【文献】
Fertility and Sterility, 2002, vol.77, No.4, p.846−847
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
不妊症のカップルの治療に使用される、経腟投与用の親水性ゲル形状の医薬組成物であって、ホスホジエステラーゼ阻害剤、ポリヒドロキシアルコール、水、カルボマ及びアルカリ剤を含んでなり、
前記ホスホジエステラーゼ阻害剤が、ペントキシフィリン、ロリプラム、ミルリノン及びイブジラストからなる群より選択され、
前記不妊症が実質的に男性不妊症を原因とするものであり、
性交の前及び/又は後に経腟投与されることを特徴とする医薬組成物。
【背景技術】
【0002】
先進国においては、子供をもうけたいと願うカップルの約15%が、その願いをかなえるのが困難であると推定されている。カップルが、少なくとも12カ月間、避妊せずに性的関係をもっても懐胎し得なかった場合、そのカップルは不妊症であると見做される。例えば、ドールらが文献[Dohle et al.,Guidelines on Male Infertility(男性不妊症に関するガイドライン)(2010年最新版)the European Association of Urology(欧州泌尿器学会)出版]に記載しているように、不妊症カップルの約50%に男性の不妊因子が見出されると推定されている。男性不妊症は、主として、精液の性質の劣ることを原因としており、その原因は非常に様々である。それ故、事実上、男性不妊症の原因は多くの場合未知であり、しばしば特発性不妊症と言われる。これらの事例においては、経験的な医療が頼りとされるが、当該治療は時間のかかる傾向があって、しかも有効性が様々であり、また長期に渡る経口薬物治療と関連する副作用のリスクを常に伴う。従って、これらのカップルにとって最善の選択肢は、子供をもつために試みる介助生殖法に頼ることである、と多くの場合に考えられる。
【0003】
不妊カップルが頼りとする傾向のある介助生殖法は、夫婦間人工授精(CAI)及び体外受精(IVF)である。CAIはカップルの精液それ自体をあらかじめ子宮内経路で精子受精能獲得のプロセスに付して、精子が卵子受精能を獲得するようにして受精させることからなる。IVFは女性から卵母細胞を抽出し、予め能力獲得させたパートナーからの精子を体外受精させることに基づく。
【0004】
介助生殖法は、過去10年にわたって、我々の社会で極一般的な慣行となっているが、それらはなお一連の欠点を有している。
【0005】
先ず、介助生殖法は侵襲的方法であり、受胎を達成するためには必ず医療の介入を必要とし、またカップルにとっては厄介な問題となり得るものであって、さらにはカップル間の自発的な性行為の結果である妊娠を必然的に中断するという現実もある。さらに、当該方法は高額の費用がかかり、またその成功率は中程度である。それ故、ヘルナンデッツらの文献[Hernandez et al.,Registro de IAC−IAD de la Sociedad Espanola de Fertilidad(CAI−AID Register of the Spanish Society of Fertility(CAI−AID登録スペイン受精能学会)).2003年、Revista Iberoamericana de Fertilidad y Reproduccion Humana(Iberoamerican Magazine of Human Fertility and Reproduction(イベロアメリカ・ヒト受精能と生殖誌)),2007,24(4):229−240]は、例えば、スペイン受精能学会が2003年にスペイン全土95ヵ所の施設から提供されたデータから収集した授精登録簿(夫婦間人工授精CAI及びドナーによる人工授精又はAID)からのデータを編集したものであり、そこで観察されることは、カップル授精又はCAIの場合、妊娠率は14.7%であるということである。上記の理由のため、多くのカップルは介助生殖法を受けることに乗り気ではないことが分かる。
【0006】
介助生殖法の範囲内において、従来技術は、非特異的ホスホジエステラーゼ酵素阻害剤であるペントキシフィリンの体外使用について記載しているが、それは当該方法で使用しようとする精子の受精能獲得を改善する目的で、その精子運動能の能力改善のために精子サンプルを処理するものであり、体外授精のため、または人工授精のための方法である。これらはミナスらの文献[Minhas et al.,Effectiveness of pentoxifylline in semen preparation for intrauterine insemination(子宮内授精用の精液標品におけるペントキシフィリンの有効性),Hum.Reprod.,1996,11(6):1236−9]に記載されている。
【0007】
