(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
信号を送信し、該送信された送信信号の反射を含み得る受信信号を受信して、該受信信号に基づく周波数スペクトルを求め、該求めた周波数スペクトルにおける前記送信信号と前記受信信号との間の周波数差に対応して互いに重複しない各周波数範囲において所定の閾値に基づいて信号強度のレベル検出を実行するレーダ装置と、
前記互いに重複しない各周波数範囲での前記レベル検出に依存して照明を制御する制御装置と、
低速交通レーンを照明するように配置された少なくとも1つの第1のランプと、
高速交通レーンを照明するように配置された少なくとも1つの第2のランプと、
を有し、
前記制御装置は、
低周波差に対応する前記周波数範囲における前記レベル検出が、スペクトルパワー分布が該周波数範囲における前記所定の閾値を超えていることを示す場合、前記少なくとも1つの第1のランプに対する照明制御処理を定め、高周波差に対応する前記周波数範囲における前記レベル検出が、スペクトルパワー分布が該周波数範囲における前記所定の閾値を超えていることを示す場合、前記少なくとも1つの第2のランプに対する照明制御を定める、
照明システム。
前記レーダ装置は、信号の強度を特定の方向に集中するようにするビームフォーミング装置を有し、前記レーダ装置は信号の強度が集中される特定の方向に依存して前記所定の閾値を調整するように形成されている、請求項1に記載の照明システム。
前記レーダ装置は、前記受信信号の前記周波数スペクトルを提供するように形成されたフーリエ変換モジュールと、前記所定の閾値に基づいて前記レベル検出を実行する検出モジュールとを有する、請求項1に記載の照明システム。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<発明の概要>
(1)本発明の一形態による照明システムは、
信号を送信し、送信された送信信号
の反射
を含み得る受信信号のスペクトル
パワー分布を検出するレーダ装置と、
検出された前記スペクトル
パワー分布の関数として照明を制御する制御装置と
を有する照明システムである。
【0009】
受信信号のスペクトル分布は、
単に、移動している対
象の存否を示すことに加えて、有用な情報を提供する。すなわち、スペクトル
パワー分布は、速度の情報を提供し、かつ距離の情報も提供する。更に、スペクトル
パワー分布は、レーダ装置の検出範囲内にある複数の対象に関するそのような情報を提供する。対象が移動している速度を考慮した照明制御は、対象の移動を単に検出する照明
制御よりも
汎用的である。この
より優れた汎用性により、より効率的な電力照明を
可能にし、かつ照明を心地よい安全なものにすることができる。
【0010】
有利なことに、本発明の実施の形態は、以下に説明するような更なる特徴の1つ以上を有する。それらの追加的な特徴
は、それぞれ、汎用的な照明制御に寄与する。
【0011】
(2)前記制御装置は、有利なことに、検出された前記スペクトル
パワー分布の関数として、照明
の範囲
、強度及び
時間的変化のうちの特定の少なくとも1つを制御してもよい。
【0012】
(3)前記レーダ装置は、有利なことに、
送信信号と受信信号との間の周波数差に対応する各周波数範囲において各レベル検出を行う。この場合、前記制御装置
は好適に、各周波数範囲での各レベル検出に応じて照明を制御する。
【0013】
(4)
照明システムは、低速交通レー
ンを照明するように配置された少なくとも1つのランプと、高速交通レー
ンを照明するように配置された少なくとも1つのランプとを
含み得る。前記制御装置は、
好適には、低周波差に対応する周波数範囲
でのレベル検
出が、前記スペクトル
パワー分布
がその周波数範囲
で閾値を超えていることを示
す場合、前記低速交通レーンを
照明するように配置された少なくとも1つのランプを活性化し、高周波
差に対応する周波数範囲
でのレベル検
出が、前記スペクトル
パワー分布
が前記周波数範囲
で閾値を超えていることを示
す場合、前記高速交通レーンを
照明するように配置された少なくとも1つのランプを活性化してもよい。
【0014】
(5)照明システムはレーンの
対応する部分を
照明するように配置され
たランプを更に有していてもよい。前記照明装置は
好適に、複数の一連のランプを活性化するように形成されており、
レベル検出が前記スペクトルパワー分布が閾値を超えることを示す周波数範囲が高い程、より多くのランプが活性化される。
【0015】
(6)前記制御装置は、有利なことに、
各周波数範囲
でのレベル検出に応じて照明の
時間的変化を制御してもよい。
【0016】
(7)前記レーダ装置は、有利なことに、
各周波数範囲
での各レベル検出に対して各自の閾値を適用
してもよい。
【0017】
(8)前記レーダ装置は、有利なことに、信号の
パワーを特定の方向に
集中するようにするビームフォーミング装置を有し、前記レーダ装置は信号の
パワーが
集中される特定の方向
に依存して各閾値を調整
してもよい。
【0018】
(9)前記レーダ装置は、有利なことに、前記受信信号の周波数領域の表現を提供するように形成されたフーリエ変換モジュールと、前記周波数領域の表現から前記受信信号のスペクトル
パワー分布を検出する検出モジュールとを有していてもよい。
【0019】
(10)照明システムは、一群の照明モジュールを更に有していてもよい。前記レーダ装置は、有利なことに、
各照明モジュールに関連する
各レーダモジュールを有し、レーダモジュールは、個々に送信信号を送信し、
また、送信された送信信号の反射
を含み得る受信信号のスペクトル
パワー分布を
個々に検出する。制御装置は、有利なことに、
各照明モジュールに関連する
各制御モジュールを有していていもよい。制御モジュールは、
制御モジュールが関連する照明モジュール及び少なくとも1つの他の照明モジュールを制御し得る。
【0020】
(11)前記レーダ装置は、有利なことに、送信される送信信号が少なくとも一時的に周波数変調されたキャリアであるように形成されていてもよい。
【0021】
(12)前記レーダ装置は、有利なことに、
各周波数範囲
での
各レベル検出に対して各自の閾値を適用するように形成されており、
周波数範囲が対応する、送信信号と受信信号との間の周波数差が大きい程、閾値が高くなる。
【0022】
(13)前記制御装置は制御上書モジュールを有し、該制御上書モジュールを通じて、ユーザは、検出された前記受信信号のスペクトル
パワー分布によらずに照明を制御することができてもよい。
【0023】
本発明及び更なる特徴の説明を目的として、図面を参照しつつ、特定の実施形態の詳細な説明が提供される。
【0024】
<実施の形態の詳細な説明>
図1は
道路照明システム(Street lighting system:SLS)を示す。
