特許第6373757号(P6373757)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6373757
(24)【登録日】2018年7月27日
(45)【発行日】2018年8月15日
(54)【発明の名称】圧縮空気乾燥装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/26 20060101AFI20180806BHJP
   F04B 39/16 20060101ALI20180806BHJP
【FI】
   B01D53/26 230
   F04B39/16 F
【請求項の数】5
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-542107(P2014-542107)
(86)(22)【出願日】2013年10月11日
(86)【国際出願番号】JP2013077750
(87)【国際公開番号】WO2014061582
(87)【国際公開日】20140424
【審査請求日】2016年5月27日
(31)【優先権主張番号】特願2012-228028(P2012-228028)
(32)【優先日】2012年10月15日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】510063502
【氏名又は名称】ナブテスコオートモーティブ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107249
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 恭久
(72)【発明者】
【氏名】西原 智哉
(72)【発明者】
【氏名】湊 一郎
(72)【発明者】
【氏名】桃木 正憲
【審査官】 木原 啓一郎
(56)【参考文献】
【文献】 欧州特許出願公開第00350215(EP,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第00277769(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/26−53/28
B60T 15/00−17/22
F04B 39/00−39/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
過給機に接続された圧縮機から圧縮空気が流入する入口と、
圧縮空気を排出し、逆止弁が設けられた出口と、
油水分を排出し、ドレンバルブ装置が設けられたドレン排出口とを有し、
ロード運転時には前記入口から流入した圧縮空気を乾燥し、乾燥した圧縮空気を前記出口から排出し、アンロード運転時には油水分を前記ドレン排出口から排出する圧縮空気乾燥装置において、
前記ロード運転時に前記入口を開き、前記アンロード運転時に前記入口を閉じる入口開閉装置をさらに備え、
前記入口開閉装置は、弁体と、前記入口開閉装置を収容する収容部と前記入口とを連通する部分に設けられ、前記弁体が当接することで前記入口が閉じられる弁座とを備え
前記ロード運転時には、前記弁体は、前記弁体の移動方向と垂直な一端面に前記圧縮機から流入する圧縮空気が吹き付けられることにより、前記入口を開くように移動させられ
圧縮空気乾燥装置。
【請求項2】
前記入口開閉装置は、前記弁体を前記弁座に向けて付勢する付勢ばねを備え、
前記弁体は、前記移動方向と垂直な他端面に前記付勢ばねの付勢力が作用し
前記アンロード運転時には、前記付勢ばねによって前記弁体が前記入口を閉じるように移動させられる
請求項1に記載の圧縮空気乾燥装置。
【請求項3】
前記弁体は、前記移動方向と垂直な他端面に前記ドレンバルブ装置を駆動する圧縮空気が吹き付けられ
前記アンロード運転時には、前記ドレンバルブ装置を駆動する圧縮空気によって前記弁体が前記入口を閉じるように移動させられる
請求項1に記載の圧縮空気乾燥装置。
【請求項4】
前記弁体が前記弁座に当接しているときには、前記圧縮機から流入する圧縮空気が前記弁体の前記一端面の第1範囲に吹き付けられ、
前記弁体が前記弁座から離間しているときには、前記圧縮機から流入する圧縮空気が前記弁体の前記一端面の第1範囲よりも広い第2範囲に吹き付けられる
請求項2に記載の圧縮空気乾燥装置。
【請求項5】
前記入口と、前記出口と、前記ドレン排出口とを有する支持ケースを備え、
前記支持ケースは、前記ドレンバルブ装置を駆動する圧縮空気を供給する空間から流入する圧縮空気を前記弁体に吹き付けるための連通路を備える
請求項に記載の圧縮空気乾燥装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮機から供給される圧縮空気を乾燥する圧縮空気乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
トラック、バス、建機等の車両は、内燃機関(以下、エンジン)と直結した圧縮機から送られる圧縮空気を利用してブレーキやサスペンション等のシステムを制御している。この圧縮空気には、大気中に含まれる水分や圧縮機内を潤滑する油分が含まれている。この水分や油分を含む圧縮空気が各システム内に侵入すると、錆の発生や、ゴム部材(Oリング等)の膨潤を招き作動不良の原因となる。このため、エア系統の圧縮機の下流には、圧縮空気から水分や油分を除去するための圧縮空気乾燥装置が設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
圧縮空気乾燥装置内には、フィルタが配置されるとともに、シリカゲルやゼオライト等の乾燥剤が充填されている。圧縮空気乾燥装置の乾燥剤が水分を吸着することによって、圧縮空気から水分が除去され、圧縮空気が乾燥される。
【0004】
