特許第6373742号(P6373742)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6373742内燃機関のシリンダ内における吸気ガスおよび/または再循環排気ガスの流れのための制御装置および対応する吸気モジュール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6373742
(24)【登録日】2018年7月27日
(45)【発行日】2018年8月15日
(54)【発明の名称】内燃機関のシリンダ内における吸気ガスおよび/または再循環排気ガスの流れのための制御装置および対応する吸気モジュール
(51)【国際特許分類】
   F02M 26/21 20160101AFI20180806BHJP
   F02M 35/10 20060101ALI20180806BHJP
   F02M 26/68 20160101ALI20180806BHJP
   F02M 26/70 20160101ALI20180806BHJP
【FI】
   F02M26/21
   F02M35/10 311E
   F02M26/68 311
   F02M26/70 311
【請求項の数】12
【外国語出願】
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-244990(P2014-244990)
(22)【出願日】2014年12月3日
(65)【公開番号】特開2015-110948(P2015-110948A)
(43)【公開日】2015年6月18日
【審査請求日】2017年7月26日
(31)【優先権主張番号】1362006
(32)【優先日】2013年12月3日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】505113632
【氏名又は名称】ヴァレオ システム テルミク
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100184181
【弁理士】
【氏名又は名称】野本 裕史
(72)【発明者】
【氏名】ローラン、オディラール
(72)【発明者】
【氏名】ジュリオ、ゲラ
【審査官】 北村 亮
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭57−112063(JP,U)
【文献】 特開2012−72678(JP,A)
【文献】 実開昭64−6355(JP,U)
【文献】 欧州特許出願公開第1281839(EP,A2)
【文献】 米国特許第5562085(US,A)
【文献】 特開昭56−083543(JP,A)
【文献】 特開平11−294267(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 26/21
F02M 26/68
F02M 26/70
F02M 35/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダに吸気ガス(F)および/または再循環排気ガス(EGR)を供給するように配置された少なくとも1つのパイプ(1)を有する吸気モジュール(M)のための、内燃機関のシリンダ内における吸気ガスおよび/または再循環排気ガスの流れのための制御装置(100)であって、
・前記パイプが前記シリンダに前記吸気ガス(F)を供給する第1位置と、前記パイプが前記シリンダに前記再循環排気ガス(EGR)を供給する第2位置との間で制御されることが可能な、少なくとも1つのパイプ(1)を不活性化させるための手段(5)と、
・前記排気ガスの流入ための前記パイプ(1)の開口を密閉することが可能なシーリング手段(15)と、
を備え、
前記シーリング手段(15)は、前記シーリング手段(15)の両側における吸気と排気との間の圧力差の結果として、
・排気の圧力が吸気の圧力より高い時における前記第1位置にある前記不活性化手段(5)のロック位置と、
・排気の圧力が吸気の圧力より低い時における前記不活性化手段(5)の解放の位置と、
の間で移動されるように構成されている
