(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
画像を投影することが可能な画像投影手段と、前記画像投影手段を制御する投影制御手段とを備えて車両に装備される表示装置であって、前記画像投影手段は少なくとも車体の表面に画像を投影できるように車両のサイドミラーまたはハイマウントストップランプに配設され、前記投影制御手段は路車間又は車々間の少なくとも一方の通信可能な通信手段を備えており、当該通信手段での通信信号に基づいて前記画像投影手段を制御し、当該表示装置を備える複数の車両において相互に関連性のある画像を表示することが可能であることを特徴とする車両の表示装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施形態1)
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1(a)は本発明の表示装置を適用した実施形態1の乗用自動車CARの概略を示す外観斜視図である。この自動車のサイドパネルは任意の車体色で塗装されているが、本発明を適用する場合には、黒あるいは濃い有彩色以外の車体色、例えば白、グレー、シルバー、その他の相対的に明るい有彩色の車体色に塗装されていることが好ましい。前記自動車CARのサイドパネルないしその近傍部位、ここでは左右の前側ドアにはそれぞれ左および右の各サイドミラーL−SM,R−SMが配設されており、これら左右のサイドミラーL−SM,R−SMにそれぞれ画像投影用のプロジェクタ1が内装されている。このプロジェクタ1は、詳細を後述するように、自動車CARの左右の各サイドパネルSPおよびサイドガラスSGに向けて光学的に画像の投影を行い、少なくともサイドパネルSPに所望の画像を投影表示することができるようになっており、本発明における画像投影手段として構成されている。
【0013】
図1(a)は前記左右のサイドミラーL−SM,R−SMのうち、左サイドミラーL−SMの概略構成を示す斜視図である。この左サイドミラーL−SMは、前記自動車CARの前側ドアの一部に固定されて自動車の左方向に突出されたミラーハウジング2内にミラー(反射鏡)21が内装されている。前記ミラーハウジング2内には前記ミラー21の傾きを調整するためのミラー傾動機構22が内装されている。また、前記ミラーハウジング2内には、前記ミラー21による自動車の後方視界の支障とならない位置に前記したプロジェクタ1が内装されている。
【0014】
図2は前記左サイドミラーL−SMの一部を破断した拡大平面図である。前記プロジェクタ1は当該左サイドミラーL−SMの前記ミラーハウジング2内に内装された小型の画像投影機として構成されている。このプロジェクタ1は先端部が開口され、基端部の内面が所要の曲面リフレクタとして構成された概ね筒型をしたケーシング11を有しており、このケーシング11内にLED(発光ダイオード)等の発光素子からなる光源12と、この光源12から出射された光が透過される画像形成素子13と、この画像形成素子13を透過された光を投影させるための投影レンズ14が配設されている。このような構成のプロジェクタ1は既に公知の構成であるので、詳細な説明は省略するが、光源12から出射された光の一部が画像形成素子13を透過され、透過された光が投影レンズ14で結像状態に投影されることによって画像形成素子13で形成された画像を投影することが可能である。
【0015】
前記プロジェクタ1は、前記投影レンズ14のレンズ光軸Lxが
図1に示した前記自動車CARの左側のサイドパネルSPの表面、すなわちここでは自動車CARの左側の前側ドアと後側ドアないしはリアフェンダーを含む各パネルの表面に向けられており、このサイドパネルSPの表面に画像を投影することが可能とされている。なお、画像形成素子13で形成される画像をサイドパネルSPのほぼ全領域に合焦状態で投影させるために、ここでは投影レンズ14のレンズ光軸Lxを画像形成素子13の素子面に対して傾斜させた、いわゆる「あおり」構造を採用している。
【0016】
前記画像形成素子13は透過型のLCD(液晶装置)で形成されており、当該LCDに供給する画像信号を制御することによって所望の画像形成パターンが形成される。この画像形成パターンは、ここでは画像形成素子13に所望の画像に対応した光透過パターンが形成される。これにより光源12から出射されてケーシング11の内面で反射かつ集光された光が画像形成素子13に投射され、そのうち画像形成素子13の光透過パターンを透過された光が投影レンズ14で自動車CARのサイドパネルSPに投影される。例えば、
