(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記通信制御部は、所定のタイミングで前記送信データが送信されない場合に異常が発生したと判定する他装置に対して前記送信データを送信するための送信処理を制御し、
前記他装置は、前記送信処理が待機されることの通知を受けると前記所定のタイミングで前記送信データが送信されない場合であっても異常が発生したと判定せず、
前記通信制御部は、前記判定部において待機されるべきと判定された場合、前記送信データの送信先となる前記他装置に対して、前記送信データに対する送信処理が待機されることを通知する、請求項2又は3に記載の伝送装置。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の伝送装置の具体例として、設備監視システムの第一ロジック実行装置について図面を参照して説明する。
(第一実施形態)
図1は、第一実施形態の設備監視システム(設備監視システム100)のシステム構成を表す図である。設備監視システム100は、第一ロジック実行装置10、監視制御装置20、サーバ30、第二ロジック実行装置40及びネットワーク50を備える。設備監視システム100は、所定の目的のために設置された設備を監視する。例えば、設備監視システム100は、上下水道処理設備を監視対象としてもよい。
【0008】
第一ロジック実行装置10は、実施形態の伝送装置に相当する装置である。第一ロジック実行装置10は、例えば、PLC等の制御装置である。第一ロジック実行装置10は、実行対象のプログラムによって定められたロジックを一つ一つ順に実行する。第一ロジック実行装置10が実行するロジックは、第一ロジック実行装置10の記憶装置に予め記憶されている。
【0009】
第一ロジック実行装置10は、ネットワーク50を介して他の装置(監視制御装置20、サーバ30)と通信できる。第一ロジック実行装置10は、ネットワーク50とは異なる経路(例えば、ケーブル接続、無線通信、他のネットワーク)を介して、第二ロジック実行装置40と通信できる。第一ロジック実行装置10は、不図示の広域ネットワークを介して他の装置(例えば遠隔地に設置された上下水道処理設備の装置)と通信してもよい。
【0010】
監視制御装置20は、設備監視システム100の監視対象となっている装置を監視する。例えば、監視制御装置20は、ネットワーク50、第一ロジック実行装置10を介して、上下水道処理設備の装置の情報を取得する。監視制御装置20は、取得された情報に基づいて各装置の監視を行う。
【0011】
サーバ30は、監視制御装置20によって行われた監視の結果を示す情報を、ネットワーク50等の通信網を介して他の情報処理装置に提供する。
【0012】
第二ロジック実行装置40は、予め設定されたプログラム(ロジック)に従って動作する。第二ロジック実行装置40は、第一ロジック実行装置10と通信できる。第二ロジック実行装置40は、不図示の広域ネットワークを介して他の装置(例えば遠隔地に設置された上下水道処理設備の装置)と通信してもよい。
【0013】
図2は、第一実施形態の第一ロジック実行装置(第一ロジック実行装置10)の機能の概略を示すブロック図である。第一ロジック実行装置10は、プロセッサモジュール11及び通信モジュール12を備える。
【0014】
プロセッサモジュール11は、ロジック実行部111、通信制御部112、バッファ情報取得部113、判定部114、待機時間記憶部115及び計時部116を備える。
プロセッサモジュール11は、例えば、PLCのプロセッサとして構成されてもよいし、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサとして構成されてもよい。この場合、上記各機能部は、プロセッサによってプログラムが実行されることにより実現される。また、プロセッサモジュール11の上記機能の一部又は全部は、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されてもよい。
【0015】
ロジック実行部111は、予め設定されたプログラム(ロジック)を実行する。ロジック実行部111は、他の装置に対してデータを送信する場合、通信制御部112にデータの送信を指示する。第一実施形態及び第二実施形態の説明では、ロジック実行部111により送信が指示されるデータを送信データという。
【0016】
通信制御部112は、通信モジュール12による通信処理を制御する。通信制御部112は、他の装置から受信されたデータ(以下「受信データ」という。)が通信バッファ121に格納されると、所定の受信タイミングで通信バッファ121から受信データを読み出す。通信制御部112は、読み出された受信データをロジック実行部111に渡す。通信制御部112は、ロジック実行部111から送信データを受けると、所定の送信タイミングで通信バッファ121に送信データを格納する。ただし、通信制御部112は、判定部114によって待機指示が設定されている間は送信データを通信バッファ121に格納しない。