圧縮空気乾燥装置は、水分を除去するロード運転時には、入口から送入された圧縮空気を乾燥容器の下方から上方へ通過させて、パージタンク内に圧縮乾燥空気を溜めながら、出口からメインタンクに供給する。また、圧縮空気乾燥装置は、乾燥剤を再生させるアンロード運転時には、ドレン排出装置のドレン弁を開弁することによってパージタンク内に溜まった圧縮乾燥空気を乾燥容器の上方から下方へ通過させてドレン弁から油水分を排出する。圧縮空気乾燥装置は、ロード運転とアンロード運転とを定期的に繰り返す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−29801号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、前記圧縮機に供給するための圧縮空気をエンジンに取り付けられた過給機によって生成することが考えられている。このようにすれば、圧縮機による空気の圧縮量を減らすことができるので、圧縮機の効率化や小型化ができる。しかしながら、圧縮空気乾燥装置のアンロード運転時には、ドレン弁が開弁するので、入口から流入した圧縮空気がドレン弁から大気に排出される。すなわち、過給機から供給される圧縮空気が圧縮機を介して大気に排出される。すると、過給機から供給される圧縮空気が圧縮空気乾燥装置から抜けるので、エンジンにおける過給機による過給圧が減少する。そこで、過給機の過給圧への影響を抑制できる圧縮空気乾燥装置が求められている。
【0007】
本発明の目的は、過給機の過給圧への影響を抑制できる圧縮空気乾燥装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について説明する。
上記課題を解決する圧縮空気乾燥装置は、過給機に接続された圧縮機から圧縮空気が流入する入口と、圧縮空気を排出する出口と、油水分を排出するドレン排出口とを有、ロード運転時には前記入口から流入した圧縮空気を乾燥し、乾燥した圧縮空気を前記出口から排出し、アンロード運転時には油水分を前記ドレン排出口から排出する圧縮空気乾燥装置において、前記ロード運転時に前記入口を開き、前記アンロード運転時に前記入口を閉じる入口開閉装置をさらに備えることをその要旨としている。
上記圧縮空気乾燥装置について、支持ケースと、乾燥剤が充填されて前記支持ケースに装着される乾燥容器と、前記乾燥容器を覆いながら前記支持ケースに装着されるカバーと、をさらに備え、前記出口は逆止弁を備え、前記ドレン排出口はドレンバルブ装置を備え、前記入口、前記出口、及び前記ドレン排出口は、前記支持ケースに設けられており、前記ロード運転時には前記圧縮空気を前記乾燥剤によって乾燥し、前記アンロード運転時には油水分を前記ドレン排出口から排出するべく前記カバー内の圧縮空気を前記乾燥容器内に通過させることが好ましい。
【0009】
同構成によれば、ロード運転時には過給機にて圧縮された圧縮空気を圧縮機において更に圧縮し、入口開閉装置によって開けられた圧縮空気乾燥装置の入口から圧縮空気が流入するので、圧縮機における圧縮量を減らすことができ、ひいては圧縮機を小型化することができる。アンロード運転時には入口開閉装置によって入口が閉じられているので、過給機によって圧縮された圧縮空気が圧縮機を介して圧縮空気乾燥装置内に流入せず、過給機による圧縮空気が圧縮空気乾燥装置の入口から流入してドレン排出口から排出されない。よって、過給機の過給圧への影響を抑制できる。
【0010】
上記圧縮空気乾燥装置について、前記入口開閉装置は、弁体と、当該弁体を弁座に向けて付勢する付勢ばねとを備え、前記ロード運転時には、前記圧縮機から流入する圧縮空気によって前記弁体が前記入口を開くように前記付勢ばねに抗して移動させられ、前記アンロード運転時には、前記付勢ばねによって前記弁体が前記入口を閉じるように移動させられる、ことが好ましい。
【0011】
同構成によれば、ロード運転時には圧縮空気によって付勢ばねに抗して弁体が移動されることによって、圧縮空気乾燥装置の入口を開き、アンロード運転時には付勢ばねによって圧縮空気乾燥装置の入口を閉じる。このため、入口から流入する圧縮空気と付勢ばねとによって入口開閉装置が自動開閉でき、入口開閉装置を弁体と付勢ばねとの簡易な構成とすることができる。
【0012】
上記圧縮空気乾燥装置について、前記入口開閉装置は、弁体を備え、前記ロード運転時には、前記圧縮機から流入する圧縮空気によって前記弁体が前記入口を開くように移動させられ、前記アンロード運転時には、前記ドレン排出口から流入する圧縮空気によって前記弁体が前記入口を閉じるように移動させられることが好ましい。
【0013】
同構成によれば、ロード運転時には、圧縮機から供給される圧縮空気によって圧縮空気乾燥装置の入口を弁体が開き、アンロード運転時には、ドレン排出口から供給される圧縮空気によって圧縮空気乾燥装置の入口を閉じるように、弁体が移動させられる。このため、異なる圧縮空気による弁体の移動によって入口開閉装置が自動開閉でき、入口開閉装置を弁体による簡易な構成とすることができる。
【0014】
上記圧縮空気乾燥装置について、前記支持ケースは、前記ドレン排出口から流入する圧縮空気を前記弁体に吹き付けるための連通路を備えることが好ましい。
同構成によれば、支持ケースに設けられた連通路を介して、アンロード運転時に圧縮空気が弁体に吹き付けられる。そのため、ドレン排出口から圧縮空気が供給されるときに、この圧縮空気が連通路を通過することによって、弁体を容易に移動させることができる。
【0015】
上記圧縮空気乾燥装置について、前記アンロード運転時には、前記ドレンバルブ装置を駆動する圧縮空気によって前記弁体が前記入口を閉じるように移動させられることが好ましい。
【0016】
同構成によれば、アンロード運転時にドレンバルブ装置を駆動する圧縮空気が流入することで入口が閉じる方向に弁体が移動されるので、弁体によって入口を確実に閉めることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、圧縮空気乾燥装置において、過給機の過給圧への影響を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第1の実施形態の圧縮空気乾燥装置のエア系統における設置位置を示すブロック図。
図2図1の圧縮空気乾燥装置のロード運転時及びアンロード運転時の入口、出口、ドレン排出口の開閉状態を示す図。
図3】ロード運転時における図1の圧縮空気乾燥装置の内部構造を示す断面図。
図4】アンロード運転時における図1の圧縮空気乾燥装置の内部構造を示す断面図。
図5】第2の実施形態の圧縮空気乾燥装置のロード運転時における内部構造を示す断面図。
図6】アンロード運転時における図5の圧縮空気乾燥装置の内部構造を示す断面図。
図7】第3の実施形態の圧縮空気乾燥装置の側面を示す側面図。
図8図7の圧縮空気乾燥装置の上面を示す上面図。
図9】ロード運転時における図7の圧縮空気乾燥装置の9−9線に沿った断面を示す断面図。
図10図8の10−10線に沿った断面を示す断面図。
図11図8の11−11線に沿った断面を示す断面図。
図12】アンロード運転時における図8の圧縮空気乾燥装置の図11に相当する断面を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1の実施形態)