道路照明システムSLSは個々のランプポス
トLP1−LP4を有し、個々のランプポストには個々のレーダ装置RU1−RU4が設けられている。ランプポストは典型的には照明部(luminary unit)に収容された1つ以上のランプを有する。レーダ装置は
、特に器物損壊等の攻撃から比較的安全なランプポストの照明部に一体化されていることが好まし
い。道路照明システムSLSはシステムコントローラSCT及び電源ソースEPSを更に有し、それらはスプリッタ/コンバイナSCに一緒に結合されている。電力分配ケーブルCBは、
各自のレーダ装置RU1−RU4を有する各ランプポストLP1−LP4をスプリッタ/コンバイナSCに結合する。
【0025】
道路照明システムSLSは、高速交通レー
ンFTL及び低速交通レー
ンSTLである2つのレーンを含む道に沿って配置されている。高速交通レーンFTLは主に
自動車用である。
図1は、高速交通レーンFTL
を所定の速度S
MVで運転している
自動車(motor vehicle:MV)を示す。低速交通レーンSTLは主に例えば歩行者や自転車のような
モーターを有さない乗り物のために意図されている。
図1は歩行者PDを示し、歩行者は低速交通レーンSTLを所与の速度S
PDで歩行している。ランプポストLP1、LP2は主に高速交通レーンFTLを照らすために配置されている。ランプポストLP3、LP4は主に低速交通レーンSTLを照らすために配置されている。
【0026】
道路照明システムSLSは基本的には次のように動作する。ランプポストに付随しているレーダ装置は、移動する対象の検出に依存してランプポストを制御する。例えば、速度がS
MVで走行している
自動車MVをレーダ装置が検出した場合、レーダ装置RU1はランプポストLP1のスイッチをオンにする。レーダ装置RU1は、システムコントローラSCTを介して間接的に又は直接的にコマンドをそのランプポストへ送信することで、
更にランプポストLP2のスイッチをオンにしてもよい。レーダ装置RU3は、速度S
PDで歩行している歩行者PDをこのレーダが検出した場合に、ランプポストLP3のスイッチをオンにしてもよい。
【0027】
システムコントローラSCTはデータDTを送信しかつデータDTを受信することができ、それらは以後ダウンリンクデータ及びアップリンクデータと言及される。スプリッタ/コンバイナSCは、言うなれば、システムコントローラSCTからのダウンリンクデータを、電力源ソースEPSが提供する
電力信号PWに重ね合わせる。従って、ダウンリンクデータは電力分配ケーブルCBを介して各自のレーダ装置RU1−RU4に到達することができる。逆に、レーダ装置は、そのデータを電力信号PWに重ね合わせることでアップリンクデータを送信する。アップリンクデータは電力分配ケーブルCBを介してスプリッタ/コンバイナSCに到達する。スプリッタ/コンバイナSCはアップリンクデータを抽出し、システムコントローラSCTがそのデータを受信できるようにする。
【0028】
図2はレーダ装置RUを概略的に示し、
図1に示されている個々の
レーダ装置RU1−RU4
を表すものとして見なされ得る。従ってレーダ装置RUは任意のラップポストLP1−LP4に関連付けることができる。レーダ装置RUは、以下の
基本モジュールに関連付けられていてもよい:搬送波生成
部CWG、送信増幅部TX、アンテナモジュールAM、受信アンテナRX、ミキサMIX、受信フィルタFIL、アナログ
−ディジタル変換部ADC、プログラマブルプロセッサPPR及び通信インタフェースCIF等。通信装置インタフェースCIFは、
電力源信号からのデータを分離しかつ電力源信号にデータを重ね合わせることが可能なスプリッタ/コンバイナを介して図1に示される電力分配ケーブルCBに結合され得る。
【0029】
より詳細に言えば、搬送波生成部CWGは、例えば、基準周波
数を受信する位相ロックループであってもよい。基準周波数はレーダ装置
RU自身により生成されてもよいし、或いは例えば電力分配ケーブルCBを介してレーダ装置RUに印加されてもよい。アンテナモジュール
AMは、送信及び受信のために
使用される単独のアンテナ又は一群のアンテナで形成されていてもよい。或いは、アンテナモジュールAMは、
一方が送信用に使用され、他方が受信用に使用される一対のアンテナでもよいし、一対のアンテナ群でも
よい。
【0030】
送信増幅部TXは、ビームステアリング
構成によって補完され得るビームフォーミング
構成を
含み得る。その場合、送信増幅部TXは、典型的には、位相シフタのバンク又は遅延ラインのバンク又はそれら双方を有する。送信増幅部TXは、
更に、どちらがビームフォーミング構成内に存在したとしても、位相シフタのバンク又は遅延ラインのバンクに結合される増幅器のバンクを含んでもよ
い。また、受信増幅部RXは、
ビームフォーミング及びステアリング構成を含んでもよいことに留意されたい。
【0031】
プログラマブルプロセッサPPRは、フーリエ変換モジュールFFT1、検出モジュール
DET1及び制御モジュールCTMを有する。
任意で、図中破線で示されているように
、プログラマブルプロセッサPPRは、追加的なフーリエ変換モジュールFFT2及び追加的な検出モジュールDET2を更に有していてもよい。上記のモジュールの各々は、例えば、プログラマブルプロセッサPPRのプログラムメモリにロードされる一群の命令の形式であってもよい。そのようにソフトウェアで実現される場合、一群の命令は、対象とするモジュールが実行する動作を規定する(この点については後述する)。
【0032】
制御モジュールCTMは、レーダ装置RUが関連付けられているランプポストに通信可能に結合されている。このため、レーダ装置は、簡明化の観点から
図2では表現されていない制御インタフェースを有する。制御モジュールCTMは、
更に、通信インタフェースCIFを通じて
他のランプポストに通信可能に結合される。
【0033】
レーダ装置RUは基本的には次のように動作する。搬送波生成部CWG
は搬送波信号CWを提供する。搬送波信号CWは一定の周波数でもよいし、或いは変調された周波数であってもよい。
搬送波信号CWが周波数変調されている場合、周波数変調は、例えば、三角波又は鋸波状等であってもよい。プログラマブルプロセッサPPRは、必要に応じて、搬送波信号CWの周波数及び周波数変調を制御してもよい。この周波数制御は、好ましくは、搬送波信号CWの周波数が隣接するレーダ装置の他の搬送波信号
の周波数と異なるようにする。これは、
誤検出を引き起こすおそれのある干渉を防ぐ。プログラマブルプロセッサPPRは搬送波生成部CWGを更に
制御し、搬送波信号CW
が定常的な周波数及び変調された周波数を
交互に有するようにする。
【0034】
送信増幅部TXは搬送波信号CWを増幅し、
搬送波信号CWはアンテナモジュールAMにより送信される。従って、基本的なレーダ装置RUは送信信号
