(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
洗浄水を前記復水器に供給する第1洗浄水供給ラインと、洗浄水を前記脱気器に供給する第2洗浄水供給ラインとが設けられることを特徴とする請求項1に記載の給水系統のクリーンアップ装置。
前記蒸気発生器からのブローダウンラインが前記洗浄水加熱ラインにおける前記熱交換器よりも上流側に連結されることを特徴とする請求項3に記載の給水系統のクリーンアップ装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、給水系統のクリーンアップ処理を行う場合、低圧クリーンアップラインに対するクリーンアップ処理を実行してから、高圧クリーンアップラインに対するクリーンアップ処理を実行している。そのため、クリーンアップ処理を行う時間が長くなり、クリーンアップ処理効率が良くないという問題がある。
【0006】
本発明は上述した課題を解決するものであり、給水系統をクリーンアップ処理するクリーンアップ処理時間を短縮することでクリーンアップ処理効率の向上を図る給水系統のクリーンアップ装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための本発明の給水系統のクリーンアップ装置は、復水器の復水を低圧給水加熱器、脱気器、高圧給水加熱器を通して蒸気発生器に戻す給水系統をクリーンアップする給水系統のクリーンアップ装置において、洗浄水を前記復水器から前記低圧給水加熱器及び前記脱気器を通して前記復水器に戻す低圧クリーンアップラインと、洗浄水を前記復水器から前記脱気器及び前記高圧給水加熱器を通して前記復水器に戻す高圧クリーンアップラインと、前記脱気器に加熱蒸気を供給する加熱蒸気供給ラインと、前記低圧クリーンアップラインにおける前記脱気器より上流側から分岐して前記復水器に至る第1循環ラインと、前記低圧クリーンアップラインにおける第1循環ラインの分岐部より下流側に設けられる第1循環開閉弁と、前記高圧クリーンアップラインにおける前記高圧給水加熱器より下流側から分岐して前記脱気器に至る第2循環ラインと、前記高圧クリーンアップラインにおける前記第2循環ラインの分岐部より下流側に設けられる第2循環開閉弁と、を有することを特徴とするものである。
【0008】
従って、低圧クリーンアップ処理を実行するとき、第1循環開閉弁を閉止し、洗浄水を低圧クリーンアップライン及び第1循環ラインに供給することで、復水戻しラインが洗浄される。また、高圧クリーンアップ処理を実行するとき、第2循環開閉弁を閉止し、洗浄水を高圧クリーンアップライン及び第2循環ラインに供給することで、復水戻しライン、脱気器、高圧給水加熱器が洗浄される。このとき、低圧クリーンアップ処理で洗浄水が流れるラインと、高圧クリーンアップ処理で洗浄水が流れるラインとが独立していることから、低圧クリーンアップ処理と高圧クリーンアップ処理を同時に実施することができる。その結果、給水系統をクリーンアップ処理するクリーンアップ処理時間を短縮することができ、クリーンアップ処理効率を向上することができる。
【0009】
本発明の給水系統のクリーンアップ装置では、洗浄水を前記復水器に供給する第1洗浄水供給ラインと、洗浄水を前記脱気器に供給する第2洗浄水供給ラインとが設けられることを特徴としている。
【0010】
従って、低圧クリーンアップ処理時には、第1洗浄水供給ラインにより洗浄水を復水器に供給し、高圧クリーンアップ処理時には、第2洗浄水供給ラインにより洗浄水を脱気器に供給することとなり、クリーンアップする各領域に適切に洗浄水を供給することができる。
【0011】
本発明の給水系統のクリーンアップ装置では、前記第1循環ラインは、前記低圧クリーンアップラインにおける前記低圧給水加熱器より上流側から分岐して前記復水器に至り、前記低圧クリーンアップラインにおける前記低圧給水加熱器と前記脱気器との間にブローラインが設けられることを特徴としている。
【0012】
従って、低圧クリーンアップ処理時に復水戻しラインだけでなく、低圧給水加熱器も洗浄することができる。
【0013】
本発明の給水系統のクリーンアップ装置では、前記高圧クリーンアップラインにおける前記復水器と前記脱気器との間から分岐して前記脱気器の入口側に連結されると共に熱交換器が設けられる加熱洗浄水供給ラインと、前記第2循環ラインから分岐して前記熱交換器を通って前記復水器に連結される洗浄水加熱ラインとが設けられることを特徴としている。
