃料消費合計量を得るために、時間期間全体にわたっての燃料消費率または消費量202を積分または加算することによって、測定されるだろう。従来の自動車では、この後で、初期燃料消費合計量が、その時間期間中の走行距離を使用して、1ガロン当たりのマイル数(MPG)または1リットル当たりのキロメートル数(Km/l)に変換される。しかし、MPGまたはKm/lは、燃料消費比率に相当するだけであり、総合的エネルギー消費率には相当しないだろう。
【0026】
制御ロジックブロック図200は、さらに、例えば上述したバッテリー118のSOCを監視することによって、電気エネルギー消費率または消費量204を測定するように構成されている。初期の燃料等価的電気エネルギー消費合計量が、特定の時間期間全体にわたっての電気エネルギー消費率または消費量204を積分または加算することによって測定されるだろう。この初期燃料等価的電気エネルギー消費合計量は、例えば燃料等価的単位(ガロンまたはリットル)で表された燃料等価的電気エネルギー消費合計量208に変換されるだろう。燃料消費合計量206と燃料等価的電気エネルギー消費合計量208の両方が燃料等価的単位で表現されることがあるので、電子制御ユニット102は、ガロンまたはリットルで表された燃料等価的総合エネルギー消費合計量210を得るために、これら2つの値を加算するだろう。MPG−eまたはKm/l−eが、測定された燃料等価的総合エネルギー消費合計量210と特定の時間期間中に自動車100が走行した距離とに基づいて、電子制御ユニット102を使用して計算されるだろう。
【0027】
図3A図3Bとを参照すると、燃料消費合計量330(従来の自動車においてMPGを算出するために使用される)と、燃料等価的総合エネルギー消費合計量350との間の差が示されている。図3Aは、自動車100の動作中の時間(X軸上)の関数としてのバッテリー118のSOC(Y軸上)の変化の一例のグラフである。SOCの変化が、図示のためにセグメント(312、314、316、318、320、322)に分割されている。図3Bは、バッテリー118のSOCが自動車100の動作中に変化する時の、燃料消費合計量330(実線で示されている)と燃料等価的総合エネルギー消費合計量350(破線で示されている)とを示す。燃料消費合計量330は燃料消費合計量206に相当し、および、燃料等価的総合エネルギー消費合計量350は、図2に関して上述した燃料等価的総合エネルギー消費合計量210に相当する。
【0028】
一実施形態では、自動車100は、二者択一的に電気または燃料で動作するハイブリッド自動車であるだろう。電池118のSOCがセグメント312内において減少する時に、燃料はエンジン106内に噴射されていない。燃料消費合計量330は、セグメント332に示されているように、不変のままであるが、これは、電気エネルギーだけが減損しているからである。従来のリアルタイムMPG計算が人為的に高いMPGを報告するだろうが、これは、燃料が消費されていないからである。しかし、この実施形態では、電子制御ユニット102は、セグメント352に示されているように燃料等価的総合エネルギー消費合計量350が上昇していることを認識する。同様のパターンが、セグメント316、322におけるバッテリー118のSOCの変動と、セグメント336、342におけるそれぞれの燃料消費合計量と、セグメント356、362におけるそれぞれの燃料等価的総合エネルギー消費合計量とに当てはまる。セグメント314では、バッテリー118のSOCは減損されておらず、かつ、自動車100は燃料噴射からの燃料エネルギーだけによって動作している。セグメント334における燃料消費合計量330と、セグメント354における燃料等価的総合エネルギー消費合計量350は、同一の度合いまたは勾配で増加する。
【0029】
