(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上位レイヤパケットがカプセル化された第1プロトコルの通信フレームを送信する第1通信装置に接続され、無線通信用の第2プロトコルの無線パケットを送信する無線機であって、
前記上位レイヤパケットは、前記上位レイヤパケットの宛先情報として宛先IPアドレスを含み、
前記無線パケットは、前記無線パケットの宛先情報として、宛先となる無線機の無線機識別情報を含み、
前記第1通信装置から送信された前記通信フレームを受信すると、受信した前記通信フレームから抽出した上位レイヤパケットをカプセル化して前記無線パケットを生成し、生成した前記無線パケットを無線送信するよう構成され、
前記宛先IPアドレスと前記無線機識別情報との対応関係を示すテーブルデータを保有し、
前記第1通信装置から受信した前記通信フレームに含まれる前記宛先IPアドレスに基づいて前記テーブルデータを参照して、前記宛先IPアドレスに対応する前記無線機識別情報を取得し、取得した前記無線機識別情報が前記無線パケットの宛先情報として設定された前記無線パケットを生成する
無線機。
請求項4記載の無線機が送信した前記無線パケット又は他の無線機が転送した前記無線パケットを受信し、受信した無線パケットを無線通信によって転送するよう構成され、
転送すべき無線パケットに含まれる前記無線機識別情報を示す設定情報を記憶した記憶部を備え、
受信した前記無線パケットに含まれる前記無線機識別情報に基づいて前記設定情報を参照し、受信した無線パケットを転送するか否かを判定する転送判定処理を行うよう構成されている
無線機。
上位レイヤパケットがカプセル化された第1プロトコルの通信フレームを受信する第2通信装置に接続され、無線通信用の第2プロトコルの無線パケットを受信する無線機であって、
請求項4記載の無線機が送信した前記無線パケット又は請求項5記載の無線機が転送した前記無線パケットを受信すると、
前記無線パケットの前記宛先情報として自機の無線機識別情報が設定されているか否かを判定し、前記宛先情報として自機の無線機識別情報が設定されている場合、受信した無線パケットから前記上位レイヤパケットを抽出するよう構成され、
受信した無線パケットから抽出される前記上位レイヤパケットに含まれる宛先IPアドレスが、自機に付与されたIPアドレスである場合には、前記上位レイヤパケットを自機宛のパケットとして自機にて処理し、
受信した無線パケットから抽出される前記上位レイヤパケットに含まれる宛先IPアドレスが、前記第2通信装置に付与されたIPアドレスである場合には、前記上位レイヤパケットをカプセル化して前記通信フレームを生成し、生成した前記通信フレームを前記第2通信装置へ送信するよう構成されている
無線機。
前記第2無線機は、前記判定処理によって、受信した無線パケットに含まれる前記上位レイヤパケットが前記無線パケットを受信した無線機に関連するものであると判定した場合には、前記上位レイヤパケットに含まれる宛先IPアドレスを参照し、
当該宛先IPアドレスが、前記第2無線機に付与されたIPアドレスである場合には、前記上位レイヤパケットを前記第2無線機宛のパケットとして前記第2無線機自体が処理し、
当該宛先IPアドレスが、前記第2通信装置に付与されたIPアドレスである場合には、前記上位レイヤパケットを含む前記通信フレームを前記第2通信装置へ送信する
請求項8記載の通信システム。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら説明する。
[1.実施形態の説明]
(1)交通管制システムにおいては、端末をルータなどの装置に接続するための通信プロトコルとして、PPP(Point−to−Point Protocol)が利用される。
例えば、UD形伝送方式では、
図46に示すルータ(UD−RTR)101と端末103との間の伝送インタフェース規格として、S9形インタフェース規格(社団法人新交通管理システム協会)が定められている。このS9形インタフェース規格では、接続方式としてPPPが採用されている。
したがって、端末103が、中央装置100との間で通信を行う場合、
図46のルータ101と端末103との間には、PPPリンク(専用リンク)が確立される。
【0018】
交通管制システムで採用されているPPPは、2点間通信のためのプロトコルであり、有線による物理的な一対一接続が存在することが前提となっている。例えば、PPPを構成するプロトコルの一つとして、LCP(Link Control Protocol)がある。LCPは、PPPリンクの制御を行うためのものであり、具体的には、PPPリンクの確立、維持、および解放に用いられる。PPPは、有線による物理的な一対一接続の存在を前提としているため、LCPの制御パケットには、宛先情報は含まれていない。PPPリンクを確立しようとする機器は、起動時(電源ON時)に最初に相手を認識し合う。
【0019】
ここで、
図46のルータ101と端末103との間の通信を無線で行うことが考えられる。この場合、ルータ101と端末103との間の端末回線104を無線化できるので、通信線の敷設コストや回線維持費などのコスト低減を図ることができる。
一方、従来、交通管制システムとして、移動局(車載機)に対して無線通信を行う基地局(路側通信機)を用いたものが提供されている。この種の交通管制システムでは、基地局が行う無線通信に関する規格として、非特許文献1,2に示すものが採用されている。
そして、既設の交通管制システムの一部を構成する路側通信機に、ルータと端末とを個別に接続して、ルータと端末との間の通信を行うようにすれば、既存の資源を活用することができ、コスト低減の観点から有利である。
【0020】
しかし、非特許文献1においては、路側通信機から移動局(車載機)に対する送信は、ブロードキャストを前提としている。つまり、路側通信機から送信される無線データのMAC層における宛先は全て“1”の値で固定され、特定の宛先を持たない。なお、非特許文献1に規定されるMAC層より上位の層においても、路側通信機の送信における宛先として特定の交通管制システム用端末を指定する伝送方式になっていない。
【0021】
従って、路側通信機から送信された無線パケットは、路側通信機の通信範囲内の全ての無線機(基地局,移動局)に送信され、全ての無線機が受信することができる。そして、特許文献1に記載されたような交通管制システムにおいて、単に非特許文献1,2に規定するような無線通信を導入したとする。この場合、ある特定の端末向けの情報を含む無線パケットが、それ以外の他の端末に接続された無線機にも送信されてしまう。そして、特定の端末向けの情報が、他の端末に傍受される可能性がある。
【0022】
ここで、例えば路側通信機それぞれに個別のIPアドレスを付与し、路側通信機から送信される無線パケットそれぞれに、当該無線パケットに含まれる情報の宛先となる端末のIPアドレスを含ませることが考えられる。この場合、路側通信機間で無線パケットについてIPアドレスを用いたルーティングを行うようにすれば、特定の端末向けの情報を、当該特定の端末のみに送信することが可能となる。
【0023】
しかし、
図2に示すように、一つの路側通信機5Aから送信された信号を受信できる他の路側通信機5B,5C,5D,5Eは一つとは限らない。したがって、路側通信機5Aから、路側通信機5Bに接続された端末6を宛先とする無線パケットを送信した場合、路側通信機5B以外の他の路側通信機5C,5D,5Eもその無線パケットを受信することができる。ところが、その無線パケットの宛先IPアドレスは、その無線パケットを受信した路側通信機5C,5D,5Eに接続された端末6ではないため、路側通信機5C,5D,5Eは、IPルーティングのために、その無線パケットを、路側通信機Bに受信させるためにさらに送信することになる。
この結果、路側通信機5Bに対して多数の同一内容の無線パケットが送信されることになり、不必要な輻輳が生じる。
しかも、送信元の路側通信機5Aから宛先の路側通信機5Bに直接無線パケットを送信できるとは限らず、途中で他の路側通信機5Cが転送(中継)しなければならないこともある。この場合、他の路側通信機5Cが中継のために送信した無線パケットを、路側通信機5A,5D,5Eなどが受信して不必要に転送するおそれもある。
また、路側通信機においてIPルーティングを行う場合、路側通信機が、無線パケットのうち、非特許文献1,2のシステムでは参照する必要のなかった宛先IPアドレス(端末のIPアドレス)を参照する必要があり、処理が遅延するおそれがある。ルーティング処理を簡便に行うには、無線機である路側通信機の識別情報を参照するだけで行えたほうが好ましい。
さらに、中央装置から送信される情報は、端末向けだけとは限らず、路側通信機向けとしたい場合もあるため、そのような場合の対応も望まれる。
【0024】
そこで、本実施形態に係る通信システムは、上位レイヤパケットがカプセル化された第1プロトコルの通信フレームを送信する第1通信装置と、IPアドレスが付与され、前記第1プロトコルの通信フレームを受信する第2通信装置と、無線通信用の第2プロトコルの無線パケットを送受信する複数の無線機と、を備え、前記上位レイヤパケットは、前記上位レイヤパケットの宛先情報として宛先IPアドレスを含み、前記無線パケットは、前記無線パケットの宛先情報として、宛先となる無線機の無線機識別情報を含み、前記無線機識別情報は、IPアドレスとは異なる識別情報であり、複数の無線機それぞれに付与されており、前記複数の無線機は、前記第1通信装置から送信された前記通信フレームを受信する第1無線機と、前記第2通信装置へ前記通信フレームを送信する第2無線機と、受信した無線パケットを無線通信によって転送する第3無線機と、を含み、前記第1無線機は、前記第1通信装置から受信した前記通信フレームから抽出した上位レイヤパケットをカプセル化して前記無線パケットを生成し、生成した前記無線パケットを無線送信するよう構成され、前記第1無線機は、前記宛先IPアドレスと前記無線機識別情報との対応関係を示すテーブルデータを保有し、前記第1無線機は、前記第1通信装置から受信した前記通信フレームに含まれる前記宛先IPアドレスに基づいて前記テーブルデータを参照して、前記宛先IPアドレスに対応する前記無線機識別情報を取得し、取得した前記無線機識別情報が前記無線パケットの宛先情報として設定された前記無線パケットを生成するよう構成され、前記第2無線機は、前記無線パケットを受信すると、前記無線パケットの前記宛先情報として自機の無線機識別情報が設定されているか否かを判定し、前記宛先情報として自機の無線機識別情報が設定されている場合、受信した無線パケットから前記上位レイヤパケットを抽出するよう構成され、前記第2無線機は、IPアドレスが付与されており、前記第2無線機は、受信した無線パケットから抽出される前記上位レイヤパケットに含まれる宛先IPアドレスが、前記第2無線機に付与されたIPアドレスである場合には、前記上位レイヤパケットを前記第2無線機宛のパケットとして前記第2無線機自体が処理し、受信した無線パケットから抽出される前記上位レイヤパケットに含まれる宛先IPアドレスが、前記第2通信装置に付与されたIPアドレスである場合には、前記上位レイヤパケットをカプセル化して前記通信フレームを生成し、生成した前記通信フレームを前記第2通信装置へ送信するよう構成され、前記第3無線機は、転送すべき無線パケットに含まれる前記無線機識別情報を示す設定情報を記憶した記憶部を備え、前記第3無線機は、受信した前記無線パケットに含まれる前記無線機識別情報に基づいて前記設定情報を参照し、受信した無線パケットを転送するか否かを判定する転送判定処理を行うよう構成されている。
【0025】
上記の構成によれば、第2無線機は、前記無線パケットを受信すると、前記無線パケットの前記宛先情報として自機の無線機識別情報が設定されているか否かを判定するため、上位レイヤパケットの宛先IPアドレスを参照しなくても、必要な無線パケットを識別することができる。
【0026】
また、第2無線機は、受信した無線パケットから抽出される上位レイヤパケットに含まれる宛先IPアドレスが、第2無線機に付与されたIPアドレスである場合には、上位レイヤパケットを自機宛のパケットとして第2無線機自体が処理し、受信した無線パケットから抽出される上位レイヤパケットに含まれる宛先IPアドレスが、第2通信装置に付与されたIPアドレスである場合には、上位レイヤパケットをカプセル化して通信フレームを生成し、生成した前記通信フレームを前記第2通信装置へ送信する。このため、受信した無線パケットに含まれる上位レイヤパケットが自機宛であっても、第2通信装置宛であっても、適切に処理することができる。
【0027】
また、前記第3無線機は、受信した前記無線パケットに含まれる前記無線機識別情報に基づいて前記設定情報を参照し、受信した無線パケットを転送するか否かを判定する転送判定処理を行う。このため、第1無線機から送信した無線パケットが第2無線機に直接届かない場合であっても、第3無線機が無線パケットを転送して第2無線機に届けることが可能である。
【0028】
(2)前記無線パケットは、前記無線パケットの宛先情報としての無線機識別情報および送信元情報としての無線機識別情報の両方を含み、前記第2無線機は、前記無線パケットの宛先情報および送信元情報に基づいて、転送判定処理を行うよう構成されているのが好ましい。
この場合、第2無線機は、無線パケットの宛先情報および送信元情報に基づいて、転送判定処理を適切に行うことができる。
【0029】
(3)前記第1通信装置は、前記第1無線機に接続された1以上の通信ポートを有し、前記第1通信装置は、前記上位レイヤパケットの宛先情報としてのIPアドレスと前記通信フレームを送信する前記通信ポートとの対応情報を有し、前記上位レイヤパケットの宛先情報としてのIPアドレスに基づいて前記対応情報を参照することで、前記通信フレームを送信する前記通信ポートを選択するよう構成され、前記対応情報は、前記上位レイヤパケットの宛先情報としての複数のIPアドレスが、前記複数のIPアドレスの数よりも少ない数の前記通信ポートに対応付けられているのが好ましい。
上記構成によれば、上位レイヤパケットの宛先情報としての宛先IPアドレスの数よりも通信ポートの数を少なくすることができる。したがって、必要なポート数を低減できる分、第1通信装置及び第1無線機の構成の簡素化を図ることができる。
【0030】
(4)実施形態に係る無線機は、上位レイヤパケットがカプセル化された第1プロトコルの通信フレームを送信する第1通信装置に接続され、無線通信用の第2プロトコルの無線パケットを送信する無線機であって、前記上位レイヤパケットは、前記上位レイヤパケットの宛先情報として宛先IPアドレスを含み、前記無線パケットは、前記無線パケットの宛先情報として、宛先となる無線機の無線機識別情報を含み、前記第1通信装置から送信された前記通信フレームを受信すると、受信した前記通信フレームから抽出した上位レイヤパケットをカプセル化して前記無線パケットを生成し、生成した前記無線パケットを無線送信するよう構成され、前記宛先IPアドレスと前記無線機識別情報との対応関係を示すテーブルデータを保有し、前記第1通信装置から受信した前記通信フレームに含まれる前記宛先IPアドレスに基づいて前記テーブルデータを参照して、前記宛先IPアドレスに対応する前記無線機識別情報を取得し、取得した前記無線機識別情報が前記無線パケットの宛先情報として設定された前記無線パケットを生成する無線機である。
【0031】
(5)実施形態に係る無線機は、前記(4)記載の無線機が送信した前記無線パケット又は他の無線機が転送した前記無線パケットを受信し、受信した無線パケットを無線通信によって転送するよう構成され、転送すべき無線パケットに含まれる前記無線機識別情報を示す設定情報を記憶した記憶部を備え、受信した前記無線パケットに含まれる前記無線機識別情報に基づいて前記設定情報を参照し、受信した無線パケットを転送するか否かを判定する転送判定処理を行うよう構成されている無線機である。
【0032】
(6)実施形態に係る無線機は、上位レイヤパケットがカプセル化された第1プロトコルの通信フレームを受信する第2通信装置に接続され、無線通信用の第2プロトコルの無線パケットを受信する無線機であって、前記(4)記載の無線機が送信した前記無線パケット又は前記(5)記載の無線機が転送した前記無線パケットを受信すると、前記無線パケットの前記宛先情報として自機の無線機識別情報が設定されているか否かを判定し、前記宛先情報として自機の無線機識別情報が設定されている場合、受信した無線パケットから前記上位レイヤパケットを抽出するよう構成され、受信した無線パケットから抽出される前記上位レイヤパケットに含まれる宛先IPアドレスが、自機に付与されたIPアドレスである場合には、前記上位レイヤパケットを自機宛のパケットとして自機にて処理し、受信した無線パケットから抽出される前記上位レイヤパケットに含まれる宛先IPアドレスが、前記第2通信装置に付与されたIPアドレスである場合には、前記上位レイヤパケットをカプセル化して前記通信フレームを生成し、生成した前記通信フレームを前記第2通信装置へ送信するよう構成されている無線機である。
【0033】
(7)本実施形態における伝送方法は、通信システムにおける伝送方法であって、前記通信システムは、上位レイヤパケットがカプセル化された第1プロトコルの通信フレームを送信する第1通信装置と、IPアドレスが付与され、前記第1プロトコルの通信フレームを受信する第2通信装置と、無線通信用の第2プロトコルの無線パケットを送受信する複数の無線機と、を備え、前記上位レイヤパケットは、前記上位レイヤパケットの宛先情報として宛先IPアドレスを含み、前記無線パケットは、前記無線パケットの宛先情報として、宛先となる無線機の無線機識別情報を含み、前記無線機識別情報は、IPアドレスとは異なる識別情報であり、複数の無線機それぞれに付与されており、前記複数の無線機は、前記第1通信装置から送信された前記通信フレームを受信する第1無線機と、前記第2通信装置へ前記通信フレームを送信する第2無線機と、受信した無線パケットを無線通信によって転送する第3無線機と、を含み、前記第1無線機は、前記宛先IPアドレスと前記無線機識別情報との対応関係を示すテーブルデータを保有し、前記第2無線機は、IPアドレスが付与されており、前記第3無線機は、転送すべき無線パケットに含まれる前記無線機識別情報を示す設定情報を記憶した記憶部を備え、前記伝送方法は、前記第1無線機が、前記第1通信装置から受信した前記通信フレームに含まれる前記宛先IPアドレスに基づいて前記テーブルデータを参照して、前記宛先IPアドレスに対応する前記無線機識別情報を取得し、取得した前記無線機識別情報が前記無線パケットの宛先情報として設定され、かつ、前記通信フレームから抽出した上位レイヤパケットを含む前記無線パケットを生成し、生成した前記無線パケットを無線送信し、前記第3無線機が、受信した前記無線パケットに含まれる前記無線機識別情報に基づいて前記設定情報を参照し、受信した無線パケットを転送するか否かを判定する転送判定処理を行い、転送判定処理結果に基づいて、受信した前記無線パケットを転送し、前記第2無線機が、前記無線パケットを受信すると、前記無線パケットの前記宛先情報として自機の無線機識別情報が設定されているか否かを判定し、前記宛先情報として自機の無線機識別情報が設定されている場合、受信した無線パケットから前記上位レイヤパケットを抽出し、受信した無線パケットから抽出される前記上位レイヤパケットに含まれる宛先IPアドレスが、前記第2無線機に付与されたIPアドレスである場合には、前記上位レイヤパケットを前記第2無線機宛のパケットとして前記第2無線機自体が処理し、受信した無線パケットから抽出される前記上位レイヤパケットに含まれる宛先IPアドレスが、前記第2通信装置に付与されたIPアドレスである場合には、前記上位レイヤパケットをカプセル化して前記通信フレームを生成し、生成した前記通信フレームを前記第2通信装置へ送信することを含む伝送方法である。
【0034】
(8)実施形態に係る通信システムは、第1プロトコルの通信フレームを送信する第1通信装置と、前記第1プロトコルの通信フレームを受信する第2通信装置と、無線通信用の第2プロトコルの無線パケットを送受信する複数の無線機と、を備え、前記通信フレームは、宛先IPアドレスを含む上位レイヤパケットを含み、前記無線パケットは、無線機間通信制御ヘッダ、および、前記上位レイヤパケットを含み、前記無線機間通信制御ヘッダは、識別情報を含み、前記識別情報は、受信した無線パケットに含まれる前記上位レイヤパケットが前記無線パケットを受信した無線機に関連するものであるか否かを、前記無線パケットを受信した無線機が判定するため判定処理に用いられる情報であり、前記複数の無線機は、前記第1通信装置から送信された通信フレームを受信する第1無線機と、前記第2通信装置へ通信フレームを送信する第2無線機と、受信した無線パケットを無線通信によって転送する第3無線機と、を含み、前記第1無線機は、前記通信装置から前記第1プロトコルの通信フレームを受信すると、無線機間通信制御ヘッダと、前記通信フレームに含まれる上位レイヤパケットと、を含む無線パケットを生成し、生成した前記無線パケットを無線送信し、前記第2無線機は、前記無線パケットを受信すると、前記無線パケットに含まれる無線機間通信制御ヘッダの識別情報を参照して前記判定処理を行い、前記判定処理の結果に基づいて、前記無線パケットに含まれる前記上位レイヤパケットを含む前記通信フレームを前記第2通信装置へ送信するか否かを決定し、前記第3無線機は、前記無線パケットを受信すると、前記無線パケットに含まれる無線機間通信制御ヘッダの識別情報を参照して前記判定処理を行い、前記判定処理の結果に基づいて、受信した無線パケットを無線通信によって転送するか否かを決定する通信システムである。
【0035】
上記通信システムによれば、無線パケットには、宛先IPアドレスを含む上位レイヤパケットとは別に、無線機間通信制御ヘッダが含まれており、無線パケットを受信した第2無線機又は第3無線機は、無線機間通信制御ヘッダの識別情報に基づいて、上位レイヤパケットが前記無線パケットを受信した無線機に関連するものであるか否かを判定することができる。したがって、無線パケットを受信した無線機は、無線パケットに含まれる宛先IPアドレスを参照しなくても、受信した無線パケットが自機に関連するものであるかどうかを判定することができる。
【0036】
(9)前記第2無線機は、前記判定処理によって、受信した無線パケットに含まれる前記上位レイヤパケットが前記無線パケットを受信した無線機に関連するものであると判定した場合には、前記上位レイヤパケットに含まれる宛先IPアドレスを参照し、当該宛先IPアドレスが、前記第2無線機に付与されたIPアドレスである場合には、前記上位レイヤパケットを前記第2無線機宛のパケットとして前記第2無線機自体が処理し、当該宛先IPアドレスが、前記第2通信装置に付与されたIPアドレスである場合には、前記上位レイヤパケットを含む前記通信フレームを前記第2通信装置へ送信するのが好ましい。
【0037】
[2.実施形態の詳細]
[2.1 システム構成]
図1は、本発明の通信システムの一例としての交通管制システム(通信システム)1を示している。交通管制システム1は、中央装置2と、中央装置2によって管理(制御)される複数の交通用端末6と、を備えている。本実施形態の交通管制システム1は、UD形伝送方式を用いて通信を行う。
【0038】
中央装置(UD形中央装置)2には、ネットワーク網3を介して、1又は複数のルータ(UD形ルータ;UD−RTR)4が接続されている。各ルータ4には、信号制御機などの複数の交通用端末6が、有線通信路8を介して、又は無線通信路を含む通信路を介して接続されている。
【0039】
UD形伝送方式は、ルータと端末との間の通信(ルータ同士が接続される場合にはルータ間通信も含まれる)にS9形インタフェース規格を用いており、データリンク層のプロトコルとしてPPP(2点間通信用の第1プロトコル)を利用する。なお、伝送方式(回線種別;レイヤ2種別)は、UD形、S9形に限定されるものではない。
【0040】
交通管制システム1は、ルータ(第1通信装置)4と端末(第2通信装置)6との間に無線通信路を形成するための複数の無線機5を備えている。
【0041】
複数の無線機5には、ルータ4に接続された無線機5および、端末6に接続された無線機5が含まれている。なお、無線機5と端末6との間に、さらにルータ4が介在していてもよい。
【0042】
これらの無線機(路側通信機)5は、非特許文献1、2の基地局として要求される機能を具備している。
【0043】
つまり、基地局としての無線機5は、基地局間と移動局との間の通信機能(路車間通信機能などを有しており、車載機などの移動局に対して、無線パケットを、ブロードキャスト送信することができる。
非特許文献1において、路車間通信は、PPPを利用するものではない。
【0044】
ここで、基地局から送信される無線パケットはブロードキャスト送信されるため、無線パケットを受信できるのは、移動局に限られるわけではなく、無線パケットを送信した基地局以外の他の基地局も、無線パケットを受信することができる。つまり、非特許文献1,2の規格では規定されていないが、基地局である無線機5間の通信(路路間通信;基地局間通信)が可能である。
そこで、本実施形態では、基地局である無線機5間の通信(路路間通信)を、ルータ4と端末6との間の通信に用いる。
【0045】
ただし、非特許文献1,2では、基地局である無線機5間の通信(路路間通信)は、非特許文献1,2の規格における基地局による送信(路車間通信)の一種として行われる必要がある。したがって、無線機5間の通信(路路間通信)も、ブロードキャスト送信が前提となり、非特許文献1,2の規格にPPPを含んでいない。
【0046】
[2.2 システム設置例]
図2は、交通管制システム1における無線機5および端末6を、道路上に配置した例を示している。
信号制御機などの端末6は、交差点近傍又は交差点以外の道路近傍に設置される。各端末6には、通信線を介して無線機5が接続されている。無線機5は、端末6の近傍に設置されている。複数の端末6のうち、特定の端末6(比較的大きな交差点付近に設置された端末)には、通信線を介して、ルータ4が接続されている。
【0047】
ネットワーク網3を介して中央装置2に接続されたルータ4は中央装置2から送信された情報を、ルータ4に接続された端末6に配信することができる。また、ルータ4は、中央装置2から送信された情報を、ルータ4に接続された無線機5に与えることができる。ルータ4に接続された無線機5は、中央装置2から送信された情報を、無線パケットに含めて、他の無線機5に送信(ブロードキャスト送信)し、他の無線機5に接続された端末6が、無線送信された情報を取得することができる。
また、逆に、ルータ4は、他の無線機5に接続された端末6から送信された情報を、無線通信を介して取得し、中央装置2へ送信することができる。
なお、基地局としての無線機5は、移動局(車載機)としての無線機7へも情報を送信する。
【0048】
このように、有線の通信線によってルータ4と接続されていない端末6であっても、無線機5同士による無線通信(路路間通信)を利用して、ルータ4および中央装置2と通信することができる。
本実施形態では、ルータ4の設置場所から比較的離れた(数十〜数百メートル程度離れた)場所に設置された端末6とルータ4との間に、長い通信線を敷設する必要がないため、コスト低減が可能である。
【0049】
[2.3 無線機(基地局)およびルータの構成]
図3(a)は、本実施形態に係る無線機5のブロック図であり、
図3(b)は、本実施形態に係るルータ4のブロック図である。
図3(a)に示すように、無線機5は、無線信号の送受信を行う無線通信部51と、無線機5における情報処理を担う第1処理部52と、第1記憶部53と、を備えている。第1処理部52は、無線通信部51から送信される無線通信用のプロトコル(第2プロトコル)の無線パケットを生成し、無線通信部51に与える処理を行う。また、無線機5は、無線通信部51によって受信した無線パケットに対するゲートウェイ処理を行う。
ところで、無線機5には、無線機固有の識別情報(無線機識別情報)が付与されている。この無線機識別情報は、IPアドレスとは異なるものである。
第1記憶部53は、第1処理部52における処理に用いられる情報(後述の第1設定情報、第2設定情報、テーブルデータおよびその他の情報)が記憶されている。
【0050】
無線機5の第1処理部52は、第1処理部52によって実現される機能の一部又は全部がハードウェア回路によって構成されていてもよいし、その機能の一部又は全部が、コンピュータプログラムによって実現されていてもよい。第1処理部52の機能の一部又は全部がコンピュータプログラムによって実現される場合、第1処理部52は、コンピュータを含み、そのコンピュータによって実行されるコンピュータプログラムは、第1記憶部53に記憶される。
【0051】
