【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的及びその他の目的は、本明細書及び本特許請求の範囲において概説されるように本発明によって達成される。
【0008】
本発明による方法は、一般式(I)、R
1CHF−OC(O)−OCHFR
2(式中、R
1及びR
2は、同一又は異なり、且つ、H、又は、1〜3個の炭素原子を有する直鎖型若しくは分岐型のアルキル基を表す)の1,1’−ジフルオロジアルキルカーボネートの製造を提供し、式(II)、R
1CHFOC(O)F(式中、R
1は、前述の意味を有する)のフルオロギ酸フルオロアルキルを、式(III)、R
2−CH(O)(式中、R
2は、前述の意味を有する)のアルデヒド、又は、それぞれのトリマーと反応させる工程を含む。
【0009】
単純化のため、式(II)の化合物は、単に「フルオロギ酸」として以下に表すものとする。
【0010】
好ましくは、R
1はH又はCH
3である。好ましくは、R
2はH又はCH
3である。好ましくは、1,1’−ジフルオロジメチルカーボネート、又は1,1’−ジフルオロジエチルカーボネートが生成される。
【0011】
式(II)のフルオロギ酸と式(III)のアルデヒドとの間のモル比は、好ましくは、0.3:1以上であり、より好ましくは、0.9:1以上である。好ましくは、この比は5:1以下であり、より好ましくは、3:1以下である。フルオロギ酸とアルデヒドの比が、0.95:1〜1.05:1の範囲である場合、非常に良好な結果が得られる。
【0012】
フルオロギ酸とアルデヒドとの間の反応の際の温度は、重要ではない。一般的に、冷却は必要ではないが、特定の反応物の場合、反応は発熱となり、反応混合物を冷却することが望ましい場合がある。反応の際の温度は、好ましくは−80℃以上であり、より好ましくは−78℃以上である。好ましくは、この温度は、0℃以上であり、より好ましくは20℃以上である。
【0013】
反応温度の上限は、圧力、及び、アルコールの沸点などの出発物質の沸点に依存する場合がある。多くの場合、温度は、150℃以下であり、より好ましくは85℃以下であり、特に好ましくは50℃以下である。好ましい範囲は、0〜150℃、より好ましくは20〜50℃である。
【0014】
好ましくは、反応は、アシル化触媒の存在下にて実施される。いかなる理論にもとらわれることなく、活性化触媒は、C(O)F基からF
−アニオンを置換することによって、式(II)のフルオロギ酸1−フルオロアルキルを一種の「活性化エステル」に変換するべく機能すると考えられ、F
−アニオンは、式(III)のアルデヒドと反応して、その結果、フルオロアルコラートを形成すると考えられる。「活性化エステル」は、フルオロギ酸1−フルオロアルキル自身より反応性であると考えられ、フルオロアルコラートと反応して、式(I)の1,1’−ジフルオロジアルキルカーボネートが生成すると考えられる。
【0015】
アシル化触媒の好ましい種類は、芳香環に少なくとも1つの窒素原子を有する芳香族化合物である。ピリジン及び置換されたピリジン化合物は、特に触媒として適している。電子供与基によって置換されたピリジン、特に少なくとも1つのアミノ基で置換されたピリジンが、非常に適している。ジアルキルアミノピリジン、及び、特に4−ジアルキルアミノピリジンは、アシル化触媒として特に適している。好ましくは、「アルキル」という用語は、C1〜C4アルキル、特に、メチル、エチル、イソプロピル、及びn−プロピルを表す。4−ジメチルアミノピリジン(「DMAP」)が特に好まれる。以下の反応スキームは、反応を説明することを目的としている。
【0016】
左側の図は、出発物質、即ち、フルオロギ酸1−フルオロアルキル及びDMAP分子を示す。「活性化エステル」は、右側に示される。
【0017】
F
−アニオン及びアルデヒドは、フルオロアルコラートを形成し、これが「活性化エステル」と反応して1,1’−ジフルオロジアルキルカーボネートを形成し、一方で、DMAPは活性化エステルから分離される。
【0018】