以下、図1図4を参照して、圧縮空気乾燥装置の第1の実施形態について説明する。
図1に示されるように、トラック、バス、建機等の車両は、圧縮機1から送られる圧縮空気を利用してブレーキやサスペンション等のシステムを制御している。このため、エア系統の圧縮機1の下流には、圧縮空気中の油水分を除去し、乾燥した圧縮空気を提供するための圧縮空気乾燥装置2が設けられている。圧縮空気乾燥装置2内には、乾燥剤が設けられている。圧縮空気乾燥装置2は、圧縮空気から油水分を除去する除湿作用(ロード運転)と、乾燥剤に吸着させた油水分を取り除き外部に放出することによって乾燥剤を再生する再生作用(アンロード運転)とを行う。圧縮空気乾燥装置2は、乾燥圧縮空気をメインタンク3に供給する。圧縮空気乾燥装置2は、メインタンク3内の圧力と第2タンク17(図3及び図4)内の圧力とに応じて自動的にロード運転とアンロード運転との間の切り替えを行う。
【0020】
本実施例のエンジン4には、過給機5が接続されている。圧縮機1には、この過給機5によって圧縮された圧縮空気が供給されるので、圧縮機1における圧縮量が少なくて済む。このため、圧縮機1は、過給機5がない車両に搭載された圧縮機に比して小型化されている。
【0021】
図3及び図4に示されるように、圧縮空気乾燥装置2は、有底円筒形状の支持ケース110と、支持ケース110に装着された有底円筒形状の乾燥容器30と、支持ケース110に向かって開口する開口部を有する有底円筒形状のパージタンク15とを備えている。パージタンク15は、乾燥容器30を覆いながら支持ケース110に取り付けられている。乾燥容器30には、乾燥剤31が充填されている。なお、パージタンク15がカバーに相当する。
【0022】
支持ケース110の側部の上方には、圧縮機1から供給された圧縮空気が流入する入口111と、乾燥圧縮空気がメインタンク3に排出される出口12とが対向して設けられている。出口12には、逆止弁60が設けられている。支持ケース110の底部25の中央には、アンロード運転時にドレンを排出するドレン排出口13が設けられている。支持ケース110内には、内部円筒部21が形成されている。支持ケース110と内部円筒部21との間の空間は、入口111から流入した圧縮空気を溜める第1タンク16として機能する。内部円筒部21内には、ドレン排出口13を開閉するドレンバルブ装置50が設けられている。ドレン排出口13は、内部円筒部21に連通している。内部円筒部21の上方は閉じている。ドレン排出口13には、排気管14が露出して取り付けられている。
【0023】
乾燥容器30の下部には、支持ケース110に取り付けられる取付板32がボルト33によって固定されている。パージタンク15は、乾燥容器30を覆い、取付板32を介して支持ケース110の上端部23にボルト24によって取り付けられる。パージタンク15と乾燥容器30との間の空間は、除湿した乾燥圧縮空気を溜める第2タンク17として機能する。第1タンク16は、乾燥剤31が充填された乾燥容器30を介して第2タンク17に連通している。
【0024】
ドレンバルブ装置50は、ドレン排出口13を開閉するための弁体51と、弁体51を移動させるピストン52とを備えている。弁体51は、ピストン52と一体に移動するとともに、ドレンバルブ装置50の弁座53に着座するように設置されている。ピストン52は、内部円筒部21に形成された空間22を閉蓋する状態で設置されるとともに、付勢ばね54によって上方に(すなわち、空間22に向かって)付勢されている。空間22に圧縮空気が供給されると、ピストン52が押し下げられる。ピストン52とともに弁体51が押し下げられると、弁体51が弁座53に着座し、これによってドレン排出口13が閉じられる。一方、空間22から空気が排出されると、ピストン52が付勢ばね54によって押し上げられる。ピストン52とともに弁体51が押し上げられると、弁体51が弁座53から離間してドレン排出口13が開かれる。
【0025】
ドレンバルブ装置50は、ロード運転時には閉じている。メインタンク3内の圧力が上昇して最大所定圧力Pmaxに達すると、ドレンバルブ装置50は、プレッシャガバナ(図示略)からの指令信号に応答して空間22に圧縮空気を供給することによってドレン排出口13を開く。これによって、アンロード運転が開始する。すなわち、アンロード運転時にはドレン排出口13が開かれているので、油水分を含むドレンはパージタンク15内の圧縮空気(パージエア)によって勢いよく外部へ放出される。一方、アンロード運転時に開いているドレンバルブ装置50は、第2タンク17内の圧力が低下して最小所定圧力Pminに達すると、プレッシャガバナ(図示略)からの指令信号に応答して空間22から空気を排出し、付勢ばね54の付勢力によってドレン排出口13が閉じられる。
【0026】
乾燥容器30内に充填された粒状の乾燥剤31は、下部プレート45と上部プレート46とに上下方向において挟まれている。乾燥容器30の底部には、複数の貫通孔30aが形成されている。乾燥容器30の下部と取付板32との間には、衝突材としてのオイルセパレートフィルタ41を収容する衝突材収容部40が形成されている。衝突材収容部40の底面となる取付板32には、複数の貫通孔32aが形成されている。また、乾燥容器30の上部には、ねじ35によって蓋材34を固定する固定部36が設けられている。蓋材34には、第1貫通孔34aと第2貫通孔34bとが形成されている。第1貫通孔34aには、パージタンク15から乾燥容器30への通過のみを許容する逆止弁38が取り付けられている。
【0027】
オイルセパレートフィルタ41は、クラッシュドアルミである。オイルセパレートフィルタ41は、衝突材収容部40に圧入されている。オイルセパレートフィルタ41の内部を圧縮空気が通過すると、圧縮空気に含まれるオイルやダストが衝突材に衝突して圧縮空気からオイルやダストが除去される。
【0028】
下部プレート45及び上部プレート46には、図示しない複数の貫通孔が形成されている。下部プレート45の上面には、乾燥剤31を保持するための不織布からなる下部薄膜47が設けられている。上部プレート46の下面には、乾燥剤31を保持するための不織布からなる上部薄膜48が設けられている。なお、不織布は、例えばポリエステル及びレーヨンからなる。
【0029】