無線機5は、第1有線通信部54および第2有線通信部55を備えている。第1有線通信部54は、ルータ4との間をPPP(2点間通信用の第1プロトコル)によって通信するためのものである。第1有線通信部54は、S9形インタフェース規格に従っている。第1有線通信部54は、ポート(通信ポート:S9ポート)P
1を備えている。なお、第1有線通信部54は、複数のポートを有するものであってもよい。このポートは、後述のルータ4のポート(通信ポート)に1対1で対応する形で接続されている。
なお、以下では、一つのポート(S9ポート)は、送受信を行うためのポートとして説明する。つまり、
図3(a)に示すポート(S9ポート)P
1は、S9形インタフェース規格における送信ポートおよび受信ポートを含んだものである。
【0052】
第2有線通信部55は、イーサネット(登録商標)接続用の通信部であり、1又は複数のイーサポートP
M1,P
M2,P
M3,P
M4を備えている。安全運転支援システム(DSSS:Driving Safety Support Systems)向けにS11形インタフェース規格(一般社団法人UTMS協会)が策定されている。無線機5が備えるイーサポートP
M1,P
M2,P
M3,P
M4は、S11形インタフェース規格(Ethernet)にも対応できるポートである。無線機5は、イーサポートP
Mを介して、ルータ4や端末6と接続することもできる。
【0053】
図3(b)に示すように、ルータ4は、第3有線通信部41と、第4有線通信部44と、ルータ4における情報処理を担う第2処理部42と、第2記憶部43と、を備えている。第2処理部42は、ネットワーク網3から第4有線通信部44で受信した通信フレームを第3有線通信部41に与える処理を行うとともに、第3有線通信部41によって受信した通信フレームを第4有線通信部44に与える処理を行う。
第2記憶部43は、第2処理部42における処理に用いられる情報(後述の第1設定情報、第2設定情報、ルーティングテーブルおよびその他の情報)が記憶されている。
【0054】
ルータ4の第2処理部42は、第2処理部42によって実現される機能の一部又は全部がハードウェア回路によって構成されていてもよいし、その機能の一部又は全部が、コンピュータプログラムによって実現されていてもよい。第2処理部42の機能の一部又は全部がコンピュータプログラムによって実現される場合、第2処理部42は、コンピュータを含み、そのコンピュータによって実行されるコンピュータプログラムは、第2記憶部43に記憶される。
【0055】
また、第3有線通信部41は、無線機5との間をPPPによって通信するためのものである。第3有線通信部41は、S9形インタフェース規格に従っている。第3有線通信部41は、少なくとも2つのポート(S9ポート)P
R1,P
R2を備えている。そして、ポートP
R1は、無線機5に接続されており、ポートP
R2は、端末6に接続されている。具体的には、ポートP
R2は、無線機5のポートP
1と通信線によって接続されている。
【0056】
第5有線通信部45は、イーサネット(登録商標)接続用の通信部であり、1または複数のイーサポートP
MR1,P
MR2,P
MR3,P
MR4を備えている。これらのイーサポートP
MR1,P
MR2,P
MR3,P
MR4は、例えばS11形インタフェース規格用のポートである。ルータ4は、イーサポートP
Mを介して、無線機5や端末6と接続することもできる。
【0057】
図4は、無線機5におけるプロトコルスタックを示している。
図4に示すプロトコルスタックは、物理層(PHY層:Physical Layer)、MAC副層(Medium Access Control sublayer)、LLC副層(Logical Link Control sublayer)、車車間・路車間共用通信制御情報層(IVC−RVC層:Inter−Vehicle Communication − Road to Vehicle Communication Layer)およびレイヤ7(L7)、拡張層(EL)を備えている。
レイヤ1、MAC副層、LLC副層、IVC−RVC層、およびレイヤ7は、非特許文献1に規定されたレイヤである。拡張層は、非特許文献2に規定されたレイヤである。
【0058】
ELまたはL7は、セキュリティ管理にアクセスすることができる。セキュリティ管理は、ELから受け取ったアンセキュアなデータに対して、セキュリティ処理(暗号化処理、署名処理など)を行って、セキュアなデータを生成することができる。また、セキュリティ管理は、セキュリティ処理が施されたセキュアなデータをアンセキュアにデータに戻すことができる。
【0059】
本実施形態では、ELの上位層として、路路間通信の制御のためのIRC層が設けられている。IRC層は、非特許文献1,2に規定されたものではないが、本実施形態では、拡張層またはレイヤ7の直上のレイヤとして設けられている。また、IRC層は、有線側のインターフェースであるPPP層およびEthernet層と接続されている。なお、Ethernet層は、Ethernet規格におけるデータリンク層に相当する。PPP層は、PPPフレームのPPPヘッダを処理(ヘッダの付加・ヘッダの読み取りなど)し、Ethernet層は、イーサネットフレームのイーサネットヘッダを処理(ヘッダの付加・ヘッダの読み取りなど)する。
【0060】
[2.4 データ構造]
図5は、実施形態に係る無線機5によって送信される無線パケットのデータ構造を示す図である。
[2.4.1 無線パケットの構造]
本実施形態における無線パケットは、先頭から、無線通信制御情報、IRC(路路間通信制御情報)ヘッダ、データ、およびFCSの各領域を有している。
無線通信制御情報は、非特許文献1および2に準拠したものであり、先頭から、PHYヘッダ(物理ヘッダ)、MAC制御フィールド(MACヘッダ)、LLC制御フィールド(LLCヘッダ)、IR制御フィールド(IRヘッダ)、L7ヘッダ、ELヘッダおよびSecurityヘッダを有して構成される。
【0061】
PHYヘッダは、非特許文献1の規格におけるレイヤ1の物理層に対応したヘッダである。MAC制御フィールドは、同規格におけるレイヤ2のMAC副層(Medium Access Control Sublayer)に対応した制御フィールドである。LLC制御フィールドは、同規格におけるレイヤ2のLLC副層(Logical Link Control Sublayer)に対応した制御フィールドである。IR制御フィールドは、同規格における車車間・路車間共用通信制御情報(IVC−RVC)層に対応した制御フィールドである。L7ヘッダは、同規格におけるレイヤ7に対応したヘッダである。ELヘッダは、非特許文献2に示す拡張層(Extended Layer)に対応するヘッダである。なお、ELヘッダは、省略してもよい。Securityヘッダは、セキュリティ管理によって生成されるヘッダである。
【0062】
図5に示すように、非特許文献1の規格において、L7ヘッダには、「アプリケーション関連情報(ApplicationAssociatedInformation)」フィールドが設けられている。同規格において、アプリケーション関連情報フィールドの内容は定められていないが、本実施形態では、アプリケーション関連情報フィールドには、「通信分類(CommunicationClassification)」フィールドが設けられている。
【0063】
通信分類フィールドは、無線パケットの種類(通信の種類)、すなわち、無線パケットが、「1.移動局から移動局・基地局への通信(車車間・車路間共用通信)」、「2.基地局から移動局・基地局への通信(路車間・路路間共用通信)」、「3.移動局から移動局への通信(車車間通信)」、「4.基地局から移動局への通信(路車間通信)」、「5.移動局から基地局への通信(車路間通信)」、「6.基地局から基地局への通信(路路間通信)」のうちのいずれの通信のためのパケットであるかを分類するためのものである。通信分類フィールドはこのとおりでなくてもよい。
【0064】
無線パケットに通信分類フィールドが設けられていることで、無線パケットを受信した無線機5,7は、受信した無線パケットに含まれる通信分類フィールドを参照することで、自機に必要なパケットであるかどうかを判別し、上位レイヤ(レイヤ7よりも上位のレイヤ)を参照することなく、不要な場合(例えば、基地局向けパケットを移動局が受信して不要だと判断した場合)には、そのパケットを破棄することができる。
【0065】
また、
図5に示すように、非特許文献1の規格において、ELヘッダ(EL基地局ヘッダ)には、基地局ID情報(BaseStationID:無線送信元ID)が含まれている。したがって、無線パケットにELヘッダが含まれる場合、受信側の無線機5(のEL層)は、ELヘッダの基地局ID情報を参照することで、無線パケットの送信元の無線機5のIDを取得することができる。
【0066】
無線パケットにおいて、SecurityヘッダとFCSとの間の領域(
図4の無線パケットにおけるIRCヘッダおよびデータの領域)は、無線パケットとしてのアプリケーションデータが格納される領域である。無線パケットとしてのアプリケーションデータは、セキュリティ管理(
図4参照)によって、セキュリティ処理(暗号化処理、署名処理など)が施されたセキュアなデータになっていることがある。セキュアなデータを受信した無線機5のEL、L7は、セキュアなデータをセキュリティ管理に渡して、セキュリティ管理によってアンセキュアなデータに戻してもらい、セキュリティ管理から受け取ったアンセキュアなデータを上位層に渡す。
【0067】
なお、セキュリティ管理に対して、ELからアンセキュアなデータが渡される場合、ELヘッダよりも後続の領域(
図5の無線パケットにおけるSecurityヘッダ、IRCヘッダおよびデータの領域)がセキュアなデータとなる。また、セキュリティ管理に対して、L7からアンセキュアなデータが渡される場合、L7ヘッダよりも後続の領域(
図5の無線パケットにおけるELヘッダ、IRCヘッダおよびデータの領域)がセキュアなデータとなる。さらに、IRC層からセキュリティ管理に対してアンセキュアなデータを渡すようにしてもよい。
【0068】
無線機5が、移動局(車載機)としての無線機7向けのデータ(路車データ)を送信する際には、アプリケーションデータが格納される領域には、無線機7向けのアプリケーションデータが格納される。
一方、本実施形態の無線機5は、無線機5間通信(路路間通信)を行う場合であって、端末6の管理に関する情報を送信する場合には、無線パケットとしてのアプリケーションデータが格納される領域に、IRCヘッダおよび上位レイヤパケットからなるIRCフレームを格納する。
【0069】
IRC(路路間通信制御情報)ヘッダは、路路間通信の制御のためのIRC層に対応するヘッダである。IRCヘッダについては後述する。
なお、
図5に示す無線パケットにおいては、セキュリティヘッダは、IRCヘッダの前側にあるが、IRCヘッダの後側にあってもよい。セキュリティヘッダがIRCヘッダの前側にある場合、IRCヘッダをセキュアなデータにできる。ただし、IRCヘッダがセキュリティ処理の対象となっているため、IRCヘッダを読み取るには、アンセキュアにする処理が必要となる。一方、セキュリティヘッダがIRCヘッダの後側にある場合、IRCヘッダはアンセキュアなデータであるため、IRCヘッダを読み取るのに、アンセキュアにする処理が不要である。また、無線パケットにおいて、セキュリティヘッダを省略してもよい。
【0070】
また、セキュリティヘッダは、ELヘッダの前側にあってもよいし、ELヘッダの後側にあってもよい。セキュリティヘッダがELヘッダの前側にある場合、ELヘッダ(基地局ID情報(無線送信元ID))およびIRCヘッダ双方をセキュアなデータにできる。また、セキュリティヘッダがELヘッダの後側にある場合、ELヘッダはアンセキュアなため、ELヘッダに含まれる基地局ID情報(無線送信元ID)などの情報を読み取るのに、アンセキュアにする処理が不要である。
【0071】
[2.4.2 上位レイヤパケットの構造]
ルータ4または端末6によって生成された上位レイヤパケットを取得した無線機5は、上位レイヤパケットに無線通信制御情報などを付加してカプセル化し、無線パケットを生成する。
図5に示すように、ルータ4または端末6によって生成される上位レイヤパケットは、IPヘッダ、UDPヘッダ、Datex−Ashヘッダおよびデータ部から構成されている。ここで、IPヘッダには、上位レイヤパケットの宛先情報(宛先IPアドレスなど)が含まれる。
【0072】
[2.4.3 IRC(路路間通信制御情報;無線機間通信制御)ヘッダ]
IRCヘッダは、無線パケット(無線送信データ)を生成する無線機5のIRC層による処理(情報付加処理;IRCヘッダ付加処理)にて生成され、無線パケット(無線送信データ)を受信した無線機5のIRC層による処理に用いられる。
図6に示すように、IRCヘッダは、通信種別情報71と、データ種別情報72と、生成元無線機ID73と、宛先無線機ID74と、送信元無線機ID75と、生成回数情報76とを含んでいる。
【0073】
通信種別情報71は、無線パケットが「路車間通信」、「車車間通信」、「路路間通信」のいずれに該当するかを示す識別情報である。例えば、ルータ4に接続された無線機5と端末6に接続された無線機5との間で授受される無線パケットの場合、通信種別情報71は「路路間通信」を示すよう設定される。
生成元無線機ID73は、第2プロトコルの無線パケットを生成した無線機5に付与された固有の識別情報を示す。宛先無線機ID74は、無線パケットを送る宛先の無線機5に付与された固有の識別情報を示す。送信元無線機ID75は、例えば無線パケットが複数の無線機5に亘って転送されている場合、転送した無線機5に付与された固有の識別情報を示す。
ところで、生成元無線機ID73、宛先無線機ID74および送信元無線機ID75は、いずれも無線機固有の識別情報から構成されている。これらの識別情報は、受信した無線パケットに含まれる前記上位レイヤパケットが前記無線パケットを受信した無線機に関連するものであるか否かを、前記無線パケットを受信した無線機が判定するため判定処理(受信判定処理、転送判定処理など)に用いられる。この無線機固有の識別情報は、IPアドレスとは異なるものである。
【0074】
これにより、無線機識別情報がIPアドレスから構成される通信システムに比べて、通信システム全体で必要となるIPアドレスの数を低減することができる。また、無線機用のIPアドレスが不要となることから、その分、通信装置用のIPアドレスの数を確保することができる。
【0075】
生成回数情報76は、無線パケットが生成された回数に関する情報である。なお、生成回数情報は、省略してもよい。
【0076】
[2.5 無線通信区間が介在する路路間通信]
次に、本実施形態に係る無線通信区間が介在する路路間通信について詳細に説明する。ここでは、4つのケースについて説明する。
[2.5.1 ケース1]
図7は、本実施形態に係るケース1を示す説明図である。
ケース1では、一対の無線機(第1無線機5Aと第2無線機5B)それぞれに一つずつ通信装置(ルータ(第1通信装置)4,端末(第2通信装置)61)が接続されているものとする。ルータ4と第1無線機5Aとは、PPPフレームの送受信を行うものであり、2点間通信リンクであるPPPリンクL0の両端に位置する。ここで、PPPフレームは、ルータ4が中央装置2から受信した上位レイヤパケットにPPPヘッダを付加することによりカプセル化したものである。また、端末61と第2無線機5Bとも、PPPフレームの送受信を行うものであり、2点間通信リンクであるPPPリンクL1の両端に位置する。
【0077】
第1無線機5Aの近傍には、第2無線機5B以外に第3無線機5Cも存在し、第1無線機5Aから送信された電波は、第3無線機5Cにおいて受信可能であるものとする。第3無線機5Cには端末62が接続されている。端末62と第3無線機5Cとは、PPPフレームの送受信を行うものであり、2点間通信リンクであるPPPリンクL2の両端に位置する。また、ルータ4には、端末65が有線接続されている。そして、ルータ4と端末65とは、PPPフレームの送受信を行うものである。
【0078】
ルータ4において、第1無線機5Aに接続されるポートにはIPアドレス「IP−R1」が付与されており、中央装置2(IPアドレス:IP−Y)側(ネットワーク網3側)に接続されるポートにはIPアドレス「IP−X」が付与されている。無線機5Aのルータ4に接続されるポートにはIPアドレス「IP−1A」が付与されている。無線機5B,5Cそれぞれの端末61,62に接続されるポートにも、IPアドレス「IP−1B」,「IP−1C」が付与されている。端末61,62それぞれの無線機5B,5Cに接続されるポートにはIPアドレス「IP−T1」,「IP−T2」が付与されている。
【0079】
ところで、本実施形態に係る通信システムでは、無線通信区間においてプロトコル変換を行う。
図8は、本実施形態に係るプロトコル変換を説明する図である。
各無線機5A,5Bは、PPPフレームから上位レイヤパケットを抽出する。
【0080】
PPPフレームは、PPPヘッダおよびデータ部を有している。PPPヘッダは、プリアンブルおよびプロトコルの領域を有している。PPPヘッダのプリアンブルは、Flag,Address,Controlの各フィールドを備えているが、それぞれ、固定値が格納される。
【0081】
PPPヘッダのプロトコルは、このプロトコルに後続するデータ部の種別を示す。プロトコルの領域に格納されている値が、LCP(Link Contol Protocol),認証,NCP(Network Control Protocol)のいずれかである場合、PPPフレームのデータ部の内容は、PPP制御パケットとなる。また、プロトコルの領域に格納されている値が、上位レイヤを示す値(例えば、IP)である場合、PPPフレームのデータ部の内容は、上位レイヤパケットとなる。なお、データ部がPPP制御パケットの場合、無線機5A,5Bは、当該PPPフレームから無線パケットを生成しない。
【0082】
PPP制御パケットは、Code、ID、Length、データまたはパラメータリストの各フィールドを有している。
Codeは、PPP制御パケットの種別を示す情報である。IDは、PPP制御パケットの識別子である。Lengthは、PPP制御パケット長である。データ又はパラメータリストのフィールドは、PPP制御パケットごとに関連するデータを格納するフィールドである。
【0083】
LCPまたは認証のPPP制御パケットは、PPP制御パケットの宛先を示す情報を有していない。したがって、LCP又は認証のPPPフレームは、宛先情報を持たない。つまり、PPPは、その通信フレーム(PPPフレーム)に宛先情報を持たないことがあり得るプロトコルである。なお、PPPフレームのデータ部の内容が上位レイヤパケットである場合、PPPフレームには、上位レイヤパケットの宛先情報(IPアドレスなど)が含まれる。
【0084】
例えば、ルータ4からPPPフレームを受信した第1無線機5Aは、PPPフレームから上位レイヤパケットを抽出する。そして、第1無線機5Aは、抽出した上位レイヤパケットに、通信種別情報や生成元無線機IDなどを含むIRCヘッダを付加し、さらに無線通信制御情報(SecurityヘッダからPHYヘッダ)を付加して、無線パケットを生成する。
【0085】
無線パケットが第2無線機5Bにて受信されると、第2無線機5Bは、受信した無線パケットから上位レイヤパケットを抽出する。そして、第2無線機5Bは、上位レイヤパケットからプロトコルとプリアンブルを付加する(PPPフレームを生成する)。
なお、後述のケース2〜4においても同様のプロトコル変換が行われる。
【0086】
また、ケース1では、第1無線機5Aの第1記憶部53には、
図9(a)に示すような接続設定情報(第1設定情報、第2設定情報)と、
図9(b)に示すようなテーブルデータが設定されている。そして、第2無線機5Bおよび第3無線機5Cの各第1記憶部53には、
図10(a)に示すような接続設定情報(第1設定情報および第2設定情報)と、
図10(b)に示すようなテーブルデータが設定されている。
【0087】
第1設定情報は、各無線機5A,5B,5Cが、接続された通信装置(ルータ4や端末61、62)からPPPフレームを受信した場合に参照される情報である。
第1設定情報は、自機5A,5B,5Cのポートのうちルータ4または端末6に接続されたポート(自機ポート)のIPアドレスを示す自機ポートIPアドレス(自機ポートIP)と、送信元(ルータ4または端末6)のポートIPアドレス(送信元ポートIP)と、が対応付けられて構成されている。
【0088】
第2設定情報は、各無線機5A,5B,5Cが、他の無線機5から無線パケットを受信した場合に参照される情報である。第2設定情報は、受信した無線パケットからPPPフレームを生成する際に用いられる。
第2設定情報は、自機5A,5B,5Cのポートのうちルータ4または端末6に接続されたポート(自機ポート)のIPアドレスを示す自機ポートIPアドレス(自機ポートIP)と当該ポートに直接接続されたルータ4または端末6側のポートのIPアドレス(宛先ポートIP)、あるいは、当該自機ポートIPと宛先となる中央装置2や端末6のIPアドレス(宛先IP)が、対応付けられて構成されている。
【0089】
無線機5A,5B,5Cそれぞれの保有するテーブルデータは、無線パケットの一部を構成する上位レイヤパケットに含まれる宛先のIPアドレスと、他の無線機5に付与された固有の無線機識別情報(宛先無線機ID)と、が対応づけられている。このテーブルデータは、ルータ4または端末6から受信したPPPフレームから無線パケットを生成する際に用いられる。
【0090】
無線機5Aでは、ルータ4から受信したPPPフレームから上位レイヤパケットを抽出する。そして、無線機5Aは、上位レイヤパケットに含まれる宛先のIPアドレス(宛先IP)が「IP−T1」、「IP−T2」の場合、テーブルデータを参照して、無線パケットにおけるIRCヘッダの宛先無線機ID74を「ID−5B」、「ID−5C」に設定する。このとき、無線機5Aは、無線パケットにおけるIRCヘッダの生成元無線機ID73および送信元無線機ID75を共に「ID−5A」に設定する。
【0091】
一方、無線機5B(5C)では、端末61(62)から受信したPPPフレームに含まれる宛先のIPアドレス(宛先IP)が「IP−Y」の場合、テーブルデータを参照して、無線パケットにおけるIRCヘッダの宛先無線機ID74を「ID−5A」に設定する。このとき、無線機5B(5C)は、無線パケットにおけるIRCヘッダの生成元無線機ID73および送信元無線機ID75を共に「ID−5B(5C)」に設定する。
【0092】
更に、ケース1では、ルータ4の第2記憶部43には、
図11(a)に示すような接続設定情報(第1設定情報、第2設定情報)と、
図11(b)に示すようなルーティングテーブルが設定されている。
【0093】
第1設定情報は、ルータ4が無線機5AからPPPフレームを受信した場合に参照される情報である。
第1設定情報は、無線機5Aに接続されたポート(自機ポート)のIPアドレスを示す自機ポートIPアドレス(自機ポートIP)と、送信元(中央装置2、端末6、無線機5A)のポート(送信元ポート)のIPアドレスを示す送信元のポートのIPアドレス(送信元ポートIP)と、が対応付けられて構成されている。
【0094】
第2設定情報(対応情報)は、ルータ4が中央装置2、端末6および無線機5Aから上位レイヤパケットを受信した場合に参照される情報である。第2設定情報は、受信した上位レイヤパケットからPPPフレームを生成する際に用いられる。
第2設定情報は、中央装置2、端末6および無線機5Aに接続されたポート(自機ポート)のIPアドレスを示す自機ポートIPアドレス(自機ポートIP)と、送信先となる接続された中央装置2、端末6および無線機5Aのポート(宛先ポート)のIPアドレスを示す宛先ポートIPアドレス(宛先ポートIP)とが、対応付けられて構成されている。
【0095】
ルータ4の保有するルーティングテーブル(対応情報)は、上位レイヤパケットに含まれる宛先IPアドレスと、無線機5A、中央装置2および端末65などに付与されたIPアドレスと、が対応づけられている。このルーティングテーブルは、例えば、中央装置2から受信した上位レイヤパケットや第1無線機5Aから受信したPPPフレームから抽出した上位レイヤパケットをルーティングする際に用いられる。
【0096】
ルータ4では、中央装置2から受信した上位レイヤパケットに含まれる宛先のIPアドレス(宛先IP)が「IP−T1」、「IP−T2」の場合、上位レイヤパケットを無線機5Aに対応するIPアドレス「IP−1A」向けに送る。このとき、ルータ4は、上位レイヤパケットからPPPフレームを生成して、「IP−R1」の自機ポートを介して無線機5Aへ送る。また、ルータ4では、無線機5Aから受信したPPPフレームに含まれる宛先のIPアドレス(宛先IP)が「IP−Y」の場合、PPPフレームから上位レイヤパケットを抽出して、「IP−X1」の自機ポートを介して中央装置2に対応するIPアドレス「IP−Y」向けに送る。
【0097】
図12は、本実施形態における、ルータ4から端末61へ上位レイヤパケットを送信する場合の第1無線機5Aおよび第2無線機5Bの通信処理手順を示している。
まず、ルータ4は、端末61のための情報が含まれたPPPフレームを、ポート(S9ポート)P
R1から送信する。
第1無線機5Aは、ルータ4のIPアドレス「IP−R1」が付与されたポートから送信されたPPPフレームを、IPアドレス「IP−1A」が付与されたポートにて受信する(ステップS1)。
【0098】
第1無線機5Aの第1処理部52は、受信したPPPフレームから上位レイヤパケットを抽出する上位レイヤパケット抽出処理を行う(ステップS2)。
【0099】
続いて、第1処理部52(のIRC層としての機能)は、上位レイヤパケットに含まれる宛先IPアドレス(IP−T1)に基づいて、テーブルデータを参照して、宛先無線機ID(ID−5B)を得て、この宛先無線機IDを含むIRCヘッダを生成し、上位レイヤパケットの先頭に付加する(IRCヘッダ付加処理;ステップS3)。ここで、IRCヘッダは、生成元の基地局IDおよび送信元の基地局IDのフィールドに、第1無線機5Aに付与された無線機識別情報(「ID−5A」)が格納され、宛先の基地局IDのフィールドに、第2無線機5Bに付与された無線機識別情報(「ID−5B」)が格納される。また、IRCヘッダのうち、通信種別情報は、「路路間通信」を示す情報に設定され、生成回数情報は、例えば「0」に設定される。このようにして、受信した上位レイヤパケットをカプセル化したIRCフレームが生成される。
【0100】
そして、IRC層は、生成したIRCフレームの無線送信要求を、拡張層(EL)(拡張層が存在しない場合にはレイヤ7)に対して行う(ステップS4)。
拡張層〜PHY層までの各レイヤは、
図5に示す無線通信制御情報(SecurityヘッダからPHYヘッダまで)を、IRCフレームに対して付加して、無線パケットを生成する(無線パケット生成処理;ステップS5)。つまり、無線パケットの生成は、IRC層とは異なるレイヤ(拡張層〜PHY層)によって行われる。
なお、無線パケット生成処理において、第1無線機5Aの拡張層は、ELヘッダの基地局ID情報のフィールドに第1無線機5AのIDをセットする。また、無線パケット生成処理において、第1無線機5Aのレイヤ7は、通信分類のフィールドに、「6.基地局から基地局への通信(路路間通信)」であることを示す情報をセットする。
【0101】
生成された無線パケットは、第1無線機5Aからブロードキャスト送信される(ステップS6)。
なお、セキュリティ管理によってセキュリティ処理を実施する場合は、IRCデータ(IRCヘッダからPHYヘッダまでを除いたデータ)に対してでもよいし、IRCフレーム(SecurityヘッダからPHYヘッダまでを除いたデータ)に対してでもよい。また、レイヤ7からセキュリティ管理にアクセスする場合は、L7データ(L7ヘッダからPHYヘッダまでを除いたデータ)に対してでもよい。
【0102】
ブロードキャスト送信された無線パケットは、第2無線機5Bによって受信される。無線パケットを受信した第2無線機5Bの第1処理部52(PHY層〜拡張層までの各レイヤ;無線処理機能部)は、無線パケットの受信処理を行う(ステップS7)。
【0103】
無線パケットの受信処理のうち、レイヤ7での処理においては、L7ヘッダに含まれる通信分類に基づく判定が行われる。通信分類のフィールドが示す通信分類が基地局宛の分類でない場合、基地局である第2無線機5Bは、受信した無線パケットを破棄することができる。ただし、ここでは、基地局宛の分類の一つである「6.基地局から基地局への通信(路路間通信)」が通信分類フィールドに設定されているため、受信した無線パケットを破棄せず処理することができる。
【0104】
これに対し、通信分類のフィールドが示す分類が、基地局宛の分類でないため、第1無線機5Aから送信された無線パケットを受信した車載機(移動局)7は、受信した無線パケットを破棄してもよい。
【0105】