前述の通り、前述の反応スキームは、理論を反映させるものに過ぎず、本発明を限定することを意図するものではない。
【0019】
反応は、オートクレーブにおいてなどの任意の適切な反応器において実施可能である。
【0020】
反応は、バッチ毎に又は連続して実施可能である。
【0021】
好ましくは、反応は、更に圧力を加えることなく実施される。このことは、好ましくは、反応が、自らが生み出す圧力下、又は大気圧下で実施されることを意味する。しかし必要に応じて、反応は、減圧下又は大気圧を超える圧力、例えば大気圧以上から30バール(絶対圧)以下、又は更にそれを下回る範囲にある圧力などで実施可能である。
【0022】
反応は、溶媒の不在下、又は存在下にて、実施可能である。反応が溶媒中で実施される場合、好ましくは、少なくとも1つの非プロトン性である極性の溶媒が使用される。適切な溶媒は、例えば、ジエチルエーテルなどのエーテル、酢酸のアルキルエステル又はグリコールジアルキルエステルなどのエステルであり、好ましくは「アルキル」という用語は、本明細書においては、メチル、エチル、又はプロピルを表す。有機カーボネートも適切な溶媒である。直鎖型のジアルキルカーボネートが使用可能であり、アルキル基は、同一でも異なっていてもよく、メチル、エチル、及びプロピルが、好ましいアルキル基である。環式のカーボネートも、溶媒として使用可能であり、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、及び3,4−ジメチルエチレンカーボネートが好ましい。
【0023】
好ましくは、反応は溶媒の不在下にて実施される。
【0024】
得られる反応混合物は、蒸留、沈殿、及び/又は結晶化によるなどの、周知の方法によって分離可能である。必要に応じて、反応混合物は、水と接触させて水溶性成分を除去することができる。式(I)の1,1’−ジフルオロジアルキルカーボネートは、蒸留によるなどの当技術分野において周知の方法で精製されることができる。
【0025】
式(II)のフルオロギ酸1−フルオロアルキルは、市販のものでもよい。これは、容易に入手可能な出発物質から調整してもよい。以下に、式(II)のフルオロギ酸1−フルオロアルキルを生成する方法について、いくつかの方法を詳細に説明する。
【0026】
例えば、式(II)、R
1CHFOC(O)Fの化合物は、「Halex」型の反応、即ち、LiF、KF、CsF、NaF、NH
4F又はアミンフッ化水素酸塩、又は、それぞれのHF付加物などのアルカリ又はアルカリ土類金属のフッ化物等のフッ素化反応物を使用するなどの、すでに前述されたように、フッ素化剤による塩素原子のフッ素原子への置換にて、それぞれのクロロギ酸クロロアルキルから調製可能である。クロロギ酸クロロアルキル自体は、米国特許第5,712,407号明細書に記載のホスゲンとアルデヒドとの間の反応を通して入手可能である。
【0027】
フッ化カルボニル、及び式(IV)R
1CH(O)を有するアルデヒドから、式(II)、R
1CHFOC(O)Fの中間化合物を生成することが好ましく、R
1は、前述の意味を有し、且つ、好ましくはH又はCH
3である。アルデヒドは、パラホルムアルデヒド又はトリオキサンとして、又は、ポリマーとしてなどの、トリマーの形態で使用可能であり、これらの化合物を、例えば熱によって分解して、モノマーのアルデヒドを形成することが好ましい。
【0028】
フッ化カルボニルとアルデヒドとの間のモル比は、好ましくは0.9:1以上である。この比は、好ましくは5:1以下である。
【0029】
好ましくは、フッ化カルボニルとアルデヒドとの間のモル比は、0.5:1〜1:10の範囲である。より好ましくは、フッ化カルボニルとアルデヒドとの間のモル比は、1:2〜1:2.5の範囲である。
【0030】
好ましくは、フッ化カルボニルとアルデヒドとの間の反応は、触媒作用される。
【0031】
反応は、例えば、F
−により触媒作用され得る。例えば、反応は、そのまま添加される、又は、少量の水の添加によってその場で調製されることができるHFにより触媒作用され得る。
【0032】