燃料等価的総合エネルギー消費合計量350が、供給される電気エネルギーの供給源と、バッテリー118に蓄積されている供給電気エネルギーの形にエネルギーの形態を自動車100がどのように変換するかとに依存していることがあるので、燃料等価的総合エネルギー消費合計量350を計算するために、バッテリー118のSOCが増大している時に、電子制御ユニット102は、蓄積された電気エネルギーを提供する供給源を判別するだろう。図3A図3Bとを参照すると、セグメント318では、自動車100は、自動車100を駆動しかつ同時にバッテリー118を充電するために燃料エネルギーを使用している。この結果として、燃料消費合計量330はセグメント338において増大する。燃料エネルギーの一部分が、自動車100の動作のために後で使用するためにバッテリー118を充電することを介して蓄積されているので、燃料等価的総合エネルギー消費合計量350は、セグメント338において燃料消費合計量330が増大する比率よりも低い比率でセグメント358において増大する。セグメント320では、燃料エネルギーがバッテリー118を充電するために使用されるので、バッテリー118のSOCは増大している。この結果として、燃料消費合計量330はセグメント340において増大する。こうした従来の自動車は、燃料エネルギーが自動車100の動作のために後で使用されるようにバッテリー118を充電するために使用されているのに反して、燃料エネルギーが失われるかまたは動的エネルギーに変換されていると間違って想定するので、従来の自動車はリアルタイムでMPGまたはKm/l値を減少させるだろう。しかし、本発明の一実施形態における電子制御ユニット102は、一形態のエネルギーが別に形態に変換されることを認識し、これによって、セグメント360において、燃料等価的総合エネルギー消費合計量350を概ね同一のレベルに維持する。別の実施形態では、電子制御ユニット102は、エネルギー変換効率と、バッテリー118の充電動作中に失われるエネルギーの量とに応じて、セグメント360において、燃料等価的総合エネルギー消費合計量350をわずかに増大させるだろう。要約すると、電子制御ユニット102は、セグメント338およびセグメント340において燃料消費合計量330が増大する比率よりも低い比率で、セグメント358およびセグメント360において燃料等価的総合エネルギー消費合計量350を増大させる。
【0030】
本発明の一実施形態では、燃料が消費されて燃料消費合計量330の上昇を生じさせる場合に、および、これと同時に、エネルギー発生ユニット110の回生制動機構から発生させられるエネルギーを回収することによってバッテリー118のSOCが増大する場合に、電子制御ユニット102は、(上述のセグメント358とセグメント360とは違って)燃料等価的総合エネルギー消費合計量350が増大する比率を減少させないだろう。この実施形態のための基礎的な根拠が、バッテリー118を充電するために供給される電気エネルギーが燃料エネルギーの消費からは直接的に得られないということである。この結果として、電子制御ユニット102は、バッテリー118のSOCの増大の原因に基づいて、総合的なエネルギー効率、燃料消費合計量330、燃料等価的総合エネルギー消費合計量350、および、燃料等価的距離/エネルギー消費率を評価する。
【0031】
同様に、燃料等価的総合エネルギー消費合計量350を算出するために、バッテリー118のSOCが減少している時に、電子制御ユニット102は種々の放電動作を判別するだろう。例えば、自動車100が静止状態にある間に、自動車100のヘッドライト、HVACユニット、および/または、他のユニットのような補助的負荷に電力供給するためにバッテリー118が放電させられる場合には、電子制御ユニット102は、この補助的負荷によって消費される電気的エネルギーが自動車100の駆動動作のためのエネルギー効率とは無関係であることを認識するだろう。したがって、静止状態では、電子制御ユニット102は、補助的負荷によって消費されるエネルギーに基づいて燃料等価的総合エネルギー消費合計量350をさほど大きく変更することはないだろう。
【0032】
図4Aおよび図4Bを参照すると、判断フローチャート図が、本発明の実施形態による燃料等価的距離/エネルギー率を測定および表示する方法を示す。電子制御ユニット102が、ステップ412において燃料消費合計量を測定するために、ステップ402において燃料消費率を測定し、ステップ408において特定の時間期間全体にわたって燃料消費率を積分するように構成されているだろう。ステップ412で測定された燃料消費合計量は、最初は任意の燃料単位量の形であり、消費された燃料のガロン数値またリットル数値に変換されるだろう。自動車100の動作中に同時にリアルタイムで、電子制御ユニット102は、ステップ422において一定不変の変換率を使用して非燃料消費合計量を測定するために、ステップ404において非燃料消費率を測定し、および、ステップ406において特定の時間期間全体にわたって非燃料消費率を積分するだろう。
