特許第6373597号(P6373597)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6373597
(24)【登録日】2018年7月27日
(45)【発行日】2018年8月15日
(54)【発明の名称】移動式テント
(51)【国際特許分類】
   E04H 15/38 20060101AFI20180806BHJP
   E04H 15/18 20060101ALI20180806BHJP
   E04G 21/28 20060101ALI20180806BHJP
【FI】
   E04H15/38
   E04H15/18
   E04G21/28 A
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-24271(P2014-24271)
(22)【出願日】2014年2月12日
(65)【公開番号】特開2015-151701(P2015-151701A)
(43)【公開日】2015年8月24日
【審査請求日】2016年10月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100122781
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 寛
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【弁理士】
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】石松 信哉
(72)【発明者】
【氏名】貞末 和宏
【審査官】 兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−165800(JP,A)
【文献】 実開昭61−036003(JP,U)
【文献】 特開2012−062694(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/066313(WO,A1)
【文献】 特開2003−314088(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 15/00−15/64
E04G 21/28
E01F 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
曲線状に延びる2本のレールに沿って移動可能な移動式テントであって、
前記2本のレール間に空間を有する門形状を成すように前記2本のレール上に設けられて、前記レールが延在する方向に沿って並設される複数の骨組み部と、
前記骨組み部の下端部に固定されて前記レール上で転動するローラと、
前記骨組み部を覆うようにして前記骨組み部に支持されたテント膜と、
一の前記骨組み部を覆う前記テント膜と他の前記骨組み部を覆う前記テント膜とに連結される伸縮可能な連結部材と、
を備え、
前記連結部材は、膜部材によって、一の前記骨組み部を覆う前記テント膜と他の前記骨組み部を覆う前記テント膜とが離隔した状態で、連結される連結膜であり、
各前記骨組み部は前記テント膜及び前記連結膜のみを介して連結されており、人手で押されることによって移動し、
各前記骨組み部は、前記レールが延在する方向に延在する複数の梁材と、前記梁材と直角を成すように前記梁材と交差する複数の柱材と、前記梁材及び柱材で形成される長方形状の空間で対角線上に延在する斜材と、を備え、
前記梁材、前記柱材及び前記斜材を含む長方形状の空間が、前記レールが延在する方向に沿って複数設けられると共に、前記レールが延在する方向の直交方向に複数設けられており、
前記連結膜は、前記テント膜よりも薄いことを特徴とする移動式テント。
【請求項2】
前記レールの上端にはフランジ部が設けられており、
前記骨組み部の下端部には、前記フランジ部の下方に位置し、前記レールに対して前記骨組み部が傾斜したときに前記フランジ部の下面に当接する傾斜抑制手段が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の移動式テント。
【請求項3】
前記レールが延在する方向の端部側に位置する2台の前記骨組み部の褄側上部には、褄上部膜が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の移動式テント。
【請求項4】
前記褄上部膜の下部には、巻き上げ可能な垂れ幕が具備されていることを特徴とする請求項3に記載の移動式テント。
【請求項5】