【0014】
従って、高圧クリーンアップ処理を実行するとき、洗浄水を高圧クリーンアップラインにより復水器から脱気器及び高圧給水加熱器を通して復水器に戻すと共に、加熱蒸気を加熱蒸気供給ラインにより脱気器に供給すると、洗浄水が加熱蒸気により加熱され、高温の洗浄水により脱気器、高圧給水加熱器が洗浄される。このとき、復水器からの低温の洗浄水は、加熱洗浄水供給ラインにより分岐し、熱交換器を通って脱気器に供給される一方、脱気器で加熱蒸気により加熱された高温の洗浄水は、熱交換器を通って復水器に戻される。そのため、熱交換器により、加熱洗浄水供給ラインを流れる低温の洗浄水が、洗浄水加熱ラインを流れる高温の洗浄水により加熱され、使用済の洗浄水の熱を効率良く回収してこれから使用する洗浄水を加熱することができ、加熱蒸気の供給量を低減することができる。その結果、洗浄水を加熱するための蒸気を効率的に使用することで蒸気の使用量を減少してクリーンアップ処理に要するコストを削減することができる。
【0015】
本発明の給水系統のクリーンアップ装置では、前記蒸気発生器からのブローダウンラインが前記洗浄水加熱ラインにおける前記熱交換器よりも上流側に連結されることを特徴としている。
【0016】
従って、蒸気発生器からのブローダウンラインを洗浄水加熱ラインの一部として用いることで、設備コストの増大を抑制することができる。
【0017】
また、本発明の給水系統のクリーンアップ方法は、復水器の復水を低圧給水加熱器、脱気器、高圧給水加熱器を通して蒸気発生器に戻す給水系統をクリーンアップする給水系統のクリーンアップ装置において、洗浄水を前記復水器から給水ラインを通して前記復水器に戻す低圧クリーンアップ工程と、洗浄水を前記脱気器から前記高圧給水加熱器を通して前記脱気器に戻すと共に前記脱気器に加熱蒸気を供給して洗浄水を加熱する高圧クリーンアップ工程と、前記低圧クリーンアップ工程と前記高圧クリーンアップ工程とを同時に実行する工程と、を有することを特徴とするものである。
【0018】
従って、低圧クリーンアップ工程と高圧クリーンアップ工程とを同時に実行することで、給水系統をクリーンアップ処理するクリーンアップ処理時間を短縮することができ、クリーンアップ処理効率を向上することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の給水系統のクリーンアップ装置及び方法によれば、低圧クリーンアップラインにおける脱気器より上流側から分岐して復水器に至る第1循環ラインと、高圧クリーンアップラインにおける高圧給水加熱器より下流側から分岐して脱気器に至る第2循環ラインとを設けるので、低圧クリーンアップ処理と高圧クリーンアップ処理を同時に実施することができ、給水系統をクリーンアップ処理するクリーンアップ処理時間を短縮することができ、クリーンアップ処理効率を向上することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に添付図面を参照して、本発明の給水系統のクリーンアップ装置及び方法の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。
【0022】
[第1実施形態]
図5は、原子力発電プラントを表す概略構成図である。
【0023】
図6に示す原子力発電プラントは、軽水を原子炉冷却材及び中性子減速材として使用し、炉心全体にわたって沸騰しない高温高圧水とし、この高温高圧水を蒸気発生器に送って熱交換により蒸気を発生させ、この蒸気をタービン発電機へ送って発電する加圧水型原子炉(PWR:Pressurized Water Reactor)である。
【0024】
加圧水型原子炉を有する原子力発電プラントにおいて、
図5に示すように、原子炉格納容器11は、内部に加圧水型原子炉12及び蒸気発生器13が格納されており、この加圧水型原子炉12と蒸気発生器13とは配管14,15を介して連結されており、配管14に加圧器16が設けられ、配管15に1次冷却水ポンプ17が設けられている。この場合、減速材及び1次冷却水(冷却材)として軽水を用い、炉心部における1次冷却水の沸騰を抑制するために、1次冷却系統は加圧器16により150〜160気圧程度の高圧状態を維持するように制御している。従って、加圧水型原子炉12にて、燃料(原子燃料)として低濃縮ウランにより1次冷却水としての軽水が加熱され、高温の1次冷却水が加圧器16により所定の高圧に維持した状態で配管14を通して蒸気発生器13に送られる。この蒸気発生器13では、高温高圧の1次冷却水と2次冷却水との間で熱交換が行われ、冷やされた1次冷却水は配管15を通して加圧水型原子炉12に戻される。