【0017】
バッファ情報取得部113は、通信モジュール12の通信バッファ121に関する情報を取得する。バッファ情報には、通信バッファ121の状態を表す情報が含まれる。バッファ情報には、例えば通信バッファ121の空きバッファの数(以下「空きバッファ数」という。)に関する情報が含まれる。空きバッファとは、送信データ及び受信データのいずれも有効に格納されていない状態のバッファである。
【0018】
判定部114は、バッファ情報取得部113によって取得されたバッファ情報に基づいて、通信制御部112による送信処理が待機(停止)されるべきか否か判定する(以下、この処理を「待機判定処理」という。)。例えば、判定部114は、通信制御部112による送信処理が待機されるべき時間を判定する。待機されるべき時間が0秒であると判定された場合には、待機される必要が無いと判定されたことと同義である。
【0019】
より具体的には、判定部114は、バッファ情報に含まれる空きバッファ数と、待機時間記憶部115に記憶される待機時間テーブルとに基づいて待機されるべき時間を判定してもよい。判定部114は、待機されるべきと判定された場合、送信処理の実行を一時的に待機することを通信制御部112に指示する。
【0020】
待機時間記憶部115は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置等の記憶装置を用いて構成される。待機時間記憶部115は、待機時間テーブルを記憶する。
図3は、待機時間テーブルの具体例を示す図である。待機時間テーブルは、複数のレコード61を有する。レコード61は、空きバッファ数の値と、待機時間の値とを有する。レコード61の待機時間の値には、そのレコード61の空きバッファ数の値が少ないほど長い時間が設定される。空きバッファ数の値が所定の閾値よりも多い場合には、待機時間は0秒と設定されてもよい。
【0021】
図2の説明に戻る。計時部116は、判定部114によって計時開始の指示を受けると計時を開始する。計時部116は、計時の結果を判定部114に出力する。計時部116は、計時開始の指示を受けてから、判定部114によって設定された時間が経過すると、設定された時間が経過したことを判定部114に通知してもよい。計時部116は、計時開始の指示を受けた後、所定のタイミング毎に判定部114に対して経過した時間を通知してもよい。
【0022】
通信モジュール12は、通信バッファ121、通信処理部122及びバッファ情報通知部123を備える。
通信バッファ121は、送信データ及び受信データを格納するためのバッファを複数備える。
通信処理部122は、通信バッファ121に格納されている送信データに対し、データの送信に必要な処理(符号化処理、変調処理など)を実行することによって送信信号を生成する。通信処理部122は、生成された送信信号をネットワーク50に送出する。通信処理部122は、ネットワーク50から信号を受信すると、受信された信号に対してデータの受信に必要な処理(復調処理、復号処理など)を実行することによって受信データを生成する。通信処理部122は、生成された受信データを通信バッファ121に格納する。
【0023】
バッファ情報通知部123は、通信バッファ121を参照し、通信バッファ121の空きバッファ数を取得する。バッファ情報通知部123は、空きバッファ数に関する情報を含むバッファ情報を生成する。バッファ情報通知部123は、バッファ情報をバッファ情報取得部113に通知する。
【0024】
図4は、第一実施形態の判定部(判定部114)の処理の流れの具体例を表すフローチャートである。まず、判定部114は、バッファ情報取得部113によって取得されたバッファ情報に基づいて待機判定処理を行う(ステップS101)。待機判定処理の結果、待機時間がある(待機時間が0秒ではない)と判定された場合(ステップS102−YES)、判定部114は、通信制御部112に対して待機指示を通知する(ステップS103)。通信制御部112は、待機指示を受けると、待機指示が解除されるまで通信バッファ121に送信データを格納しない。
【0025】
次に、判定部114は、計時部116に対して計時の開始を指示する(ステップS104)。計時の開始の指示に応じて計時部116が計時を開始する。待機時間が経過するまで判定部114は待機指示解除を通知しない(ステップS105−NO)。待機時間が経過すると(ステップS105−YES)、判定部114は通信制御部112に対して待機指示の解除を通知する(ステップS106)。待機指示の解除が通知されると、通信制御部112は、送信データの通信バッファ121への格納を再開する。