前記テント膜、前記連結膜、前記褄上部膜及び前記垂れ幕は、前記骨組み部内の前記空間で発生した音の漏れを抑制する防音膜であることを特徴とする請求項4に記載の移動式テント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レールに沿って移動する移動式テントに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2003−314088号公報には、雨よけ等のために屋外で用いられる移動式テントが記載されている。この移動式テントは、傾斜を有するエスカレータに沿って配置されており、このエスカレータに沿って移動可能となっている。また、上記の公報には、上下一対に設けられたレールの組を2組備えたレールユニットが記載されており、上下一対に設けられたレールの組はエスカレータを挟んで左右対称に設けられている。また、この移動式テントは、4個のローラを備えており、各ローラをレールユニットの各レール上で転動させることによって移動式テントは移動する。
【0003】
また、上記の移動式テントは、アーチ状に形成された複数のフレームと、フレーム間を連結するカバーとを備えている。フレーム及びカバーの組は上方部位と下方部位とで分離可能となっており、上方部位と下方部位とは連結手段で連結されている。この連結手段は、上方部位及び下方部位のそれぞれに設けられた定滑車と、定滑車に掛け回されたワイヤとで構成されている。この移動式テントは、上記のカバーが蛇腹状となっており、必要に応じて広げたり畳んだりすることが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−314088号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した移動式テントは、蛇腹状となっているのでレールに沿う方向に伸縮可能となっている。しかしながら、この移動式テントでは、レールがエスカレータに対して左右対称に設けられており、各レールに沿ってアーチ状に形成されたフレームが移動する。よって、左右対称に設けられた2本のレールのうち、一方のレールに対してフレームを移動させると、他方のレールに対してもフレームが移動してしまう。従って、特にレールが曲線状である場合に、レールに沿って移動式テントをスムーズに移動させることができないという問題がある。
【0006】
また、上述したような蛇腹状の移動式テントは、ローラユニット、複数のフレーム及びカバー、並びに定滑車及びワイヤからなる連結手段を備えているので、構造が複雑で且つ重量が重いという問題がある。よって、構造をより簡易にすると共に軽量化を実現させた移動式テントが求められている。
【0007】
本発明は、曲線状のレールに沿ってスムーズに移動させることができると共に、構造の簡素化及び軽量化を実現させた移動式テントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の移動式テントは、曲線状に延びる2本のレールに沿って移動可能な移動式テントであって、2本のレール間に空間を有する門形状を成すように2本のレール上に設けられて、レールが延在する方向に沿って並設される複数の骨組み部と、骨組み部の下端部に固定されてレール上で転動するローラと、骨組み部を覆うようにして骨組み部に支持されたテント膜と、一の骨組み部を覆うテント膜と他の骨組み部を覆うテント膜とに連結される伸縮可能な連結部材と、を備え、連結部材は、膜部材によって、一の骨組み部を覆うテント膜と他の骨組み部を覆うテント膜とが離隔した状態で、連結される連結膜であり、各骨組み部はテント膜及び連結膜のみを介して連結されており、人手で押されることによって移動し、各骨組み部は、レールが延在する方向に延在する複数の梁材と、梁材と直角を成すように梁材と交差する複数の柱材と、梁材、柱材及び斜材を含む長方形状の空間で対角線上に延在する斜材と、を備え、梁材及び柱材で形成される長方形状の空間が、レールが延在する方向に沿って複数設けられると共に、レールが延在する方向の直交方向に複数設けられており、連結膜は、テント膜よりも薄いことを特徴とする。
【0009】
本発明に係る移動式テントでは、複数の骨組み部がレールの延在方向に沿って並設され、各骨組み部にテント膜が覆われており、そして、一の骨組み部を覆うテント膜と他の骨組み部を覆うテント膜とが連結膜によって連結されている。よって、この移動式テントを曲線状のレールに沿って移動させると、上記の連結膜が伸縮することによって各骨組み部がレールに沿ってスムーズに移動することとなる。従って、レールに沿って並設された複数の骨組み部を曲線状のレールにスムーズに追従させることができる。また、本発明に係る移動式テントは、複数の骨組み部を並設しているので強度が高められた構造となっている。そして、この移動式テントは、骨組み部、ローラ、テント膜及び連結膜で構成されているので、上述した従来の移動式テントと比較して、軽量にすることができ、構造を簡素化させることもできる。
【0010】
また、連結膜は各テント膜が離隔した状態で連結される。よって、移動式テントがレールに沿って移動する場合において、各テント膜が接近した場合には連結膜が弛み、各テント膜が離隔した場合には連結膜が伸びることとなる。従って、曲線状のレールに沿った移動に伴って連結膜がスムーズに伸縮するので、よりスムーズに移動式テントを移動させることができる。