【0025】
蒸気発生器13は、蒸気供給ライン18を介して蒸気タービン19と連結されており、この蒸気供給ライン18に主蒸気隔離弁20が設けられている。蒸気タービン19は、高圧タービン21と低圧タービン22を有すると共に、発電機23が接続されている。また、高圧タービン21と低圧タービン22との間には、湿分分離加熱器24が設けられており、蒸気供給ライン18から分岐した冷却水分岐配管25が湿分分離加熱器24に連結される一方、高圧タービン21と湿分分離加熱器24は低温再熱管26により連結され、湿分分離加熱器24と低圧タービン22は高温再熱管27により連結されている。
【0026】
蒸気タービン19の各低圧タービン22は、復水器28を有しており、各低圧タービン22から蒸気が排出される。また、この復水器28は、蒸気供給ライン18からバイパス弁29を有するタービンバイパス配管30が接続されている。
【0027】
そして、この復水器28は、復水戻しライン31が接続されており、復水ポンプ32、グランドコンデンサ33、復水脱塩装置34、復水ブースタポンプ35、低圧給水加熱器36が接続されている。また、復水戻しライン31は、脱気器37が連結されると共に、主給水ポンプ38、高圧給水加熱器39、主給水制御弁40が設けられている。
【0028】
従って、蒸気発生器13にて、高温高圧の1次冷却水と熱交換を行って生成された蒸気は、蒸気供給ライン18を通して蒸気タービン19(高圧タービン21から低圧タービン22)に送られ、この蒸気により蒸気タービン19を駆動して発電機23により発電を行う。このとき、蒸気発生器13からの蒸気は、高圧タービン21を駆動した後、湿分分離加熱器24で蒸気に含まれる湿分が除去されると共に加熱されてから低圧タービン22を駆動する。そして、蒸気タービン19を駆動した蒸気は、復水器28で海水を用いて冷却されて復水となり、グランドコンデンサ33、復水脱塩装置34、低圧給水加熱器36、脱気器37、高圧給水加熱器39などを通して蒸気発生器13に戻される。そして、蒸気発生器13は、蒸気供給ライン18及び復水戻しライン31を介して蒸気タービン19と連結されており、復水ブースタポンプ35、主給水ポンプ38などにより冷却水(蒸気、復水)が循環している。
【0029】
このような原子力発電プラントにおける2次冷却水の給水系統にて、特に、復水器28で冷却された復水を蒸気発生器13に戻す給水系統は、2次冷却水に含まれる不純物が配管や各種機器に付着したり堆積したりする。そのため、原子力発電プラントの定期点検時、この給水系統のクリーンアップ処理を行う。
【0030】
ここで、第1実施形態の給水系統のクリーンアップ装置について説明する。
図1は、第1実施形態の給水系統のクリーンアップ装置を表す概略構成図である。
【0031】
第1実施形態の給水系統のクリーンアップ装置は、
図1に示すように、復水器28の復水を低圧給水加熱器36、脱気器37、高圧給水加熱器39を通して蒸気発生器13に戻す給水系統をクリーンアップするためのものである。
【0032】
給水系統のクリーンアップ装置は、洗浄水を復水器28から低圧給水加熱器36及び脱気器37を通して復水器28に戻す低圧クリーンアップライン101と、洗浄水を復水器28から脱気器37及び高圧給水加熱器39を通して復水器28に戻す高圧クリーンアップライン102と、脱気器37に加熱蒸気を供給する加熱蒸気供給ライン70と、低圧クリーンアップライン101における脱気器37より上流側から分岐して復水器28に至る第1低圧クリーンアップ循環ライン(第1循環ライン)56と、低圧クリーンアップライン101における第1低圧クリーンアップ循環ライン56の分岐部より下流側に設けられる開閉弁(第1循環開閉弁)60と、高圧クリーンアップライン102における高圧給水加熱器39より下流側から分岐して脱気器37に至る第2高圧クリーンアップ循環ライン(第2循環ライン)97と、高圧クリーンアップライン102における第2高圧クリーンアップ循環ライン97の分岐部より下流側に設けられる第3遮断弁(第2循環開閉弁)75とを有している。