【0033】
ステップ406では、この積分が、初期のエネルギー単位(例えばkW−h)で表現された数値または値をもたらし、および、その次に、等価の燃料(例えば、ガソリン)の等価のガロンまたはリットルの形に変換されるだろう。燃料等価的総合エネルギー消費合計量は、例えば、ステップ412からの燃料消費合計量とステップ422からの非燃料消費合計量とを加算することによって、ステップ424で決定されるだろう。自動車の動作中に同時にリアルタイムで、電子制御ユニット102は、ステップ426において、特定の時間期間中の自動車速度を測定し、および、上述したようにステップ430でその特定の時間期間全体にわたって走行した距離(Kmまたはマイル単位)を測定するために、ステップ428においてその時間期間全体にわたって自動車速度を積分するだろう。ステップ432では、電子制御ユニット102は、ステップ430からの距離を、ステップ424からの燃料等価的総合エネルギー消費合計量で割り算する。測定された燃料等価的距離/エネルギー率は、MPG−eまたはKm/l−eの単位で表現されるだろう。
【0034】
図4Aおよび図4Bを参照すると、自動車100の動作に先立って、または、自動車100の動作中にリアルタイムで同時に、電子制御ユニット102は、例えば燃料1ガロンまたは1リットル当たりのコストに相当する燃料コスト量(fuel cost amount)をステップ434で受け取るだろう。この燃料コスト量は、種々の手段を介してかつ種々の通貨または形式で受け取られるかまたは予め決められるだろう。別の実施形態では、電気コスト量のような非燃料コスト量も受け取られることがある。例えば、電気コスト量は、自動車100のユーザから、または、外部電源から受け取られることがある。電子制御ユニット102は、燃料等価的コスト量を測定するために、受け取られた燃料コスト量をステップ412からの燃料消費合計量に対して適用し、および、受け取られた非燃料コスト量をステップ422からの非燃料消費合計量に対して適用するだろう。その次に、電子制御ユニット102は、図6に関連して後述される特定の時間期間中に1キロメートルまたは1マイルを走行するためのコスト量に相当することがある測定された燃料等価的コスト量に基づいて、ステップ436において指標を決定して表示するだろう。電子制御ユニット102は、ステップ438における燃料等価的総合エネルギー消費合計量の1ガロン当たりの走行マイル数(MPG−e)、または、ステップ440における燃料等価的総合エネルギー消費合計量の1リットル当たりの走行キロメートル数(Km/l−e)を示す指標を表示するように表示装置104に命じるだろう。電子制御ユニット102は、さらに、図6に関連して詳細に後述されるように、ステップ442においてMPG−eまたはKm/l−eに基づいて画像を表示することがある。
【0035】
図4Aおよび図4Bを参照すると、ステップ444では、より高い総合的なエネルギー消費効率を実現するように、ステップ432における測定された燃料等価的距離/エネルギー率に基づいて、電子制御ユニット102または別のコントローラ/プロセッサが、エンジンの動作と、充電/放電動作と、電力制御と、HVAC動作と、自動車100のユニットの調整または他の動作とを改善するだろう。ステップ444が、さらに、燃料等価的コスト量を最小化するようにリアルタイムで自動車100の種々のユニットの動作を変化させるために、ステップ436において測定された燃料等価的コスト量に基づいているだろう。こうしたフィードバックシステムが、リアルタイムで、自動車100の総合的なエネルギー効率を向上させ、および/または、総合エネルギー消費のコストを最小化する。各々のステップがステップ446に示されているように周期的に(例えば、500ミリ秒毎に)繰り返され、これによってステップ444のフィードバックシステムと、ステップ436、438、440、442における表示された画像および指標が、リアリアルタイムのエネルギー消費値に依存することを可能にする。