上部プレート46と、乾燥容器30に固定されている蓋材34との間には、コイルばね37が設置されている。これによって、コイルばね37には、上部プレート46を下方へ押圧する付勢力が発生する。このコイルばね37の付勢力は、上部プレート46から、乾燥剤31を介して、下部プレート45に伝達されるように、それらに対して付与される。これにより、乾燥剤31はコイルばね37によって付勢された状態となっている。
【0030】
逆止弁60は、出口12を開閉するための弁体61と、弁体61を上方に付勢する付勢ばね62とを備えている。支持ケース110の底部25の出口12寄りには、底部25に開口する開口部を有する円筒状の第1収容空間26が形成されている。第1収容空間26には逆止弁60が装着される。第1収容空間26は、出口貫通孔32bと第3連通孔26bとによってパージタンク15に連通するとともに、第4連通孔26cによって出口12に連通している。逆止弁60は、支持ケース110の底面側から第1収容空間26に装着されて、第1収容空間26を密閉する。
【0031】
逆止弁60の弁体61は、図中上下方向に移動可能であり、第1収容空間26の第1上底面26aに当接することによって第3連通孔26bを閉じる。すなわち、第1上底面26aが弁座として機能する。逆止弁60は、弁体61により第3連通孔26bを閉じることによって、出口12を閉じる。第3連通孔26bは、第1収容空間26の第1上底面26aの中央に形成されている。
【0032】
逆止弁60では、圧縮機1から供給された圧縮空気が弁体61の上面に当たることによって、付勢ばね62の付勢力に抗して弁体61が押し下げられ、第3連通孔26bが開けられる。一方、逆止弁60では、メインタンク3内の圧力が最大所定圧力Pmaxに達すると、圧縮機1から供給された圧縮空気と出口12側の圧力が均衡する。よって、逆止弁60では、弁体61を押し下げる力が発生しなくなるので、付勢ばね62の付勢力によって第3連通孔26bが閉じられる。すなわち、逆止弁60は、ロード運転時には出口12を開いて、アンロード運転時には出口12を閉じる。
【0033】
本実施例の入口111には、入口111を開閉する入口開閉装置70が設けられている。入口開閉装置70は、入口111を開閉するための弁体71と、弁体71を上方に付勢する付勢ばね72とを備えている。支持ケース110の底部25の入口111寄りには、底部25に開口する開口部を有する円筒状の第2収容空間27が形成されている。第2収容空間27には、入口開閉装置70が装着される。第2収容空間27は、第1連通孔27bによって入口111に連通するとともに、第2連通孔27cによって第1タンク16に連通している。入口開閉装置70は、支持ケース110の底面側から第2収容空間27に装着されて、第2収容空間27を密閉する。
【0034】
入口開閉装置70の弁体71は、図中上下方向に移動可能であり、第2収容空間27の第2上底面27aに当接することによって第1連通孔27bと第2連通孔27cとを閉じる。すなわち、第2上底面27aが弁座として機能する。入口開閉装置70は、弁体71により第1連通孔27bと第2連通孔27cとを閉じることによって、入口111を閉じる。
【0035】
第1連通孔27bは、第2収容空間27の第2上底面27aの中央に形成されている。すなわち、第1連通孔27bの直径Dhは、弁体71の直径Dbよりも小さく、ほぼ半分に形成されている。第2連通孔27cは、第2上底面27aの縁部の一部に形成されている。第2上底面27aの周縁部27dには、凹部が形成されている。よって、周縁部27dは、弁体71が第2上底面27aに当接した状態においても第1タンク16に連通している。
【0036】
入口開閉装置70では、圧縮機1から供給された圧縮空気が直径Dhの範囲で弁体71の上面に当たることによって、付勢ばね72の付勢力に抗して弁体71が押し下げられ、第1連通孔27bと第2連通孔27cとが開けられる。一方、入口開閉装置70では、メインタンク3内の圧力が最大所定圧力Pmaxに達すると、逆止弁60が閉じられるので、圧縮機1から供給された圧縮空気の圧力が第1タンク16内の圧力と均衡する。ドレンバルブ装置50によってドレン排出口13が開くと、第1タンク16内の圧縮空気の圧力が下がり、圧縮空気が直径Dbの範囲で弁体71の上面に当たる圧縮空気の圧力も下がる。よって、入口開閉装置70では、弁体71を押し下げる力が発生しなくなるので、付勢ばね72の付勢力によって第1連通孔27bと第2連通孔27cとが閉じられる。つまり、入口開閉装置70では、閉弁圧は開弁圧よりも低く設定されている。入口開閉装置70では、直径Dhの範囲に高い圧力の圧縮空気を当てることによって弁が開く。開弁直後は、この高い圧力の圧縮空気が直径Dhよりも大きい直径Dbの範囲に当たる。これによって、必要な圧縮空気供給時に入口開閉装置70が閉じることを防止している。すなわち、入口開閉装置70は、ロード運転時には入口111を開いて、アンロード運転時には入口111を閉じる。
【0037】
次に、図2図4を参照して、第1の実施形態の圧縮空気乾燥装置の動作について説明する。圧縮空気乾燥装置2は、メインタンク3内の圧力と第2タンク17内の圧力とに応じて自動的にロード運転とアンロード運転との間の切り替えを行う。
【0038】
図2に示されるように、ロード運転は、第2タンク17内の圧力が最小所定圧力Pminとなった際に開始して、メインタンク3内の圧力が最大所定圧力Pmaxとなった際に終了する。また、アンロード運転は、メインタンク3内の圧力が最大所定圧力Pmaxとなった際に開始して、第2タンク17内の圧力が最小所定圧力Pminとなった際に終了する。ロード運転時には、入口111と出口12とが開かれるとともに、ドレン排出口13が閉じられる。アンロード運転時には、入口111と出口12とが閉じられるとともに、ドレン排出口13が開かれる。
【0039】
図3に示されるように、ロード運転時には、圧縮機1から入口111を介して流入した圧縮空気は、支持ケース110の第1連通孔27bを通過して、入口開閉装置70の弁体71に吹き付けられる。すると、圧縮空気によって弁体71が付勢ばね72に抗して押し下げられて、第1連通孔27bと第2連通孔27cとが開く。圧縮空気は、第2収容空間27の第2上底面27aと弁体71との間の空間を通過して、第2連通孔27cから第1タンク16内に流入する。第1タンク16内に流入した圧縮空気は、取付板32の貫通孔32aから衝突材収容部40内に流入して、オイルセパレートフィルタ41を通過する。これによって、圧縮空気からオイルやダストが除去される。
【0040】