ことを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記シーリング手段(15)は、少なくとも1つのピストン(151)を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記不活性化手段(5)は、軸(R)の周りで回転可能であるとともに前記軸(R)が前記パイプ(1)に対して実質的に交差して配置されるように前記吸気モジュール(M)のパイプ(1)内に配置されることが可能な手段を有する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記ピストン(151)は、前記不活性化手段(5)の回転軸(R)に対して実質的に直角な軸(T)に沿って並進移動されるように構成されている
ことを特徴とする、請求項2を引用する請求項3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記ピストン(151)は、少なくとも1つの表面にわたって平坦な部分(152)を有する
ことを特徴とする請求項2または4に記載の制御装置。
【請求項6】
前記シーリング手段(15)は、前記ロック位置において前記不活性化手段(5)と接触するように構成されており、前記接触領域の範囲において前記不活性化手段(5)の形状を補完する形状を有する
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の制御装置。
【請求項7】
前記不活性化手段は、実質的に円筒形の全体形状の回転プラグバルブ(5)有し、
前記回転プラグバルブ(5)は、当該回転プラグバルブ(5)の角度位置の機能として、吸気ガス(F)および/または再循環排気ガス(EGR)の循環を許容または遮断するように形状付けられた横フランク(9)を有する
ことを特徴とする請求項3に記載の制御装置。
【請求項8】
前記横フランク(9)は、前記プラグバルブ(5)が前記第1位置にある時に前記開口(13)を遮蔽し、前記プラグバルブ(5)が前記第2位置にある時に前記吸気マニフォルド(3)からの前記吸気ガスの通過断面を遮蔽するように形状付けられている
ことを特徴とする請求項7に記載の制御装置。
【請求項9】
前記シーリング手段(15)を前記不活性化手段(5)の解放の位置へ押すように配置された少なくとも1つの戻り手段(154)
を備えたことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の制御装置。
【請求項10】
前記シーリング手段(15)と向かい合って配置され、排気ガスの流入を許容するように形状付けられており、排気の圧力を加圧するための少なくとも1つの手段(157)を有する閉鎖キャップ(155)
を備えたことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の制御装置。
【請求項11】
内燃機関のためのエア吸気モジュールであって、
請求項1〜10のいずれかに記載の、少なくとも1つの制御装置(100)
を備えたことを特徴とするエア吸気モジュール。
【請求項12】
少なくとも2つのシリンダを有する内燃機関のエア吸気モジュールであって、
請求項1〜10のいずれかに記載の、少なくとも2つの制御装置(100)
を備え、
前記制御装置の各々は、前記シリンダの1つに供給するように配置され、
前記制御装置(100)は、互いに独立に制御されるように構成されている
ことを特徴とするエア吸気モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関へのエアの供給の分野に関連する。本発明は、より詳しくは、マルチシリンダエンジン、ならびにシリンダへの吸気ガスおよび再循環排気ガスの流れを制御するために用いられる装置に関連する。
【背景技術】
【0002】
議論中のエンジンは、火花点火タイプまたは圧縮点火タイプ(ディーゼルエンジン)であり得る。エンジンは、大気圧のエアを有するターボチャージャ付きまたはチャージャ付きであり得る。
【0003】
以下では、「吸気ガス」は、新鮮なエアとして理解されよう。さらに、「排気ガス」の用語は、燃料とエンジンに供給されるエアとの間の燃焼プロセスから生じるガスを意味するために特に用いられ、EGR(Exhaust Gas Recirculation)という英語の頭文字により一般に知られている方法により、エンジンの流出口に戻される。
【0004】