図3に示すように、プロジェクタ1により画像形成素子13に形成された画像が自動車CARのサイドパネルSPに投影される。なお、この画像形成素子13は、微細なミラーをマトリクス状に配列し、光源12からの光を画素単位で選択的に反射して画像を形成するマイクロミラーで構成されていてもよい。
【0017】
前記LED12と前記画像形成素子13は、
図4に制御系のブロック図を示すように、本発明における投影制御手段としての画像投影ECU(電子制御ユニット)100に接続されており、この画像投影ECU100によって前記LED12の発光が制御され、かつ前記画像形成素子13での画像パターンが制御される。前記画像投影ECU100には、操作スイッチ101、ナビゲーション装置102、GPSセンサ103、車速センサ104が接続されており、前記操作スイッチ101の切り替え信号と、ナビゲーション装置102および各センサ103,104で検出した位置検出信号および車速検出信号が入力される。
【0018】
前記画像投影ECU100の内部構成は、インターネット通信、あるいは他車との間で信号を送受する車々間通信、さらには道路や固定設備との間で信号を送受する路車間通信を行うための通信部111を備えている。また、この通信部111を介して入力される各信号に基づいて自車の走行状態を検出する走行状態検出部112と、検出した走行状態に基づいて投影する画像を設定する画像設定部113と、画像設定部113で設定した画像に基づいて前記プロジェクタ1の画像形成素子13を駆動し、当該画像形成素子における画像形成パターン、すなわち前記光透過パターンを形成する駆動部114を備えている。この駆動部114は前記光源12を発光させるための駆動信号も出力する。
【0019】
前記走行状態検出部112は、GPSセンサ103およびナビゲーション装置102からの位置検出信号に基づいて自車が走行している地域を検出することができる。また、車速センサ104からの車速検出信号に基づいて自車の車速を検出する。さらに、無線部111で受信した車々間信号や路車間信号に基づいて、自車の周囲に存在する他車や、自車が走行する道路に存在する構築物や信号機、その他の固定設備を検出する。
【0020】
前記画像設定部113は、前記操作スイッチ101での切り替え状態や、前記走行状態検出部112で検出した自車の走行状態に基づき、内蔵している画像メモリ115に予め記録されている複数の画像データの中から対応する画像データを選択し、選択した画像データに対応する画像を設定する。あるいは、通信部111を利用して外部から画像を取得するようにしてもよい。さらには、画像設定ソフトを内蔵しておき、このソフトを駆動することによりその都度画像を生成して設定するようにしてもよい。
【0021】
また、前記画像設定部113は、自動車の画像を投影する箇所の形状、例えば自動車のサイドパネルSPの湾曲形状の違いに応じて画像歪みを修正する機能を備えていてもよい。そのために、前記画像メモリ115またはこれとは別に設けたメモリ(図示せず)に、自動車の車種に合わせた画像修正(画像加工)ができるように、当該プロジェクタが搭載される自動車のボディ情報を記憶させることも可能である。あるいは、画像加工した画像データを画像メモリ115や別のメモリに記憶させることも可能である。
【0022】
前記した画像データに基づく画像は静止画像であってもよく、動画であってもよい。また、画像は図柄に限られることはなく、単純な色彩や模様パターン、あるいは文字や記号であってもよい。そして、前記駆動部114は、操作スイッチ101がオンされたときに光源12を発光してプロジェクタ1での画像投影を開始するとともに、画像設定部113において設定された画像に基づいて画像形成素子13を駆動し、前記した画像形成パターンを形成する。
【0023】
なお、図示は省略するが、右サイドミラーR−SMについても、
図2に示したと同様にミラーハウジング内にプロジェクタが内装されており、当該プロジェクタのLEDと画像形成素子は前記画像投影ECU100に接続されている。そして、この右サイドミラーR−SMのプロジェクタは自車の右側のサイドパネルに対して画像を投影することができるように構成されている。
【0024】
この実施形態によれば、運転者が画像投影を行う際には操作スイッチ101をオンする。これを受けて画像投影ECU100の駆動部114はプロジェクタ1の光源12を発光してプロジェクタ1の画像投影が可能な状態とする。これと並行して、画像投影ECU100の画像設定部113は画像設定を実行し、駆動部114を介してプロジェクタ1の画像形成素子13の画像形成パターンを設定する。これにより、光源12から出射された光は画像形成素子13に投射され、当該画像形成素子13の画像形成パターン(光透過パターン)を透過した光のみが投影レンズ14を通して出射され、自動車CARのサイドパネルSPに投射される。
【0025】