続いて、オイルセパレートフィルタ41を通過した圧縮空気は、乾燥容器30の貫通孔30aを通過して、乾燥容器30内に入る。乾燥容器30内に流入した圧縮空気は、下部薄膜47と下部プレート45の貫通孔とを通過して、乾燥剤31を通過する。これによって、圧縮空気から水分が除去される、すなわち、乾燥される。乾燥された圧縮空気は、上部プレート46の貫通孔と下部薄膜47とを通過して、蓋材34の第1貫通孔34aからパージタンク15内である第2タンク17内に流入する。
【0041】
第1タンク16内に流入した乾燥圧縮空気は、取付板32の出口貫通孔32bと支持ケース110の第4連通孔26cとを通過して、逆止弁60の弁体61に吹き付けられる。すると、圧縮空気によって弁体61が付勢ばね62に抗して押し下げられて、第3連通孔26bが開く。乾燥圧縮空気は、第3連通孔26bから第1収容空間26を通過して、第4連通孔26cを通過して出口12を介してメインタンク3内に溜められる。メインタンク3内の乾燥圧縮空気は例えばエアブレーキ系統の各機器の作動に利用される。
【0042】
メインタンク3内の圧力が最大所定圧力Pmaxに達すると、逆止弁60では、弁体61を押し下げる力が発生しなくなるので、付勢ばね62の付勢力によって第3連通孔26bが閉じられる。すなわち、逆止弁60は出口12を閉じる。また、メインタンク3内の圧力が最大所定圧力Pmaxに達すると、ドレンバルブ装置50は、プレッシャガバナ(図示略)からの指令信号に応答して空間22に圧縮空気を供給することによって弁体51を押し下げてドレン排出口13を開く。入口開閉装置70では、ドレン排出口13が開くと、第1タンク16内の圧縮空気の圧力が下がり、弁体71を押し下げる力が発生しなくなるので、付勢ばね72の付勢力によって第1連通孔27bと第2連通孔27cとが閉じられる。すなわち、入口開閉装置70は、入口111を閉じる。よって、圧縮空気乾燥装置2は、ロード運転からアンロード運転に移行する。
【0043】
図4に示されるように、アンロード運転時の圧縮空気乾燥装置2では、入口開閉装置70によって入口111が閉じられ、逆止弁60によって出口12が閉じられ、ドレンバルブ装置50によってドレン排出口13が開かれている。ドレン排出口13が開くと、第2タンク17内の圧縮空気(パージエア)によって、油水分を含むドレンが勢いよく外部へ放出される。
【0044】
すなわち、第2タンク17内に溜まっていた乾燥圧縮空気は、蓋材34の第2貫通孔34bを通過して乾燥容器30内に流入し、上部薄膜48と上部プレート46の貫通孔とを通過して、乾燥剤31を通過する。これによって、乾燥剤31が再生される。乾燥剤31を通過した圧縮空気は、下部プレート45の貫通孔と下部薄膜47とを通過して、乾燥容器30の貫通孔30aから衝突材収容部40内に流入する。衝突材収容部40内に流入した圧縮空気は、オイルセパレートフィルタ41を通過する。さらに、圧縮空気は取付板32の貫通孔32aから第1タンク16内を通過し、ドレンバルブ装置50内を通過し、排気管14を通過して外部にドレンとともに排出される。
【0045】
ドレン排出口13からパージエアとドレンとが排出されて、第1タンク16内の圧力及び第2タンク17内の圧力が大気圧に近くなる。第1タンク16と第2タンク17との間の差圧がなくなるので、パージエアとドレンとの排出が止まる。ドレンバルブ装置50は、第2タンク17内の圧力が最小所定圧力Pminに達すると、プレッシャガバナ(図示略)からの指令信号に応答して空間22から空気を排出し、付勢ばね54の付勢力によってドレン排出口13を閉じる。入口開閉装置70では、圧縮機1から供給された圧縮空気が弁体71の上面に当たることによって、付勢ばね72の付勢力に抗して弁体71が押し下げられ、第1連通孔27bと第2連通孔27cとが開けられる。すなわち、入口開閉装置70は、入口111を開く。また、逆止弁60では、圧縮機1から供給された圧縮空気が弁体61の上面に当たることによって、付勢ばね62の付勢力に抗して弁体61が押し下げられ、第3連通孔26bが開けられる。よって、圧縮空気乾燥装置2は、アンロード運転からロード運転に移行する。
【0046】
さて、本実施例では、圧縮空気乾燥装置2の入口111に入口開閉装置70が設けられたので、圧縮空気乾燥装置2のアンロード運転時には入口111が入口開閉装置70によって閉じられる。このため、圧縮空気乾燥装置2のアンロード運転時に、圧縮機1を介して過給機5から供給された圧縮空気が圧縮空気乾燥装置2の入口111から流入することはない。したがって、圧縮空気がドレン排出口13から排出されることを防止できる。よって、過給機5の過給圧への影響を抑制できる。また、圧縮空気乾燥装置2のロード運転時には入口111が入口開閉装置70によって開けられるので、圧縮機1を介して過給機5から供給された圧縮空気が入口111から流入して乾燥される。よって、圧縮機1における圧縮量を減らすことができ、ひいては圧縮機1を小型化できる。
【0047】
以上、説明した実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)ロード運転時には過給機5によって圧縮された圧縮空気を圧縮機1において更に圧縮し、入口開閉装置70によって開けられた圧縮空気乾燥装置2の入口111から圧縮空気が流入するので、圧縮機1における圧縮量を減らすことができ、ひいては圧縮機1を小型化することができる。アンロード運転時には入口開閉装置70によって入口111が閉じられているので、過給機5によって圧縮された圧縮空気が圧縮機1を介して圧縮空気乾燥装置2内に流入せず、過給機5による圧縮空気が圧縮空気乾燥装置2の入口111から流入してドレン排出口13から排出されない。よって、過給機5の過給圧への影響を抑制できる。
【0048】
(2)ロード運転時には圧縮空気によって付勢ばね72に抗して弁体71が移動されることによって、圧縮空気乾燥装置2の入口111を開き、アンロード運転時には付勢ばね72によって圧縮空気乾燥装置2の入口111を閉じる。このため、付勢ばね72によって入口開閉装置70が自動開閉でき、入口開閉装置70を弁体71と付勢ばね72との簡易な構成とすることができる。
【0049】
(第2の実施形態)
以下、図5及び図6を参照して、圧縮空気乾燥装置の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態の圧縮空気乾燥装置における入口開閉装置の構成は、上記第1の実施形態のそれと異なっている。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。なお、この実施形態の圧縮空気乾燥装置2は、入口開閉装置の構成を除き、第1の実施形態の圧縮空気乾燥装置2とほぼ同様の構成を備えている。
