(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6373610
(24)【登録日】2018年7月27日
(45)【発行日】2018年8月15日
(54)【発明の名称】ストライプのあるステントイントロデューサー
(51)【国際特許分類】
A61M 25/00 20060101AFI20180806BHJP
A61M 25/06 20060101ALI20180806BHJP
A61F 2/962 20130101ALI20180806BHJP
【FI】
A61M25/00 650
A61M25/06 550
A61F2/962
【請求項の数】8
【外国語出願】
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-48569(P2014-48569)
(22)【出願日】2014年3月12日
(65)【公開番号】特開2014-176651(P2014-176651A)
(43)【公開日】2014年9月25日
【審査請求日】2017年2月16日
(31)【優先権主張番号】13/801,283
(32)【優先日】2013年3月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513069064
【氏名又は名称】デピュイ・シンセス・プロダクツ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・スラザス
【審査官】
今関 雅子
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2005/0283178(US,A1)
【文献】
特開2008−194250(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0277847(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0111145(US,A1)
【文献】
特表2004−508881(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/00−29/04
A61F 2/82− 2/97
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管内医療機器をカテーテルに挿入するための管状イントロデューサーシースであって、
近位端と、遠位端と、前記近位端と前記遠位端との間に延在する長さと、外側壁と、長手方向軸と、血管内医療機器が内部に収容されるように構成される長手方向の内部通路と、を有する中空の細長い管状部材であって、前記外側壁は、前記中空の細長い管状部材の全長にわたって主に実質的に透明な部分を有する、中空の細長い管状部材と、
前記中空の細長い管状部材の全長にわたって、前記中空の細長い管状部材の前記外側壁の前記実質的に透明な部分に埋め込まれた有色ストライプと、を含む、管状イントロデューサーシース。
【請求項2】
前記有色ストライプは、前記中空の細長い管状部材の周りを前記中空の細長い管状部材の前記長手方向軸に沿って渦を巻く、請求項1に記載の管状イントロデューサーシース。
【請求項3】
前記有色ストライプは、前記透明領域が前記管状イントロデューサーシースを通して目視点検を可能にするように十分に狭い幅を有する、請求項1に記載の管状イントロデューサーシース。
【請求項4】
前記中空の細長い管状部材の遠位端部分は先細である、請求項1に記載の管状イントロデューサーシース。
【請求項5】
血管内医療機器をカテーテルに挿入するためのシステムであって、
近位端と、遠位端と、前記近位端と前記遠位端との間に延在する長さと、外側壁と、長手方向軸と、長手方向の内部通路と、を有する中空の細長い管状イントロデューサーシースであって、前記外側壁は、前記中空の細長い管状部材の全長にわたって主に実質的に透明な部分を有する、中空の細長い管状イントロデューサーシースと、
前記中空の細長い管状イントロデューサーシースの全長にわたって、前記中空の細長い管状イントロデューサーシースの前記外側壁の前記実質的に透明な部分に埋め込まれた有色ストライプと、
前記中空の細長い管状イントロデューサーシース内に配置された血管内医療機器と、を含む、システム。
【請求項6】
前記有色ストライプは、前記中空の細長い管状部材の周りを前記中空の細長い管状イントロデューサーシースの前記長手方向軸に沿って渦を巻く、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記有色ストライプは、前記透明領域が前記中空の細長い管状イントロデューサーシースを通して目視点検を可能にするように十分に狭い幅を有する、請求項5に記載のシステム。
【請求項8】
前記中空の細長い管状イントロデューサーシースの遠位端部分は先細である、請求項5に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般的には、脈管構造内の欠損の介入的治療処置又は欠損を処置するための血管手術用の機器に関し、より具体的には、例えば、動脈瘤の処置用の血管内医療機器を送達するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
