(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1接続配線が接続された前記第1受電コイルの前記一端から前記第3接続配線が接続された前記第1受電コイルの前記他端に向かうにつれて、前記第1受電コイルのコイル線は、第1巻回方向に巻回され、
前記第4接続配線が接続された前記第2受電コイルの前記他端から前記第2接続配線が接続された前記第2受電コイルの前記一端に向かうにつれて、前記第2受電コイルのコイル線は、前記第1巻回方向に巻回された、請求項3に記載の受電装置。
前記第5接続配線が接続された前記第1送電コイルの前記一端から前記第7接続配線が接続された前記第1送電コイルの前記他端に向かうにつれて、前記第1送電コイルのコイル線は、第2巻回方向に巻回され、
前記第8接続配線が接続された前記第2送電コイルの前記他端から前記第6接続配線が接続された前記第2送電コイルの前記一端に向かうにつれて、前記第2送電コイルのコイル線は、前記第2巻回方向に巻回された、請求項7に記載の送電装置。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1は、本実施の形態に係る電力伝送システム1を模式的に示す模式図である。電力伝送システム1は、受電モジュール2を含む車両3と、電源4に接続された送電装置5とを備える。
【0033】
受電モジュール2は、受電装置6と、受電装置6に接続された整流器7と、整流器7に接続されたバッテリ8とを備える。
【0034】
受電装置6は、受電部10と、この受電部10を収容する筐体11とを含む。整流器7は、受電装置6が受電した交流電力を直流電力に変換して、バッテリ8に供給する。バッテリ8に蓄電された電力は、たとえば、図示しないコンバータに供給され、コンバータに供給された電力は、インバータに供給される。そして、インバータで三相交流に変換されて、回転電機に供給され、回転電機が車輪を駆動する。
【0035】
送電装置5は、送電部15と、送電部15に接続された周波数変換器16と、送電部15および周波数変換器16を収容する筐体17とを含む。
【0036】
図2は、電力伝送システム1を模式的に示す回路図である。この
図2において、送電部15は、共振回路を含み、この共振回路は、複数の送電コイルおよび複数の送電コンデンサを含む。受電部10も共振回路を含み、この共振回路も複数の受電コイルおよび複数の受電コンデンサを含む。なお、受電部10および送電部15の具体的な構成については、後述する。
【0037】
受電部10の共振回路の共振周波数と、送電部15の共振回路の共振周波数とは、一致、または、実質的に一致するように形成されている。
【0038】
受電部10の共振回路のQ値は100以上であり、送電部15の共振回路のQ値も100以上である。このように各共振回路の共振周波数およびQ値を設定することで、高効率で送電装置5から受電装置6に電力を非接触で送電することができる。
【0039】
図3は、送電装置5を示す分解斜視図である。この
図5に示すように、送電装置5は、送電部15と、周波数変換器16と、送電部15および周波数変換器16を接続する配線28,29と、周波数変換器16と電源4とを接続する配線30と、筐体17とを含む。
【0040】
筐体17は、地面に配置されるベース板20と、このベース板20の上方からベース板20を覆うように配置される蓋21と、ベース板20の上面に形成された仕切板22とを含む。蓋21は、樹脂蓋23と、金属蓋24とを含み、樹脂蓋23がベース板20に装着されることで送電部15を収容する空間が形成される。金属蓋24がベース板20に装着されることで、周波数変換器16が収容される空間が形成される。
【0041】
樹脂蓋23は、送電部15の周囲に形成される電磁場を透過する材料によって形成されている。金属蓋24は、周波数変換器16を外部から保護すると共に、周波数変換器16から発せられるノイズが周囲に放射されることを抑制する。金属蓋24には、配線30が引き出される貫通孔24aが形成されている。
【0042】
仕切板22は、周波数変換器16を収容する空間と、送電部15が収容される空間とを区画する。仕切板22には、配線28が挿入される貫通孔22aと、配線29が挿入される貫通孔22bとが形成されている。
【0043】
送電部15は、フェライト25と、このフェライト25の上面に配置された送電コイルユニット26と、フェライト25の下面に配置された送電コンデンサユニット27とを含む。
【0044】
フェライト25は、複数の分割フェライトを環状に配置して形成された環状フェライト31と、この環状フェライト31の開口縁部に接触すると共に環状フェライト31の上面上に配置された中央フェライト32とを含む。中央フェライト32は、互いに間隔をあけて配置された複数の分割フェライトを含む。
【0045】
送電コイルユニット26は、環状フェライト31の上面に配置された送電コイル33と、この送電コイル33の上面に配置された送電コイル34とを含む。
【0046】
送電コイル33,34は、上下方向に延びる巻軸O1の周囲を取り囲むようにコイル線を曲げることで形成されており、中央フェライト32の周囲を取り囲むように配置されている。
【0047】
なお、この
図3に示す例においては、送電コイル33,34は、送電コイルユニット26の上方から視たときに、長方形形状に形成されており、送電コイル33,34は短辺部と長辺部とを含む。
【0048】
周波数変換器(外部機器)16は、送電コイルユニット26の外部に配置されており、配線28は、周波数変換器16と送電コンデンサ35とを接続し、配線29は、周波数変換器16と送電コンデンサ37とを接続する。
【0049】
送電コンデンサユニット27は、フェライト25の下面に配置された送電コンデンサ35,36,37を含む。各送電コンデンサ35,36,37は、互いに間隔をあけて配置されている。なお、
図3に示す「D」とは、鉛直方向下方を示し、「U」とは、鉛直方向上方を意味する。「F」は、車両前方向を示し、「B」は、車両後方向を示す。「L」とは、車両左方向であり、「R」とは、車両右方向を示す。
