特許第6373608号(P6373608)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6373608
(24)【登録日】2018年7月27日
(45)【発行日】2018年8月15日
(54)【発明の名称】変化可能な閉塞装置を製作する方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/82 20130101AFI20180806BHJP
   A61L 31/06 20060101ALI20180806BHJP
   A61L 31/14 20060101ALI20180806BHJP
   A61F 2/07 20130101ALI20180806BHJP
【FI】
   A61F2/82
   A61L31/06
   A61L31/14 400
   A61F2/07
【請求項の数】17
【外国語出願】
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-47330(P2014-47330)
(22)【出願日】2014年3月11日
(65)【公開番号】特開2014-171899(P2014-171899A)
(43)【公開日】2014年9月22日
【審査請求日】2017年2月14日
(31)【優先権主張番号】13/796,415
(32)【優先日】2013年3月12日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513069064
【氏名又は名称】デピュイ・シンセス・プロダクツ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・スラザス
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン・バンデ・ゲースト
【審査官】 川島 徹
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2012/0253377(US,A1)
【文献】 特開平05−192388(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0179237(US,A1)
【文献】 特表2006−509658(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/133183(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/82
A61F 2/07
A61L 31/06
A61L 31/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の親血管の領域における動脈瘤の血管内治療に好適な閉塞装置用の脆弱材料を製造する方法であって、
第1の調節式ノズル開口部と第1の調節式流量制御部とを有する第1のスプレー装置を選択することと、
第2の調節式ノズル開口部と第2の調節式流量制御部とを有する第2のスプレー装置を選択することと、
前記第1の流量制御部に関して、第1の流量を選択することと、
前記第2の流量制御部に関して、第2の流量を選択することと、
25cm〜35cmの距離において基板上に重なり合うスプレーパターンをなして、少なくとも1種類の生体適合性高分子を含んだ第1の液体の液滴を前記第1のスプレー装置を通じて送達するように、また、前記高分子用の非溶剤を含んだ第2の液体の液滴を前記第2のスプレー装置を通じて送達するように、前記第1及び第2のスプレー装置を構成することと、
(i)前記第1及び第2のスプレー装置と(ii)前記基板との間の11cm/秒〜33cm/秒の相対並進速度を選択することと、
前記高分子と前記非溶剤を前記基板の上に噴霧することにより、前記生体適合性高分子を溶液から引き離して、前記脆弱材料を多孔質膜として形成すること、とを含み、
前記第1の液体は80:20〜50:50の混合比をなすポリカプロラクトンとポリウレタンの高分子溶液であり、前記非溶剤は水である、方法。
【請求項2】
前記基板がマンドレルである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記基板が実質的に円筒状のマンドレルである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記脆弱材料が、前記親血管に植え込まれると、前記親血管と連通する穿通枝血管の小孔に生じる圧力差の存在下で、前記穿通枝血管の下流における虚血を最小限にする短い期間内に、初期には前記脆弱材料を通じた流れに対して実質的な障壁をなし、局部的な腐食をなすことが可能である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
植え込みに先立って、一定の多孔度を有し、かつ前記親血管の前記動脈瘤の領域に達するように前記患者の脈管構造に挿入するのに好適な寸法を有する構造に被せて前記脆弱材料を定置すること、を更に含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
患者の親血管の領域における動脈瘤の血管内治療に好適な閉塞装置用の脆弱材料を製造する方法であって、
第1の調節式ノズル開口部と第1の調節式流量制御部とを有する第1のスプレー装置を選択することと、
第2の調節式ノズル開口部と第2の調節式流量制御部とを有する第2のスプレー装置を選択することと、
前記第1の調節式ノズル開口部を0.8mm〜1.2mmの直径に設定することと、
前記第2の調節式ノズル開口部を0.8mm〜1.2mmの直径に設定することと、
前記第1の流量制御部に関して第1の流量を選択することと、
前記第2の流量制御部に関して第2の流量を選択することと、
25cm〜35cmの距離において基板上に重なり合うスプレーパターンをなして、少なくとも1種類の生体適合性高分子と少なくとも1種類の生分解性高分子とを含んだ第1の液体の液滴を前記第1のスプレー装置を通じて送達するように、また、前記高分子用の非溶剤を含んだ第2の液体の液滴を前記第2のスプレー装置を通じて送達するように、前記第1及び第2のスプレー装置を構成することと、