【0050】
図5及び図6に示されるように、本実施例の入口111には、入口111を開閉する入口開閉装置80が設けられている。入口開閉装置80は、入口111を開閉するための円柱状の弁体81と、弁体81を保持する円環状の弁座82とを備えている。支持ケース110の入口111の内部には、入口開閉装置80を装着するための円筒状の第3収容空間28が形成されている。第3収容空間28は、入口111に連通するとともに、第5連通孔28aによって第1タンク16に連通している。弁体81は、支持ケース110の入口111から第3収容空間28に密閉状態で摺動可能に挿入されている。弁座82は、弁体81が第3収容空間28に挿入された状態で、支持ケース110の入口111から第3収容空間28に挿入されてリテイニングリング等によって固定されている。第5連通孔28aは、弁体81が弁座82の弁体81に対向する端部に着座すると閉じられる。
【0051】
支持ケース110には、第3収容空間28を空間22に連通させる連通路29が形成されている。空間22に圧縮空気が供給されると、第3収容空間28の弁体81に閉蓋された空間に、連通路29を介して圧縮空気が供給される。供給された圧縮空気が弁体81の連通路29側端面に当たることによって、弁体81が弁座82に向けて押される。弁体81が弁座82に着座して入口111が閉じられるとともに、第5連通孔28aが閉じられる。一方、空間22から空気が排出されるとともに、入口111から圧縮空気が供給されると、供給された圧縮空気が弁体81の入口111側端面に当たることによって、弁体81が弁座82から離間する方向へ押される。弁体51が弁座53から離間して入口111が開らかれるとともに、第5連通孔28aが開らかれる。
【0052】
次に、図5及び図6を参照して、第2の実施形態の圧縮空気乾燥装置の動作について説明する。圧縮空気乾燥装置2は、メインタンク3内の圧力と第2タンク17内の圧力とに応じて自動的にロード運転とアンロード運転との間の切り替えを行う。ロード運転時とアンロード運転時とにおける入口111、出口12、ドレン排出口13の開閉は、第1の実施形態と同様に制御される。
【0053】
図5に示されるように、ロード運転時には、圧縮機1から入口111を介して流入した圧縮空気は、入口開閉装置80の弁体81に吹き付けられる。すると、圧縮空気によって弁体81が押されて、第5連通孔28aが開く。圧縮空気は、第3収容空間28を通過して、第5連通孔28aから第1タンク16内に流入する。
【0054】
図6に示されるように、メインタンク3内の圧力が最大所定圧力Pmaxに達すると、逆止弁60では、弁体61を押し下げる力が発生しなくなるので、付勢ばね62の付勢力によって第3連通孔26bが閉じられる。すなわち、逆止弁60は出口12を閉じる。また、メインタンク3内の圧力が最大所定圧力Pmaxに達すると、ドレンバルブ装置50は、プレッシャガバナ(図示略)からの指令信号に応答して空間22に圧縮空気を供給することによって弁体51を押し下げてドレン排出口13を開く。入口開閉装置80では、空間22に供給された圧縮空気が連通路29から第3収容空間28に吹き出すことで、弁体81が弁座82に着座して、入口111が閉じられる。よって、圧縮空気乾燥装置2は、ロード運転からアンロード運転に移行する。
【0055】
ドレンバルブ装置50は、第2タンク17内の圧力が最小所定圧力Pminに達すると、プレッシャガバナ(図示略)からの指令信号によって空間22から空気を排出することで付勢ばね54の付勢力に応答してドレン排出口13を閉じる。入口開閉装置80では、空間22から空気が排出されることによって、連通路29を介して第3収容空間28から空気が排出される。圧縮機1から供給された圧縮空気が入口111から流入することによって、弁体81が弁座82から離間して、入口111が開かれる。逆止弁60では、圧縮機1から供給された圧縮空気が弁体61の上面に当たることによって、付勢ばね62の付勢力に抗して弁体61が押し下げられ、第3連通孔26bが開らかれる。すなわち、逆止弁60は出口12を開ける。よって、圧縮空気乾燥装置2は、アンロード運転からロード運転に移行する。
【0056】
さて、本実施例では、圧縮空気乾燥装置2の入口111に入口開閉装置80が設けられたので、第1の実施形態と同様に、圧縮機1における圧縮量を減らすことができ、ひいては圧縮機1を小型化できる。
【0057】
また、アンロード運転時にドレンバルブ装置50を駆動する圧縮空気が連通路29を介して第3収容空間28に流入することによって、入口111を閉じる方向に弁体81が確実に移動させられる。
【0058】
以上、説明した実施形態によれば、第1の実施形態の(1)の効果に加え、以下の効果を奏することができる。
(3)ロード運転時には、圧縮機1から供給される圧縮空気によって圧縮空気乾燥装置2の入口111を開くように、入口開閉装置80の弁体81が移動される。アンロード運転時には、ドレン排出口13から供給される圧縮空気によって、圧縮空気乾燥装置2の入口111を閉じるように、入口開閉装置80の弁体81が移動される。このため、異なる圧縮空気による弁体81の移動によって入口開閉装置80が自動開閉でき、入口開閉装置80を弁体81による簡易な構成とすることができる。
【0059】
(4)支持ケース110に設けられた連通路29を介して、アンロード運転時に圧縮空気が弁体81に吹き付けられる。そのため、ドレン排出口13から圧縮空気が供給されるときに、この圧縮空気が連通路29を通過することによって、弁体81を容易に移動させることができる。
【0060】
(5)アンロード運転時には、ドレンバルブ装置50を駆動する圧縮空気によって前記弁体が入口111を閉じる方向に弁体81が移動させられるので、弁体81によって入口111を確実に閉めることができる。
【0061】
(第3の実施形態)
以下、図7図12を参照して、圧縮空気乾燥装置の第3の実施形態について説明する。第3の実施形態の圧縮空気乾燥装置は、乾燥剤を交換する際に乾燥容器を含めたパージタンクを交換するカートリッジタイプである点において上記第1の実施形態と異なっている。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0062】
図7及び図8に示されるように、圧縮空気乾燥装置2は、有底円筒形状のパージタンク15と、パージタンク15を支持する支持ケース110とを備えている。なお、パージタンク15がカバーに相当する。
【0063】