【0050】
図4は、送電部15の上方から送電部15を平面視したときの平面図である。この
図4に示すように、送電コイルユニット26の上方から視ると、送電コンデンサ35,36,37は、送電コイルユニット26の送電コイル33,34内に配置されている。
【0051】
送電コンデンサ(第1送電コンデンサ)35および送電コンデンサ(第2送電コンデンサ)37は、互いに隣り合うように配置されており、送電コイル33,34のコイル線が延びる方向に隣り合うように配置されている。具体的には、送電コイル33,34の短辺部に沿って、送電コンデンサ35と送電コンデンサ37とが配置されている。送電コンデンサ(第3送電コンデンサ)36は、巻軸O1を基準として、送電コンデンサ35,37と反対側に配置されている。
【0052】
図5は、送電コンデンサ35を模式的に示す平面図であり、送電部15の上方から送電コンデンサ35を視たときの平面図である。この
図5に示すように、送電コンデンサ35は、平板状の基板45と、基板45の上面上に形成された電極49および電極50と、この電極49および電極50の間に互いに並列になるように接続された複数のコンデンサ列46,47,48とを含む。
【0053】
基板45は、平面視したときに長方形形状に形成されており、基板45の周縁部は、長手方向に配列する2つの短辺部と、短手方向に配列する2つの長辺部とを含み、短辺部間の距離は長辺部間の距離よりも長くなっている。各コンデンサ列46,47,48は、互いに直列に接続された複数のコンデンサ素子51を含み、コンデンサ列46,47,48は、基板45の長手方向に延びるように配置されている。電極50には接続配線40が接続され、電極49には配線28が接続されており、電極49および電極50は、各短辺部の近傍に配置されている。
【0054】
図4において、送電コンデンサ35の電極(第7電極)49は、送電コイル33,34の短辺部側に配置され、電極(第8電極)50は、電極49よりも巻軸O1側に配置されている。送電コンデンサ37は、上方から視ると、長方形形状に形成されており、送電コンデンサ37は、送電コイル33,34の短辺部側に配置された電極(第9電極)82と、電極83よりも巻軸O1側に配置された電極(第10電極)83とを含む。なお、送電コンデンサ37も、電極82および電極83の間に互いに並列に接続された複数のコンデンサ列を含む。
【0055】
送電コンデンサ36は、送電コイル33,34の一方の長辺部の近傍に配置された電極(第11電極)84と、送電コイル33,34の他方の長辺部の近傍に配置された電極(第12電極)85とを含む。なお、送電コンデンサ36も、電極84および電極85の間に並列接続された複数のコンデンサ列を含む。
【0056】
送電部15は、送電コンデンサ(第1送電コンデンサ)35の電極50および送電コイルユニット26の一端を接続する接続配線(第5接続配線)40と、送電コイルユニット26の他端および送電コンデンサ(第2送電コンデンサ)37の電極83を接続する接続配線(第6接続配線)43とを含む。具体的には、接続配線40は、電極50と送電コイル33の一端とを接続し、接続配線43は、電極83と送電コイル34の一端とを接続する。
【0057】
さらに、送電部15は、送電コンデンサ(第3送電コンデンサ)36の電極84と送電コイルユニット26とを接続する接続配線(第7接続配線)41と、送電コンデンサ36の電極85と送電コイルユニット26とを接続する接続配線(第8接続配線)42とを含む。具体的には、接続配線41は、送電コイル33の他端と電極84とを接続し、接続配線42は、電極85と送電コイル34の他端とを接続する。
【0058】
図6は、送電部15を模式的に示す回路図である。この
図6に示すように、送電コンデンサ35と、接続配線40と、送電コイル33と、接続配線41と、送電コンデンサ36と、接続配線42と、送電コイル34と、接続配線43と、送電コンデンサ37とは、配線28および配線29の間に順次直列になるように接続されている。
【0059】
次に、
図7などを用いて、送電コンデンサ35などの接続構造について具体的に説明する。
【0060】
図7は、
図4に示すVII−VII線における断面図である。この
図7および
図4を参照して、接続配線40は、送電コンデンサ35の電極50と送電コイル33の内周端とを接続する。そして、接続配線43は、送電コイル34の外周端と、送電コンデンサ37の電極83とを接続する。
【0061】
図8は、
図4に示すVIII−VIII線における断面図である。この
図8に示すように、接続配線41は、送電コンデンサ36の電極84と送電コイル33の外周端とを接続する。接続配線42は、送電コイル34の内周端と送電コンデンサ36の電極85とを接続する。
【0062】
図9は、中央フェライト32および送電コイル34などを省略した送電部15を示す平面図である。この
図9に示すように、配線28が送電コイル33の外周側から送電コイル33内に引き込まれ、配線28の端部が送電コンデンサ35の電極49に接続される。換言すれば、配線28は、電極50側から電極49側に向かう方向に、電極49から外部に向けて引き出されている。
【0063】
接続配線40は、電極50から巻軸O1側に引き出された後、送電コンデンサ37側から送電コンデンサ35側に向かう方向に引き出され、そして、接続配線40は、送電コイル33の内周端に接続される。そして、送電コイル33のコイル線は、上記内周端側から外周端に向かうにつれて巻回方向D1に巻回する。そして、送電コイル33の外周端に接続配線41の一方の端部が接続されており、接続配線41が環状フェライト31内に引き込まれ、送電コンデンサ36の電極84に接続されている。
【0064】
図10は、中央フェライト32などを省略した送電部15を示す平面図である。この
図10に示すように、送電コンデンサ36の電極85に接続配線42が接続されている。接続配線42は、環状フェライト31の分割フェライトの隙間を通って、送電コイル34の内周端に接続されている。
【0065】