【0026】
ステップS102の処理において待機時間が無い(待機時間が0秒である)と判定された場合(ステップS102−NO)、判定部114は、通信制御部112に対して待機指示を通知しない。以上の処理を判定部114は所定のタイミングで繰り返し実行する。所定のタイミングは、例えばバッファ情報取得部113によって新たなバッファ情報が取得されたタイミングであってもよい。所定のタイミングは、直前の処理の実行(
図4のフローチャートの処理の実行)から予め定められた時間(例えば、0.1秒、1秒、10秒など)が経過したタイミングであってもよい。所定のタイミングは他のタイミングであってもよい。
【0027】
このように構成された第一ロジック実行装置10によれば、より安定した通信を行うことが可能となる。以下、このような効果の詳細について説明する。
第一ロジック実行装置10では、通信バッファ121の空きバッファ数が少ない場合、通信制御部112は新たな送信データの通信バッファ121への格納を待機する。そのため、送信データによって通信バッファ121の空きバッファ数が少なくなることを抑止できる。その結果、通信処理部122において新たに信号が受信された際に、受信データを格納するための空きバッファが無い状態が生じることを抑止できる。したがって、新たな受信データが通信バッファ121から漏れてしまい通信にエラーが生じてしまうことを防止することで、より安定した通信を行うことが可能となる。同様に、ロジック実行部111において新たに送信データが生成された際に、通信制御部112が送信データを通信バッファ121に格納しようとしてオーバーフローが生じてしまうことを抑止できる。したがって、より安定した通信を行うことが可能となる。
上述した第一実施形態において、通信バッファは、送信データが格納されるバッファ(送信バッファ)と、受信データが格納されるバッファ(受信バッファ)とに分けて設けられてもよい。
第二ロジック実行装置40はネットワーク50に接続されるように構成されてもよい。この場合、第一ロジック実行装置10は、ネットワーク50を介して第二ロジック実行装置40と通信できる。
【0028】
(第二実施形態)
図5は、第二実施形態の設備監視システム(設備監視システム100a)のシステム構成を表す図である。設備監視システム100aは、第一ロジック実行装置10に代えて第一ロジック実行装置10aを備える点、第二ロジック実行装置40に代えて第二ロジック実行装置40aを備える点、で第一実施形態の設備監視システム100と異なる。設備監視システム100aの他の構成に関しては、第一実施形態の設備監視システム100の構成と同様である。
【0029】
図6は、第二実施形態の第一ロジック実行装置(第一ロジック実行装置10a)の機能の概略を示すブロック図である。第一ロジック実行装置10aは、通信制御部112に代えて通信制御部112aを備える点、判定部114に代えて判定部114aを備える点、で第一実施形態の第一ロジック実行装置10と異なる。第一ロジック実行装置10aの他の構成に関しては、第一実施形態の第一ロジック実行装置10の構成と同様である。
【0030】
通信制御部112aは、判定部114aによって待機すると判定された場合、送信処理の実行が一時的に待機されることを示す情報(待機通知)を第二ロジック実行装置40aに送信する。待機通知には、送信処理の実行が待機される時間(待機時間)が含まれてもよい。
【0031】
判定部114aは、待機判定処理において待機されるべきと判定した場合、待機指示に加えて待機通知の送信を通信制御部112aに指示する。通信制御部112aは、待機通知の送信の指示に応じて、他の装置に対し待機通知を送信する。
【0032】
図7は、第二実施形態の第二ロジック実行装置(第二ロジック実行装置40a)の機能の概略を示すブロック図である。第二ロジック実行装置40aは、プロセッサモジュール41及び通信モジュール42を備える。
【0033】
プロセッサモジュール41は、ロジック実行部411、通信制御部412及び異常判定部413を備える。
プロセッサモジュール41は、例えば、PLCのプロセッサとして構成されてもよいし、CPU等のプロセッサとして構成されてもよい。この場合、上記各機能部は、プロセッサによってプログラムが実行されることにより実現される。また、プロセッサモジュール41の上記機能の一部又は全部は、FPGA等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されてもよい。
【0034】