を放射し、その送信信号は搬送波信号CWを増幅したものである。送信増幅部TXがビームフォーミング
構成を有する場合、送信信号は特定の方向に送信されることが可能である。このビームフォーミング
構成がビームステアリング
構成と共に使用される場合、その特定の方向は
、図2に示されているように
プログラマブルプロセッサPPRが供給し得るビーム制御信号BCに
よって調
整可能である。
【0035】
対象がレーダ装置RUに十分に接近していた場合、アンテナモジュールAMは
送信信号の十分に強い
反射を受信する。受信増幅部RXは、送信信号の反射
を含む受信信号R
F又はそれを増幅したものを
供給する。ミキサMIXは受信信号RF
と搬送波信号CWとを乗算
する。従って、ミキサMIXは中間周波数信号IFを提供し、中間周波数信号IFは受信信号RFの周波数をシフトさせたものである。
【0036】
所与の
周波数通過帯
域を有する受信フィルタFILは、中間周波数信号IFをフィルタリング
する。受信フィルタFILはフィルタリングされた中間周波数信号IFFを提供し、IFFは所与の
周波数通過帯域幅
内の中間周波数信号IFのスペクトル成分を有する。
周波数通過帯域幅
外のスペクトル成分は相対的に
大きく減衰させられる。受信フィルタFILは、好ましくは、
アナログ−ディジタル変換部ADCのサンプリング動作に固有のエイリアシングを防止するために設けられている。更に、受信フィルタFILは、アナログ
−ディジタル変換部ADCのダイナミックレンジ特
性に基づいて所謂プリエンファシス(pre-emphasis)の動作を行う。アナログ
−ディジタル変換部ADCは、フィルタリングされた中間周波数信号IFFのディジタル表現IFDを提供する。そのディジタル表現は、本願において、ディジタル中間周波数信号IFDと言及されてもよい。このディジタル中間周波数信号IFDはサンプルのストリームである。
【0037】
フーリエ変換モジュールFFT1は、ディジタル中間周波数信号IFDの周波数領域表現IFS1を提供する。この周波数領域表現は、本願では、中間周波数スペクトル表現
IFS1と言及される。より具体的に言えば、フーリエ変換モジュールFFT1は、ディジタル中間周波数信号IFDにおけるサンプルの一連の系列各々を、個々の一連の瞬時的な
中間周波数スペクトル表現に変換する。すなわち、特定の時間間隔
にわたる一連のサンプルが、その特定の時間間隔に適用する瞬間的な周波数スペクトル表現に変換する。
次の時間間隔
にわたる次のサンプルの系列は、
次の時間間隔に適用する
次の瞬時的な周波数スペクトルに変換し、以下同様である。追加的なフーリエ変換モジュールFFT2は同様
に作用する。追加的なフーリエ変換モジュールは、追加的な中間周波数スペクトル表現IFS2を提供する。
【0038】
図3は中間周波数スペクトル表現
IFS1の一例を示す。より正確に言えば、
図3は瞬時的な中間周波数スペクトル表現の例を示す。
図3は周波数Fを表す横軸と、大きさを表す縦軸とを示す。この例では、中間周波数スペクトル表現
IFS1は、太い黒丸で表現された16個のサンプルを含み、横軸の
下に1、2、...16のように番号が付されている。サンプルは中間周波数スペクトル表現IFS1の特定の部分を表現している。すなわち、サンプルは中間周波数スペクトル表現IFS1
の特定の周波数間
隔を表す。サンプルは、縦軸に平行で
サンプルを表す太い丸印(ドット)と横軸との間に伸びている比較的細いラインで示された特定の大きさを有
する。サンプルの大きさは、そのサンプルが表現する周波数間隔のスペクトルパワー
に対応する。
【0039】
中間周波数スペクトル表現IFS1は、典型的には0(直流)から最大周波数まで伸びていることに留意を要する。最大周波数は典型的には
サンプル周波数、すなわち、
中間周波数スペクトル表現IFS1を取得するためにフーリエ型変換を受けるサンプルが生じる周波数に依存する。いずれにせよ、所与のサンプリング周波数でアナログ
−ディジタル変換器ADCによるサンプリング処理が行われる場合、中間周波数スペクトル表現IFS1の最大周波数は典型的にはそのサンプリング周波数の半分を超えない。
また、受信フィルタFILの通過帯域幅を超える中間周波数スペクトル表現IFS1の最大周波数
は必要ない。
【0040】
中間周波数スペクトル表現IFS1は、対象の存在に関する情報に加えて、それらの対象に関連する速度情報をも提供する。これは、キャリア信号CWが定常的な周波数でありかついかなる周波数変調もなされていない場合である。キャリア信号CWが周波数変調されていた場合、中間周波数スペクトル表現IFS1は、更に、検出された対象に関する距離情報も提供する。そして、速度情報
も中間周波数スペクトル表現IFS1から導出され
得る。
【0041】
より詳細に言えば、キャリア信号CWが定常的な周波数であったとする。移動する対象に起因して反射が生じると、その反射は、キャリア信号CW
の周波数に対し
てシフトした周波数を有することになる。すなわち、キャリア信号CW及び
反射を含む受信信号RF間には
周波数差が存在する。これはドップラ効果として知られている。その結果、中間周波数スペクトル表現IFS1は、上記の周波数
差に等しい周波数
において比較的大きい成分を有する。レーダー装置RUに対
する対象の速度が速い
程、中間周波数スペクトル表現IFS1
内に生じるその成分
の周波数は高くなる。
よって、速度は実質的に周波数に変換される。対象が静止していた場合、すなわち速度が「ゼロ」であった場合
、中間周波数スペクトル表現IFS1
内の周波数「ゼロ」において成分が生じる。これは、中間周周波数信号IFが顕著な直流成分を有するからである。
【0042】
例えば、以下に示すテーブルは、レーダ装置RUに関する対象の速度と
中間周波数スペクトル表現IFS1において比較的大きな成分が生じる周波数との間の対応関係を示す。この関係はキャリア信号CWの2つの異なる周波数につい
て示される。
【0043】
【表1】
キャリア信号CWが周波数変調されていたと仮定する。レーダ装置RUから所定の距離にある対象により反射が起こり、レーダ装置RUが反射信号を受信するとする。反射波は、たとえ対象が静止していたとしてもキャリア信号CWに対してシフトした周波数を有することになる。
よって、キャリア信号CW及び
反射を含む受信信号RFの間には周波数差が存在
する。周波数
差は対象の距離の関数である。これはキャリア信号CWの周波数変調に起因する。中間周波数スペクトル表現IFS1は、上記の周波数差分に等しい周波数の地点で相対的に大きな成分を有する。この場合、レーダ装置RUから対象までの距離が
遠いほど、中間周波数スペクトル表現IFS1に生じる成分の周波数は高くなる。従って距離は周波数に変換される。
【0044】