送電コイル34のコイル線は、内周端から外周端に向かうにつれて、巻回方向D1に巻回する。そして、送電コイル34の外周端には、接続配線43の一方の端部が接続されており、接続配線43は、環状フェライト31内に引き込まれている。そして、接続配線43の他方の端部は、送電コンデンサ37の電極83に接続されている。
【0066】
換言すれば、接続配線43は、電極83から巻軸O1側に引き出された後、送電コンデンサ35から送電コンデンサ37に向かう方向に引き出されており、接続配線43の端部が送電コイル34の端部に接続されている。そして、送電コンデンサ37の他方の電極82には、配線29が接続されている。配線29は、電極83側から電極82側に向かう方向に電極82から外部に向けて引き出されている。
【0067】
図9および
図10から明らかなように、配線28、送電コンデンサ35、接続配線40、送電コイル33の内周端、送電コイル33、送電コイル33の外周端、接続配線41、送電コンデンサ36、接続配線42、送電コイル34の内周端、送電コイル34、送電コイル34の外周端、接続配線43、送電コンデンサ37および配線29が順次接続されている。
【0068】
その結果、
図6に示すように、各送電コンデンサおよび各送電コイルが順次接続されることになる。
【0069】
図11は、中央フェライト32などを省略した送電部15を模式的に示す平面図である。この
図11に示すように、送電コイルユニット26は、上方から平面視すると、略長方形形状に形成されている。
【0070】
この
図11において、電極49と電極50との間の距離を距離L1とし、電極82と電極83との間の距離を距離L2とする。
【0071】
配線(第4外部配線)29と接続配線(第5接続配線)40とは、配線29と電極82との接続部分と、接続配線40と電極50との接続部分との間で最も互いに近接する。配線29と電極82との接続部分と、接続配線40と電極50との接続部分との間の距離を距離L3とすると、距離L3は、距離L2以上である。そして、配線(第3外部配線)28と接続配線(第6接続配線)43とは、配線28と電極49との接続部分と、接続配線43と電極83との接続部分との間で最も近接する。
【0072】
配線28と電極49との接続部分と、接続配線43と電極83との接続部分との間の距離を距離L4とすると、距離L4は、距離L1以上である。
【0073】
また、接続配線41(第7接続配線)と接続配線40(第5接続配線)とが最も近接する部分における接続配線41および接続配線40の間の距離を距離L5とすると、距離L5は、距離L3よりも長い。そして、接続配線42(第8接続配線)と接続配線43(第6接続配線)とが最も近接する部分における接続配線42および接続配線43の間の距離を距離L6とすると、距離L6は、距離L4よりも長い。
【0074】
図12は、受電装置6を示す分解斜視図である。この
図12に示すように、受電装置6は、受電部10と、この受電部10を収容する筐体11と、受電部10および整流器7を接続する配線55,56とを含む。
【0075】
筐体11は、ベース板57と、ベース板57の下方からベース板57を覆うように設けられた樹脂蓋58とを含む。ベース板57は、金属材料で形成してもよく、樹脂材料で形成してもよい。なお、ベース板57を樹脂材料で形成する場合には、受電装置6と、車両の底面との間に金属製のシールドを配置する。
【0076】
樹脂蓋58は、受電時に受電部10の周囲に形成される電磁界を透過可能な材料で形成されており、たとえば、樹脂材料によって形成されている。
【0077】
樹脂蓋58の周面には、配線56および配線55が引き出される貫通孔58aおよび貫通孔58bが形成されている。
【0078】
受電部10は、フェライト60と、フェライト60の下面に設けられた受電コイルユニット61と、フェライト60の上面に設けられた受電コンデンサユニット62とを含む。
【0079】
フェライト60は、複数の分割フェライトを間隔をあけて環状に配置した環状フェライト63と、この環状フェライト63の開口縁部に接触するように環状フェライト63の下面に配置された中央フェライト64とを含む。中央フェライト64は、互いに間隔をあけて配置された複数の分割フェライトを含む。
【0080】
受電コイルユニット61は、中央フェライト64の下面に配置された受電コイル65と、この受電コイル65の下面に配置された受電コイル66とを含む。受電コイル65,66は、いずれも、巻軸O2の周囲を取り囲むようにコイル線を巻回することで形成されている。受電コイル65,66は、いずれも、巻軸O2が上下方向に向くように配置されており、受電コイル65,66は、中央フェライト64の周囲を取り囲むように配置されている。なお、この
図12に示す例においては、受電コイル65,66は、受電コイルユニット61の下方から視たときに、長方形形状になるように形成されており、受電コイル65,66は、短辺部と長辺部とを含む。
【0081】
受電コンデンサユニット62は、互いに間隔をあけて配置された複数の受電コンデンサ67,68,69を含む。
【0082】
整流器7は、受電コイルユニット61の外部に設けられており、配線55は受電コンデンサ67と整流器7とを接続し、配線56は受電コンデンサ69と整流器7とを接続している。
【0083】
図13は、受電部10を下方から視たときの受電部10の平面図である。この
図13に示すように、受電コイルユニット61を下方から視ると、受電コンデンサ67,68,69は、受電コイル65,66内に配置されている。
【0084】
受電コンデンサ(第1受電コンデンサ)67および受電コンデンサ(第2受電コンデンサ)69は、互いに隣り合うように配置され、受電コイル65,66の短辺部に沿って配列するように配置されている。
【0085】
受電コンデンサ68は、巻軸O2を基準として、受電コンデンサ67,69の反対側に配置されている。
【0086】
図14は、受電コンデンサ67を模式的に示す平面図である。この
図14に示すように、受電コンデンサ67は、平板状の基板75と、基板75の上面上に形成された電極79および電極80と、この電極79および電極80の間に互いに並列になるように接続された複数のコンデンサ列76,77,78とを含む。