ロジック実行部411は、予め設定されたプログラム(ロジック)を実行する。ロジック実行部411は、他の装置に対してデータを送信する場合、通信制御部412にデータの送信を指示する。また、ロジック実行部411は、他の装置から送信されたデータを通信制御部412から受ける。
【0035】
通信制御部412は、通信モジュール42による通信処理を制御する。通信制御部412は、他の装置から受信されたデータが通信バッファ421に格納されると、所定の受信タイミングで通信バッファ421からデータを読み出す。通信制御部412は、読み出されたデータをロジック実行部411に渡す。通信制御部412は、ロジック実行部411からデータを受けると、所定の送信タイミングで通信バッファ421にデータを格納する。
【0036】
異常判定部413は、第一ロジック実行装置10aから受信されたデータの内容やタイミングに基づいて異常の発生を判定する。例えば、所定の時間以上継続して第一ロジック実行装置10aから新たなデータが受信されなかった場合、異常判定部413は、第一ロジック実行装置10aにおいて異常(故障やエラー)が生じたと判定する。ただし、異常判定部413は、第一ロジック実行装置10aから待機通知を受けた場合、所定の時間以上継続して第一ロジック実行装置10aから新たなデータが送信されなかったとしても、第一ロジック実行装置10aにおいて異常が生じたとは判定しない。待機通知に待機時間が含まれている場合、異常判定部413は、待機通知を受信してから待機時間が経過するまでの間は、第一ロジック実行装置10aから新たなデータが送信されなかったとしても、第一ロジック実行装置10aにおいて異常が生じたとは判定しない。
【0037】
図8は、第二実施形態の判定部(判定部114a)の処理の流れの具体例を表すフローチャートである。なお、
図8において、
図4と同じ内容の処理には同じ符号を付して説明を省略する。
【0038】
判定部114aは、待機時間がある(待機時間が0秒ではない)と判定した場合(ステップS102−YES)、通信制御部112aに対して待機指示及び待機通知送信指示を通知する(ステップS103,ステップS111)。通信制御部112aは、待機指示を受けると、待機指示が解除されるまで通信バッファ121に送信データを格納しない。また、通信制御部112aは、待機通知送信指示を受けると、送信データの送信先となっている他の装置(例えば第二ロジック実行装置40a)に対して待機通知を送信する。その後、ステップS104以降の処理が実行される。
【0039】
このように構成された第二実施形態の第一ロジック実行装置10a及び第二ロジック実行装置40aによれば、より安定した通信を行うことが可能となる。以下、このような効果の詳細について説明する。
【0040】
第二実施形態において、第二ロジック実行装置40aは、所定のタイミングで第一ロジック実行装置10aから所定の送信データを受信することになっている装置である。一般的にこのような装置は、第一ロジック実行装置10aから一定時間以上継続して新たな送信データを受信できない場合には、第一ロジック実行装置10aにおいて異常が生じたと判定する。第二ロジック実行装置40aにおいても、第一ロジック実行装置10aから一定時間以上継続して新たな送信データを受信できない場合には、異常判定部413が上記のような判定を行う。第一ロジック実行装置10aにおいて、送信処理の待機が発生すると、その間は第一ロジック実行装置10aから新たな送信データが送信されない。このとき、第一ロジック実行装置10aには異常やエラーが発生しているわけではないにもかかわらず、他の装置は第一ロジック実行装置10aにおいて異常が発生したと誤って判定するおそれがある。
【0041】
このような問題に対し、第二実施形態における第二ロジック実行装置40aは、待機通知が受信されると、所定の時間以上継続して第一ロジック実行装置10aから新たなデータが送信されなかったとしても、第一ロジック実行装置10aにおいて異常が生じたとは判定しない。また、待機通知に待機時間が含まれる場合、異常判定部413は、待機通知を受信してから待機時間が経過するまでの間は、第一ロジック実行装置10aから新たなデータが送信されなかったとしても、第一ロジック実行装置10aにおいて異常が生じたとは判定しない。
【0042】
このような理由により、第二実施形態では、第一ロジック実行装置10aにおいて送信処理の待機が発生したとしても、誤って第一ロジック実行装置10aに異常が発生したと判定されてしまうことを防止できる。そのため、より安定した通信を行うことが可能となる。
【0043】
第二実施形態において、第一ロジック実行装置10aの通信相手となる装置は、第二ロジック実行装置40aに限定される必要は無い。例えば、監視制御装置20又はサーバ30が第一ロジック実行装置10aの通信相手となる装置であってもよい。この場合、異常判定部413は、第一ロジック実行装置10aの通信相手となる装置に設けられる。