第2無線機5Bの第1処理部52は、受信した無線パケットから、無線通信制御情報(PHYヘッダからSecurityヘッダまで)を取り除いたIRCフレーム(IRCヘッダおよび上位レイヤパケット)を、拡張層からIRC層に与える処理を行う(ステップS8)。また、第2無線機5Bの拡張層は、受信した無線パケットのELヘッダの基地局IDのフィールドに格納されていた第1無線機5AのIDを、非特許文献2のサービスプリミティブに従いIRC層に与える。したがって、受信した無線パケットからIRCフレームを得る処理は、IRC層とは異なるレイヤによって行われる。
【0106】
第2無線機5BのIRC層は、IRCヘッダに含まれる通信種別情報71、生成元無線機ID73、宛先無線機ID74、送信元無線機ID75を用いて、受信判定処理(判定処理)を行う(ステップS9)。この受信判定処理では、無線パケットから得られるIRCフレームの要否を判定する。この受信判定処理は、受信した無線パケットに含まれる上位レイヤパケットが無線パケットを受信した無線機に関連するものであるか否かを判定するための判定処理の一種である。無線パケットを受信した無線機は、受信判定処理の結果に基づいて、無線パケットに含まれる上位レイヤパケットを含む通信フレームを端末(第2通信装置)へ送信するか否かを決定する。
【0107】
図13は、本実施形態に係る無線機(第2無線機)5Bで行われる受信判定処理の内容を示すフローチャートである。
まず、第2無線機5Bは、保持リストを更新する(ステップS91)。ここで、「保持リスト」とは、第2無線機5Bが第1記憶部53に保持する受信したIRCフレームとともに記憶している管理情報であり、第2無線機5Bの受信したIRCフレームを管理するリストである。例えば、IRCフレームを受信した時刻やIRCヘッダに含まれる情報などを保持リストに登録する。この保持リストは、保持したIRCフレームを処理(転送や破棄など)した場合に更新される。なお、ステップS91の保持リストの更新処理は、図示しないが、既に保持されているIRCフレームの保持期間が所定の時間より長い場合、その情報を破棄することを想定している。
次に、第2無線機5Bは、IRCヘッダに含まれる通信種別情報71に基づいて、通信種別が「路路間通信」のデータであるか否かを判定する(ステップS92)。
【0108】
IRCヘッダに含まれる通信種別情報71が、「路路間通信」を示さない場合(ステップS92:No)、第2無線機5Bは、当該IRCフレームを「不要」と判定する。
一方、IRCヘッダに含まれる通信種別情報71が、「路路間通信」を示す場合(ステップS92:Yes)、第2無線機5Bは、当該IRCヘッダに含まれる生成元無線機ID73、宛先無線機ID74、送信元無線機ID75を読み取る(ステップS93)。
【0109】
続いて、第2無線機5Bは、読み取った送信元無線機ID75と自機5Bに予め登録された基地局ID(受信すべきパケットの送信元基地局ID)とを照合するとともに、読み取った宛先無線機ID74と自機5Bに付与された無線機ID(無線機識別情報)とを照合する(ステップS94)。
【0110】
そして、照合結果がNGの場合(ステップS95:No)、第2無線機5Bは、当該IRCフレームを「不要」と判定する。
一方、照合結果がOKの場合(ステップS95:Yes)、第2無線機5Bは、IRCフレームから、IRCフレームに含まれる上位レイヤパケットの宛先IPアドレスを取得し、取得した宛先IPアドレスと自機5Bに予め登録された宛先IPアドレス(例えば、自機5Bに接続された端末61のポートP1に付与されたIPアドレス「IP−T1」)とを照合する(ステップS96)。
そして、照合結果がNGの場合(ステップS97:No)、第2無線機5Bは、IRCフレームを「不要」と判定する。
一方、照合結果がOKの場合(ステップS97:Yes)、保持リストを更新し(ステップS98)、IRCフレームを「要」と判定する。ここで、第2無線機5Bは、例えば、保持リストはIRCヘッダの通信種別から送信元無線機IDまでの条件別に、受信したIRCフレームの受信時刻と生成回数情報を保持しており、「要」と判定(つまり保持)したIRCフレームから、当該条件に対する受信時刻と生成回数情報を更新する。
なお、後述のように、上位レイヤパケットが第2無線機5B宛となり得る場合には、宛先IPアドレス照合(ステップS96)のために第2無線機5Bに予め登録された宛先IPアドレスとして、第2無線機5Bに付与されたIPアドレスが含まれていても良い。
【0111】
図12に戻って、第2無線機5BのIRC層は、受信判定処理によりIRCフレームが「要」と判定された場合、得られたIRCフレームが自機5B宛であると認識し、当該IRCフレームから上位レイヤパケットを抽出する。そして、当該上位レイヤパケットに含まれる宛先IPアドレスを確認し且つその宛先IPアドレスが自機に接続される端末61宛であることを確認した場合、上位レイヤパケットは、IRC層から第2無線機5BのPPP層に渡され、当該PPP層は当該上位レイヤパケットからPPPフレームを生成する。そして、当該PPP層は、上位レイヤパケットに含まれる宛先IPアドレスに基づいて第2設定情報を参照し、PPPフレームを「IP−1B」のポートから端末61の「IP−T1」のポートに送信する(ステップS10)。
第2無線機5Bから送信されたPPPフレームは、端末61によって受信される。
【0112】
なお、第2無線機5BのIRC層は、受信判定処理によりIRCフレームが「不要」と判定された場合、得られたIRCフレームが自機5Bに接続された端末61宛ではないと認識する。この場合、後述(ケース3にて説明する)の転送判定処理(ステップS11)を行い、転送の必要もなければ、当該IRCフレームを破棄する(ステップS12)。
【0113】
第1無線機5Aからブロードキャスト送信された無線パケットは、第2無線機5B以外に第3無線機5Cによっても受信される。無線パケットを受信した第3無線機5Cの第1処理部52(PHY層〜拡張層までの各レイヤ;無線処理機能部)は、第2無線機5Bと同様に、無線パケットの受信処理を行って、IRCフレームを得る。
第3無線機5CのIRC層は、IRCヘッダに含まれる通信種別情報71、宛先無線機ID74および送信元無線機ID75を用いて、受信判定処理を行う。
【0114】
このように、ルータ4から送信された上位レイヤパケット(データ)は、第1無線機5Aによってブロードキャストされて複数の無線機5B,5Cによって受信されることがある。しかし、受信側の無線機5B,5Cによって、IRCヘッダに含まれる宛先無線機ID74を用いた受信判定を行うため、上位レイヤパケットを確実に本来の宛先である第2無線機5Bに届けることができる。
【0115】
しかも、本来の宛先とは関係ない第3無線機5Cは、第3無線機5Cに接続された端末62に上位レイヤパケットを送ることなく、第3無線機5Cにて無線パケットを破棄する。このため、端末62において上位レイヤパケットを破棄する処理を行う必要がなくなるので、端末62の処理負荷軽減を図ることができる。
また、第1無線機5Aから送信された無線パケットは、第3無線機5Cによっても受信されるが、その無線パケットは第3無線機5C宛でないため、第3無線機5Cの受信判定処理の結果、破棄される。したがって、端末61宛に送信された上位レイヤパケットが、端末62によって傍受されることを防止できる。
【0116】
端末61からルータ4を介して中央装置2への送信も、上記と同様の手順で処理が行われる。
つまり、端末61は、中央装置2に送信すべき情報が含まれたPPPフレームを、IPアドレス「IP−T1」が付与されたポートから送信する。すると、第2無線機5Bは、端末61から送信されたPPPフレームを、IPアドレス「IP−1B」が付与されたポートにて受信する。
【0117】
第2無線機5Bは、受信したPPPフレームから上位レイヤパケットを抽出する処理(上位レイヤパケット抽出処理)を行う。
そして、第2無線機5Bは、テーブルデータを参照して生成したIRCヘッダによって上位レイヤパケットをカプセル化してIRCフレームを生成する。更に、第2無線機5Bは、無線通信制御情報(SecurityヘッダからPHYヘッダまで)を、IRCフレームに付加して、無線パケットを生成する。生成された無線パケットは、第2無線機5Bからブロードキャスト送信される。
【0118】
なお、セキュリティ管理によって、セキュリティ処理を実施する場合は、IRCデータ(IRCヘッダからPHYヘッダまでを除いたデータ)に対してでもよいし、IRCフレーム(SecurityヘッダからPHYヘッダまでを除いたデータ)に対してでもよい。また、レイヤ7からセキュリティ管理にアクセスする場合は、L7データ(L7ヘッダPHYヘッダまでを除いたデータ)に対してでもよい。
【0119】
無線パケットを受信した第1無線機5AのIRC層は、IRCヘッダに含まれる通信種別情報71、宛先無線機ID74および送信元無線機ID75を用いて、受信判定処理を行う。
第1無線機5Aは、受信判定処理によって、取得したIRCフレームの宛先が、自機5Aであることを認識することができる。そして、第1無線機5Aは、IRCフレームに含まれる上位レイヤパケットからPPPフレームを生成し、上位レイヤパケットに含まれる宛先IPアドレス(IP−Y)に基づいて第2設定情報を参照し、PPPフレームをIPアドレス「IP−1A」が付与されたポートからルータ4のIPアドレス「IP−R1」が付与されたポートに送信する。そして、第1無線機5Aから送信されたPPPフレームは、ルータ4によって受信される。
【0120】
このように、端末61から送信された上位レイヤパケットを含む無線パケットは、第2無線機5Bによってブロードキャストされて複数の無線機5A,5Cによって受信されることがある。しかし、受信側の無線機5A,5Cによって、IRCヘッダに含まれる宛先無線機ID74を用いた受信判定を行うため、上位レイヤパケットを確実に本来の宛先である第1無線機5Aに届けることができる。
【0121】
また、第2無線機5Bから送信された無線パケットは、第3無線機5Cによっても受信されるが、第3無線機5Cの受信判定処理の結果、破棄される。したがって、端末61から送信された無線パケットに含まれる上位レイヤパケットが、端末62によって傍受されることが防止される。
【0122】
ケース1に関して、前述の説明では、受信判定処理では、IRCヘッダに含まれる通信種別情報71、宛先無線機ID74および送信元無線機ID75を用いる例について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、生成元無線機ID73と宛先無線機ID74とを用いるものであってもよい。
生成元無線機ID73と宛先無線機ID74とを用いる場合、通信フレームの伝送方法は、
図12に関する既述の説明における「送信元」を「生成元」と読み替えればよい。
【0123】
ところで、ケース1の場合において、ルータ4から送信される上位レイヤパケットは、端末61,62,63ではなく、無線機5A,5B,5C宛に送られる場合がある。
図14は、ケース1において上位レイヤパケットの宛先が無線機5A,5B,5Cの場合を示す説明図である。ここでは、無線機5A,5B,5CそれぞれにIPアドレス「IP−T5A」,「IP−T5B」,「IP−T5C」が付与されている様子を示している点が
図7とは相違する。
【0124】
そして、ルータ4が、例えば、第1無線機5Aに付与されたIPアドレス(IP−T5A)向けの情報(アプリケーションデータ)を受信した場合、ルータ4のIPアドレス「IP−R1」が付与されたポートと、第1無線機5AのIPアドレス「IP−1A」が付与されたポートとの間の接続を介して、当該情報が第1無線機5Aへ送信される。当該情報は、例えば、第1無線機5Aが路車間通信で無線機(車載機)7に対して無線送信するための車載機向け情報(移動局向け情報)であり、より具体的には、交通情報、道路線形情報、又は信号情報などである。また、ルータ4が、例えば、無線機5B,5Cに付与されたIPアドレス(IP−T5B,IP−T5C)向けの情報を受信した場合、当該情報が第1無線機5Aを経由して無線機5B,5Cへ送信される。
【0125】
第1無線機5Aの第1記憶部53に、
図7または
図14に示すネットワーク構成に対応した設定情報として、接続設定情報(第1設定情報、第2設定情報)およびテーブルデータが設定されている。ここで、テーブルデータは、例えば
図15(a)に示すようなものである。なお、第1無線機5Aの接続設定情報は、既述の実施形態と同様である。
また、第2無線機5Bおよび第3無線機5Cの各第1記憶部53にも、
図7または
図14に示すネットワーク構成に対応した接続設定情報およびテーブルデータが設定されている。なお、第2無線機5Bおよび第3無線機5Cの接続設定情報およびテーブルデータは、実施形態の場合と同様である。
【0126】
また、ルータ4の第2記憶部43には、
図15(b)に示すようなルーティングテーブルが設定されている。なお、ルータ4の接続設定情報は、前述ケース1で説明したものと同様である。
図15(b)に示すルーティングテーブルでは、上位レイヤパケットに含まれる宛先IPアドレスと、無線機5Aや中央装置2、端末65などに付与されたIPアドレスと、が対応づけられている。特に、このルーティングテーブルでは、無線機5A,5B,5CのIPアドレスに対して、いずれも第1無線機5Aにおけるルータ4と接続されるポートのIPアドレス「IP−1A」が対応づけられている。
例えば中央装置2から受信した上位レイヤパケットに含まれる宛先のIPアドレス(宛先IP)が無線機5A,5B,5CのIPアドレス「IP−T5A」、「IP−T5B」、「IP−T5C」に設定されているとする。この場合、ルータ4は、上位レイヤパケットを第1無線機5AのIPアドレス「IP−1A」が付与されたポート向けに送る。
【0127】
また、第2無線機5B宛のPPPフレームが、ルータ4のIPアドレス「IP−R1」が付与されたポートから送信されると、第1無線機5Aは、そのPPPフレームを、IPアドレス「IP−1A」が付与されたポートにて受信する。
すると、第1無線機5Aの第1処理部52は、上位レイヤパケット抽出処理(ステップS2)において、PPPフレームから上位レイヤパケットを抽出する。
第1無線機5Aの第1処理部52は、上位レイヤパケットから宛先となる第2無線機5BのIPアドレス(IP−T5B)を取得する。そして、第1無線機5Aは、
図15(a)に示すテーブルデータを参照して、取得した第2無線機5BのIPアドレス(IP−T5B)に対応する第2無線機5Bの無線機ID(ID−5B)を無線機識別情報として認識する。
そして、得られた無線機識別情報に基づいて、IRCヘッダ付加処理(ステップS3)および無線パケット生成処理(ステップS5)が行われてから、第1無線機5Aから無線パケットが送信される。
【0128】
無線パケットを受信した第2無線機5Bの第1処理部52(IRC層)は、受信した無線パケットから得たIRCフレームのIRCヘッダに含まれる識別情報を用いて、受信判定処理(ステップS9)を行う。
受信判定処理の結果、第2無線機5Bが、無線パケットに含まれる上位レイヤパケットの宛先が、自機5Bであることを認識する。この結果、無線パケットから上位レイヤパケットが抽出される。その後、当該上位レイヤパケットに含まれる宛先IPアドレスが第2無線機5Bである場合、自機5Bに接続された端末61に対して上位レイヤパケットを含むPPPフレームを送信するのではなく、自機5Bにて上位レイヤパケットを処理する。
同様に、第2無線機5Bを送信元とする無線パケットも、第1無線機5Aを経由して、ルータ4のIPアドレス「IP−R1」が付与されたポートへ送信することができる。
【0129】
また、ルータ4が第3無線機5C宛にPPPフレームをルータ4のIPアドレス「IP−R1」が付与されたポートから送信すると、第1無線機5Aは、そのPPPフレームを、IPアドレス「IP−1A」が付与されたポートにて受信する。
すると、第1無線機5Aの第1処理部52は、上位レイヤパケット抽出処理(ステップS2)およびIRCヘッダ付加処理(ステップS3)が行われ、第1無線機5Aから無線パケットが送信される。このとき、第1無線機5Aは、上位レイヤパケット抽出処理において抽出した上位レイヤパケットに含まれる宛先のIPアドレス(IP−T5C)に基づいて、
図15(a)に示すテーブルデータを参照して、宛先無線機ID(ID−5C)を認識する。このとき、第1無線機5Aは、当該上位レイヤパケットに含まれる宛先のIPアドレスが自機(IP−T5A)の場合は、自機宛の情報と判断し、当該上位レイヤパケットを処理する。
【0130】
そして、無線パケットを受信した無線機5B,5Cは、受信した無線パケットのIRCヘッダに含まれる送信元無線機ID75および宛先無線機ID74を用いて受信判定処理を行う。無線機5B,5Cは、受信判定処理によって、受信した上位レイヤパケットの宛先が、自機5B,5Cであることを認識することができる。この結果、無線パケットに含まれる上位レイヤパケットは、無線機5B,5Cにて処理される。
【0131】
以上説明したように、ルータ4および無線機5A,5B,5Cが、無線通信用のプロトコルに対応していない場合であっても、ルータ4は、無線機5A,5B,5C宛の上位レイヤパケットを無線機5A,5B,5Cへ確実に送ることができる。
【0132】
[2.5.2 ケース2]
図16は、本実施形態に係るケース2を示す説明図である。
ケース2では、ルータ4と、それぞれがルータ4との間で送受信を行う3つ(複数)の端末61,62,63とが存在する。
3つの端末61,62,63のうち、2つの端末61,62は、第2無線機5Bに接続されている。つまり、第2無線機5Bは、2つのポートP
1B,P
2Bにおいて、端末61,62と接続されている。残りの端末63は、第3無線機5Cに接続されている。
また、3つの無線機5A,5B,5Cは互いに無線通信が可能である。
【0133】
ケース2では、ルータ4と第1無線機5Aとの間でPPPリンクL0が形成され、端末61および端末62と第2無線機5Bとの間で、PPPリンクL1,L2が形成され、端末63と第3無線機5Cとの間で、PPPリンクL3が形成されるものとする。
【0134】
無線機5Bには、端末61および62に接続されるポートにIPアドレス「IP−1B」,「IP−2B」が付与されている。なお、ルータ4、無線機5C、端末61,62,63は、ケース1の場合と同様なので詳細な説明は省略する。
【0135】
ケース2では、第2無線機5Bの第1記憶部53に、
図16のネットワーク構成に対応した設定情報として、
図17に示す第1設定情報、第2設定情報およびテーブルデータが設定されている。また、第1無線機5Aおよび第3無線機5Cの各第1記憶部53にも、
図16のネットワーク構成に対応した接続設定情報として、第1設定情報、第2設定情報およびテーブルデータが設定されている。なお、第1無線機5Aおよび第3無線機5Cの接続設定情報およびテーブルデータは、ケース1の場合と同様なのでここでは詳細な説明を省略する。
【0136】
中央装置2がルータ4を介して端末61へ上位レイヤパケットを送信する場合、ルータ4は、端末61に送信すべき上位レイヤパケットがカプセル化されたPPPフレームを、IPアドレス「IP−R1」が付与されたポートから送信する。第1無線機5Aは、ルータ4のIPアドレス「IP−R1」が付与されたポートから送信されたPPPフレームを、IPアドレス「IP−1A」が付与されたポートにて受信する。
第1無線機5Aの第1処理部52は、
図9(b)に示すテーブルデータを参照して、宛先認識処理を行い、当該上位レイヤパケットの宛先である端末61の宛先IPアドレス「IP−T1」から、第2無線機5Bの無線機ID「ID5B」を識別情報として得る。
宛先が該当するIPアドレスの端末61であることを確認した第1無線機5Aは、PPPフレームから上位レイヤパケットを抽出する。そして、第1無線機5Aは、IRCヘッダによって、抽出した上位レイヤパケットをカプセル化してIRCフレームを生成する。さらに、第1無線機5Aは、無線通信制御情報(SecurityヘッダからPHYヘッダまで)を、IRCフレームに付加して、無線パケットを生成する。生成された無線パケットは、第1無線機5Aからブロードキャスト送信される。
【0137】
無線パケットを受信した第2無線機5Bは、受信した無線パケットのIRCヘッダに含まれる宛先無線機ID74および送信元無線機ID75を用いて受信判定処理を行う。このとき、第2無線機5Bは、受信判定処理によって、受信した無線パケットに含まれる上位レイヤパケットの宛先が、自機5Bに接続された端末61,62(
図14のように自機5BにIPアドレスが付与される場合は、自機5Bも含む)のいずれかであることを認識することができる。
【0138】
また、第2無線機5Bは、受信判定処理の結果、無線パケットに含まれる上位レイヤパケットの宛先が、端末61,62(および自機5B)のいずれでもないと判定すると、転送判定処理(
図11のステップS11参照)を行う。
【0139】
第2無線機5Bは、受信判定処理の結果、無線パケットに含まれる上位レイヤパケットの宛先が、端末61,62のいずれかであると判定すると、上位レイヤパケットからPPPフレームを生成する。そして、第2無線機5Bは、第2設定情報を参照して、宛先のIPアドレス(宛先ポートIP:IP−T1,IP−T2)が付与されたポートに対応する自機ポート(自機ポートIP:IP−1B,IP−2B)から、生成したPPPフレームを送信する。送信されたPPPフレームは、端末61または端末62によって受信される。
【0140】
このように、第2無線機5Bは、第2設定情報を参照することで、自機5Bが受信した無線パケットの上位レイヤパケットから生成したPPPフレームを、自機5Bに接続された複数の端末61,62のいずれに送信すればよいかを認識できる。これにより、自機5Bに複数の端末61,62が接続されていても、宛先ではない端末62にPPPフレームを送信してしまうことを防止することができる。
【0141】
端末61からルータ4を介して中央装置2へ上位レイヤパケットを送信する場合も、上記と同様の手順で処理が行われる。
つまり、端末61は、中央装置2に送信すべき上位レイヤパケットをカプセル化したPPPフレームを、IPアドレス「IP−T1」が付与されたポートから送信する。第2無線機5Bは、端末61から送信されたPPPフレームを、IPアドレス「IP−1B」が付与されたポートにて受信する。
第2無線機5Bの第1処理部52は、
図17(b)に示すテーブルデータを参照して、宛先認識処理を行い、宛先である中央装置2のIPアドレス「IP−Y」から宛先無線機ID「ID−5A」を認識する。
【0142】
宛先が該当するIPアドレスの中央装置2であることを確認した第2無線機5Bは、受信したPPPフレームから上位レイヤパケットを抽出する。そして、第2無線機5Bは、IRCヘッダによって、上位レイヤパケットをカプセル化してIRCフレームを生成する。さらに、第2無線機5Bは、無線通信制御情報(SecurityヘッダからPHYヘッダまで)を、IRCフレームに付加して、無線パケットを生成する。生成された無線パケットは、第2無線機5Bからブロードキャスト送信される。
【0143】
無線パケットを受信した第1無線機5Aは、受信した無線パケットのIRCヘッダに含まれる宛先無線機ID74および送信元無線機ID75を用いて受信判定処理を行う。このとき、第1無線機5Aは、受信判定処理によって、受信した上位レイヤパケットの宛先が、自機5Aのテーブルに登録された宛先のIPアドレス(宛先IP、中央装置2)宛であることを認識することができる。
第1無線機5Aは、無線パケットから上位レイヤパケットを抽出し、抽出した上位レイヤパケットをカプセル化してPPPフレームを生成する。そして、第1無線機5Aは、
図9(a)の第2設定情報を参照して、生成したPPPフレームを、IPアドレス「IP−1A」が付与されたポートから送信する。送信されたPPPフレームは、ルータ4によって受信される。
【0144】
このように、第2無線機5Bは、複数の端末61,62が接続されていても、接続設定情報(第1設定情報、第2設定情報)を参照することにより、PPPフレームの宛先や送信元の端末61を正しく認識することができる。
【0145】
なお、第1無線機5Aおよび第2無線機5Bから送信された無線パケットは、第3無線機5Cによっても受信されるが、IRCヘッダに含まれる宛先無線機ID74が第3無線機5Cの無線機IDではない無線パケットは、受信判定処理により、破棄または転送される。
【0146】
また、ケース2においても、ケース1と同様に、受信判定処理において、生成元無線機ID73と宛先無線機ID74とを用いるものであってもよい。この場合、通信フレームの伝送方法は、
図12に関する既述の説明における「送信元」を「生成元」と読み替えればよい。
【0147】
[2.5.3 ケース3]
図18は、本実施形態に係るケース3を示す説明図である。
ケース3では、ルータ4と、それぞれがルータ4との間で上位レイヤパケットの送受信を行う4つ(複数)の端末61,62,63,64とが存在する。
端末61は第2無線機5Bに接続され、端末62は第3無線機5Cに接続され、端末63は第4無線機5Dに接続され、端末64は第5無線機5Eに接続されている。
【0148】
ケース3では、ルータ4と第1無線機5Aとの間でPPPリンクL0が形成され、端末61と第2無線機5Bとの間でPPPリンクL1が形成され、端末62と第3無線機5Cとの間でPPPリンクL2が形成されるものとする。また、端末63と第4無線機5Dとの間でPPPリンクL3が形成され、端末64と第5無線機5Eとの間でPPPリンクL4が形成されるものとする。
【0149】
ケース3では、ケース1の場合と同様に、無線機5A〜5E、ルータ4、端末61〜64には、ポートに対応する形でIPアドレスが付与されている。ここでは、詳細な説明は省略する。
【0150】
また、ケース3では、第1無線機5Aと無線通信可能なのは、第2無線機5Bおよび第3無線機5Cだけであり、第4無線機5Dおよび第5無線機5Eは第1無線機5Aとは無線通信不能(電波が届かない)ものとする。ただし、第3無線機5Cは、第4無線機5Dと無線通信可能であり、第4無線機5Dは、第5無線機5Eと無線通信可能であるとする。このため、第4無線機5D宛の無線パケットは、第1無線機5Aおよび第3無線機5Cを経由する。また、第5無線機5E宛の無線パケットは、第1無線機5A、第3無線機5Cおよび第4無線機5Dを経由する。
【0151】
ケース3では、第1無線機5Aの第1記憶部53に、
図18のネットワーク構成に対応した接続設定情報(第1設定情報、第2設定情報)および
図19に示すようなテーブルデータが記憶されている。なお、第1無線機5Aの接続設定情報は、ケース1の場合と同様である。
また、無線機5B〜5Eの各第1記憶部53にも、
図18のネットワーク構成に対応して、
図20(a)に示すような接続設定情報(第1設定情報、第2設定情報)と、
図20(b)に示すようなテーブルデータとが記憶されている。
【0152】
さらに、無線機5B〜5Eの各第1記憶部53には、
図21に示すような接続設定情報として、宛先無線機ID、送信元無線機ID、生成元無線機IDおよび無線送信パケットの生成回数とが対応づけられた第3設定情報が記憶されているようにしてもよい。ここで、当該第3設定情報の宛先無線機IDが、転送判定情報となっている。転送判定情報は、転送の必要がある無線パケットを示す情報である。
受信した無線パケットのIRCヘッダに含まれる宛先無線機IDが、当該第3設定情報に登録された自機の無線機ID以外の他の無線機IDに一致した場合、その無線パケットは、転送の候補(対象)となる。なお、当該IRCヘッダに含まれる宛先無線機IDが、当該第3設定情報に登録された自機の無線機IDとなる場合、ケース1と同様の処理を行う。
【0153】
また、当該第3設定情報の送信元無線機IDが、転送許可情報となっている。転送許可情報は、転送の対象となる無線パケットを制限するためのものである。受信した無線パケットのIRCヘッダに含まれる宛先無線機IDと、転送判定情報とが一致する場合であっても、受信した無線パケットの送信元無線機IDが、転送許可情報として設定された送信元無線機IDと一致しなければ、転送されない。
【0154】
例えば、第1無線機5Aが、端末63宛の上位レイヤプロトコルを含む無線パケット(IPアドレス:IP−T3)を送信したとする。第1無線機5Aから送信された無線パケットは、端末63に接続された第4無線機5Dには届かない。第3無線機5Cは、その無線パケットを受信して、IRCヘッダに含まれる宛先無線機IDが自機の無線機IDと一致しないため、受信した無線パケットは、自機5Cに接続された端末62宛ではないと判定する(受信判定処理;
図12のステップS9)。
【0155】
第3無線機5Cでの受信判定処理の結果、受信した無線パケットに含まれる上位レイヤパケットが端末62には不要であると判定されると、第3無線機5CのIRC層は、更に転送判定処理(
図12のステップS11)を行う。