【0087】
基板75は、平面視したときに長方形形状に形成されており、基板75の外周縁部は、長手方向に配列する2つの短辺部と、短手方向に配列する2つの長辺部とを含み、短辺部間の距離は長辺部間の距離よりも長くなっている。各コンデンサ列76,77,78は、互いに直列に接続された複数のコンデンサ素子81を含む。
【0088】
図13において、受電コンデンサ67の電極(第1電極)79は、受電コイル65,66の短辺部側に配置され、電極(第2電極)80は電極79よりも巻軸O2側に配置されている。受電コンデンサ69は、下方から視ると、長方形形状に形成されており、受電コンデンサ69は、受電コイル65,66の短辺部側に配置された電極(第3電極)86と、電極86よりも巻軸O2側に配置された電極(第4電極)87とを含む。なお、受電コンデンサ69も電極86および電極87の間に互いに並列に接続された複数のコンデンサ列を含む。
【0089】
受電コンデンサ68は、受電コイル65,66の一方の長辺部側に配置された電極88と、他方の長辺部側に配置された電極89とを含む。なお、受電コンデンサ68も、電極88および電極89の間に互いに並列に接続された複数のコンデンサ列を含む。
【0090】
受電部10は、受電コンデンサ67の電極80および受電コイルユニット61の一端を接続する接続配線70と、受電コンデンサ69の電極87と受電コイルユニット61の他端を接続する接続配線73とを含む。具体的には、接続配線70は、電極80と受電コイル65の一端とを接続し、接続配線73は、受電コイル66の一端と電極87とを接続する。
【0091】
さらに、受電部10は、受電コイルユニット61および受電コンデンサ68の電極88を接続する接続配線71と、受電コイルユニット61および電極89を接続する接続配線72とを含む。具体的には、接続配線71は、受電コイル65の端部と電極88とを接続し、接続配線72は、受電コイル66と電極89とを接続する。
【0092】
図15は、受電部10を模式的に示す回路図である。この
図15に示すように、配線55と配線56との間で、受電コンデンサ67と、接続配線70と、受電コイル65と、接続配線71と、受電コンデンサ68と、接続配線72と、受電コイル66と、接続配線73と、受電コンデンサ69とが順次直列に接続される。
【0093】
次に、
図16などを用いて、受電コンデンサ67などの接続構造について具体的に説明する。
【0094】
図16は、
図13に示すXVI−XVI線における断面図である。この
図16に示すように、接続配線70は、受電コンデンサ67の電極80と受電コイル65の内周端を接続する。接続配線73は、受電コンデンサ69の電極87と、受電コイル66の外周端とを接続する。
【0095】
図17は、
図13に示すXVII−XVII線における断面図である。この
図17に示すように、接続配線71は、受電コンデンサ68の電極88と、受電コイル65の外周端とを接続する。接続配線72は、受電コンデンサ68の電極89と受電コイル66の内周端とを接続する。
【0096】
図18は、中央フェライト64および受電コイル66を省略した平面図である。この
図18に示すように、配線55が受電コイル65の外周側から受電コイル65内に引き込まれ、配線55の端部が受電コンデンサ67の電極79に接続されている。換言すれば、配線55は、電極80側から電極79側に向かう方向に電極79から引き出されている。
【0097】
受電コンデンサ67の電極80には、接続配線70の一方の端部が接続されており、接続配線70の他方の端部は、受電コイル65の内周端に接続されている。
【0098】
具体的には、接続配線70は、電極80から巻軸O2側に引き出された後、受電コンデンサ69側から受電コンデンサ67側に向かう方向に引き出され、接続配線70の端部が受電コイル65の内周端に接続されている。
【0099】
受電コイル65は、上記の内周端から外周端に向かうにつれて、巻軸O2の周囲を取り囲むように、図の矢印の巻回方向D2に巻回されている。受電コイル65は、内周端から外周端に向かうにつれて、巻回径が大きくなるように形成されている。
【0100】
受電コイル65の外周端には、接続配線71の一方の端部が接続されており、接続配線71の他方の端部は、受電コンデンサ68の電極88に接続されている。
【0101】
図19は、中央フェライト64などを省略した平面図である。この
図19に示すように、接続配線72の一方の端部は、電極89に接続され、接続配線72の他方の端部は受電コイル66の内周端に接続されている。
【0102】
受電コイル66は、上記内周端から外周端に向かうにつれて、巻軸O2の周囲を図の矢印の巻回方向D2に巻回されるように形成されている。受電コイル66は、内周端から外周端に向かうにつれて、巻回径が大きくなるように形成されている。
【0103】
受電コイル66の外周端には、接続配線73の一方の端部が接続されており、接続配線73の他方の端部は受電コンデンサ69の電極87に接続されている。
【0104】
具体的には、接続配線73、電極87から巻軸O2側に引き出された後、受電コンデンサ67側から受電コンデンサ69側に向かう方向に引き出され、接続配線73の端部が受電コイル66に接続されている。受電コンデンサ69の電極86には、配線56の一方の端部が接続されている。配線56は、電極87側から電極86側に向かう方向に電極86から外部に向けて引き出されている。
【0105】
図18および
図19から明らかなように、
図15に示すように、配線55、受電コンデンサ67、接続配線70、受電コイル65の内周端、受電コイル65、受電コイル65の外周端、接続配線71、受電コンデンサ68、接続配線72、受電コイル66の内周端、受電コイル66、受電コイル66の外周端、接続配線73、受電コンデンサ69および配線56が順次接続されていることが分かる。
【0106】
図20は、中央フェライト64などを省略した受電部10を模式的に示す平面図である。この
図20において、電極79および電極80の間の距離を距離L7とし、電極86と電極87との間の距離を距離L8とする。