通常、エンジンは、公知の4ストロークサイクル、すなわち吸気−圧縮−燃焼/膨張−排気、によりそのシリンダの全てを使用することにより動作する。このサイクルは、吸気の段階と排気の段階との間の、サージングによる損失とも呼ばれる、ガスの伝達による損失が最小の時に最適であると認識されるその効率により特徴付けられている。
【0005】
これらの損失を制限するために、低負荷時の動作中に、またはより一般的には要求される出力がエンジンのシリンダの一部分によってのみ提供され得る時に、シリンダの1つまたは2つ以上を不活性化することが提案されている。
【0006】
不活性化は、一般に、関連するシリンダのいずれかを完全に不活性化することにより、またはそのバルブを互いに異なるように制御することにより、関連するシリンダのバルブの開口に直接作用することによって実行される。
【0007】
しかしながら、不活性化されたシリンダにエアが供給されないため、これは欠点を引き起こす。特に、不活性化されたシリンダの温度が著しく減少され、これは、特にシリンダを再起動する時に排気ガスの全体の温度を低下させる。新鮮なエアの通過無しでさえ、温度のこの減少は、排気ガスを扱うためのシステムにおける触媒コンバータにとって有害である。
【0008】
1つの解決策は、不活性化されたシリンダに、エンジンの流出口に戻される排気ガスを供給することにある。特に、前記ガスが熱く、かつ高圧で戻されることが可能であるため、これは、不活性化されたシリンダにおける温度および圧力を維持することを可能にする。
【0009】
この装置の実装は、一般に、再循環排気ガスの通過を遮断することまたは吸気ガスの通過を遮断することを可能にする、吸気マニフォルドのパイプの少なくとも1つにおける流れを制御する手段と、第1手段と吸気ガスのための吸気バルブとの間の容積と排気ガスマニフォルドとの間の連通を許容する装置と、を要求する。
【0010】
再循環排気ガスの流入口における密封シーリング手段は、この場合、シリンダの不活性化が不活性である時に、すなわちシリンダに吸気ガスのみが供給されなければならない時に、排気ガスマニフォルドと吸気マニフォルドとの間のシールを保証するために必須である。
【0011】
しかしながら、前記流れと再循環排気ガスの流入口の密封シールとを制御するためのこれら2つの手段のための制御システムは、複雑であり、重く、大型であり、かつ高価であると判明し得る。より詳しくは、2つの制御システム、特に互いに独立であり得る2つの機械的システムは、前記流れを制御するための手段と、再循環排気ガスの流入口の密封シーリングのための手段と、を制御するために要求される。
【発明の概要】
【0012】
本発明の目的は、その制御が単純化された、吸気ガスおよび/または排気ガスの流れのための制御装置を提案することにより、先行技術のこれらの欠点を改善することである。
【0013】
この目的のために、本発明の主題は、シリンダに吸気ガスおよび/または再循環排気ガスを供給するように配置された少なくとも1つのパイプを有する吸気モジュールのための、内燃機関のシリンダ内における吸気ガスおよび/または再循環排気ガスの流れのための制御装置であって、
・前記パイプが前記シリンダに前記吸気ガスを供給する第1位置と、前記パイプが前記シリンダに前記再循環排気ガスを供給する第2位置との間で制御されることが可能な、少なくとも1つのパイプを不活性化させるための手段と、
・前記排気ガスの流入ための前記パイプの開口を密閉することが可能なシーリング手段と、
を備え、
前記シーリング手段は、前記シーリング手段の両側における吸気と排気との間の圧力差の結果として、
・排気の圧力が吸気の圧力より高い時における前記第1位置にある前記不活性化手段のロック位置と、
・排気の圧力が吸気の圧力より低い時における前記不活性化手段の解放の位置と、
の間で移動されるように構成されていることを特徴とする制御装置である。
【0014】
吸気および排気の圧力により制御されるそのようなシーリング手段を使用することで、先行技術による再循環排気ガスの流入の密封シーリング手段の制御が省略される。排気マニフォルドのガスと吸気マニフォルドのガスとの間のシールは、吸気と排気との間の圧力の差の結果として移動される自動シーリング手段により実装される。
【0015】
本発明の1つの特徴によれば、前記シーリング手段は、少なくとも1つのピストンを有する。
【0016】