同様に、精液抽出物における選択的ホスホジエステラーゼPDE1及びPDE4阻害剤のインビトロ作用も検討されている。フィッシュらの文献によると、選択的PDE4阻害剤は精液の運動性を増大するが、一方選択的PDE1阻害剤はアクロソームの反応を促進する[Fisch et al.,Enhancement of motility and acrosome reaction in human spermatozoa:differential activation by type specific phosphodiesterase inhibitors(ヒト精子における運動性とアクロソーム反応の増強;タイプ特異的ホスホジエステラーゼ阻害剤による差別的活性化),Hum.Reprod.1998;13(5):1248−54]。
【0008】
他方、アパラシオらによる文献[Aparicio et al.,Pentoxifylline(BL191)by oral administration in the treatment of asthenozoospermia(精子無力症の治療における経口投与によるペントキシフィリン(BL191)),Andrology,1980,12(3):228−31]は、精子無力症もしくは低精子運動性の男性の治療に、ペントキシフィリンを経口投与したと記載している。当該文献は、高用量のペントキシフィリンを精子無力症の男性15人の1群に、1日1200mg、4カ月間投与した研究について記載している。治療した被験者の精子運動性の実質的な改善が観察され、治療後、2人の妊娠(13.3%)が認められた。しかし、経口ペントキシフィリンによる治療は、一般にいずれもの連続的薬理学治療で起こるように、ある種の有害作用のリスクを引き起こすが、特に、例えば、起こり得る副作用として、ペントキシフィリンは低血圧及び不整脈を誘発し得ることが記載されている。スペイン特許出願ES−A−2245609号明細書は、ペントキシフィリン又はその代謝産物が突然変異誘発作用を惹き起こし得ると記載している。
【0009】
国際特許出願WO−A−2004/037262号明細書は、女性の性欲増進を目的とするホスホジエステラーゼ阻害剤の経腟投与について記載している。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の目的は、不妊症カップルの治療に使用するために経腟的に投与するホスホジエステラーゼ阻害剤を提供することにある。
【0018】
本発明者らは経腟投与によるホスホジエステラーゼ阻害剤の新規使用法を開発したが、この方法は、不妊症治療に有意に有効であり、安全、経済的、且つ使用し易い治療方を提供し、従って、介助生殖法の効果的な非侵襲的代替法を構成する。
【0019】
[ホスホジエステラーゼ阻害剤]
ホスホジエステラーゼ阻害剤は環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼ(PDE)のファミリの酵素作用を阻害する一群の薬物であり、該酵素は環状ヌクレオチド一リン酸cAMP(環状アデノシン一リン酸)及びcGMP(環状グアノシン一リン酸)の内部リン酸エステル結合の加水分解を触媒する酵素である。従って、ホスホジエステラーゼ阻害剤は、第二の細胞間メッセンジャcAMPとcGMPの代謝を阻害するように作用する。
【0020】
ホスホジエステラーゼファミリは、ホスホジエステラーゼ1(PDE1)からホスホジエステラーゼ11(PDE11)として配列の知られる11グループから形成されている。かかる薬物は選択的な阻害剤である、すなわち、当該グループの一部を特異的に阻害する薬物、ならびに非特異的もしくは非選択的ホスホジエステラーゼ阻害剤として知られる他の薬物、すなわち、2種以上のホスホジエステラーゼを同時に阻害する薬物が記載されている。
【0021】
本発明の範囲内において、用語ホスホジエステラーゼ阻害剤は、当該酵素群のいずれの阻害性薬物も含み、非特異的ホスホジエステラーゼ阻害剤及び該ホスホジエステラーゼPDE1、PDE2、PDE3、PDE4、PDE5、PDE6、PDE7、PDE8、PDE9、PDE10もしくはPDE11のいずれかの選択阻害剤、ならびに2種以上のホスホジエステラーゼ阻害剤の混合物を包含する。
【0022】
本発明の範囲内での使用に適する選択的阻害剤は、例えば、選択的ホスホジエステラーゼ1(PDE1)阻害剤、例えば、ビンポセチン(vinpocetine)など、選択的ホスホジエステラーゼ2(PDE2)阻害剤、例えば、EHNA(エリスロ−9−(2−ヒドロキシ−3−ノニル)アデニン)など、選択的ホスホジエステラーゼ3(PDE3)阻害剤、例えば、ミルリノン(milrinone)、アムリノン(amrinone)、エノキシモン(enoxymone)、シロスタゾール(cilostazol)又はサイロスタミド(cylostamide)など、選択的ホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害剤、例えば、ロリプラム(rolipram)、デンブフィリン(denbufylline)、シロミラスト(cilomilast)及びロフルミラスト(roflumilast)など、又は選択的ホスホジエステラーゼ5(PDE5)阻害剤、例えば、シルデナフィル(sildenafil)、タダラフィル(tadalafil)又はバルデナフィル(vardenafil)などである。もっとも、後者は、PDE5及びPDE6が構造的に関係しているため、ホスホジエステラーゼ6とも相互作用する。