検出モジュールDET1は、中間周波数スペクトル表現IFS1をなす個々の周波数範囲内で各自のレベル検出を実行する。中間周波数スペクトル表現IFS1がその周波数範囲内の閾値を超える場合、周波数範囲におけるレベル検出は
ポジティブを示す。そうでなかった場合、レベル検出は
ネガティブを示す。検出モジュールDET1は、
各周波数範
囲内の
各レベル検出に
関する一群の検出結果DR1を提供する。レベル検出の検出結果は、このレベル検出が対象とするその周波数範囲内で
ポジティブであるか又は
ネガティブであるかを示す。この一群の検出結果
DR1は、受信信号RFのスペクトル
パワー分布に関する情報を2進形式で提供する。場合によっては、同様に、追加的な検出モジュールDET2が、追加的な中間周波数スペクトル表現IFS2に基づいて追加的な一群の検出結果DR2を提供してもよい。フーリエ変換モジュールFFT1及び検出モジュールDET1は、バイナリ形式によるスペクトル
パワー分布検出器を一緒に構成していると考えてよい。同じことが、追加的なフーリエ変換モジュールFFT2及び追加的な検出モジュールDET2に適用される。
【0045】
図4は検出モジュールDET1の一実施形態を示す。この実施形態は
、便宜上、検出モジュールDET1
と呼ばれる。検出モジュールDET1は個々のレベル検出部LD
1,...,LD
Nを有し、
それぞれが中間周波数スペクトル表現IFS1から一群のサンプルS
1,..,S
Nの各々を受信する。一群のサンプルは、中間周波数スペクトル表現IFS1の中の特定の周波数範囲をカバ
ーする。従って、特定の一群のサンプルを受信するレベル検出器は、一群のサンプルがカバーしている周波数範囲のレベル検出を実行する。個々のレベル検出器LD
1,...,LD
Nは
、個々の周波数範囲RF
1,...,FR
Nの中の個々のレベル検出を実行するため
に個々の閾値TH
1,...,TH
Nを適用する。
【0046】
個々の閾値TH
1,...,TH
Nは、例えば、増幅され
たキャリア信号CWをレーダ装置RUが送信する特定の方向の関数として調整されてもよい。これは、送信増幅部TXがビームフォーミング及びステアリング方式を実行する場合に適用される。
図2に示されているようなビーム制御信号
BCに加えて、制御モジュールCTMは閾値制御信号を検出モジュールDET1に適用し、特定の送信方向に依存して個々の閾値TH
1,...,TH
Nを調整する。従って、レーダ装置RUは、所与の任意の周波数範囲に関し、
ある方向には比較的高い感度を有するが、他の方向にはより低い感度を有し得る。これは、比較的低い誤り検出率を達成できる。
【0047】
図5は、中間周波数信号IFのスペクトル
パワー分布を検出する一例を示す。
図5は、中間周波数スペクトル表現IFS1を示す
図3のグラフを含む。
図5に示す例の場合、
図4の検出モジュールDET1は4つのレベル検出器を有しており、
これは、N=4であることを示す
。第1のレベル検出器は第1の周波数範囲をカバーするサンプル1−4を含む第1群のサンプルを受信する。第1のレベル検出器は、第1の周波数範囲でレベル検出を実行するために第1の閾値TH
1を適用する。第2のレベル検出器は第2の周波数範囲をカバーするサンプル5−8を含む第2群のサンプルを受信する。第2のレベル検出器は、第2の周波数範囲でレベル検出を実行するために第2の閾値TH
2を適用する。第3のレベル検出器は第3の周波数範囲をカバーするサンプル9−12を含む第3群のサンプルを受信する。第3のレベル検出器は、第3の周波数範囲でレベル検出を実行するために第3の閾値TH
3を適用する。第4のレベル検出器は第4の周波数範囲をカバーするサンプル13−16を含む第4群のサンプルを受信する。第4のレベル検出器は、第4の周波数範囲でレベル検出を実行するために第4の閾値TH
4を適用する。
【0048】
図3に示されている中間周波数スペクトル表現IFS1及び
図4に示されている検出モジュールDET1に関する上記の説明は、何れも、追加的な周波数スペクトル表現IFS2及び追加的な検出モジュールDET2
にそれぞれ等しく適用される。よって、図5に関する上記のスペクトル
パワー分
布検出
の例も、追加的な周波数スペクトル表現IFS2に適用
され得る。
【0049】
図2に示されているフーリエ変換モジュールFFT1及び検出モジュールDET1は、主に、
キャリア信号CWが定常的な周波数を有する場合に受信信号RFのスペクトル
パワー分布を検出するのに使用されてもよい
。追加的なフーリエ変換モジュールFFT2及び追加的な検出モジュールDET2
は、主に、
キャリア信号CWが変調された周波数を有する場合に受信信号RFのスペクトル
パワー分布を検出するのに使用されてもよい。これは、フーリエ変換モジュールFFT1及び検出モジュールDET1が速度情報を提供すること
を目的とする一方、追加的なフーリエ変換モジュールFFT2及び追加的な検出モジュールDET2が距離情報を提供すること
を目的とすることを示す。キャリア信号CWが定常的で
ある場合にのみ、一群の検出結果DR1が速度に関連するように、検出モジュールDET1がアクティブにされてもよ
い。キャリア信号CWが周波数で変調されて
いる場合にのみ、追加的な一群の検出結果DR2が距離に関連するように、追加的な検出モジュールDET2がアクティブにされてもよ
い。よって、そのような実施形態は次の2つの
検出ブランチにより特徴付けられる:(1)速度情報に関する
検出ブランチ及び(2)距離情報に関する
検出ブランチである。
【0050】
これら2つの
検出ブランチを有する実施形態は、少なくとも次のような理由から有利である。速度情報を提供するのに
最適なフーリエ変換モジュールは、距離情報を提供するのに
最適なフーリエ変換モジュールと
同一でなく又は類似さえしなくてもよい。例えば
、線形であることは必須でない特定の周波数特性が得られるように
フーリエ変換モジュールを構成することで、フーリエ変換モジュールを特定の用途のために最適化することができる。特定
の範囲内で相対的に高い
分解能を達成するために周波数ワ−ピング(frequency warping)が使用されてもよい。
図2に示されているような2つの検出ブラン
チを備えている実施形態の場合、フーリエ変換モジュールFFT1は速度情報を提供するのに
最適化される一方、追加的なフーリエ変換モジュールFFT2は距離情報を提供するのに
最適化され得る。
【0051】
キャリア信号CWが10Hzの定常的な周波数であり、如何なる周波数変調もなされていなかったとする。この場合、検出モジュールDET1は、20Hzないし100Hzの周波数範囲内でレベル検出を行い、この範囲は、通常、人が
通常歩行する速度に対応する。検出モジュールDET1は、100Hzないし500Hzの周波数範囲内で別のレベル検出を実行してもよく、この範囲は、通常、
通常走行する自転車