【0011】
また、レールの上端にはフランジ部が設けられており、骨組み部の下端部には、フランジ部の下方に位置し、レールに対して骨組み部が傾斜したときにフランジ部の下面に当接する傾斜抑制手段が設けられていてもよい。このような傾斜抑制手段が設けられていることにより、レールに対する骨組み部の傾斜が抑制されるとともにレールからの浮き上がり及び脱輪を防止することができ、レール上で骨組み部を安定した状態で移動させることができる。
【0012】
また、レールが延在する方向の端部側に位置する2台の骨組み部の褄側上部には、褄上部膜が設けられていてもよい。更に、褄上部膜の下部には、巻き上げ可能な垂れ幕が具備されていてもよい。褄上部膜の下部に巻き上げ可能な垂れ幕を具備することにより、防音効果を高めたい場合は垂れ幕を下の方まで垂らし、防音効果を高める必要がない場合(例えば騒音が生じない作業を行う場合)は垂れ幕を巻き上げておくことが可能となる。また、垂れ幕を巻き上げることによって、移動式テントの内部への資材搬入をスムーズに行うことが可能となる。このように、状況に応じて、垂れ幕を下の方まで垂らしたり、垂れ幕を巻き上げたりすることが可能となる。
【0013】
また、テント膜、連結膜、褄上部膜及び垂れ幕は、骨組み部内の空間で発生した音の漏れを抑制する防音膜であってもよい。この場合、骨組み部内の空間で工事を行ったようなときであっても、工事の騒音が移動式テントの外部に漏れるのを抑制することができる。また、例えば曲線状の道路橋を架設する工事を行う場合に、工事を行っている箇所に曲線状のレールに沿って移動式テントを移動させることによって、曲線状の道路橋の架設時における騒音の漏れを防止することも可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、曲線状のレールに沿ってスムーズに移動させることができると共に、構造の簡素化及び軽量化を実現させた移動式テントを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係る移動式テントの一実施形態を示す平面図である。
図2図1の移動式テントをレールの延在方向から見た側面図である。
図3図1の移動式テントを示す斜視図である。
図4図1の移動式テントをレールに直交する方向から見た側面図である。
図5図1の移動式テントを示す平面図である。
図6図1の移動式テントにおける傾斜抑制手段を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ、本発明に係る移動式テントの実施形態について詳細に説明する。
【0017】
図1に示されるように、移動式テント1は、水平面上において曲線状となっている2本のレール5に沿って移動可能となっている。2本のレール5は、互いに平行となるように設置されている。移動式テント1は、人手でレール方向Dに押されることによって移動する。ここでレール方向Dとは、各レール5が延在する方向を示している。この移動式テント1の内部では工事を行うことが可能となっており、この工事の騒音は移動式テント1によって外部に漏れにくくなっている。
【0018】
移動式テント1の内部で行われる工事としては、例えば道路橋の架設工事が挙げられる。この場合、図2に示されるように、道路橋を構成する桁20が3台の自走台車10上に載置されて次々に送り出される。この桁20は、例えば、鋼で構成され、水平面上において曲線状となっている。自走台車10は、水平面上で曲線状となっている軌道11に沿って走行するが、この軌道11を設置する工事も移動式テント1の内部で行われる。
【0019】
上述した自走台車10及び桁20が内部の空間Kに位置する移動式テント1は、図1及び図3に示されるように、レール5に沿うように並設される4台の骨組み部2と、各骨組み部2を覆うテント膜3と、各テント膜3を連結させる伸縮可能な連結膜(連結部材)4と、を備えている。なお、図1図2図4及び図5では骨組み部2を示すためテント膜3を省略し、テント膜3は図3に図示している。
【0020】
図2に示されるように、骨組み部2は、2本のレール5間に空間Kを有する門形状となっている。骨組み部2は、レール方向Dに延在する頂部Tから斜め下方に延びる一対の屋根部2Aと、各屋根部2Aの下端から鉛直下方に延在する壁部2Bと、を備えている。各壁部2Bの下方には2本のレール5が設置されている。図4及び図5に示されるように、屋根部2A及び壁部2Bは、それぞれ、レール方向Dに延在する複数の梁材2aと、梁材2aと直角を成すように梁材2aと交差する複数の柱材2bと、梁材2a及び柱材2bで形成される長方形状の空間Sで対角線上に延在する斜材2cと、を備えている。これらの部材2a,2b,2cは、例えばスチールパイプである。
【0021】