この転送判定処理は、受信した無線パケットに含まれる上位レイヤパケットが無線パケットを受信した無線機に関連するものであるか否かを判定するための判定処理の一種である。無線パケットを受信した無線機は、転送判定処理の結果に基づいて、無線パケットを無線通信によって転送するか否かを決定する。
転送判定処理では、テーブルデータに登録されている宛先無線機IDを検索し、受信した無線パケットのIRCヘッダに含まれる宛先無線機ID74に一致する宛先無線機IDが登録されているか否かを判定する。そして、当該第3設定情報に宛先無線機IDが登録されていれば、IRCヘッダに含まれる送信元無線機IDが、テーブルデータにおける宛先無線機IDに対応する送信元無線機IDとして登録されているか否かを判定する。
【0156】
つまり、第3無線機5Cは、IRCヘッダに含まれる宛先無線機ID74と送信元無線機IDが、当該第3設定情報に対応づけられて登録されている場合、受信した無線パケットを転送すべきものと判定する。この結果、第3無線機5Cは、無線パケット転送処理(
図12のステップS13)を行い、無線パケットが転送(ブロードキャスト送信)される(
図12のステップS14)。転送された無線パケットは、第4無線機5Dによって受信される。第4無線機5Dは、IRCヘッダに含まれる宛先無線機ID74が自機5Dに付与された無線機IDに一致していることを確認した後、上位レイヤパケットに含まれる宛先のIPアドレスを確認することを以て、受信した無線パケットが自機5Dに接続された端末63宛であることを認識する。
同様に、第1無線機5Aが端末64宛の上位レイヤパケットを含む無線パケットを送信した場合、第3無線機5Cによる転送処理および第4無線機5Dによる転送処理を経て、第5無線機5Eによって受信される。
【0157】
以上のように、第3無線機5Cは、受信した無線パケットの宛先無線機ID(宛先情報)および送信元無線機ID(送信元情報)に基づいて、無線パケットを転送するか否かを判定し、転送すべき無線パケットの仕分けを行う。従って、第2無線機による無線パケットの無駄な転送を低減することができる。
また、第1無線機5Aと第4無線機5Dや第5無線機5Eとが直接的に無線通信できず、第1無線機5Aと第3無線機5Cとが無線通信可能である。この場合でも、第1無線機5Aから送信された端末63宛の上位レイヤパケットを含む無線パケットは、第3無線機5Cにおいて、第4無線機5Dへ転送される。
【0158】
ところで、第1無線機5Aから送信された端末64宛の無線パケットが、第3無線機5Cおよび第4無線機5Dの順で転送された場合、第4無線機5Dから転送された無線パケットは、第3無線機5Cによっても受信(跳ね返り受信)される。
【0159】
このとき、当該跳ね返り受信された第4無線機5Dからの無線パケット情報を利用することにより、第3無線機5Cは、第4無線機5Dが第5無線機5Eに対して転送したことを確認できる。このことは、通信区間中の通信環境が樹木によるシャドウィングや周囲の移動体(車)などによるフェージングのため悪化している場合に、隣接無線機5の転送可否を推定できるため、再送あるいは連送の要否を決定できるなどのメリットがある。ただし、既述のように、宛先無線機IDおよび送信元無線機IDだけでは、生成元が不明であること、また転送した無線パケットの新旧が不明であることから、その判断は難しい場合がある。従って、各無線機5の第1記憶部53には、接続設定情報として、宛先無線機ID、送信元無線機IDに加えて、生成元無線機IDおよび無線送信パケットの生成回数とが対応づけられた第3設定情報が記憶されているようにしてもよい。この場合、第3無線機5Cは、宛先無線機ID、送信元無線機ID、生成元無線機IDおよび無線送信パケットの生成回数に基づいて、無線パケットの再送や連送の要否を判定することが可能となる。
図21は、各無線機の第1記憶部53に記憶された第3設定情報の例を示している。ここにおいて、無線パケットを最初に送信する無線機5は、無線パケットのIRCヘッダに含まれる生成回数情報76を0に設定して無線パケットを送信し、受信した無線パケットを転送する無線機5は、当該無線パケットを転送するものとする。この場合、IRCヘッダに含まれる生成回数情報76は、生成元となる無線機5が生成した回数を示すものとなる。
【0160】
そして、例えば、第3無線機5Cが、第1無線機5Aから端末63宛の上位レイヤパケットを含む無線パケットを受信したとする。この無線パケットのIRCヘッダに含まれる送信元無線機ID75は「ID−5A」、宛先無線機ID74は「ID−5D」、生成元無線機ID73は「ID−5A」に設定されている。この場合、第3無線機5Cは、宛先無線機ID、送信元無線機IDおよび生成元無線機IDが対応づけられて接続設定情報(第3設定情報)に登録されているので、受信した無線パケットを転送候補として特定する。そして、第3無線機5Cは、第3設定情報を参照して、IRCヘッダの生成回数情報76が第3設定情報に登録されている生成回数と異なる(例えば、大きい値)であるか否か判定する。
【0161】
ここで、第1無線機5Aから受信した無線パケットのIRCヘッダの生成回数情報76は、「1」に設定され、第3無線機5Cの第3設定情報に登録されている第1無線機5Aからの端末63宛の無線パケットの各無線機IDの条件に対する生成回数が「0」に設定されていた場合、第3無線機5Cは第1無線機5Aより新規に無線パケットを受信したと判断し、転送するものと判断する。一方、当該生成回数が「1」に設定されていた場合、第3無線機5Cは第1無線機5Aより再度同じ無線パケットを受信したと判断し、且つ、過去に同条件の無線パケットを処理していることから、受信した当該無線パケットは転送しないものと判断する。
【0162】
この場合、受信側である第3無線機5Cの立場では、同一の無線パケットを再度受信したか否かを判断し、転送要否を決定できるため、無駄な転送を行うことを防止できる。
【0163】
一方、第3無線機5Cは、転送した無線パケットを受信した第4無線機5Dが第5無線機5Eに対して転送した無線パケットを受信した場合、当該無線パケットの宛先無線機IDおよび送信元無線機IDより転送候補でないことを判断でき、且つ、当該宛先無線機ID、当該送信元無線機IDに加えて、生成元無線機IDおよび生成回数より、第3無線機5Cが転送した無線パケットが第4無線機5Dにより、転送されたことが判断できる。
この場合、送信側である第3無線機5Cの立場では、自機5Cが転送した無線パケットが無事に所定の第4無線機5Dにより転送されたか否かを判断できるため、仮に、所定の時間が経過しても第4無線機5Dから転送されない場合に、通信環境などにより第3無線機5Cから第4無線機5Dへ情報伝達がなされなかったと判断することも可能となり、これらの判断を行わずに単純に再送(連送)する場合に比べて、無駄に再送することを防止できる。
【0164】
以上のように、本実施形態の通信システムでは、第1無線機5Aと第2無線機5Bとの間の無線通信が、IPアドレスとは異なる無線機ID(無線機識別情報)を用いて行われるので、当該無線通信においてIPアドレスは不要である。また、第2無線機5Bは、当該第2無線機5Bが上位レイヤパケットの宛先となる場合、IPアドレスが付与されている必要があるが、上位レイヤパケットの宛先とならない場合、IPアドレスの付与が不要である。即ち、IPアドレスは、少なくとも上位レイヤパケットの宛先となる端末(第2通信装置)61などに付与すればよい。これにより、第1無線機5Aと第2無線機5Bとの間の無線通信がIPアドレスを用いて行われる構成に比べて、必要なIPアドレスの数を低減することができる。従って、上位レイヤパケットの宛先となる端末などに付与できるIPアドレスの数を増やすことができる。つまり、無線通信を利用しつつ、上位レイヤパケットの宛先となる端末などの増加に対応可能という利点がある。
【0165】
また、本実施形態の通信システムでは、ルータ4が、複数の宛先(例えば、端末61,62)の上位レイヤパケットを1つの共通のポートから、無線機5が有する1つの共通のポートへ送信する。例えば、ルータ4は、複数の宛先の上位レイヤパケットをIPアドレス「IP−R1」が付与されたポートから、IPアドレス「IP−1A」が付与されたポートへ送信する。
【0166】
これにより、上位レイヤパケットの宛先の数よりもルータ4が有するポートおよび無線機5(第1無線機5A)が有するポートの数を少なくすることができる。従って、必要なポート数を低減できる分、ルータ4および無線機5の構成の簡素化を図ることができる。
【0167】
また、本実施形態の通信システムでは、端末(第2通信装置)61(62)が、無線通信用のプロトコル(第2プロトコル)に対応していないとする。この場合であっても、ルータ4は、端末61(62)宛の上位レイヤパケットを端末61(62)へ確実に送ることができる。
【0168】
ところで、本実施形態の通信システムでは、ルータ4および端末(例えばケース1の端末61,62)が、宛先情報を含まないことが有り得るPPPフレームを送受信するものであり、ルータ4から端末61を含む2つの端末61,62へ個別に情報を送る必要がある。
【0169】
これに対して、本実施形態の構成によれば、端末61(62)ではなく、第1無線機5Aがルータ4(第1通信装置)と宛先情報を含まないことが有り得るPPPフレーム(PPP制御パケット)の処理を行い、当該処理後に送信されるルータ4(第1通信装置)から受信したPPPフレームに含まれる端末61(62)のIPアドレスと、記憶部53に記憶されたテーブルデータとから、PPPフレームに含まれるデータ(情報)の宛先である端末61(62)に対応する第2無線機5Bを特定する。これにより、ルータ4および端末61(62)が、宛先情報を含まないことが有り得るPPPフレームを送受信する構成としながらも、ルータ4が、端末61(62)宛のデータを確実に端末61(62)へ送ることができる。
【0170】
また、ルータ4と、端末61,62それぞれとが、個別にPPPフレームを介した通信が可能となるよう接続されている構成が考えられる。この場合、ルータ4と、端末61,62それぞれとが、宛先情報を含まないことが有り得るPPPフレームを送受信する構成とすることができる。
ところが、この場合、ルータ4および第1無線機5Aには、端末61,62それぞれに一対一で対応した状態で、PPPプロトコル対応の通信用ポート(S9ポート)を設ける必要がある。
【0171】
これに対して、本実施形態の構成によれば、宛先情報を含まないことが有り得るPPPフレームを介した通信が、ルータ4と第1無線機5Aとの間、および、無線機(例えば第1無線機5A)と端末(例えば端末61)との間で行われる。そして、第1無線機5Aと第2無線機5Bとの間では、宛先情報として無線機ID(ID−5B)を含む無線パケットを介した通信が行われる。これにより、ルータ4および端末61,62がPPPフレームの送受信を行う構成としながらも、ルータ4および第1無線機5Aには、PPPプロトコル対応の通信用ポート(S9ポート)として相互間通信用途のものを1つだけ設ければよい。従って、ルータ4および第1無線機5Aに必要なPPPプロトコル対応の通信用ポートの数を低減することができ、ルータ4および第1無線機5Aの構成の簡素化を図ることができる。
【0172】
[2.6 第1変形例]
第1変形例では、ルータ4と端末61,62との間がPPPリンクL1,L2で接続されており、これらとは別に、ルータ4と第1無線機5Aとの間がPPPリンクL0で接続されている。
【0173】
図22は、本変形例の説明図である。
本変形例では、第1無線機5Aにルータ4が接続されており、第2無線機5Bおよび第3無線機5Cそれぞれに一つずつ端末61,62が接続されているものとする。第1無線機5Aとルータ4とは、PPPフレームの送受信を行うものであり、2点間通信リンクであるPPPリンクL0の両端に位置する。また、ルータ4と端末61とは、PPPフレームの送受信を行うものであり、2点間通信リンクであるPPPリンクL1の両端に位置する。更に、ルータ4と端末62とは、PPPフレームの送受信を行うものであり、2点間通信リンクであるPPPリンクL2の両端に位置する。
ここで、第1無線機5Aの近傍には、第2無線機5Bおよび第3無線機5C以外にも第4無線機5Dおよび第5無線機5Eも存在し、第1無線機5Aから送信された電波は、第4無線機5Dおよび第5無線機5Eにおいて受信可能であるものとする。
【0174】
本変形例では、第1無線機5Aの第1記憶部53には、接続設定情報(第1設定情報、第2設定情報)およびテーブルデータが記憶されている。ここで、接続設定情報(第1設定情報、第2設定情報)は、例えば
図23(a)に示すようなものである。また、テーブルデータは、例えば
図23(b)に示すようなものである。
第2無線機5Bおよび第3無線機5Cの各第1記憶部53にも、接続設定情報(第1設定情報、第2設定情報)が記憶されている。
【0175】
第2無線機5B(第3無線機5C)の第1記憶部53に記憶された第1設定情報は、無線機5B,5Cの端末61(端末62)に接続されたポート(自機ポート)のIPアドレスを示す自機ポートIPと、当該自機ポートとの間でPPPリンクが形成される宛先のポートと、を対応づけるためのものである。
具体的には、第1設定情報は、自機ポートIPと、送信元ポートIPと、宛先ポートIPと、が対応付けられて構成されている。例えば、第2無線機5B(第3無線機5C)の第1設定情報は、
図10(a)に示す第1設定情報について、ルータ4のポートのIPアドレス「IP−R1」(「IP−R2」)を「宛先ポートIP」として追加したものに相当する。
【0176】
第2設定情報は、宛先のポートのIPアドレスと、無線機5B,5Cにおける端末61(端末62)に接続されたポート(自機ポート)のIPアドレスである自機ポートIPと、を対応付けるためのものである。具体的には、第2設定情報は、送信元ポートIPと、宛先ポートIPと、自機ポートIPとが、対応付けられて構成されている。例えば、第2無線機5B(第3無線機5C)の第2設定情報は、
図10(a)に示す第2設定情報について、端末61(62)のポートのIPアドレス「IP−T1」(「IP−T2」)を「送信元ポートIP」として追加したものに相当する。
【0177】
以上説明した第1設定情報は、無線機5B,5Cが、接続された端末61,62からPPPフレームを受信した場合に参照される情報である。
【0178】
また、第2設定情報は、各無線機5A,5B,5Cが、他の無線機から無線パケットを受信した場合に参照される情報である。第2設定情報は、受信した無線パケットをどのように扱うかを判定する処理(受信判定処理、転送判定処理)に用いられる。ここにおいて、無線機5B,5Cが受信する無線パケットのIRCヘッダには、PPPリンクを識別できる情報、つまり、ルータ4が無線機5A、5Bを介して端末61とPPPリンクを確立する場合、そのリンクを識別できる情報が、「PPPリンク識別情報」として含まれている。
【0179】
ここで、中央装置2からルータ4を介して端末61へPPPフレームを送信する場合について説明する。ここでは、PPPリンク識別情報をIRCヘッダの宛先無線機IDに格納する場合を例示する。
ルータ4は、端末61に送信すべき情報が含まれたPPPフレームを、IPアドレス「IP−R1」が付与されたポートから送信する。第1無線機5Aは、ルータ4のIPアドレス「IP−R1」が付与されたポートから送信されたPPPフレームを、IPアドレス「IP−1A」が付与されたポートにて受信する。
第1無線機5Aの第1処理部52は、
図23(b)に示すテーブルデータを参照して、宛先認識処理を行い、自機5AのIPアドレス「IP−1A」が付与されたポートより受信したことから、宛先無線機ID「ID−5B−LinkT1」宛に転送する必要があると認識する。
【0180】
第1無線機5Aは、
図8における上位レイヤパケットとプロトコル部分をIRCヘッダを用いてカプセル化してIRCフレームを生成する。このとき、宛先無線機IDには、ルータ4〜端末61間のPPPリンク識別情報として「ID−5B−LinkT1」を付与する。さらに、第1無線機5Aは、無線通信制御情報(SecurityヘッダからPHYヘッダまで)を、IRCフレームに付加して、無線パケットを生成する。生成された無線パケットは、第1無線機5Aからブロードキャスト送信される。
【0181】
無線パケットを受信した第2無線機5Bは、受信した無線パケットのIRCヘッダに含まれる宛先無線機ID(PPPリンク識別情報)に基づいて、テーブルデータおよび第2設定情報を参照する受信判定処理を行う。まず、第2無線機5Bは、テーブルデータに登録される宛先無線機IDであることから、受信判定処理によって、受信した無線パケットより、上位レイヤパケットおよびプロトコル部分を抽出する。
【0182】
次に、第2無線機5Bは、第2設定情報を参照して、自機の自機ポートがIPアドレス「IP−1B」が付与されたポートに転送する必要があるであることを認識すると、当該データからPPPフレームを生成し、自機ポートから送信する。送信されたPPPフレームは、端末61のIPアドレス「IP−1B」が付与されたポートによって受信される。
【0183】
端末61からルータ4へPPPフレームを送信する場合も、上記と同様の手順で処理が行われる。
つまり、端末61は、中央装置2に送信すべき情報が含まれたPPPフレームを、IPアドレス「IP−T1」が付与されたポートから送信する。第2無線機5Bは、端末61のポートから送信されたPPPフレームを、IPアドレス「IP−1B」が付与されたポートにて受信する。
第2無線機5Bの第1処理部52は、テーブルデータを参照して、宛先認識処理を行い、宛先無線機ID「ID−5A-LinkR1」に転送する必要があるかを認識する。
第2無線機5Bは、識別情報を含むIRCヘッダによって
図8における上位レイヤパケットとプロトコル部分をカプセル化してIRCフレームを生成する。さらに、第2無線機5Bは、無線通信制御情報(SecurityヘッダからPHYヘッダまで)を、IRCフレームに付加して、無線パケットを生成する。生成された無線パケットは、第2無線機5Bからブロードキャスト送信される。
【0184】
無線パケットを受信した第1無線機5Aは、受信した無線パケットのIRCヘッダに含まれる宛先無線機ID(PPPリンク識別情報)に基づいて、テーブルデータおよび第2設定情報を参照する受信判定処理を行う。まず、第1無線機5Aは、受信判定処理によって、受信した無線パケットから上位レイヤパケットとプロトコル部分を抽出する。次に、第1無線機5Aは、第2設定情報より、抽出した当該データからPPPフレームを生成し、ルータ4に接続されたポート(自機ポート)のIPアドレス「IP−1A」に転送する必要があることを認識する。
第1無線機5Aは、自機ポートのIPアドレス「IP−1A」を認識すると、当該データからPPPフレームを生成し、IPアドレス「IP−1A」が付与された自機ポートから送信する。送信されたPPPフレームは、ルータ4のIPアドレス「IP−R1」が付与されたポートによって受信される。
【0185】
次に、ルータ4から第4無線機5Dへ上位レイヤパケットを送信する場合について説明する。
ルータ4は、事前にIPアドレス「IP−R3」が付与されたポートに接続される第4無線機5DとPPPリンクを確立する。その後は、ルータ4は、第4無線機5Dに送信すべき情報が含まれたPPPフレームを、IPアドレス「IP−R3」が付与されたポートから送信する。第1無線機5Aは、ルータ4のポートから送信されたPPPフレームを、IPアドレス「IP−3A」が付与されたポートにて受信する。
第1無線機5Aの第1処理部52は、IPアドレス「IP−3A」が付与されたポート(自機ポート)にてPPPフレームを受信したことを以て、PPPフレームに含まれる上位レイヤパケットを抽出する処理を行うことを決定する。即ち、第1無線機5Aは、PPPフレームから上位レイヤパケットを抽出してから、抽出した上位レイヤパケットをカプセル化して無線パケットを生成する処理を行うことを決定する。
【0186】
そして、第1無線機5Aは、PPPフレームから上位レイヤパケットを抽出し、IRCヘッダによって抽出した上位レイヤパケットをカプセル化してIRCフレームを生成する。ここで、上位レイヤパケットに含まれる宛先IPアドレスが、第4無線機5DのIPアドレス(IP−T5D)である場合、IRCヘッダに含まれる宛先無線機IDを第4無線機5Dに付与された無線機ID(ID−5D)に設定する。さらに、第1無線機5Aは、無線通信制御情報(SecurityヘッダからPHYヘッダまで)を、IRCフレームに付加して、無線パケットを生成する。生成された無線パケットは、第1無線機5Aからブロードキャスト送信される。
【0187】
無線パケットを受信した第4無線機5Dは、受信した無線パケットのIRCヘッダに含まれる送信元無線機ID75および宛先無線機ID74を用いて受信判定処理を行う。第4無線機5Dは、受信判定処理によって、受信した上位レイヤパケットの宛先が、自機5Dであることを認識することができる。この結果、無線パケットに含まれる上位レイヤパケットは、第4無線機5Dの上位のレイヤにて処理される。
【0188】
第4無線機5Dからルータ4を介して中央装置2などへ上位レイヤパケットを送信する場合も、上記と同様の手順で処理が行われる。
つまり、第4無線機5Dは、ルータ4を介して中央装置2に送信すべき上位レイヤパケットを、IRCヘッダによってカプセル化してIRCフレームを生成する。さらに、第4無線機5Dは、無線通信制御情報(SecurityヘッダからPHYヘッダまで)を、IRCフレームに付加して、無線パケットを生成する。生成された無線パケットは、第4無線機5Dからブロードキャスト送信される。
【0189】
無線パケットを受信した第1無線機5Aは、受信した無線パケットのIRCヘッダに含まれる宛先無線機ID74を用いて、受信判定処理を行う。第1無線機5Aは、受信判定処理によって、受信した無線パケットに含まれる上位レイヤパケットの宛先が、自機5Aに接続された中央装置2(IP−Y)であることを認識することができる。
第1無線機5Aは、
図23(a)に示す第2設定情報を参照して、IPアドレス「IP−3A」が付与されたポートを自機ポートとして認識する。そして、第1無線機5Aは、PPPフレームをIPアドレス「IP−3A」が付与された自機ポートから送信する。送信されたPPPフレームは、ルータ4のIPアドレス「IP−R3」が付与されたポートによって受信される。
【0190】
[2.7 第2変形例]
本変形例においては、ルータ4と無線機5との間の通信を、イーサネット通信で行う。即ち、ルータ4と無線機5とが、S11形インタフェース規格用のポートを介して通信を行う。具体的には、無線機5は、無線パケットを受信すると、無線パケットから上位レイヤパケットを抽出し、抽出した上位レイヤパケットにイーサネットヘッダを付加することにより、イーサネットフレームを生成する。そして、無線機5は、生成したイーサネットフレームを、イーサポート(S11ポート:例えばイーサポートP
M1)から送信する。すると、ルータ4は、無線機5から送信されたイーサネットフレームを、イーサポートP
M1で受信する。また、無線機5と端末6との間においても同様に、イーサネット通信を行うようにしてもよい。
【0191】
ここで、イーサネットフレームのイーサネットヘッダには、宛先MACアドレスと送信元MACアドレスを含んでいる。例えば、ルータ4か無線機5へデータを送信する場合、宛先MACアドレスは、無線機5のMACアドレスとなり、送信元MACアドレスは、ルータ4のMACアドレスとなる。
【0192】
本変形例では、第1無線機5Aの第1記憶部53には、
図24(a)に示すような接続設定情報(第1設定情報、第2設定情報)が記憶されている。そして、第2無線機5Bおよび第3無線機5Cの各第1記憶部53には、
図24(b)に示すような接続設定情報(第1設定情報、第2設定情報)が記憶されている。
【0193】
第1設定情報は、各無線機5A,5B,5Cが、接続された通信装置(ルータ4や端末61、62)からイーサネットフレームを受信した場合に参照される情報である。
第1設定情報は、自機5A,5B,5Cのルータ4または端末6に接続されたポート(自機ポート:例えばポートP
M1)のMACアドレス(MAC−1A(1B,1C))と、送信元ポート(例えばルータ4のポートP
MR1や端末6のポートP
MT1,P
MT2)のMACアドレス(MAC−R1(T1,T2))と、が対応付けられて構成されている。
【0194】
第2設定情報は、各無線機5A,5B,5Cが、他の無線機5から無線パケットを受信した場合に参照される情報である。第2設定情報は、受信した無線パケットからイーサネットフレームを生成する際に用いられる。
第2設定情報は、自機5A,5B,5Cのルータ4または端末6に接続されたポート(自機ポート:例えばポートP
M1)のMACアドレス(MAC−1A(1B,1C))と、宛先ポート(例えばルータ4のポートP
MR1や端末6のポートP
MT1,P
MT2)のMACアドレス(MAC−R1(T1,T2))とが、対応付けられて構成されている。
【0195】
このように、本変形例に係る通信システムでは、ルータ(第1通信装置)4と第1無線機5Aとの間、第2無線機5Bと端末(第2通信装置)61との間それぞれをイーサネットで接続することができる。
【0196】
[2.8 第3変形例]
本変形例では、無線機5で行われる受信判定処理が、送信元無線機IDと、宛先IPアドレスとを用いて行われる点が実施形態とは相違する。なお、その他の処理は、
図12を用いて説明した実施形態の処理と同様である。
ここでは、ルータ4から端末61へ上位レイヤパケットを送信する場合における、第2無線機5Bで行われる受信判定処理について説明する。
【0197】
図25は、本変形例に係る無線機(第2無線機)5Bで行われる受信判定処理の内容を示すフローチャートである。
まず、第2無線機5Bは、
図13を用いて説明したステップS91〜S93までの処理を行う。
次に、第2無線機5Bは、読み取った送信元無線機ID75と自機5Bに予め登録された送信元無線機IDとを照合する(ステップS291)。
【0198】
そして、照合結果がNGの場合(ステップS292:No)、第2無線機5Bは、IRCフレームを「不要」と判定する。
一方、照合結果がOKの場合(ステップS292:Yes)、第2無線機5Bは、IRCフレームから、IRCフレームに含まれる上位レイヤパケットの宛先IPアドレスを取得し、取得した宛先IPアドレスと自機5Bに予め登録された宛先IPアドレス(例えば、端末61のポートP1に付与されたIPアドレス「IP−T1」)とを照合する(ステップS293)。
【0199】
そして、照合結果がNGの場合(ステップS294:No)、第2無線機5Bは、IRCフレームを「不要」と判定する。
一方、照合結果がOKの場合(ステップS294:Yes)、保持リストを更新し(ステップS96)、IRCフレームを「要」と判定する。
【0200】
このように、本変形例では、受信判定処理において、宛先無線機IDを照合する処理が行われない。従って、ルータ4から端末61へ上位レイヤパケットを送信する場合、第1無線機5Aでは、IRCヘッダの宛先無線機ID74を設定する必要がない。従って、第1無線機5Aは、宛先IPアドレスと宛先無線機IDとの対応関係を示すテーブルデータを保有する必要がなくなる。これにより、第1無線機5Aの第1記憶部53に要求される記憶容量の低減を図ることができる。
また、第2無線機5Bも、自機5Bに接続された端末61のポートに付与されたIPアドレスを記憶しておけばよいので、第2無線機5Bの第1記憶部53に要求される記憶容量も少ないという利点もある。
【0201】
[2.9 第4変形例]
本変形例では、無線機5で行われる受信判定処理が、送信元無線機IDと、宛先IPアドレスとを用いて行われる点が実施形態とは相違する。なお、その他の処理は、
図12を用いて説明した実施形態の処理と同様である。
ここでは、ルータ4から端末61へ上位レイヤパケットを送信する場合における、第2無線機5Bで行われる受信判定処理について説明する。
【0202】
図26は、本変形例に係る無線機(第2無線機)5Bで行われる受信判定処理の内容を示すフローチャートである。
まず、第2無線機5Bは、
図13を用いて説明したステップS91〜S95までの処理を行う。
【0203】
次に、第2無線機5Bは、IRCフレームに含まれる上位レイヤパケットが以前(直前)に送信した上位レイヤパケットと同じであるか否か、或いは、所定回数以上送信されているか否かを判定する(ステップS391)。
【0204】
そして、IRCフレームに含まれる上位レイヤパケットが以前(直前)に送信した上位レイヤパケットと同じである、或いは、所定回数以上送信されていると判定されると(ステップS391:Yes)、第2無線機5Bは、IRCフレームを「不要」と判定する。
【0205】
一方、IRCフレームに含まれる上位レイヤパケットが以前(直前)に送信した上位レイヤパケットとは異なる、或いは、送信回数が所定回数未満であると判定されると(ステップS391:No)、第2無線機5Bは、保持リストを更新し(ステップS96)、IRCフレームを「要」と判定する。
【0206】