【0033】
具体的に説明すると、復水器28から蒸気発生器13に連結される復水戻しライン31は、復水ポンプ32、グランドコンデンサ33、フィルタ41、復水脱塩装置34、復水ブースタポンプ35、開閉弁60、低圧給水加熱器36、脱気器37が連結されると共に、主給水ポンプ38、高圧給水加熱器39、主給水制御弁40が下流側に向けて順に設けられている。フィルタ41にて、復水戻しライン31に開閉弁42が設けられ、この開閉弁42を迂回するバイパス通路43が設けられており、このバイパス通路43に開閉弁44とフィルタ本体45が設けられている。また、復水脱塩装置34にて、復水戻しライン31に開閉弁46が設けられ、この開閉弁46を迂回するバイパス通路47が設けられており、このバイパス通路47に開閉弁48と復水脱塩装置本体49が設けられている。
【0034】
洗浄水タンク51は、所定量の洗浄水を貯留しており、第1洗浄水供給ライン52により復水器28に連結され、第1洗浄水供給ライン52に流量調整弁53が設けられている。復水戻しライン31は、復水器28と復水ポンプ32との間にブローライン54が設けられ、開閉弁55が設けられている。また、復水戻しライン31は、復水ブースタポンプ35と開閉弁60との間に第1低圧クリーンアップ循環ライン56の基端部が連結され、先端部が復水器28に連結されている。そして、第1低圧クリーンアップ循環ライン56は、ブローライン57が設けられ、開閉弁58が設けられると共に、ブローライン57より下流側に第1遮断弁59が設けられている。
【0035】
復水戻しライン31は、低圧給水加熱器36より上流側に開閉弁60が設けられる一方、下流側にブローライン61が設けられ、開閉弁62が設けられている。脱気器37は、復水戻しライン31の一部を用いて復水を循環する脱気器循環ライン63が設けられ、循環ポンプ64が設けられている。また、脱気器37は、出口側に第2低圧クリーンアップ循環ライン65の基端部が連結され、先端部が復水器28に連結されている。そして、第2低圧クリーンアップ循環ライン65は、ブローライン66が設けられ、開閉弁67が設けられると共に、ブローライン66より下流側に第2遮断弁68が設けられている。
【0036】
低圧クリーンアップライン101は、復水戻しライン31の一部と第1低圧クリーンアップ循環ライン56と第2低圧クリーンアップ循環ライン65により構成されている。また、第1低圧クリーンアップ循環ライン56は、第1循環ラインとして機能し、低圧給水加熱器36より上流側から分岐している。そして、復水戻しライン31に設けられる開閉弁60は、第1循環開閉弁として機能する。
【0037】
起動用ボイラ69は、加熱蒸気を生成可能であり、加熱蒸気供給ライン70により脱気器37に連結されている。第1高圧クリーンアップ循環ライン71は、基端部が復水戻しライン31における下流側端部に連結され、先端部が復水器28に連結されている。第1高圧クリーンアップ循環ライン71は、ブローライン72が設けられ、開閉弁73が設けられると共に、ブローライン72より下流側に第3遮断弁75が設けられている。なお、復水戻しライン31は、第1高圧クリーンアップ循環ライン71の連結部より下流側に開閉弁76が設けられている。
【0038】
また、洗浄水タンク51は、第2洗浄水供給ライン95により脱気器37に連結され、第2洗浄水供給ライン95に流量調整弁96が設けられている。第1高圧クリーンアップ循環ライン(第2循環ライン)97は、基端部が第1高圧クリーンアップ循環ライン71におけるブローライン72の分岐部と第3遮断弁75との間に連結され、先端部が脱気器37に連結されている。この第2高圧クリーンアップ循環ライン97は、開閉弁(第1循環開閉弁)98が設けられている。
【0039】
高圧クリーンアップライン102は、復水戻しライン31と第1高圧クリーンアップ循環ライン71と第2高圧クリーンアップ循環ライン97とにより構成されている。また、第2高圧クリーンアップ循環ライン97は、第2循環ラインとして機能し、第3遮断弁75が第2循環開閉弁として機能する。そして、低圧クリーンアップライン101と高圧クリーンアップライン102は、復水器28から低圧給水加熱器36を介して脱気器37に至る共通のクリーンアップラインを有している。
【0040】
以下、第1実施形態の給水系統のクリーンアップ方法について説明する。