【0036】
図5Aおよび図5Bは、本発明のさらに別の実施形態による、(一定不変の予め決められた変換係数の代わりに)測定されたエネルギー損失数値または係数に基づいて燃料等価的距離/エネルギー率を測定および表示する方法を示す、判断フローチャート図である。ステップ502、504、506、508、512は、図4Aおよび図4Bに関して上述したステップ402、404、406、408、412に相当する。一実施形態では、ステップ518において、図4Aおよび図4Bに関連して説明した一定不変の変換係数を使用する代わりに、電子制御ユニット102は、エンジン106の現在動作、BMCU116の充電/放電動作、エネルギー発生ユニット110のエネルギー発生動作、エンジン燃料コントローラ108から受け取った燃料消費データ、運転者の運転習慣、多量のエネルギーが損失する自動車100のHVACユニットおよび/または他の装置によって消費される電力に関して受け取られたフィードバックに基づいて、エネルギー損失数値または係数を測定するだろう。
【0037】
図5Aおよび図5Bを参照すると、予め決められた一定不変の変換係数だけの代わりに、エネルギー損失数値または係数に基づいてエネルギー変換を使用するための基礎をなす根拠が、エネルギー損失量が、バッテリー118内に蓄積されている電気エネルギー源と、エネルギーの形態を電気エネルギーに変換する効率とに大きく依存するだろうということである。例えば、ハイブリッド電気自動車内のバッテリー118を充電するために燃料エネルギーが消費される時に、このエネルギーの一部分が、エンジン106内で、モータ/発電機内で、または、バッテリー118の充電動作中に失われるだろう。例えば、初期加速および低速度運転においては、モータ/発電機は、自動車100に給電するためにバッテリー118からの電気を使用するだろう。バッテリー118が再充電される必要がある時には、モータ/発電機はエンジン106を始動し、エンジン106からのエネルギーを電気に変換し、この電気はバッテリー118内に蓄積される。電気エネルギーがバッテリー118内で使用可能となる前にこのプロセス中に失われるエネルギーは、自動車100が静止状態にある際に電気エネルギーが外部電源(例えば、プラグインハイブリッド自動車の場合)から得られる時に失われるエネルギーよりも著しく大きい。したがって、電子制御ユニット102は、充電/放電動作に関する、充電器112またはBMS114から受け取られるデータに基づいて、電気エネルギー源を最初に判定するだろう。自動車100が動作させられておらずかつ静止状態で外部電源によって充電されている場合には、エンジン動作中のエンジン効率とエネルギーの損失は無視されるだろう。
【0038】
従来のハイブリッド自動車の場合には、バッテリー118内のエネルギーの大半または全部がエンジン106からすでに得られているので、正確なMPG−eまたはKm/l−e表示が、エネルギー損失数値または係数の測定を必要とするだろう。標準的な条件では非燃料エネルギーの33.7kWhが1ガロンのガソリンの中に蓄積されているエネルギーと等しいことがあるので、そのエネルギーの特定のパーセンテージだけが将来の使用のために利用可能であるにすぎないだろう。したがって、電子制御ユニット102は、エンジン効率と、バッテリー118内に蓄積される電気エネルギーに燃料エネルギーが変換されている時のエネルギー損失と、バッテリー118の充電動作中のエネルギー損失とを考慮に入れるだろう。例えば、図3A図3Bとに関連して上述したように、燃料がセグメント340で消費され、および、消費されたエネルギーが電気エネルギーに変換される時には、エネルギー変換動作中に失われるエネルギーのせいで、燃料エネルギーの特定のパーセンテージだけしか自動車100の動作における将来の使用のために利用できないので、燃料等価的総合エネルギー消費合計量350はわずかに増大するだろう。一実施形態では、記憶装置が、自動車100の動作中のエンジン106の特定のトルクまたは回転速度にエネルギー損失量を対応させるエネルギー効率データを記憶するだろう。