好ましい触媒は、CsFなどのアルカリ土類金属フッ化物又はアルカリ金属フッ化物などのフッ化物アニオンを含むもの、又は、フッ化カルボニル及びプレ触媒から形成されるフッ化物イオンを含む触媒である。好ましいプレ触媒は、ジアルキルホルムアミド、特にジメチルホルムアミドである。ホルムアミド及びフッ化カルボニルは、アルデヒドに対して求核反応を開始する「裸の」フッ化物イオンを形成すると考えられる。次いで、フッ化物イオンとアルデヒド分子の形成した付加物の負に帯電した酸素は、フッ化カルボニル分子と反応し、フルオロギ酸フルオロメチル、又は一般的には、フルオロギ酸フルオロアルキルを形成する。
【0033】
代替的に、ピリジン、有利には4−ジアルキルアミノピリジン、特に4−ジメチルアミノピリジンが、適切なプレ触媒として考えられる。
【0034】
COF
2とアルデヒドとの間の反応は、好ましくは、例えば、オートクレーブにてバッチ単位で実施される。或いは、連続して実施されることができる。
【0035】
COF
2とアルデヒドの反応の際の温度は、変動可能である。例えば、非常に効果的な触媒を使用する場合、反応は、大気温度にて実施されることさえできる。しかしながら、出発物質であるホルムアルデヒドの場合には、パラホルムアルデヒドを分解することによって、又は、アセトアルデヒドの場合には、1,3,5−トリオキサンを分解することによって、そのモノマー形態が提供されなければならないことを留意されたい。従って、このような反応が、低温で実施されることができる場合が多い一方で、それでもなお、直接トリマーが反応に導入される場合、分解するために熱を使用しなければならない。
【0036】
出発物質であるパラホルムアルデヒドの場合には、反応は、好ましくは100℃以上の温度で実施される。反応は、好ましくは300℃以下の温度で実施される。熱によって分解されてはならない出発物質としてアルデヒドが使用される場合、反応は、0℃以上及び200℃以下の温度で実施されることができる。望まれる変換が起こるような高温及び/又は十分な時間において、反応を実施することが好ましい。
【0037】
COF
2と式(IV)のアルデヒドとの間の反応は、液相にて又は超臨界条件にて実施される。少なくともフッ化カルボニルの一部が液相で存在するように、圧力を選択する。圧力は、反応温度に依存し、反応温度が高いほど、反応器中の圧力も高くなる。反応は、大気圧(約1バール絶対圧)にて実施可能である。例えば、COF
2は、液体の反応混合物、又は出発物質に、浸漬管を通して導入されることができる。好ましくは、反応は、5バール(絶対圧)以上の圧力で実施される。好ましくは、反応は、50バール(絶対圧)以下の圧力で実施される。一例にて行われるように、反応温度が十分に高い場合、反応器の中身は超臨界状態にある。反応容器は、必要に応じて、不活性ガス、特に窒素にて加圧されることができる。
【0038】
必要に応じて、フルオロギ酸フルオロメチル又は他のフルオロギ酸フルオロメチルなどのフルオロギ酸が、蒸留によるなどの当技術分野にて周知の方法によって、反応混合物から単離されることができる。次いで、前述の通り、フルオロギ酸は、式(III)のアルデヒドと反応して、1,1’−ジフルオロジアルキルカーボネートを生成する。フルオロギ酸を生成する反応における式(IV)のアルデヒドと、後続の工程において式(II)のフルオロギ酸と反応する式(III)のアルデヒドが異なる場合、異なるR
1CHF−及びR
2CHF−基を有する1,1’−ジフルオロジアルキルカーボネートが生成可能であることは、明白である。
【0039】
従って、式(I)の化合物は、
フッ化カルボニル及び式(IV)R
1CH(O)のアルデヒドから、式(II)、R
1CHFOC(O)Fのフルオロギ酸を調製する工程(式中、R
1は、H、又は、1〜3個の炭素原子を有する直鎖型若しくは分岐型のアルキルを表す)と、
式(III)、R
2CH(O)(式中、R
2は、H、又は、1〜3個の炭素原子を有する直鎖型若しくは分岐型のアルキルを表す)のアルデヒドと、式(II)のフルオロギ酸を反応させる工程と、
を含む2工程プロセスにて製造されることができる。