一つの実施形態によれば、前記不活性化手段は、軸の周りで回転可能であるとともに前記軸が前記パイプに対して実質的に交差して配置されるように前記吸気モジュールのパイプ内に配置されることが可能な手段を有する。
【0017】
前記ピストンは、有利には、前記不活性化手段の回転軸に対して実質的に直角な軸に沿って並進移動されるように構成されている。
【0018】
一つの特定の実施形態によれば、前記ピストンは、少なくとも1つの表面上に平坦な部分を有する。この平坦な部分は、ピストンが吸気の圧力で加圧されることを許容する。
【0019】
本発明の更なる特徴によれば、前記シーリング手段は、前記ロック位置において前記不活性化手段と接触するように構成されており、前記接触領域の範囲において前記不活性化手段の形状を補完する形状を有する。
【0020】
一つの実施形態によれば、前記不活性化手段は、実質的に円筒形の全体形状の回転プラグバルブ有し、前記回転プラグバルブは、当該回転プラグバルブの角度位置の機能として、吸気ガスおよび/または再循環排気ガスの循環を許容または遮断するように形状付けられた横フランクを有する。
【0021】
前記横フランクは、例えば、前記プラグバルブが前記第1位置にある時に前記開口を遮蔽し、前記プラグバルブが前記第2位置にある時に前記吸気マニフォルドからの前記吸気ガスの通過断面を遮蔽するように形状付けられている。
【0022】
前記装置は、前記シーリング手段を前記不活性化手段の解放の位置へ押しやるように配置された少なくとも1つの戻り手段を備え得る。
【0023】
この戻り手段は、圧縮バネのような、バネであり得る。シーリング手段は、したがって、エンジンの吸気および排気の圧力により制御されるとともに、バネの力にさらされる。
【0024】
したがって、シーリング手段は、吸気/排気の圧力の差の結果として、および圧縮バネの作用の下で、シーリング手段の解放の位置へ、すなわち排気ガスの吸入口に向かって、押される。
【0025】
排気の圧力が吸気の圧力および圧縮バネの力より高い時、シーリング手段は、不活性化手段のロック位置へと、不活性化手段に対して押される。
【0026】
さらに、バネは、不活性化手段をロックするためのエンジンの速度の制限を改善することを可能にする。
【0027】
一つの実施形態によれば、前記装置は、排気ガスの通過を許容するオリフィスのような、前記シーリング手段と対向して配置され、排気ガスの流入を許容するように形状付けられており、排気の圧力を加圧するための少なくとも1つの手段を有する閉鎖キャップを備える。
【0028】
本発明は、また、上に規定されたような少なくとも1つの制御装置を有する、内燃機関のためのエア吸気モジュールに関連する。
【0029】
一つの実施形態によれば、前記吸気モジュールは、少なくとも2つのシリンダを有する内燃機関のために構成されており、上に規定されたような少なくとも2つの制御装置を備え、前記制御装置の各々は、前記シリンダの1つに供給するように配置され、前記2つの装置は、互いに独立に制御される。
【0030】
したがって、単一のシリンダを不活性化させることと、他のシリンダに関連付けられたパイプの流れの制御とは独立に、関連付けられたパイプ内の吸気ガスまたは排気ガスの流れを制御することと、が可能である。
【0031】
当然、2つのシリンダを不活性化させることも可能である。
【0032】
本発明のさらなる特徴および利点が、説明的かつ非限定的な例として与えられる以下の記載を読むことから、および、付随する図面を参照することで、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1図1は、本発明による吸気ガスおよび/または再循環排気ガスの流れのための制御装置が設けられたエア吸気モジュールの斜視図である。
図2図2は、関連付けられたパイプを不活性化させるための手段と、制御装置の関連付けられたシーリング手段と、を示している。
図3a図3aは、ロック状態における第1位置におけるパイプの不活性化手段の概略断面図である。
図3b図3bは、ロック解放状態における第1位置におけるパイプの不活性化手段の概略断面図である。
図4図4は、不活性化手段の第2位置における図3aを繰り返している。
図5図5は、吸気ガスが本装置に設けられたパイプ内に移行することを許容するとともに排気ガスの流入を遮断する第1位置における不活性化手段を有する吸気モジュールの断面図である。