図3には、自動車CARの左サイドミラーL−SMに配設したプロジェクタ1からの投影光は、当該自動車CARの左側のサイドパネルSPに投影された状態が示されている。これにより、当該サイドパネルSPには、画像形成素子13に形成された画像形成パターン、換言すれば画像設定部113において設定された画像が投影表示されることになる。
【0026】
一つの適用例として、自動車CARが所定の地域を走行する際には、画像設定部113は各地域のそれぞれに対応した所定の宣伝用の画像を設定する。すなわち、走行状態検出部112において、GPSセンサ103やナビゲーション装置102の検出出力により自車が所定の地域を走行していることを検出すると、画像設定部113は当該検出した地域に対応する画像を選択して設定する。駆動部114は設定された画像に対応して画像形成素子113を制御し、画像形成パターンを形成する。したがって、走行する自動車CARのサイドパネルSPに、現在走行している地域に対応した宣伝用の画像が投影表示され、当該地域において歩行者や他車の乗員が投影された画像を視認する状態となり、宣伝ディスプレイが実現されることになる。
【0027】
このように実施形態1では、自動車CARのサイドミラーSMにプロジェクタ1を配設するだけで表示装置が構成できるので、特許文献1のように自動車の車体表面に表示パネルを貼付し、かつ貼付した表示パネルに対して電気配線を接続する等の作業が不要であり、表示装置の構築作業が簡易なものになる。また、表示装置が故障した場合にも車体パネルを交換する必要はなくメンテナンスが容易である。さらに、車体の塗装色に制限を受けることなく、しかもプロジェクタによる画像の投影範囲を調整するだけでサイドパネルにおける画像の表示面積を容易に変化調整することができる。特許文献1のような表示パネルを貼付することができない窓ガラスにおいても画像を投影して表示することかできることは言うまでもない。
【0028】
図5(a)は本発明を適用した画像投影のシステム概念図である。管理センタCCの管轄地域を走行している各自動車CARは、それぞれの画像投影ECU100の通信部111において管理センタCC等との間で路車間通信を行い、当該管理センタCCからの指令に基づいて画像設定部113が画像を設定する制御を行なう。管理センタCCは当該地域に存在する全ての自動車に対して同じ宣伝用の画像を投影する指令を出力することが可能であり、このような場合には、当該地域を走行する自動車CARは全て同じ宣伝用の画像を車体の表面に投影表示することになり、当該地域における宣伝効果を高めることが可能になる。なお、管理センタCCを配設することなく、車々間通信やインターネット通信を利用して同等の画像投影を実行することも可能である。
【0029】
また、
図5(b)に別の画像投影のシステム概念図を示すように、自車CARの前を走行する前走車CAR1との間で車々間通信を行い、両車の画像投影ECU100においてそれぞれ相互に関連性のある画像を設定する制御を行なう。自車CARと前走車CAR1のそれぞれにおいて車体の表面に関連性のある画像を投影することにより、歩行者や他の自動車からは、前後に並んで走行する両自動車CAR,CAR1に投影されている画像を一体の画像として視認できるようになり、宣伝効果をさらに高めることも可能である。このことは、図示は省略するが、自車と後続車との間で行うようにしてもよく、さらには自車と前走車および後続車の3台、ないしそれ以上の数の自動車の間で行うようにしてもよい。この場合においても、管理センタCCからの指令で投影を行うようにすることが可能である。
【0030】
さらに、画像として動画を投影する場合には、走行状態検出部112で検出した自車の車速に対応して、投影する動画の投影速度(動画の画面の切り替え速度や動画中の投影物の移動速度等を意味する)を制御してもよい。この投影速度を自車の車速に対応させることで、固定位置に存在する歩行者や他車から当該投影画像を見たときには、投影された画像が停止しているように表示することも可能であり、宣伝効果をさらに高めることができる。
【0031】
あるいは、自車の運転者が操作スイッチ101を操作して画像投影ECU100の画像設定部113において所望の画像を設定するようにしてもよい。運転者が所望の宣伝用の画像を独自に設定することにより、自車のサイドパネルに当該所望の画像を投影することができ、運転者が想定した宣伝効果を発揮させることができる。あるいは、運転者の好みにあった色彩や模様等の装飾的な画像、換言すればデコレーション(装飾)用の画像を投影することによって自車を装飾することができる。操作スイッチの切り替えにより、投影する画像を瞬時に変化させることもできるので、自車のデコレーション効果を高めることが可能になる。
【0032】