その次に、図5Aおよび図5Bに示されているように、電子制御ユニット102は、ステップ514においてエンジンのトルクおよび回転速度データを受け取ることによって、および、ステップ516において、この受け取られたエンジンのトルクおよび回転速度に対応するエネルギー効率データを記憶装置から検索することによってエネルギー損失数値または係数をルックアップまたは計算することによって、ステップ518においてエネルギー損失数値または係数を測定するだろう。したがって、これらのステップは、自動車100の現在の動作に基づいてステップ522において非燃料消費合計量を測定するために、自動車100の動作中にリアルタイムで行われるだろう。HVACユニットの動作、BMCU116の充電/放電動作、運転パターン、エネルギー効率に関する他のデータ、および、これらの組み合わせに関する、同様のルックアップテーブル、アルゴリズム、または、データが、ステップ532においてさらに正確な燃料等価的距離/エネルギー率を測定するために、電子制御ユニット102によって使用されるだろう。残りの他のステップは、距離/エネルギー消費指標およびコスト/走行距離指標を表示するために、図4Aおよび図4Bに関して説明したように行われるだろう。
【0039】
図6は、本発明の例示的な実施形態による、自動車100が動作させられる時にリアルタイムで各々が測定され更新される、燃料等価的距離/エネルギー率、測定された燃料等価的コスト量に対応するコスト/走行距離、および、総合エネルギー効率を示す指標を有する、自動車100の表示装置104の表示スクリーン600を示す。この画像は、LCD、有機発光ディスプレイ、プラズマディスプレイ、発光ダイオード、または、データを表示するための任意の他の表示機構を使用して表示されるだろう。画像602は、測定されたコスト/走行距離と距離/エネルギー消費率とを様々な単位で表示するだろう。
【0040】
図6に示されているように、総合エネルギー効率指標604は、さらに、現時点で実現されているエネルギー効率のレベルを自動車ユーザに示すためにも表示されるだろう。例えば、平均的エネルギー効率よりも高いエネルギー効率が実現されているが、運転習慣をさらに調整することによってその自動車ユーザがエネルギー効率を改善することが可能であるだろうということを、その自動車ユーザに示すために、10つのバーの中からの6つのバーが表示されることがある。例えば、「増大−効率閾値」(increasing−efficiency threshold)と「減少−効率閾値」(decreasing−efficiency threshold)とが記憶装置内に記憶されていることがある。MPG−eまたはKm/l−eが増大−効率閾値よりも高く増大する時には、追加の水平バーが、より高いエネルギー効率値(MPG−eまたはKm/l−e)が現時点で実現されているということを表示するためにリアルタイムで点灯されるだろうし、および、MPG−eまたはKm/l−eが減少−効率閾値よりも低く減少する時には、点灯されている水平バーが、より低いエネルギー効率値(MPG−eまたはKm/l−e)が現時点で実現されているということを表示するために、リアルタイムで消灯されるだろう。一実施形態では、電子制御ユニット102は、制御エリアネットワーク(CAN)バスを経由した電子信号の送信を使用して、測定されたコスト/距離および燃料等価的距離/エネルギー率を含む監視されたパラメータを表示装置104に通信する。他の実施形態では、制御および通信は、様々な他のタイプのシリアル通信リンク、直接的な配線、ディジタル通信バス、無線通信リンク、または、他の通信リンクを経由しているだろう。
【0041】