図2は、給水系統のクリーンアップ装置を用いた第1低圧クリーンアップ処理及び第1高圧クリーンアップ処理を説明するための概略図、
図3は、給水系統のクリーンアップ装置を用いた第2低圧クリーンアップ処理及び第2高圧クリーンアップ処理を説明するための概略図、
図4は、給水系統のクリーンアップ装置を用いた高圧クリーンアップ処理を説明するための概略図である。
【0041】
第1実施形態の給水系統のクリーンアップ方法は、洗浄水を復水器28から復水戻しライン(給水ライン)31を通して復水器28に戻す低圧クリーンアップ工程と、洗浄水を脱気器37から高圧給水加熱器39を通して脱気器37に戻すと共に脱気器37に加熱蒸気を供給して洗浄水を加熱する高圧クリーンアップ工程と、低圧クリーンアップ工程と高圧クリーンアップ工程とを同時に実行する工程とを有している。
【0042】
給水系統における第1低圧クリーンアップ処理と第1高圧クリーンアップ処理を並行して実施する方法について説明する。
図2に示すように、まず、第1低圧クリーンアップ処理において、開閉弁42,44を閉止する一方、開閉弁55を開放した状態で、流量調整弁53を開放し、洗浄水タンク51の洗浄水を第1洗浄水供給ライン52から復水器28に供給する。すると、洗浄水が復水器28に供給されることで、この復水器28が1次洗浄され、使用済の洗浄水がブローライン54から外部に排出される。復水器28が1次洗浄されると、開閉弁55を閉止する一方、開閉弁42,46を開放して開閉弁44,48を閉止する。その後、開閉弁60を閉止する一方、開閉弁58を開放して第1遮断弁59を閉止することで、洗浄水タンク51の洗浄水を復水器28に供給する。すると、洗浄水が復水ポンプ32(復水ブースタポンプ35)を駆動することで復水器28から復水戻しライン31を通して第1低圧クリーンアップ循環ライン56に供給され、使用済の洗浄水がブローライン57から外部に排出される。そのため、復水戻しライン31の一部、復水ポンプ32、グランドコンデンサ33、復水ブースタポンプ35が1次洗浄される。
【0043】
このとき、開閉弁42,46を閉止して開閉弁44,48を開放することで、フィルタ41におけるバイパス通路43及びフィルタ本体45に洗浄水を供給する。
【0044】
その後、復水戻しライン31の一部、グランドコンデンサ33、復水ブースタポンプ35、フィルタ41、復水脱塩装置34が洗浄されると、開閉弁58を閉止する一方、第1遮断弁59を開放し、流量調整弁53を閉止して洗浄水タンク51からの洗浄水の供給を停止し、洗浄水を復水戻しライン31及び第1低圧クリーンアップ循環ライン56により循環させる。そのため、復水器28、復水戻しライン31の一部、復水ポンプ32、グランドコンデンサ33、復水ブースタポンプ35が2次洗浄され、洗浄水の汚れがフィルタ41により分離される。そして、この冷却水の循環を行い、水質が復水脱塩装置34の通水基準値を満足するまで清浄化されたら、復水脱塩装置34へ通水する。
【0045】
一方、第1高圧クリーンアップ処理において、主給水制御弁40、第2遮断弁68、76,98を閉止し、開閉弁67を開放した状態で、流量調整弁96を開放し、洗浄水タンク51の洗浄水を第2洗浄水供給ライン95から脱気器37に供給する。すると、洗浄水が脱気器37から第2低圧クリーンアップ循環ライン65に供給され、使用済の洗浄水がブローライン66から外部に排出される。そのため、脱気器37が1次洗浄される。脱気器37が1次洗浄されると、開閉弁67を閉止し、循環ポンプ64を駆動することで、脱気器37に供給された洗浄水を脱気器循環ライン63により脱気器37を循環させる。同時に、起動用ボイラ69で生成した加熱蒸気を加熱蒸気供給ライン70により脱気器37に供給する。すると、脱気器循環ライン63を循環する洗浄水に加熱蒸気が混合されることで、この洗浄水が加熱されて高温となる。
【0046】
第1実施形態の給水系統のクリーンアップ方法では、復水器28と復水戻しライン31の一部と復水ポンプ32とグランドコンデンサ33と復水ブースタポンプ35とフィルタ41と復水脱塩装置34を洗浄する第1低圧クリーンアップ処理と、脱気器37を洗浄し脱気器37に供給される洗浄水を加熱する第1高圧クリーンアップ処理とを同時に実施する。
【0047】
次に、