血管内医療機器をカテーテルの近位ハブに挿入する(機器はカテーテルを通って進むことが意図される)とき、使用者が首尾よく終了することが困難であり得る重要な工程がある。機器が管状イントロデューサーシース内に封入されている間、混乱又は損傷していないことを確実にするために、使用者が機器を目視で点検できることが重要である。機器がカテーテルのルーメンに直接押し込まれるように、使用者が、イントロデューサーシースをカテーテルの近位ハブの先細りの開口部の底までずっと挿入することも重要である。しかしながら、全体が透明な材料で作られたイントロデューサーシースを使用するとき、イントロデューサーシースがハブの先細りの開口部の底までずっと挿入されたかどうか分かりにくい。血管内治療は、「食塩水でフラッシュ」して(カテーテルとハブとが水で充填される)典型的には行われるので、透明な材料で作られたイントロデューサーは水中に没するとき、見えなくなる傾向があり、端部を見分けることが非常に困難である。
【0003】
この問題を解決する1つの試みは、イントロデューサーシースの全材料に着色剤を加え、一種の「色合いがついた」外観にすることを必要とする。これは、イントロデューサーシースの端部を検出する能力を高めるが、イントロデューサーシースを通して機器を点検する使用者の能力を損なう。実際、2つの要件は直接競合する。点検がより容易になれば、イントロデューサーシースの検出がより困難になり、その逆も然りである。
【0004】
この問題を解決する別の試みは、イントロデューサーシースに着色された先端を加えることを必要とする。これは、点検するためにイントロデューサーシースの大部分を透明にしたまま、検出するために遠位部分を着色する。このアプローチは、2つの要件の競合状態を取り除くが、先端が分離してしまう新しいリスク、及びイントロデューサーシース本体につける個別の先端を製造する更なるコストが加わる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
イントロデューサーシースの遠位端がハブの先細りの開口部の底までずっと挿入されたかどうかを、特に湿潤環境で、使用者が判定することができ、血管内機器を使用する前にイントロデューサーシース内に配置された血管内機器を使用者が目視で点検することができる、管状イントロデューサーシースを提供することが望ましいであろう。イントロデューサーシースを回転させて血管内機器を点検しなくても、対象の特徴が見えるようにイントロデューサーシースを軸方向に摺動させることにより、イントロデューサーシース内のそのような血管内機器の任意の対象の特徴を、使用者が目視で点検することができる、管状イントロデューサーシースを提供することも望ましいであろう。本発明はこれら及び他の必要性を満たす。
【課題を解決するための手段】
【0006】
簡潔及び概略的には、本発明は、主に透明な材料で作られる管状イントロデューサーシースを、管状イントロデューサーシースの長さに沿って延在し、本発明の好ましい態様では、管状イントロデューサーシースの長手方向軸の周りを管状イントロデューサーシースの長さに沿って渦を巻く有色ストライプを備えて、提供する。
【0007】
本発明は、したがって、血管内医療機器をカテーテルに挿入するための管状イントロデューサーシースを提供する。本発明の好ましい実施形態では、管状イントロデューサーシースは、主に実質的に透明な部分を備えた外側壁を有する中空の細長い管状部材、及び中空の細長い管状部材の長さに沿って、中空の細長い管状部材の外側壁の実質的に透明な部分に埋め込まれた有色ストライプを含む。本発明の好ましい態様では、有色ストライプは、中空の細長い管状部材の周りを中空の細長い管状部材の長手方向軸に沿って渦を巻く。本発明の別の好ましい態様では、有色ストライプは、透明領域が管状イントロデューサーシースを通して目視点検を可能にするように十分に狭い幅を有する。本発明の別の好ましい態様では、中空の細長い管状部材の遠位端部分は先細である。
【0008】
本発明は更に、主に実質的に透明な部分を備えた外側壁を有する中空の細長い管状イントロデューサーシースと、中空の細長い管状イントロデューサーシースの長さに沿って、中空の細長い管状イントロデューサーシースの外側壁の実質的に透明な部分に埋め込まれた有色ストライプと、中空の細長い管状イントロデューサーシース内に取り外し可能に配置された血管内医療機器と、を含む、血管内医療機器をカテーテルに挿入するためのシステムを提供する。本発明の好ましい態様では、有色ストライプは、中空の細長い管状イントロデューサーシースの周りを中空の細長い管状イントロデューサーシースの長手方向軸に沿って渦を巻く。本発明の別の好ましい態様では、有色ストライプは、透明領域が中空の細長い管状イントロデューサーシースを通して目視点検を可能にするように十分に狭い幅を有する。中空の細長い管状イントロデューサーシース内の機器をイントロデューサーシースの透明部分を通して点検することは、中空の細長い管状イントロデューサーシースを回転させて機器を点検する必要なしに、対象の特徴が有色ストライプでふさがれないようにイントロデューサーシースを軸方向に摺動させることで容易に行われる。本発明の別の好ましい態様では、中空の細長い管状イントロデューサーシースの遠位端部分は先細である。
【0009】
本発明の他の特徴及び利点は、例として本発明の操作を例示する添付図面と共に以下の好ましい実施形態の詳細な説明から、より明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明によるストライプのある管状ステントイントロデューサーシースの側面図である。
【
図3】
図1のストライプのある管状ステントイントロデューサーシースのバリエーションの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