(i)前記第1及び第2の装置と(ii)前記基板との間の11cm/秒〜33cm/秒の相対並進速度を選択することと、
前記高分子と前記非溶剤を前記基板の上に噴霧することにより、前記高分子の少なくとも一方を溶液から引き離して、前記脆弱材料を多孔質膜として形成することと、を含み、
前記第1の液体は80:20〜50:50の混合比をなすポリカプロラクトンとポリウレタンの高分子溶液であり、前記非溶剤は水である、方法。
【請求項7】
前記基板が実質的に円筒状のマンドレルである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記脆弱材料が、前記親血管に植え込まれると、前記親血管と連通する穿通枝血管の小孔に生じる圧力差の存在下で、前記穿通枝血管の下流における虚血を最小限にする短い期間内に、初期には前記脆弱材料を通じた流れに対する実質的な障壁をなし、局部的な腐食をなすことが可能である、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
植え込みに先立って、一定の多孔度を有し、かつ前記親血管の前記動脈瘤の領域に達するように前記患者の脈管構造に挿入するのに好適な寸法を有する構造に被せて、前記脆弱材料を定置すること、を更に含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記構造が、金属製の突っ張りを有する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記脆弱材料の表面積のうちの少なくとも相当な大きさが、前記患者への植え込みに先立って、直径が少なくとも10マイクロメートルの開口部を画定する、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記脆弱材料が、前記患者への植え込みに先立って、10マイクロメートル〜500マイクロメートルに及ぶ厚さを有する、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記脆弱材料が、133.32Pa〜6666.12Pa(1mm Hg〜50mm Hg)と等価な圧力差に反応することが可能である、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記短い期間が10分未満である、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
請求項5に記載の方法によって形成された脆弱材料を備える閉塞装置。
【請求項16】
請求項9に記載の方法によって形成された脆弱材料を備える閉塞装置。
【請求項17】
前記第2の流量は、前記第1の流量とは異なる、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、参照によってそのすべてが本明細書に組み込まれる、2011年3月31日出願の米国特許出願第13/076,474号に対する優先権を主張するものである。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、身体血管内の植え込み片に関し、より具体的には、局部的な圧力差に基づいて不可逆的に変更されるステントを含んだ閉塞装置の製造に関する。
【背景技術】
【0003】
動脈瘤及び他の動静脈の奇形など、血管の障害及び異常は、重篤な組織の近くに位置付けされるとき、あるいは奇形部へのアクセスが容易には得られない場合に特に治療が困難となる。これらの困難な要因は共に、頭部の動脈瘤に特に当てはまる。頭部の血管を囲繞する脳組織は繊細であり、またアクセスが制限されるため、頭部の脈管構造の異常を外科的に治療することは、非常に困難であり、多くの場合、リスクを伴う。
【0004】
血管内法による動脈瘤の治療において、その目的は、動脈瘤嚢の内容積から動脈の血圧及び血流を除くことである。動脈瘤の内壁が血圧及び/又は血流を受ける限り、動脈瘤破裂のリスクが存在する。
【0005】
非外科的な治療には、カテーテル送達システムを使用した塞栓コイルなど、脈管閉塞装置が含まれる。頭部の動脈瘤を治療するための現在、好まれている手技においては、塞栓コイル送達カテーテルの遠位端部がまず、典型的には鼠径の大腿動脈を通じて、患者の非頭部の脈管系に挿入され、頭蓋内の所定の送達部位に案内される。動脈瘤嚢は次いで、固化した血栓塊を形成する塞栓材料を充填され、その血栓塊によって壁が血圧及び血流から保護される。
【0006】
塞栓治療に固有の欠点の1つは、植え込まれる固形の塞栓塊が原因で動脈瘤の容積が永久に維持されることである。動脈瘤壁が血圧及び血流による作用から解放された後にも、壁を完全に治癒させること、膨張の少ない構成に再形成すること、又は再び親血管の壁に組み込むことはできない。また、動脈瘤の大きさが、脳に対して「質量効果」型の傷害を生じるものであった場合、植え込みされた塞栓塊により、動脈瘤は治療後に相当に収縮することができない。
【0007】
頸部閉塞手法を用いて動脈瘤を治療するとき、動脈瘤の入口又は「頸部」が、動脈瘤の容積部自体の代わりに治療される。頸部を跨ぐ血液の輸送量が最少化され得る場合、動脈瘤の容積部内の鬱血により、塞栓物質を植え込むことなく、天然の血栓塊が形成されることになり得る。動脈瘤壁の膨張を低減すること、及び、動脈瘤の頸部の平面に沿って元の親血管の形状に動脈瘤を再び組み込むことがおそらくは可能であることを含め、治癒の水準を高めることができるために、天然の血栓塊は好ましいものである。頸部の平面は、動脈瘤が形成されていなければ親動脈の内膜が存在する想像上の表面である。
【0008】
現行の多くの頸部閉塞技術に関する際立った難題は、親血管内の動脈瘤頸部を実質的に遮断し、それでいて穿通枝型の血管への流れは妨害しないことであり、穿通枝型の血管の親血管からの分岐部は、直径が非常に小さく、幾つかの解剖学的部位に多数あり、特に脳内の臨床的に重要な領域に依然として入り込む。一例が脳底動脈であり、脳底動脈は、親の脳底動脈から脳橋及び上部の脳幹に入り込む多数の穿通枝血管を有する。非差別的な頸部閉塞装置をこの種の動脈において使用することで、穿通枝血管の「小孔」として知られる開口部が遮断された場合、意図せず患者に重篤な障害が引き起こされることになり得る。