図3に示すように、第2低圧クリーンアップ処理において、開閉弁58を閉止して第1遮断弁59を開放する一方、開閉弁60,62を開放し、また、開閉弁67と第2遮断弁68を閉止した状態で、洗浄水タンク51の洗浄水を復水器28に供給する。すると、洗浄水が復水ポンプ32(復水ブースタポンプ35)を駆動することで復水器28から復水戻しライン31に供給され、使用済の洗浄水がブローライン61から外部に排出される。そのため、復水戻しライン31の一部と低圧給水加熱器36が1次洗浄される。
【0048】
一方、第2高圧クリーンアップ処理において、脱気器37を循環する洗浄水が所定の温度になると、循環ポンプ64を停止し、主給水制御弁40及び開閉弁73を開放して第3遮断弁75及び開閉弁76,98を閉止する。そして、主給水ポンプ38を駆動することで、洗浄水が脱気器37の復水戻しライン31から第1高圧クリーンアップ循環ライン71に供給され、使用済の洗浄水がブローライン72から外部に排出される。そのため、復水戻しライン31の一部が1次洗浄される。
【0049】
復水戻しライン31の一部が1次洗浄されると、開閉弁73を閉止する一方、開閉弁98を開放し、流量調整弁96を閉止して洗浄水タンク51からの洗浄水の供給を停止し、洗浄水を復水戻しライン31と第1高圧クリーンアップ循環ライン71と第2高圧クリーンアップ循環ライン97の間で循環させる。そのため、復水戻しライン31の一部が2次洗浄される。
【0050】
第1実施形態の給水系統のクリーンアップ方法では、低圧給水加熱器36を洗浄する第2低圧クリーンアップ処理と、脱気器37と復水戻しライン31を洗浄する第2高圧クリーンアップ処理とを同時に実施する。
【0051】
その後、
図4に示すように、復水戻しライン31の一部と低圧給水加熱器36が1次洗浄されると、開閉弁62を閉止すると共に、流量調整弁53を閉止して洗浄水タンク51からの洗浄水の供給を停止する。
【0052】
そして、第1低圧クリーンアップ処理と第2高圧クリーンアップ処理により復水戻しライン31の全部が2次洗浄されると、開閉弁75を開放する一方、開閉弁98を閉止する。すると、洗浄水は、復水戻しライン31及び第1高圧クリーンアップ循環ライン71を循環することとなり、洗浄水の汚れが復水脱塩装置34とフィルタ41により分離される。この状態で、蒸気発生器13への復水の供給準備が行われる。
【0053】
このように第1実施形態の給水系統のクリーンアップ装置にあっては、洗浄水を復水器28から低圧給水加熱器36及び脱気器37を通して復水器28に戻す低圧クリーンアップライン101と、洗浄水を復水器28から脱気器37及び高圧給水加熱器39を通して復水器28に戻す高圧クリーンアップライン102と、脱気器37に加熱蒸気を供給する加熱蒸気供給ライン70と、低圧クリーンアップライン101における脱気器37より上流側から分岐して復水器28に至る第1低圧クリーンアップ循環ライン(第1循環ライン)56と、低圧クリーンアップライン101における第1低圧クリーンアップ循環ライン56の分岐部より下流側に設けられる開閉弁(第1循環開閉弁)60と、高圧クリーンアップライン102における高圧給水加熱器39より下流側から分岐して脱気器37に至る第2高圧クリーンアップ循環ライン(第2循環ライン)97と、高圧クリーンアップライン102における第2高圧クリーンアップ循環ライン97の分岐部より下流側に設けられる第3遮断弁(第2循環開閉弁)75とを設けている。
【0054】
従って、低圧クリーンアップ処理を実行するとき、開閉弁60を閉止し、洗浄水を低圧クリーンアップライン101及び第1低圧クリーンアップ循環ライン56に供給することで、復水戻しライン31が洗浄される。また、高圧クリーンアップ処理を実行するとき、第3遮断弁75を閉止し、洗浄水を高圧クリーンアップライン102及び第2高圧クリーンアップ循環ライン97に供給することで、復水戻しライン31、脱気器37、高圧給水加熱器39が洗浄される。このとき、低圧クリーンアップ処理で洗浄水が流れるラインと、高圧クリーンアップ処理で洗浄水が流れるラインとが独立していることから、低圧クリーンアップ処理と高圧クリーンアップ処理を同時に実施することができる。その結果、給水系統をクリーンアップ処理するクリーンアップ処理時間を短縮することができ、クリーンアップ処理効率を向上することができる。
【0055】