限定するものではなく、あくまでも例として提供される図面を参照して、本発明は、血管内医療機器12をカテーテル(図示せず)内に挿入するための管状イントロデューサーシース10を提供する。管状イントロデューサーシースは、近位端16、遠位端18、及び近位端と遠位端との間に延在する長さ20を有する中空の細長い管状部材14として好ましくは形成される。管状イントロデューサーシースは、外側壁22、長手方向軸24、及び血管内医療機器をカテーテルに挿入するために、血管内医療機器が内部に取り外し可能に収容されるように構成される長手方向の内部通路26を含む。
【0012】
本発明の好ましい態様では、管状イントロデューサーシースは、主に透明な材料、例えば、透明なプラスチック材料又は高分子材料、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)又はポリカーボネートで作られ、例えば、透明な部分28は、中空の細長い管状部材の長さに沿って、中空の細長い管状部材の外側壁に埋め込まれた有色ストライプ30と共に形成される。
【0013】
有色ストライプは、管状イントロデューサーシースの長手方向軸に沿って渦を巻いたように好ましくは形成される。管状イントロデューサーシースの押出成形中に、円周の離散的な扇形が有色材料の流れによって置き換えられる。押出成形が進行するにつれて、有色材料のストライプが管の周囲をたどって進むように材料が回転する。ストライプの幅は、外から目視できるように十分に広く、かつ管状イントロデューサーシースの透明部分が、管状イントロデューサーシースの透明部分を通して管状イントロデューサーシース内に配置された血管内医療機器の目視点検を可能にするように十分に狭く、好ましくは形成される。有色ストライプが存在することで、管状イントロデューサーシースの端部が、ハブの先細りの開口部の底までずっと挿入されているかどうかを使用者が判定するのを助ける。
【0014】
本発明の別の好ましい態様では、1つのバリエーションにおいて、管状イントロデューサーシースの遠位端部32は、例えば、血管内医療機器がカテーテルのハブを通ってカテーテルに挿入されてもよいそのカテーテルのハブの内部テーパー形状と一致するように、先細になり得る。
【0015】
図面に例示するように、サンプル機器が渦巻きストライプの付いたイントロデューサーシース内にあるとき、イントロデューサーシースの端部は、有色ストライプの終端によって明白に示される。機器をイントロデューサーシースの透明部分を通して点検することは、対象の特徴がストライプでふさがれないようにイントロデューサーシースを軸方向に摺動させることで容易に行われ、イントロデューサーシースを回転させて機器の点検をする必要がない。
【0016】
上述の内容から、本発明の具体的な形態が図示され説明されているが、本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく、様々な修正が可能であることは明らかとなる。したがって、本発明は、「添付の特許請求」の範囲によるものを除き、限定されないことが意図されている。
【0017】
〔実施の態様〕
(1) 血管内医療機器をカテーテルに挿入するための管状イントロデューサーシースであって、
近位端と、遠位端と、前記近位端と前記遠位端との間に延在する長さと、外側壁と、長手方向軸と、血管内医療機器が内部に取り外し可能に収容されるように構成される長手方向の内部通路と、を有する中空の細長い管状部材であって、前記外側壁は、主に実質的に透明な部分を有する、中空の細長い管状部材と、
前記中空の細長い管状部材の前記長さに沿って、前記中空の細長い管状部材の前記外側壁の前記実質的に透明な部分に埋め込まれた有色ストライプと、を含む、管状イントロデューサーシース。
(2) 前記有色ストライプは、前記中空の細長い管状部材の周りを前記中空の細長い管状部材の前記長手方向軸に沿って渦を巻く、実施態様1に記載の管状イントロデューサーシース。
(3) 前記有色ストライプは、前記透明領域が前記管状イントロデューサーシースを通して目視点検を可能にするように十分に狭い幅を有する、実施態様1に記載の管状イントロデューサーシース。
(4) 前記中空の細長い管状部材の遠位端部分は先細である、実施態様1に記載の管状イントロデューサーシース。
(5) 血管内医療機器をカテーテルに挿入するためのシステムであって、
近位端と、遠位端と、前記近位端と前記遠位端との間に延在する長さと、外側壁と、長手方向軸と、長手方向の内部通路と、を有する中空の細長い管状イントロデューサーシースであって、前記外側壁は、主に実質的に透明な部分を有する、中空の細長い管状イントロデューサーシースと、
前記中空の細長い管状イントロデューサーシースの前記長さに沿って、前記中空の細長い管状イントロデューサーシースの前記外側壁の前記実質的に透明な部分に埋め込まれた有色ストライプと、
前記中空の細長い管状イントロデューサーシース内に取り外し可能に配置された血管内医療機器と、を含む、システム。
【0018】
(6) 前記有色ストライプは、前記中空の細長い管状部材の周りを前記中空の細長い管状イントロデューサーシースの前記長手方向軸に沿って渦を巻く、実施態様5に記載のシステム。
(7) 前記有色ストライプは、前記透明領域が前記中空の細長い管状イントロデューサーシースを通して目視点検を可能にするように十分に狭い幅を有する、実施態様5に記載のシステム。
(8) 前記中空の細長い管状イントロデューサーシースの遠位端部分は先細である、実施態様5に記載のシステム。