【0107】
ここで、接続配線70と配線56とは、電極80と接続配線70との接続部分と、配線56と電極86との接続部分との間で最も近接する。そして、電極80および接続配線70の接続部分と、配線56および電極86の接続部分との間の距離を距離L9とすると、距離L9は、距離L7以上である。
【0108】
また、接続配線73と配線55とは、接続配線73および電極87の接続部分と、配線55と電極79との接続部分との間で最も近接する。そして、接続配線73および電極87の接続部分と、配線55と電極79との接続部分との間の距離を距離L10とすると、距離L10は、距離L8以上である。
【0109】
接続配線71(第3接続配線)と接続配線70(第1接続配線)とが最も近接する部分における接続配線71および接続配線70の間の距離を距離L11とすると、距離L11は、距離L7および距離L9よりも長い。
【0110】
接続配線72(第4接続配線)および接続配線73(第2接続配線)が最も近接する部分における接続配線72および接続配線73の間の距離を距離L12とすると、距離L12は距離L8および距離L10よりも長い。
【0111】
図1において、送電装置5から受電モジュール2に電力を非接触で送電する際には、まず、電源4から周波数変換器16に電力が供給される。周波数変換器16は、電源4から供給される電力の周波数を変換して送電部15に供給する。送電部15に供給される電流の周波数は、たとえば、送電部15の共振回路の共振周波数である。
【0112】
送電コイル33および送電コイル34に、周波数が送電部15の共振周波数である電流が流れる。この周波数は、たとえば、85kHz程度であり、波長は、数kmになる。
【0113】
そして、
図9において、たとえば、電流が接続配線40から送電コイル33に入り込む方向に流れるときには、
図10において、電流は、接続配線42から送電コイル34内に入り込む方向に流れる。この際、送電コイル33内において、電流は巻回方向D1に流れ、送電コイル34内においても、巻回方向D1に流れる。このため、送電コイル33によって形成される磁束の向きと、送電コイル34によって形成される磁束の向きは、一致する。
【0114】
同様に、
図9において、電流が送電コイル33から接続配線40に流れるときには、
図10において、送電コイル34から接続配線42に電流が流れる。このため、送電コイル33内においては、巻回方向D1と反対方向に電流が流れ、送電コイル34内においても、巻回方向D1と反対方向に電流が流れる。このため、送電コイル33が形成する磁束の方向と、送電コイル34が形成する磁束の方向は、一致する。
【0115】
すなわち、
図9において、接続配線40が接続された送電コイル33の内周端から接続配線41が接続された送電コイル33の外周端に向かうにつれて、送電コイル33が巻回される巻回方向D1と、
図10において、接続配線42が接続された送電コイル34の内周端から接続配線43が接続された送電コイル34の外周端に向かうにつれて送電コイル34が巻回される巻回方向D1とが一致している。
【0116】
このため、上記のように、送電コイル33および送電コイル34内に電流が流れた際に、送電コイル33および送電コイル34が形成する磁束(磁界)の向きが同じ方向になり、良好に受電部10に向けて電力送電することができる。
【0117】
図21は、電力伝送時における送電部15内の電圧分布を示すグラフである。この
図21のグラフの横軸は、送電部15内の位置を示し、縦軸は、電圧を示す。また、このグラフは、送電時における瞬時値である。
【0118】
ここで、送電部15は、複数のコンデンサと複数のコイルを直列に接続することで形成されたLC共振回路である。このため、送電部15に供給される電流の周波数が、送電部15の共振周波数と一致または実質的に一致する場合には、送電部15の両端の電圧は、0Vまたは実質的に0Vになる。
【0119】
そして、
図21のグラフが示すタイミングにおいては、送電コンデンサ35,36,37において、電圧降下が生じており、送電コイル33,34において電圧上昇する。
【0120】
送電部15のように、複数の送電コンデンサと複数のコイルとを交互に接続したLC共振回路においては、各送電コンデンサ35,36,37の電圧位相と、各送電コイル33,34の電圧位相とは、互いに180度(π(rad))ずれた状態になる。このため、各送電コンデンサ35,36,37で電圧降下するタイミングでは、各送電コイル33,34において電圧上昇し、各送電コンデンサ35,36,37で電圧上昇するタイミングでは各送電コイル33,34では電圧降下する。
【0121】
この
図21に示す例においては、各送電コンデンサ35,37の容量は、互いに一致または実質的に一致しており、各送電コイル33,34のインダクタンスは、互いに一致または実質的に一致している。そして、送電コンデンサ36の容量は、送電コンデンサ35,37の容量の半分である。また、送電コンデンサ36で生じる電圧降下量(電圧上昇量)と、各送電コイル33,34で生じる電圧上昇量(電圧降下量)とが実質的に一致するように、送電コンデンサ36の容量と、各送電コイル33,34のインダクタンスが調整されている。
【0122】
これにより、送電コンデンサ35,37で生じる電圧降下量(電圧上昇量)は、送電コイル33,34で生じる電圧上昇量(電圧降下量)の半分となり、送電コンデンサ36で生じる電圧降下量(電圧上昇量)の半分となる。
【0123】
その結果、電極50および接続配線40の電圧と、電極85および接続配線42の電圧とが実質的に一致する。なお、各電圧は、送電中に周期的に同じように変動しており、この
図21に示すタイミングでは、−A
1(V)になる。
【0124】
また、接続配線41および電極84の電圧と、接続配線43および電極83の電圧が一致または実質的に一致する。なお、各電圧は、周期的に同じように変動しており、この
図21に示すタイミングでは、A
1(V)になる。
【0125】