第1実施形態の給水系統のクリーンアップ装置では、洗浄水を復水器28に供給する第1洗浄水供給ライン52と、洗浄水を脱気器37に供給する第2洗浄水供給ライン95とを設けている。従って、低圧クリーンアップ処理時には、第1洗浄水供給ライン52により洗浄水を復水器28に供給し、高圧クリーンアップ処理時には、第2洗浄水供給ライン95により洗浄水を脱気器37に供給することとなり、クリーンアップする各領域に適切に洗浄水を供給することができる。
【0056】
第1実施形態の給水系統のクリーンアップ装置では、第1低圧クリーンアップ循環ライン56は、低圧クリーンアップライン101における低圧給水加熱器36より上流側から分岐して復水器28に至り、低圧クリーンアップライン101における低圧給水加熱器36と脱気器37との間にブローライン61を設けている。従って、低圧クリーンアップ処理時に復水戻しライン31だけでなく、低圧給水加熱器36も洗浄することができる。
【0057】
第1実施形態の給水系統のクリーンアップ方法にあっては、洗浄水を復水器28から復水戻しライン(給水ライン)31を通して復水器28に戻す低圧クリーンアップ工程と、洗浄水を脱気器37から高圧給水加熱器39を通して脱気器37に戻すと共に脱気器37に加熱蒸気を供給して洗浄水を加熱する高圧クリーンアップ工程と、低圧クリーンアップ工程と高圧クリーンアップ工程とを同時に実行する工程とを有している。
【0058】
従って、低圧クリーンアップ工程と高圧クリーンアップ工程とを同時に実行することで、給水系統をクリーンアップ処理するクリーンアップ処理時間を短縮することができ、クリーンアップ処理効率を向上することができる。
【0059】
[第2実施形態]
図6は、第2実施形態の給水系統のクリーンアップ装置を表す概略構成図である。なお、上述した実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0060】
第2実施形態の給水系統のクリーンアップ装置は、
図6に示すように、低圧クリーンアップライン101と高圧クリーンアップライン102と加熱蒸気供給ライン70に加えて、低圧クリーンアップライン101における復水器28と脱気器37との間から分岐して脱気器37の入口側に連結されると共に熱交換器82が設けられる加熱洗浄水供給ライン81と、第2高圧クリーンアップ循環ライン97における開閉弁98より上流側から分岐して熱交換器82を通って復水器28に連結される洗浄水加熱ライン85とを設けている。
【0061】
加熱洗浄水供給ライン81は、基端部が復水戻しライン31における第1低圧クリーンアップ循環ライン56との連結部と開閉弁60との間に連結され、先端部が復水戻しライン31における低圧給水加熱器36と脱気器37との間に連結されている。加熱洗浄水供給ライン81は、熱交換器82が設けられており、熱交換器82より上流側に第1開閉弁84が設けられている。この加熱洗浄水供給ライン81は、復水戻しライン31から低圧給水加熱器36を迂回して脱気器37の入口側に連結されている。
【0062】
洗浄水加熱ライン85は、基端部が第2高圧クリーンアップ循環ライン97における開閉弁98より上流側に連結され、先端部が復水器28に連結されている。洗浄水加熱ライン85は、加熱洗浄水供給ライン81における熱交換器82に連結されており、熱交換器82より上流側に第2開閉弁86が設けられている。
【0063】
本実施形態では、復水器28と復水戻しライン31の一部と復水ポンプ32とグランドコンデンサ33と復水ブースタポンプ35とフィルタ41と復水脱塩装置34と低圧給水加熱器36を洗浄する低圧クリーンアップ処理と、脱気器37に供給される洗浄水を加熱して脱気器37と復水戻しライン31を洗浄する高圧クリーンアップ処理とを同時に実施する。
【0064】
そして、洗浄水が復水戻しライン31と第1高圧クリーンアップ循環ライン71と第2高圧クリーンアップ循環ライン97を循環して所定時間が経過すると、開閉弁60を閉止する一方、第1開閉弁84を開放し、復水戻しライン31の洗浄水を加熱洗浄水供給ライン81により低圧給水加熱器36を迂回させて脱気器37に供給する。また、第2開閉弁86を開放して脱気器37から排出された洗浄水の一部を洗浄水加熱ライン85に供給する。ここで、加熱洗浄水供給ライン81を流れる洗浄水は、低温状態にあるが、洗浄水加熱ライン85を流れる洗浄水は、加熱蒸気が混合されて高温状態にある。そのため、加熱洗浄水供給ライン81を流れる洗浄水が熱交換器82を通るとき、洗浄水加熱ライン85を流れる高温の洗浄水と熱交換する。
【0065】