【0023】
本発明の範囲内で使用に適する非特異的阻害剤は、例えば、ペントキシフィリン、テオフィリン、テオブロミン、イブジラスト、パパベリン、及び3−イソブチル−1−メチルキサンチンなどである。
【0024】
本発明の好適な実施態様において、ホスホジエステラーゼ阻害剤は、ホスホジエステラーゼ1(PDE1)阻害剤、ホスホジエステラーゼ3(PDE3)阻害剤、ホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害剤及び非選択的ホスホジエステラーゼ阻害剤、及びその組合せからなる群より選択される。
【0025】
より好適な実施態様において、該ホスホジエステラーゼ阻害剤はペントキシフィリン、ロリプラム、ミルリノン及びイブジラストからなる群より選択される。
【0026】
本発明の特に好適な実施態様において、該ホスホジエステラーゼ阻害剤はペントキシフィリンである。
【0027】
ロリプラムは、該製品4−(3−シクロペンチルオキシ)−4−メトキシフェニル)−2−ピロリジノンに命名された国際一般名(INN)であり、選択的ホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害剤である。
【0028】
ロリプラムは、例えば、ベルギー特許BE−A−826923号明細書に記載されたとおりに調製し得る。
【0029】
ミルリノンは、該製品1,6−ジヒドロ−2−メチル−6−オキソ−(3,4’−ビピリジン)−5−カルボニトリルに命名された国際一般名(INN)であり、選択的ホスホジエステラーゼ3(PDE3)阻害剤である。
【0030】
ミルリノンは、例えば、ベルギー特許BE−A−886336号明細書に記載されたとおりに調製し得る。
【0031】
イブジラストは、該製品2−メチル−1−(2−(1−メチルエチル)ピラゾロ(1,5−a)ピリジン−3−イル)−1−プロパノンに命名された国際一般名(INN)である。このものはホスホジエステラーゼ3、4、10及び11を阻害する非特異的ホスホジエステラーゼ阻害剤である。
【0032】
イブジラストは、ドイツ特許DE−A−2315801号明細書に記載されているとおりに調製し得る。
【0033】
ペントキシフィリンは、該製品3,7−ジヒドロ−3,7−ジメチル−1−(5−オキソヘキシル)−1H−プリン−2,6−ジオンに命名された国際一般名(INN)であり、キサンチン類、特にメチルキサンチン類のグループに属する薬物である。
【0034】
ペントキシフィリンは何年もの間、末梢動脈疾患及び循環系障害の治療のために市販されているが、その血流動態性は血液の粘性を低下させ、その結果、末梢の血液循環を改善して静脈回帰を高めることができる。
【0035】
同様に、ペントキシフィリンは非特異的ホスホジエステラーゼ阻害剤としての薬理学的作用を有し、ホスホジエステラーゼPDE1〜5を阻害し得ることが知られているが、例えば、メスキーニらの文献[Meskini et al.Phosphodiesterase inhibitory profile of some related xanthine derivatives pharmacologically active on the peripheral microcirculation(末梢微小循環に対し薬理学的に活性な関連するキサンチン誘導体のホスホジエステラーゼ阻害プロフィール).Biochem.Pharmacol.1994;47(5):781−8]に記載されている。
【0036】
ペントキシフィリンは、例えば、米国特許US−A−3422107号明細書の記載どおりに調製し得る。
【0037】
本発明の文脈において、ホスホジエステラーゼ阻害剤は広い意味で解釈され、各事例において、その可能な薬学的に許容される塩及び/又は溶媒和物を包含する。
【0038】
とりわけ、例えば、ロリプラム、ミルリノン、イブジラスト及びペントキシフィリンの名称はまたそれらの可能な塩及び/又は溶媒和物をも包含する。
【0039】
本発明によるホスホジエステラーゼ阻害剤は、これまでに確立されている長期にわたる投与ガイドラインに従って投与するのではなく、性行為と同時に、好ましくは女性の最大の受精可能時に迅速な処置法に従って投与する。
【0040】
本発明に従い経腟的に投与されるホスホジエステラーゼ阻害剤の投与量は、投与ごとにペントキシフィリンとして200mgから800mgであり、好ましくは、300mgから600mg、より好ましくは、350mgから450mg、さらにより好ましくは、ペントキシフィリンとして400mgである。
【0041】
[不妊症]
カップル受精能とは、正常な性的活動を介して健常な子孫をもち得るカップルの能力と定義される。
【0042】
対照的に、カップル不妊症は、子供をもうけようとして、ある特定の時期にそうしようと試み続けてもカップルが無能力であることと定義される。
【0043】
WHO(世界保健機関)の定義に従うと、不妊症は、1年の期間以内に妊娠するために避妊法を使用していない性的に活動的なカップルが妊娠し得ないことである。生殖医療の範囲内で、この期間は、通常、女性が35歳以上である場合に6ヶ月に短縮される。
【0044】