このように、本変形例では、受信判定処理において、IRCフレームに含まれる上位レイヤパケットが以前(直前)に送信された上位レイヤパケットと同じであったり、所定回数以上送信されたりしている場合、IRCフレームを不要と判定する。これにより、第2無線機5Bから端末61へ上位レイヤパケットが重複して送られることを抑制できる。従って、端末61では、上位レイヤパケットの処理負荷を軽減することができる。
【0207】
[3.実施形態の詳細(その2)]
[3.1 システム構成]
図1と同様であり、[2.1 システム構成]の説明を援用する。
【0208】
[3.2 システム設置例]
図2と同様であり、[2.2 システム設置例]の説明を援用する。
【0209】
[3.3 無線機(基地局)の構成]
図27Aに示すように無線機5は、無線信号の送受信を行う無線通信部51と、無線機5における情報処理を担う処理部52と、記憶部53と、を備えている。処理部52は、無線通信部51から送信される無線パケット(無線送信データ)を生成し、無線通信部51に与える処理を行うとともに、無線通信部51によって受信した無線パケットの処理を行う。
記憶部53は、処理部52における処理に用いられる情報(後述の第1設定情報、第2設定情報、第3設定情報及びその他の情報)が記憶されている。
【0210】
無線機5の処理部52は、処理部52によって実現される機能の一部又は全部がハードウェア回路によって構成されていてもよいし、その機能の一部又は全部が、コンピュータプログラムによって実現されていてもよい。処理部52の機能の一部又は全部がコンピュータプログラムによって実現される場合、処理部52は、コンピュータを含み、そのコンピュータによって実行されるコンピュータプログラムは、記憶部53に記憶される。
【0211】
無線機5は、第1有線通信部54及び第2有線通信部55を備えている。第1有線通信部54は、ルータ4との間をPPPによって通信するためのものである。第1有線通信部54は、S9形インタフェース規格に従っている。第1有線通信部54は、複数のポート(S9ポート)P
1,P
2,P
3,P
4を備えている。なお、以下では、一つのポート(S9ポート)は、送受信を行うためのポートとして説明する。つまり、
図27に示す複数のポート(S9ポート)P
1,P
2,P
3,P
4それぞれは、S9形インタフェース規格における送信ポート及び受信ポートを含んだものである。なお、ルータ4にも、複数のS9ポートが設けられており、無線機5の各ポート(S9ポート)P
1,P
2,P
3,P
4それぞれは、ルータ4又は端末6側のS9ポートと通信線によって接続される。
第2有線通信部55は、イーサネット(登録商標)接続用の通信部であり、1又は複数のイーサポートP
M1,P
M2,P
M3,P
M4を備えている。交通安全支援システム(DSSS:Driving Safety Support Systems)向けにS11形インターフェース規格(社団法人新交通管理システム協会)が策定されている。無線機5が備えるイーサポートP
M1,P
M2,P
M3,P
M4は、S11形インターフェース規格(Ethernet)用のポートである。無線機5は、イーサポートP
Mを介して、ルータ4又は端末6などの他の装置と接続することもできる。
【0212】
図27Bは、無線機5におけるプロトコルスタックを示している(
図4でも説明しているが念のため改めて説明する)。
図27Bに示すプロトコルスタックは、物理層(PHY層:Physical Layer)、MAC副層(Medium Access Control sublayer)、LLC副層(Logical Link Control sublayer)、車車間・路車間共用通信制御情報層(IVC−RVC層:-Inter−Vehicle Communication − Road to Vehicle Communication Layer)及びレイヤ7(L7)、拡張層(EL)を備えている。
レイヤ1、MAC副層、LLC副層、IVC−RVC層、及びL7は、非特許文献1に規定されたレイヤである。ELは、非特許文献2に規定されたレイヤである。
【0213】
EL又はL7は、セキュリティ管理にアクセスすることができる。セキュリティ管理は、ELから受け取ったアンセキュアなデータに対して、セキュリティ処理(暗号化処理、署名処理など)を行って、セキュアなデータを生成することができる。また、セキュリティ管理は、セキュリティ処理が施されたセキュアなデータをアンセキュアにデータに戻すことができる。
【0214】
本実施形態では、ELの上位層として、路路間通信の制御のためのIRC層が設けられている。IRC層は、非特許文献1,2に規定されたものではないが、本実施形態では、拡張層又はレイヤ7の直上のレイヤとして設けられている。また、IRC層の上位レイヤとして、PPP層及びEthernet層が設けられている。なお、Ethernet層は、Ethernet規格におけるデータリンク層に相当する。PPP層は、PPPフレームのPPPヘッダを処理(ヘッダの付加・ヘッダの読み取りなど)し、Ethernet層は、イーサネットフレームのイーサネットヘッダを処理(ヘッダの付加・ヘッダの読み取りなど)する。
【0215】
[3.4 データ構造]
図28は、無線機5によって送信される無線パケット(無線送信データ)のデータ構造、及び、ルータ4又は端末6が送信するPPPフレームのデータ構造を示している。
[3.4.1 無線パケットの構造]
本実施形態における無線パケットは、先頭から、無線通信制御情報、IRC(路路間通信制御情報)ヘッダ、データ、及びFCSの各領域を有している。
無線通信制御情報は、非特許文献1及び2に準拠したものであり、先頭から、PHYヘッダ(物理ヘッダ)、MAC制御フィールド(MACヘッダ)、LLC制御フィールド(LLCヘッダ)、IR制御フィールド(IRヘッダ)、L7ヘッダ、及びELヘッダを有して構成される。
【0216】
PHYヘッダは、非特許文献1の規格におけるレイヤ1(物理層)に対応したヘッダである。MAC制御フィールドは、同規格におけるレイヤ2のMAC副層(Medium Access Control Sublayer)に対応した制御フィールドである。LLC制御フィールドは、同規格におけるレイヤ2のLLC副層(Logical Link Control Sublayer)に対応した制御フィールドである。IR制御フィールドは、同規格における車車間・路車間共用通信制御情報(IVC−RVC)層に対応した制御フィールドである。L7ヘッダは、同規格におけるレイヤ7に対応したヘッダである。ELヘッダは、非特許文献2に示す拡張層(Extended Layer)に対応するヘッダである。なお、ELヘッダは、省略してもよい。
【0217】
図28に示すように、非特許文献1の規格において、L7ヘッダには、「アプリケーション関連情報(ApplicationAssociatedInformation)」フィールドが設けられている。同規格において、アプリケーション関連情報フィールドの内容は定められていないが、本実施形態では、アプリケーション関連情報フィールドには、「通信分類(CommunicationClassification)」フィールドが設けられている。
【0218】
通信分類フィールドは、無線パケットの種類(通信の種類)、すなわち、無線パケットが、「1.移動局から移動局・基地局への通信(車車間・車路間共用通信)」、「2.基地局から移動局・基地局への通信(路車間・路路間共用通信)」、「3.移動局から移動局への通信(車車間通信)」、「4.基地局から移動局への通信(路車間通信)」、「5.移動局から基地局への通信(車路間通信)」、「6.基地局から基地局への通信(路路間通信)」のうちのいずれの通信のためのパケットであるかを分類するためのものである。通信分類フィールドはこのとおりでなくてもよい。
【0219】
無線パケットに通信分類フィールドが設けられていることで、無線パケットを受信した無線機5,7は、受信した無線パケットに含まれる通信分類フィールドを参照することで、自機に必要なパケットであるかどうかを判別し、上位レイヤ(レイヤ7よりも上位のレイヤ)を参照することなく、不要な場合(例えば、基地局向けパケットを移動局が受信して不要だと判断した場合)には、そのパケットを破棄することができる。
【0220】
また、
図28に示すように、非特許文献1の規格において、ELヘッダ(EL基地局ヘッダ)には、基地局ID情報(BaseStationID:無線送信元ID)が含まれている。したがって、無線パケットにELヘッダが含まれる場合、受信側の無線機5(のEL層)は、ELヘッダの基地局ID情報を参照することで、無線パケットの送信元の無線機5のIDを取得することができる。後述のように、本実施形態では、基地局ID情報は、無線パケットの転送抑制処理に用いられる。
【0221】
無線パケットにおいて、ELヘッダとFCSとの間(ELが省略される場合はL7ヘッダとFCSとの間)の領域(
図28の無線パケットにおけるIRCヘッダ及びデータの領域)は、無線パケットとしてのアプリケーションデータが格納される領域である。無線パケットとしてのアプリケーションデータは、セキュリティ管理(
図3B参照)によって、セキュリティ処理(暗号化処理、署名処理など)が施されたセキュアなデータになっていることがある。セキュアなデータを受信した無線機5のEL又はL7は、セキュアなデータをセキュリティ管理に渡して、セキュリティ管理によってアンセキュアなデータに戻してもらい、セキュリティ管理から受け取ったアンセキュアなデータを上位層に渡す。
なお、セキュリティ管理に対して、ELではなく、L7からアンセキュアなデータが渡される場合、L7ヘッダよりも後続の領域(
図28の無線パケットにおけるELヘッダ、IRCヘッダ及びデータの領域)がセキュアなデータとなる。さらに、IRC層からセキュリティ管理に対してアンセキュアなデータを渡すようにしてもよい。
【0222】
無線機5が、車載機7向けのデータ(路車データ)を送信する際には、アプリケーションデータが格納される領域には、車載機7向けのアプリケーションデータが格納される。 一方、本実施形態の無線機5は、無線機5間通信(路路間通信)を行う場合であって、端末6の管理に関する情報を送信する場合(PPPリンクによる伝送を行う場合)には、無線パケットとしてのアプリケーションデータが格納される領域に、IRCヘッダ及びPPPフレームからなるIRCフレームを格納する。
【0223】
IRC(路路間通信制御情報)ヘッダは、路路間通信の制御のためのIRC層に対応するヘッダである。IRCヘッダについては後述する。
なお、
図28に示す無線パケットにおいては、セキュリティ管理によって生成されるセキュリティヘッダが省略されている。セキュリティヘッダは、IRCヘッダの前側にあってもよいし、IRCヘッダの後側にあってもよい。セキュリティヘッダがIRCヘッダの前側にある場合、IRCヘッダをセキュアなデータにできる。ただし、IRCヘッダがセキュリティ処理の対象となっているため、IRCヘッダを読み取るには、アンセキュアにする処理が必要となる。一方、セキュリティヘッダがIRCヘッダの後側にある場合、IRCヘッダはアンセキュアなデータであるため、IRCヘッダを読み取るのに、アンセキュアにする処理が不要である。
また、セキュリティヘッダは、ELヘッダの前側にあってもよいし、ELヘッダの後側にあってもよい。セキュリティヘッダがELヘッダの前側にある場合、ELヘッダ(基地局ID情報(無線送信元ID))及びIRCヘッダ双方をセキュアなデータにできる。また、セキュリティヘッダがELヘッダの後側にある場合、ELヘッダはアンセキュアなため、ELヘッダに含まれる基地局ID情報(無線送信元ID)などの情報を読み取るのに、アンセキュアにする処理が不要である。
【0224】
[3.4.2 PPPフレームの構造]
ルータ4又は端末6によって生成されたPPPフレームを取得した無線機5は、PPPフレームに無線通信制御情報などを付加してカプセル化し、無線パケットを生成する。
図28に示すように、ルータ4又は端末6によって生成されるPPPフレームは、PPPヘッダ及びデータ部を有している。PPPヘッダは、プリアンブル及びプロトコルの領域を有している。PPPヘッダのプリアンブルは、Flag,Address,Controlの各フィールドを備えているが、それぞれ、固定値が格納される。
【0225】
PPPヘッダのプロトコルは、このプロトコルに後続するデータ部の種別を示す。プロトコルの領域に格納されている値が、LCP(Link Contol Protocol),認証,NCP(Network Control Protocol)のいずれかである場合、PPPフレームのデータ部の内容は、
図28に示すPPP制御パケットとなる。また、プロトコルの領域に格納されている値が、上位レイヤを示す値(例えば、IP)である場合、PPPフレームのデータ部の内容は、
図28に示す上位レイヤパケット(IPパケット)となる。
【0226】
PPP制御パケットは、Code、ID、Length、データ又はパラメータリストの各フィールドを有している。
Codeは、PPP制御パケットの種別を示す情報である。IDは、PPP制御パケットの識別子である。Lengthは、PPP制御パケット長である。データ又はパラメータリストのフィールドは、PPP制御パケットごとに関連するデータを格納するフィールドである。
【0227】
LCP又は認証のPPP制御パケットは、PPP制御パケットの宛先を示す情報を有していない。したがって、LCP又は認証のPPPフレームは、宛先情報を持たない。つまり、PPPは、その通信フレーム(PPPフレーム)に宛先情報を持たないことがあり得るプロトコルである。なお、PPPフレームのデータ部の内容が上位レイヤパケットである場合、PPPフレームには、上位レイヤパケットの宛先情報(宛先IPアドレスなど)が含まれる。
【0228】
[3.4.3 IRC(路路間通信制御情報;無線機間通信制御)ヘッダ]
IRCヘッダは、無線パケット(無線送信データ)を生成する無線機5のIRC層による処理(情報付加処理;IRCヘッダ付加処理)にて生成され、無線パケット(無線送信データ)を受信した無線機5のIRC層による処理に用いられる。
図29A〜
図29Dに示すように、IRCヘッダは、識別情報171,173,174と転送回数情報172とを備えている。
【0229】
識別情報171,173,174は、無線パケットを受信した無線機5(のIRC層)が、その無線パケットに含まれるPPPフレームの宛先が自機5に接続された装置(ルータ4又は端末6)であるか否かを判定する受信判定処理に用いられる。
識別情報171,173,174は、PPPフレームを含む無線パケットを受信した無線機5が、そのPPPフレームが自機5に関連するものか否かを判定するための情報である。換言すると、識別情報は、PPPフレームを含む無線パケットを受信した無線機5が、そのPPPフレームを自機5に接続された装置(ルータ4又は端末6)に送信すべきか否かなどを判定するための情報である。なお、識別情報は、自機5に関連するものであるか否かの判定処理の一である後述の転送判定処理にも用いられる。
【0230】
転送回数情報172は、PPPフレームを含む無線パケットが転送された回数に関する情報である。なお、転送回数情報は、省略してもよい。
【0231】
図29A〜
図29Dは、IRCヘッダの様々な例を示している。
図29AのIRCヘッダは、転送回数情報172のほか、識別情報として、送信元ポートID(送信元ID)171を有している。送信元ポートID171は、PPPフレームの送信元の装置4,6のポートを示す識別子である。つまり、ルータ4又は端末6に備わったS9ポートを示す識別子である。
図29Bは、IRCヘッダの他の例を示している。
図29BのIRCヘッダは、転送回数情報172のほか、識別情報として、宛先ポートID(宛先ID)173を有している。宛先ポートID173は、PPPフレームの宛先の装置4,6のポートを示す識別子である。
【0232】
なお、無線機5と当該無線機に接続される装置(ルータ4又は端末6)とが、一対のポートだけで接続されている場合、送信元ポートID171は、PPPフレームの送信元の装置4,6を示す装置ID(送信元ID)と一対一に対応する情報であって、実質的に等価な情報である。また、上記の場合、宛先ポートID173は、PPPフレームの宛先の装置4,6を示す装置ID(宛先ID)と一対一に対応する情報であって、実質的に等価な情報である。
したがって、IRCヘッダに格納される識別情報としては、宛先ポートID173に代えて又は加えて宛先の装置IDであってもよい。さらに、IRCヘッダに格納される識別情報としては、送信元ポートIDに代えて又は加えて、送信元の装置IDであってもよい。
【0233】
図29Cは、IRCヘッダの他の例を示している。
図29CのIRCヘッダは、識別情報として、
図29A,
図29B及び後述の
図29Dに示すように、宛先ポートID(宛先ID)173、送信元ポートID(送信元ID)61及びPPPリンクID174のいずれか一つだけでもよいが、
図29Cに示すように、宛先ポートID(宛先ID)173、送信元ポートID(送信元ID)61の双方を有していてもよい。つまり、宛先ポートID(宛先ID)173、送信元ポートID(送信元ID)61及びPPPリンクID174の各情報のうち、複数の情報をICRヘッダに格納してもよい。
図29Dは、IRCヘッダの他の例を示している。
図29DのIRCヘッダは、識別情報として、PPPリンクID174を有している。PPPリンクID174は、ルータ4−端末6間で形成されるべきPPPリンクを示す識別子である。PPPリンクは、2つのポート間に形成されるリンクであるため、
図29A〜5Bに示す送信元ポートID171及び宛先ポートID173のいずれか一方だけでも、PPPリンクを一意に特定できる。つまり、PPPリンクIDに限らず、送信元ポートID171及び宛先ポートID173もそれぞれ、PPPフレームが送信されるPPPリンクを識別可能な識別情報(以下、PPPリンク識別情報という)である。
【0234】
[3.5 無線通信区間が介在するPPPリンク]
[3.5.1 ケース1]
ケース1では、
図30に示すように、一対の無線機(第1無線機5Aと第2無線機5B)それぞれに一つずつ装置(ルータ(第1装置)4,端末(第2装置)61)が接続されているものとする。装置4,61は、PPPフレームの送受信を行うものであり、2点間通信リンクであるPPPリンクL1の両端に位置する。
第1無線機5Aの近傍には、第2無線機5B以外に第3無線機5Cも存在し、第1無線機5Aから送信された電波は、第3無線機5Cにおいて受信可能であるものとする。第3無線機5Cには端末62が接続されている。端末62もPPPフレームの送受信が可能である。
【0235】
ケース1では、ルータ4と端末61との間でPPPリンクL1が形成される必要があるものとし、ルータ4と端末62との間では、PPPリンクは形成されないものとする。例えば、端末62が
図30で示されていない遠方に設置されている他のルータとPPPリンクを形成する場合が考えられる。
【0236】
また、ケース1では、第1無線機5A、第2無線機5B、及び第3無線機5Cの各記憶部53には、
図31A〜
図31Cに示す第1設定情報及び第2設定情報が設定されている。
第1設定情報は、各無線機5A,5B,5Cが、接続された装置4,61、62からPPPフレームを受信した場合に参照される情報である。第1設定情報は、PPPフレームに付加されて無線パケットを構成する識別情報の生成に用いられる。
第1設定情報は、自機5A,5B,5CのポートP
1A〜P
4A,P
1B〜P
4B,P
1C〜P
4Cのうちルータ4又は端末6に接続されたポート(受信ポート)を示す受信ポートIDと、識別情報(PPPリンク識別情報)と、を対応づけるためのものである。具体的には、第1設定情報は、受信ポートID(第1ポートID)と、送信元ポートID(送信元ID)と、宛先ポートID(宛先ID)と、が対応付けられて構成されている。第1設定情報における送信元ポートID(送信元ID)及び宛先ポートID(宛先ID)は、いずれもPPPリンク識別情報である。識別情報としての送信元ポートID(送信元ID)及び宛先ポートID(宛先ID)は、いずれもPPPリンク識別情報であり、いずれか一つの情報が存在すれば足り、他の情報を省略してもよい。情報を省略することで、情報量を抑えることができる。
【0237】
第2設定情報は、各無線機5A,5B,5Cが、他の無線機から無線パケットを受信した場合に参照される情報である。第2設定情報は、受信した無線パケットをどのように扱うかを判定する処理(受信判定処理、転送判定処理)に用いられる。
第2設定情報は、識別情報(PPPリンク識別情報)と、自機5A,5B,5CのポートP
1A〜P
4A,P
1B〜P
4B,P
1C〜P
4Cのうちルータ4又は端末6に接続されたポート(送信ポート)を示す送信ポートIDと、を対応付けるためのものである。具体的には、第2設定情報は、送信元ポートID(送信元ID)と、宛先ポートID(宛先ID)と、送信ポートID(第2ポートID)とが、対応付けられて構成されている。第2設定情報における送信元ポートID(送信元ID)及び宛先ポートID(宛先ID)は、いずれもPPPリンク識別情報である。第1設定情報と同様に、識別情報としての送信元ポートID(送信元ID)及び宛先ポートID(宛先ID)は、いずれもPPPリンク識別情報であり、いずれか一つの情報が存在すれば足り、他の情報を省略してもよい。
【0238】
図32は、ルータ4から端末61へPPPフレームを送信する場合における、第1無線機5A及び第2無線機5Bの通信処理手順を示している。なお、
図32では、
図12と同じ参照符号(S1〜S14)を使用しているが、これは
図32と
図12との対比を容易にするためであり、同一の参照符号の処理であっても、処理内容としては
図32と
図12とで異なる場合がある。
まず、ルータ4は、端末61のための情報が含まれたPPPフレームを、端末61宛情報用のポート(S9ポート)P
R1から送信する。ただし、このPPPフレームには、前述のように宛先である端末61を示す情報は含まれていない。また、PPPフレームには、送信元であるルータ4を示す情報も含まれていない。
第1無線機5Aは、ルータ4のポートP
R1から送信されたPPPフレームを、ポート(S9ポート)P
1Aにて受信する(ステップS1)。
【0239】
第1無線機5Aの処理部52は、受信したPPPフレームを破棄せずに、受信したPPPフレームの送信元を認識する送信元認識処理を行う(ステップS2)。送信元認識処理によって認識された送信元を示す情報は、IRCヘッダの識別情報として用いられる。
送信元認識処理では、PPPフレームの送信元を得るため、PPPフレームを受信したポートP
1Aを示すポート情報を検索キーとして、第1設定情報の受信ポートIDの検索が行われる。
図31Aに示す第1無線機5Aの第1設定情報には、検索キーであるポートID(P
1A)に一致する受信ポートID(P
1A)が存在する。ここでは、2つの識別情報(送信元ポートID、宛先ポートID)のうち、送信元ポートIDを、識別情報として用いる。したがって、送信元認識処理では、検索キーに一致する受信ポートID(P
1A)に対応する識別情報である送信元ポートID(P
R1)が得られる。
つまり、送信元認識処理によって、受信したPPPフレームの送信元であるルータ4のポートP
R1を示す情報(識別情報)が得られる。
【0240】
続いて、処理部52(のIRC層としての機能)は、受信したPPPフレームの送信元であるルータ4のポートIDであるP
R1を示す識別情報が送信元ポートID171のフィールドに格納されたIRCヘッダ(
図29A参照)を生成し、PPPフレームの先頭に付加する(識別情報付加処理;ステップS3)。つまり、受信したPPPフレームをカプセル化したIRCフレームが生成される。なお、転送回数情報は、例えば、0に設定される。
このように、識別情報の付加は、PPP層とは異なるレイヤ(PPP層よりも下位のレイヤ)であるIRC層によって行われる。
【0241】
そして、IRC層は、生成したIRCフレームの無線送信要求を、拡張層(EL)(拡張層が存在しない場合にはレイヤ7)に対して行う(ステップS4)。
拡張層(EL)〜PHY層までの各レイヤは、
図28に示す無線通信制御情報(ELヘッダからPHYヘッダまで)を、IRCフレームに対して付加して、無線パケットを生成する(無線パケット生成処理;ステップS5)。つまり、無線パケットの生成は、PPP層及びIRC層とは異なるレイヤ(拡張層〜PHY層)によって行われる。
なお、無線パケット生成処理において、第1無線機5Aの拡張層は、ELヘッダの基地局ID情報のフィールドに第1無線機5AのIDをセットする。また、無線パケット生成処理において、第1無線機5Aのレイヤ7は、通信分類のフィールドに、「6.基地局から基地局への通信(路路間通信)」であることを示す情報をセットする。
生成された無線パケットは、第1無線機5Aからブロードキャスト送信される(ステップS6)。
なお、セキュリティ管理によってセキュリティ処理を実施する場合は、IRCデータ(IRCヘッダからPHYヘッダまでを除いたデータ)に対してでもよいし、IRCフレーム(ELヘッダからPHYヘッダまでを除いたデータ)に対してでもよい。また、レイヤ7からセキュリティ管理にアクセスする場合は、L7データ(L7ヘッダPHYヘッダまでを除いたデータ)に対してでもよい。
【0242】
ブロードキャスト送信された無線パケットは、第2無線機5Bによって受信される。無線パケットを受信した第2無線機5Bの処理部52(PHY層〜拡張層(EL)までの各レイヤ;無線処理機能部)は、無線パケットの受信処理を行う(ステップS7)。
無線パケットの受信処理のうち、レイヤ7での処理においては、L7ヘッダに含まれる通信分類に基づく判定が行われる。通信分類フィールドが示す通信分類が基地局宛の分類でない場合、基地局である第2無線機5Bは、受信した無線パケットを破棄することができる。ただし、ここでは、基地局宛の分類の一つである「6.基地局から基地局への通信(路路間通信)」が通信分類フィールドに設定されているため、受信した無線パケットを破棄せず処理することができる。
これに対し、通信分類フィールドが示す分類が、基地局宛の分類でないため、第1無線機5Aから送信された無線パケットを受信した車載機(移動局)7は、受信した無線パケットを破棄してもよい。
【0243】
第2無線機5Bの処理部52は、受信した無線パケットから、無線通信制御情報(PHYヘッダからELヘッダまで)を取り除いたIRCフレーム(IRCヘッダ及びPPPフレーム)を、拡張層からIRC層に与える処理を行う(ステップS8)。また、第2無線機5Bの拡張層は、受信した無線パケットのELヘッダの基地局ID情報のフィールドに格納されていた第1無線機5AのIDを、IRC層に与える。受信した無線パケットからIRCフレームを得る処理は、PPP層及びIRC層とは異なるレイヤによって行われる。
【0244】
第2無線機5BのIRC層は、IRCヘッダに含まれる識別情報を用いて、受信判定処理を行う(ステップS9)。受信判定処理を行うIRC層は、PPP層とは異なるレイヤ(PPP層よりも下位のレイヤ)である。
受信判定処理は、受信した無線パケットに含まれているPPPフレームの宛先を判定し、得られたPPPフレームの取り扱いを決定するための処理である。具体的には、受信判定処理において、IRC層は、PPPフレームの宛先が、自機5Bに接続された端末61であるか否かを判定する。
【0245】
受信判定処理のため、第2無線機5BのIRC層は、受信したIRCヘッダに含まれる識別情報(送信元ポートID=P
R1)を検索キーとして、第2無線機5Bの記憶部53に設定された第2設定情報(受信判定情報)の送信元ポートIDの検索を行う。
図31Bに示す第2無線機5Bの第2設定情報には、検索キーである送信元ポートID=P
R1に一致する送信元ポートID(P
R1)が存在する。したがって、受信判定処理(ステップS9)では、検索キーに一致する送信元ポートID(P
R1)に対応する送信ポートID(P
1B)が得られる。
つまり、第2無線機5Bは、受信判定処理によって、受信したPPPフレームの宛先である装置61に接続されたポート(送信ポート;第2ポート)P
1Bを識別することができる。
【0246】
第2無線機5BのIRC層は、送信ポートの識別情報が得られると、得られたPPPフレームが自機5Bに接続された端末61宛であると認識する。第2無線機5BのPPP層は、得られたPPPフレームを、識別された送信ポートP
1Bから送信する(ステップS10)。
第2無線機5Bから送信されたPPPフレームは、端末61によって受信される。
【0247】
なお、受信した識別情報を検索キーとして、第2設定情報(受信判定情報)を検索しても、ヒットする識別情報が無い場合、受信したPPPフレームの宛先は、自機5Bに接続された端末61でないと判定する。この場合、後述の転送判定(ステップS11)を行い、転送の必要もなければ、PPPフレームを破棄する(ステップS12)。
【0248】