本実施形態においては、骨組み部2の各屋根部2Aにおいて、梁材2a及び柱材2bで形成された長方形状の空間Sは、レール方向Dに2個又は3個設けられており、レール方向Dの直交方向に9個設けられている。また、骨組み部2の各壁部2Bにおいて、梁材2a及び柱材2bで形成される長方形状の空間Sは、レール方向Dに2個又は3個設けられており、鉛直方向に8個設けられている。但し、空間Sの個数や配置態様は適宜変更することが可能である。
【0022】
また、移動式テント1は、4台の骨組み部2がレール方向に連結されることで安定性が高くなっている。骨組み部2の屋根部2A及び壁部2Bは、複数の部材2a,2b,2cが組まれることによって構成され、複数の部材2a,2b,2cが互いに交差して形成されたトラス構造を備えている。このような骨組み部2を備えた移動式テント1は、強風(例えば風速35m/s程度の強風)にも耐え得る強固な構造となっている。
【0023】
図3に示されるように、テント膜3は、骨組み部2を外側から覆う防音膜であり、テント膜3の内部の空間Kで行われる工事の騒音を外部に漏れにくくしている。テント膜3は、不透水性の材料で構成されている。よって、雨水等がテント膜3の内部の空間Kに入らないようになっているので、雨天時でも移動式テント1を利用することが可能である。このように移動式テント1は全天候型となっている。また、テント膜3は、ロープ(不図示)を内部に備えており、このロープが骨組み部2の部材2a,2b,2cに縫い付けられることによって、骨組み部2に支持されている。
【0024】
また、レール方向Dに並設される4台の骨組み部2のうち、両端側に位置する2台の骨組み部2の褄側上部には、移動式テント1の内部の騒音が外部に漏れることを防止する防音膜として機能する褄上部膜13が設けられている。褄上部膜13は、移動式テント1におけるレール方向Dの端部に設けられている。褄上部膜13は、テント膜3と同様、骨組み部2に縫い付けられることにより、骨組み部2に支持されている。褄上部膜13の下部には、巻き上げ可能な複数枚(図3では6枚)の垂れ幕14が具備されている。このように、移動式テント1は褄上部膜13及び垂れ幕14を備えているので、防音性が一層高められている。なお、褄上部膜13及び垂れ幕14の材料は、テント膜3と同様、不透水性の材料とすることができる。
【0025】
また、褄上部膜13の下部に垂れ幕14を具備しているので、防音効果を高めたい場合は垂れ幕14を下の方まで垂らし、防音効果を高める必要がない場合(例えば騒音が生じない作業を行う場合)は垂れ幕14を巻き上げておくことが可能となる。垂れ幕14を巻き上げることによって、移動式テント1の内部への資材搬入をスムーズに行うことが可能となる。このように、状況に応じて、垂れ幕14を下の方まで垂らしたり、垂れ幕14を巻き上げたりすることが可能となる。
【0026】
骨組み部2を外側から覆う各テント膜3は、連結膜4によって連結されている。よって、各骨組み部2はテント膜3及び連結膜4のみを介して連結されているので、各骨組み部2をレール方向Dに対して柔軟に傾けられるようになっている。また、連結膜4は、各骨組み部2がレール方向Dに離隔した状態で各テント膜3に連結される。よって、図1に示されるように、移動式テント1が曲線状のレール5に沿って移動する場合において、各骨組み部2が互いに接近した場合には連結膜4が弛み、各骨組み部2が離隔した場合には連結膜4が伸びることとなる。
【0027】
具体的には、例えば移動式テント1を直線状のレールに沿って移動させた場合には連結膜4は弛んだ状態となる。そして、移動式テント1を曲線状のレール5に沿って移動させる場合には、曲線状のレール5の外側に位置する連結膜4が伸びると共にレール5の内側に位置する連結膜4が弛んだ状態となる。このように、曲線状のレール5に沿った移動に伴って連結膜4がスムーズに伸縮するので、よりスムーズに移動式テント1を移動させることができる。なお、連結膜4は、テント膜3と同様に不透水性の材料で構成されている。また、連結膜4は、テント膜3より若干薄い膜となっている。
【0028】
図6に示されるように、レール5としては、例えば直線状のH形鋼を少しずつ傾けながら複数並べていくことにより、曲線状のレール5とすることができる。また、レール5は、地面Gに設置された一対の支持部材15に溶接されている。支持部材15は、例えば山形鋼等を用いることができる。支持部材15において、2つの外側面15a,15bのうち、一方の外側面15aは地面Gに接触する。また、他方の外側面15bには、レール5の下側に位置するフランジ部5aの両端が溶接で固定されている。ここで、レール5は、フランジ部5a,5bが水平方向に延在した状態で一対の支持部材15に固定されている。
【0029】