男性の不妊因子は、不妊カップルの約50%に見出されると推定されている。男性の不妊症は、殆どの場合、精液の特性におけるある種の異常を原因としているが、時には、他の原因、例えば、生殖路の異常もしくは障碍、または勃起不全もしくは性的機能障害などにも起因する。
【0045】
本発明の範囲において、男性不妊症又は男性由来の不妊症は、精液の特性におけるある種の異常、例えば、低精子含量(乏精子症)、低精子運動性(精子無力症)、異常形態(奇形精子症)、又は上記作用の組み合わせ(乏精子奇形精子症)の存在に起因する不妊症をいう。
【0046】
本発明の範囲において、“不妊症カップルの治療”という表現は、避妊法を使用しておらず、また正常と考えられる期間、通常、先に定義した1年もしくは6ヶ月の後に妊娠しなかった性的に活動的なカップルの不妊症治療をいうか、又は妊娠するように仕向けて以来時間が経過したにも拘わらず、精液に異常をもつために、男性が男性不妊症と診断されているカップルの治療をいう。
【0047】
本発明の好適な実施態様において、ホスホジエステラーゼ阻害剤の使用は、実質的に男性不妊症を原因とする不妊症カップルの治療のため、より好ましくは精液特性の異常によるもの、さらにより好ましくは精子無力症によるものの治療のために必要とされる。
【0048】
本発明の範囲において、不妊症カップルに、又は不妊症に適用される用語“治療”とは、当該不妊症を原因とする影響を治療しようとすることをいい、具体的には、妊娠してさらに子孫を残そうとするカップルの試行をいう。
【0049】
同様に、本発明の範囲において、用語“不妊症”は、“生殖不能”又は“生殖能力が正常より劣っていること”という用語と等価であると考えられる。
【0050】
本発明者らは、驚くべきことに、女性におけるホスホジエステラーゼ阻害剤の経腟投与が、高率の妊娠を達成させることを確認した。従って、例えば、実施例3に記載したペントキシフィリンによる研究結果で観察されるように、実質的に男性不妊症を原因とする不妊症のカップルにおいては、ペントキシフィリンの経腟投与により、20%の割合で妊娠が達成された。この成功率は夫婦間人工授精によって得られる成功率(14.7%)よりも有意に高く、またペントキシフィリンの経口投与の場合に記載されている成功率(13.3%)と比べてもさらに高い。さらに有利な点は、この方法がより簡単且つ非侵襲的方法であって、如何なるタイプのアレルギ又は副作用をも引き起こすことがなく、また子宮頸管粘液の特性を維持し、さらに改善することである。
【0051】
一般に、本発明によるホスホジエステラーゼ阻害剤での治療対象となり得る不妊症カップルは、夫婦間人工授精によるか、又は体外受精による介助生殖法に付されるべき候補者であるが、当該侵襲的方法のいずれをも受けたくないカップルである。
【0052】
本発明によるホスホジエステラーゼ阻害剤の使用は、介助生殖法について言えば有利な選択肢である、その理由は、カップルの性的関係に配慮し、性交の自発性を変化させることなく性行為後に自然に懐妊することを可能とする非侵襲性の自己投与治療であるからである。さらに、この治療法は該介助生殖法よりも経済的である。
【0053】
ペントキシフィリンで経腟治療した女性の子宮頸部浸出液もしくは粘液を顕微鏡下に検査した後、製品投与から15〜20時間後、精子の能動性の質の改善を、精子無力症の事例と、正常精子の事例の双方において観察し、WHOの分類によるA型精子の有意な数、すなわち、25μm/sより速い速度で直進移動する精子の数を計測する。
【0054】
同様に、当該試験では、子宮頸部の粘液特性の改善について、粘液の透明性、フィランシア(filancia)(フィラメント形成能)及び白血球素質により明らかにするが、その場合、生殖サイクルの不利な日であることもあり、あるいは女性が子宮頸部粘液の性質を否定的に変化させる排卵誘発剤での治療下にある場合もある。
【0055】
本発明の別の目的は不妊症カップルの治療法であって、ホスホジエステラーゼ阻害剤を膣内経路で女性に投与することを特徴とする方法である。
【0056】
本発明の使用法に従うと、該ホスホジエステラーゼ阻害剤は、適当な医薬組成物の形状で、膣腔内に導入しなければならない。この投与は、性行為と関連させて、好ましくは女性の最大妊娠可能日に合わせて実施し、性交の前及び/又は後に、好ましくは性交の直前又は直後に投与し得るが、該組成物の一分画を性交の前に投与し、そして別の分画を性交の後、好ましくは性交の直前及び直後に投与してもよい。ホスホジエステラーゼ阻害剤の組成物を2つの分画として投与する場合には、性交前に投与する分画は適用する総投与量に対して5%から50%から構成され、性交直後に投与される分画は適用する総投与量に対して50%から95%から構成される。
【0057】
本発明の文脈において、用語“直前又は直後”とは、30分を超えない時間、好ましくは15分を超えない時間、さらにより好ましくは5分を超えない時間をいう。
【0058】
性交後、そして該製品適用後、好ましくは、女性は少なくとも1時間は仰向きのままでいる。
【0059】