図6図6は、本装置に設けられたパイプ内の吸気ガスを遮断するとともに排気ガスの通過を許容する第2位置における不活性化手段を有する吸気モジュールの断面図である。
図7図7は、シーリング装置のプラグバルブの図である。
図8図8は、エンジンの速度の関数として吸気の圧力、排気の圧力、およびパイプの不活性化手段に対するシーリング手段の力の変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
これらの図面では、実質的に同一の要素は、同じ参照符号を有している。
【0035】
本発明は、図1に部分的に見ることができる吸気モジュールMに関連し、それは、エンジンのシリンダヘッド上に配置されるように設計されているとともに、マルチシリンダエンジンの各シリンダに対して、当該シリンダに吸気ガスを供給するようにシリンダヘッド内で延在されるように設計された少なくとも1つのパイプ1を有している。
【0036】
さらに、吸気モジュールMは、その内部にパイプ1が排出する吸気マニフォルド3を有している。吸気マニフォルド3には、不図示のシステムにより吸気ガスが供給される。吸気マニフォルド3は、実質的に平行6面体状の容器の全体形状を有し得る。
【0037】
エンジンは複数のシリンダを有しているので、吸気マニフォルド3は、図示された例によるエンジンのシリンダにそれぞれ関連付けられたパイプ1の間で吸気ガスの流れを再分配するように構成されている。
【0038】
吸気マニフォルド3は、異なるシリンダの供給パイプに分配される前の吸気ガスにより横断される熱交換器4を有し得る。熱交換器4は、チャージエアを冷却するように構成されている。そのような熱交換器4は、一般に、給気冷却器「CAC」と呼ばれている。
【0039】
熱交換器4は、吸気マニフォルド3に一体化され得る、または、変形例としてオフセットされ得る。
【0040】
さらに、吸気マニフォルド3の容量は、とくに低負荷での動作中に、または要求される出力がシリンダのただ一部により供給される時に、不活性化されるべき1つまたは2つ以上のシリンダ内でエンジンの流出口に戻される排気ガスの再循環を許容するように、排気マニフォルド(不図示)との流体接続状態に置かれ得る。より詳しくは、エンジンの速度が低い時、シリンダの不活性化は、サージングの結果としての損失を低減することを可能にする。
【0041】
これを達成するために、開口13が、たとえば、少なくとも1つのパイプ1に設けられており、エンジン(不図示)の流出口における再循環排気ガスのためのマニフォルドへの接続を許容する。
【0042】
この目的のために、吸気モジュールMは、吸気ガスおよび/または再循環排気ガスの流れのための制御装置100を有している。制御装置100は、シリンダ内の吸気ガスの流れの循環、または不活性化されるべきシリンダ内の排気ガスの循環、を制御することを可能にする。
【0043】
制御装置100は、少なくとも1つの関連付けられたパイプ1の領域において吸気モジュールM上に配置され得る。
【0044】
エンジンの複数のシリンダを不活性化することを可能にするために、制御装置100は、また、隣接する少なくとも2つのパイプ1の不活性化のために設けられ得る。
【0045】
その代わりとして、単一のパイプ1に関連付けられた制御装置100を設けることも可能であり得る。すなわち、複数の制御装置100の場合、それらは互いに対して独立している。言い換えれば、各吸気パイプには、他の制御装置100から独立した制御手段を有する特定の制御装置100が備え付けられている。
【0046】
さらに、図2に図示されたように、制御装置100は、
・一方では、1つまたは2つ以上のパイプ1のための不活性化手段5と、
・他方では、不活性化手段5をロックまたは解放/アンロックすることが可能なシーリング手段15と、
を備える。
【0047】
不活性化手段5は、
図3aおよび図3bに概略的に示された、活性化位置とも呼ばれる、吸気ガス、すなわちパイプ1内の図3aにおいて矢印Fにより示された新鮮なエアの循環を許容する第1位置と、
図4に概略的に示された、不活性化位置とも呼ばれる、パイプ1内の吸気ガスの循環を遮断するとともこのパイプ1内の矢印EGRにより示された排気ガスの循環を許容する第2位置と、
の間で制御可能である。
【0048】
制御装置100は、有利には、ただ不活性化手段5の移動を制御する機械的システムを有している。