【0044】
(第三実施形態)
図9は、第三実施形態の設備監視システム(設備監視システム100b)のシステム構成を表す図である。設備監視システム100bは、第一ロジック実行装置10aに代えて第一ロジック実行装置10bを備える点、第二ロジック実行装置40aに代えて第二ロジック実行装置40bを備える点、で第二実施形態の設備監視システム100aと異なる。設備監視システム100bの他の構成に関しては、第二実施形態の設備監視システム100aの構成と同様である。
【0045】
図10は、第三実施形態の第一ロジック実行装置(第一ロジック実行装置10b)の機能の概略を示すブロック図である。第一ロジック実行装置10bは、通信制御部112aに代えて通信制御部112bを備える点、判定部114aに代えて判定部114bを備える点、計時部116を備えない点、で第二実施形態の第一ロジック実行装置10aと異なる。第一ロジック実行装置10bの他の構成に関しては、第二実施形態の第一ロジック実行装置10aの構成と同様である。
【0046】
通信制御部112bは、通信モジュール12による通信処理を制御する。通信制御部112bは、受信データが通信バッファ121に格納されると、所定の受信タイミングで通信バッファ121から受信データを読み出す。通信制御部112bは、読み出された受信データをロジック実行部111に渡す。通信制御部112bは、ロジック実行部111から送信データを受けると、所定の送信タイミングで通信バッファ121に送信データを格納する。通信制御部112bは、判定部114bによって待機が必要であると判定された場合、送信処理の実行の待機を依頼することを示す情報(送信待機依頼)を第二ロジック実行装置40bに送信する。送信待機依頼には、送信処理の実行が待機される時間(待機時間)が含まれてもよい。
なお、通信制御部112bは、第一実施形態及び第二実施形態の通信制御部のような送信処理の待機は行わない。
【0047】
判定部114bは、バッファ情報取得部113によって取得されたバッファ情報に基づいて、第二ロジック実行装置40bにおいて送信処理が待機されるべきか否か判定する(以下、この処理を「待機依頼判定処理」という。)。例えば、判定部114bは、第二ロジック実行装置40bによる送信処理が待機されるべき時間を判定する。待機されるべき時間が0秒であると判定された場合には、待機される必要が無いと判定されたことと同義である。
【0048】
より具体的には、判定部114bは、バッファ情報に含まれる空きバッファ数と、待機時間記憶部115に記憶される待機時間テーブルとに基づいて待機されるべき時間を判定する。判定部114bは、待機されるべきと判定された場合、送信待機依頼の第二ロジック実行装置40bへの送信を通信制御部112bに指示する。
【0049】
図11は、第三実施形態の第二ロジック実行装置(第二ロジック実行装置40b)の機能の概略を示すブロック図である。第二ロジック実行装置40bは、プロセッサモジュール41b及び通信モジュール42を備える。
【0050】
プロセッサモジュール41bは、ロジック実行部411、通信制御部412b及び計時部414を備える。
プロセッサモジュール41bは、例えば、PLCのプロセッサとして構成されてもよいし、CPU等のプロセッサとして構成されてもよい。この場合、上記各機能部は、プロセッサによってプログラムが実行されることにより実現される。また、プロセッサモジュール41bの上記機能の一部又は全部は、FPGA等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されてもよい。
【0051】
ロジック実行部411は、予め設定されたプログラム(ロジック)を実行する。ロジック実行部411は、他の装置に対してデータを送信する場合、通信制御部412bにデータの送信を指示する。また、ロジック実行部411は、他の装置から送信されたデータを通信制御部412bから受ける。
【0052】
通信制御部412bは、通信モジュール12による通信処理を制御する。通信制御部412bは、他の装置から受信されたデータが通信バッファ421に格納されると、所定の受信タイミングで通信バッファ421からデータを読み出す。通信制御部412bは、読み出されたデータをロジック実行部411に渡す。通信制御部412bは、ロジック実行部411から送信対象のデータ(以下、本実施形態において「送信データ」という。)受けると、所定の送信タイミングで通信バッファ421に送信データを格納する(以下、本実施形態において「送信処理」という。)。
【0053】
通信制御部412bは、第一ロジック実行装置10bから送信待機依頼を受信すると、送信処理の実行を待機する。通信制御部412bが送信処理の実行を待機する時間は、予め定められた固定値の時間であってもよいし、送信待機依頼に含まれる待機時間であってもよい。