第1無線機5Aからブロードキャスト送信された無線パケットは、第2無線機5B以外に第3無線機5Cによっても受信される。無線パケットを受信した第3無線機5Cの処理部52(PHY層〜拡張層(EL)までの各レイヤ;無線処理機能部)は、第2無線機5Bと同様に、無線パケットの受信処理を行って、IRCフレーム(IRCヘッダ及びPPPフレーム)を得る。
第3無線機5CのIRC層は、IRCヘッダに含まれる識別情報(送信元ポートID=P
R1)を用いて、受信判定処理を行う。
しかし、
図31Cに示す第3無線機5Cの第2設定情報には、受信した送信元ポートID=P
R1に一致する送信元ポートIDが存在しない。したがって、第3無線機5Cは、受信したPPPフレームの宛先は、自機5Cに接続された端末62ではないと判定する。この場合、第3無線機5Cは、後述の転送判定を行い、転送の必要もなければ、PPPフレームを破棄する。
【0249】
このように、ルータ4から送信されたPPPフレームは、第1無線機5Aによってブロードキャストされて複数の無線機5B,5Cによって受信されることがある。しかし、受信側の無線機5B,5Cによって、IRCヘッダに含まれる識別情報を用いた受信判定を行うため、宛先情報が含まれないPPPフレームであっても、確実に、本来の宛先である第2無線機5Bのみが受信することができる。
しかも、本来の宛先とは関係ない第3無線機5Cは、第3無線機5Cに接続された端末62にPPPフレームを与えることなく、第3無線機5CにてPPPフレームを破棄するため、端末62が、ルータ4との間で、誤って、PPPリンク確立処理などを行うことを防止できる。
【0250】
端末61からルータ4へPPPフレームを送信する場合も、上記と同様の手順で処理が行われる。
つまり、端末61は、ルータ4に送信すべき情報が含まれたPPPフレームを、ルータ4宛情報用のポート(S9ポート)P
T1から送信する。第2無線機5Bは、端末61のポートP
T1から送信されたPPPフレームを、ポートP
1Bにて受信する。
第2無線機5Bの処理部52は、
図31Bに示す第1設定情報を参照して、送信元認識処理を行い、識別情報として、送信元である端末61の送信元ポートID(P
T1)を得る。
第2無線機5Bは、識別情報を含むIRCヘッダによってPPPフレームをカプセル化してIRCフレームを生成する。さらに、第2無線機5Bは、無線通信制御情報(ELヘッダからPHYヘッダまで)を、IRCフレームに付加して、無線パケットを生成する。生成された無線パケットは、第2無線機5Bからブロードキャスト送信される。
なお、セキュリティ管理によって、セキュリティ処理を実施する場合は、IRCデータ(IRCヘッダからPHYヘッダまでを除いたデータ)に対してでもよいし、IRCフレーム(ELヘッダからPHYヘッダまでを除いたデータ)に対してでもよい。また、レイヤ7からセキュリティ管理にアクセスする場合は、L7データ(L7ヘッダPHYヘッダまでを除いたデータ)に対してでもよい。
【0251】
無線パケットを受信した第1無線機5Aは、受信した無線パケットのIRCヘッダに含まれる識別情報(送信元ポートID=P
T1)に基づいて、
図31Aに示す第2設定情報を参照する受信判定処理を行う。第1無線機5Aは、受信判定処理によって、受信したPPPフレームの宛先が、自機5Aに接続された装置(ルータ4)であることを認識することができる。また、第1無線機5Aは、受信判定処理によって、受信したPPPフレームの宛先であるルータ4に接続されたポート(送信ポート;第2ポート)P
1Aを識別することができる。
第1無線機5Aは、送信ポートP
1Aを識別すると、PPPフレームをその送信ポートP
1Aから送信する。送信されたPPPフレームは、ルータ4によって受信される。
【0252】
第2無線機5Bから送信された無線パケットは、第3無線機5Cによっても受信されるが、第3無線機5Cの受信判定処理の結果、破棄される。したがって、端末61から送信されたPPPフレームが、端末62によって受信されることも防止される。
【0253】
ケース1に関して、前述の説明では、識別情報は、送信元ポートIDとしたが、宛先ポートIDであってもよい。識別情報が宛先ポートIDである場合、IRCヘッダのヘッダ構造は、
図29Bに示すものとなる。
識別情報が、宛先ポートIDである場合、通信フレームの伝送方法は、
図32に関する既述の説明における「送信元」を「宛先」と読み替えればよいが、以下、具体的に説明する。以下において説明されていない点は、識別情報が送信元ポートIDである場合についての説明が援用される。
【0254】
まず、第1無線機5Aは、ルータ4のポートP
R1から送信されたPPPフレームを、ポート(S9ポート)P
1Aにて受信する(ステップS1)。
【0255】
第1無線機5Aの処理部52は、受信したPPPフレームの宛先を認識する宛先認識処理を行う(ステップS2)。宛先認識処理によって認識された宛先を示す情報は、IRCヘッダの識別情報として用いられる。
宛先認識処理では、PPPフレームの宛先を得るため、PPPフレームを受信したポートP
1Aを示すポート情報を検索キーとして、第1設定情報の受信ポートIDの検索が行われる。
図31Aに示す第1無線機5Aの第1設定情報には、検索キーであるポートID(P
1A)に一致する受信ポートID(P
1A)が存在する。したがって、宛先認識処理では、検索キーに一致する受信ポートID(P
1A)に対応する識別情報である宛先ポートID(P
T1)が得られる。
つまり、宛先認識処理によって、受信したPPPフレームの宛先である端末61のポートP
T1を示す情報(識別情報)が得られる。
【0256】
続いて、処理部52(のIRC層としての機能)は、受信したPPPフレームの宛先である端末61のポートIDであるP
T1を示す識別情報が宛先ポートID173のフィールドに格納されたIRCヘッダ(
図29B参照)を生成し、PPPフレームの先頭に付加する(識別情報付加処理;ステップS3)。つまり、受信したPPPフレームをカプセル化したIRCフレームが生成される。なお、転送回数情報は、例えば、0に設定される。
【0257】
そして、IRC層は、生成したIRCフレームの無線送信要求を、拡張層(EL)(拡張層が存在しない場合にはレイヤ7)に対して行う(ステップS4)。
拡張層(EL)〜PHY層までの各レイヤは、
図28に示す無線通信制御情報(ELヘッダからPHYヘッダまで)を、IRCフレームに対して付加して、無線パケットを生成する(無線パケット生成処理;ステップS5)。
生成された無線パケットは、第1無線機5Aからブロードキャスト送信される(ステップS6)。
【0258】
ブロードキャスト送信された無線パケットは、第2無線機5Bによって受信される。無線パケットを受信した第2無線機5Bの処理部52(PHY層〜拡張層(EL)までの各レイヤ;無線処理機能部)は、無線パケットの受信処理を行う(ステップS7)。
【0259】
第2無線機5Bの処理部52は、受信した無線パケットから、無線通信制御情報(PHYヘッダからELヘッダまで)を取り除いたIRCフレーム(IRCヘッダ及びPPPフレーム)を、拡張層からIRC層に与える処理を行う(ステップS8)。また、第2無線機5Bの拡張層は、受信した無線パケットのELヘッダの基地局ID情報のフィールドに格納されていた第1無線機5AのIDを、IRC層に与える。
【0260】
第2無線機5BのIRC層は、IRCヘッダに含まれる識別情報を用いて、受信判定処理を行う(ステップS9)。
【0261】
受信判定処理のため、第2無線機5BのIRC層は、受信したIRCヘッダに含まれる識別情報(宛先元ポートID=P
T1)を検索キーとして、第2無線機5Bの記憶部53に設定された第2設定情報(受信判定情報)の宛先ポートIDの検索を行う。
図31Bに示す第2無線機5Bの第2設定情報には、検索キーである宛先ポートID=P
T1に一致する宛先ポートID(P
T1)が存在する。したがって、受信判定処理(ステップS9)では、検索キーに一致する宛先ポートID(P
T1)に対応する送信ポートID(P
1B)が得られる。
つまり、第2無線機5Bは、受信判定処理によって、受信したPPPフレームの宛先である装置61に接続されたポート(送信ポート;第2ポート)P
1Bを識別することができる。
【0262】
第2無線機5BのIRC層は、送信ポートの識別情報が得られると、得られたPPPフレームが自機5Bに接続された端末61宛であると認識し、PPPフレームを、識別された送信ポートP
1Bから送信する(ステップS10)。
第2無線機5Bから送信されたPPPフレームは、端末61によって受信される。
【0263】
第1無線機5Aからブロードキャスト送信された無線パケットは、第2無線機5B以外に第3無線機5Cによっても受信される。無線パケットを受信した第3無線機5Cの処理部52(PHY層〜拡張層(EL)までの各レイヤ;無線処理機能部)は、第2無線機5Bと同様に、無線パケットの受信処理を行って、IRCフレーム(IRCヘッダ及びPPPフレーム)を得る。
第3無線機5CのIRC層は、IRCヘッダに含まれる識別情報(宛先ポートID=P
T1)を用いて、受信判定処理を行う。
しかし、
図31Cに示す第3無線機5Cの第2設定情報には、受信した宛先ポートID=P
T1に一致する宛先ポートIDが存在しない。したがって、第3無線機5Cは、受信したPPPフレームの宛先は、自機5Cに接続された端末62ではないと判定する。この場合、第3無線機5Cは、後述の転送判定を行い、転送の必要もなければ、PPPフレームを破棄する。
【0264】
端末61からルータ4へPPPフレームを送信する場合も、上記と同様の手順で処理が行われる。
つまり、端末61は、ルータ4に送信すべき情報が含まれたPPPフレームを、ルータ4宛情報用のポート(S9ポート)P
T1から送信する。第2無線機5Bは、端末61のポートP
T1から送信されたPPPフレームを、ポートP
1Bにて受信する。
第2無線機5Bの処理部52は、
図31Bに示す第1設定情報を参照して、宛先認識処理を行い、識別情報として、宛先であるルータ4の宛先ポートID(P
R1)を得る。
第2無線機5Bは、識別情報を含むIRCヘッダによってPPPフレームをカプセル化してIRCフレームを生成する。さらに、第2無線機5Bは、無線通信制御情報(ELヘッダからPHYヘッダまで)を、IRCフレームに付加して、無線パケットを生成する。生成された無線パケットは、第2無線機5Bからブロードキャスト送信される。
【0265】
無線パケットを受信した第1無線機5Aは、受信した無線パケットのIRCヘッダに含まれる識別情報(宛先ポートID=P
R1)に基づいて、
図31Aに示す第2設定情報を参照する受信判定処理を行う。第1無線機5Aは、受信判定処理によって、受信したPPPフレームの宛先が、自機5Aに接続された装置(ルータ4)であることを認識することができる。また、第1無線機5Aは、受信判定処理によって、受信したPPPフレームの宛先であるルータ4に接続されたポート(送信ポート;第2ポート)P
1Aを識別することができる。
第1無線機5Aは、送信ポートP
1Aを識別すると、PPPフレームをその送信ポートP
1Aから送信する。送信されたPPPフレームは、ルータ4によって受信される。
【0266】
第2無線機5Bから送信された無線パケットは、第3無線機5Cによっても受信されるが、第3無線機5Cの受信判定処理の結果、破棄される。したがって、端末61から送信されたPPPフレームが、端末62によって受信されることも防止される。
【0267】
さらに、識別情報としては、宛先ポートID及び送信元ポートIDの双方も用いてもよい。識別情報として、宛先ポートID及び送信元ポートIDの双方を用いる場合、IRCヘッダのヘッダ構造は、
図29Cに示すものとなる。また、識別情報として、宛先ポートID及び送信元ポートIDの双方を用いる場合、送信元認識処理(ステップS2)は、第1設定情報を参照して、受信ポートIDから、送信元ポートID及び宛先ポートIDを得るものとなり、受信判定処理(ステップS9)は、第2設定情報を参照して、送信元ポートID及び宛先ポートIDから、送信ポートIDを得るものとなる。
【0268】
また、識別情報としては、PPPリンクの識別情報であるPPPリンクIDであってもよい。識別情報として、PPPリンクIDを用いる場合、IRCヘッダのヘッダ構造は、
図29Dに示すものとなる。PPPリンクIDを、識別情報として用いた場合における、各無線機5A,5B,5Cの設定情報を、
図33A〜
図33Cに示す。
識別情報としてPPPリンクIDを用いる場合、送信元認識処理(ステップS2)は、第1設定情報を参照して、受信ポートIDから、PPPリンクIDを得るものとなり、受信判定処理(ステップS9)は、第2設定情報を参照して、PPPリンクIDから送信ポートIDを得るものとなる。
【0269】
[3.5.2 ケース2]
図34に示すように、ケース2では、ルータ4と、それぞれがルータ4との間でPPPフレームの送受信を行う3つ(複数)の端末61,62,63とが存在する。したがって、ルータ4に接続された第1無線機5Aは、3つの端末61,62,63に対応して、3つのポートP
1A,P
2A,P
3Aにおいて、ルータ4と接続されている。
3つの端末61,62,63のうち、2つの端末61,62は、第2無線機5Bに接続されている。つまり、第2無線機5Bは、2つのポートP
1B,P
2Bにおいて、端末61,62と接続されている。残りの端末63は、第3無線機5Cに接続されている。
3つの無線機5A,5B,5Cは互いに無線通信が可能である。
【0270】
ケース2では、ルータ4と端末61との間で第1PPPリンクL1が形成され、ルータ4と端末62との間で第2PPPリンクL2が形成され、ルータ4と端末63との間で第3PPPリンクL3が形成されるものとする。
【0271】
ケース2では、第1無線機5A、第2無線機5B、及び第3無線機5Cの各記憶部53には、
図34のネットワーク構成に対応した設定情報として、
図35A〜
図35Cに示す第1設定情報及び第2設定情報が設定されている。
【0272】
ルータ4から端末61へPPPフレームを送信する場合、ルータ4は、端末61に送信すべき情報が含まれたPPPフレームを、端末61宛情報用のポートP
R1から送信する。第1無線機5Aは、ルータ4のポートP
R1から送信されたPPPフレームを、ポートP
1Aにて受信する。
第1無線機5Aの処理部52は、
図35Aに示す第1設定情報を参照して、送信元認識処理を行い、複数のポートP
R1〜P
R4のうち、送信元であるルータ4の送信元ポートID(P
R1)を識別情報として得る。
第1無線機5Aは、識別情報を含むIRCヘッダによってPPPフレームをカプセル化してIRCフレームを生成する。さらに、第1無線機5Aは、無線通信制御情報(ELヘッダからPHYヘッダまで)を、IRCフレームに付加して、無線パケットを生成する。生成された無線パケットは、第1無線機5Aからブロードキャスト送信される。
【0273】
無線パケットを受信した第2無線機5Bは、受信した無線パケットのIRCヘッダに含まれる識別情報(送信元ポートID=P
R1)に基づいて、
図35Bに示す第2設定情報を参照する受信判定処理を行う。第2無線機5Bは、受信判定処理によって、受信したPPPフレームの宛先が、自機5Bに接続された端末61,62のうち、端末61であることを認識することができる。また、第2無線機5Bは、受信判定処理によって、複数のポートP
1B〜P
2Bのうち、受信したPPPフレームの宛先である端末61に接続されたポート(送信ポート;第2ポート)P
1Bを識別することができる。
第2無線機5Bは、送信ポートP
1Bを識別すると、PPPフレームをその送信ポートP
1Bから送信する。送信されたPPPフレームは、端末61によって受信される。
【0274】
このように、第2無線機5Bは、識別情報に基づいて、第2設定情報を参照することで、自機5Bが受信したPPPフレームを、自機5Bに接続された複数の端末61,62のいずれに送信すればよいかを認識でき、自機5Bに複数の端末61,62が接続されていても、宛先ではない端末62にPPPフレームを送信してしまうことを防止することができる。
【0275】
端末61からルータ4へPPPフレームを送信する場合も、上記と同様の手順で処理が行われる。
つまり、端末61は、ルータ4に送信すべき情報が含まれたPPPフレームを、ルータ4宛情報用のポート(S9ポート)P
T1から送信する。第2無線機5Bは、端末61のポートP
T1から送信されたPPPフレームを、ポートP
1Bにて受信する。
第2無線機5Bの処理部52は、
図35Bに示す第1設定情報を参照して、送信元認識処理を行い、複数の端末61,62の各ポートP
T1〜P
T2のうち、送信元である端末61の送信元ポートID(P
T1)を識別情報として得る。
第2無線機5Bは、識別情報を含むIRCヘッダによってPPPフレームをカプセル化してIRCフレームを生成する。さらに、第2無線機5Bは、無線通信制御情報(ELヘッダからPHYヘッダまで)を、IRCフレームに付加して、無線パケットを生成する。生成された無線パケットは、第2無線機5Bからブロードキャスト送信される。
【0276】
無線パケットを受信した第1無線機5Aは、受信した無線パケットのIRCヘッダに含まれる識別情報(送信元ポートID=P
T1)に基づいて、
図35Aに示す第2設定情報を参照する受信判定処理を行う。第1無線機5Aは、受信判定処理によって、受信したPPPフレームの宛先が、自機5Aに接続された装置(ルータ4)であることを認識することができる。また、第1無線機5Aは、受信判定処理によって、複数のポートP
1A〜P
3Aのうち、受信したPPPフレームの宛先であるルータ4に接続されたポート(送信ポート;第2ポート)P
1Aを識別することができる。
第1無線機5Aは、送信ポートP
1Aを識別すると、PPPフレームをその送信ポートP
1Aから送信する。送信されたPPPフレームは、ルータ4によって受信される。
【0277】
このように、第2無線機5Bは、複数の端末61,62が接続されていても、第1設定情報を参照することで、PPPフレームの送信元の端末61を正しく認識することができる。
また、第1無線機5Aは、ルータ4の複数のポートP
R1〜P
R3と接続されていても、適切な送信ポートP
R1を正しく認識することができる。
【0278】
なお、第1無線機5A及び第2無線機5Bから送信された無線パケットは、第3無線機5Cによっても受信されるが、端末63宛でないPPPフレームを有する無線パケットは、
図35Cに示す第2設定情報に基づく、第3無線機5Cの受信判定処理の結果、破棄される。
【0279】
なお、ケース2においても、ケース1と同様に、識別情報は、送信元ポートIDに代えて、宛先ポートID、宛先ポートID及び送信元ID、又はPPPリンクIDとしてもよい。
【0280】
[3.5.3 ケース3]
図36に示すように、ケース3では、ルータ4と、それぞれがルータ4との間でPPPフレームの送受信を行う4つ(複数)の端末61,62,63,64とが存在する。したがって、ルータ4に接続された第1無線機5Aは、4つの端末61,62,63,64に対応して、4つのポートP
1A,P
2A,P
3A,P
4Aにおいて、ルータ4と接続されている。
端末61は第2無線機5Bに接続され、端末62は第3無線機5Cに接続され、端末63は第4無線機5Dに接続され、端末64は第5無線機5Eに接続されている。
【0281】
ケース3では、ルータと端末61との間で第1PPPリンクL1が形成され、ルータ4と第2端末62との間で第2PPPリンクL2が形成され、ルータ4と第3端末63との間で第3PPPリンクL3が形成され、ルータ4と第4端末64との間で第4PPPリンクL4が形成されものとする。
【0282】
ケース3では、第1無線機5Aと無線通信可能なのは、第2無線機5B及び第3無線機5Cだけであり、第4無線機5D及び第5無線機5Eは第1無線機5Aとは無線通信不能(電波が届かない)ものとする。ただし、第3無線機5Cは第4無線機5Dと、第4無線機5Dは第5無線機5Eと、無線通信可能であるものとする。
このため、第3PPPリンクL3は、第1無線機5A及び第4無線機5D以外に、第3無線機5Cを経由するものとなる。
また、第4PPPリンクL4は、第1無線機5A及び第5無線機5E以外に、第3無線機5C及び第4無線機5Dを経由するものとなる。
【0283】
ケース3では、第1無線機5A,第2無線機5B、第3無線機5C、第4無線機5D、及び第5無線機5Eの各記憶部53には、
図36のネットワーク構成に対応した設定情報として、
図37A〜
図37Eに示す第1設定情報及び第2設定情報が設定されている。
さらに、ケース3では、
図37C及び
図37Dに示すように、第3無線機5Cの記憶部53及び第4無線機5Dの記憶部53には、無線パケットの転送のための第3設定情報が設定されている。
第3設定情報は、転送した無線パケット(PPPフレーム)を、自機5C,5Dが転送する必要があるか否かを判定する転送判定処理に用いられる情報(転送判定情報)を含んでいる。また、第3設定情報は、転送抑制処理に用いられる情報(転送許可情報)を含んでいる。
【0284】
図37C及び
図37Dでは、送信元ポートID及び宛先ポートID(の少なくともいずれか一方)が、転送判定情報となっている。転送判定情報は、転送の必要があるPPPフレーム(無線パケット)を示す情報である。第3無線機5Cは、第3PPPリンクL3及び第4PPPリンクL4のPPPフレームを転送するため、第3無線機5Cの転送判定情報としては、第3PPPリンクL3及び第4PPPリンクL4の送信元ポートID及び宛先ポートIDの組み合わせ(送受信を区別した組み合わせ)が設定されている。
第4無線機5Dは、第4PPPリンクL4のPPPフレームを転送するため、第4無線機5Dの転送判定情報としては、第4PPPリンクL4の送信元ポートID及び宛先ポートIDの組み合わせ(送受信を区別した組み合わせ)が設定されている。
受信したIRCヘッダに含まれる識別情報が、第3設定情報の送信元ポートID又は宛先ポートIDに一致した場合、その識別情報とともに受信されたPPPフレーム(無線パケット)は、転送の候補(対象)となる。
【0285】
また、
図37C及び
図38では、無線パケット送信元が、転送許可情報となっている。転送許可情報は、転送の対象となる無線パケットを制限するためのものである。受信した識別情報と転送判定情報とが一致する場合であっても、受信した無線パケットの送信元が転送許可情報として設定された無線パケット送信元と一致しなければ、転送されない。
【0286】
例えば、
図36の第1無線機5Aが、端末63宛のPPPフレームを含む無線パケット(識別情報=P
R3)を送信したとする。第1無線機5Aから送信された無線パケットは、端末63に接続された第4無線機5Dには届かない。第3無線機5Cは、その無線パケットを受信して、第2設定情報(
図37C)を参照しても、識別情報に一致する送信ポートIDがないため、受信したPPPフレームは、自機5Cに接続された端末62宛ではないと判定する(受信判定処理;
図32のステップS9)。
【0287】
第3無線機5Cでの受信判定処理の結果、受信したPPPフレームが端末62には不要であると判定されると、第3無線機5CのIRC層は、更に転送判定処理(
図32のステップS11)を行う。転送判定処理では、受信した識別情報(P
R3)を検索キーとして、第3無線機5Cの第3設定情報の送信元ポートID又は宛先ポートID(転送判定情報)を検索し、受信した識別情報(P
R3)に一致する送信元ポートID又は宛先ポートIDが設定されているか否かを判定する。
また、転送判定処理では、受信した無線パケットの送信元(ELヘッダの基地局ID情報が示す無線送信元ID)が、転送許可情報として設定されているか否かを判定する転送抑制処理も行われる。
転送判定処理を行うIRC層は、PPP層とは異なるレイヤ(PPP層よりも下位のレイヤ)である。
【0288】
ここで、第3無線機5Cは、受信した識別情報(P
R3)に一致する送信元ポートIDが第3設定情報として設定されており、かつ、その送信元ポート(P
R3)に対応して設定された無線パケット送信元(5A)も、受信した無線パケットの送信元(5A)と一致するため、受信したPPPフレーム(無線パケット)を転送すべきものと判定する。この結果、第3無線機5Cは、無線パケット転送処理(
図32のステップS13)を行い、無線パケットが転送(ブロードキャスト送信)される(
図32のステップS14)。転送された無線パケットは、第4無線機5Dによって受信される。第4無線機5Dは、
図37Dに示す第2設定情報を参照し、受信したPPPフレームが、自機5Dに接続された端末63宛であることを認識することができる。
【0289】
同様に、
図36の第1無線機5Aが、端末64宛のPPPフレームを含む無線パケット(識別情報=P
R4)を送信した場合、第3無線機5Cによる転送処理(
図37C参照)、及び第4無線機5Dによる転送処理(
図37D参照)を経て、第5無線機5Eによって受信される。
【0290】
ここで、第1無線機5Aから送信された端末64宛の無線パケットが、第3無線機5C及び第4無線機5Dの順で転送された場合、第4無線機5Dから転送された無線パケットは、第3無線機5Cによっても受信(跳ね返り受信)される。無線パケットを跳ね返り受信した第3無線機5Cは、跳ね返り受信した無線パケットに含まれる識別情報(P
R4)に一致する送信元ポートIDが第3設定情報として設定されているため、跳ね返り受信した無線パケットを転送候補として判定するが、受信した無線パケットの送信元(5D)は、その送信元ポート(P
R4)に対応して設定された無線パケット送信元(5A)と一致しないため、転送は不要であると判定される。この結果、無線パケットの跳ね返りによって無線パケットの転送が不必要に繰り返されることを防止できる。
【0291】
また、各無線機5A,5B,5C,5Dの第2設定情報には、識別情報に対応づけられた無線パケット送信元の情報が設定されていてもよい。この場合、PPPフレームが同一である複数の無線パケットを複数の無線パケット送信元から送信しても、受信側無線機に接続された端末が、複数の同一内容PPPフレームを受信することを防止できる。例えば、第3無線機5Cから転送された無線パケット(端末64宛のPPPフレームを含む無線パケット)が、第5無線機5Eにも届いた場合、第5無線機5Eでは、無線パケットに含まれる識別情報(P
R4)に一致する送信元ポートID(P
R4)が第2設定情報として設定されているため、受信判定処理の結果、受信したPPPフレームが、第5無線機5Eに接続された端末64に必要であると判定する。つまり、第5無線機5Eは、受信した無線パケットを端末64への送信候補として判定する。しかしながら、受信した無線パケットの送信元(5C)は、その送信元ポート(P
R4)に対応して設定された無線パケット送信元(5D)と一致しないため、端末64への送信は不必要だと判定される。したがって、第5無線機5Eでは、当該パケットを破棄する。一方、第3無線機5Cから転送された無線パケットが、さらに第4無線機5Dに転送されて、第5無線機5Eにて受信された場合、受信した無線パケットの送信元(5D)は、その送信元ポート(P
R4)に対応して設定された無線パケット送信元(5D)と一致する、端末64への送信は必要であると判定される。この結果、第5無線機5が受信する同一の無線パケットが複数個に増えるのを抑制することができる。さらに、端末64が複数の同一内容のPPPフレームを受け取ってしまい、PPPリンクの適切な管理が行えなくなることを防止できる。
【0292】
第3設定情報として設定される転送許可情報としては、
図38C及び
図38Dに示すように、無線送信パケットの転送回数を識別可能な情報(転送回数情報)であってもよい。
例えば、無線パケットを最初に送信する無線機5は、
図29A〜
図29Dに示す転送回数情報172を0に設定して無線パケットを送信し、受信した無線パケットを転送する無線機5は、転送回数情報172をインクリメントして無線パケットを転送するものとする。この場合、転送回数情報172は、これまで転送された回数を示すものとなる。
そして、例えば、第1無線機5Aから端末63宛のPPPフレームを含む無線パケット(識別情報=P
R3,転送回数情報=0)を受信した第3無線機5Cは、受信した識別情報(P
R3)に一致する送信元ポートIDが第3設定情報として設定されており、かつ、その送信元ポート(P
R3)に対応して設定された転送回数情報(0)と一致するため、受信したPPPフレーム(無線パケット)を転送すべきものと判定する。
なお、無線パケットを最初に送信する無線機5が、無線パケットに設定する転送回数情報172は、0に限らず、転送回数の上限を示す転送回数上限値であってもよい。この場合、受信した無線パケットを転送する無線機5は、転送回数情報172の転送回数をデクリメントして無線パケットを送信する。この結果、転送回数情報172は、これから転送可能な回数を示すものとなる。
また、転送回数情報172は、これまで転送された回数又はこれから転送可能な回数そのものを示す値である必要はなく、これまで転送された回数又はこれから転送可能な回数を識別可能な情報であれば足りる。例えば、転送回数情報172は、これまで転送された回数又はこれから転送可能な回数に、所定の値Nを加算又は減算した値であってもよい。