【0009】
頸部閉塞装置の典型的な基本構成は、チューブ状のステント様構造である。これらの構造は、様々な繊維から織られるか若しくは巻かれても、金属からレーザー切断されても、様々な他の方式で作製されてもよい。多くは内部の突っ張り又は足場を有する。大多数が共通に有するのは放射形対称性であり、つまり、動脈の一部分、側方又は半径方向の区間を、他の区間と比べて、より高い又は低い多孔性で覆うことがない。これらの対称的な構造は、したがって動脈壁の被覆率は、内部の突っ張りがミクロレベルの視点から多孔性を更に低減し得ることを除き、いかなる所与の横断スライス又は横断面の周りでも比較的、均一である。
【0010】
分岐する動脈と整列され得る固定灌流ポートを有する一実施形態を含めて、腔内血管プロテーゼの幾つかの実施形態が、例えば、シャオリアン(Shaolian)らによる米国特許第6,187,036号に記載されている。このプロテーゼは、灌流ポートを隣接する血管と慎重に整列させることを必要とする。
【0011】
隣接する血管への流れを可能にすると同時に動脈瘤を封止することを目的とする閉塞装置の一例が、ジョーンズ(Jones)らによる米国特許第7,156,871号に開示されている。拡張型ステントがあるカバーを有し、そのカバーは、通常は血液中で溶解可能であるが、活性剤で局部的に活性化されると、活性化された箇所で溶解に耐えるものである。この装置は、別の活性剤を正確に送達することを必要とする。
【0012】
別の種類の動脈瘤閉塞システムが、ボーズ(Bose)らによって米国特許公開第2007/0239261号に記載されており、このシステムは、事前に形成された複数の間隙又は孔を有し、それらの間隙又は孔は、側枝血管における流体の圧力差に反応して膨張するとされている。小さなパドルなど屈曲可能な要素の撓曲、孔の弾性的な伸張、及び圧力差の増加による表面張力の打破を含め、様々な可能性について述べられている。
【0013】
ステント及び他の医療装置にコーティングするための技術には、ホサイニ(Hossainy)によって米国特許第7,556,837号に、ルアン(Ruane)らによって米国特許公開第2008/0167724号に、そしてミルナー(Milner)らによって米国特許公開第2012/0179237号に開示されているものが挙げられる。動脈瘤プロテーゼ用の高多孔性のチューブ状膜を製作する一技法が、ソルダニ(Soldani)らによって、「スプレー転相プロセスによって作製される小径ポリウレタン・ポリジメチルシロキサン血管プロテーゼ(Small diameter polyurethane-polydimethylsiloxane vascular prostheses made by a spraying,phase-inversion process)」(物質科学ジャーナル(J.Materials Science):医学における物質3(Materials in Medicine 3)(1992)ページ106〜113)に記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがって、親血管と連通する穿通枝血管への流れを遮断することなく、動脈瘤の頸部又は親血管内の他の動静脈の奇形部を効果的に閉塞する装置を製作することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の目的は、親血管内の動脈瘤への流れを実質的に遮断し、それでいて、穿通枝血管の小孔における圧力差に迅速に適合して穿通枝血管に流れを通すことを可能にする閉塞装置を最適に提供することである。
【0016】
本発明のもう1つの目的は、動脈瘤の頸部と穿通枝血管の小孔とで異なる特性を感知する閉塞装置を最適に提供することである。
【0017】
本発明は、患者の親血管の領域における動脈瘤の血管内治療に好適な閉塞装置を製作する方法を特徴とし、この方法は、第1及び第2のノズル開口部と第1及び第2の調節式流量制御部をそれぞれ有する第1及び第2のスプレー装置を選択することを含む。1単位〜2単位の位置が第1の流量制御部に選択され、0.25単位〜1単位の位置が第2の流量制御部に選択される。幾つかの実施形態では、1単位は、流量制御ノブの1回転に相当する。第1及び第2のスプレー装置は、25cm〜35cmの事前に選択された距離において基板上に重なり合うスプレーパターンをなして、かつ11cm/秒〜33cm/秒の事前に選択された相対並進速度で、少なくとも1種類の生体適合性高分子を含んだ第1の液体の液滴を第1のスプレー装置を通じて送達するように、また、その高分子用の非溶剤を含んだ第2の液体の液滴を第2のスプレー装置を通じて送達するように構成される。この少なくとも1種類の高分子と非溶剤を基板の上に噴霧することにより、生体適合性高分子を溶液から引き離して、脆弱材料を多孔質膜として形成する。
【0018】
特定の実施形態では、基板はマンドレル、好ましくは実質的に円筒状であり、この少なくとも1種類の高分子は、ポリカプロラクトンなど、生分解性である。幾つかの実施形態では、第1の液体は、ポリウレタンなどの生体適合性高分子を約80:20〜50:50の混合比で更に含む。
【0019】
好ましくは、この脆弱材料は、親血管と連通する穿通枝血管の小孔に生じる圧力差の存在下で、穿通枝血管の下流における虚血を最小限にする短い期間内に、初期には脆弱材料を通じた流れに対して実質的な障壁をなし、局部的な浸食をなすことが可能である。多数の実施形態では、この方法は、一定の多孔度を有し、かつ親血管の動脈瘤の領域に達するように患者の脈管構造に挿入するのに好適な寸法を有する構造に被せて脆弱材料を定置することを含む。幾つかの実施形態では、この構造は金属製の突っ張りを有する。
【0020】
特定の実施形態では、脆弱材料は、少なくとも1種類の生分解性組成物を有する。幾つかの実施形態では、この構造は、凝固した多孔質ウレタンなど、実質的に非生分解性の多孔質発泡体を有し、脆弱材料は、その発泡体の少なくとも一部分に散在する、ポリカプロラクトンなどの少なくとも1種類の生分解性組成物を含む。一実施形態では、脆弱材料は、1mm Hg〜50mm Hgに相当する圧力差に反応することが可能であり、その短い期間は10分未満である。幾つかの実施形態では、脆弱材料は、患者への植え込みに先立って、直径が少なくとも10マイクロメートルの開口部を画定し、10マイクロメートル〜500マイクロメートルに及ぶ厚さを有する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