上記具体例に関連して説明した自動車100のための論理モジュールおよびステップが、直接的にハードウェアとして、または、プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュールとして、または、この2つの組み合わせとして具体化されるだろう。ソフトウェアモジュールは、RAMメモリ、フラッシュメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、レジスタ、ハードディスク、リムーバブルディスク、CD−ROM、または、当業で公知の任意の他の形態の記憶媒体の中に格納されるだろう。本発明の例示的な実施形態が、説明的な形式で開示されてきた。したがって、全体において使用されている術語は、非限定的なものとして理解されなければならない。本明細書の教示内容に対する軽微な変更が当業者にとって明らかであろうが、本明細書で保証される特許の範囲内に含まれることが意図されているものが、これによってもたらされる技術に対する進歩の範囲内に合理的に含まれているということと、添付されている特許請求項とその等価物との観点を除いては、この範囲が限定されてはならないということとが理解されなければならない。
【0042】
以上のとおり、本稿は、概して以下の発明を開示するものである。すなわち、本発明の一態様において、自動車の燃料等価的距離/エネルギー消費率を測定および表示するためのコンピュータベースの方法は、エンジンまたは燃料電池に接続されている燃料コントローラを使用して、燃料消費率または消費量を測定することと、バッテリーに接続されているバッテリー管理および充電ユニット(BMCU)を使用して、電気エネルギー消費率または消費量を測定することと、速度センサに接続されている電子制御ユニットを使用して、特定の時間期間中に自動車が走行する距離を測定することと、電子制御ユニットを使用して、燃料消費率または消費量および電気エネルギー消費率または消費量に基づいて、および、時間期間中に走行した測定された距離に基づいて、燃料等価的距離/エネルギー消費率を測定することと、消費された燃料等価的エネルギーの量に対する自動車の走行距離量を表示するための、燃料等価的距離/エネルギー消費率に基づいた指標を、電子制御ユニットに接続された表示装置を使用して表示することとを含む。
【0043】
この方法は、測定された燃料消費率または消費量に基づいて、時間期間中に消費された燃料消費合計量を、電子制御ユニットを使用して測定することと、測定された電気エネルギー消費率または消費量に基づいて、時間期間中に消費された燃料等価的電気エネルギー消費合計量を、電子制御ユニットを使用して測定することとをさらに含んでもよい。燃料等価的距離/エネルギー消費率を測定する段階は、さらに、燃料消費合計量と燃料等価的電気エネルギー消費合計量とに基づいてもよい。
【0044】
この方法は、電子制御ユニットを使用して、燃料消費合計量と燃料等価的電気エネルギー消費合計量とに基づいて燃料等価的総合エネルギー消費合計量を測定することをさらに含んでもよい。燃料等価的距離/エネルギー消費率を測定する段階は、さらに、測定された燃料等価的総合エネルギー消費合計量に基づいてもよい。
【0045】
燃料等価的総合エネルギー消費合計量を測定する段階は、電子制御ユニットを使用して、燃料消費合計量と燃料等価的電気エネルギー消費合計量とを加算することを含んでもよい。燃料等価的距離/エネルギー消費率を測定する段階は、電子制御ユニットを使用して、燃料等価的総合エネルギー消費合計量で時間期間中の走行距離を割り算することを含んでもよい。
【0046】
燃料消費合計量を測定する段階は、電子制御ユニットを使用して、時間期間全体にわたっての燃料消費率または消費量を積分または加算することを含んでもよい。燃料等価的電気エネルギー消費合計量を測定する段階は、電子制御ユニットを使用して、初期電気エネルギー消費合計量を得るために時間期間全体にわたっての電気エネルギー消費率または消費量を積分または加算することと、電子制御ユニットを使用して、初期電気エネルギー消費合計量にエネルギー変換係数を乗算することとを含んでもよい。
【0047】
燃料等価的距離/エネルギー消費率を測定する段階は、自動車の動作中に周期的に行われてもよい。この方法は、バッテリー中に蓄積されている電気エネルギーの形に燃料エネルギーが変換される時に失われるエネルギーに相当するエネルギー損失数値または係数を、電子制御ユニットを使用して測定することをさらに含んでもよい。燃料等価的燃料/エネルギー消費率を測定する段階は、さらに、測定されたエネルギー損失数値または係数に基づいてもよい。
【0048】