【0293】
なお、ケース3においても、ケース1と同様に、識別情報は、送信元ポートIDに代えて、宛先ポートID、宛先ポートID及び送信元ID、又はPPPリンクIDとしてもよい。
【0294】
また、転送の抑制としては、ICRヘッダなどに、パケット有効期間を設定しておいてもよい。無線パケットを受信した無線機は、有効期間内であれば転送を行い、有効期間を過ぎていれば、転送を行わないものとすることができる。
【0295】
[3.6 無線通信区間におけるプロトコル変換]
図39は、無線通信区間においてはPPPを別プロトコルに変換する変形例を示している。
各無線機5A,5Bの記憶部53には、PPPフレームを別形式(別プロトコル)のデータ(変換データ)に変換(プロトコル変換)するとともに、変換データをPPPフレームに戻すための変換テーブルが設定されている。
例えば、ルータ4からPPPフレームを受信した第1無線機5Aは、変換テーブルを参照して、PPPフレームのプロトコル及びPPP制御パケットの部分を変換データに変換し、当該変換データに、識別情報などを含むIRCヘッダを付加し、さらに無線通信制御情報(ELヘッダからPHYヘッダ)を付加して、無線パケットを生成して無線送信する。なお、PPPプリアンブルの部分は、固定値であるため、変換テーブルを用いなくても、受信側で復元可能である。
【0296】
無線パケットが第2無線機5Bにて受信されると、第2無線機5Bは、変換テーブルを参照して、受信した変換データからプロトコルとPPP制御パケットを復元する。また、第2無線機5Bは、復元したプロトコルの前に、固定値であるプリアンブルを付加して、PPPフレームを復元する。
【0297】
PPPフレームを変換データに変換することで、変換データをPPPフレームに比べて小さくすることができ、無線通信を効率的に行うことができる。
このように、無線パケットは、PPPフレームそのものをカプセル化したものである必要はなく、PPPフレームをデータ変換した変換データをカプセル化したものであってもよい。
【0298】
なお、プロトコル変換によって、第1無線機5Aと第2無線機5Bとの間の無線通信区間は、PPPリンクではなくなり、ルータ5と第1無線機5Aとの間の第1部分PPPリンクL
pa及び第2無線機5Bと端末61との間の第2部分PPPリンクL
pbだけが存在することになる。ただし、
図39のように、無線通信区間にPPPリンクが存在しない場合であっても、ルータ4と端末61からみれば、ルータ4と端末61との間に1本のPPPリンクが存在しているのと同然であるから、第1部分PPPリンクL
pa及び第2部分PPPリンクL
pbを総合して、1本のPPPリンクが存在しているものみなすことができる。
したがって、
図39のように無線通信区間にPPPに関する情報が交換されない場合であっても、PPPフレームを変換データに変換することで、第1部分PPPリンクL
pa及び第2部分PPPリンクL
pbを合わせて、1本のPPPリンクとして管理することができる。
【0299】
[3.7 第1変形例]
図40Aは、中央装置2が第1無線機5A宛に情報(アプリケーションデータ)を送信するための構成を示している。
図40Aでは、ルータ4のポート(S9形ポート)P
R5と第1無線機5Aのポート(S9形ポート)P
5Aとの間が、有線接続されている。ルータ4のポートP
R5と第1無線機5AのポートP
5Aとには、それぞれIPアドレスが付与されており、ルータ4が第1無線機5AのポートP
5Aに付与されたIPアドレス向けの情報(アプリケーションデータ)を受信した場合、ルータ4のポートP
R5と第1無線機5AのポートP
5Aとの間の接続を介して、当該情報が第1無線機5Aへ送信される。当該情報は、例えば、第1無線機5が路車間通信で車載機7に対して無線送信するための車載機向け情報(移動局向け情報)であり、より具体的には、交通情報、道路線形情報、又は信号情報等である。
なお、ルータ4のポートP
R5と第1無線機5AのポートP
5Aに付与されているのは、IPアドレスである必要はなく、それぞれを特定可能な識別子であればよい。
【0300】
図40Bも、中央装置2が無線機5B,5C宛に情報(アプリケーションデータ)を送信するための構成を示している。
図40Bでは、ルータ4のポート(S9形ポート)P
R1,P
R2,P
R3,P
R4それぞれと、第1無線機のポート(S9形ポート)P
1A,P
2A,P
3A,P
4Aそれぞれとの間が、有線接続されている。
図40Bでは、ルータ4からは、第1端末61又は第2端末62宛の情報(アプリケーションデータ)が送信されるだけでなく、第2無線機5B又は第3無線機5C宛の情報(アプリケーションデータ)も送信される。
また、
図40Bの第1端末61又は第2端末62が中央装置2向けの情報をルータ4に送信するだけでなく、第2無線機5B又は第3無線機5Cも、中央装置2向けの情報をルータ4に送信することができる。
【0301】
図40Bの第2無線機5B及び第3無線機5Cが、PPPリンクの宛先装置又は送信元装置になることができるように、第2無線機5B及び第3無線機5Cそれぞれには、端末61,62のポートIDP
T1,P
T2と同様の機能(リンクの宛先ID又は送信元IDとしての機能)を果たすためのIDとして、P
T5B,P
T5Cが設定されている。
図40Bの第1無線機5A、第2無線機5B、及び第3無線機5Cの各記憶部53には、
図40Bのネットワーク構成に対応した設定情報として、
図40C〜
図40Eに示す第1設定情報、第2設定情報、及び第3設定情報が設定されている。
【0302】
例えば、第2無線機5B宛のPPPフレームが、ルータ4のポートP
R2から送信されると、第1無線機5Aは、そのPPPフレームを、ポートP
2Aにて受信する。
すると、第1無線機5Aの処理部52は、送信元認識処理又は宛先認識処理(ステップS2)において、PPPフレームの受信ポートP
2Aを示すポート情報を検索キーとして、第1無線機5Aの第1設定情報(
図40C参照)の受信ポートIDの検索を行う。
第1無線機5Aの処理部52は、送信元認識処理又は宛先認識処理の結果、識別情報となる送信元ポートIDとしてP
R2、又は、識別情報となる宛先IDとしてP
T5Bを得る。
そして、得られた識別情報に基づいて、識別情報付加処理(ステップS3)が行われ、第1無線機5Aから無線パケットが送信される。
【0303】
無線パケットを受信した第2無線機5Bの処理部52(IRC層)は、受信した無線パケットから得たIRCフレームのIRCヘッダに含まれる識別情報を用いて、受信判定処理(ステップS9)を行う。
受信判定処理では、識別情報(例えば、宛先ID=P
T5B)を検索キーとして、第2無線機5Bの記憶部53に設定された第2設定情報(
図40D参照)の宛先IDの検索が行われる。受信判定処理の結果、第2無線機5Bは、PPPフレームの宛先は、自機5Bであることを認識する。この結果、PPPフレームに含まれる情報は、第2無線機5BのPPP層及びPPP層よりも上位のレイヤにて処理される。
同様に、第2無線機5Bを送信元とするPPPフレームも、第1無線機5Aを経由して、ルータ4のポートP
R2へ送信することができる(
図40Cの第2設定情報及び
図40Dの第1設定情報参照)。
【0304】
また、ルータ4が第3無線機5C宛にPPPフレームをルータ4のポートP
R4から送信すると、第1無線機5Aは、そのPPPフレームを、ポートP
4Aにて受信する。
すると、第1無線機5Aの処理部52は、送信元認識処理又は宛先認識処理(ステップS2)において、PPPフレームの受信ポートP
4Aを示すポート情報を検索キーとして、第1無線機5Aの第1設定情報(
図40C参照)の受信ポートIDの検索を行う。
第1無線機5Aの処理部52は、送信元認識処理又は宛先認識処理の結果、識別情報となる送信元ポートIDとしてP
R4、又は、識別情報となる宛先IDとしてP
T5Cを得る。
そして、得られた識別情報に基づいて、識別情報付加処理(ステップS3)が行われ、第1無線機5Aから無線パケットが送信される。
【0305】
無線パケットを受信した第2無線機5Bの処理部52(IRC層)は、受信した無線パケットから得たIRCフレームのIRCヘッダに含まれる識別情報を用いて、受信判定処理(ステップS9)を行う。
受信判定処理では、識別情報(例えば、宛先ID=P
T5C)を検索キーとして、第2無線機5Bの記憶部53に設定された第2設定情報(
図40D参照)の宛先IDの検索が行われるが、検索キーにヒットする宛先IDは存在しない。
そこで、第2無線機5Bの処理部52は、転送判定処理(ステップS11)を行う。転送判定処理では、第2無線機5Bの第3設定情報(
図40D)が参照される。ここでは、転送判定処理の結果、転送すべきものと判定される。したがって、第2無線機5Bは、受信したPPPフレーム(無線パケット)の転送処理(ステップS13)を行う。
そして、第3無線機5Cは、転送された無線パケットに含まれる識別情報を用いて、受信判定処理を行う。第3無線機5Cの受信判定処理では、
図40Eに示す第2設定情報が参照される。受信判定処理の結果、第3無線機5Cは、PPPフレームの宛先は、自機5Cであることを認識する。この結果、PPPフレームに含まれる情報は、第3無線機5CのPPP層及びPPP層よりも上位のレイヤにて処理される。
【0306】
同様に、第3無線機5Cを送信元とするPPPフレームも、第2無線機5B及び第1無線機5Aを経由して、ルータ4のポートP
R4へ送信することができる(
図40Cの第2設定情報、
図40Dの第3設定情報、及び
図40Eの第1設定情報参照)。
【0307】
このように、無線機に接続された端末(第1装置又は第2装置)としては、無線機5B、5Cとは別個に設けられた端末61,62に限られず、無線機5B,5CのPPPレイヤ及びPPP層よりも上位のレイヤであってもよい。この点は、後述の第2変形例についても同様である。第2変形例においては、無線機に接続された端末(第1装置又は第2装置)としては、無線機5B,5CのEthernet層及びEthernet層よりも上位のレイヤであってもよいことになる。
このように、端末(第1装置又は第2装置)に相当する機能は、無線機5B,5Cに内蔵されていてもよい。また、
図40Bにおいて、端末61及び端末62は設けられていなくてもよい。
同様に、ルータ4も、無線機5Aとは別個に設けられている必要はなく、無線機5Aにルータが内蔵されていてもよい。
【0308】
なお、
図40Bにおいても
図40Aと同様に、中央装置2から第1無線機5A宛に情報を送信できるようにしてもよい。
【0309】
[3.8 第2変形例]
図41〜
図45は、通信システムの第2変形例を示している。第2変形例においては、ルータ4と端末6との間の通信を、Ethernet通信で行う。つまり、無線機5は、ルータ4又は端末6によって生成されたEthernetフレームをイーサポートP
M1、P
M2,P
M3,P
M4において受信し、Ethernetフレームに無線通信制御情報などを付加してカプセル化し、無線パケットを生成し、ブロードキャスト送信する。
図41に示すように、イーサネットフレームのイーサネットヘッダには、宛先MACアドレスと送信元MACアドレスを含んでいる。例えば、ルータ4か端末6へデータを送信する場合、宛先MACアドレスは、端末6のMACアドレスとなり、送信元MACアドレスは、ルータ4のMACアドレスとなる。
【0310】
しかし、Ethernet通信を行うルータ4(第1装置)と端末6(第2装置)との間に、無線機5,5による無線通信を介在させる場合、MACアドレスだけでは、ルータ4(第1装置)と端末6(第2装置)との間の通信が適切に行えないことがある。したがって、無線機5,5にIPルーティング機能を具備させて、IPアドレスを用いたルーティングを無線機5,5に行わせる必要がある。この場合、無線機5,5にIPルーティング機能を具備させる必要があるため、無線機5,5がコスト高となる。
【0311】
つまり、一般的には、ある送信元(例えばルータ4)から、ある宛先(例えば、端末6)へデータ送信する場合において、送信元と宛先との間の経路上に他の装置(無線機5)が介在する場合、送信元(ルータ4)が設定する宛先IPアドレスは、データの宛先(端末6)のIPアドレスとなるが、送信元(ルータ4)が設定する宛先MACアドレスは、送信元に接続された他の装置(無線機5)のMACアドレスとなる。
したがって、イーサネットヘッダの宛先MACアドレスを参照しても、最終的な宛先(端末6)はわからないため、データを最終的な宛先(端末6)に届けるには、送信元と宛先との間の経路上に存在する他の装置(無線機5)がIPアドレスを用いたルーティング機能を具備する必要がある。
【0312】
そこで、第2変形例では、無線機5は、取得したEthernetフレームに無線通信制御情報(第1無線通信制御情報)及びIRCヘッダ(第2無線通信制御情報)を付加してカプセル化し、無線パケットを生成し、無線送信する。
図42A〜
図42Dは、第2変形例におけるIRCヘッダの様々な例を示している。
図42A〜
図42Dに示すIRCヘッダは、転送回数情報172を有しているが、省略してもよい。
図42Aに示すIRCヘッダは、識別情報として、送信元MACアドレス(送信元ID)175を有している。送信元MACアドレスは、無線機5が取得したEthernetフレームの送信元MACアドレスである。
図42Bに示すIRCヘッダは、識別情報として、宛先MACアドレス(宛先ID)176を有している。宛先MACアドレスは、無線機5が取得したEthenetフレームの宛先MACアドレスである。
図42Cに示すIRCヘッダは、識別情報として、宛先MACアドレス176及び送信元MACアドレス175を有している。
図42Dに示すIRCヘッダは、識別情報として、Ethernetフレームを含んでいる無線パケットの宛先となる無線機5のID(無線パケット宛先ID)177を有している。
なお、第2変形例においても、識別情報は、リンク(Ethernetのリンク)のIDであってもよい。
【0313】
図43Aは、第2変形例における通信システムの例を示している。
図43Aに示す通信システムに関しては、
図43Aのほか、
図44A〜
図44C及び
図45Aを参照する。
図43Aでは、
図30と同様に、一対の無線機(第1無線機5Aと第2無線機5B)それぞれに一つずつ装置(ルータ(第1装置)4,端末(第2装置)61)が接続されている。装置4,61は、Ethenetフレームの送受信を行う。
第1無線機5Aの近傍には、
図30と同様に、第3無線機5Cも存在し、第1無線機5Aから送信された電波は、第3無線機5Cにおいても受信可能である。第3無線機5Cには、端末62が接続されている。端末62もEthenetフレームの送受信が可能である。
図43Aでは、ルータ4と端末61との間でEthernetのリンクML1が形成され、ルータ4と端末62との間では、Ethernetのリンクは形成されない。
【0314】
図43Aに示す第1無線機5A、第2無線機5B、及び第3無線機5Cの各記憶部53には、
図44A〜
図44Cに示す第1設定情報及び第2設定情報が設定されている。
第1設定情報は、各無線機5A,5B,5Cが、接続された装置4,61、62からEthernetフレームを受信した場合に参照される情報である。第1設定情報は、Ethernetフレームに付加されて無線パケットを構成する識別情報の生成に用いられる。
第1設定情報は、自機5A,5B,5Cの1又は複数のイーサポートのうち、ルータ4又は端末6に接続されたイーサポート(受信ポート)P
M5A,P
M5B,P
M5Cに付与されたMACアドレス示す受信ポートMACアドレスと、識別情報(Ethernetリンク識別情報)と、を対応づけるためのものである。具体的には、第1設定情報は、受信ポートMACアドレスと、送信元MACアドレス(送信元ID)と、宛先MACアドレス(宛先ID)と、無線パケット宛先IDと、が対応付けられて構成されている。第1設定情報における送信元MACアドレス(送信元ID)、宛先MACアドレス(宛先ID)、及び無線パケット宛先IDは、いずれもEthernetリンク識別情報である。識別情報としての送信元MACアドレス(送信元ID)、宛先MACアドレス(宛先ID)、及び無線パケット宛先IDは、いずれもEthernetリンク識別情報であり、いずれか一つの情報が存在すれば足り、他の情報を省略してもよい。情報を省略することで、情報量を抑えることができる。
【0315】
第2設定情報は、各無線機5A,5B,5Cが、他の無線機から無線パケットを受信した場合に参照される情報である。第2設定情報は、受信した無線パケットをどのように扱うかを判定する処理(受信判定処理、転送判定処理)に用いられる。
第2設定情報は、識別情報(Ethernetリンク識別情報)と、自機5A,5B,5Cの1又は複数のイーサポートのうち、ルータ4又は端末6に接続されたポート(送信ポート)を示す送信ポートMACアドレスと、を対応付けるためのものである。具体的には、第2設定情報は、送信元MACアドレス(送信元ID)と、宛先MACアドレス(宛先ID)と、送信ポートMACアドレス(第2ポートID)とが、対応付けられて構成されている。第2設定情報における送信元MACアドレス(送信元ID)及び宛先MACアドレス(宛先ID)は、いずれもEthernetリンク識別情報である。第1設定情報と同様に、識別情報としての送信元MACアドレス(送信元ID)及びMACアドレス(宛先ID)は、いずれもEthernetリンク識別情報であり、いずれか一つの情報が存在すれば足り、他の情報を省略してもよい。
【0316】
図45Aは、ルータ4から端末61へEthernetフレームを送信する場合における、第1無線機5A及び第2無線機5Bの通信処理手順を示している。
まず、ルータ4は、端末61のための情報が含まれたEthernetフレームを、端末61宛情報用のイーサポート(S11ポート)P
MR1から送信する。このEthernetフレームのEthernetヘッダには、送信元MACアドレスとしてルータ4のMACアドレス(M
R1)が設定され、宛先MACアドレスとして端末61のMACアドレス(M
T1)が設定されている。
第1無線機5Aは、ルータ4のイーサポートP
MR1から送信されたEthernetフレームを、イーサポート(S11ポート)P
M5Aにて受信する(ステップS101)。
第1無線機5Aは、受信したEthernetヘッダの宛先MACアドレスが、自機5AのMACアドレス(M
5A)でなくても、受信したEthernetフレームを破棄せずに、Ethernet層よりも下位のレイヤにおいて、無線パケットを送信するための処理(
図45のステップS102以降の処理)を行う。なお、第1無線機5Aは、受信したEthernetヘッダの宛先MACアドレスが、自機5AのMACアドレス(M
5A)である場合には、受信したEthernetフレームは、自機5A宛のフレームであるから、フレーム内のデータをEthernet層よりも上位のレイヤで処理する。
【0317】
第1無線機5Aの処理部52は、受信したEthernetフレームの送信元MACアドレスを認識する送信元認識処理を行う(ステップS102)。送信元認識処理によって認識された送信元MACアドレスを示す情報は、IRCヘッダの識別情報として用いられる。
送信元認識処理では、Ethernetフレームの送信元MACアドレスを得るため、Ethernetフレームを受信したポートP
M5AのMACアドレスM
5Aを検索キーとして、第1設定情報の受信ポートMACの検索が行われる。
図44Aに示す第1無線機5Aの第1設定情報には、検索キーであるMACアドレス(M
5A)に一致する受信ポートMACアドレス(M
5A)が存在する。ここでは、2つの識別情報(送信元MACアドレス、宛先MACアドレス)のうち、送信元MACアドレスを、識別情報として用いる。したがって、送信元認識処理では、検索キーに一致する受信ポートMACアドレス(M
5A)に対応する識別情報である送信元MACアドレス(M
R1)が得られる。
つまり、送信元認識処理によって、受信したEthernetフレームの送信元であるルータ4のMACアドレスを示す情報(識別情報)が得られる。なお、識別情報としてのMACアドレスは、第1無線機5Aが受信したEthernetフレームのEthernetヘッダから読み取ってもよい。この場合、第1設定情報にMACアドレスが設定されている必要がない。したがって、第1設定情報を省略することも可能である。
【0318】
続いて、処理部52(のIRC層としての機能)は、受信したEthernetフレームの送信元であるルータ4のMACアドレスであるM
R1を示す識別情報が送信元MACアドレス175のフィールドに格納されたIRCヘッダ(
図42A参照)を生成し、Ethernetフレームよりもデータの先頭側に付加する(識別情報付加処理;ステップS103)。つまり、受信したEthernetフレームをカプセル化したIRCフレームが生成される。なお、転送回数情報は、例えば、0に設定される。
このように、識別情報の付加は、Ethernet層とは異なるレイヤ(Ethernet層よりも下位のレイヤ)であるIRC層によって行われる。
【0319】
そして、IRC層は、生成したIRCフレームの無線送信要求を、拡張層(EL)(拡張層が存在しない場合にはレイヤ7)に対して行う(ステップS104)。
拡張層(EL)〜PHY層までの各レイヤは、
図41に示す無線通信制御情報(ELヘッダからPHYヘッダまで)を、IRCフレームに対して付加して、無線パケットを生成する(無線パケット生成処理;ステップS105)。つまり、無線パケットの生成は、Ethernet層及びIRC層とは異なるレイヤ(拡張層〜PHY層)によって行われる。
なお、無線パケット生成処理において、第1無線機5Aの拡張層は、ELヘッダの基地局ID情報のフィールドに第1無線機5AのIDをセットする。また、無線パケット生成処理において、第1無線機5Aのレイヤ7は、通信分類のフィールドに、「6.基地局から基地局への通信(路路間通信)」であることを示す情報をセットする。
生成された無線パケットは、第1無線機5Aからブロードキャスト送信される(ステップS106)。
なお、セキュリティ管理によって、セキュリティ処理を実施する場合は、IRCデータ(IRCヘッダからPHYヘッダまでを除いたデータ)に対してでもよいし、IRCフレーム(ELヘッダからPHYヘッダまでを除いたデータ)に対してでもよい。
【0320】
ブロードキャスト送信された無線パケットは、第2無線機5Bによって受信される。無線パケットを受信した第2無線機5Bの処理部52(PHY層〜拡張層(EL)までの各レイヤ;無線処理機能部)は、無線パケットの受信処理を行う(ステップS107)。
無線パケットの受信処理のうち、レイヤ7での処理においては、L7ヘッダに含まれる通信分類に基づく判定が行われる。通信分類フィールドが示す通信分類が基地局宛の分類でない場合、基地局である第2無線機5Bは、受信した無線パケットを破棄する。ただし、ここでは、基地局宛の分類の一つである「6.基地局から基地局への通信(路路間通信)」が通信分類フィールドに設定されているため、受信した無線パケットは破棄されない。
これに対し、第1無線機5Aから送信された無線パケットを受信した車載機(移動局)7は、通信分類フィールドが示す分類が、基地局宛の分類でないため、受信した無線パケットを破棄する。
【0321】
第2無線機5Bの処理部52は、受信した無線パケットから、無線通信制御情報(PHYヘッダからELヘッダまで)を取り除いたIRCフレーム(IRCヘッダ及びEthernetフレーム)を、拡張層からIRC層に与える処理を行う(ステップS108)。また、第2無線機5Bの拡張層は、受信した無線パケットのELヘッダの基地局ID情報のフィールドに格納されていた第1無線機5AのIDを、IRC層に与える。受信した無線パケットからIRCフレームを得る処理は、Ethernet層及びIRC層とは異なるレイヤによって行われる。
【0322】
第2無線機5BのIRC層は、IRCヘッダに含まれる識別情報を用いて、受信判定処理を行う(ステップS109)。受信判定処理を行うIRC層は、Ethernet層とは異なるレイヤ(Ethernet層よりも下位のレイヤ)である。
受信判定処理は、得られたEthernetフレームの取り扱いを決定するための処理である。具体的には、受信判定処理において、IRC層は、Ethernetフレームが、自機5Bに接続された端末61向けのものであるか否かを判定する。
【0323】
受信判定処理のため、第2無線機5BのIRC層は、受信したIRCヘッダに含まれる識別情報(送信元MACアドレス=M
R1)を検索キーとして、第2無線機5Bの記憶部53に設定された第2設定情報(受信判定情報)の送信元MACアドレスの検索を行う。
図44Bに示す第2無線機5Bの第2設定情報には、検索キーである送信元MACアドレス=M
R1に一致する送信元MACアドレス(M
R1)が存在する。したがって、受信判定処理(ステップS109)では、検索キーに一致する送信元MACアドレス(M
R1)に対応する送信ポートMACアドレス(M
5B)が得られる。
つまり、第2無線機5Bは、受信判定処理によって、受信したEthernetフレームの宛先である装置61に接続されたイーサポート(送信ポート;第2ポート)P
M5Bを識別することができる。
なお、受信判定処理は、Ethernet層において、Ethernetヘッダに格納された宛先MACアドレスを用いておこなってもよい(L2スイッチ的な処理)。この場合、無線パケットにおいてIRCヘッダを省略することが可能となり、送信側の無線機において識別情報付加処理(ステップS103)を省略することができる。
【0324】
第2無線機5BのIRC層は、送信ポートの識別情報が得られると、得られたEthernetフレームが自機5Bに接続された端末61宛であると認識する。第2無線機5BのEthernet層は、得られたEthernetフレームを、識別された送信ポートP
M5Bから送信する(ステップS110)。
第2無線機5Bから送信されたEthernetフレームは、端末61によって受信される。
【0325】
なお、受信した識別情報を検索キーとして、第2設定情報(受信判定情報)を検索しても、ヒットする識別情報が無い場合、受信したEthernetフレームの宛先は、自機5Bに接続された端末61でないと判定する。この場合、転送判定(ステップS111)を行い、転送の必要もなければ、Ethernetフレームを破棄する(ステップS112)。
【0326】
第1無線機5Aからブロードキャスト送信された無線パケットは、第2無線機5B以外に第3無線機5Cによっても受信される。無線パケットを受信した第3無線機5Cの処理部52(PHY層〜拡張層(EL)までの各レイヤ;無線処理機能部)は、第2無線機5Bと同様に、無線パケットの受信処理を行って、IRCフレーム(IRCヘッダ及びEthernetフレーム)を得る。
第3無線機5CのIRC層は、IRCヘッダに含まれる識別情報(送信元MACアドレス=M
R1)を用いて、受信判定処理を行う。
しかし、
図44Cに示す第3無線機5Cの第2設定情報には、受信した送信元MACアドレス=M
R1に一致する送信元MACアドレスが存在しない。したがって、第3無線機5Cは、受信したEthernetフレームの宛先は、自機5Cに接続された端末62ではないと判定する。この場合、第3無線機5Cは、後述の転送判定を行い、転送の必要もなければ、Ethernetフレームを破棄する。
【0327】
このように、ルータ4から送信されたEthernetフレームは、第1無線機5Aによってブロードキャストされて複数の無線機5B,5Cによって受信されることがある。しかし、受信側の無線機5B,5Cによって、IRCヘッダに含まれる識別情報を用いた受信判定を行うため、IPアドレスを参照しなくても、確実に、本来の宛先である第2無線機5Bのみが受信することができる。
しかも、本来の宛先とは関係ない第3無線機5Cは、第3無線機5Cに接続された端末62にEthernetフレームを与えることなく、第3無線機5CにてEthernetフレームを破棄する。
【0328】
端末61からルータ4へEthernetフレームを送信する場合も、上記と同様の手順で処理が行われる。
つまり、端末61は、ルータ4に送信すべき情報が含まれたEthernetフレームを、イーサポート(S11ポート)P
MT1から送信する。第2無線機5Bは、端末61のポートP
MT1から送信されたEthernetフレームを、ポートP
M5Bにて受信する。
第2無線機5Bは、受信したEthernetヘッダの宛先MACアドレスが、自機5BのMACアドレス(M
5B)でなくても、受信したEthernetフレームを破棄せずに、Ethernet層よりも下位のレイヤにおいて、無線パケットを送信するための処理(
図45のステップS102以降の処理)を行う。
第2無線機5Bの処理部52は、
図44Bに示す第1設定情報を参照して、送信元認識処理(ステップS102)を行い、識別情報として、送信元である端末61の送信元MACアドレス(M
T1)を得る。