の速度に対応する。検出モジュールDET1は、500Hzないし1kHzの周波数範囲内の更に別のレベル検出を実行してもよく、この範囲は典型的には比較的低速で
走行する車両に対応する。検出モジュールDET1は、1Hzないし2kHzの周波数範囲内の更に別のレベル検出を実行してもよく、この範囲は典型的には比較的高速で
走行する車両に対応する。
【0052】
図4及び
図5を参照しながら説明
されたように、検出モジュールDET1は、個々の周波数範囲内の個々のレベル検出のために個々の閾値TH
1,...,TH
Nを適用する。従って、対象がレーダ装置RUに関して移動する速度に依存して、レーダ装置
RUは
、対象の検出に関して比較的高い感度に又は低い感度にされ得る。言い換えれば、異なる閾値を
それぞれの速度に
適用することで、レーダ装置RUは、特定の速度で移動する対象を、他の特定の速度で移動する別の対象よりも重要に取り扱ってもよい。
【0053】
上記の例を参照
して、
図1に示されているようなレーダ装置
RU1は、500Hzないし2kHzの周波数範囲に比較的低い閾値を適用することで、移動している
自動車を比較的容易に検出できる。レーダ装置
RU1は、20Hzないし100Hzの周波数範囲に比較的高い閾値を適用することで、
歩行者及びモーターを有さない乗り物に対して比較的
低い感度を有し得る。逆に、レーダ装置
RU3は、20Hzないし100kHzの周波数範囲に比較的低い閾値を適用することで、通常歩行している人を比較的容易に検出できる。レーダ装置
RU3は、500Hzないし2kHzの周波数範囲に比較的高い閾値を適用することで、移動する
自動車に
対して比較的低い感度を有し得る。
【0054】
キャリア信号CWが周波数変調されていたとする。この場合、中間周波数スペクトル表現IFS1及び追加的な中間周波数スペクトル表現IFS2は、上述したように距離情報を提供する。所与の周波数で比較的大きな大きさを有するスペクトル成分は、対象が存在していることを示す。周波数は、レーダ装置RUに対する対象の距離を示す。周波数が高いほど、対象の距離も大きい。追加的な検出モジュールDET2は
、各距離範囲に対応する各周波数範囲において各レベル検出を実行できる。例えば、
図4に示されている例の場合、第1のレベル検出部は、レーダ装置RUに比較的近い第1の距離範囲のレベル検出を実行する。N番目のレベル検出器は、レーダ装置RUから相対的に
遠いN番目の距離範囲に関するレベル検出を実行してもよい。
【0055】
一般に、所与の距離にある対象による反射
に起因するスペクトル成分は、対象の距離の4乗で減少する大きさを有する。その結果、レーダ装置RUは、レーダ装置RUから比較的離れている対象よりも、レーダ装置RUに比較的近い対象に対して潜在的に
顕著に感度が高い。これは満足の行かない検出
特性である:すなわち、レーダ装置RUから比較的離れてい
る重要な対象が検出されない一方、レーダ装置RUに比較的
近い重要でない対象
が不必要に検出され得る。
【0056】
例えば、
蝶がレーダ装置RUの数センチメートルの距離の範囲内に近づいたとする。
蝶は
、例えば数平方センチメートルのような比較的小さな面積しか有さないにも関わらず、比較的大きなレベル又は大きさのスペクトル成分を生成
し得る。次に、車両が
レーダ装置RUから数十メートル程度の比較的離れた距離にあるとする
。車両は、
蝶により生成されるスペクトル成分に匹敵する大きさのスペクトル成分を生じる可能性がある。
これは、車両は例えば数平方メートル程度の顕著により大きな反射
面を有しているにもかかわらず
である。この車両により生成されるスペクトル成分の大きさは、
蝶により生成される
スペクトル成分より
低い可能性さえある。
【0057】
キャリア信号CWが周波数変調されていた場合、レーダ装置RUは、好ましくは、
上記した距離の4乗で減少する大きさの減少を補償する検出特性を実現するために
等化を適用する。
等化は、比較的遠方の対象に起因する比較的高い周波数を有するスペクトル成分を、比較的近い対象に起因する比較的低い周波数を有するスペクトル成分に対して増幅する。等化は、大きさ対周波数の対応関係を有し得り、対象とする周波数間隔の周波数の4乗と共に大きさが増加し得る。これは対象の周波数間隔における完全な等化を提供する。
大きさが周波数のより低次のべき乗と共に増加する対応関係により
達成される部分等化(partial equalization)も可能である。
【0058】
全体的又は部分的な等化は受信フィル
タFILを用いることで達成されてもよい。例えば、
大きさが対象とする周波数
間隔の周波数の4乗と共に増加する大きさ対周波数の応答特性を受信フィルタFILが
示す場合、完全な等化を達成できる。しかしながら、
これは、ダイナミックレンジの観点からは不利な影響を
招き得る。例えば、比較的低い周波数を有するスペクトル成分は、アナログ
−ディジタル変換器ADCのノイズレベル未満に実質的に消失し、或いは比較的高い周波数を有するスペクトル成分は、アナログ
−ディジタル変換器ADCを
実質的にオーバーロー
ドし、
又はこれら双方
の可能性がある。
【0059】
等化は、追加的な検出モジュールDEF2により少なくとも部分的に実行されてもよい(ただし、このモジュールは上述したように距離情報を提供することに特化されているものとする)。等化は、比較的高い閾値を、比較的低い周波数範囲でのレベル検出に適用
し、かつ
、比較的低い閾値を、比較的高い周波数範囲でのレベル検出に適用することで達成されてもよい。例えば、追加的な検出モジュールDEF2が
図1に示されているような検出モジュールDFT1に対応したとする。この場合、追加的な検出モジュールDFT2は、
各周波数範囲内で
各閾値TH
1,...,TH
Nを適用し、これにより閾値は、
追加的な中間周波数スペクトル表現IFS2内で個々の周波数範囲が高く位置するにつれ大きくなる。これに関して、中間周波数スペクトル内
の周波数範囲が高く
に位置される程、送信されるキャリア信号CWと受信信号RFとの間の周波数
差が大きくなることに留意を要する。
【0060】
受信フィルタFILを部分的に利用しかつ追加的な検出モジュールDET2を部分的に利用する等化を実行することは有利
であり得る。そのような部分的な等化は、
等化を言わば
単独のエンティティに集約するよりも高いダイナミックレンジを可能にし得る。例えば、完全な等化が実行されるべきであったとする。この場合、受信フィルタ
FILの
大きさ対周波数の応答において、対象の周波数間隔の
周波数の2のべき乗で
大きさが増加するように、受信フィルタFILを
構成することが可能である。追加的な検出モジュールDET2が適用する
各閾値TH
1,...,TH
Nはこれらが
周波数の2のべき乗
で減少するよう
なものであり得る。そのような実施形態の場合、受信フィルタFILは完全な等化の半分を行い、追加的な検出モジュールDET2が残りの半分を行う。