より大きな治療効果を得るために推奨されことは、女性の受精力が最高となる日に治療を実施することである。これはカップルにより自制的方式で、例えば、彼らの月経周期の知識を通して、又はより授精可能な日の指標として膣粘液の特性を観察することにより、実施し得る。対照的に、最も受精可能な日はまた膣の超音波診断によっても決定し得る。
【0060】
ゲルは3回の異なる周期で、又は数日の同じ周期で投与することができる。
【0061】
本発明の別の実施態様において、ホスホジエステラーゼ阻害剤は、排卵誘発剤と組み合わせて投与することができる。排卵誘発剤は、例えば、クロミフェン、ヒトゴナドトロピン、又はヒト組換えゴナドトロピンである。
【0062】
本発明の別の実施態様において、経腟ホスホジエステラーゼ阻害剤は、人工授精法の補助手段として、その成功チャンスを増大させる目的で、すなわち、妊娠達成のチャンスを増大させる目的で使用することができる。この場合、ホスホジエステラーゼ阻害剤を含有する特定量の組成物は、好ましくは、半固体の組成物であって、クリーム、軟膏、もしくはゲルの形状であり、子宮内授精を実施した後に、子宮頸管を閉塞するある種のキューポラ(カップ型の構造物)で適用する。ホスホジエステラーゼ阻害剤の半固体組成物は、場合により、プラスチック製のキューポラの中で失われる可能性のある精子を閉塞する閉鎖ストッパとして作用し、一方、同時に子宮内膜腔に向かって再度上方移動する精子の再活性化を可能とする。他の実施態様においては、ホスホジエステラーゼ阻害剤を含有する医薬組成物の一定量を膣基底部に容れるが、プラスチック製キューポラの子宮頸部での使用は無視される。
【0063】
[ホスホジエステラーゼ阻害剤の経腟組成物]
本発明の目的は、経腟投与用の医薬組成物であって、ホスホジエステラーゼ阻害剤及び少なくとも1種の薬学的に許容される添加剤を含んでなり、不妊症カップルの治療に使用する組成物である。
【0064】
好適な実施態様において、該医薬組成物はホスホジエステラーゼ阻害剤を含んでなり、該阻害剤はホスホジエステラーゼ1(PDE1)阻害剤、ホスホジエステラーゼ3(PDE3)阻害剤、ホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害剤及び非選択的ホスホジエステラーゼ阻害剤、及びその組合せからなる群より選択されるホスホジエステラーゼ阻害剤を含んでなる。
【0065】
より好適な実施態様において、該医薬組成物はホスホジエステラーゼ阻害剤を含んでなり、該阻害剤はペントキシフィリン、ロリプラム、ミルリノン及びイブジラストからなる群より選択される。
【0066】
とりわけ好適な実施態様において、該医薬組成物はペントキシフィリンを含んでなる。
【0067】
本発明の文脈において、用語“経腟投与”とは、“膣内投与”又は“膣投与”と等価であり、膣の内部に薬物を適用することをいい、典型的には膣内部の数センチメートル、好ましくは膣内部のできるだけ深い位置に適用する。
【0068】
殆どの経腟投与用形状は補助用具又は塗布具を必要とし、それによって当業者周知のように深部の挿入を達成する。
【0069】
経腟投与用の薬学的に許容される形状は、固体形状、例えば、オビュール(卵形剤)、膣坐剤又は膣錠など、ならびに半固体形状、例えば、クリーム、ゲル、軟膏、ペーストもしくは発泡剤など、あるいは一般に、水性もしくは非水性タイプの懸濁液又はエマルジョンである。当該医薬形状は、ホスホジエステラーゼ阻害剤を薬学的に許容される希釈担体に混合、溶解もしくは分散し、任意工程として、膣内投与用に薬学的にも許容される少なくとも1種の添加物を当業者既知の方法に従って加えることにより調製される。調製法については、例えば、製剤工学マニュアル、Remington The Science and Practice of Pharmacy,20aedition,Lippincott,Williams & Wilkins,Philadelphia,2000[ISBN:0−683−306472]に記載されている。経腟投与に適するこれらの薬学的に許容される形状の調製に適する担体及び/又は添加剤は、例えば、ロウらの著作[R.C.Rowe et al.,Handbook of Pharmaceutical Excipients,4aedition,Pharmaceutical Press,London,2003][ISBN:0−85369−472−9]に記載されている。
【0070】
従って、例えば、膣錠の調製に適する担体は、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、ソルビトール、セルロースもしくはセルロース誘導体、とりわけ、その組合せである。膣錠は、好ましくは、崩壊剤を含有し、より好ましくは炭酸塩をもつ発泡ベース及び有機酸、例えば、クエン酸もしくは酒石酸などで製剤化する。
【0071】
膣坐剤及び膣オビュールは、例えば、グリセリン、カカオ脂、グリセロール−ゼラチン混合物、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、又は固体脂肪、例えば、トリグリセリド、ジグリセリド及びモノグリセリドの混合物で作られたウィテプソール(Witepsol、登録商標)として知られる市販品、とりわけ、その混合物により調製することができる。
【0072】