以上の画像の投影は、右サイドミラーR−SMに配設したプロジェクタにおいても実行することが可能であり、この場合、右側のプロジェクタは左側のプロジェクタと同じ画像を投影するようにしても、あるいは左側のプロジェクタとは異なる画像を設定して投影するようにしてもよい。因みに、
図5(a)では1台の自動車は右プロジェクタによって左右を反転した画像を投影している。
【0033】
実施形態1では、プロジェクタ1は左右のサイドミラーL−SM,R−SMの各ミラーハウジング内に配設しているので、プロジェクタが自動車の外部に露呈されることはなく、自動車のデザイン上の見栄えが低下することはない。また、既存の自動車のサイドミラーにも簡単な作業でプロジェクタを配設することが可能であり、本発明を適用することは容易である。なお、プロジェクタにより自動車のサイドパネルに画像が投影可能であれば、当該プロジェクタは自動車のドア内部、あるいは車室内に設置してもよい。
【0034】
(実施形態2)
図6(a)は本発明を適用した実施形態2の自動車CARの背面図である。自動車CARの車体後部のリアガラスRGの上部にはHMSL(ハイマウントストップランプ)3が配設されており、このHMSL3の内部にプロジェクタ1が一体的に配設されている。前記HMSL3は既存のものが用いられており、
図6(b)に拡大概略正面図を示すように、ランプハウジング31の内部に、複数のLED等を配列した光源ユニット32が配設されるとともに、前記プロジェクタ1が配設されている。
【0035】
前記プロジェクタ1の構成は実施形態1のプロジェクタと基本的には同じであるので図示は省略するが、
図2に示したように、光源としてのLED12と、投影画像パターンを形成する画像形成素子13と、画像形成素子に形成される投影画像パターンを投影するための投影レンズ14を備えている。このプロジェクタ1は投影レンズ14の光軸が下方に向けられており、前記リアガラスRGの下側に存在するリアパネルRPの表面に画像を投影することが可能に構成されている。また、このプロジェクタ1は実施形態1と同様に
図4に示した画像投影ECU100に接続されていることは言うまでもない。
【0036】
この実施形態2では、プロジェクタ1によりリアパネルRPに画像を投影することができるので、実施形態1と同様に宣伝効果やデコレーション効果が発揮できる。また、実施形態2では、自車の運転者が操作スイッチ101を操作して画像投影ECU100の画像設定部113でメッセージ画像を設定することにより、当該メッセージ画像をリアパネルRPに投影することも可能である。特に、運転者が後続車に対して何らかのメッセージを伝えたいと考えたようなときに、当該メッセージ画像をリアパネルRPに投影することで、後続車の乗員は当該自車のメッセージ画像が確認でき、後続車の乗員に対してメッセージを伝達することができる。
【0037】
また、図示は省略するが、自動車のフロントガラスに臨む位置にプロジェクタを配設し、自車のフロントパネル(フード)に画像を投影するように構成してもよい。この場合には、前走車に対するメッセージ画像を左右反転してフロントフードパネル投影することにより、前走車の運転車はルームミラーを通して自車を視認したときに当該メッセージ画像を確認することができる。
【0038】
この実施形態2は、例えば、バス(大型乗用自動車)に適用することにより、当該バスの行先を示す画像をリアパネルやフロントパネルに投影するように構成することも可能である。また、小型乗用自動車やバス等の車種の違いにかかわらず、実施形態1と同様に宣伝用あるいはデコレーション用の画像をリアパネルやフロントパネルに投影することが可能であることは言うまでもない。
【0039】
(実施形態3)
図7(a)は本発明を適用した実施形態3のトラック(貨物用自動車)CAR2の側面図である。トラックCAR2の後部車体のサイドパネルSPの上部の一部に可動式に構成されたプロジェクタ1が配設されており、このプロジェクタ1により当該サイドパネルSPの表面に画像を投影することができるように構成されている。
【0040】
図7(b)は前記プロジェクタ1を説明するための拡大縦断面図であり、前記サイドパネルSPの上縁に沿った領域の一部に凹部40が設けられ、この凹部40内に同図に鎖線で示すように可動ハウジング4が収容されている。可動ハウジング4は前記凹部40内の上端部に設けた固定軸41により鉛直上下方向に傾動可能に支持されており、固定軸41を支点にして上方に傾動されたときには、前記凹部40内の収容状態から突出され、同図に実線に示すように前記サイドパネルSPよりも車幅方向の外側に移動位置されるようになっている。
【0041】