【0061】
追加的な検出モジュールDET2の閾値を決定する方法は、次のとおりである。先ず第1のステップにおいて、少なくとも部分的に適切な等化をもたらす一群の基本閾値が決定される。
各周波数範囲は、(存在するのであれば)より低い周波数範囲の閾値より高く、かつ、(存在するのであれば)より高い周波数範囲の閾値より低い基本閾値を有する。すなわち、
最も低い周波数範囲から出発して、基本閾値は特定の等化曲線に従って単調に増加して行く。第2のステップにおいて、適切な等化をもたらす基本的な等化は、個々の周波数範囲に対応する個々の距離範囲に
より高い又は低い強調を課すよう調整されてもよい。すなわち、レーダ装置RUは
、レーダ装置RUに対する対象の距離に依存して、所与のサイズの対象の検出に、より敏感に又は敏感でなくされ得る。これは検出曲線を等化曲線に重ねること
と見なすことができる。
【0062】
制御モジュールCTMは、検出モジュールDET1が提供する一群の検出結果DR1
、及び、存在する場合は追加的な検出モジュールDET2が提供する追加的な一群の検出結果DR2に基づいて、少なくとも1つの照明制御処理を
定める。以下においては、一群の検出結果DR1が速度情報をもたらし、追加的な検出結果DR2が上述したような距離情報を提供するものと仮定する。照明制御処理の様々な例
が図1及び
図2を参照しながら説明される。
【0063】
例えば、レーダ装置RU1において、中間周波数スペクトル表現IFS1が、比較的低速で移動する
自動車に典型的な速度範囲に対応する周波数範
囲の閾値を超えたことを示したと仮定する。この場合、制御モジュールCTMは、レーダ装置
RU1に関連付けられておりかつ高速交通レーンFTLを照らすために設けられているランプポストLP1のスイッチをオンにする。このため
に、制御モジュールCTMは、ランプポストLP1内のランプのスイッチをオンにする制御信号CSを提供する。
【0064】
例えば、レーダ装置RU1において、一群の検出結果DR1が、比較的高速で移動する
自動車に典型的な速度範囲に対応する周波数範
囲の閾値を超えたことを示したと仮定する。この場合、制御モジュールCTMは、ランプポストLP1のスイッチをオンにし、ランプポストLP2のスイッチをオンにすべきことを示すメッセージMSを追加的に発行してもよい。レーダ装置RU1は、通信インターフェースCIFを通じてこのメッセージMSをシステムコントローラSCTに送信してもよい。或いは、レーダ装置RU1はこのメッセージMSをランプポストLP2に直接的に送信してもよい。何れにせよ、ランプポスト
LP1に加えて、ランプポストLP2
がオンにされる。これは、比較的高速で移動する車両が、比較的低速で運動する車両
よりも遠くを見えるようにする。
【0065】
よって、レーダ装置RUの制御モジュールCTMは或る制御方法を実行し、レーダ装置RUが関連付けられている
ランプポストを含む多数の一連のランプポストのスイッチがオンにされてもよい。その制御方法は
、検出モジュールDET1が肯定的な検出結果を提供
する周波数範囲が高い程、より多数の一連のランプポストが
起動されるようにする。この場合、車両の速度が速いほど、一連の多数のランプポストがオンになっていることの恩恵により
、車両は、より遠く
を見ることができる。
【0066】
次に、レーダ装置
RU1において、一群の検出結果DR1
が、中間的な周波数スペクトル表現IFS1が、
通常走行する自転車に典型的な速度範囲に対応する周波数範囲でのみ閾値を超えていた
ことを示すと仮定する。この場合、制御モジュールCTMは、レーダ装置
RU1に関連付けられておりかつ高速交通レーンFTLを照らすために設けられているランプポストLP1のスイッチをオンにすることを控える。
代わりに、制御モジュールCTMはランプポストLP3がスイッチをオンにすることを指示するメッセージMSを送信してもよい。レーダ装置RU1は、通信インタフェースCIFを通じてそのメッセージMSをシステムコントローラSCTに送信する。或いは、レーダ装置RUはそのメッセージMSをランプポストLP3に直接的に送信してもよい。何れにせよ、ランプポストLP3のスイッチはオンにされるが、ランプポストLP
1は起動しない。これは自転車
の運転者に、高速交通レーン
FTLではなく低速交通レーンSTLを選択することを促す。中間周波数スペクトル表現IFS1が通
常歩行している歩行者
に典型的な速度範囲に対応する周波数範囲内でのみ閾値を超える場
合、制御モジュールCTMは同様な制御方法を適用してもよい。これは、
同様に、歩行者が低速交通レーンSTLを選択することを促す。
【0067】
よって、高速交通レーンを照らすように設けられているランプポストに関連付けられているレーダ装置RUの制御モジュールCTMは、以下の制御方法を実行してもよい。中間周波数スペクトル表現IFS1が、高速交通レーンを選択
すべき車両
に典型的な速度範囲に対応する周波数範囲
で閾値を超えていた場合、制御モジュールCTMはランプポス
トをオンに切り替える。中間周波数スペクトル表現IFS1がそのよう
な周波数範囲
で閾値を超えていなかった場合、ランプポストは
起動しないままである。しかしながら、高速交通レーンFTLを選択
すべき車両
に典型的な周波数範囲以外の何らかの周波数範囲
で閾値
を超えていた場合、制御モジュールCTMは、低速交通レーンSTLを照らすように設けられている比較的近くのランプポス
トをオンにするメッセージMSを発行する。
【0068】
逆に、低速交通レーンを照らすように設けられているランプポストに関連付けられているレーダ装置RUの制御モジュールCTMは、以下の制御方法を実行してもよい。中間周波数スペクトル表現IFS1が、低速交通レーンを選択
すべき歩行者及び
乗り物に
典型的な速度範囲に対応する周波数範囲
で閾値を超える場合、制御モジュールCTMはランプポス
トをオンにする。中間周波数スペクトル表現IFS1がそのような如何なる周波数範囲
でも閾値を超えなかった場合、ランプポストは
起動しないままである。しかしながら、低速交通レーンを選択
すべき歩行者
や乗り物に
典型的な周波数範囲以外の何らかの周波数範囲
で閾値
を超えていた場合、制御モジュールCTMは、高速交通レーンを照らすように設けられている比較的近くにあるランプポス
トをオンにするメッセージMSを発行する。
【0069】
制御モジュールCTMはランプポストを単にオン又はオフにするだけでない照明
制御処理を
定めてもよい。例えば、検出モジュールDET1が提供する一群の検出結果DR1に依存して、制御モジュールCTMは照明の時間変動を制御してもよい。レーダ装置RU1において、中間周波数スペクトル表現IFS1が、比較的低速で移動する
自動車にとって一般的な速度範囲に対応する周波数範囲