【0049】
不活性化手段5は、たとえば、図5および図6において見ることができるように、吸気マニフォルド3のパイプ1の流出口に配置された、シャッターまたはプラグバルブのような、回転手段の形態で実装されている。
【0050】
図示された例によれば、不活性化手段は、図2および図7において最も明らかに見ることができる回転プラグバルブ5を有している。
【0051】
図示された実施形態によれば、プラグバルブ5は、実質的に円筒形の全体形状を有するとともに長手軸Rを有している。プラグバルブ5は、その軸Rの周りに回転するように構成されている。
【0052】
プラグバルブ5は、その軸がパイプ1に対して実質的に交差するように配置されるように、パイプ1内に配置可能である。図3a〜図6に図示された例によれば、パイプ1の内部形状は、互いに向かい合う2つの壁部6および7により画成されており、プラグバルブ5は、2つの壁部6および7に実質的に平行なやり方で軸Rに沿って長手方向に延びている。
【0053】
さらに、プラグバルブ5は、2つの壁部6,7の間の距離dよりも大きい直径Dを有している。
【0054】
図2および図7に図示された例によれば、プラグバルブ5は、この場合、
・パイプ1に対して横断する部分を形成するとともに軸Rに沿って延在する横フランク9と、
・たとえばシリンダに割り込む流れ経路9’と、
を有している。
【0055】
プラグバルブ5は、また、横断する部分9の端部に接続される、実質的に円形状の2つのカップ部10を有している。
【0056】
横フランクまたは横断する部分9は、プラグバルブ5がパイプ1内に配置される時に平面の壁部6および7に実質的に平行に延在することが可能である。
【0057】
横断する部分は、プラグバルブ5の角度位置の関数として、吸気ガスFおよび/または再循環排気ガスEGRの循環を許容または遮断するように形状付けられている。
【0058】
言い換えれば、横断する部分9は、
・プラグバルブ5が第1位置にある時に排気ガスの流入口のための開口13をシールし、これにより、流れ経路9’を介した吸気ガスの循環を許容するように、および、
・プラグバルブ5が第2位置にある時に吸気マニフォルド3からの吸気ガスのための通過断面をシールし、これにより、流れ経路9’を介した排気ガスの循環を許容するように、
形状付けられている。
【0059】
さらに、横断する部分9は、プラグバルブ5がパイプ1に配置されている時にパイプ1の内部に向かって方向付けられるように設計された内面12を有している。この内面12は、たとえば、プラグバルブ5が第2位置にある時に排気ガスのためのデフレクタを形成することが可能である。
【0060】
そのように形状付けられて、プラグバルブ5は、流れを制御して、吸気ガスが第1位置に移行することを許容するとともに、第2位置において吸気ガスを遮断する、という機能を保証する。
【0061】
図3a、図3bおよび図5では、プラグバルブ5は、(図3aおよび図3bの方向に対して)その下に位置決めされたシリンダに供給するために、吸気ガスの流れのパイプ1への移行を完全に自由にしたまま残す第1位置にある。プラグバルブ5が第1位置にある時、横断する部分9は、排気ガスへの接続のためにパイプ1に形成された開口13を塞ぐ。
【0062】
図4および図6では、プラグバルブ5は、第2位置に位置決めされるように軸Rの周りの予め規定された回転角度により回転され、そこでは、横断する部分9は、吸気マニフォルド3と流体接続しているパイプ1の部分をシールする。この結果は、上述されたような平面の壁部6および7の間の距離dよりも大きい十分な直径Dを有するプラグバルブ5により得られる。プラグバルブ5が第2位置にある時、排気ガスへの接続のためにパイプ1に形成された開口13は、完全に開いている。
【0063】
結果として、プラグバルブ5が第1位置にある時、それはエンジンのシリンダに通じるパイプ1内への排気ガスの導入を遮断し、それが第2位置にある時、それは排気ガスの流れが通過することを許容し、これにより、排気ガスの再循環が不活性化されるべきシリンダに供給することを許容する。
【0064】
プラグバルブ5は、2つの極限状況、すなわち、供給がただ供給ガスとしての新鮮なエアから構成されていることと、供給がただ再循環排気ガスから構成されていることと、の間でパイプ1を介したシリンダの供給を調整することを可能にする。