骨組み部2の下端部には、レール5におけるフランジ部5bの上面で転動する2個のローラ7が固定されている。ローラ7は、骨組み部2の下端とレール5の上側に位置するフランジ部5bとの間に配置される。また、骨組み部2の下端部には、骨組み部2がレール5に対して傾斜することを抑制する傾斜抑制手段6が設けられている。傾斜抑制手段6は、レール5に対して対称となるように配置された一対のプロペラ部6a,6bを備えている。プロペラ部6a,6bは、それぞれ水平面上で回転自在となっている。また、プロペラ部6a,6bは、それぞれ骨組み部2の下端で固定された支持手段8によって支持されている。
【0030】
各プロペラ部6a,6bは、レール5を構成するH形鋼の継手となるエンドプレート(不図示)に当接すると回転する。また、レール5に対して骨組み部2が傾斜したときには、プロペラ部6a及びプロペラ部6bのいずれかが、レール5の上側に位置するフランジ部5bの下面5cに当接する。プロペラ部6a,6bを支持する支持手段8は、2個のローラ7を挟むようにローラ7の両側に設けられている。よって、ローラ7のレール5からの脱輪が一層抑制される。
【0031】
以上、本実施形態の移動式テント1では、図1及び図3に示されるように、4台の骨組み部2がレール5に沿って並設され、一の骨組み部2を覆うテント膜3と他の骨組み部2を覆うテント膜3とが連結膜4によって連結されている。よって、移動式テント1をその端部を牽引する等して曲線状のレール5に沿って移動させると、連結膜4が伸縮することによって各骨組み部2がレール5上から脱輪することなく、レール5の曲率に沿ってスムーズに移動することとなる。従って、レール5に沿って並設された4台の骨組み部2を曲線状のレール5にスムーズに追従させることができる。
【0032】
また、移動式テント1は、骨組み部2、ローラ7、テント膜3及び連結膜4で構成されているので、従来の移動式テントと比較して構造が簡素化されているので、軽量にすることができる。このように移動式テント1では軽量化が実現されているので、例えば数人の作業者が移動式テント1をレール方向Dに押すことによって、簡単に移動式テント1を移動させることができる。
【0033】
また、図6に示されるように、レール5の上端にはフランジ部5bが設けられており、骨組み部2の下端部には、フランジ部5bの下方に位置し、レール5に対して骨組み部2が傾斜したときにフランジ部5bの下面5cに当接する傾斜抑制手段6が設けられている。よって、レール5に対する骨組み部2の傾斜が抑制されるとともにレール5からの浮き上がり及び脱輪を防止することができ、レール5上で骨組み部2を安定した状態で移動させることができる。
【0034】
また、テント膜3、連結膜4、褄上部膜13及び垂れ幕14は、骨組み部2内の空間Kで発生した音の漏れを抑制する防音膜である。よって、骨組み部2の内部の空間Kで工事を行ったときであっても、工事の騒音が移動式テント1の外部に漏れるのを抑制することができる。また、例えば曲線状の道路橋を架設する工事を行う場合に、工事を行っている箇所に曲線状のレール5に沿って移動式テント1を移動させることによって、曲線状の道路橋の架設時における騒音の漏れを防止することも可能となる。
【0035】
本発明は、上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、下記のような種々の変形が可能である。
【0036】
例えば、骨組み部2は4台設けられていたが、骨組み部2の台数は2台若しくは3台、又は5台以上としてもよい。また、骨組み部2は、複数の部材2a,2b,2cが互いに交差して形成されたトラス構造を備えていた。しかし、骨組み部の構造としては、トラス構造に限定されず、種々の構造を採用することができる。
【0037】
テント膜3は、骨組み部2を外側から覆う防音膜であったが、例えば雨除け等、防音以外の用途でテント膜を用いることも可能である。また、褄上部膜13及び垂れ幕14を省略することも可能である。更に、各テント膜3を連結させる連結膜4に代えて、鎖、ロープ又はワイヤによって各テント膜3を連結させることも可能である。
【0038】
また、骨組み部2の下部には2個のローラ7が固定されていたが、ローラ7の個数は、1個又は3個以上であってもよく、特に限定されない。
【0039】
また、上記実施形態では、傾斜抑制手段6がプロペラ部6a,6bを備えていたが、傾斜抑制手段としては本実施例で示したプロペラ部材以外の構成を採用することも可能である。また、レール5がH形鋼である例について説明したが、H形鋼以外のものをレールとして用いることも可能である。
【0040】
また、上記実施形態では、移動式テント1の内部で工事が行われ工事の騒音を外部に漏れにくくする例について説明したが、本発明に係る移動式テントは、防音以外の用途で用いることも可能である。
【符号の説明】
【0041】
1…移動式テント、2…骨組み部、2a…梁材、2b…柱材、2c…斜材、3…テント膜(防音膜)、4…連結膜(連結部材)、5…レール、5a,5b…フランジ部、6…傾斜抑制手段、6a,6b…プロペラ部、7…ローラ、13…褄上部膜、14…垂れ幕、D…レール方向、K…空間。
図1
図2
図3
図4
図5
図6