で閾値を超えていることを、一群の検出結果DR1が示していたと仮定する。この場合、制御モジュールCTMはランプポストLP1を制御し、そのランプポストにより提供される照明強度
を比較的
緩やかに上昇させる。逆に、高速で移動する
自動車に典型的な速度に対応する周波数範囲内で閾値を超えた場合、制御モジュールCTMは照明強度を比較的
速く上昇させる。
【0070】
ランプポストに関連付けられているレーダ装置RUの制御モジュールCTMは、次のような制御方法を実行してもよい。検出モジュールDET1がポジティブな検出結果を提供する周波数範囲が高いほど、照明のない状態から開始して所定の照明強度に至るまでに
かかる時間の観点から
、ランプポス
トを速やかにオンにする。
簡単に言えば、対象が
速く動いているほど、ランプポスト
は速やかにオンにされる。
【0071】
制御モジュールCTMは、距離情報を提供する追加的な一群の検出結果DR2に基づいて照明制御処理を
定めてもよい。例えば、ランプポストにおいて、追加的な一連の検出結果DR2は、追加的な中
間周波数スペクトル表現IFS2が比較的高い周波数範囲内でのみ閾値を超えて
いたと仮定する。これは、ランプポストから比較的遠い距離に対象が存在するが、ランプポストに比較的近い距離には
重要な対象が存在しないことを示す。この場合、制御モジュールCTMは、照明強度が比較的低くなるようにランプポストを制御してもよい。
【0072】
追加的な中間周波数スペクトル表現IFS2が比較的低い周波数範囲
で閾値を超えていることを、追加的な一群の検出結果DR2が示して
いたと仮定する。これは、ランプポストの比較的近くに対象が存在することを示す。この場合、制御モジュールCTMは、照明強度が比較的強くなるようにランプポストを制御してもよい。
【0073】
よって、制御モジュールCTMは以下の制御方法を実行してもよい。追加的な検出モジュールDET2がポジティブな検出結果を示す周波数範囲が低いほど、照明強度を強くする。従って、対象
が近いほど、照明強度は強くなる。対象が
所定の近傍領域内に存在する場合、照明強度は比較的高いレベルのまま一定であってよい。
【0074】
一群の検出結果DR1及び追加的な一群の検出結果DR2の時間変動に基づいて、レーダ装置RUの制御モジュールCTMは別の照明制御処理及び方法を
定めてもよい。そのような時間
変動は、例えば、トラフィック
の種類だけでなく交通密度のような情報をも提供するかもしれない。例えば、制御モジュールCTMは、最近の時間間隔
中、一群の検出結果DR1が
比較的頻繁に比較的高い周波数範囲
でポジティブな検出結果を
有することを決定し得る。これは
自動車の密度が比較的高いことを示す。その場合、制御モジュールCTMは、
ランプポストがオンに切り替えられた後、比較的長い期
間点灯し続けているようにランプポストを制御してもよい。制御モジュールCTMは、
直近に検出され
た自動車から少し後、言わば後続する自動車の検出を予想してもよい。これは、交通量が比較的多い場合に、
非効率的で、場合によっては道路利用者によって不快に感じられ得るランプポストが頻繁にオンオフすることを防止
する。
【0075】
最近の時間間隔において、一群の検出結果DR1を、比較的希にしかポジティブな検出結果が得られないと仮定する。これは、交通
量が比較的少ないことを示す。この場合、
オンに切り替えられた後に、比較的
短期間に限ってランプポストが点灯するように、制御モジュールCTMはランプポストを制御してもよい。制御モジュールCTMは、言うなれば、
現在検出された車両の少し後に後続する車両がないことを予想する。
【0076】
制御モジュールCTMは、一群の検出結果DR1
及び追加的な一群の検出結果DR2に対
して更に統計的分析を行ってもよい。制御モジュールCTMは、例えば、交通密度が一般的に比較的高くなる時間帯と交通密度が比較的低くなる時間帯とを
特定してもよい。制御モジュールCTMは、統計的な分析を行って、電力効率の良い照明制御法を決定する。
また、制御モジュールCTMは、レーダ装置RUが一部を形成しているランプポストが、
低速交通レーン
の照明用に設けられているか或いは高
速交通レーン
の照明用に設けられているか、或いはその他の目的で設けられている
かを統計的に分析してもよい。従って、制御モジュールCTMは、レーダ装置RU
及びレーダ装置RUが関連付けられているランプポストに自己学習を行わせ得る。
【0077】
例えば、
ある観測時間
にわたり、検出モジュールDET1は、比較的低い周波数範囲に対
してよりも高い周波数範囲に対
して顕著に多くのポジティブな検出結果を提供することを仮定する。その場合、制御モジュールCTMは、言うなれば、ランプポストが高速交通レーン
の照明用に設けられていると判断できる。逆に、比較的高い周波数範囲
に対してよりも比較的低い周波数範囲に対して検出モジュールDET1が
顕著に多くのポジティブな検出結果を提供した場合、制御モジュールCTMは、そのランプポストは低速交通レーン
の照明用に設けられていると判断できる。これは
、統計的な分析を一群の検出結果DR1に適用することでレーダ装置RUが自己学習する
一例である。
【0078】
制御モジュールCTMは、好ましくは、
検出結果及び存在する場合には追加的な検出結果にも依存せずにユーザが照明を制御できるような
制御上書サブモジュールを備えている。例えば、
図1に示されているようなシステムコントローラSCTからのコマンドが、制御
上書サブモジュールを起動してもよい。
全てのランプポストが手動で制御され得るよう、システムコントローラSCTに依存する全てのレーダ装置で制御上書が起こるという意味で、コマンドは一般的であり得る。また、このコマンドは、制御の上書が特定のゾーン内の全てのレーダ装置でのみ生じるという
意味で選択的であってもよい。これは、例えば、緊急事態が発生した場合に、警察や緊急サービ
スが、特定のゾーン内にある全てのランプポストを最大出力に切り替えることを可能にする。
【0079】
<
結言>
図面を参照しながら行った以上の詳細な説明は、特許請求の範囲に記載されている本発明及び
追加の特徴の一例にすぎない。本発明は多数の様々な方法で実現することができる。このため、いくつかの代替例は簡潔に示された。
【0080】
本発明は、レーダの検出に基づいて照明を行う様々なタイプの製品又は方法に有利に適用され
得る。
街灯照明は単なる一例にすぎない。別の実施形態として、本発明は
、屋内照明装置にも有利に適用可能である。更に、本発明は様々なタイプのレーダ検出に
好適に適用され得る。電磁波を放出するレーダ検出方法は単なる一例にすぎない。別の例として、レーダ検出は超音波の送信に基づいていてもよい。
【0081】
更に、ドップラレーダ及びFMCW
(frequency modulation continuous wave)以外の原理のレーダ検出
も使用可能であることに留意を要す