支持ケース110の側部には、圧縮機1から供給された圧縮空気が流入する入口111と、乾燥圧縮空気がメインタンク3に排出される出口12とが同方向に指向して設けられている。また、支持ケース110には、プレッシャガバナ39が設けられている。支持ケース110の底部25の中央には、アンロード運転時にドレンを排出するドレン排出口13が設けられている。
【0064】
図9に示されるように、出口12には、逆止弁60が設けられている。逆止弁60は、出口12を開閉するための弁体61と、弁体61を上方に付勢する付勢ばね62とを備えている。逆止弁60は、ロード運転時には出口12を開いて、アンロード運転時には出口12を閉じる。
【0065】
入口111には、入口111を開閉する入口開閉装置80が設けられている。入口開閉装置80は、入口111を開閉するための円柱状の弁体81と、弁体81を保持する円環状の弁座82とを備えている。支持ケース110の入口111の内部には、入口開閉装置80を装着するための円筒状の第3収容空間28が形成されている。第3収容空間28は、入口111に連通するとともに、第5連通孔28aによって第1タンクに連通している。弁体81は、支持ケース110の入口111から第3収容空間28に密閉状態で摺動可能に挿入されている。弁座82は、弁体81が第3収容空間28に挿入された状態で、支持ケース110の入口111から第3収容空間28に挿入されてリテイニングリング等によって固定されている。第5連通孔28aは、弁体81が弁座82の弁体81に対向する端部に着座すると閉じられる。
【0066】
図10に示されるように、支持ケース110の上側中央には、有底円筒形状の円筒部21が形成されている。円筒部21の上側外周には、雄螺子21aが形成されている。支持ケース110と円筒部21との間の空間は、入口111から流入した圧縮空気を溜める第1タンク16として機能する。ドレン排出口13には、ドレン排出口13を開閉するドレンバルブ装置50が設けられている。ドレン排出口13には、排気管14が露出して取り付けられている。
【0067】
空間22に圧縮空気が供給されると、第3収容空間28の弁体81に閉蓋された空間に、連通路29を介して圧縮空気が供給される。供給された圧縮空気が弁体81の連通路29側端面に当たることによって、弁体81が弁座82に向けて押される。弁体81が弁座82に着座して入口111が閉じられるとともに、第5連通孔28aが閉じられる。一方、空間22から空気が排出されるとともに、入口111から圧縮空気が供給されると、供給された圧縮空気が弁体81の入口111側端面に当たることによって、弁体81が弁座82から離間する方向へ押される。弁体51が弁座53から離間して入口111が開らかれるとともに、第5連通孔28aが開らかれる。
【0068】
ドレンバルブ装置50は、ドレン排出口13を開閉するための弁体51と、弁体51を移動させるピストン52とを備えている。弁体51は、ピストン52と一体に移動するとともに、ドレンバルブ装置50の弁座53に着座するように設置されている。ピストン52は、支持ケース110に形成された空間22を閉蓋する状態で設置されるとともに、付勢ばね54によって上方に(すなわち、空間22に向かって)付勢されている。空間22に圧縮空気が供給されると、ピストン52が押し下げられる。ピストン52とともに弁体51が押し下げられると、弁体51が弁座53に着座し、これによってドレン排出口13が閉じられる。一方、空間22から空気が排出されると、ピストン52が付勢ばね54によって押し上げられる。ピストン52とともに弁体51が押し上げられると、弁体51が弁座53から離間してドレン排出口13が開く。
【0069】
ドレンバルブ装置50は、ロード運転時には閉じている。メインタンク3内の圧力が上昇して最大所定圧力Pmaxに達すると、ドレンバルブ装置50は、プレッシャガバナ39から空間22に圧縮空気が供給されることによってドレン排出口13を開く。これによって、アンロード運転が開始する。すなわち、アンロード運転時にはドレン排出口13が開かれているので、油水分を含むドレンは、パージタンク15内の圧縮空気(パージエア)によって勢いよく外部へ放出される。一方、第2タンク17内の圧力が低下して最小所定圧力Pminに達すると、プレッシャガバナ39を介して空間22から空気が排出されることによって、付勢ばね54の付勢力によってドレン排出口13が閉じられる。
【0070】
パージタンク15は、支持ケース110に向かって開口する開口部を有する有底円筒形状の外側ケース91と、外側ケース91の開口部を閉蓋するとともに、支持ケース110に装着される取付板93と、円環状のオイルセパレートフィルタ92と、乾燥剤31が充填された円柱形状の乾燥容器30とを備えている。取付板93の中央には、支持ケース110の円筒部21の雄螺子21aに螺合する円筒状の雌螺子93aが設けられている。取付板93が円筒部21に螺着されることによって、パージタンク15は支持ケース110に装着される。取付板93は、固定部材94の外縁部が外側ケース91に巻回されることによって、固定部材94に固定されている。固定部材94の下部には、支持ケース110の上端部23と密着して密閉空間を作るシール部材95が取り付けられている。オイルセパレートフィルタ92は取付板93の上部に配置され、オイルセパレートフィルタ92の上部に乾燥容器30が配置されている。乾燥容器30内に充填された粒状の乾燥剤31は、下部プレート45と上部プレート46とに上下方向において挟まれている。外側ケース91の内部には、付勢ばね37が設置されている。付勢ばね37は、上部プレート46を下部プレート45へ向けて付勢している。外側ケース91と乾燥容器30との間の空間は、除湿した乾燥圧縮空気を溜める第2タンク17として機能する。下部プレート45及び上部プレート46には、図示しない複数の貫通孔が形成されている。上部プレート46には、第2タンク17から乾燥容器30への通過のみを許容する逆止弁38が取り付けられている。取付板93には、貫通孔93bが形成されている。
【0071】
次に、図11及び図12を参照して、第3の実施形態の圧縮空気乾燥装置2の動作について説明する。圧縮空気乾燥装置2は、メインタンク3内の圧力と第2タンク17内の圧力とに応じて自動的にロード運転とアンロード運転との間の切り替えを行う。ロード運転時とアンロード運転時とにおける入口111、出口12、ドレン排出口13の開閉は、第2の実施形態と同様に制御される。
【0072】