燃料消費率または消費量を測定する段階は、ガソリン、ディーゼル燃料、エタノール、バイオディーゼル燃料、天然ガス、プロパン、水素、および、これらの組み合わせから成るグループから選択される燃料の消費率または消費量に基づいてもよい。この方法は、エネルギー発生ユニットのエネルギー発生率または発生量を、自動車の電子制御ユニットとエネルギー発生ユニットとを使用して測定することをさらに含んでもよい。エネルギー発生ユニットは、太陽電池パネル、ラムインダクション発電機、回生制動ユニット、熱交換ユニット、または、これらの組み合わせを含んでもよい。燃料等価的距離/エネルギー消費率を測定する段階は、さらに、エネルギー発生ユニットの測定されたエネルギー発生率または発生量に基づいてもよい。指標は、燃料等価的総合エネルギー消費合計量の1ガロン当たりの走行距離のマイルの数値または分数、または、燃料等価的総合エネルギー消費合計量の1リットル当たりの走行距離のキロメートルの数値または分数に相当してもよい。
【0049】
この方法は、電子制御ユニットを使用して燃料コスト量を受け取ることと、電子制御ユニットを使用して電気コスト量を受け取ることと、燃料等価的エネルギーコスト量が、時間期間全体にわたっての走行距離の1キロメートルまたは1マイルに関する燃料および燃料等価的非燃料エネルギーの消費コストに相当するように、受け取られた燃料コスト量と、受け取られた電気コスト量と、測定された燃料等価的距離/エネルギー消費率とに基づいて、電子制御ユニットを使用して燃料等価的エネルギーコスト量を測定することと、測定された燃料等価的エネルギーコスト量に相当するコスト指標を、表示装置を使用して表示することとをさらに含んでもよい。
【0050】
この方法は、測定された燃料等価的距離/エネルギー消費率または測定された燃料等価的エネルギーコスト量に基づいて、エンジンの動作、または、BMCUの充電または放電動作を、電子制御ユニットを使用して変化させることをさらに含んでもよい。
【0051】
この方法は、燃料等価的距離/エネルギー消費率に基づいて各々が点灯または消灯される少なくとも1つまたは複数のライトを、表示装置によって提供することと、燃料等価的距離/エネルギー消費率が増大−効率閾値よりも高い数値に増大する時に、1つまたは複数のライトの中の少なくとも1つのライトを、表示装置に接続されている表示コントローラを使用して点灯させることと、燃料等価的距離/エネルギー消費率が減少−効率閾値よりも低い数値に減少する時に、1つまたは複数のライトの中の少なくとも1つのライトを、表示コントローラを使用して消灯させることとをさらに含んでもよい。
【0052】
本発明の他の態様において、自動車の燃料等価的距離/エネルギー消費率を測定および表示するためのコンピュータベースの方法は、特定の時間期間中のエンジンまたは燃料電池によって消費される燃料エネルギーの量に相当する第1のエネルギー消費合計量を、エンジンまたは燃料電池に接続されている燃料コントローラを使用して測定することと、時間期間中に非燃料エネルギー源を使用して消費されるエネルギーの量に相当する第2のエネルギー消費合計量を、電子制御ユニットを使用して測定することと、時間期間中に自動車が走行した距離を、電子制御ユニットとこの電子制御ユニットに接続されている速度センサとを使用して測定することと、第1および第2の消費合計量に基づいて燃料等価的総合エネルギー消費合計量を、電子制御ユニットを使用して測定することと、燃料等価的距離/エネルギー消費率が、燃料等価的総合エネルギー消費合計量の1ガロン当たりの走行マイルの数値または分数に相当するか、または、燃料等価的総合エネルギー消費合計量の1リットル当たりの走行キロメートルの数値または分数に相当するように、測定された燃料等価的総合エネルギー消費合計量と、測定された時間期間中の走行距離とに基づいて、燃料等価的距離/エネルギー消費率を、電子制御ユニットを使用して測定することと、測定された燃料等価的距離/エネルギー消費率に基づいた指標を、電子制御ユニットに接続された表示装置を使用して表示することとを含む。
【0053】