以下で、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照して更に詳細に説明する。
図1】本発明に従って製作されたフィルムを有する新規な閉塞装置の概略側面図であり、フィルムは支持体を覆い、親血管内で動脈瘤の下にかつ穿通枝血管の上に定置されている。
図2】別の新規な閉塞装置の類似した概略側面図であり、この閉塞装置は、支持体を覆う電気紡糸繊維を有する。
図3】更に別の新規な閉塞装置の類似した概略側面図であり、この閉塞装置は、本発明に従って製作された浸食性の多孔質構造を有し、支持体を覆っている。
図4A図3に示す装置の代替の実施形態の一部分の、拡大した概略的な斜視部分断面図であり、この実施形態は耐久性多孔質構造を有する。
図4B】選択的に溶解する充填材を含浸された後の、図4Aの耐久性多孔質構造の図である。
図5】本発明によるスプレー相分離システムの概略平面図である。
図6】本発明による製作工程を示す流れ図である。
図7】様々なリパーゼ濃度の純ポリカプロラクトンを用いて本発明に従って形成された膜の崩壊のグラフである。
図8】それぞれ倍率をX15、X50、X200、及びX2000とした、図2に示す装置の連続的により小さな部分となる電気紡糸繊維の走査電子顕微鏡写真である。
図9】それぞれ倍率をX15、X50、X200、及びX2000とした、図2に示す装置の連続的により小さな部分となる電気紡糸繊維の走査電子顕微鏡写真である。
図10】それぞれ倍率をX15、X50、X200、及びX2000とした、図2に示す装置の連続的により小さな部分となる電気紡糸繊維の走査電子顕微鏡写真である。
図11】それぞれ倍率をX15、X50、X200、及びX2000とした、図2に示す装置の連続的により小さな部分となる電気紡糸繊維の走査電子顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、多孔質の発泡体又は金属製の突っ張りなど、少なくとも1種類の支持構造と、その構造によって支持される少なくとも1種類の脆弱な材料とを用いて、患者の親血管の領域における動脈瘤の血管内治療に好適な閉塞装置を、スプレー相分離を利用して製作することによって達成され得る。この構造は、一定の多孔度を有し、また、親血管内の動脈瘤の領域に達するように患者の脈管構造に挿入するのに好適な寸法を有する。この脆弱材料は、親血管と連通する穿通枝血管の小孔に生じる圧力差の存在下で、穿通枝血管の下流における虚血を最小限にする短い期間内に、初期には脆弱材料を通じた流れに対する実質的な障壁をなし、局部的な破裂と局部的な浸食の少なくとも一方をなすことが可能である。
【0023】
特に、本発明は、第1及び第2のノズル開口部と第1及び第2の調節式流量制御部をそれぞれ有する第1及び第2のスプレー装置を選択することによって、そのような閉塞装置を製作することを含む。第1の流量制御部に関して1単位〜2単位の位置が選択され、第2の流量制御部に関して0.25単位〜1単位の位置が選択される。幾つかの実施形態では、1単位は、流量制御ノブの1回転に相当する。第1及び第2のスプレー装置は、25cm〜35cmの事前に選択された距離において基板上に重なり合うスプレーパターンをなして、かつ11cm/秒〜33cm/秒の事前に選択された相対並進速度にて、少なくとも1種類の生体適合性高分子を含んだ第1の液体の液滴の霧状ミストを第1のスプレー装置を通じて送達するように、また、その高分子用の非溶剤を含んだ第2の液体の液滴の霧状ミストを第2のスプレー装置を通じて送達するように構成されている。この少なくとも1種類の高分子と非溶剤が基板の上に噴霧されることにより、生体適合性高分子を溶液から引き離して、脆弱材料を多孔質膜として形成する。
【0024】
「スプレー相分離」という用語は、本明細書で用いられるとき、(1)高分子溶液の第1の液滴流及び非溶剤の第2の液滴流の形成と、(2)マンドレルなどの基材上における第1の液滴流と第2の液滴流との交差とを包含する。非溶剤は、高分子を溶液から引き離して多孔質膜を生じさせる。「スプレー相分離」という用語は、上記のソルダニ(Soldani)らが述べているような「スプレー転相プロセス(spraying,phase-inversion process)」を含む。本発明による好適な脆弱材料をえ製造するためのスプレー相分離については、図5〜7に関連して以下で更に詳細に述べる。
【0025】
ロバート・スラザス(Robert Slazas)らによる特許出願第13/076,474号、米国特許公開第2012/0253377号は、実質的に圧力差のみに基づいて変形すること、及び穿通枝血管に流体の流れを通すことを含めて、不可逆的に浸食又は破裂する装置を設けることによって、親血管と連通する穿通枝血管などの付近の血管を同様に閉塞することなく、動脈瘤の頸部が閉塞され得ることを具現化した結果としてなされたものである。この装置は、動脈瘤の中に向かう流れを引き続き実質的に遮断する一方で、穿通枝血管の小孔の存在を効果的に感知し、その小孔の中に向かう流れを可能にするように装置自体を修正し、それによって虚血を最小限にする。
【0026】
動脈系を非圧縮性流体の配管系と見なすと、動脈瘤は、配管系の低圧の静脈側に連結することによって排水しない死んだ脚である。短い期間で、動脈瘤の容積の増大又は縮小を考慮しなければ、頸部の平面に跨って移動する流量が、等しい流量を動脈瘤から再び親血管へと変位させなければならない。その結果、動脈瘤の頸部の平面に跨る移動量は正味でゼロとなる。
【0027】
穿通枝血管は、配管系の低圧側に直接的にあるいは間接的に排液するので、穿通枝血管は動脈瘤とは異なっている。小孔の平面に跨る、つまり小孔を通じて穿通枝血管に進入する所定の流量が、系の高圧側から失われ、動脈瘤と同様に等しい量を親血管に押し返すことがないため、小孔の平面に跨る正味で正の移動量が存在する。
【0028】