即ち、加熱洗浄水供給ライン81を流れる洗浄水は、熱交換器82にて、洗浄水加熱ライン85を流れる高温の洗浄水から熱を回収することで加熱されて高温となる。そのため、加熱洗浄水供給ライン81を流れる洗浄水は、熱交換器82により高温となって脱気器37に供給されることで、脱気器37に供給する加熱蒸気の供給量を減少することができる。一方、加熱洗浄水供給ライン81の洗浄水を加熱した洗浄水加熱ライン85の洗浄水は、低温となって復水器28に戻される。
【0066】
そして、復水戻しライン31の全部が2次洗浄されると、開閉弁60を開放する一方、第1開閉弁84を閉止し、加熱洗浄水供給ライン81への洗浄水の供給を停止すると共に、第2開閉弁86を閉止して洗浄水加熱ライン85への洗浄水の供給を停止する。また、脱気器37への加熱蒸気の供給を停止する。すると、洗浄水は、復水戻しライン31及び第1高圧クリーンアップ循環ライン71を循環することとなり、蒸気発生器13への復水の供給準備を行う。
【0067】
このように第2実施形態の給水系統のクリーンアップ装置にあっては、低圧クリーンアップライン101における復水器28と脱気器37との間から分岐して脱気器37の入口側に連結されると共に熱交換器82が設けられる加熱洗浄水供給ライン81と、高圧クリーンアップライン102における脱気器37の出口側から分岐して熱交換器82を通って復水器28に連結される洗浄水加熱ライン85とを設けている。
【0068】
従って、高圧クリーンアップ処理を実行するとき、洗浄水を高圧クリーンアップライン102により復水器28から脱気器37及び高圧給水加熱器39を通して復水器28に戻すと共に、加熱蒸気を加熱蒸気供給ライン70により脱気器37に供給すると、洗浄水が加熱蒸気により加熱され、高温の洗浄水により脱気器37、高圧給水加熱器39が洗浄される。このとき、復水器28からの低温の洗浄水は、加熱洗浄水供給ライン81により分岐し、熱交換器82を通って脱気器37に供給される一方、脱気器37で加熱蒸気により加熱された高温の洗浄水は、熱交換器82を通って復水器28に戻される。そのため、熱交換器82により、加熱洗浄水供給ライン81を流れる低温の洗浄水が、洗浄水加熱ライン85を流れる高温の洗浄水により加熱され、使用済の洗浄水の熱を効率良く回収してこれから使用する洗浄水を加熱することができ、加熱蒸気の供給量を低減することができる。その結果、洗浄水を加熱するための蒸気を効率的に使用することで蒸気の使用量を減少してクリーンアップ処理に要するコストを削減することができる。
【0069】
なお、
図6に二点鎖線で示すように、復水器28の復水を低圧給水加熱器36、脱気器37、高圧給水加熱器39を通して蒸気発生器13に戻す給水系統を、この蒸気発生器13からのブローダウン水を脱気器28に送水するブローダウンライン91に設けてもよく、ブローダウンライン91には開閉弁92が設けられている。この場合、洗浄水加熱ライン85は、このブローダウンライン91の一部を利用することで、高圧クリーンアップライン102から分岐して復水器28に至る経路を形成している。即ち、ブローダウンライン91が洗浄水加熱ライン85における熱交換器82よりも上流側に連結されることとなる。
【0070】
そのため、開閉弁60を閉止する一方、第1開閉弁84を開放し、復水戻しライン31の洗浄水を加熱洗浄水供給ライン81により低圧給水加熱器36を迂回させて脱気器37に供給する。また、開閉弁92を閉止する一方、第2開閉弁86を開放し、脱気器37から排出された洗浄水の一部を洗浄水加熱ライン85に供給する。すると、加熱洗浄水供給ライン81を流れる低温の洗浄水が熱交換器82を通るとき、洗浄水加熱ライン85を流れる高温の洗浄水に加熱される。
【0071】
このように蒸気発生器13からのブローダウンライン91を洗浄水加熱ライン85における熱交換器82よりも上流側に連結することで、蒸気発生器13からのブローダウンライン91を洗浄水加熱ライン85の一部として用いることなり、設備コストの増大を抑制することができる。
【0072】
なお、上述した実施形態では、1つの熱交換器82を設けたが、熱交換器の数は各実施形態に限定されるものではなく、2つ以上設けてもよい。
【0073】
また、上述した実施形態では、本発明の給水系統のクリーンアップ装置を原子力発電プラントの給水系統に適用して説明したが、火力発電プラントの給水系統など他のプラントの給水系統に適用してもよい。