図11に示されるように、ロード運転時には、圧縮機1から入口111を介して流入した圧縮空気は、入口開閉装置80の弁体81に吹き付けられる。すると、圧縮空気によって弁体81が押されて、第5連通孔28aが開く。圧縮空気は、第3収容空間28を通過して、第5連通孔28aから第1タンク16内に流入する。
【0073】
図12に示されるように、メインタンク3内の圧力が最大所定圧力Pmaxに達すると、逆止弁60では出口12が閉じられる。また、メインタンク3内の圧力が最大所定圧力Pmaxに達すると、ドレンバルブ装置50は、プレッシャガバナ39から空間22に圧縮空気が供給されることによってドレン排出口13が開らかれる。また、入口開閉装置80では、入口111が閉じられる。よって、圧縮空気乾燥装置2は、ロード運転からアンロード運転に移行する。
【0074】
ドレンバルブ装置50は、第2タンク17内の圧力が最小所定圧力Pminに達すると、プレッシャガバナ39によってドレン排出口13が閉じられる。また、第2タンク17内の圧力が最小所定圧力Pminに達すると、入口開閉装置80では、入口111が開らかれる。逆止弁60では、出口12が開らかれる。よって、圧縮空気乾燥装置2は、アンロード運転からロード運転に移行する。
【0075】
さて、本実施例では、圧縮空気乾燥装置2の入口111に入口開閉装置80が設けられたので、第2の実施形態と同様に、圧縮機1における圧縮量を減らすことができ、ひいては圧縮機1を小型化できる。
【0076】
また、アンロード運転時にドレンバルブ装置50を駆動する圧縮空気がプレッシャガバナ39から連通路29を介して第3収容空間28に流入することによって、入口111を閉じる方向に弁体81が確実に移動される。
【0077】
以上、説明した実施形態によれば、第1の実施形態の(1)、第2の実施形態の(3)〜(5)の効果に加え、以下の効果を奏することができる。
(6)乾燥容器30を収容したパージタンク15をカートリッジタイプとしたので、乾燥剤31を容易に交換することができる。
【0078】
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することができる。
・上記第2,3の実施形態では、アンロード運転時において、ドレンバルブ装置50の空間22に流入される圧縮空気を第3収容空間28に流入させることによって、入口開閉装置80の弁体81を移動させた。しかしながら、パージエアを第3収容空間28に流入させることによって入口開閉装置80の弁体81を移動させてもよい。
【0079】
・上記第2の実施形態では、支持ケース110に連通路29を形成したが、圧縮空気を第3収容空間28に流入させる連通管を別途設けてもよい。
・上記第1,2の実施形態では、逆止弁60の弁体61を図中上下方向に移動させたが、第3の実施形態におけるように逆止弁60の弁体61が図中左右方向等の他の方向に移動するように、逆止弁60を支持ケース110に設置してもよい。
【0080】
・上記第1の実施形態では、入口開閉装置70の弁体71を図中上下方向に移動させたが、入口開閉装置70の弁体71を図中の左右方向等の他の方向に移動するように、入口開閉装置70を支持ケース110に設置してもよい。
【0081】
・上記第2,3の実施形態では、入口開閉装置80の弁体81を図中左右方向に移動させたが、入口開閉装置80の弁体81を図中の上下方向等の他の方向に移動するように、第3収容空間28を支持ケース110に形成してもよい。
【0082】
・上記第1,2の実施形態では、衝突材収容部40にオイルセパレートフィルタ41を収容したが、衝突材の配置構成は適宜変更可能である。
・上記実施形態では、オイルセパレートフィルタ41,92にクラッシュドアルミを採用したが、スポンジ等のウレタンフォームや他の部材を採用してもよい。
【0083】
・上記第1,2の実施形態の構成において、下部薄膜47及び上部薄膜48を不織布としたが、ガラス繊維を含ませた不織布としてもよい。このような構成によれば、ガラス繊維の間を乾燥空気が通過する際に、静電気が生じることで帯電し、より小さな油粒子を薄膜が吸着できる。
【0084】
・上記第1,2の実施形態の構成において、取付板32の貫通孔32a、乾燥容器30の貫通孔30a、下部プレート45の貫通孔、上部プレート46の貫通孔の数量及び位置は、除去性能の条件に合わせて適宜変更可能である。
【0085】
・上記第3の実施形態の構成において、取付板93の貫通孔93b、乾燥容器30の貫通孔、下部プレート45の貫通孔、上部プレート46の貫通孔の数量及び位置は、除去性能の条件に合わせて適宜変更可能である。
【0086】
・上記第3の実施形態では、パージタンク15を支持ケース110に螺着したが、装着構造としてスナップフィット等の構造を採用してもよい。
・上記実施形態では、圧縮空気を溜めて第1タンク16として機能するパージタンク15をカバーとして採用したが、圧縮空気を溜めないカバーとしてのみ機能するカバーを採用してもよい。
【符号の説明】
【0087】
1…圧縮機、2…圧縮空気乾燥装置、3…メインタンク、4…エンジン、5…過給機、12…出口、13…ドレン排出口、14…排気管、15…パージタンク、16…第1タンク、17…第2タンク、21…内部円筒部、22…空間、23…上端部、24…ボルト、25…底部、26…第1収容空間、26a…第1上底面、26b…第3連通孔、26c…第4連通孔、27…第2収容空間、27a…第2上底面、27b…第1連通孔、27c…第2連通孔、27d…周縁部、28…第3収容空間、28a…第5連通孔、29…連通路、30…乾燥容器、30a…貫通孔、31…乾燥剤、31a…貫通孔、32…取付板、32a…貫通孔、32b…出口貫通孔、33…ボルト、34…蓋材、34a…第1貫通孔、34b…第2貫通孔、35…ねじ、36…固定部、37…コイルばね、38…逆止弁、40…衝突材収容部、41…オイルセパレートフィルタ、45…下部プレート、45a…貫通孔、46…上部プレート、46a…貫通孔、47…下部薄膜、48…上部薄膜、50…ドレンバルブ装置、51…弁体、52…ピストン、53…弁座、54…付勢ばね、55…フィルタ、60…逆止弁、61…弁体、62…付勢ばね、70…入口開閉装置、71…弁体、72…付勢ばね、80…入口開閉装置、81…弁体、82…弁座、91…外側ケース、92…オイルセパレートフィルタ、93…取付板、94…固定部材、95…シール部材、110…支持ケース、111…入口、Db…直径、Dh…直径、Pmax…最大所定圧力、Pmin…最小所定圧力。
図1
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図12