そのような非圧縮流体系において、頸部の平面に跨る正味でゼロの移動量は、頸部の平面に跨る圧力差をゼロにする。それと比較すると、頸部の平面に跨る正味で正の移動量は、頸部の平面に跨る圧力差が正であることによって検出され得る。したがって、圧力差は、動脈瘤の頸部と穿通枝血管の小孔とを区別するために装置が用い得る特徴となる。ステントに似た頸部閉塞装置が、頸部の平面と小孔の平面の両方を同じ方式で被覆するので、壁に跨る圧力差が存在することによる、内部から外部への流動妨害特性を変化させる頸部閉塞装置が必要であることを、原出願の発明者らは理解している。
【0029】
図1は、親血管PVに植え込みされた、本発明の一技法に従って製作されたチューブ状のステント様装置10を、上方の動脈瘤A及び下方の穿通枝血管Pと共に概略的に示している。装置10は、実質的にチューブ状であり、金属製の突張り12などの構造物を有しており、この突っ張り12は、比較的大きな開口部13を画定し、脆弱被覆材料14を支持しており、脆弱被覆材料14は、事前に選択された圧力差が達成されると破裂することが可能なフィルム様物質を有している。圧力差によって破裂し、結果として、フィルムの垂れ縁16及び18が穿通枝血管Pの小孔の中にわずかに延びているところを除き、脆弱材料14は、動脈瘤の頸部Nを跨ぐ方向を含めて、突っ張り12の外部全体に沿って無傷に示されている。親血管PVから穿通枝血管Pへと流体の流れが通るところが、矢印20、22及び24で示されている。
【0030】
脆弱被覆材料14は、この脆弱被覆材料14がなければ動脈瘤Aに入り込む流れを途絶させ、それによって動脈瘤Aの中に血栓を形成することを可能にしている。それと同時に、脆弱被覆材料14はまた、血液を穿通枝血管Pに流れ込ませて、穿通枝血管Pによって補給される下流の組織に引き続き入り込ませ、それらの下流の組織内の虚血を最小限にしている。好ましくは、脆弱被覆材料14は、装置10に被さって内皮が成長するように、少なくとも8週間〜12週間にわたって、頸部Nにて流れの障壁をなす。
【0031】
装置10は、自己膨張型であっても、バルーン膨張型であってもよく、足場様の支持構造12が、幾つかの通常のステント製作方法のうちのいずれかで作製されている。突っ張り12自体は、堅固で、典型的には金属製であり、動脈瘤頸部又は枝分かれする血管の小孔のいずれかに跨る圧力差の際立った特徴に応じて挙動を変えるものではない。好ましい実施形態では、突っ張り12は、突っ張りの模様をニチノール(NiTi)チューブにレーザー切断することによって作製された、自己膨張型の足場として働く。この構造用構成要素の主目的は、フィルム又は他の脆弱被覆材料14を標的の血管に送達するのを容易にすること、及び、配置された後に被覆材料14を血管壁に付着させて保持することである。被覆材14が、送達を可能にするように、また動脈内における位置を被覆材14自体で保持するように構造的に十分なものである場合、この足場12は必要でないこともある。
【0032】
足場12内の開放領域13は、後にフィルム14で被覆され、フィルム14は、その肉厚を跨いで感知される圧力差の水準に従って反応する。正味で正の圧力差が、分岐する血管の小孔を跨いで存在するが、動脈瘤の頸部を跨ぐものはなく、通常は1mm Hg〜50mm Hgに及ぶ。このフィルム14は、その物質が最少の生体適合性と、事前に選択された十分な圧力差の存在下における脆弱性とを有する限り、任意の種類の物質から作製され得る。脆弱材料14に好適な生体適合性の構成物には、セルロース、アルギン酸塩、架橋ゲルのフィルム又は母材、並びに、ウレタン及び/又はポリグリコール酸などの材料の極薄高分子フィルムが挙げられる。フィルム14を製作するための、本発明による一技法について、図5に関連させて以下で説明する。他の構造において、フィルム14の肉厚に跨って流れが増加するという永久的で局部的な変化を生じるのは、十分な圧力差の存在下における破裂の作用であるので、フィルム14は、浸食性又は生体吸収性である必要はない。同様に、以下の他の実施形態に関して説明するような平均径を有する、微視的な孔又は他の開口部がフィルム14に形成され得るが、破裂を生じさせるのに十分な圧力差が感知されると、破裂の作用によって必要なところで流れが増加するため、フィルム14が連続シート材料であることは許容される。
【0033】
フィルム層の厚さは所望の破裂強度で決まるが、親血管を通る正常な流体の流れとの干渉を最小限にするために、動脈内で相当な大きさの横断面積を占有すべきではない。5パーセント未満の面積占有が望ましい。フィルムの厚さは、穿通枝血管の下流における虚血を最小限にするために、短い期間内で最少の圧力差にて所望の脆弱性を達成するように選択される。幾つかの構造において、その短い期間は好ましくは、通常の状態(つまり、低体温又は人為的に低下した血圧の状態を含まない)にある患者の大多数で、10分未満、より好ましくは5分未満の期間である。破裂強度は、フィルムが標的の動脈内における送達及び定置に耐えるよう十分に強く、しかし、小さな分岐血管の小孔を跨ぐ、持続的な正味で正の圧力差の存在下で破裂するよう十分に弱くなるように調整されるべきである。望ましい破裂強度は、1mmHg〜50mmHgの圧力差の範囲内にあると予想される。
【0034】
本発明による別のチューブ状装置30(図2)は突っ張り32を有し、突っ張り32は突っ張り12(図1)に類似し、比較的大きな開口部33(図2)を画定している。装置30は脆弱材料34を更に有し、脆弱材料34は、この構造においては、多孔性メッシュ又は艶消しの外層をなす極細繊維35から形成されている。脆弱材料34は、動脈瘤A内に滞留を生じさせてその中に血栓を形成させるために、正常な流体の流れを頸部Nで途絶させるのに十分な密度を有し、それでいて、圧力差が閾値を超えると、十分な本数の繊維35がばらけるかあるいは分離して、穿通枝血管Pの小孔に開口部36が形成され、血液が矢印40及び41で示すように流動できるようになる。
【0035】