クリームは、製剤工学の当業者周知のように、水中油(o/w)型又は油中水(w/o)型であってもよい半固体エマルションであり、油相、水相及び乳化剤から製剤化され得る。油相は担体で作製され、担体は、例えば、流動パラフィン又は植物油、例えば、ひまし油、アーモンド油、落花生油、ゴマ油、綿実油又はコーン油などであってもよい。
【0073】
軟膏は、溶解した有効成分を含有する半固体脂肪製剤であるか、又は分散剤の形状である。軟膏は種々の担体、例えば、パラフィン、プラスチベース(ポリエチレンと一連の炭化水素の混合物)、植物油、例えば、落花生油、ゴマ油、オリーブ油、綿実油、アーモンド油、コーン油、シリコーン又はポリエチレングリコール、とりわけ、その混合物で製剤化し得る。ペーストは軟膏と同様に調製されるが、より多くの不溶性固体物質を含有するため、より高い固体軟度を有する。
【0074】
発泡剤は当業者周知の方法に従い、通常、適切な担体、好ましくは植物油もしくは半合成油中で懸濁液を、増粘剤の存在下に調製し、次いで、当該懸濁液をバルブで閉じた容器に容れ、バルブから推進薬を導入することにより調製する。
【0075】
ゲル剤は液体から得られるが、液体に流動性剤又はゲル化剤を加えることによりゲル化する。本発明での使用に適する一部のゲル化剤は、例えば、カラゲナン、グアガム、トラガカント、イナゴマメガム、ペクチン、寒天、アルギン酸、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボマ、及びポリエチレングリコールなどである。
【0076】
ゲル剤は疎水性であってもよく、これは油性ゲル(オレオゲル)としても知られ、その担体は流動パラフィンもしくは油である。あるいはゲル剤は親水性であってもよく、その場合の担体は、水、水溶性モノヒドロキシもしくはポリヒドロキシアルコール、もしくはヒドロアルコール性混合物である。
【0077】
本発明の範囲において、特に、水とポリヒドロキシアルコールとの組合せから好適に調製された親水性ゲル剤が取り分け好適である。
【0078】
本発明の別の目的は、経腟投与用の親水性ゲル形状の医薬組成物であって、ホスホジエステラーゼ阻害剤、ポリヒドロキシアルコール、水、カルボマ及びアルカリ剤を含んでなることを特徴とする組成物である。
【0079】
該ホスホジエステラーゼ阻害剤は、好ましくは、ホスホジエステラーゼ1(PDE1)阻害剤、ホスホジエステラーゼ3(PDE3)阻害剤、ホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害剤及び非選択的ホスホジエステラーゼ阻害剤、及びその組合せからなる群より選択される。より好ましくは、該ホスホジエステラーゼ阻害剤は、ペントキシフィリン、ロリプラム、ミルリノン及びイブジラストからなる群より選択される。さらにより好ましくは、該ホスホジエステラーゼ阻害剤はペントキシフィリンである。
【0080】
好適な実施態様において、該組成物は実質的にホスホジエステラーゼ阻害剤、ポリヒドロキシアルコール、水、カルボマ、アルカリ剤及び保存剤を含んでなる。
【0081】
本発明者らは、経腟投与用のホスホジエステラーゼ阻害剤の組成物を親水性ゲルの形状で開発した。該ゲルは水及び担体としてのポリヒドロキシアルコールの混合物、ゲル化剤としてのカルボマ及びアルカリ剤を含んでなる。この組成物は不妊症カップルの治療に有利に提供し得る。
【0082】
該ポリヒドロキシアルコールは1個を超えるヒドロキシル基を含み、本発明組成物を調製するためのアルコールであって、その選択は、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、ソルビトール、ポリエチレングリコール100(PEG100)、ポリエチレングリコール200(PEG200)、ポリエチレングリコール300(PEG300)及びポリエチレングリコール400(PEG400)からなる群よりなし得る。好ましくは、プロピレングリコールがポリヒドロキシアルコールとして選択される。
【0083】
好適なゲル化剤はカルボマであるが、このものは当業者周知のように、架橋したアクリル酸ポリマである。架橋化剤としてはスクロースアリルエーテル及びペンタエリトリトールアリルエーテルが包含される。
【0084】
特に好適なのはカルボマ水溶液であり、0.5重量/容量%で、pH値が6から11からなり、その粘度は25000から700000mPasからなる。この特性に相応するカルボマは、カルボマ934、カルボマ934P及びカルボマ940であり、登録番号CAS9003−01−4を共有する。これらの製品は、カルボポール(登録商標)934、カルボポール(登録商標)934P又はカルボポール(登録商標)940の名称で市販品として入手し得る。最も好適なカルボマはカルボマ940の水溶液であり、0.5重量/容量%で、pH値が6から11からなり、その粘度は40000から60000mPasである。
【0085】