る。例えば、距離はFMCWの原理
ではなくパルスレーダ原理を用いて測定されてもよい。パルスレーダの原理は、パルスの送信とパルスの受信との間の遅延を検出することに基づ
く。距離はその遅延に基づいて計算できる。受信されるパルスは、
図2−5を参照しながら説明したような形式でスペクトル
パワー分布
検出され得る。すなわち
、受信されるパルスから
速度情報及び距離情報を抽出
することができる。
【0082】
本発明を実施する
ために、システムは、電源や電力
分配ケーブルを必ずしも必要としない。例えば、
各レーダ装置は、例えばバッテリによって補完され得るソーラーパネルによって個別に給電されてもよい。そのような実施形態の場合、レーダ装置は無線
方式で互いに通信してもよい。
【0083】
レーダ装置がスペクトル
パワー分布を検出す
る様々な方法が存在する。例えば、
図2を参照
して、フーリエ変換モジュールFFT1は各自の通過帯
域を有するフィルタバンク
によって置換されてもよい。
各フィルタは、フィルタリン
グされた中間周波数信号IFFの特定のスペクトル部分を
通過させる。
その後、
各スペクトル部分は、
図4に示されている検出モジュールDET1と同様に、バンクをなすレベル検出部に適用され、
各レベル検出部は特定のスペクトル部分を
受け取る。スペクトル
パワー分布は、アナログ回路を用いて検出されてもよく、アナログ回路を使用する場合はアナログ
−ディジタル変換器が不要である。そのようなアナログ実施形態は、バンクをなすアナログレベル検出部が後に続くアナログフィルタのバンクを有していてもよい。
【0084】
スペクトル
パワー分布の検出は、ある周波数範囲内の複数の閾値に対するレベル検出を含んでいてもよいことに更に留意を要する。すなわち、スペクトル
パワー分布の検出は、
図5に示すよう
なバイナリ形式であることは必須でない。例えば、
図4に示すような検出モジュールDET1のレベル検出
部は、
低い閾値及び
高い閾値という2つの閾値に関するレベル検出を実行してもよい。この場合、レベル検出部は3つの値を有
し得る検出結果を提供してもよく、
低い閾値を超える
関心周波数範囲内の成分が存在しなかった場合は第1の値を返し、
低い閾値
と高い閾値の間に
最も強い成分が存在する場合は第2の値を返し、
高い閾値を超える成分が存在する場合は第3の値を返す。
この場合、制御モジュールCTMは、これら3つの検出結果の値の各々に対して異なる照明制御処理を適用してもよい。
【0085】
レーダ装置が
実装され得る様々な
態様が存在する。例えば、
図2を参照して、追加的なフーリエ変換モジュールFFT2及び追加的な判定モジュールDET2はなくてもよい。この場合、検出モジュールDET1は2つの動作モードを有し
得り:1つのモードはキャリア信号CWが定常的な周波数
の場合に速度情報を提供し、
他方のモードはキャリア信号CWが変調された周波数
の場合に距離情報を提供する。フーリエ変換モジュールFFT1
も、そのような2つの動作モードを有
し得る。
この場合、フーリエ変換モジュールFFT1及び検出モジュールDET1は、キャリア信号CWが周波数的に定常的であるか
又は変調されているかに依存して、
どちらかのモードで動作し得る。
【0086】
レーダ装置は、有利なことに、
同相ブランチ及び
直交ブランチを有する直交構造の中間周波数信号処理
経路を有する。この場合、レーダ装置は、
送信されたキャリア信号と受信された反射信号との間のポジティブ及びネガティブの周波数
差を区別することができる。
この場合、中間周波数表現は、ネガティブ周波数の半分(negative frequency half portion)とポジティブ周波数の半分(positive frequency half portion)とを有
し得る。
検出モジュールは、ネガティブ周波数の半分における周波数範囲内でのレベル検出と、ポジティブ周波数の半分における対応する周波数範囲内での別のレベル検出とを実行するように形成され
得る。
この場合、これらの周波数範囲に異なる閾値が適用され
得る。従って、レーダ装置は、
所与の速度でレーダ装置から離れて行く対象よりも、同じ速度でレーダ装置に近づく対象の方をより検知しやす
くなり得る(又はこの逆)。更に、制御モジュールは、対象がレーダ装置に向かって移動しているのか
又はレーダ装置から遠ざかっているのかに依存して、異なる照明制御処理を適用してもよい。
図2を参照して説明されたレーダ装置のように、レーダ装置が「ゼロ」である中間周波数を有することは必須でないことに、更に留意を要する。
原則的には、レーダ装置は任意の中間周波数を使用することができ、また中間周波数を使用しない選択肢さえ
有し、これは、直接検出方式を示唆する。
【0087】
「レーダ装置(radar unit)」とい
う用語は本願では広義に理解されるべきである。この
用語は、信号を送信することができ
、かつ
、送信された信号
の反射を受信及び処理可能な任意の装置を含む。
【0088】
一般に、本発明を実現する多数の方法が存在し、したがって様々な実施形態が様々な
トポロジーを有し
得る。所与の任意の
トポロジーにおいて、1つのモジュールが複数の機能を実行してもよいし、或いは複数のモジュールが1つの機能を一緒に実行してもよい。
この点で、図面は非常に図式的である。例えば、
図2の場合、アナログ
−ディジタル変換部ADC及びプログラム可能
プロセッサPPRは、1つの集積回路モジュールの一部を形成していてもよい。
【0089】
ハードウェア、ソフトウェア又はそれら双方の組み合わせによって様々な機能が実現されてもよい。ソフトウェアによる実施形態の説明はハードウェアによる実
施を排除するわけではなく、その逆も成り立つ。1つ以上の
専用回路及び1つ以上の適切
にプログラムされたプロセッサ
を含むハイブリッド形態も可能である。例えば、
図面を参照して説明された様々な機能は、1つ以上の
専用回路を用いて実現されてもよく、したがって特定
の回路
トポロジーが特定の機能を
定め得る。
【0090】
上
記は、図面に関する詳細な説明が本発明に対する限定ではなく例示に過ぎないことを示している。本発明は添付の特許請求の範囲
の範囲内で様々な形態で実現されてよい。
請求項の意味及び均等物の範囲内に属する全ての変形例は、本発明に含まれるように意図されている。特許請求の範囲に何らかの参照番号が存在したとしてもそれは特許請求の範囲を限定するように解釈してはならない。「有する(comprising)」とい
う用語は請求項に列挙されていない要素やステップが存在することを排除するわけではない。「或る
」とい
う用語もそのような要素やステップが複数個存在することを排除するわけではない。個々の従属請求項が個々の追加的な特徴を規定していない
からといって、特許請求の範囲に
表されているもの以外の追加的な特徴の組み合わせが排除されるわけではない。