好ましい構成において、これらの繊維35は、「電気紡糸」によって加えられるものであり、電気紡糸では、ディスペンサ先端部から流出する、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などの液化した高分子が電圧を印加されて、1ナノメートル〜最大で約10マイクロメートルの平均撚線太さ又は直径を有する極細の撚線が生産される。個々の撚線の太さ、加えられる撚線の総数、撚線がチューブ状の足場上で横たわる角度、及び互いに交差する撚線同士の角度など、繊維層の構造に対する多数の制御が操作され得る。ノートン(Norton)が米国特許第2,0486,51号に記載したものなど、様々な電気紡糸技術が利用され得る。他の電気紡糸技術が、例えば、クーリー(Cooley)によって米国特許第692,631号に、モートン(Morton)によって米国特許第705,691号に、そしてフォームハルス(Formhals)によって米国特許第1,975,504号及び同第2,349,950号に記載されている。製造された植え込み前の繊維層の、結果として得られる特性には、面積被覆パーセント、平均孔又は開口寸法、全肉厚、及び透水率が含まれ、この透水率は、特定の液体、この場合は血液が層を跨ぐ体積流量を大まかに計るものである。幾つかの構造において、材料34の全体的な層の厚さは、約10マイクロメートル〜約500マイクロメートル、より好ましくは30マイクロメートル〜200マイクロメートルである。繊維同士の間の平均開口直径は、材料35の表面に実質的に平行な平面に沿った走査電子顕微鏡画像から測定すると、患者に植え込みする前は、好ましくは少なくとも10マイクロメートルである。平均開口が約10マイクロメートルであることにより、最初は材料34を通じた流れに対する相当な障壁が設けられる一方で、赤血球を含む少量の全血が、装置30の側壁を通過して、周囲の組織にいくぶんかの栄養分を供給することができる。1本以上の繊維が、穿通枝血管Pの小孔などにおいて、十分な圧力差の存在下で破裂するので、開口部36は好ましくは、直径が50マイクロメートル〜500マイクロメートル、より典型的には100マイクロメートル〜300マイクロメートルとなるように形成される。
【0036】
装置30の一構造が、それぞれ倍率をX15、X50、X200、及びX2000とした、連続的により小さな部分となる装置30の電気紡糸繊維の走査電子顕微鏡写真として、図8〜11に示されている。図8の左側は、繊維の下にあり繊維を支持する金属製の突張りを露出させるために繊維が除去されたところを示しており、突っ張りは、この構造においては1mm超の大きな開口部を画定している。水平な白色バーは、尺度の目安となるように1mmの長さを示している。
【0037】
図9は、おおよそ図8の中心にある外側の繊維マット層を拡大したものである。短い水平な白色バーは100マイクロメートルの長さを示している。図10は更に拡大したものであり、同様に100マイクロメートルの長さを有する更に長い白色バーを示し、繊維マットの3次元特性を表している。図11は、尺度のための10マイクロメートルの水平な白色バーと共に、繊維マットの多孔性を明確に示している。
【0038】
十分な本数のこれらの繊維が十分な圧力差の存在下で「ばらける」かあるいは分離する仕組みは主に、より流体の流れの多い局部的領域で個々の繊維が分割する、つまり破裂することである。別の構造において、生物学的に耐久性があり分解可能である各材料の混合物が繊維に利用される。分岐血管の小孔を覆う繊維メッシュの領域において、局部的な圧力差は正味で正であり、層の肉厚を通じた永久的な流れを生じさせる。層のうちの分岐血管の小孔を覆う領域にある、これらの分割した繊維は、動脈瘤の頸部を覆う領域と比較して、分岐血管へと向かう血流を優先的に増加させるように働く。脆弱繊維層34(図2)の構造における制御可能な要素は、1mmHG〜50mmHgの限界破裂圧力となるように事前に選択された圧力差を有する領域で繊維35が分割するように調節されるべきである。繊維層の厚さは、その破裂強度で決定されるが、動脈の横断面積の相当な大きさを占有するべきではない。5パーセント未満の面積占有が望ましい。幾つかの構造において、十分な本数の繊維が、穿通枝血管の下流における虚血を最小限にするために、ある短い期間内に分割又は浸食し、その短い期間は、通常の状態(つまり、低体温又は人為的に低下した血圧の状態を含まない)にある患者の大多数で、好ましくは10分未満、より好ましくは5分未満の期間である。
【0039】
チューブ状装置50(図3)は、開口領域又はセル53を画定するように突っ張り52を足場として構成した、本発明の更に別の実施形態である。この足場52は、自己膨張型か又はバルーン膨張型のいずれであってもよく、幾つかの典型的な製作方法のうちのいずれで作製されてもよい。足場52は次いで、本発明による一技法に従って層54で覆われるが、層54は微細孔55を有し、限られた流量が正味で正の圧力差の存在下で肉厚方向に跨るようにする。この層54は、多数の方法、例えば、発泡成形、凍結乾燥、気体抽出、エッチング、焼成、又は堆積によって構成され得る。現状で好ましい方法について、図5〜7に関連して以下で説明する。層54の材料は、流体の流れに起因する浸食及び/又は生きた細胞による消費を含めた生物学的吸収に起因する浸食を受ける任意の生体適合性材料であってよい。好ましい実施形態では、ポリカプロラクトン(PCL)が、バルク材として多孔質となるように、いくぶんか低密度の母材に堆積される。考えられる他の材料には、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、多糖類、コロイド化合物、及び幾種類かの脂質生成物が挙げられる。
【0040】
図4A及び4Bに示すような別の構成において、耐久性があり非浸食性で非生体吸収性の材料の構造60がまず構成される。凝固した発泡ウレタン又は膨張したポリテトラフルオロエチレン(PTFE)など、この軟質で弾性の構造は、比較的大きな孔62を有し、そのため、構造60はそれ自体では、開口領域のほとんどを覆わず、大きすぎる平均孔径を有し、動脈瘤の中に向かう流れを十分に妨害又は制限するには大き過ぎる透水率を有する。換言すれば、金属製の突っ張りで補強され得る構造60は、本発明による装置に対して最大の多孔性を確立する。孔62は、説明を簡潔にするために、通路72など、比較的直線的な通路を伴って横断面に示されているが、多くの構造において、通路はより複雑で入り組んでいる。構造材料60の表面に実質的に平行な平面に沿った走査電子顕微鏡画像で測定して、孔62は好ましくは、平均径において50マイクロメートル〜500マイクロメートル、より典型的には平均径において典型的には100マイクロメートル〜300マイクロメートルとなるように形成される。