よく知られたことではあるが、カルボマは2.5から3.5からなるpH値を有する水に分散した場合、酸性のコロイド状分散液を形成するので、ゲルの軟度を得るためにはそれらをアルカリ剤で中和する必要がある。該アルカリ剤は、好ましくは、L−リジン、L−アルギニン、ボラックス、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、アンモニア、重炭酸ナトリウム、アミノメチルプロパノール、テトラヒドロキシプロピルエチレンジアミン、トロメタミン、エトキシル化ココアミン(コカミンPEG15)、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、及びトリエタノールアミンからなる群より選択される。より好ましくは、トリエタノールアミンを使用する。
【0086】
本発明による膣内投与用の好適な医薬組成物は、ホスホジエステラーゼ阻害剤、プロピレングリコール、カルボマ、トリエタノールアミン及び水を含んでなるゲルである。
【0087】
特に好適な医薬組成物は、実質的に、ホスホジエステラーゼ阻害剤、プロピレングリコール、カルボマ、トリエタノールアミン、水及び保存剤を含んでなるゲルである。
【0088】
好適な医薬組成物は以下から構成される。ホスホジエステラーゼ阻害剤、重量比で2%から10%、より好ましくは、3%から6%、さらにより好ましくは、4%である。プロピレングリコール、重量比で2%から15%、好ましくは、4%から10%、さらにより好ましくは、5%から7%である。カルボマ、重量比で0.5%から2%、好ましくは、0.75%から1.5%、さらにより好ましくは、0.9%から1.2%である。トリエタノールアミン、重量比で0.1%から1%、好ましくは、0.2%から0.8%、さらにより好ましくは、0.3%から0.6%である。及び水、重量比で75%から95%、より好ましくは、80%から92%、さらにより好ましくは、85%から90%である。
【0089】
本発明組成物において、組成物の重量百分率の合計は100%である。
【0090】
該ゲルのpHは、好ましくは、5.5から7.5からなり、より好ましくは、6から6.5からなる。
【0091】
該ホスホジエステラーゼ阻害剤は、好ましくは、ホスホジエステラーゼ1(PDE1)阻害剤、ホスホジエステラーゼ3(PDE3)阻害剤、ホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害剤及び非選択的ホスホジエステラーゼ阻害剤、及びその組合せからなる群より選択される。より好ましくは、該ホスホジエステラーゼ阻害剤は、ペントキシフィリン、ロリプラム、ミルリノン及びイブジラストからなる群より選択される。さらにより好ましくは、該ホスホジエステラーゼ阻害剤は、ペントキシフィリンである。
【0092】
本発明者らが観察したことは、親水性ゲル形状のホスホジエステラーゼ阻害剤の投与が、特に、本発明の使用のために有利であることである。その理由は、当該ゲルが、精液が膣内に沈積した後に経験する自然な液化プロセスの結果として、精液と接触したときに溶解するからである。従って、親水性ゲルとともに、精液の粘滑質層から放出される精子がとりわけ効果的な様式でホスホジエステラーゼ阻害剤との接触を均一に受けることができる。
【0093】
選択肢として、本発明の経腟適用組成物は、1種以上のさらなる添加物、例えば、抗酸化剤、湿潤剤、保存剤、粘稠剤、皮膚軟化剤、乳化剤、pH−調整剤などを含有し得る。
【0094】
担体として水を使用して製剤化した液体もしくは半固体の組成物においては、一般に保存剤が含まれる。好適な保存剤は、パラベン類(メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン)、塩化ベンザルコニウム、及びベンジルアルコールである。より好ましくは、プロピルパラベンとメチルパラベンの組み合わせが使用される。
【0095】
[キット]
本発明の組成物とそれを投与するための説明書を含むキットも、本発明の一部である。
【0096】
好適な実施態様において、該キットはそれぞれに単回投与量200mg〜800mgのホスホジエステラーゼ阻害剤、好ましくは、300mg〜600mg、より好ましくは、350mg〜450mg、さらにより好ましくは、400mgのホスホジエステラーゼ阻害剤を含む。
【0097】
該ホスホジエステラーゼ阻害剤は、好ましくは、ホスホジエステラーゼ1(PDE1)阻害剤、ホスホジエステラーゼ3(PDE3)阻害剤、ホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害剤及び非選択的ホスホジエステラーゼ阻害剤、及びその組合せからなる群より選択される。より好ましくは、該ホスホジエステラーゼ阻害剤は、ペントキシフィリン、ロリプラム、ミルリノン及びイブジラストからなる群より選択される。さらにより好ましくは、該ホスホジエステラーゼ阻害剤は、ペントキシフィリンである。
【0098】
自己投与のためには以下の説明が好ましい。カップルは最も受精率の高い日に性行為をし、膣内射精しなければならず、また性交直後に、その様な目的のために準備された塗布具を用いてゲルを膣腔に導入しなければならず、少なくとも1時間、仰向けのままでいることが推奨される。
【0099】
最も受精率の高い日は、その目的に一般的な方法、例えば、子宮頸管粘液テスト、膣超音波診断、又は排卵テストにより判定し得る。
【0100】