第2無線機5Bは、識別情報を含むIRCヘッダによってEthernetフレームをカプセル化してIRCフレームを生成する。さらに、第2無線機5Bは、無線通信制御情報(ELヘッダからPHYヘッダまで)を、IRCフレームに付加して、無線パケットを生成する。生成された無線パケットは、第2無線機5Bからブロードキャスト送信される。なお、セキュリティ管理によって、セキュリティ処理を実施する場合は、IRCデータ(IRCヘッダからPHYヘッダまでを除いたデータ)に対してでもよいし、IRCフレーム(ELヘッダからPHYヘッダまでを除いたデータ)に対してでもよい。
【0329】
無線パケットを受信した第1無線機5Aは、受信した無線パケットのIRCヘッダに含まれる識別情報(送信元MACアドレス=M
T1)に基づいて、
図44Aに示す第2設定情報を参照する受信判定処理(ステップS109)を行う。第1無線機5Aは、受信判定処理によって、受信したEthernetフレームが、自機5Aに接続された装置(ルータ4)宛であることを認識することができる。また、第1無線機5Aは、受信判定処理によって、受信したEthernetフレームの宛先であるルータ4に接続されたポート(送信ポート;第2ポート)P
M5Aを識別することができる。
第1無線機5Aは、送信ポートM
5Aを識別すると、Ethernetフレームをその送信ポートP
M5Aから送信する。送信されたEthernetフレームは、ルータ4によって受信される。
【0330】
第2無線機5Bから送信された無線パケットは、第3無線機5Cによっても受信されるが、第3無線機5Cの受信判定処理の結果、破棄される。したがって、端末61から送信されたEthernetフレームが、端末62によって受信されることも防止される。
【0331】
以上の説明では、識別情報は、送信元MACアドレスとしたが、宛先MACアドレスであってもよい。識別情報が宛先MACアドレスである場合、IRCヘッダのヘッダ構造は、
図42Bに示すものとなる。識別情報が宛先MACアドレスである場合、
図45Aに関する既述の説明における「送信元」を「宛先」と読み替えればよい。
【0332】
また、識別情報は、無線パケットの宛先となる無線機のID(無線パケット宛先ID)であってもよい。識別情報が無線パケット宛先IDである場合、IRCヘッダのヘッダ構造は、
図42Dに示すものとなる。
識別情報が無線パケット宛先IDである場合、第1無線機5Aは、ルータ4のポートP
MR1から送信されたEthernetフレームを、イーサポート(S11ポート)P
M5Aにて受信する(ステップS101)。
【0333】
第1無線機5Aの処理部52は、受信したEthernetフレームをカプセル化した無線パケットの宛先となる無線機5Bを認識する宛先認識処理を行う(ステップS102)。宛先認識処理によって認識された無線パケット宛先IDを示す情報は、IRCヘッダの識別情報として用いられる。
宛先認識処理では、無線パケットの宛先を得るため、Ethernetフレームを受信したポートP
M5AのMACアドレス(M
5A)を検索キーとして、第1設定情報の受信ポートMACアドレスの検索が行われる。
図44Aに示す第1無線機5Aの第1設定情報には、検索キーであるMACアドレス(M
5A)に一致する受信ポートMACアドレス(M
5A)が存在する。したがって、宛先認識処理では、検索キーに一致する受信ポートMACアドレス(M
5A)に対応する識別情報である無線パケット宛先ID(5B)が得られる。
つまり、宛先認識処理によって、送信される無線パケットの宛先となる第2無線機5Bを示す情報(識別情報)が得られる。
【0334】
続いて、処理部52(のIRC層としての機能)は、識別情報である無線パケット宛先ID(5B)が無線パケット宛先ID177のフィールドに格納されたIRCヘッダ(
図42D参照)を生成し、Ethernetフレームの先頭に付加する(識別情報付加処理;ステップS103)。つまり、受信したEthernetフレームをカプセル化したIRCフレームが生成される。なお、転送回数情報は、例えば、0に設定される。
【0335】
そして、IRC層は、生成したIRCフレームの無線送信要求を、拡張層(EL)(拡張層が存在しない場合にはレイヤ7)に対して行う(ステップS104)。
拡張層(EL)〜PHY層までの各レイヤは、
図41に示す無線通信制御情報(ELヘッダからPHYヘッダまで)を、IRCフレームに対して付加して、無線パケットを生成する(無線パケット生成処理;ステップS105)。
生成された無線パケットは、第1無線機5Aからブロードキャスト送信される(ステップS106)。
【0336】
ブロードキャスト送信された無線パケットは、第2無線機5Bによって受信される。無線パケットを受信した第2無線機5Bの処理部52(PHY層〜拡張層(EL)までの各レイヤ;無線処理機能部)は、無線パケットの受信処理を行う(ステップS107)。
【0337】
第2無線機5Bの処理部52は、受信した無線パケットから、無線通信制御情報(PHYヘッダからELヘッダまで)を取り除いたIRCフレーム(IRCヘッダ及びEthernetフレーム)を、拡張層からIRC層に与える処理を行う(ステップS108)。また、第2無線機5Bの拡張層は、受信した無線パケットのELヘッダの基地局ID情報のフィールドに格納されていた第1無線機5AのIDを、IRC層に与える。
【0338】
第2無線機5BのIRC層は、IRCヘッダに含まれる識別情報を用いて、受信判定処理を行う(ステップS109)。
【0339】
受信判定処理のため、第2無線機5BのIRC層は、受信したIRCヘッダに含まれる識別情報(無線パケット宛先ID=5B)が自機5BのIDと一致するか否かを判定する。第2無線機5Bにとっては、受信したIRCヘッダに含まれる識別情報(無線パケット宛先ID=5B)が自機5BのIDと一致する。そこで、第2無線機5BのEthernet層は、Ethernetヘッダに含まれる送信元MACアドレス(M
R1)又は宛先MACアドレス(M
T1)を検索キーとして、第2無線機5Bの記憶部53に設定された第2設定情報(受信判定情報)の送信元MACアドレス又は宛先MACアドレスの検索を行う。
図44Bに示す第2無線機5Bの第2設定情報には、検索キーである送信元MACアドレス(M
R1)又は宛先MACアドレス(M
T1)に一致する送信元MACアドレス(M
R1)又は宛先MACアドレス(M
T1)が存在する。したがって、受信判定処理(ステップS9)では、検索キーに一致する送信元MACアドレス(M
R1)又は宛先MACアドレス(M
T1)に対応する送信ポートMACアドレス(M
5B)が得られる。
つまり、第2無線機5Bは、受信判定処理によって、受信したEthernetフレームの宛先である装置61に接続されたポート(送信ポート;第2ポート)P
M5Bを識別することができる。
【0340】
第2無線機5BのEthernet層が、送信ポートの識別情報を得ると、識別された送信ポートP
M5Bから送信する(ステップS110)。
第2無線機5Bから送信されたEthernetフレームは、端末61によって受信される。
なお、
図42Dに示すIRCヘッダに、無線パケット宛先ID177だけでなく、宛先MACアドレス176又は送信元MACアドレス175が含まれている場合には、受信判定処理は、第2無線機5BのIRC層で行うことができる。
【0341】
第1無線機5Aからブロードキャスト送信された無線パケットは、第2無線機5B以外に第3無線機5Cによっても受信される。無線パケットを受信した第3無線機5Cの処理部52(PHY層〜拡張層(EL)までの各レイヤ;無線処理機能部)は、第2無線機5Bと同様に、無線パケットの受信処理を行って、IRCフレーム(IRCヘッダ及びEthernetフレーム)を得る。
第3無線機5CのIRC層は、IRCヘッダに含まれる識別情報(無線パケット宛先ID=5B)を用いて、受信判定処理を行う。第3無線機5Cにとっては、受信したIRCヘッダに含まれる識別情報(無線パケット宛先ID=5B)が自機5CのIDと一致しないため、受信したEthernetフレームの宛先は、自機5Cに接続された端末62ではないと判定する。この場合、第3無線機5Cは、転送判定(ステップS111)を行い、転送の必要もなければ、Ethernetフレームを破棄する。
【0342】
端末61からルータ4へEthernetフレームを送信する場合も、上記と同様の手順で処理が行われる。
【0343】
なお、第2変形例の無線機5A,5Bが転送判定を行う場合、無線機5A,5Bの記憶部には、転送を必要とする無線パケットを識別するための第3設定情報が設定されていればよい。つまり、第2変形例において、第3設定情報は、
図37C,
図37D、14C,14Dに示す送信元ポートID及び宛先ポートIDに代えて、転送の必要のある無線パケットに含まれるEthernetフレームの送信元MACアドレス及び宛先MACアドレスが設定されていればよい。また、第3設定情報には、送信元MACアドレス及び宛先MACアドレスに加えて、又は、代えて、転送の必要のある無線パケットの宛先となる無線機のID(無線パケット宛先ID)が設定されていてもよい。
【0344】
図43Bは、
図43Aに示す第2変形例において、ルータ4から複数の端末61,62,63,64にEthernetフレームを送信するようにしたネットワーク構成を示している。
図43Bに示す通信システムに関しては、
図43Bのほか、
図44D〜
図44Fを参照する。
図43Bのルータ4が有する複数のイーサポートP
MR1,P
MR2,P
MR3,P
MR4それぞれは、第1無線機5Aの対応するイーサポートP
M1A,P
M2A,P
M3A,P
M4Aに接続されている。
また、第1端末61のイーサポートP
MT1及び第2端末62のイーサポートP
MT2は、第2無線機5Bの対応するイーサポートP
M1B,P
M2Bに接続されている。
さらに、第3端末63のイーサポートP
MT3及び第4端末64のイーサポートP
MT4は、第3無線機5Cの対応するイーサポートP
M1C,P
M2Cに接続されている。
【0345】
ルータ4の複数のイーサポートP
MR1,P
MR2,P
MR3,P
MR4それぞれには、
図43B中にも示すように、MAC−R1,MAC−R2,MAC−R3,MAC−R4のMACアドレスが割り当てられている。
第1無線機5Aの複数のイーサポートP
M1A,P
M2A,P
M3A,P
M4Aそれぞれには、
図43B中にも示すように、MAC−1A,MAC−2A,MAC−3A,MAC−4AのMACアドレスが割り当てられている。
第2無線機5Bの複数のイーサポートP
M1B,P
M2Bそれぞれには、MAC−1B,MAC−2BのMACアドレスが割り当てられている。
第3無線機5Cの複数のイーサポートP
M1C,P
M2Cそれぞれには、MAC−1C,MAC−2CのMACアドレスが割り当てられている。
第1端末61(のイーサポートP
MT1)、第2端末62(のイーサポートP
MT2)、第3端末63(のイーサポートP
MT3)、第4端末64(のイーサポートP
MT4)それぞれには、
図43B中にも示すように、MAC−T1,MAC−T2,MAC−T3,MAC−T4のMACアドレスが割り当てられている。
ルータ4、第1無線機5A、第2無線機5B、第3無線機5C,第1端末61、第2端末62、第3端末63、及び第4端末64それぞれには、
図43B中にも示すように、IP−R1,IP−5A,IP−5B,IP−5C,IP−T1,IP−T2,IP−T3,IP−T4のIPアドレスが割り当てられている。
【0346】
図43Bに示す第1無線機5A、第2無線機5B、及び第3無線機5Cの各記憶部53には、
図44D〜
図44Fに示す第1設定情報及び第2設定情報が設定されている。
図43Aに示すものと同様に、
図43Bに示す第1無線機5A、第2無線機5B、及び第3無線機5Cは、ルータ4又は端末61,62,63,64からEthernetフレームを受信した場合には、
図44D〜
図44Fに示す第1設定情報を参照して、識別情報を生成する。
また、
図43Bに示す第1無線機5A、第2無線機5B、及び第3無線機5Cは、他の無線機から無線パケットを受信した場合には、
図44D〜
図44Fに示す第2設定情報を参照して、受信判定処理や転送判定処理を行う。
【0347】
図43Cは、
図43Bに示す通信システムにおけるルータ4と第1無線機5Aとの間の接続を簡素化したものを示している。
図43Cに示す通信システムに関しては、
図43Cのほか、
図44G〜
図44I及び
図45Bを参照する。
図43Cに示すルータ4と第1無線機5Aとは、それぞれ、単一のイーサポートP
MR1,P
M1A同士で接続されている。
また、
図43Cでは、第3無線機5Cは、第1無線機5Aと直接通信できず、第2無線機5Bによる無線パケット転送を介して、第1無線機5Aと通信する。
【0348】
ルータ4のイーサポートP
MR1には、
図43B中にも示すように、MAC−R1のMACアドレスが割り当てられている。
第1無線機5AのイーサポートP
M1Aには、MAC−1AのMACアドレスが割り当てられている。
第2無線機5Bの複数のイーサポートP
M1B,P
M2Bそれぞれには、MAC−1B,MAC−2BのMACアドレスが割り当てられている。
第3無線機5Cの複数のイーサポートP
M1C,P
M2Cそれぞれには、MAC−1C,MAC−2CのMACアドレスが割り当てられている。
第1端末61(のイーサポートP
MT1)、第2端末62(のイーサポートP
MT2)、第3端末63(のイーサポートP
MT3)、第4端末64(のイーサポートP
MT4)それぞれには、MAC−T1,MAC−T2,MAC−T3,MAC−T4のMACアドレスが割り当てられている。
ルータ4、第1無線機5A、第2無線機5B、第3無線機5C,第1端末61、第2端末62、第3端末63、及び第4端末64それぞれには、IP−R1,IP−5A,IP−5B,IP−5C,IP−T1,IP−T2,IP−T3,IP−T4のIPアドレスが割り当てられている。
【0349】
図43Cに示す第1無線機5A,第2無線機5B、及び第3無線機5Cの各記憶部53には、
図44G〜
図44Iに示す第2設定情報、及び第3設定情報が設定されている。
図43Cに示す無線機5A,5B、5Cは、受信ポートによって、Ethernetフレームの送信元MACアドレス又は宛先MACアドレスを認識するのではなく、受信したEthernetヘッダに含まれる宛先MACアドレス(及び送信元MACアドレス)を読み取って、読み取った宛先MACアドレス(及び送信元MACアドレス)を識別情報として、IRCヘッダに格納する。
このため、識別情報を生成するための第1設定情報が不要であるため、
図44G〜
図44Iに示す接続設定情報では、第1設定情報が設けられていない。
【0350】
また、
図43Cに示す通信システムの場合、無線機5A,5B,5Cは、識別情報の生成のために、Ethernetフレームを受信したポートを区別する必要がないため、
図43Cに示すルータ4及び第1無線機5Aのように、単一のポートP
MR1,P
M1Aで両者を接続することができる。
図43Cのシステム構成は、ルータ4から情報を送信すべき端末61,62,63,64の数が多くなる場合において、特に有利である。つまり、
図43Bのシステム構成の場合、ルータ4と第1無線機5との間の接続回線数が、ルータ4から情報を送信すべき端末61,62,63,64の数以上必要になる。この結果、端末の数が多いと、ルータ4及び第1無線機5Aのポート数が足らなくなるおそれがある。これに対し、
図43Cのシステム構成では、端末の数が増えても、ルータ4と第1無線機5Aとの間の接続回線数が増加するのを抑えることができる。つまり、ルータ4や無線機5Aに設けられるイーサポートの数の増加を抑えることができる。
【0351】
図45Bに示すように、第1無線機5A(Ethernet層)は、ルータ4からEthernetフレームを受信すると(ステップS101)、Ethernetヘッダの宛先MACアドレスを読み取る(MACアドレス読取処理;ステップS102)。
第1無線機5Aの(IRC層)は、読み取った宛先MACアドレスを識別情報として、IRCヘッダに格納する(ステップS103)。
このように、第1無線機5Aは、無線パケット生成の際に第1設定情報を参照する必要がない。
その後の第1無線機5Aの処理及び無線パケットを受信する第2無線機5B,第3無線機5Cの処理は、
図45Aに示す手順と同様である。
【0352】
具体的には、第2無線機5Bは、IRCヘッダに含まれる識別情報としての宛先MACアドレスがMAC−T1(第1端末61のMACアドレス)である場合、受信判定処理(ステップS107)のため、MAC−T1を検索キーとして、第2無線機5Bの第2設定情報(
図44H参照)を検索する。その結果、送信ポートMACアドレスとしてMAC−1B(第2無線機5BのイーサポートP
M1BのMACアドレス)を得る。
したがって、第2無線機5Bは、受信した無線パケットから得られたEthernetフレームを、イーサポートP
M1Bから、第1端末61へ出力することができる。
【0353】
また、第2無線機5Bは、IRCヘッダに含まれる識別情報としての宛先MACアドレスがMAC−T3(第3端末63のMACアドレス)である場合、受信判定処理(ステップS107)のため、MAC−T3を検索キーとして、第2無線機5Bの第2設定情報(
図44H参照)を検索する。しかし、第2設定情報に対する検索ではヒットしないため、転送判定処理(ステップS111)を行う。
第2無線機5Bは、転送判定処理のため、識別情報としての宛先MACアドレスがMAC−T3及び無線パケット送信元(第1無線機5A)を検索キーとして、第3設定情報(
図44H参照)を検索した結果、ヒットするため、受信した無線パケットを転送すべきと判定する。
第2無線機5Bによって転送された無線パケットは第3無線機5Cによって受信される。第3無線機5Cによる受信判定処理(ステップS107)の結果、第3無線機5Cは、送信ポートMACアドレスとして、MAC−1Cを得る。
したがって、第3無線機5Cは、受信した無線パケットから得られたEthernetフレームを、イーサポートP
M1Cから、第3端末63へ出力することができる。
【0354】
さて、
図45Cは、
図43A〜
図43Cに示す第2変形例において伝送されるEthernetフレームに設定される宛先MACアドレス、送信元MACアドレス、宛先IPアドレス、送信元IPアドレスを示している。
図45Cに示すように、ルータ4は、第1端末61に送信されるべきEthernetフレームのEthernetヘッダの宛先MACアドレスを、例えば、第1端末61のMACアドレス(MAC−T1)に設定して、第1無線機5Aへ送信する。
一般的には、ルータ4は、Ethernetフレームが第1無線機5Aにて受信されることを期待して送信するのであるから、EthernetフレームのEthernetヘッダの宛先MACアドレスを、第1無線機5AのMACアドレス(MAC−5A)に設定して送信すべきである。
しかし、ここでは、ルータ4は、宛先MACアドレスが第1端末61のMACアドレス(MAC−T1)に設定されたEthernetフレームを第1無線機5Aへ送信する。
第1無線機5Aは、受信したEthenetフレームの宛先MACアドレスが自機5AのMACアドレス(MAC−5A)と一致しなくても、受信したEthernetフレームを破棄することなく、識別情報の生成を行って、Ethernetフレームをカプセル化した無線パケットを生成する。この際、受信したEthernetフレームのEthernetヘッダは書き換えられない。つまり、宛先MACアドレスはMAC−T1のままであり、送信元MACアドレスもルータ4のMACアドレスであるMAC−R1のままである。
したがって、第1無線機5Aから送信された無線パケットを受信した第2無線機5Bは、ルータ4が送信したEthernetフレームと同じもの(Ethernetヘッダの内容が同じもの)を、第1端末61に送信することができる。
このように、ルータ4は、無線機5A,5Bの存在を意識しなくても、端末61へ情報を適切に送信することができる。
【0355】
同様に、第1端末61が、ルータ4側へEthernetフレームを送信する場合には、ルータ4に送信されるべきEthernetフレームのEthernetヘッダの宛先MACアドレスを、ルータ4のMACアドレス(MAC−R1)に設定して、第2無線機5Bへ送信する。
この場合も、第2無線機5Bは、受信したEthenetフレームの宛先MACアドレスが自機5BのMACアドレス(MAC−5B)と一致しなくても、受信したEthernetフレームを破棄することなく、識別情報の生成を行って、Ethernetフレームをカプセル化した無線パケットを生成する。この際、受信したEthernetフレームのEthernetヘッダは書き換えられない。つまり、宛先MACアドレスはMAC−R1のままであり、送信元MACアドレスも第1端末61のMACアドレスであるMAC−T1のままである。
したがって、第2無線機5Bから送信された無線パケットを受信した第1無線機5Aは、第1端末61が送信したEthernetフレームと同じもの(Ethernetヘッダの内容が同じもの)を、ルータ4に送信することができる。
このように、第1端末61も、無線機5A,5Bの存在を意識しなくても、ルータ4へ情報を適切に送信することができる。
【0356】
図45Dは、ルータ4が送信するARP(Address Resolution Protocol)要求及びルータ4が受信するARP応答を示している。ARPは、ネットワーク上の端末のMACアドレスを得るためのプロトコルである。
ルータ4が、端末61,62,63,64のMACアドレスを把握していない場合(ルータ4のARPテーブルに端末61,62,63,64のMACアドレスが登録されていない場合)には、ARP要求によって、端末61,62,63,64のMACアドレスを取得することができる。
ARP要求及びARP応答の各メッセージは、既述のEthernetフレームに対応する。
【0357】
ルータ4が第2端末62(IPアドレス:IP−T2)のMACアドレス(MAC−T2)を把握していない場合、ルータ4は、宛先IPアドレスを第2端末62のIPアドレスであるIP−T2に設定したARP要求をブロードキャスト送信する。つまり、ARP要求の宛先MACアドレスとしては、ブロードキャストアドレスが設定される。なお、ARP要求において、送信元MACアドレス及び送信元IPアドレスとしては、ルータ4のMACアドレス(MAC−R1)及びIPアドレス(IP−R1)が設定される。
ARP要求に含まれる宛先MACアドレス及び送信元MACアドレスは、既述のEthernetヘッダに含まれる宛先MACアドレス及び送信元MACアドレスに対応する。
ルータ4がブロードキャスト送信したARP要求のEthernetフレームは、第1無線機5Aによって受信される。第1無線機5Aは、ARP要求の宛先MACアドレスにかかわらず、ARP要求を破棄することなく、ARP要求(Ethernetフレーム)をカプセル化し、無線パケットを生成する。
なお、第1無線機5Aは、Ethernetフレームを受信した場合、そのEthernetフレームの宛先(宛先MACアドレス)が自機5Aのみである場合を除き、Ethernetフレームをカプセル化した無線パケットを生成・送信する。
【0358】
なお、
図43Bのように、ルータ4と第1無線機5Aとが複数の回線で接続されている場合、ブロードキャスト送信されたARP要求は、複数の回線それぞれから第1無線機5Aに到達することになり、第1無線機5Aは、同一内容の複数のARP要求を受信することになる。この場合、第1無線機5Aは、複数の無線パケットを生成・送信することになり、不必要に通信トラフィックが増大する。
一方、
図43Cのように、ルータ4と第1無線機5Aとが単一の回線で接続されている場合、通信トラフィックが不必要に増大することを防止できる。
【0359】
図43Cの通信システムにおいては、ARP要求(宛先MACアドレスがブロードキャストアドレスであるEthernetフレーム)に基づいて生成された無線パケットに含まれる識別情報は、ブロードキャストアドレスとなる。
識別情報がブロードキャストアドレスである場合、無線パケットを受信した無線機は、常に、無線パケットに基づいて得られたEthernetフレーム(ARP要求)を、無線機に接続された端末へ送信する。
したがって、ARP要求に基づいて生成された無線パケットは、第2無線機5B及び第3無線機5Cの双方にて受信され、その無線パケットに基づいて得られたARP要求は、各無線機5B,5Cから各端末61,62,63,64へ送信される。
【0360】
ARP要求を受信した端末61,62,63,64のうち、ARP要求の宛先IPアドレス(IP−T2;
図45D参照)に一致する第2端末(IPアドレス=IP−T2)は、
図45Dに示すARP応答を、送信する。
ARP応答は、宛先MACアドレスとして、ARP要求を送信したルータ4のMACアドレス(MAC−R1)が設定され、送信元MACアドレスとして第2端末62のMACアドレス(MAC−T2)が設定される。
第2端末62が送信したARP応答は、第2無線機5Bによってカプセル化され、無線パケットとなり無線送信される。無線パケットを受信した第2無線機5Bは、受信した無線パケットからARP応答を得て、ルータ4へ送信する。
ルータ4は、ARP応答に含まれる送信元MACアドレス(MAC−T2)を、ルータ4のARPテーブルに格納する。以上の処理により、ルータ4は、第2端末62のMACアドレスを把握することができる。
【0361】
[4.付記1(特に「実施形態の詳細(その2)について」]
前述の実施形態では、IRCヘッダを、PPPヘッダ又はEthernetヘッダと無線通信制御情報との間に設けたが、IRCヘッダに格納されるべき情報を無線通信制御情報(例えば、ELヘッダ又はL7ヘッダの予約領域)に設けてもよい。つまり、識別情報等は、PPPヘッダ又はEthernetヘッダよりも手前(無線パケットの先頭側;時間的に先)に設けられていればよい。
IRCヘッダに格納されるべき情報を無線通信制御情報に含める場合、識別情報付加処理、受信判定処理、及び転送判定処理は、無線送信のためのプロトコルのレイヤ(拡張層又はレイヤ7など)で行われる。つまり、識別情報付加処理、受信判定処理、及び転送判定処理は、PPP層又はEthernet層とは異なるレイヤ(PPP層又はEthernet層よりも下位のレイヤ)で行われればよい。
また、IRCヘッダがセキュアなデータになっている場合、IRCヘッダに格納された情報を用いた処理を行うには、受信したIRCヘッダをセキュリティ管理にてアンセキュアにする処理(復号処理など)が必要となる。しかし、IRCヘッダに格納されるべき情報を無線通信制御情報に含める場合、無線通信制御情報は、セキュリティ処理の対象にしないようにできるため、IRCヘッダをアンセキュアにする処理を行う必要がない。
【0362】
また、無線パケット(無線送信データ)に含めて送信される識別情報は、送信元ポートID(送信元ID;送信元MACアドレス)、宛先ポートID(宛先ID;宛先MACアドレス)、及びPPPリンクID(リンクID)等に限られるものではない。例えば、送信される識別情報は、例えば、受信側の無線機5がPPPフレームを出力する送信ポートIDを含んでいてもよい。この場合、無線パケットを送信する無線機5が参照する第1設定情報には、受信ポートIDに対応づけられた送信ポートIDが設けられていればよい。無線パケットに送信ポートIDが含まれている場合、無線パケットを受信した無線機5は、第2設定情報を参照しなくても、受信した無線パケットに含まれる送信ポートIDを参照することで、PPPフレームを出力すべき送信ポートを把握することができる。
【0363】
なお、送信ポートIDは、識別情報である他の情報(送信元ポートID(送信元ID)、宛先ポートID(宛先ID)、及びPPPリンクIDなど)の少なくともいずれか一つと共に送信されてよいし、識別情報としては送信ポートIDだけが存在していてもよい。
送信される識別情報として送信ポートIDが存在する場合において、受信側の無線機が、受信した送信ポートIDに基づいて、送信元ポートID又は宛先ポートIDを認識したい場合には、受信側の無線機の第2設定情報には、送信ポートIDに対応づけられた送信元ポートID又は宛先ポートIDが設けられていればよい。
さらに、識別情報としては、識別情報を送信する無線機がルータまたは端末等からPPPフレームを受信した受信ポートIDであってもよい。この場合、受信側の無線機には、受信ポートIDと送信ポートIDを対応付けた第2設定情報が設けられていればよい。
さらに、ルータ(第1装置)と端末(第2装置)との間の通信プロトコルは、PPPに限定されるものではない。
【0364】
実施形態においてルータ4は、無線機とは別体のものとして設けられているが、無線機がルータとしての機能を有していてもよい。また、無線機が端末としての機能を有していてもよい。
【0365】
[5.付記2]
上記実施の形態および変形例は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。