【0041】
構造60を製作した後、浸食性の第2の基材64が、侵入によって構造60と結合されて装置66(図4B)を形成する。PCL又は上記の他の材料など、第2の材料64は好ましくは、材料64がそれ自体で所望の水準の多孔性を有する、つまり材料64が不透過性のバルク材料とならないように、粒子又は微孔性の発泡体として堆積される。特定の構造において、材料64は、患者への植え込み前に好ましくは少なくとも10マイクロメートルの平均径を有する開口部を画定する。平均開口が約10マイクロメートルであることにより、最初は装置66を通じた流れに対する相当な障壁が設けられる一方で、赤血球を含む少量の全血が、通路72に進入する内部流れの矢印68及び通路72から出現する外部流れの矢印70で示すように、装置66の側壁を通過して、周囲の組織にいくぶんかの栄養分を供給することができる。正味で正の圧力差の領域において、分岐血管の小孔の上で、結合された層の壁を通じた永続的な貫通流れにより、第2の材料64は、1つ以上の孔62においてより急速に、通常は生分解することを含めて、優先的に浸食することによって反応することになる。構造材料60の第1の目的は、第2の材料64のすべてが除去された後に、多孔度の、したがって流れの増加に対する上限を、構造60自体に課すことである。第2の目的は、分岐血管によって与えられる圧力差をより小さな多孔質領域に集中させることによって、通常は生分解を含めた、第2の材料64の浸食を増強することである。これにより、装置66の結合層が、装置の全体と比べて、動脈瘤の頸部の上を含めて分岐血管の上でより迅速に浸食する優先的性質が改善される。
【0042】
脆弱層を製作するための現状の好ましい方法では、少なくとも2つのスプレー装置によって達成されるスプレー相分離が利用される。図5に概略的に示すように、スプレーシステム100は、第1のスプレー装置102を備えたスプレー機器101を有しており、第1のスプレー装置102は、調節式ノズル104と、ノズル開口調節ノブ106と、流量制御ノブ108とを有している。第2のスプレー装置110は、調節式ノズル112と、ノズル開口調節ノブ114と、流量制御ノブ116とを有している。流量制御ノブ108又はノブ116を1回、旋回又は回旋させることを、回転又は「rev.」と呼ぶ。スプレー装置102及び110はブラケット120上に装着されており、ブラケット120は、幾つかの構造において、矢印122で示すような方向に移動可能な、スプレー機器101用のキャリッジを有する。ノズル104及び112の開口は、それぞれスプレーパターン130及び132を生成するように調節され、これらのスプレーパターンは、円筒マンドレル140上の収集領域134にて重なり合う。特定の構造において、マンドレル140は、矢印142で表すような方向に移動される。ノズル104及び112はそれぞれ、収集領域134から、事前に選択された距離PD及びWDに位置決めされる。好適なスプレー装置には、ニューメキシコ州リオランチョ(Rio Rancho)のアスツロ・スプレー・イクイップメント社(Asturo Spray Equipment)から入手可能なAOM Asturo 878 WB Mini HVLPスプレーガンが挙げられる。
【0043】
スプレーシステム100に対する現在の好ましい設定範囲には、表Iに示すものが含まれる。
【0044】
【表1】
【0045】
表Iに示すパラメータは、好ましくは80:20〜50:50の混合比をなすポリカプロラクトンとポリウレタンの第1の高分子溶液を、第1のスプレー装置102を通じて送達するために、また非溶剤としての水を第2のスプレー装置110を通じて送達するために現在、好ましいものである。特定の構造において、マンドレル140は、その長手軸を中心として毎分600回転の速度で回旋されて、チューブ状の多孔質膜を形成する。このプロセスは好ましくは、好ましくは相対湿度を20パーセント未満に保って、標準温度及び圧力で実施される。
【0046】
図6は、システム100(図5)を操作するための工程を略述する流れ図である。高分子用ノズル104の有効開口直径が定められ(工程150)、高分子溶液の流量が選択される(工程152)。同様に、非溶剤用ノズル112の有効開口直径が定められ(工程154)、非溶剤溶液の流量が選択される(工程152)。スプレー機器101とマンドレル120との相対並進速度が選択され(工程158)、スプレー距離PD及びWDが定められる(工程160)。システム100は次いで、事前に選択されたパラメータで操作されて、多孔質膜が製作される(工程162)。
【0047】
図7は、様々なリパーゼ濃度の純ポリカプロラクトンを用いて本発明に従って形成された膜の崩壊を示すグラフである。質量が残留する百分率がY軸に示され、測定がなされた日数がX軸に示されている。浸漬溶液を3日ごとに交換し、各濃度における3つのサンプルに対する結果を示す。曲線170は、0.95mg/mLのリパーゼ濃度に関して、各点を接続する直線状区間を、指数ふ関数の適合曲線172と共に経時的に示している。同様に、曲線174及び176はそれぞれ、0.095mg/mL及び0.0095mg/mLのリパーゼ濃度に関して、残存する質量を経時的に示している。曲線174及び176は、指数関数に代わって、3次関数で最良に近似される。また、重なり合う単一の曲線178がそれぞれ、0.00095mg/mL及び0.000095mg/mLのリパーゼ濃度に関して示されている。
【0048】
このように、本発明の基本的な新規な特徴について、本発明の好ましい実施形態に応用されたものとして図示し、説明し、指摘したが、説明した装置の形態及び細部において、またそれらの装置の動作において、様々な省略、置換、及び変更が、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく当業者になされ得ることが理解されよう。例えば、同じ結果を達成するように実質的に同じ方式で実質的に同じ機能を果たす要素及び/又は工程のすべての組み合わせが、本発明の範囲に含まれることが、明確に意図されている。また、説明したある実施形態から別の実施形態へと要素を置換することも、十分に意図され企図される。また、図面は必ずしも一定の尺度で描かれておらず、また事実上、概念的なものに過ぎないことが理解されよう。したがって、その意図は、添付の特許請求の範囲によって示唆されるものとしてのみ限定されることである。