そして、電極50および接続配線40の電圧(電極85および接続配線42)と、接続配線41および電極84の電圧(接続配線43および電極83の電圧)とは、正負が反転しており、各電圧の絶対値は一致または実質的に一致する。この結果、送電中において、送電部15内の平均電圧は、0Vまたは実質的に0Vになる。
【0126】
この
図21において、送電コンデンサ35の電極49と電極50との間では最大でA(V)の電圧差が生じる。
図11において、送電コンデンサ35の設計上、電極49および電極50の間に所定の電圧差が生じても、電極49および電極50の間で弊害が生じないように電極49および電極50の間の距離L1の距離が設計されている。
【0127】
そして、
図21に示すように、電極49と電極50との間の電圧差と、接続配線40と配線29との間の電圧差とは、実質的に一致しており、
図11に示すように、接続配線40と配線29との間の距離L3は、距離L1以上である。このため、接続配線40と配線29との間に生じる電圧差に対して接続配線40と配線29との間の距離が十分確保されている。
【0128】
送電コンデンサ37の電極82と電極83との間では最大でA(V)の電圧差が生じる。
図11において、送電コンデンサ37の設計上、電極82および電極83の間に所定の電圧差(A(V))が生じても、電極82および電極83の間で弊害が生じないように電極82および電極83の間の距離L2が設計されている。
【0129】
そして、
図21に示すように、接続配線43と配線28との間に生じる電圧差は、電極82および電極83の間に生じる電圧差を実質的に一致しており、接続配線43と配線28との間の距離L4は、距離L2以上である。このように、接続配線40および配線29の間の電圧差に対して接続配線40と配線29との間の距離が十分に確保されている。
【0130】
図21において、接続配線(第5接続配線)40と接続配線(第7接続配線)41との間の電圧差は、接続配線(第5接続配線)40と配線(第4外部配線)29との間の電圧差よりも大きい。
【0131】
その一方で、
図11に示すように、接続配線40と接続配線41との間の距離L5は、接続配線40と配線29との間の距離L3よりも長いため、接続配線40および接続配線41の間の距離が十分に確保されている。
【0132】
また、
図21において、接続配線43と接続配線42との間の電圧差は、接続配線43および配線28の間の電圧差よりも大きい。その一方で、
図11に示すように、接続配線43および接続配線42の間の距離L6は、接続配線43および配線28の間の距離L4よりも長い。このため、接続配線42および接続配線43の間の距離が十分確保されている。
【0133】
接続配線40および接続配線43は、各電極50および電極83から巻軸O1側に引き出されている。そして、接続配線40は、送電コンデンサ37側から送電コンデンサ35側に向かう方向に引き出されている一方で、接続配線43は、送電コンデンサ35側から送電コンデンサ37に向かう方向に引き出されている。
【0134】
このように、接続配線40と接続配線43とは、互いに反対方向に引き出されており、接続配線40および接続配線43が近接することが抑制されている。このため、
図21に示すように、送電中に接続配線40および接続配線43の間で所定の電圧差が生じたとしても、各種弊害が接続配線43および接続配線40の間で生じることを抑制することができる。
【0135】
さらに、配線28は、電極50側から電極49側に向かう方向に電極49から引き出され、接続配線40は、送電コンデンサ37側から送電コンデンサ35側に向かう方向に電極50から引き出されている。このように、配線28および接続配線40が引き出される電極が異なると共に、引き出される方向が異なるため、配線28および接続配線40が交差することを抑制することができる。また、接続配線43も送電コンデンサ35側から送電コンデンサ37側に向かう方向に引き出されているため、接続配線43および配線28が交差することが抑制されている。
【0136】
配線29は、電極83側から電極82側に向かう方向に電極82から引き出されている。このため、配線29が接続された電極と、接続配線40,43が接続された電極とは異なり、さらに、各配線の引き出し方向が異なるため、配線29および接続配線40,43が交差することを抑制することができる。
図21において、接続配線40と送電コイル33との接続部分の電圧と、接続配線43と送電コイル34との接続部分との電圧とは一致している。接続配線40は送電コイル33の内周端に接続されており、接続配線43も、送電コイル34の内周端に接続されている。そして、送電コイル33の内周縁部と、送電コイル34の内周縁部とは、上下方向に隣り合うように配置されている。同様に、送電コイル33の外周端と送電コイル34の外周端とは、上下方向に隣り合うと共に、各電圧は、一致または実質的に一致している。このため、上下方向に重なり合う送電コイル33のコイル線と送電コイル34のコイル線との間で大きな電圧差が生じることが抑制されている。
【0137】
上記のように、送電装置5に電流が供給されると、送電装置5の周囲に電磁界が形成され、受電部10が電力を受電する。ここで、受電部10が受電する電流の周波数は、85kHz程度であり、当該電流の波長は、数kmになる。
【0138】
このため、
図18において、電流が接続配線70から受電コイル65内に入り込む方向に流れるときには、
図19において、電流は、接続配線72から受電コイル66内に入り込む方向に流れる。このため、受電コイル66内において、電流は巻回方向D2に流れ、
図18において、受電コイル66内においても電流は巻回方向D2に流れる。
【0139】
そして、
図18において、電流が受電コイル65から接続配線70に流れ込む方向に流れるときには、
図19において、受電コイル66から接続配線72に電流が流れ込む方向に電流が流れる。このため、受電コイル65内では、巻回方向D2と反対方向に電流がながれ、受電コイル66内においても、巻回方向D2と反対方向に電流が流れる。
【0140】