【0065】
供給モジュールMの関連付けられたパイプ1内におけるプラグバルブ5の一体化は、他のシリンダへの供給に影響しない。より詳しくは、プラグバルブ5は、吸気ガスがエンジンのシリンダの他のパイプ1に自由に分配されることを許容し、その流出口は、遮蔽されている。
【0066】
シーリング手段15は、
・第1位置におけるプラグバルブ5のロック位置と、
・プラグバルブ5の解放の位置またはアンロック位置と、
の間で、シーリング手段15の両側における吸気と排気との間の圧力の差の結果として移動されるように構成されている。
【0067】
図示された実施形態によれば、シーリング手段15は、この排気ガスの流入口を密閉することが可能であるために、プラグバルブ5と向かい合う排気ガスを供給する開口13の前に配置されている。シーリング手段15は、シリンダへの供給パイプ1の開口13と排気ガスマニフォルド(不図示)との間の流体接続を制御することが可能である。
【0068】
吸気と排気との間の圧力の差の結果として、通常動作の間に、すなわちシリンダが不活性化された時に、シーリング手段15は、不活性化手段5を第1位置にロックすることにより、パイプ1の開口13の密閉シールが吸気ガスと排気ガスとの間のいかなる流体接続をも防止することを許容する。
【0069】
より詳しくは、エンジンの速度および負荷が増加する時、シリンダの全てが活性化される。したがって、吸気ガスと排気ガスEGRとの間の完全なシールを達成することが必須である。
【0070】
不活性化手段5をロックまたは解放するシーリング手段15の移動は、両側においてそれに作用する吸気と排気との間の圧力の差により制御される。
【0071】
この目的のために、シーリング手段15は、排気ガスへの接続を許容するパイプ1の開口13に向かい合って配置された少なくとも1つのピストン151を有している。そのように配置されて、ピストン151は、したがって、一方では吸気の圧力に、他方では排気の圧力に、さらされる。
【0072】
ピストン151は、たとえば、図2に見ることができるピストン151の表面にわたって平坦な部分152を形成することにより、ピストン151の1つの表面にわたって吸気ガスの通過を許容するように形状付けられ得る。これは、ピストンが吸気の圧力に加圧されることを許容する。
【0073】
好ましくは、ピストン151は、プラグバルブ5(図2参照)の回転軸Rに対して実質的に直角な軸Tに沿って並行移動されるように配置されている。図5および図6に見ることができる停止部153は、有利には、ピストンがプラグバルブ5と接触していない時に、ピストン151の移動が制限されることを許容する。
【0074】
プラグバルブ5をロックしてシールを保証するように、ピストン151は、プラグバルブ5との共通の接触領域の範囲で、プラグバルブ5の形状を補完する形状を有している。
【0075】
ピストン151は、
・排気の圧力が吸気の圧力より高い時にプラグバルブ5をロックすることにより、排気ガスの吸気を許容する開口13を密閉するように(図3a参照)、かつ、
・プラグバルブ5が自由に回転し得るように、吸気の圧力が排気の圧力より高い時にプラグバルブ5を解放するように(図3b参照)、
構成されている。
【0076】
したがって、エンジンの速度が低い時に、吸気の圧力は、一般に、排気の圧力より高く、ピストン151は、吸気/排気の圧力の差の結果として、排気ガスEGRの流入口に向かって押される。プラグバルブ5は、したがって、プラグバルブ5とシール接触していないピストン151の間隔の結果として、アンロックされる(図6参照)。プラグバルブ5は、1つまたは2つ以上のシリンダの活性化(図3aに見ることができる第1位置)または不活性化(図4に見ることができる第2位置)のために自由に回転し得る。
【0077】
エンジンの速度および負荷が増加する時、シリンダの全てが活性化される。排気の圧力は、当然、吸気の圧力より高くなる。ピストンは、したがって、プラグバルブ5に対して押される。すなわち、ピストン151とプラグバルブ5との間の接触は、したがって、アセンブリのシールを形成する。吸気ガスと排気ガスとの間のシールを保証する、プラグバルブ5とピストン151との間の接触領域Zが、図5に概略的に示されている。
【0078】
排気の圧力が吸気の圧力より高い時にパイプ1に関連付けられたシリンダが不活性化されるならば、プラグバルブ5は自由のまま残される。