【0049】
本願にて引用したすべての発行済みの特許、係属中の特許出願、刊行物、学術論文、書籍、又は任意の他の参考文献はそれぞれ、参照によって全容が組み込まれる。
【0050】
〔実施の態様〕
(1) 患者の親血管の領域における動脈瘤の血管内治療に好適な閉塞装置用の脆弱材料を製造する方法であって、
第1の調節式ノズル開口部と第1の調節式流量制御部とを有する第1のスプレー装置を選択することと、
第2の調節式ノズル開口部と第2の調節式流量制御部とを有する第2のスプレー装置を選択することと、
前記第1の流量制御部に関して、1単位〜2単位の位置を選択することと、
前記第2の流量制御部に関して、0.25単位〜1単位の位置を選択することと、
25cm〜35cmの距離において基板上に重なり合うスプレーパターンをなして、少なくとも1種類の生体適合性高分子を含んだ第1の液体の液滴を前記第1のスプレー装置を通じて送達するように、また、前記高分子用の非溶剤を含んだ第2の液体の液滴を前記第2のスプレー装置を通じて送達するように、前記第1及び第2のスプレー装置を構成することと、
(i)前記第1及び第2のスプレー装置と(ii)前記基板との間の11cm/秒〜33cm/秒の相対並進速度を選択することと、
前記高分子と前記非溶剤を前記基板の上に噴霧することにより、前記生体適合性高分子を溶液から引き離して、前記脆弱材料を多孔質膜として形成すること、とを含む、方法。
(2) 前記基板がマンドレルである、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記基板が実質的に円筒状のマンドレルである、実施態様1に記載の方法。
(4) 前記少なくとも1種類の高分子がポリカプロラクトンである、実施態様1に記載の方法。
(5) 前記第1の液体がポリウレタンを更に含む、実施態様4に記載の方法。
【0051】
(6) 前記脆弱材料が、前記親血管に植え込まれると、前記親血管と連通する穿通枝血管(perforator vessel)の小孔に生じる圧力差の存在下で、前記穿通枝血管の下流における虚血を最小限にする短い期間内に、初期には前記脆弱材料を通じた流れに対して実質的な障壁をなし、局部的な腐食をなすことが可能である、実施態様1に記載の方法。
(7) 植え込みに先立って、一定の多孔度を有し、かつ前記親血管の前記動脈瘤の領域に達するように前記患者の脈管構造に挿入するのに好適な寸法を有する構造に被せて前記脆弱材料を定置すること、を更に含む、実施態様6に記載の方法。
(8) 患者の親血管の領域における動脈瘤の血管内治療に好適な閉塞装置用の脆弱材料を製造する方法であって、
第1の調節式ノズル開口部と第1の調節式流量制御部とを有する第1のスプレー装置を選択することと、
第2の調節式ノズル開口部と第2の調節式流量制御部とを有する第2のスプレー装置を選択することと、
前記第1の調節式ノズル開口部を0.8mm〜1.2mmの直径に設定することと、
前記第2の調節式ノズル開口部を0.8mm〜1.2mmの直径に設定することと、
前記第1の流量制御部に関して1単位〜2単位の位置を選択することと、
前記第2の流量制御部に関して0.25単位〜1単位の位置を選択することと、
25cm〜35cmの距離において基板上に重なり合うスプレーパターンをなして、少なくとも1種類の生体適合性高分子と少なくとも1種類の生分解性高分子とを含んだ第1の液体の液滴を前記第1のスプレー装置を通じて送達するように、また、前記高分子用の非溶剤を含んだ第2の液体の液滴を前記第2のスプレー装置を通じて送達するように、前記第1及び第2のスプレー装置を構成することと、
(i)前記第1及び第2の装置と(ii)前記基板との間の11cm/秒〜33cm/秒の相対並進速度を選択することと、
前記高分子と前記非溶剤を前記基板の上に噴霧することにより、前記高分子の少なくとも一方を溶液から引き離して、前記脆弱材料を多孔質膜として形成することと、を含む、方法。
(9) 前記基板が実質的に円筒状のマンドレルである、実施態様8に記載の方法。
(10) 前記少なくとも1種類の生分解性高分子がポリカプロラクトンである、実施態様9に記載の方法。
【0052】
(11) 前記少なくとも1種類の生体適合性高分子がポリウレタンである、実施態様10に記載の方法。
(12) 前記脆弱材料が、前記親血管に植え込まれると、前記親血管と連通する穿通枝血管の小孔に生じる圧力差の存在下で、前記穿通枝血管の下流における虚血を最小限にする短い期間内に、初期には前記脆弱材料を通じた流れに対する実質的な障壁をなし、局部的な腐食をなすことが可能である、実施態様8に記載の方法。
(13) 植え込みに先立って、一定の多孔度を有し、かつ前記親血管の前記動脈瘤の領域に達するように前記患者の脈管構造に挿入するのに好適な寸法を有する構造に被せて、前記脆弱材料を定置すること、を更に含む、実施態様12に記載の方法。
(14) 前記構造が、金属製の突っ張りを有する、実施態様13に記載の方法。
(15) 前記脆弱材料の表面積のうちの少なくとも相当な大きさが、前記患者への植え込みに先立って、直径が少なくとも10マイクロメートルの開口部を画定する、実施態様12に記載の方法。
【0053】
(16) 前記脆弱材料が、前記患者への植え込みに先立って、10マイクロメートル〜500マイクロメートルに及ぶ厚さを有する、実施態様12に記載の方法。
(17) 前記脆弱材料が、133.32Pa〜6666.12Pa(1mm Hg〜50mm Hg)と等価な圧力差に反応することが可能である、実施態様12に記載の方法。
(18) 前記短い期間が10分未満である、実施態様12に記載の方法。
(19) 前記第2の液体が水を前記非溶剤として含む、実施態様8に記載の方法。
(20) 実施態様7に記載の方法によって形成された閉塞装置。
【0054】
(21) 実施態様13に記載の方法によって形成された閉塞装置。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11