この方法は、燃料コスト量を電子制御ユニットを使用して受け取ることと、燃料等価的エネルギーコスト量が、時間期間全体にわたっての走行距離の1キロメートルまたは1マイルに関する燃料と燃料等価的非燃料エネルギーとの消費コストに相当するように、受け取られた燃料コスト量と測定された燃料等価的距離/エネルギー消費率とに基づいて、電子制御ユニットを使用して燃料等価的エネルギーコスト量を測定することと、測定された燃料等価的エネルギーコスト量に相当するコスト指標を、表示装置を使用して表示することとをさらに含んでもよい。
【0054】
この方法は、測定された燃料等価的距離/エネルギー消費率、または、測定された燃料等価的エネルギーコスト量に基づいて、エンジンの動作、または、BMCUの充電または放電動作を、電子制御ユニットを使用して変化させることをさらに含んでもよい。
【0055】
本発明のさらに他の態様において、自動車は、エンジンと、エンジンに接続されており、かつ、エンジンの燃料消費率または消費量を測定するように構成されている燃料コントローラと、バッテリーに接続されており、かつ、バッテリーの充電および放電を制御および監視するように構成されており、かつ、バッテリーの電気エネルギー消費率または消費量を測定するようにさらに構成されているバッテリー管理および充電ユニット(BMCU)と、太陽電池パネル、ラムインダクション発電機、回生制動ユニット、熱交換ユニット、または、これらの組み合わせを含み、および、エネルギー発生率または発生量を有するエネルギー発生ユニットと、エンジン、エネルギー発生ユニット、燃料コントローラ、および、BMCUに接続されている電子制御ユニットであって、特定の時間期間中に自動車が走行する距離を速度センサを使用して測定し、および、測定された燃料消費率または消費量と、電気エネルギー消費率または消費量と、エネルギー発生率または発生量と、時間期間中に走行した距離とに基づいて、燃料等価的距離/エネルギー消費率を測定するように構成されている、電子制御ユニットと、電子制御ユニットに接続されており、かつ、測定された燃料等価的距離/エネルギー消費率に基づいた指標を表示するように構成されている表示装置であって、指標は、消費された燃料等価的エネルギーの量に関して自動車が走行した距離量に相当する、表示装置とを備える。
【0056】
電子制御ユニットは、燃料コスト量を受け取り、燃料等価的エネルギーコスト量が、時間期間全体にわたる走行距離の1キロメートルまたは1マイルに関する燃料と燃料等価的非燃料エネルギーとの消費コストに相当するように、受け取られた燃料コスト量と測定された燃料等価的距離/エネルギー消費率とに基づいて燃料等価的エネルギーコスト量を測定し、測定された燃料等価的距離/エネルギー消費率に基づいて、または、測定された燃料等価的エネルギーコスト量に基づいて、エンジンの動作、または、BMCUの充電または放電動作を変化させるように構成されてもよい。表示装置は、測定された燃料等価的エネルギーコスト量に相当するコスト指標を表示するように構成されてもよい。
【0057】
電子制御ユニットは、バッテリー中に蓄積される電気エネルギーに燃料エネルギーが変換される時に失われるエネルギーに相当する第1のエネルギー損失量と、BMCUまたはバッテリーに接続されている外部充電器を使用してバッテリーが充電される時に失われるエネルギーに相当する第2のエネルギー損失量と、バッテリーが自動車の動作に電力供給するために放電される時に失われるエネルギーに相当する第3のエネルギー損失量と、電子制御ユニットに接続されているかまたはその中に一体化されている記憶装置の中に記憶されているエネルギー効率データとに基づいて、エネルギー損失数値または係数を測定するように構成されてもよい。電子制御ユニットは、測定されたエネルギー損失数値または係数に基づいて燃料等価的距離/エネルギー消費率を測定するように構成されてもよい。
【0058】
指標は、測定された燃料等価的距離/エネルギー消費率に対応するテキストまたは数値であり、および、指標は、表示装置の表示スクリーン上に表示されてもよい。
【符号の説明】
【0059】
100 自動車
102 電子制御ユニット
104 表示装置
106 エンジン
110 エネルギー発生ユニット
112 充電器
114 バッテリー管理システム
116 バッテリー管理および充電ユニット
118 バッテリー
120 自動車速度センサ
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6