【0054】
計時部414は、通信制御部412bによって計時開始の指示を受けると計時を開始する。計時部414は、計時の結果を通信制御部412bに出力する。計時部414は、計時開始の指示を受けてから、通信制御部412bによって設定された時間が経過すると、設定された時間が経過したことを通信制御部412bに通知してもよい。計時部414は、計時開始の指示を受けた後、所定のタイミング毎に通信制御部412bに対して経過した時間を通知してもよい。
【0055】
図12は、第三実施形態の判定部(判定部114b)の処理の流れの具体例を表すフローチャートである。
まず、判定部114bは、バッファ情報取得部113によって取得されたバッファ情報に基づいて待機依頼判定処理を行う(ステップS121)。待機依頼判定処理の結果、待機時間がある(待機時間が0秒ではない)と判定された場合(ステップS122−YES)、判定部114bは、通信制御部112bに対して送信待機依頼送信指示を通知する(ステップS123)。通信制御部112bは、送信待機依頼送信指示を受けると、第二ロジック実行装置40aに対して送信待機依頼を送信する。
【0056】
ステップS122の処理において待機時間が無い(待機時間が0秒である)と判定された場合(ステップS122−NO)、判定部114bは、通信制御部112に対して送信待機依頼送信指示を通知しない。以上の処理を判定部114bは所定のタイミングで繰り返し実行する。所定のタイミングは、例えばバッファ情報取得部113によって新たなバッファ情報が取得されたタイミングであってもよい。所定のタイミングは、予め定められた時間(例えば、0.1秒、1秒、10秒など)の経過であってもよい。所定のタイミングは他のタイミングであってもよい。
【0057】
このように構成された第三実施形態の第一ロジック実行装置10b及び第二ロジック実行装置40bによれば、より安定した通信を行うことが可能となる。以下、このような効果の詳細について説明する。
【0058】
第三実施形態において、第二ロジック実行装置40bは、第一ロジック実行装置10bに対してデータを送信する装置である。第一ロジック実行装置10bは、通信バッファ121の空きバッファ数が少ない場合、データの送信元となっている第二ロジック実行装置40bに対し、送信処理の待機を依頼する。第二ロジック実行装置40bによる送信処理が待機されることによって、一時的に第一ロジック実行装置10bの通信バッファ121の空きバッファ数の低減を抑止することが可能となる。すなわち、受信データによって通信バッファ121の空きバッファ数が少なくなることを抑止できる。その結果、通信処理部122において新たに信号を送信する際に、通信バッファ121の空きバッファが無い状態が生じることを抑止できる。したがって、空きバッファ数の不足により送信データが送信されないことを抑止できる。このように、より安定した通信を行うことが可能となる。
【0059】
第三実施形態における第一ロジック実行装置10bは、第二実施形態における第二ロジック実行装置40aが備える異常判定部413と同等の構成を備えてもよい。この場合、異常判定部413は、第二ロジック実行装置40bにおいて送信処理が待機されるべきと判定された場合、所定の時間又は待機時間が経過するまでは、第二ロジック実行装置40bから新たなデータが送信されなかったとしても、第二ロジック実行装置40bにおいて異常が生じたとは判定しない。
【0060】
第三実施形態において、第一ロジック実行装置10bの通信相手となる装置は、第二ロジック実行装置40bに限定される必要は無い。例えば、監視制御装置20又はサーバ30が第一ロジック実行装置10bの通信相手となる装置であってもよい。この場合、通信制御部412b及び計時部414は、第一ロジック実行装置10bの通信相手となる装置に設けられる。
【0061】
第三実施形態において、第一ロジック実行装置10bは、計時部116を備えないことが必須ではない。すなわち、第一ロジック実行装置10bは計時部116を備えるように構成されてもよい。
第三実施形態において、第一ロジック実行装置10bが送信処理の待機を行わないことは必須ではない。すなわち、通信制御部112bは、第一実施形態及び第二実施形態の通信制御部のような送信処理の待機は行ってもよい。
【0062】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、第一ロジック実行装置のバッファの状況に応じて通信が待機されるため、より安定した通信を行うことが可能となる。
【0063】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。