図18において、接続配線70が接続された受電コイル65の内端から接続配線71が接続された受電コイル65の外周端に向かうにつれて受電コイル65が巻回される巻回方向D2と、
図19において接続配線72が接続された受電コイル66の内周端から接続配線73が接続された受電コイル66の外周端に向かうにつれて受電コイル66が巻回される巻回方向D2とが同じである。
【0141】
このため、上記のように、送電部15によって形成される磁界が受電部10に達した際に、受電コイル65および受電コイル66内で発生する誘導起電圧が同じ方向になり、良好に電力を受電することができる。
【0142】
図22は、受電装置6が電力を受電しているときの受電部10内の電圧分布を示す。この
図22に示すグラフの横軸は、受電部10の位置を示し、縦軸は電圧を示す。また、
図22に示すグラフは、受電時の瞬時値を示す。
【0143】
ここで、送電部15に供給される電流の周波数は、送電部15の共振周波数であるため、送電部15の周囲に形成される磁界の周波数は、送電部15の共振周波数となる。受電部10は、送電部15の周囲に形成される磁界から電力を受電しており、受電部10内を流れる電流の周波数は、磁界の周波数となる。
【0144】
受電部10の共振周波数と送電部15の共振周波数とは、一致または実質的に一致しているため、受電部10内を流れる電流の周波数は、受電部10の共振周波数と一致または実質的に一致する。
【0145】
受電部10は、複数のコイルとコンデンサを交互に直列に接続した直列LC共振回路であり、直列LC共振回路に周波数が共振周波数の電流が流れると、当該共振回路の両端の電圧は0Vまたは実質的に0Vになる。
【0146】
このため、配線55および電極79の電圧と、電極86および配線56の電圧が0Vに固定される。そして、受電中において、各受電コンデンサ67,68,69の電圧位相と、各受電コイル65,66の電圧位相とは、互いに180度ずれる。このため、各受電コンデンサ67,68,69で電圧降下が生じるタイミングで、受電コイル65,66で電圧上昇が生じ、各受電コンデンサ67,68,69で電圧上昇するタイミングで受電コイル65,66で電圧降下する。この
図22に示すタイミングにおいては、各受電コンデンサ67,68,69において、電圧降下が生じ、受電コイル65,66において、電圧上昇が生じている。
【0147】
この
図22に示す例においては、各受電コンデンサ67,69の容量は、互いに一致または実質的に一致しており、各受電コイル65,66のインダクタンスは、互いに一致または実質的に一致する。そして、受電コンデンサ68の容量は、受電コンデンサ67,69の容量の半分である。
【0148】
また、受電コイル65,66で生じる電圧降下量(電圧上昇量)と、受電コンデンサ68で生じる電圧降下量(電圧上昇量)とが一致または実質的に一致するように、受電コンデンサ68の容量と、各受電コイル65,66のインダクタンスが設定されている。
【0149】
これにより、受電コンデンサ67,69で生じる電圧降下量(電圧上昇量)は、受電コイル65,66で生じる電圧上昇量(電圧降下量)の半分となり、受電コンデンサ68で生じる電圧降下量(電圧上昇量)の半分となる。
【0150】
その結果、電極80および接続配線70の電圧と、電極89および接続配線72の電圧と一致または実質的に一致する。なお、各電圧は、受電中に周期的に同じように変動しており、この
図22に示すタイミングにおいては、−A
2(V)になる。
【0151】
また、接続配線71および電極88の電圧と、接続配線73および電極87の電圧とは、一致または実質的に一致する。なお、各電圧は、受電中に周期的に同じように変動しており、この
図22に示すタイミングにおいては、A
2(V)になる。
【0152】
そして、電極80および接続配線70の電圧(電極89および接続配線72の電圧)と、接続配線71および電極88の電圧(接続配線73および電極87の電圧)とは、正負が反転しており、各電圧の絶対値は一致または実質的に一致している。その結果、受電中において、受電部10内の平均電圧は0Vまたは実質的に0Vになる。
【0153】
図22において、受電コンデンサ67の電極79と電極80との間では、最大でA
2(V)の電圧差が生じる。
図20において、受電コンデンサ67の設計上、電極79と電極80との間で所定電圧以上の電圧差が生じたとしても、弊害が生じないように設計されている。
【0154】
そして、
図22に示すように、電極79と電極80との間の電圧差と、接続配線70と配線56との間の電圧差とは、一致または実質的に一致する。配線56と接続配線70との間の距離L9は、電極79と電極80との間の距離L7以上である。
【0155】
このため、電極79と電極80との間で生じる電圧差に対して十分な距離が確保されている。
【0156】
受電コンデンサ69の電極86と電極87との間では、最大でA
2(V)の電圧差が生じる。受電コンデンサ69の設計上、電極82および電極83の間に所定の電圧差(A
2(V))が生じても、電極82および電極83間で弊害が生じないように電極82および電極83間の距離L8が設計されている。
【0157】
そして、
図22に示すように、接続配線70と配線56との間に生じる電圧差は、電極86および電極87の間で生じる電圧差と一致または実質的に一致しており、接続配線70と配線56との間の距離L9は、距離L8以上である。このため、接続配線70および配線56の間の電圧差に対して、接続配線70および配線56の間の距離が十分に確保されている。
【0158】
図22において、接続配線70と接続配線71との間の電圧差は、接続配線70および配線56との間の電圧差よりも大きい。その一方で、
図20に示すように、接続配線70と接続配線71との間の距離L11は、距離L9よりも長い。
【0159】
このため、受電中に受電中に接続配線70および接続配線71の間で電圧差が生じたとしても、各種弊害が生じることを抑制することができる。
【0160】