前記可動ハウジング4は突出された状態のときに開口部4aが下方を向くような容器形状とされており、この開口部4aに臨む前記可動ハウジング4内に前記プロジェクタ1が配設されている。プロジェクタ1の構成は実施形態1,2と同様であり、ケーシング11内に光源としてのLED12と、投影画像パターンを形成する画像形成素子13と、画像形成素子13に形成される投影画像パターンを投影するための投影レンズ14を備えている。
【0042】
前記凹部40内には電磁ソレノイドからなる傾動機構42が内装されており、当該傾動機構42の伸縮アーム43が前記可動ハウジング4の一部に連結されている。この傾動機構42は、通電されたときに伸縮アーム43が伸長し、可動ハウジング4を上方に傾動して
図7(b)の実線位置に突出させる。通電が解除されたときには伸縮アーム43は短縮し、可動ハウジング4を凹部40内に収容する。
【0043】
前記プロジェクタ1は実施形態1,2と同様に
図3に示した画像投影ECU100に接続されている。また、この実施形態3では、前記傾動機構42が画像投影ECU100に電気接続されており、画像投影ECU100がプロジェクタ1を制御して画像を投影する際に所要の駆動信号が傾動機構42に入力されるようになっている。
【0044】
実施形態3によれば、画像を投影しないときには画像投影ECU100からの駆動信号が傾動機構42に入力されておらず、可動ハウジング4は凹部40内に収容された状態にある。そのため、プロジェクタ1はトラックCAR2の外部に露呈されることはない。画像投影ECU100がプロジェクタ1による画像の投影を行う状態になったときに、画像投影ECU100からの駆動信号が傾動機構42に入力され、可動ハウジング4は凹部40から突出された位置に移動される。
【0045】
また、これと同時に画像投影ECU100での所定の制御によりプロジェクタ1が駆動され、画像設定部113において設定された所定ないし所望の画像がトラックCAR2のサイドパネルSPに投影される。この投影する画像は実施形態1,2のような宣伝用画像、デコレーション用の画像であってもよい。あるいは、メッセージを投影してもよい。なお、大型トラックのサイドパネルの面積は普通乗用車に比較して大きいので、複数個、例えば2個あるいは3個の可動プロジェクタを配列し、これら複数個のプロジェクタの投影画像を合成して目的とする画像を投影するようにしてもよい。
【0046】
ここで、可動ハウジング4を凹部40に収容、突出させるための構成は実施形態に記載の傾動機構に限られるものではなく、可動ハウジングを車体の一部に設けた開口を通して車幅方向にスライドして車体の外側位置まで突出移動する構成であってもよい。あるいは、リンク機構により車幅方向に突出移動する構成であってもよい。また、このような可動プロジェクタの構成、すなわち投影時にのみプロジェクタを車体から外部に突出位置させる構成は実施形態1,2のプロジェクタにおいても同様に適用することは可能である。
【0047】
本発明における画像投影手段として適用されるプロジェクタは実施形態に記載の構成に限られるものではない。すなわち、プロジェクタを車体に配設する際の装備位置は画像を投影する車体の面積や投影箇所の違いに応じて車体の適切な位置に配設すればよい。また、プロジェクタの構成は、例えば高速光走査によって車体の表面に画像を投影する構成のプロジェクタであってもよい。この場合には光源にLD(レーザーダイオード)を用い、高速回転するポリゴンミラー等の走査ミラーで光を走査するように構成することが考えられる。
【0048】
本発明において、投影する画像は実施形態のように予め用意した画像を選択するのではなく、前記したように投影を行う都度に画像を生成して設定するようにしてもよく、あるいは通信やインターネットを介して画像を取得するようにしてもよい。さらには、USBメモリやDVD等の記憶媒体や、車内モニターに流しているTV,DVD等の映像を取り込んで投影するように構成してもよい。また、実施形態2のメッセージを投影する際には、運転者が発する音声を認識して文字画像を設定するようにしてもよい。
【0049】
その一方で、本発明を単に広告、デコレーションのみを目的として画像を投影する場合には、画像投影ECU100は、
図4に示した走行状態検出部112を備えない構成としてもよい。さらには、通信部111を省略してもよい。これらを省略することにより、低コストかつ簡易な構成で本発明が実現できる。
【0050】
本発明が適用される車両は、実施形態に記載の自動車に限られるものではなく、種々の自動車ないし電車等の鉄道車両への適用も可能である。さらに、画像を投影する対象は車体パネルや窓ガラスに限られるものではなく、車輪(ホイールやタイヤ等を含む)に対して投影することも可能である。特に、車輪が回転することにより投影した画像の光を広い角度範囲に向けて反射することができ、この光の散乱状態の反射によってデコレーション効果を高めることも可能になる。