場合によっては、本発明の組成物は排卵誘発剤と同時に投与することができる。
【0101】
該組成物の単回投与量は、3回の異なる周期で、あるいは数日の同じ周期で、無関係に投与することができる。
【0102】
以下に示す実施例は本発明を説明する目的で記載するものであって、限定するものではない。
【実施例】
【0103】
<実施例1>
[ミルリノン、イブジラスト及びペントキシフィリンの精子運動能に対する効果のインビトロアッセイ]
各事例において、相当するホスホジエステラーゼ阻害剤(ロリプラム、ミルリノン、イブジラスト及びペントキシフィリン)を精子標品調製に適する市販の媒体(スパームリンス(SpermRinse)登録商標)に溶解し、所望の濃度とした。スパームリンス(SpermRinse)(登録商標)溶液は、重炭酸塩とHEPES(N−2−(ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−エタンスルホン酸)緩衝媒体を含み、ヒト血清アルブミンを含有する。
【0104】
精子無力症患者から精液サンプルを採り、液化後、5分間室温に維持し、それをスパームリンス(SpermRinse)(登録商標)溶液と、ホスホジエステラーゼ阻害剤なしで混合して、容量比1:1とした。
【0105】
精液の別の一部を、これも液化後に、ホスホジエステラーゼ阻害剤を含有するスパームリンス(SpermRinse)(登録商標)溶液と1:1の容量比で混合した。
【0106】
それぞれの観察ごとに、3滴の微量の標品を使用し、20倍の対物レンズとマクラーカメラ(Makler camera)を備えた光学顕微鏡下に置いた。精子数を計測し、各サンプルのA型精子(直線軌跡で迅速に進める)及びB型精子(曲線軌跡で迅速に進める)の数を計測した。この操作は未処理サンプルについて、及びホスホジエステラーゼ阻害剤で処理したサンプルについて実施した。各サンプルについて3回の読み取りを実施し、その平均値を計算した。
【0107】
同様に、すべての精子型について精子速度の増大を、ホスホジエステラーゼ阻害剤で処理したサンプルと、未処理処理サンプルについて主観的観察を実施した。
【0108】
結果を以下の表に要約する。
【0109】
【表1】
【0110】
表の第二欄は動きの速い精子で観察される増大に相当し、記号++はA+B精子型の計数が40%を超えて増大したことを示す。
【0111】
第三欄はすべての精子型の個々の速度の増大に相当し、その評価は観察された運動能の増大に応じて主観的に割り振ったものであり、記号++は精子運動能の極めて有意な増大を意味する。
【0112】
<実施例2>
[経腟投与用ペントキシフィリンゲルの調製]
以下の成分はゲル400gを調製するために使用した。
【0113】
【表2】
【0114】
水、プロピレングリコール及び保存剤をかき混ぜながら容器に容れた。混合物を撹拌下に維持し、完全に溶解させた。ペントキシフィリンを前の溶液に入れ、完全に溶解するまで撹拌した。
【0115】
次いで、カルボマを激しい撹拌下に導入し、その混合物を24時間沈降放置した。この後、pHをトリエタノールアミンで調整して、6から6.5の値とした。
【0116】
得られたゲルのペントキシフィリン含量は4重量%であった。このゲルを無菌のチューブ型容器に、10gのゲルとして詰め、膣塗布具を備え付けた。
【0117】
<実施例3>
[不妊症カップルの治療におけるペントキシフィリンの有効性のアッセイ]
不妊治療におけるペントキシフィリンの経腟投与の有効性は、夫婦間人工授精に感受性である場合と同じ基準に従い選択した20組のカップルの一群にてアッセイした。すなわち、彼らは少なくとも1年の間、避妊せずに性的関係を維持したが、妊娠し得なかった。
【0118】
実施例1に記載した方法に従い得られたそれぞれ10gのペントキシフィリンゲルの単回投与量3回分が、自己投与についての以下の説明書に基づいて、当該カップルに投与された。カップルは最大授精可能日内に性交渉をもち、膣内射精しなければならず、また性交直後にかかる目的のために装備された塗布具により膣腔内に該ゲルを導入しなければならず、また少なくとも1時間、仰向けの状態にいることが推奨される。
【0119】
最も受精力の高い日は、子宮頸管粘液テスト、膣超音波診断、又は排卵テストにより決定した。
【0120】
排卵誘発剤、クロミフェン、又は精製ヒトゴナドトロフィンは、関係なしに、6組のカップルに同時に投与された。
【0121】
該ゲルは3回の異なる周期で、又は数日の同じ周期で投与した。
【0122】
各投与の後、15から20時間の間に患者との会合を開き、子宮頚内膜分泌物の顕微鏡検査を実施した。すべての事例において、以下のことを観察した。
・精子無力症の事例と正常精子の事例両方における、精子の運動能の質の改善。
・WHO分類によるA型精子の有意な数。
・子宮頸管粘液特性におけるそのフィランシア、透明性及び白血球素質の改善。
【0123】
ペントキシフィリンで経腟処理した20組のカップルの内、4組で妊娠が達成された。すなわち、有効率20%であり、これは夫婦間人工授精による達成率(14.7%)よりも有意に大きい。
【0124】
この処理による副作用はいずれの事例においても観察されなかった。