同様に、接続配線73および接続配線72の間の電圧差は、接続配線73および配線55の間の電圧差よりも大きい一方で、接続配線72および接続配線73の間の距離L12は、距離L10よりも長い。このため、接続配線72および接続配線73の間で電圧差が生じたとしても、各種弊害が生じることを抑制することができる。
【0161】
ここで、
図13に示すように、接続配線70および接続配線73は、電極80および電極87から巻軸O2側に引き出される。その後、接続配線70は、受電コンデンサ69側から受電コンデンサ67側に向かう方向に引き出されており、接続配線73は、受電コンデンサ67側から受電コンデンサ69側に向かう方向に引き出されている。
【0162】
このように、接続配線70および接続配線73は互いに近接しないように設けられているため、
図22に示すように、受電中に接続配線70および接続配線73間に電圧差が生じたとしても、接続配線70および接続配線73間で各種の弊害が生じることを抑制することができる。
【0163】
さらに、配線55は、電極80側から電極79側に向かう方向に電極79から引き出され、接続配線40は、受電コンデンサ69側から受電コンデンサ67側に向かう方向に電極80から引き出されている。このため、配線55と接続配線70とが交差することを抑制することができる。同様に、接続配線73は、受電コンデンサ67側から受電コンデンサ69側に向かう方向に電極87から引き出されているため、接続配線73と配線55とが交差することが抑制されている。
【0164】
また、配線56は、電極87側から電極86側に向かう方向に電極86から引き出され、接続配線70は、受電コンデンサ69側から受電コンデンサ67側に向かう方向に引き出されているため、配線56および接続配線70が交差することが抑制されている。
【0165】
接続配線73においても、受電コンデンサ67側から受電コンデンサ69側に向かう方向に電極87から引き出されているので、接続配線73と配線56とが交差することを抑制することができる。
図22において、接続配線70と受電コイル65との接続部分の電圧は、接続配線72と受電コイル66との接続部分の電圧と一致または実質的に一致している。
図13において、接続配線70は、受電コイル65の内周端に接続され、接続配線72も受電コイル66の内周端に接続されている。また、受電コイル65の外周端と、受電コイル66の外周端の電圧は、一致または実質的に一致している。このため、上下方向に隣り合う受電コイル65のコイル線と受電コイル66のコイル線との間で大きな電圧差が生じることを抑制することができる。
【0166】
なお、上記の実施の形態においては、受電部10および送電部15は、いずれも、コンデンサと、コイルと、コンデンサと、コイルと、コンデンサとを順次直列になるように接続することで形成したLC共振回路が採用されているが、共振回路としては、この例に限られない。
【0167】
図23は、送電部15の変形例を模式的に示す平面図である。この
図23においては、中央フェライト32が省略されている。送電部15Aは、送電コンデンサ36が設けられておらず、送電コイルユニット26も1つの送電コイル90によって形成されている。
【0168】
すなわち、
図24に示すように、配線28と配線29との間で、送電コンデンサ35と、送電コイル90と、送電コンデンサ37とが順次直列になるように接続され、送電部15Aが形成されている。
【0169】
このように構成された送電部15Aに、周波数が送電部15Aの共振周波数である交流電流が流れると、
図25に示すように、送電部15A内で電圧分布する。なお、
図25に示すグラフの横軸は、送電部15Aの位置を示し、縦軸は、電圧を示す。
【0170】
なお、この
図25に示すグラフにおいても、送電中における瞬時値であり、この
図25に示すタイミングでは、送電コンデンサ35および送電コンデンサ37で電圧降下が生じ、送電コイル90で電圧上昇が生じている。
【0171】
なお、送電部15Aにおいても、送電部15A内を流れる電流の周波数が、送電部15Aの共振周波数のときには、送電部15Aの両端の電圧は0Vまたは実質的に0Vになる。このため、送電部15A内の平均電圧は、0Vまたは実質的に0Vになる。
【0172】
そして、送電部15Aにおいても、距離L3は距離L1以上であり、距離L4は、距離L2以上である。
【0173】
図26は、受電部10の変形例を模式的に示す平面図であり、中央フェライトが省略されている。受電部10Aは、受電コンデンサ68が設けられておらず、受電コイルユニット61が1つの受電コイル91によって形成されている。
【0174】
図27に示すように、受電部10Aは、配線55と配線56との間で、互いに順次直列に接続された受電コンデンサ67と、受電コイル91と、受電コンデンサ69とを含む。接続配線70によって受電コンデンサ67と受電コイル91とが接続され、接続配線73によって受電コイル91と受電コンデンサ69とが接続されている。
【0175】
このように構成された受電部10Aが電力を受電すると、
図28に示すように、受電部10A内で電圧が分布する。なお、
図28において、横軸は、受電部10Aの位置を示し、縦軸は、電圧を示す。なお、
図28に示すグラフは、受電中における瞬時値である。
【0176】
この
図28に示すタイミングにおいては、受電コンデンサ67および受電コンデンサ69で電圧降下が生じ、受電コイル91で電圧上昇している。
【0177】
なお、受電部10A内を流れる受電電流の周波数は、受電部10Aの共振周波数であるため、受電部10Aの両端の電圧は0Vになる。
【0178】
そして、受電コンデンサ67および受電コンデンサ69の容量は、一致または実質的に一致しており、各受電コンデンサ67,69内で生じる電圧降下量は、一致または実質的に一致している。
【0179】
このため、受電中において、受電部10Aの平均電圧は0Vまたは実質的に0Vになる。そして、
図26に示すように、距離L9は距離L7以上であり、距離L10は、距離L8以上である。
【0180】
以上、本発明に基づいた各実施の形態について説明したが、今回開示された各実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。