【0079】
図8では、
・正方形により特定される、r/minの単位でのエンジンの速度の関数として、mbarAの単位での吸気の圧力の変化の曲線と、
・円により特定される、r/minの単位でのエンジンの速度の関数として、mbarAの単位での排気の圧力の変化の曲線と、
・破線で示される、r/minの単位でのエンジンの速度の関数として、Nの単位でのプラグバルブ5に対するピストン151の力の変化の曲線と、
が示されている。
【0080】
上述されたように、エンジンの速度が低い時、この場合は例えば2500r/minより低い時、吸気の圧力は排気の圧力より高い。吸気の圧力と排気の圧力との間の、すなわち排気の圧力が吸気の圧力より高くなるような曲線の反転の前の、交点は、図示された例によれば、2500r/minの領域にある。
【0081】
この交点は、そこから、シリンダにただ吸気ガスが供給される必要がある時に吸気ガスと排気ガスとの間のシールを保証するためにピストン151を使用してプラグバルブ5をロックする選択肢がある、というエンジンの速度に対応する。
【0082】
図5および図6を再び参照して、たとえば圧縮の下で働く、バネ154のような、少なくとも1つの戻り手段154を設けることが可能であり、それは、バネ154のキャリブレーションを変更することにより、吸気の圧力と排気の圧力との間の交点に対応するプラグバルブ5のロック点をオフセットすることを可能にする。
【0083】
ピストン151は、したがって、エンジンの吸気の圧力および排気の圧力により制御されるとともに、圧縮バネ154の力にさらされる。
【0084】
したがって、エンジンの速度が低い時、ピストン151は、吸気/排気の圧力の差の結果として、および、圧縮バネ153の作用の下で、排気ガス流入口EGRに向かって押される。
【0085】
速度およびエンジンの負荷が増加する時、排気の圧力は、吸気の圧力および圧縮バネ154の力より高い。ピストンは、したがって、プラグバルブ5に対して押される。
【0086】
ピストン154が電磁コイルまたは他の外部制御手段により随意に制御されることが可能である、ということを規定することも可能である。
【0087】
最後に、シールを保証するためにプラグバルブ5に接触するように設計されたピストン151の一側と向かい合う一側にピストン151と向かい合って配置された閉鎖キャップ155を設けることも、可能である。
【0088】
閉鎖キャップ155は、この場合、排気ガスの流入口を許容する開口156、たとえば中央の開口を有している。この開口156は、1つまたは2つ以上のパイプにより排気ガスマニフォルド(不図示)に接続され得る。
【0089】
閉鎖キャップ155は、また、ピストン151の1つの表面に圧力を適用し、これにより、排気の圧力へのピストン151の加圧を許容するように、排気ガスの通過を許容するように形状付けられている。この加圧は、図5において矢印EGRにより概略的に示されている。これを達成するために、例により、少なくとも1つのオリフィス157が、閉鎖キャップ155に設けられており、それは、排気ガスの流入口を許容する開口156と流体接続している。オリフィス157は、図示された例によれば、横オリフィス157である。
【0090】
結論として、同じ制御装置100により、シーリング手段15の追加の制御を必要とすることなく新鮮なエアと排気ガスとの間のシールを保証しながら、関連付けられたシリンダが再循環排気ガスの供給を許容するように不活性化される時にパイプ1内の吸気ガスの通過を遮断すること、または、逆に、シリンダが活性化される時にパイプ1内の排気ガスの通過を遮断すること、を可能にする。
【0091】
吸気および排気の圧力により制御されるシーリング手段15が上述された実施の形態によればピストン151を有するため、不活性化手段5の1つの制御のみ、より詳しくはプラグバルブ5の回転のみが、必要とされる。
【0092】
シーリング手段15のための制御システムの削除は、制御装置100のコストおよび複雑性を低減することを可能にする。さらに、これは、先行技術の解決策に対してより小さい吸気モジュールMを得ることを可能にし、吸気モジュールM上に配置されたバルブのようなシーリング手段を制御するためのシステムを提供する。
図1
図2
図3a
図3b
図4
図5
図6
図7
図8